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経済犯罪には重罰を 北城氏、ライブドア事件で(ボツネタ経由 下野新聞)

 経済同友会の北城恪太郎代表幹事は24日の記者会見で、ライブドア前社長の堀江貴文容疑者が逮捕されたことについて「経済事犯への刑罰は軽い。不正への抑止力を持つべきだ」と述べ、経済犯罪への刑罰を重くするように求めた。
 北城氏は「ルールは厳しい罰則があるから守られる。規制緩和が進む中でもう一度考えるべきだ」と指摘。政府は規制緩和で経済活動の自由度を高める一方で、法令違反には重罰を科すことで経済犯罪や不正を防止すべきだと強調した。
 事件発覚前に「監査法人、東京証券取引所、証券取引等監視委員会が何をしていたか調査しなければならない」と語り、株式市場の監視機能が十分だったか検証すべきだとの考えを示した。

 経済事犯に対する重罰化を求めるご意見です。

 重罰化というのはたしかに犯罪抑止力の一つにはなると思うのですが、ライブドア事件では今回の被疑事実(逮捕事実)がはたして犯罪か、が問題になっているようです。
 すなわち、重罰化を考える前提として最低限守られるべきルールは何なのか、ということを明確にする必要があります。
 本件に絡んで罪刑法定主義が議論されている所以であります。
 このルールが明確になっていないと、山口利明弁護士がビジネス法務の部屋で指摘されているとおり、「本来自由な資金調達の手段まで、抑制するおそれ」が生じます。
 そしてまずルールを確立すべきは、取引業界であろうと思います。
 明確化をないがしろにした重罰化は自由に対する重大な脅威となることを議論の出発点において十分認識しなければなりません。

 重罰化というのはペナルティ強化の一つですが、全てではありません。
 刑罰というのは国家権力の介入ということです。
 国家権力の介入というのは本来抑制的であるべきで、刑事司法の世界では謙抑性という表現が使われます。
 まずは、自己管理、自浄作用が求められます。
 株式会社という制度においては、監査という制度が十分機能する必要があるということです。
 この点において、先に引用させていただいた山口弁護士は上記ブログの別エントリー

それにしても不気味なのは、このたびの一連の事件報道のなかで、ライブドア監査役、会計監査人への非難めいた感想がこれまでほとんど聞かれないところです。

と指摘されています。
 ルール違反は、まず監査役によって指摘されるというのがあるべき姿だと思います。
 指摘すべきルール違反を故意または過失によって看過した監査役は、重大なルール違反者ということになります。

 耐震偽装問題で、姉歯元建築士に下請けに出した元請建築士も資格取り消しという死刑に匹敵する厳しい処分を受けたことを考えますと、ライブドア監査役、会計監査人への非難がほとんど聞かれないということは、ライブドア事件を冷静に分析している人の声が聞こえてこないということであり、これはマスコミの見方が冷静さ欠いているということを意味していると考えられます。

 その意味では、北城代表幹事の

 事件発覚前に「監査法人、東京証券取引所、証券取引等監視委員会が何をしていたか調査しなければならない」と語り、株式市場の監視機能が十分だったか検証すべきだ

との指摘こそ重要であると思います。

 重罰化というのはルール遵守の責任を警察・検察に任せることを意味しかねないものであり監査制度の無力さを放置しかねない、というと言い過ぎになってしまうと思いますが、企業会計の不正を発見し、正す能力は、特捜部の検事よりも公認会計士のほうがはるかに強力であるはずであり、またそうあるべきであると思います。

 私自身は公認会計士の仕事の内容を知りませんの、実情を誤認しているかもしれません。
 検察の最大の強みは国家権力を背景とした強制捜査権です。
 しかし、その行使の対象は犯罪に限られます。
 重罰化は犯罪化を前提にしてはじめて問題になります。
 常に新しい取引形態が生じる業界では、検察の対応は常に後手に回ります。
 私の基礎知識が決定的に不足していますので何が言いたいのかよくわからない記事になりましたが、重罰化による不正行為抑止力には相当の制約があるということは指摘したいと思います。

