190刑事関係その他の最近のブログ記事

東京地検:精神鑑定の専門検事を配置 全国初(毎日新聞 2008年4月1日 11時42分)

 ある検察幹部は「これまでは、被告の精神状態を適切に分析できない鑑定医に依頼してしまった例もあった。今後はこうしたことがないよう、検事自身も精神鑑定について勉強をしなければならない」と話している。

 心神喪失や心神耗弱か否かは、精神医学的判断ではなくて法律判断なのですから、検事が鑑定医(多くの場合、精神科医)におんぶにだっこ状態であったのなら、検察庁の怠慢と言うべきなんですが、私も専門的な訓練を受けたことはありません。

 遅きに失しているという批判はあるとしても、専門検事の育成は今後の方向性として必要なことだと思います。

 検事は一応各検察庁に所属しますが、責任能力が問題になる事件は東京でだけ起こるのではありませんから、専門検事を地方の地検に派遣するシステムも必要だと思うのですが、そのあたりはどうなっているのでしょう?

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 単なるつぶやき程度のエントリですが

 産経新聞などで報道されている精神鑑定をした何人かの鑑定人の証言を読んでみますと

 刑法39条というのは、所詮刑法理念の産物であって現実対応力のない規定のように思えます。

 犯罪の成否を左右する基準としては、いい加減過ぎます。

 いわゆる夫バラバラ殺人事件の被告人について、鑑定前に責任能力に問題があると考えていた法律家はたぶん一人もいないと思います。
 検察官は当然として、裁判官にとってもそして弁護人にとっても二人の鑑定人の鑑定結果は青天の霹靂だったと思います。
 検察官の再鑑定請求を裁判所が直ちに却下しなかったことにはっきり表れてます。
 裁判所の最終判断が注目されます。
 こうなるとどっちに転んでも控訴必至ですが。


 ついでに余談ですが、あの事件の被告人を「セレブ妻」と呼ぶのはまっとうな新聞社としての見識を疑います。
 まっとうじゃないのかな。

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被害者は「甲・乙・丙」 最高裁、匿名で初の刑事裁判(asahi.com 2008年03月14日08時21分)

 「甲(こう)が丙(へい)を介して手渡し」「丁(てい)と戊(ぼ)に2発を発射」……。犯罪被害者を守るため、刑事訴訟法の改正で昨年暮れから被害者の名前を法廷で伏せることができるようになり、最高裁で初めてこの制度を適用した刑事裁判が13日あった。裁判所の裁量で性犯罪の被害者などを匿名にしたケースはこれまでもあったが、今後はこうしたケースが増えそうだ。

 強姦事件の被害者の利益保護などが典型的な適用場面だろうと思います。
 過去に書いた記憶がありますが、このような法律ができるはるか昔から、起訴状に書かれている被害者の固有名詞を読まずに「被害者」と言って起訴状を朗読する検事がいました。
 ある地方都市での強姦事件の法廷でのことで、傍聴席を見ると地元の婦人会か何かの団体さんの傍聴人がいたことから咄嗟に検事が判断したとのことです。
 これは厳密には法律違反だったのですが、弁護人も裁判官も何も言わずにスルーしたということでした。
 先輩検事から聞いた話です。

 本件の弁護人は

 弁護側は「被害者の氏名は犯行の基本中の基本。憲法が保障する裁判の公開の原則に反する」と疑問を投げかけた

 ようですが、被告人の防御には特に問題はないと思います。

 被告人の防御という意味では、私はビデオリンク方式の証人尋問のほうがはるかに問題があると思っています。

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13年後の謝罪続く…自転車盗被害の家に男性が手紙と現金(2008年2月11日03時05分 読売新聞)

 手紙には、印字された文字で、開いていた車庫から自転車を持ち去り、数キロ離れた駐輪場に乗り捨てたことなどが便せん1枚に記されていた。自分はクリスチャンと明かし、聖書の「盗んではなりません」などの一節を引用し、反省の意を示していた。

 きっといい人に巡り合ったのだろうと思います。

 死後の世界と因果応報を信じるということが、最も強力な犯罪抑止力の一つになると思っています。

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取り調べ時の警官備忘録「裁判証拠」 最高裁も開示命令(asahi.com 2007年12月27日06時50分)

