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 堀江メール疑惑について、武部幹事長のほうから送金を受けていないことを証明したらいいのではないかというご意見がありました。
 同様のお考えをお持ちの方も多いと思いますので、法律家的観点からちょっと説明してみます。

 金を受け取っていないという証明はどうすればできるでしょう。
 次男名義の口座を全て開示すれば証明できるでしょうか。
 これでは証明になりません。

 まず、本当に全て開示したのか、という疑問が残ります。
 さらに仮名、借名の口座が存在する可能性が指摘されます。

 「ない」ことの証明というのは、存在の全ての可能性を否定しなければなりません。
 つまり、全世界に存在する全ての口座について、開示した口座以外には武部氏の次男名義の口座はなく、さらに次男の仮名または借名の口座もないことを証明する必要がありますが、そのようなことは事実上不可能です。

 「不存在」を証明することを「悪魔の証明」と呼んで、困難な証明の典型例とされています。

 ですから事実の存否の証明が問題になるときには、存在を主張する側が証明責任を負うというのが原則とされています。
 「存在」の証明は、存在するという一つの事実を証明すれば足ります。

 送金の事実の存在を主張している民主党のほうから資料を出すべしというのは、このような理由からです。

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民主党が国政調査権にこだわる理由が分からないですね。
国政調査権を発動するにしても、当然、調査先の預金口座は特定しなければならないわけです。
金融機関が取引履歴を改ざんすることは通常ありませんから、民主党が現時点で口座を明らかにしても何の問題もないでしょう。
このままでは、民主党は、あくまで自民党が反対を押し通すことを織り込んで、国政調査権にこだわっていると受け取られても仕方ありません。

トラックバックさせていただいたのですが、元の原稿を修正して保存したら再度トラックバックが行ってしまいました。恐縮ですが、一方を削除していただけませんでしょうか。また、このコメントも事務連絡ですので、どうぞ削除してください。

国政調査権の件,もしかして個人情報保護と関係ないですか?
憶測すれば,
口座を例の情報提供者から入手→名義が違う→金融機関に聞く→個人情報保護で断られたor個人情報保護法違反になるので内密という条件で教えた→困った→国政調査権を使おう,ということでは?
しかし,国政調査権と個人情報保護,どちらが勝つのでしょう?
いずれにしても国政調査権は「議院」の権限で多数派が有利では?
名義が違えば,特定のために答える銀行も困るのでは?
野次馬の憶測としては面白い。

PINE さん
 コメントありがとうございます。
 やっぱり民主党の主張のほうがわかりにくいですよね。

日向清人さん
 TBありがとうございます。
 私の記事を読んでくださった方は是非とも日向さんのTBも読んでいただきたいと思います。

オジヤマ虫さん
 国政調査権の行使が個人情報保護に違反するから違法だ、というような訴訟が起こされたらどうなるか、興味深いです。
 今回はそうはならないように思いますが。

ということは痴漢冤罪事件の犠牲者も悪魔の証明の餌食になったということですかね。

waka moanaさん
 コメントありがとうございます。

>ということは痴漢冤罪事件の犠牲者も悪魔の証明の餌食になったということですかね。

 理論的にいうと、証明責任はあくまでも検察官にあるので、そういうわけではないのですが

 検察官がとりあえず立証に成功しちゃうと、つまり裁判官が検察官の主張を信じちゃうと、それに近い状況が生じますね。

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