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 これは最近のことではない。
 かなり以前から言われている言葉である。
 簡単に言うと、すぐに逮捕・勾留という身柄拘束を行い、自白するまで釈放しない(保釈を認めない)という捜査手法を批判する言葉である。

 これによって、早く釈放されたいが故に、事実がないのに又は事実を曲げて警察や検察官の言いなりに事実を認めた事例はかなりの数にのぼると思われる。

 さすがに認めると長期間の実刑が予想されたり死刑になりかねない重大事件で虚偽自白をする例は多くはないと思うが(絶無ではない)、罰金刑や執行猶予判決が予想される比較的軽微な事件では日常茶飯事的に生じていると言っても過言ではない。

 つまり、いま現在でも冤罪事件はごろごろあるのである。

 そのような悪弊にさらに輪を掛けているのが

    接見禁止処分

 である。

 弁護士以外の者との接見、つまり面会を禁止する処分のことである。
 その目的とするところは言うまでもなく「罪障隠滅の防止」と言うことであるが、ヤメ検である私としてはその必要性は認めるものの、最近の印象ではほとんど濫用気味に乱発されているように思われる。

 最近の例をあげると、

 罪名は傷害、被疑者は単独犯、被害者一人、目撃者2〜3名、傷害の程度は加療約1週間の顔面打撲、被疑者に前科前歴なし

という事案で、接見禁止付き勾留がなされた。

 逮捕・送検段階では被疑者は否認していたので勾留までは我慢できるとしても、たとえ否認しているとはいえ接見禁止まで付ける必要があったのかはなはだ疑問な事案であった。
 勾留9日目で概括的な自白があり、事件とは無関係の妻について接見の許可を求めたが、裁判官はこれを認めなかった。

 もちろん検察官が反対意見を述べたことが最大の理由である。

 裁判官の見識と主体性のなさに加えて、私には、検察官の自信のなさが透けて見える。
 初犯の1週間程度の傷害事件でこんなにおたおたしてどうするのであろうか。
 

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クローズアップ現代で、犯罪被害者の問題を取り上げていた。 続きを読む

コメント(7)

コメント&トラックバックありがとうございました。

現職の検事さんのブログが閉鎖されるなか、元検弁護士さんのブログは貴重です。
これからも、ちょくちょく見にまいります。

自分の代わりに旅をしてくれるっていいですよね
疑似体験みたいで
知らないところが沢山あります
ここも全く知らない世界でした
勉強になります
これからも宜しく!

モトケンことy-yabeです。

PINEさん、レスコメントありがとうございます。
現職の検事さんが書いていたブログがあったという噂は聞きましたが、さすがに現在進行形は書きにくいでしょうね、いろいろと。
その点私は気楽です(^^)

photonさん、いらっしゃいませ。
ちょっと固い話が冒頭にありましたですね。
少し頭にきた事件でしたので(^^)
少々怒りがにじんでいたかもしれません(^^;
これからいろんなことを書いていくつもりですので、こちらこそよろしくお願いします。

第2回公判後もなお接見禁止決定が連発されている否認事件で現在格闘中です・・・
接見禁止だと弁護人が行くしかないから、毎度毎度くだらない伝言に付き合わされて困っています><
私選だからむげに断るのも考えようだし^^;

 「人質司法」などという鋭い言葉があることを知り,驚き,感動しました。
 被疑者の人権状況は昔からあまり進歩していないようですね。平野龍一教授の刑事訴訟法理論(古い!)は,いまだ存在理由を失っていないようです。
 本日は,勉強になりました。ありがとうございます。

モトケンさんの仰るとおり,一部の裁判官に問題があると感じます
福島帝王切開死亡事件の拘留延長理由開示を傍聴したのですが
事件後一年二ヶ月も経過してその間 献身的に医療を続け
関係者の事情聴取も証拠確保も終わっているのに
「逃亡の恐れあり 証拠隠滅の恐れあり」
とする検察の主張に一言も疑問を挟むことなく
裁判官が追認するのを見て こいつアホちゃうのかと
真剣に思いました.
こんな裁判官が増えたら日本がスターリン化するのは時間の問題です 

 最近、というか二日前ですが、こいつ○○ちゃうかという検察官(というか組織的な問題に感じましたが)に遭遇しましたが、裁判官が理解のある人で助かったことがあります。
 つまるところ、人の問題のようです。
 組織といっても、最終判断をする個人の資質などが決定的な場合が多いですから。

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