ライブドア本体の粉飾決算、監査役の弁護士ら「適法」(ヤフーニュース (読売新聞) - 1月26日10時37分更新)
先日は特捜検事と公認会計士に言及しましたが、今回は弁護士と公認会計士です。
ライブドアの監査を担当する港陽監査法人(横浜市)は、こうした工作に不審を抱き、粉飾の可能性もあるとして調査を開始。一時は、「適正意見」を出す根拠が得られなかったことを示す「意見差し控え」を、監査報告書で表明することも検討した。
これに対し、監査役の弁護士らは同期決算を「適法である」とする意見書を作成、監査法人側に示した。このため、監査法人は意見書に従って最終的に決算を妥当と結論づけ、「適正意見」を表明したという。
弁護士は法律の専門家かもしれませんが、会計監査については、弁護士よりも公認会計士のほうが、はるかに専門的知識もノウハウもあるはずです。
それが弁護士の意見に唯々諾々かどうかはともかく、結局従ってしまった。
この監査法人の公認会計士たちは、自分たちの仕事に誇りも使命感もなかったのでしょうか。
それとも、単に度胸がなかっただけかもしれません。
それゆえに、この監査法人は千載一遇のチャンスを逃してしまいました。
もし、この監査法人がこのとき「意見差し控え」の監査報告書を提出していたなら、ライブドアからは契約打ち切りを通告されたかもしれませんが、今回の不正発覚により、その評価は跳ね上がったはずです。
ライブドアからは契約を切られても、その後多くのまともな会社から依頼を受けることになったでしょう。
そのような厳正な監査法人に監査を依頼した会社の経営者はこういうでしょう
あの監査法人はきちんとした監査をする。
不正は不正として厳正に対処する。
私どもの会社はそのような監査法人に監査を依頼しています。
そして「適正意見」をいただいています。
そしてその会社は信用を得ることになることでしょう。
そのような信用を得るために、多くの会社がこぞって監査を依頼するようになったでしょう。
今日の読売新聞に、「問われる市場の番人」という特集が掲載されており、その中に
企業とのつき合いが深い日本の監査法人はかねてから、なれあい体質が指摘されてきた。
とあります。
しかし、そのようななれあい体質は、結局は、公認会計士や監査法人自身のステイタスや信頼を低下させ、自分で自分の首を絞める結果になっているというほかありません。
チェック機構が信頼できなければ、チェック機構などないに等しいです。
余計な経費がかかるだけ無駄ということになります。
ここにも、耐震偽装問題と同様の問題があるようです。
専門職業家たる会計士に高潔な倫理を要求するのは当然ではありますが、それだけではやはり限界があるのだと思います。”千載一遇のチャンスを逃した”と反省してくれればよいのですが、”運悪く自分たちだけが捕まった”という感覚でいるのではないかと思います。一罰百戒と量刑のバランスは難しいですね。過去のエントリーも読まさせていただいて、大いに勉強になりました。
私が度胸と言ったのは「高潔な倫理」を期待したのではなく、「経営判断」としてでした。
検事は度胸がないと務まりません。
毎日のように勝負しているところがありますから。
はじめまして。いつも楽しく拝読しております。
会計監査においては、取引が適法か違法か
によって監査意見が変わることがあります。
また一方で、取引の適法・違法の判断は
会計士の能力を超えることが多いので、
その場合は弁護士等の専門家の判断に
依拠することは監査基準委員会報告書にも
定められています。(監査基準委員会報告書
十一号「違法行為」、同十号「不正及び誤謬」
を参照ください。)
従って今回の記事だけからは、会計
監査人が「自分たちの仕事に誇りも使命
感もなかった」とはいえないと思います。
ただ、今回の会計監査人は収入の大部
分をライブドア関係会社に依存しているよう
な外観があるようなので、独立性の観点
からはやっぱり問題があるようではあります
し、別件で粉飾を見逃しているような報道
もありましたので、やっぱりどこかに問題は
あるのだと思いますが。
とおりすがりさん
ご指摘ありがとうございます。
なにぶん知識不足の領域に口出ししておりますので、無知・誤解に基づく記述があるかもしれないことは自覚しており、そのような点をご指摘いただけますと大変助かります。
今後ともよろしくお願いします。
通りすがりさんの仰るように、この監査法人、売上がほぼ全部ライブドアGからだったようで、そこで不適正出すのは、実際問題として出来なかったのかなと思います。
そもそも、丸抱え監査法人が上場会社の監査をしていて、それが問題視されないことに疑問を感じています。
先生のblog、楽しく拝読しており、また
大変勉強になっております。こちらこそ
今後ともよろしくお願いいたします。