被告の男性「表現の自由通じた」 ビラ配布無罪判決(asahi.com 2006年08月28日12時48分)
マンションへの政党ビラまき、被告に無罪判決 東京地裁(asahi.com 2006年08月28日12時33分)
判決はまず、「どんな時に立ち入りが許されるかは、社会通念を基準に、立ち入りの目的・態様に照らし、法秩序全体の見地からみて社会通念上、許される行為といえるか否かで判断するほかない」との判断枠組みを示した。そのうえで「立ち入りの滞在時間はせいぜい7、8分」と短時間だったことを重視。さらに、▽このマンションではピザのチラシも投函(とうかん)されているが、投函業者が逮捕されたという報道もない▽40年以上政治ビラを投函している荒川さんも立ち入りをとがめられたことはない――と指摘。「現時点で、ドアポストに配布する目的で昼間に短時間マンションに立ち入ることが、明らかに許されない行為だとする社会的な合意がまだ確立しているとはいえない」と述べた。
判決は、明確な「立ち入り禁止」の警告に従わずに立ち入れば住居侵入罪にあたるとしたが、このマンション玄関の張り紙では、「明確な立ち入り禁止の意思表示がされていない」と指摘し、立ち入りに正当な理由があると結論づけた。
結論的には、もともとそれほど目くじらを立てるような事件かと思う事件ですので、無罪でもいいと思いますが、本件は、理論的には「表現の自由」の問題というよりは(無関係とは言いませんが)、「侵入」と言えるかどうかの問題だと思います。
一軒家の道路に面した郵便ポストに政治ビラを投函しても住居侵入罪にはなりえません。
それとの対比で、マンションの建物内の通路はいったいなんだ、つまり外なのか内なのか、ということが問題なのだろうと思います。
そして内としての性格があるとしても、そこに入る人の許容範囲はどこまでか、が問題になるようです。
今回は政治ビラの配布目的ですが、政治ビラの配布目的を装った強盗犯人だったらどうかという問題がでてきたりして、そうなりますと住人及び住人が積極的に入ることを認めた人以外は拒絶される、つまり住居侵入罪になる、という解釈もあり得ると思います。
もちろんマンションの構造にも影響されると思いますが。
これは住人側の安全意識の問題であり(住居侵入罪の保護法益はまさしくここにあると言えます)、それに対して表現の自由がどこまで対抗できるかははなはだ疑問です。
追記
検察は控訴したようです。
読売新聞
これはちょっと。
自衛隊の宿舎に反戦のビラをまく。
まあこれは良いでしょうか?
先に何度も立ち入らないでください、と注意されているのにも
関わらず、嫌がらせのようにビラをまく。
何度注意したら違法になるのでしょうか。
判決の理由を載せてないし、地裁レベルではなんともいえないですね。
自由の背景に存在していなければならない責任性に対する認識度の問題かと
要するに、世の中無責任になっている象徴であろうと思うわけですよ
"おれには何々の自由がある”と言えばそれで何でもやって良いという短絡さ
どんどん幼稚化してるんですね
大したお坊さんだと思いますよ
>市民感覚に沿って
共産党系の皆さんや朝日新聞のいう「市民感覚」というのは、私にはイマイチ理解できません。
政党のビラを、集合ポストではなく、マンションの中にまで入り、ドアに押し込んでいくことが、表現の自由とどう関係するのか理解できない私は、彼らのいうところの「市民」に入っていないのは間違いないようなんですが。
ピザのチラシと政党のビラを同列に論ずるあたりが、なかなか興味深い裁判官ではありますが、仮にピザのちらし配りのお兄さんが捕まっていたとするとこの人も有罪になったのでしょうか?
