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 任官1年目の検事のことを「新任検事」と呼びます。
 わかりやすく言うと「半人前検事」のことです。
 どんな失敗をしても(限度はあると思いますが)、許されるという幸せな時期です。

 私もいろいろさせていただきました(^^;

 私の同期の検事の7割くらいは東京地検で新任検事時代を過ごしている。私もそうです。

 新任検事の数が多かったので最初の半年は、半数を公判部に、半数を刑事部に配属されました。
 公判部というのは、裁判所での法廷活動を専門に担当する部署です。
 刑事部というのは、一般刑事事件の捜査(つまり起訴まで)を担当する部署です。
 東京地検のような大地検ではこのように専門部署があります(地方地検では別ですが)。

 私は、最初の半年を公判部で過ごしましたが、捜査より公判を先に経験できたことは大変よかったと思っています。

 公判部の検事というのは、刑事部の検事が起訴した事件の記録を検討することが最初の仕事になるわけですが、それによって先輩検事の捜査のやり方、調書の取りかたというものを知ることができたからです。

 検察庁という役所は不親切な役所で、手取り足取り教えてくれません。
 記録の読み方などは司法研修所で習ってきたはずだとばかり誰も教えてくれませんし、法廷に行くのも最初の3回くらいは先輩検事が付き添ってくれましたが、その後は一人で行って来い、です。

 かなづちの人をいきなり池に放り込んで、おい早く泳げ、泳がないと溺れるぞ、と言って泳ぎを覚えさせるようなものです。

 当然、水は飲むは、足がつりそうになるは、で大変でした(^^;

 一人で法廷に行かされてまもなくのころ、手続の順番を思いっきり間違いました。
 起訴状朗読の後、いきなり証拠調べ請求をしたのです。
 分かる人には分かるオオポカです(^^;

 しかし、新任検事を見つめる諸先輩の目は温かかったです。

 弁護人は聞かなかった振り。
 裁判官は何事もなかったように、被告人に黙秘権の告知を始めました。

 私は、裁判官が黙秘権の告知を始めた瞬間にミスに気づきましたが、もう後の祭り。
 こうなりゃ開き直るしかない。

 弁護人が淡々と認否を述べた後、改めて証拠調べ請求をしました。

 幸い、被告人は初犯だったので、被告人にもばれませんでした。

 開き直りきれずにあたふたしてたら、傍聴席にもばればれだったと思います。

 最初の教訓
 公判検事は、あつかましくなくてはいけない。

 公判検事には、面の皮の厚さ、よく言えば度胸が必要です(^^;

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