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 昨日の「共謀罪の議論について」のコメント欄において若干触れましたが、共謀罪反対論において指摘されている濫用の危険というのは、共謀罪の適用にとどまらないものを含んでいます。

 共謀罪を適用するためには、共謀の内容である事実が所定の犯罪を構成する必要があります。
 つまり、反対論が危惧する、市民団体の反対運動や労働争議行為の準備会議さらにはメディアの批判報道のための編集会議などが威力業務妨害罪等の共謀罪として検挙される恐れがあるとの指摘は、(共謀と目される)事前協議の結果としての市民運動、労働争議行為、批判報道それ自体が、威力業務妨害罪等として検挙されることを前提としています。

 つまり、市民運動などに対して共謀罪が濫用的に適用される場合は、共謀時点で検挙を免れたとしても、実行時点に至れば検挙されることを意味しています。

 すなわち、反対論者の指摘は、共謀罪が成立しなくても、現に存在する威力業務妨害罪規定が濫用された場合は、市民運動、労働運動、メディアの報道などが抑圧されることを示唆しているのです。
 そして、そのような抑圧の可能性ないし危険性の程度というのは、共謀罪の成立の有無に関係がありません。
 共謀罪規定があるから業務妨害罪規定の濫用の恐れが高まる、という関係は認められません。
 権力者側が権力を濫用しようと思えば、利用可能な制度は既にごまんとあるということです。

 だからと言って、私は共謀罪に何の問題もないと言っているわけではありません。
 共謀罪は、予備行為以前の行為を処罰対象にしていると解されるところに本質的な問題を抱えていることは多くの方が指摘しているとおりです。
 共謀罪規定そのものに内在する濫用の危険性は明らかに存在します。
 事前抑止制度として宿命的に内在する危険です。
 
 ただ、この問題を権力の濫用の危険性の問題と捉える限り、共謀罪の有無にかかわりなく、権力の濫用の危険は存在する、という当たり前のことを確認したいのです。
 言い換えると、共謀罪が仮に廃案になったとしても、これで権力の濫用の危険が減ったなどと考えてはいけないということです。

 共謀罪の濫用の恐れの議論が活発化している現在において、共謀罪規定の濫用の問題だけでなく、権力ないし権限の濫用の本質について、国民レベルでさらに議論が深められることが必要だと思います。

関連ブログ
 愚樵空論
 たしかに破防法との関係は無視できないと思いますが、破防法と共謀罪をリンクさせるとさらにやばいことになりそうな予感がします。
 あまり勉強してないので予感だけですが。

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<8日4時30分 若干の追記をしました。>   6日(土)の夜に、ブログを読んでくれている友人と食事に行ったのだが、そこで 私が書いた共謀罪の記... 続きを読む

 共謀罪の創設に関して、社会やメディアやブログで問題提起する声が高まり、その 反対運動も活発に行なわれるようになっている。  というのも、野党の大... 続きを読む

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法務関係、検察官だった立場からかなり、実態を暴露されていると思います。
私も破防法とセットにして実行される可能性があると思っていますし、
労働運動や反戦運動や市民運動なんかも狙い打ちにされると思います。
最近いくつかの弾圧事件がありましたが、これは先陣をきってやられたんだと
私は思っています。元検弁護士のつぶやきさんは検察官出身だそうですので、元検弁護士のつぶやきさんの話にはとくに説得力があります。そういえば公安検察という言葉がありますが、やはりその世界でも権威があるのでしょうか?ちなみに私は、公安から特定され嫌がらせを受けておりますが、共謀罪が三度国会にあがってきましたが三度とも、私は公安に嫌がらせを受けております。元検弁護士のつぶやきさんの勇気あるお話に私はとても好意を寄せています。
元外務官僚の天木さんや元防衛官僚の方などから続々と今の政権に対する危機感が出てきていますが、元検弁護士のつぶやきさんの勇気と、説得力あるお話が参考になっています。できれば私のブログで紹介したいのですが、よろしいでしょうか?
もしご迷惑であればやめますが、元検弁護士さんのお話はそうとう説得力があるので、ぜひ紹介したいのです。

日本国憲法擁護連合さん
 私のブログはネットで公開しているものですので、基本的にリンクフリーです。
 どんな立場であれ、まじめに議論されているブログであれば、ご紹介いただけることはうれしいことだと思っています。
 但し、私の基本的なスタンスは反権力でも反検察でもなく、検察応援団のつもりですし、社会秩序の維持という視点を軽視しない立場でもあります。
 その意味では、私のほうが、こんな私のブログを紹介してくださってご迷惑がかからないかと心配しています。

 検察応援団ではありますが、私自身が検察の中、つまり権力行使側にいた人間として、権力の濫用という問題を自分のこととして考えておりましたので、その観点から濫用の危険というものを見ております。

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