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 高野善通さんから、

刑法改正で「20年を超える有期懲役と無期懲役」の境界もかなりあいまいになっているように感じます。従前なら無期懲役受刑者は実質20年くらいで出所するともいわれていますし、群馬の強盗殺人事件では懲役25年判決が出たのですが、こうなると「無期懲役」の意味は何かと考えさせられるからです。

というコメントをいただきました。

 平成十六年版の「犯罪白書のあらまし」によりますと、

4 無期刑受刑者の仮出獄  無期刑受刑者の仮出獄許可人員は長期的に減少しており、また、仮出獄を許可された者の在所期間も長くなっている。昭和五十年代までは、毎年おおむね五十人以上が仮出獄許可を受け、また、昭和期には半数以上が在所十六年以内であったのに対し、最近五年間における許可人員は、年平均九・二人であり、また、そのうち九割近くが在所二十年を超えている。

ということで、以前に比べて仮出獄までの期間が長くなっているようですが、有期懲役刑の法定刑の延長との対比においては無期懲役の意義が希薄であるとの意見も出てきそうです。

 しかし、有期懲役の刑期満了と無期懲役の仮出獄は違い、仮出獄の場合は取消し(刑法第29条)の可能性が終生つきまといます。
 この違いはけっこう大きいと思います。

 有期懲役刑の加重に伴い、無期懲役の仮出獄までの期間も延びることが予想されます。
 そうなりますと無期懲役が実質的にさらに加重されることになりますので、裁判所が無期懲役の言い渡しに慎重になる傾向が出てくるかもしれません。

 高野さんが指摘している強盗殺人罪の刑法240条は殺人の故意がない場合を含みますから、酌量減軽される場合が増えるかもしれません。

 仮出獄は、行政判断(手続)ですから、裁判所の司法判断である量刑の差異をないがしろにするような運用は適当でないと思いますし、仮出獄の最低基準を明確にして国民に周知されるべきであると思います。

 なお、「仮出獄」はもう少しすると「仮釈放」に呼称変更する改正が施行されます。

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コメント(2)

 遅くなりましたが、エントリーありがとうございます。

 実は、他のサイトで見たことがあったのですが、無期懲役における仮釈放とは「一生涯執行猶予がついて回る」という表現がありました。となりますと、「懲役25年」という場合でも、20年で仮釈放となり、5年間は仮釈放扱いで25年で刑期満了ということになる形になるということでしょうか。

 当然、2009年以降の「裁判員」としての量刑判断においても、この差異が国民に周知徹底されていなければ、量刑言い渡しなど出来ないと思います。

高野さん、お返事が遅れました。
有期懲役刑の仮出獄は、犯罪白書によると「仮出獄者の刑の執行率の平均は、最近十年間の通算で八二・二%である。」とのことですので、刑期の8割前後服役すれば、刑務所内の成績次第(簡単に言えば従順であったかどうか)で可能性が出てくるようです。
有期懲役の場合、仮出獄になれば、残刑期間を問題なく過ごせば刑期満了となりますが、無期懲役の場合、残刑期間は死ぬまでですから刑期の満了ということはないことになります。

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