また、ピザのチラシはあってもジャマにはなりませんが、政党のビラなど興味がなければジャマにしかなりません。
オートロックがついていない、又は入ってはいけない人として具体的に列挙されていない限り、7〜8分程度ならマンションに自由に入っていいということでしょうか?うちのマンションにオートロックがついていて良かったと改めて思います。
まあ、もともとどうでもいいような事件ですが。どうにも最近、朝日新聞と赤旗の区別がつかなくて困ります。
共用住宅の場合、住人の知人を連れてくる場合のように、ある程度は住人個々人の意に染まない人物の立ち入りもある程度認める必要がある所です。共用部分について単に住人や管理権者が入ってほしくないと思っているというだけで、すぐ侵入罪成立と言うのはそもそも行きすぎで、嫌なら共用住宅に住むべきではありません。
ビラ配りのように適法な行為を目的とした立ち入りならば、明示の拒絶意思発現がない限り違法ではないあるいは可罰的違法性を欠いて、正当な理由があるという見解は妥当なのではないでしょうか。
そこに表現の自由をやたら持ち出すのは、私も引っかかりますが。
今回のマンションの貼り紙をビラ配りまで含めた明示の拒絶意思発現と見るかどうかは見解の割れるところで、控訴するなら高裁ではそのあたりが大きな争点ではないかと思いますが、管理権者としては、今後はそういうところまで含めて禁止しておけばビラ配りと言えどもはっきり禁止できるともいえるように思います。
この判決は特に「表現の自由」については述べていなくて、
あくまでも130条の「正当な理由」の有無を、目的や態様、そして「社会的合意」の確立の観点から判断しています。
「表現の自由」は被告人が勝手に言ってるだけです。
・・・まあ、それに乗っかりたい人は自由に乗っかればいいですが。
また、共用部分の立ち入りについては、まず第一に話し合いでの解決を探るべきであって、
とにかく、違法にしたい→警察を呼んで事足れりとしたい、
という感覚は、逆に住居権者のプライバシー侵害の危険を招く結果になる可能性があると思います。
ちょっと判決要旨からピックアップしてみたんですが。
>1階玄関ホール内の掲示板に広告の投函(とうかん)や部外者の立ち入りを禁じる趣旨の張り紙があるが
>本件マンションでは、管理組合理事会で葛飾区の広報誌を除いて部外者が共用部分に立ち入ることを禁じる決定をし、
>廊下、エレベーター、階段などの共用部分は住戸部分と空間的にも極めて密接な関係にあり、 無関係な者が自由に立ち入ることができない。住戸部分と不可分一体で利用される共用部分についても「住居」に当たると解するのが相当。
>都市生活者を中心に防犯意識、プライバシー意識に敏感な居住者が増え、
オートロックシステムを備えたり立ち入り禁止を明示した看板を掲示し、共用部分が私的領域の性格が強くなってきていることは否めない。
まあ、警察の手法には首を傾げてるので無罪は無罪でかまわないんですが、被告側はこの判決内容で全面勝利だと思ってるんですかね? これでドアポスト解禁だなんて思ってるんなら独善がすぎやしませんか?
知らないおっさんが侵入してきて住人の子供を投げ落とすご時勢、招かれてもいない部外者が自由に入ってくるのは滞在時間に関係なく不安で不快ですよ。朝日の社説にあった「興味がないなら受け取ってから捨てろ。受け取る側も度量が必要」みたいな理屈には全然賛成できません。
それと、これはちょっとバイアスかかってるかもしれませんが、「表現の自由」という言葉はこういうプロ市民が使うたびに値打ちがどんどん安くなっているような気がしてなりません。同じ共産党員でも、戦時中の全体主義体制下で特高をかいくぐって活動していた人達が言うなら説得力もあるんですが。
それに、「知る権利」という言葉もこういう場で持ち出してもらいたくない。これは自分たちが一方的に知らせたいことを押し付ける方便に過ぎません。
そもそも、共産党員の住職という存在自体が矛盾しているような・・・。
この判決内容からすると、「政治ビラ禁止」とはっきり明示したマンションへの立ち入りは違法になるということですよね。これを知ったマンションの管理組合はみんなやるんじゃないですかね。共産党は自分で自分の首を絞めたかもしれませんね。
ピザ屋さんでも逮捕・起訴される(かも知れない)、ということも含めて考えるべきでは?(ピザチラシの配布目的を装った強盗犯人もいないとも言えないわけですし。)
「政治活動だから」「共産党員だから」と言う理由で起訴したのではないので、「不法侵入か」ということと「共産党員である」ということは区別して扱った方が安全なような気がしますね。
これで拘留が23日、やけに長いですが?
