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  保釈の問題は人質司法の最も重要な問題であり、この問題も昔からある問題です。

 保釈とは、勾留中の被告人について、保釈金を裁判所に納めることを条件にして(後で返ってくる)釈放することを言うのですが、刑事訴訟法第89条は、

 保釈の請求があつたときは左の場合を除いては、これを許さなければならない。

と規定していて、条文上は一部の例外を除いて、原則として保釈を認めなければならないと規定されており、つまり

 保釈を認めるのが原則

であるはずなのです。

 ところが、一部の例外の一つに、

 「被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。」

というのがありまして、裁判実務においては、第1回公判で、検察官の証拠調べに同意するまでは、多くの場合、罪証(つまり証拠)隠滅の可能性があると認められてしまうのです。

 つまり、
 
 保釈を認めないのが原則

になっています。

 起訴される前に正直に自白していて、裏付け証拠もしっかりしていて、弁護士の目から見ても「こんな事件、どんなふうにして証拠を隠滅できるんだろう。やろうと思ったって無理だよ。」と思うような事件でも、「罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由がある」として保釈が認められない場合が多いのです。

 悪いことをした人間なんだからそう簡単に釈放すべきでない、というご意見もあろうかと思いますが、被告人を長期間勾留しますと、職場は首になる、自営業者なら倒産する、嫁さんには愛想をつかされる、子どもはぐれるなどの深刻な悪影響が生じる場合があります。
 事件が実刑事案ならそれもやむ無しと言えるかもしれませんが、執行猶予の可能性のある事件でしたら、執行猶予をもらえたとしても、生活基盤は失われ、家庭は崩壊しているという状況では、被告人にどうやって更生しろと言うのでしょう?

 検察官や裁判官に対して、もっと良識のある判断をしてほしいと切望する最大の問題の一つです。

 そして、保釈問題の最大の問題は、これこそが冤罪の温床になっている、ということです。

 早く家に帰らないと、仕事や家族を失うかもしれないと思った人がどう考えるか。

 言うまでもないことですが、虚偽自白をするのです。

 自白をしても保釈が認められない場合が多いと先に書きましたが、自白しなければ保釈が認められる可能性はほとんどなくなるからです。

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本日の参考記事ー <道路公団>起訴された内田副総裁は「冤罪」と否認、法廷へ Excite エキサイト : 社会ニュース  逮捕や勾留された被疑者にかけつ... 続きを読む

<保釈> http://www.y-yabe.net/archives/2005/08/post_36.html#entry_title  確かにこれを読んで... 続きを読む

コメント(2)

はじめてこちらにコメントさせていただきます。
私は、刑法やら、司法関係、難しくて良く分かりません。しかし、いつ何時自分に降りかかるかもしれない時のために、知っておかねば、とも、思うのですが、やっぱり難しい。。

保釈と、虚偽自白の関係については良く聞きます。真実を曲げないって信念を持っていても、多くの人が途中で嘘ついてしまうんでしょうね。罰金払えば・・・元の生活が・・・みたいな。ホントはやってないのに。どうにかならんのですかね。冤罪ごろごろですね。

(おバカなコメントでごめんなさい苦笑)

yukiさん、コメントありがとうございます。

>(おバカなコメントでごめんなさい苦笑)
とんでもありません。

>どうにかならんのですかね。
この問題のキーマンは検察官だと思います。
ところが検察官には、加害者(とされている人間)の言葉より被害者(の立場にある人間)の言葉を信用する傾向があるように思われます。
特に若い検事には。

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