 検察側は、開示の対象になるのは検察官が実際に保管している「手持ち証拠」に限られ、メモや備忘録は対象にならないと主張してきた。地裁は検察側の主張に沿って請求を棄却。しかし、即時抗告審で東京高裁が開示命令を出したため、検察側が特別抗告していた。

 手近の模範六法を見ると、平成18年8月25日の広島高裁の決定では、「検察官の保管する証拠に限られる」と言ってます。
 捜査関係の書類のほとんどは、警察官が作成してそれを検察官に送致するという手続をとりますが、広島高裁みたいなことを言えば、警察・検察にとって不都合な書類は警察から検察への送致手続を取らなければいいのですから、ざる法みたいなもんだと思っていました。

 ところが最高裁は

 決定で第三小法廷は、05年11月に始まった公判前整理手続き(期日間整理手続きを含む)での証拠開示制度が、争点整理と証拠調べを有効で効率的に行うために導入されたことを重視。開示の対象となるのは検察官がいま保管している証拠だけでなく、「捜査の過程で作成・入手した書面で公務員が職務上保管し、検察官が容易に入手できるものを含む」とする初めての判断を示した。

と言ったわけで、ざる法的解釈は許さないという、妥当な解釈が示されたと思います。

 まあ、こんなメモ書きみたいなものを問題にするより、取調べの全面録画をしたらいいじゃないか、という意見が出てくるのは当然で、私もそのほうがいいと思いますが、仮に取り調べを全面的に録画したとしても、供述の任意性についても信用性についても、録画を見れば一目瞭然とはいかないだろうな、と思っています。

関連報道
共犯者自白のDVD、主犯公判で「有用」…東京地裁裁判長(2007年12月27日0時6分 読売新聞)

 これは部分録画ですが、どんな状況が録画されているのか見てみたいです。

 大阪地検ではどじなことやってますが(検察の取り調べ録画によって自白の任意性を否定)、東京地裁ではうまくいったようです。
 東京地裁のほうが大阪地裁より検察寄りだといううわさが無きにしも非ずですが、そういう一般的憶測より、録画されている供述状況が問題だと思いますので、検察上層部としても、両者のDVDを比較検討していることと思います。

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「赤ちゃん」から育て直す 神戸児童殺傷から10年(asahi.com 2007年05月23日12時34分 ウェブ魚拓

 1人の犯罪者の更生のためにこれほど国のエネルギーが投入された例は他にないと思います。

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日本裁判官ネットワークブログに、熊本元裁判官の発言に関する読売新聞の記事が紹介されていました。

 読売新聞が熊本元裁判官の発言に反論の記事

 同ブログはトラックバックを受け付けていませんので、コメント欄にコメントしてきました。

 議論の場所を固定したほうがいいと思いますので、ご意見のある人はそちらへどうぞ。

 三つ目のコメントです。
 ちなみに二つ目は峰村健司さんでした。

 但し、コメントしたぞ、ということをここにコメントしていただけると助かります(^^;

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後輩に伝えたい“刑事道”とは(東京新聞特報)

 異論のあるところもあるかも知れませんが、面白いです。

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飲酒ひき逃げ、厳罰化を検討 国家公安委員長(asahi.com 2006年09月12日12時25分)

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 コメントにおいて司法取引という言葉を使いましたので、その一般的な意味について、Wikipediaから引用させていただきます。

司法取引(しほうとりひき)とは、 刑事裁判において、被告と検察が取引し、被告が罪状を認めるか、あるいは捜査に協力することで、当該の刑の軽減、またはいくつかの罪状の取り下げを行うこと。主に、米国、英国など英米法(コモン・ロー)の国で、実施されている。

 日本の弁護士の中には、陪審制の採用を強く主張されている先生がおられますが、そのような弁護士も司法取引については反対される先生が多いです。
 
 しかし、司法制度というのは、全体的に考える必要があるのであり、陪審制賛成、司法取引反対というのは、整合性がない考え方ではないかと思っています。

 とりあえず問題提起です。

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 このような意見がある。

栃木県女児殺害事件(長野智子blog)

