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 ブログ「Annex de BENLI」において、「一罰百戒」への一戒という記事が書かれています。

 書き出しは

ある種の企業活動が実体法的に適法か否かについて必ずしも明確ではなく、それゆえ適法説にたった上で当該種類の企業活動を行っている企業が数社ないし数十社(あるいはそれ以上)現に存する場合に、その中の1社をターゲットにして強制捜査を行い、経営陣を逮捕し、あるいはさらに起訴するということが、果たして妥当なのかという問題があります。

というものですが、まさしくそういう問題があります。
 私が「ライブドア摘発と一罰百戒」において

さらに、堀江社長らの行為が容認されざるものか否かを誰が判断すべきなのかという問題がありますが、この点については、特捜部の一存で決めるということには危惧感を覚えます。

と書いたのも同様の問題意識からです。

 ところで、「一罰百戒」への一戒では「解釈」というものを問題にされており、それ自体に異議はないのですが、私としては、解釈の前提としての事実認定というものに意識がいきます。

 グレーゾーンというのは、言い方を変えますと、見ようによっては黒にも見えるし白にも見える行為ということになります。
 行為者から言えば、黒に見られるかもしれないし、白に見られるかもしれない行為ということになります。

 そのようなグレーゾーンの行為に対して、何らかの機関(検察に限らない)から調査の動きがあった場合、行為者はどうするでしょうか。
 いうまでもありません。
 グレーゾーンの行為を隠蔽しようとします。
 黒に見られる可能性をなくそうとするからです。
 現に、ライブドアの事件では、大量の電子メールデータが消去されたようです。
 自分たちの行為(取引)が白であると確信していたならば、メールデータの消去はなんら必要のない行為です。
 データ消去自体が疑惑を招く行為ですが、それよりも電子メールデータが残るリスクのほうが大きいと判断したと考えられます。
 これは、ライブドアにおいて、メールデータの消去を指示した者は、自分たちの取引がグレーゾーンすなわち黒かもしれないということを認識していたことを意味します。

 つまり、グレーゾーンに対する調査は常に証拠隠滅の可能性を視野にいれなければならないということになります。
 そして、証拠が隠滅されたなら、事実の正確な解明が困難または不可能になり、その結果として正しい評価または解釈を行うことも困難または不可能になります。
 つまり調査機関には、証拠隠滅を阻止し、隠蔽された証拠を暴きだすことができる強力な権限と能力が必要です。

 ところが現時点における制度では、検察(または警察)ほどの証拠収集権限と能力を持った機関は他にありません。
 証券取引業界の不正については、本来的には証券取引等監視委員会が対処すべきなのだろうと思いますが、証券取引等監視委員会の権限と能力は検察に比べてあまりにも貧弱です。

 結局、現時点においては、検察が出しゃばらざるを得ないのではないかと思います。

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ライブドア関連の報道を見てて、おかしいと思うのは、 「なぜホリエモンは違法な事件をおかしたのか」 と違法を犯したという前提で語るものが多いことです... 続きを読む

 前回のエントリーについて、矢部善朗弁護士からトラックバックを戴きました。  矢 続きを読む

今海外出張中で、海外よりライブドア事件を眺めています。 この事件については、そも... 続きを読む

コメント(2)

けんじさん
有益な情報提供ありがとうございます。
システムがスパムと誤認して反映が遅れましたことをお詫びします。

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