 
 ところで、北城代表幹事は規制緩和に言及されていますが、規制緩和の基本的な考え方は参入障壁を低くして不正に対しては事後的監査で対処しようというものだと理解していますが、なんでもかんでも規制緩和が正しいとは言い切れません。
 株式会社の上場というものを考えた場合、上場すればただちに不特定多数の投資家が大きな利害関係を持つことになるのですから、会社が舞台に上がる資格を有するかどうかは事前に慎重に検討されるべきだと思われます。
 ライブドアの上場は2000年4月6日ですが、その時点において今回の事件の萌芽は何もなかったのでしょうか。
 もし見落としがあったなら、まず上場にあたっての規制強化を考えるべきことになるのではないでしょうか。

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コメント(7)

コメントするどころか、はぁ〜・・・と思いながら読み進んで終る、どの日もこれを繰り返しています。
頭が飽和状態、理解に必死。でもなるほどと思い考える角度を替えたりしています。
報道を読んだ後で、訪問させていただくので重要な講義を聞いた気分でブログを去ります。
そういう人、多いと思います。

nonさん

えーっと、nonさんのコメントは私のブログを評価していただいているんでしょうか(^^;
そうであればとてもうれしいです。
ライブドア関係の業界は私の苦手分野ですので、自信がないというか書いててこれでいいのかなという不安がつきまとうのですが、諸先生のブログで勉強させてもらいながら思うところを書かせてもらっています。
ほんの少しでもこんな見方があるのかと思っていただけると書き甲斐があります。

>ライブドアの上場は2000年4月6日ですが、その時点において今回の事件の萌芽は何もなかったのでしょうか。

無かったとは言えないと思いますが、じゃあ上場当時に怪しげなのが全部がその後に大問題を起こすのか?となればそれはさすがに無いでしょう。

モトケンさんは区切りとして上場時点に注目されたのでしょうが、むしろ3年ぐらい前だったかな、むやみとあっちこっちに進出してきて、ビジネス的に100発100中的な話になっていたころに「何で儲けているの?」と考えれば「怪しいなぁ」となったと思いますよ。

ライブドア株で大損する人は多いでしょうが、怪しいと思わないのであればどんな株でも引っかかる可能性があると言えるでしょうし(銀行預金ではないのだから)「もうちょっと持つだろうと思った」という人には「やられましたね」しか無いですね。

ただ、ご指摘の通りここまで大騒動になるまで放置していたのか煽っていたの分かりませんが、監査役から始まって監査機関、東証、証券取引等監視委員会、金融庁などに責任があるし、そもそもそういう機能が働くように法律・体制の整備をしないままにしていた行政全体の怠慢を批判するべきだと思います。

ところで、東証のシステムが容量不足で止まりましたが、500万だったわけです。
これに対してロンドンが1000万、ニューヨークが1200万だそうで、ニューヨークは「通常取引の常に2倍の容量を確保するように拡大している」のだそうです。
こんなところにも証券関係は国際基準で「真面目にやっているとは言えない」と信用されない情況なんですね。

矢部先生、こんばんは。きょうは集中審理で疲れましたです。。
私も「おそる、おそる」書いているところがあるので、落合先生とか矢部先生とか、元ケンの方々はいったいどんな視点なのだろうか、とこっそり参考にさせていただいております。(^^;) きょうあたりの新聞報道では、そろそろ監査役や会計監査人の問題がクローズアップされてくるような雰囲気ですね。あと、ホリエモンとライブドアとの利害相反問題なども今後の興味深い話題になるのかな・・・などと考えております。「逮捕劇」の周囲で、重大な法律問題を含む話題が取り上げられないままゴロゴロしているみたいなんで、そんなところをマニアックに拾い出していこうかな・・・と思っております。またお邪魔させていただきます。

経済事犯の刑罰は軽するではないかという感覚をもつ人が少なからずおり、北城氏の発言はその代弁であると思います。ぜひいちど、詐欺師と故意に不正を行った専門家に対する刑罰の重さをテーマにしてください。例えば姉歯元建築士などは大量殺人未遂に匹敵する犯罪として厳罰に処すべきではないでしょうか。

山口先生
お疲れのところコメントありがとうございます。
いつも勉強させていただいてます。

>きょうあたりの新聞報道では、そろそろ監査役や会計監査人の問題がクローズアップされてくるような雰囲気ですね。

そのようですね。
特に、ライブドアの監査役(弁護士)の責任問題はとても関心があります。

みやかみさん
コメントありがとうございます。
姉歯元建築士に対する殺人未遂罪の可能性については以前に言及したことがあります(殺人未遂罪の成立可能性)。
かなりの暴論です。

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