幼い有希ちゃんの命を、かくも残虐に奪った犯人が、今ものうのうとどこかで生活をしているのが、本当に許せない。

 他方こういう意見もある。

取調べのための身柄拘束を認めるべきか?(法と常識の狭間で考えよう)

こんな前近代的なやり方で、嫌疑をかけた人を有罪にすることができるという日本の司法システムが、本当にこのままで良いのか、私たちは改めて真剣に考える時が来ていると思う。

 どちらも社会の正当な利益を代弁している。
 しかし、異なる正当な利益は往々にして矛盾する。
 結局、バランスというものが問題になるのであるが、その調和は難しい。

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『公判前整理手続き』の危うさ検証(東京新聞 特報)

 公判前整理手続の問題点がよく分析されていると思います。
 問題の事件自体は、報道で知る限り、否認事件としては比較的シンプルな事件であったと思われますが、それでもこれだけの問題が指摘されるわけですから、犯人性に問題があるなどのもっと複雑な事件になりますと、弁護人の負担はこの事件の数倍から十数倍になると思います。

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 k_penguinさんからトラックバックをいただいた。
 記事のタイトルは「裁判員制度は冤罪を減らすか」です。
 冤罪問題は、裁判員制度との関係だけでなく、少年事件も含めて考えますと現在でもほとんど日常的に生じているかも知れない問題です。

 がしかし、この投稿ではk_penguinさんの追記に対して非公式に答えたいと思います。

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 刑事司法の目的は、言うまでもなく犯罪を減らすことにあります。犯罪をなくすこと、と言いたいところですが残念ながらそこまで楽観的にはなれません。

 ではどうのような手段で犯罪を減らそうとしているかといいますと、刑罰によって減らそうとしているわけです。

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 私の後輩の高校生から、冤罪はどうして起こるのか、という質問を受けました。
 一言で答えるのが難しい質問でありますが、敢えて一言で答えますと

 犯罪捜査も刑事裁判も人間がやるものだから

ということになります。

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 公判前整理手続というのは、争いのある事件の審理促進を意図した制度のようですが、別の使いみちもあると思います。

 それは保釈の手段です。

 捜査段階で自白しているのに、第1回公判までは「罪証隠滅のおそれがある」として保釈が認められない事件がたくさんあります。

 被告人から、全部認めているのにどうして保釈にならないんですか、と泣きつかれることもあります。

 そのような場合に公判前整理手続を使って、争いがないことを明らかにし、検察官請求証拠に関して証拠決定を終わらせてしまえば、罪証隠滅のおそれなどほとんどなくなってしまうはずです。

 安易に使うと弊害が出るかもしれませんが、裁判所が応じてくれればかなり有効な方法だと思います。

 弁護士のみなさん、いかがでしょうか。

 
  

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 刑事訴訟法の改正の一つに即決裁判手続の創設があります。
 改正刑事訴訟法の第三百五十条の二以下です。

 これについては批判もあります。

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Matimulog の町村先生が、公判前整理手続の施行に関連して

もはや「起訴状一本主義」というのは死語になったのだろうか?

と書いておられまして、それに対して私が

>起訴状一本主義 もともとどれほどの意味があったのか、正直言ってわかりません。

とコメントしたところ、町村先生から

予審判事が捜査段階から関与する糾問主義に対して、判断者たる裁判所が公判前には一切関与せず予断も排除するという弾劾主義の特徴的な原則が、起訴状一本主義だったわけですが。 この意味では現行刑訴法の背骨の一つでもあったのでしょう。

とお返事をいただきました。

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共謀罪 三たび断念の背景(東京新聞のHPから)

 司法試験等には直接関係しないかもしれませんが、この問題はとても重要です。

 この東京新聞の特報は、共謀罪の問題性をとてもわかりやすく指摘しており、一読をお勧めします。

 最も大きな問題は、共謀罪は共謀をすれば既遂になり、その後計画を破棄または実行を断念したからといって、いったん成立した犯罪は消滅しないという点だと思います。
 少なくとも検挙・摘発の時点で犯罪計画が現在進行形でない限り、これを犯罪とすることは、東京新聞の特報にある近未来フィクションのように、本来の目的と違う目的のために濫用される危険が大きくなります。

 もっとも、こんな近未来フィクション事例で強制捜査を行うことなどは、(検察の)常識的には考えられないのですが。

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