出産時事故:患者に「無過失補償」導入へ 民間保険を活用(毎日新聞 2006年11月17日 15時00分)
政府・与党は17日、新生児が脳性まひで生まれてくるなど出産時の事故に関し、医師の過失を立証できなくとも患者に金銭補償する「無過失補償」制度を、07年度に創設する方針を固めた。民間保険を活用、保険料負担は医師に求めるが、負担増対策として健康保険から支払う、現在35万円の出産育児一時金を2〜3万円増額する。新生児1人につき2000万〜3000万円の一時金を補償する方向で調整する。財源に関し、日本医師会は税負担を求めているが、与党は「国が直接かかわる話ではない」として、親に支払う出産育児一時金を活用することにした。一時金を増やせば、やがて出産費がアップし、その分医師の収入増につながるため、医師に保険料を負担してもらう構想だ。
民間保険会社に新たに「無過失補償」の商品を企画してもらい、産科医が任意加入する形をとる。保険料の決め方などの詳細は今後詰める。先天性異常の場合は、補償対象としない。将来的には、自動車損害賠償責任保険のような強制加入の制度に移行することを想定している。
政府は、出産育児一時金を37万円にアップすれば、医師全体で約200億円程度の増収となり、事故一件につき2000万円の補償が可能になるとみている。政府は補償金に税投入はしないが、民間保険会社の支払い審査、原因分析といった事務費の半額、数億円を「少子化・医師不足対策」名目で税負担する。
医療事故に絡む民事訴訟件数は年々増えており、04年は1110件と10年前に比べ倍増している。なかでも産科(143件)は、件数こそ内科などに次ぐ4位だが、医師1000人当たりでは11.8件と最も多い。このことが産科医のなり手不足を招いている、との指摘がある。無過失補償をすることで、被害者の救済に加え、医師不足対策にもなるというのが政府・与党の判断だ。
医師不足対策という観点ではどうなのでしょうか?
>親に支払う出産育児一時金を活用することにした。
>一時金を増やせば、やがて出産費がアップし、
>その分医師の収入増につながるため、
>医師に保険料を負担してもらう構想だ。
出産にかかる費用は医師に払うお金だけではないでしょうし、
民間保険で賄った場合かかる費用はかなりなものでしょう.
>政府は、出産育児一時金を37万円にアップすれば、
>医師全体で約200億円程度の増収となり
2万円×110万(年間のだいたいの出生数)=220億円ですね。
厚生労働省はそれらの9割程度が医師の収入になると
思っているようです。
はっきりいってものすごい甘い見通しだとおもいます。
こんな少し考えればおかしいと思うような理屈で
お茶をにごそうとしても、誰がだまされるんだ,
としか私にはいいようがありません。
>厚生労働省はそれらの9割程度が医師の収入になると
厚生労働省→政府の間違いです.
自己レスすみません
上記の制度では、産科崩壊の防止にはならないと思います。
医師の立場から考えると、医療側が無過失である可能性が高いのに、医師のみが保険料を負担すること、また保障受け入れが、民事提訴の放棄とセットになっていないことが問題と思います。
記事では、産科の民事訴訟に触れられていますが、この制度では、民事提訴が減るとは思いません。政府や、第3者機関が関与しない、民間保険会社の商品であれば、保障を受けることで、民事提訴を放棄させるという契約にするのは困難と思いますが、如何でしょうか?
>政府は、出産育児一時金を37万円にアップすれば、医師全体で約200億円程度の増収となり、事故一件につき2000万円の補償が可能になるとみている。
このような回りくどいことをするほうが、金の流れが不透明になり、医者が不正な収益を得ているという疑惑を生むことになります。
出産一時金を増額するなら、それを告知した上で、その分を、母子手帳交付時や、出産までに、妊婦に前払いさせることが、保障の条件となるようにすべきと思います。それによって、出産の危険性の啓蒙にも役立つと思います。
海外を見渡して、無過失保険制度は医師が払うものなのでしょうか?ちょっと違うような気がするのですが・・・。
無過失なら医師に責任はないはず。なのに責任を医師が負わされる、そんな不合理な話、おかしいと思いません?国民からの税金でまかなうべき問題と思いますが・・・。
そもそも被保険者はだれでしょう?医師が払って医師が支払いを受け取る(母親に渡す義務はない)のなら保険の意味がわかります。しかし、この場合の被保険者は母親ではないですか?保険というのは本来被保険者が支払うものでしょう?それはもはや保険ではなく、別の定義になってしまいますよね?
