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窃盗罪に罰金50万円新設 改正刑法が成立(ヤフーニュース (共同通信) - 4月25日13時35分更新)

懲役刑しかない窃盗罪に50万円以下の罰金刑を新設するとともに、業務上過失致死傷罪の罰金上限を50万円から100万円に引き上げることを柱にした改正刑法が、25日午後の衆院本会議で全会一致で可決、成立した。  現行では窃盗罪の法定刑は10年以下の懲役。このため、万引など懲役刑とするには重すぎるケースでは、起訴猶予にするなどして対応してきた。しかし、万引の摘発件数の急増を受け、事件の程度に応じて弾力的に処罰できるよう罰金刑を設けて抑止効果を強めることにした。

 この改正案が可決されたものと思います。
 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律(案)

 意外に思う人がいるかもしれませんが、窃盗罪に罰金刑がありませんでした。
 盗みを働くような奴は金を持っていないから罰金刑に処しても仕方がないからだ、という話を昔に聞いたことがあります。
 しかし最近はゲーム感覚の万引事案が増えてきました。
 金は持っているけど使うのはもったいない、という厚かましい被疑者も珍しくありません。

 ところが、そのような窃盗犯人に対しても、記事にもありますように被害額の軽微な窃盗事案に対してはいきなり懲役刑を求刑する公判請求は厳しすぎるとの考慮から、起訴猶予になる場合が多かったのです。

 しかし、人の物を盗む人間には盗まれた人の痛みを分からせるために最初からきちんと罰金刑を科すというのも理由があることだと思います。

 ただし、罰金を払わせると被害者に対する賠償ができなくなるという場合もあり、被疑者の経済状況によっては被害弁償をすれば、罰金額を決めるにあたって考慮するということも必要なのではないかと思います。

 なお、上記改正案が修正されずに通っているとしますと、弁護士としては、略式命令の上限も50万円から100万円に引き上げられていることを頭にいれておくべきことになります。
 業務上過失致死傷罪(人身事故)の罰金の上限が100万円に増額され、それが略式命令で処理されることになりますから、場合によっては安易に略式裁判に応じることができない場合が増えそうです。

追記(H18/4/25)
 参考ブログの紹介
 罰金の追加(天才たぬき教授の生活)

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窃盗罪にも罰金刑を科すことができるようになった。 続きを読む

コメント(7)

罰金100万円!
罰金の執行猶予なんてどうでしょうか?

 凶悪・重大犯罪についての法定刑上限の引き上げ(前回改正)、窃盗罪・公務執行妨害罪に対する罰金刑適用、業務上過失致死傷に対する罰金上限の引き上げ(今回改正)と、訴追側の裁量がますます拡大し、予測可能性がますます低くなってきていますね。

>盗みを働くような奴は金を持っていないから罰金刑に処しても仕方がないからだ、という話を昔に聞いたことがあります。

 犯罪も時代によって変わるということでしょうか.最近ハマってる鬼平犯科帳(マンガの方)には「ちかごろの盗(つと)め人はなっちゃいねぇ」という「本格の」盗め人のセリフが再三あって,実は時代に拠らない普遍的な話なのかも,とも思ってたりして.


>業務上過失致死傷罪(人身事故)の罰金の上限が100万円に増額され、それが略式命令で処理されることになりますから、
  ↓
>場合によっては安易に略式裁判に応じることができない場合が増えそうです

ここのつながりが素人にはわかりにくいのですが,略式命令は事実関係を争わないのに,処分が重いものになるから,正式な裁判で争わざるを得ないということでしょうか?
ご教示頂ければ幸いです.

おそらくこういう発想では?
[式に応じなければ普通の裁判→懲役求刑→執行猶予判決→無事に過ごす→100万円払わなくて済む。
⇔式に応じなければ普通の裁判→それでも100万円求刑→裁判で良い事情を主張→少し減額(70万円から80万円か?)→略式(通常は減額されない)より得する。
しかし,隆待は薄い。他の事件との均衡からやはり罰金でしょう。
△楼豸得のようですが,弁護料を考えるとトータルどっこいどっこい(裁判のために最低1日は仕事休むことも考慮)。
被害者が納得する金額ではない場合も多いと思いますが,高い罰金を払うぐらいなら被害者に払ってやればいいものを,と思います。無理でしょうかね。(ということで罰金の執行猶予はやはり無理なのかな)。

>>オジヤマ虫先生

御説明の件 全く知りませんでした
ありがとうございます

 私が検事に任官したころの略式命令の上限は30万円でした。
 それがたしか平成3年に50万円に引き上げられたと思います。
 上限が50万円に上がった時点でも、まだ略式罰金というのは軽い処分と考えられており、被疑者としては事実認定に少々不満でも、場合によっては身に覚えのないことでも、略式の罰金なら我慢しようという場合がありました。
 しかし100万円になりますと、さすがに軽いとは言えず、人によっては懲役1年執行猶予3年のほうがまだいいという場合もありそうですし、罰金だとしても無実の罪で100万円は痛すぎるという人が出てきそうです。
 そういう意味で、略式の罰金も必ずしも軽い処罰とは言えなくなりそうですので、安易に応じられないと書きました。

 なお、50万円以下の罰金には執行猶予を付けられますが、罰金刑の執行猶予はかなりのレアケースだと思います。
 罰金刑は懲役刑の執行猶予より軽い処罰と位置づけられていますので、その執行をさらに猶予するというのは温情過ぎると考えられているようです。
 ほとんど公訴権濫用に近い場合に、罰金の執行猶予があったように記憶しています。

なるほどよく分かりました.たびたびありがとうございます
100万円でも弁護士費用と比較したら微妙かもしれない
よーくかんがえよー

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