PINE先生からトラックバックをいただいていました。
タイトルは「 「刑事司法の犯罪抑止力と冤罪」について 」です。
考えるヒントがたくさん書かれています。
まず、そもそも、「冤罪」というのは、どの段階まで来ちゃって無実だと判明した場合を言うんだろうか。
そうなんですね。ここから問題になります。
辞書的には
罪がないのに罰せられること。無実の罪。ぬれぎぬ。
ということのようですが、「ぬれぎぬ」となると誤認逮捕まで含まれてしまいそうです。
広義の冤罪(誤認逮捕まで含む)と狭義の冤罪(無実の人が有罪判決(少年審判を含む)を受け、それが確定すること)に分けて考えたほうがいいように思います。
私の印象に残っている事件がある。 平成10年10月に宇和島市内で通帳と印鑑が盗まれ農協で預金が引き出された事件で、窃盗と有印私文書偽造、同行使、及び詐欺罪で松山地裁宇和島支部に起訴され、1年以上勾留拘置されていた被告人が、平成11年12月21日の結審後に無実だったことが判明し、平成12年2月21日に釈放、4月21日に検察官が無罪を求刑、5月26日に無罪の判決がだされた事件だ。 高知地裁で窃盗罪で公判中の男が、実は宇和島市の事件の真犯人でもあることが判明した異例の事件だ。この事件の被告人は、捜査段階で自白をしちゃっていた。
ついこないだ、このブログで記事にした「少年の誤認逮捕と自白」でも、少年は自白していた。
ホントは、自白があっちゃおかしいのである。
まったくそのとおりで、「ホントは、自白があっちゃおかしいのである。」です。
死刑事件で再審無罪になった事件はいずれも捜査段階で「自白」があった事件だったはずです。
それが再審で自白の信用性を否定されました。
つまり「虚偽自白である」と認定されたわけです。
では、人はなぜ虚偽自白をするのか、その理由を突っ込んで考えますといろいろな理由・原因がありそうです。
しかし、理由はともかく、「人は虚偽自白をすることがある。」という事実から考えなければこの問題の解決はありえません。
よく、「死刑になるのがわかっていながら嘘の自白をするはずがない。」という意見を聞きますが、この意見は事実に反するのです。
重大事件における虚偽自白の心理的メカニズムにはよく分からないところがありますが、たぶん「催眠術」に近い状況が生じるのだろうと推測しています。
少年事件においては別の問題もあると考えますが、これは別に考えたいと思います。
捜査弁護における最大の課題は虚偽自白の防止にあると考えますが、そのためにはまず被疑者段階で弁護人が選任されていなければなりません。
但し、被疑者段階の弁護の在り方については、ほかにも重要な要素がありますので、これについても別に考えたいと思います。
ところで
検察官は、対立当事者である以前に、公益の代表者なんだから、被告人に有利な証拠でもさっさと出すべきじゃないのか。 「公益」には、無実の者を処罰しないことも含まれてるんじゃないの、と思う。
についてですが、これは証拠開示と絡んで相当複雑かつ微妙な問題がありますので、じっくり考えてから別に書きます(問題の先送りばっかり(-_-;)
情状関係事実に関する証拠については無条件に同意なんですが・・・
宇和島の事件は、こちら↓でも大きく取り上げられています。
「自白の心理学」浜田 寿美男 (著) 岩波新書
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/400430721X/qid=1132569523/sr=1-3/ref=sr_1_10_3/250-5978191-1791419
研修所で、刑弁の推薦図書にされてました。
受験生orロー生で未読の方には、ぜひお薦めです。
「人間にはこういう心理傾向がある。程度の差はあっても必ずある」ということは、
刑事司法に携わる全員が共通認識として持っている必要があると思います。
好き勝手に言い放っていることに、丁寧なコメントをいただいて恐縮です。
>fuka_fuka 先生
図書の紹介ありがとうございました。
私は、買った記憶はあるのですが、読んだ記憶がありません(^^;
>PINE 先生
PINE 先生の記事が「好き勝手に言い放っていること」ならば、お互い様ということですね(^^;
言い放てる立場というのは貴重だと思います(^^)
冤罪についてのお話ありがとうございます。やはり冤罪は虚偽自白が多いのですね。普通に考えると、やっても無い事を言ったりしないと思ってしまいますが、実際にはそういうことが多いという事実をちゃんと考えなければいけないのですね。
下のほうで紹介してくださっている「自白の心理学」という本を、中学生の頃部活でちょっと読んだことがあります。ちょっとだけですので、今度ちゃんと読んでみようと思います。