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 刑事裁判は、一番最初の人定質問の後、審理は検察官による起訴状朗読から始まります。
 起訴状(正確には起訴状の中の「公訴事実」という部分ですが)というのは「被告人は、」からはじまって、被告人が何時、どこで、誰に対して(または何に対して)、何をした、ということが具体的に書いてあります。
 事件が強姦事件の場合は被害者の氏名が書いてあります。
 そして、それを一言一句正確に読まなければならないことになっています。

 以下は、私の話ではなく先輩から聞いた話ですが

 ある先輩が地方の小都市の地検にいたとき、強姦事件の裁判のために法廷に行くと、町内会だか婦人会だかわかりませんが、地元の中年のご婦人の団体が傍聴に来ていたそうです。
 その先輩検事は、起訴状朗読にあたり、強姦被害者の氏名のところを「被害者」と読み替えて起訴状朗読を終えたそうです。
 厳密に言いますと違法です。

 しかし、弁護人は何も異議を申し立てず、裁判官もさらりと聞き流して何事もなかったように裁判は進んでいったとのことです。

 被害者の名誉を守るための粋なはからいだと思いませんか?

 私は、赴任したばかりの地検で、難読の地名をおお外しで読んでしまったことがありますが、そのときも誰も何もいいませんでした(^^;
 これは私の準備不足以外のなにものでもなく、今でも覚えている恥ずかしい思い出です(^^;;;;

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コメント(4)

起訴状は,やむなく朗読していました
冒頭陳述では,私の経験としても,在廷している家族に配慮し,「記載のとおりの前科があり」と朗読したケースがありました

現在でも,私の所在地では,一部割愛して朗読すること,例えば職歴欄に「ソープランド嬢」とあり,これを知らない夫が在廷しているケースなどについて,検察官が粋な計らいをしており,これに異議を唱えたことは勿論ありません

だがしかし,赴任地の地名が読めないというのは理由になりません
行政便覧とかいった赤い本が各地検に備えられており,ふりがなを振った上で朗読していました
人名についても,捜査部に聞くか,所轄署に聞いて確認していました

お久しぶりです。

確かに粋なはからいですね。

法律に縛られるのではなく、法律を「使う」
のは人間であるのだと思わせる、なんとも人間味あふれるお話で。

しかし、まぁ、自分であったらできるかどうか。

まだ青いもので、きっと無理だろうなぁ。

yukiさん、こんばんは
この先輩の話で大事なのは、その場の判断で裁判に心を通わせたところだと思います。
事前に裁判官や弁護人の了承を得ていれば安心してできるのですが、臨機応変の判断と行動というのはむずかしいですね。
裁判というのは経験と度胸がものをいうと思っています(^^)

しがない弁護士さん
ご指摘のとおりです。
それが基本ですね。
なにごとも基本を忘れると失敗しますね。

事件の本質に直接、大きく関わることではないので、そこまでシステマチックにすることはないとボクは思います。
刑事事件とは言え、その本質は被害者の救済にあるべきだというのがボクの考えです。
もちろん、加害者の更生と言うのも重要で目をそむけることは出来ませんし、これも重要な要素だと思います。
ですが、やはり第一は被害者の救済であるべきだと考えます。
ですので、しがない弁護士さんやモトケンさんの先輩がなさった行動は、ボクはいいと思います(例え違法なことだとしても、です)。

…はぁ、でもこういう性格だから、検察官や裁判官には向かないんでしょうね…(^^;)。

PS:刑事訴訟法(シリコン?)の教授は検事の時代に大阪の「枚方(ひらかた)」が読めずに「まいかた」と読んでしまったようです。あとで、気づくと「東京から来た人はみんなそう読みますから…」と言われたそうです(^^;)。

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