共用空間が個人の住居にそのまま当る事は有りえないので、「住民の総意で拒否している事が明瞭なら不法」との判断は良い線に思えます。
言論云云との主張は墓穴でしょ、迷惑メールの例もあるし。
「住民及び住民が認めた者以外、絶対立ち入り禁止」という立て札みたいなものが掲示されていれば、ピザ屋のチラシ配りでも逮捕される可能性はあると思います。
23日間の身柄拘束というのは、逮捕2日、勾留20日、起訴後の保釈まで1日という計算かな、と思います。
検察としては、もっと引っ張りたかったのかもしれませんが、さすがに裁判所は認めなかったみたいです。
表現の自由、表現の自由といってはしゃぐのはちょっとピント外れだと思います。
? モトケン様
「住民及び住民が認めた者以外、絶対立ち入り禁止」っていう看板作ってくれると,正直ありがたいです。ビラ配り以外にも,そのスジの人みたいな新聞の拡張員とか,宗教勧誘とかを体よく追い返す口実になりますから。
いろいろ記事やblogを見ているとモトケンさんのように客観的に書かれてるところは少ないですねー。
表現の自由の勝利を主張する方とか共産党ビラ絶対反対派で判決不服な方とか
まぁ法曹の方以外でエントリーに取り上げる人はそういうものなのかもしれませんが・・・
個人的には裁判所が脅迫文ならいざしらず投函ビラの内容で有罪無罪を決めたらそれは怖いんだけどなーと思っています。
この事件で、ビラを配布していた人を現行犯逮捕したというマンション住民(私人)は相当変った人らしく、裁判での証言によれば、共産党に対して非常な敵対感を持っているようです。
マンションにおいて、ある住民は「ビラ絶対禁止」を主張し、別の住民は「商業ビラはOK、政治ビラは反対」と主張し、また別の住民は「ピンクビラのみOK、他は反対」と主張し、またまた別の住民は「共産党ビラ反対、自民党OK」を主張した場合、どうするんでしょうかね。
共用部分の管理なら過半数で決めるけど、「ビラが欲しい」と言う住民が一人でもいる場合、過半数で「ビラ絶対禁止」を決めて良いのかな。共用廊下の用法に従った使用であるため、難しい点を含むように思いますが。
>「ビラが欲しい」と言う住民が一人でもいる場合
そのための玄関ホールの集合郵便受けでしょう。判決要旨にもあるように本来なら政治ビラであれピザ屋の宣伝ビラであれ、ただちに違法かどうかはともかくも集合郵便受けに配布するべきものです。
『集合郵便受けが設置されているのにわざわざマンション内の廊下や階段にまで立ち入り,各居住者の居住部分と共用部分を隔てるドアのポストから居住空間内にビラ,チラシ類を投函するという行為は,プライバシー侵害の程度が高くなる一方,そのような配布方法を取る必要性も特に強くはないはずであるから問題がないとはいえない。マンションの設備としてドアポストが設置されていることから,集合郵便受けとドアポストが並列的,選択的に使用できるなどと解するのは相当ではなく,居住空間への接近の程度からみて両者に相違があるのは当然であり,ドアポストは居住者の個別の依頼のある物のみの投函が許すため,また,訪問者と会わずに書類の授受ができる等の便宜のために設置されているとも考え得るのである。』
ところで、この判決は結局のところ、立ち入り禁止意思の外部的表示のやり方が悪かったって話なんですね。つまり管理組合理事会が葛飾区の広報誌を除いて部外者が共用部分に立ち入ることを禁じる決定をし、その決定が有効であることを認め、被告人の立入りがこれを侵すものであることも認め、たとえ憲法21条の表現の自由を持ち出しても、プライバシー権の支配する私的領域である共用部で(立ち入り禁止の決定があれば)これを受忍すべき義務はない。だけどそのためにはその立ち入り禁止の意思を表示する必要があるけれども、このマンションの場合、それを示すはり紙の書き方と貼る位置が悪かった、と。
最近、これでもかって言うくらいデカデカとした字で、しかもマンション玄関ドアにビラなどの禁止のはり紙が貼ってあるマンションがあって、いくらなんでも美観を損ねてやりすぎだろうと思ってたんですが、実はあれってやり過ぎじゃなかったんですね。
それとこの裁判によって、このマンションの政治ビラを含めた共用部でのビラ配布禁止の意思が被告人及び共産党関係者にはこれ以上ないくらいはっきりと明示されたわけですから、少なくとも今後このマンションでの共用部ビラ配布は厳禁ですよね?
集合ポストがない場合は、各部屋のポストに入れていい、ということになるんですかね。
ところで、「管理組合理事会」というのは、区分所有法にない概念(「管理組合法人理事会」はある概念)だと思いますが、何でしょうか。(法18条2項のことか?)
また、共用廊下の使用方法の変更は、「管理」に当たるか「変更(法17条)」にあたるか。変更なら「管理組合理事会?」では決議できないはずだが、、、。
>集合ポストがない場合は、各部屋のポストに入れていい
少なくとも、この判決はそう言ってるみたいですよ。集合ポストのない2階建てアパートのような建物で、不法な行為を目的としてなければ2階の通路部分に立ち入れるとしてます。逆にオートロックのマンションの場合はこっそり中に入ってビラを配布するのはペケみたいです。
あと、管理組合法人は管理組合を法人にしただけで、基本的にやることは同じはずです。修繕費用の積み立てを入れとく口座の名義を法人で出せたり、事務所を作るとき法人なら登記ができて便利ってだけで。理事会は規約(3条)で定義されます。法律に無いのは多分法人じゃない管理組合はあくまで私的な団体だからじゃないですかね?一応、国交省から管理規約の標準モデルとして、中高層共同住宅標準管理規約というのが出てて、もちろん理事会の事も書いてあります。
17条の「変更」は例えばマンション玄関をオートロックに変えたり、マンションに光ファイバーを通したり、と言った共用部分に工事が必要な変更を行う事の話で、使用方法の変更は普通含まれないと思います。