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容疑者DNA、制服に付着した汗と一致…広島女児殺害(2005年12月1日3時5分 読売新聞)

 これも警察による警察に対する捜査妨害と言えます。

死体遺棄容疑で逮捕した決め手は、ピサロ・ヤギ容疑者の身辺で採取した試料と、女児が首を絞められた際に制服などについたとみられる汗の乾いた跡などのDNA型の一致だったことが30日、わかった。

とのことです。

 なぜ「わかった」かというと、こんな情報は警察しか持っていないわけですから、警察関係者から漏れた情報であることは間違いありません。

 ところで被疑者はといえば

この日接見した弁護人によると、ピサロ・ヤギ容疑者は「事件があった時には、職探しのため、親族のいる広島県呉市や三原市などに電車で行っており、現場周辺にはいなかった。不当逮捕だ」とアリバイを主張したという。

とのことですから、完全否認です。

 この段階で、DNA鑑定結果が逮捕の決め手になったなどという重要な情報を明らかにするというのは、私から言わせれば、「バカ丸出し」です。

 警察の現場としては、これから被疑者を取調べなければなりません。
 そして、取調べというのは、いわば情報戦です。
 被疑者しか知らない事実(情報)もあれば、被疑者は知らないが警察は知っている事実(情報)もあります。
 
 被疑者は知らないが警察は知っている事実(情報)というのは取調べにおいて、捜査側にとってとても有効な武器になるものであり、自白を得る決め手にもなるものです。
 上記の報道は弁護士を通じて直ちに被疑者の耳に入りますから、この情報リークによって警察の取調官は重要な切り札を1枚失った可能性があります。

 真犯人である被疑者が言い訳を考える場合、自分が知っている事実に基づいて虚構の事実を構築します。
 しかし、虚構の事実は所詮砂上の楼閣ですから、警察が被疑者の構築した事実関係と矛盾する証拠を握っていれば、被疑者に虚構の事実を構築するだけさせておいて、最後にそれを一瞬でひっくり返すことができるのです。

 ところが被疑者が知らない事実を教えてしまいますと、被疑者はその情報を織り込んだ虚構の事実を構築します。
 そうすると、被疑者の嘘を「嘘だ」と言い切ることができなくなってしまいます。

 被害者の着衣などに被疑者の汗が付着していたとしても、それは被疑者が被害者に触れた事実を証明するものですが、それだけでは触れた時期や場所は特定できませんし、まして被疑者が被害者を殺害したという事実を証明するものでもありません。

 他の証拠や被疑者の供述と相まって犯行を立証できるにとどまります。

 このように捜査情報をぼろぼろ漏らす警察関係者はいったい何を考えているのだろうと思います。
 警察の仕事というものは誰に評価してもらうべきものか、ということをはき違えている人間がいるようです。

 たぶん、弁護士やマスコミの一部から、警察に対して根拠がない不当逮捕じゃないのかという批判または質問があるのでしょう。
 それに対して、そんな批判を受けたくないものですから、「いや、根拠はありますよ。DNA鑑定です。」と言いたくてリークしたのではないかと想像します。
 または、警察の捜査をマスコミに自慢したくて言ったのかもしれません。

 しかしそのようなことは法廷で明らかにすればいいのです。

 警察の捜査というものは、犯人を逮捕すれば終わりというものではありません。
 検察官が起訴できるだけの質・量ともに十分な証拠を収集し、最終的には裁判官に対して警察の収集した証拠は被告人を有罪とするに足るものである、ということを納得させるためにあります。

 裁判官を納得させてはじめて市民の支持も得られるというものです。

 それなのに広島県警(には限らないんですが)の警察官(たぶん警察幹部)は、目の前のマスコミ受けばかりを狙っているように思われます。

 ついでに書きますと、今回の事件では、被疑者が逮捕される前に、マスコミが被疑者に対して取材を行い、その1問1答が新聞に載ったりしました。
 これは、被疑者の特定情報が事前にマスコミに漏れていたことを示しています。
 そのあげくに被疑者に逃亡され、その言い訳として、「マスコミが被疑者の周辺にたくさんいたので張り込みができなかった。」などとたわけたことを言っています。
 まったく何やんてんだか、という思いです。

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よくもまあこんなボンクラ幹部と無能捜査員の集合体で容疑者の検挙ができたね。 as 続きを読む

コメント(2)

ども、こんばんわ。

>被疑者の特定情報

そいえば、三重県へと逃亡した理由として、「マスコミが押しかけてきて、盗品があると思われるのが怖くて逃げ出した」というのが、報道されていましたね。

押しかけてくるというのが、本当にあった事なのだとしたら・・・自分から招待しといて「怖くなった」と後から言い出す方は少数派でしょうから、「何らかの形で警察から目を付けられていると思わせる情報や人の動きがあった」と考えるのが自然だと思います。

にしても、近所の人に女の子と一緒にいる姿を見られていたとか、ワイドショーで逐一広報してますね。
(容疑者のDNAをいつ採取したんだ?強制採取は令状無しじゃできないぞ...と手の内透けちゃう)

逮捕遂行できればお仕事終了‥なのかな?(有罪・無罪の決定は次の段階)


>そのようなことは法廷で明らかにすればいい

民事や刑事の争いになりそうな会社やその幹部が、「訴状が届いていないのでコメントできません」とか「担当者が不在なのでわかりません」と、情報封鎖作戦に出るのに、似ていますね。どんなにバレバレな話だろうと封鎖続行・・・

* westwind@周防国 / Mononoke *

[profile:Y-yabe_20051201]

まえまえから、
「どうして警察しか知らないはずの情報が新聞に載るんだろう?」
と疑問でした。
なにか、警察に深いお考えがあって、やっているんだろうと思っていたのですが…よもや…。

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