保険ではなく、保証だという指摘があるかもしれませんが、それならば保険会社を巻き込むことは混乱につながりませんか?政府は一体何を考えているのでしょうか?結局責任を現場の医師に押しつけるという態度は全く変わっていませんね。
No.4 yama さんのコメントの通りだと思います。
何故、制度を複雑にするのかと。民間に出来ることは、民間にとバカなことを言った人がいましたが、合理性を考える必要があります。民間の保険でカバーすると言うのは、民間保険会社の経費をカバーする必要があると言うことです。
民間保険会社が事故の究明を行う力があり、事故率の提言につながるように改善をすることが期待できる場合には、民間保険会社を活用すべきです。しかし、週産期医療にこの保険のメカニズムが期待できないと私は考えます。
出産育児一時金をアップするなら、その財源でもっと良いことが出来るはずだ。どうするのが社会のため、産科崩壊防止につながるかの検討をするのが、政府、厚生労働省、政治家の仕事であり任務であるはずですが。
税金は,こういうところに使ってほしいな。
久々に投稿します。産科医−1です。
この「無過失補償」制度の全容が私にはハッキリしないのですが、この記事を読んだ印象での、一時金を払ってハイお終い、のような制度なら、余り良いものには思えません。
確かに、出産時には、誰、彼が悪いと言うのではなくても、「脳性まひ」の子供は生まれて来ます。そんな子供さんを育て上げるには、金銭的にも大変な苦労があることでしょう。
だから、2000万〜3000万円の一時金を与えれば良い、と言うのは、何だか、ずれているんじゃないかと思うのは私だけでしょうか。
そうした子供に対する偏見をなくし、家族と一緒にそうした子供を社会として育むような制度を整備する方が、そんな一時金よりも、ずっと、産科医療の崩壊を押しとどめることになるんじゃないかと思っています。
この話は大変疑問があります。と言うのは、無過失補償制度を導入するのであれば、審議会なり国会にかけられるはずなのですが、そんな話を見つけられませんでした。誰が中心になって取りまとめているのか、よく分からない記事だと思います。
全体的に、日本医師会の案がベースになっているような気がしますが、考えすぎでしょうか。
http://www.med.or.jp/teireikaiken/20060808_1.pdf
>>No.7 産科医−1 さん
お久しぶりです。
根本のところで大いに同意します。
この無過失補償制度が実現したら「重度脳性まひ児は、今の日本の制度下では幸せに暮らせない」ことを政府が認めたこととほぼ同義です。
どう考えても、こんな小細工ではなく、他にもっとやるべきことがあるはずです。
と、総論は簡単なんですけどね。
産科医−1 さん、元田舎医さんに激しく同意いたします。
70歳や80歳の担癌患者の医療過誤に何千万という賠償金がおりるのに、これから何十年と苦労する脳性小児麻痺の子供に2000〜3000万円という補償金は本末転倒な気がします。
いろんなとこ見て回っているんですが、「あー、この制度ができれば産科医がやりやすくなるな。歓迎」という実際の産科医の意見が全くないですね。
回っているサイトが偏っているのか、あるいは反対意見に押されて賛成の医師は言い出しにくい環境なのか。あるいは現場の産科医の意見を全く吸い上げることなく作られた案なのか。
ちなみに原案は確か国が補償金を出す、ただし明白かつ重大な過失あるときは医者からその分取り戻すという仕組みでしたが
医療ミスの患者側弁護士である堀さんは、
● 明白かつ重大でなくても、有責であれば医師から国が取り戻す仕組みにするべきだ
● 診療記録の作成・保存・検査項目のガイドラインを作り、それに違反したものは有責に準じて扱うべきだ
と述べています。
http://www3.ocn.ne.jp/~mmic/hori.htm#50
> いろんなとこ見て回っているんですが、「あー、この制度ができれば産科医がやりやすくなるな。歓迎」という実際の産科医の意見が全くないですね(No.11 立木 志摩夫さま)
医師不足対策という観点からは、制度の客観的な善し悪しよりも、医師たちの感情的な部分に訴えかけるかどうかです。
医師にとって、「これで我々は安心して働ける、頑張ろう」と思えるのでなければ、全く効果がありませんが、
「これで民事訴訟を免れ、刑事訴追もされない」ということを、謳ってくれないのに、安心できようはずがありません。
政府としても、そんなことは約束できませんよね。たとえ脳性麻痺の訴訟はなくなっても、それ以外の疾病・障害で訴えられる可能性が山ほど残っているのですから。
ちなみに、堀弁護士の意見は、費用負担について、
原則国庫補助とし、医師からの取り戻しは広く認めよ(医学的な過失はなくても、診療記録の作成や検査項目のガイドラインに反していれば不適切な医療として取り戻し)というものです。
それでさえ、保険料医師負担という今回の政府案よりはマシと言えます。
患者側弁護士の意見よりも、医師に不利な制度を提案するなんて、まったく、何を考えているんだか。
YUNYUNさん こんにちは
そうですよね。医師の感情的な部分に訴えるというのが一番大事だと思います。
>YUNYUNさん
>保険料医師負担
保険料を出産費用に組み入れるのなら、結果的には親が払うのと同じだと思いますが。ついでに言えば、出産育児一時金を活用するというのは、日本医師会の制度案でも同じですね。
> 保険料を出産費用に組み入れるのなら、結果的には親が払うのと同じ
問題は、医療側が負担する保険料相当額を、出産費を値上げして、うまく転嫁できるかどうかですね。
難しいような気がします。特に、公立病院では。
正面から親に負担増を求めることは、少子化対策と対立することは明白なので、
姑息にも医療者に回収の危険を負わせようとしているのです。
正々堂々と、出産に関するリスクを広く国民全体で分担しましょう(税金投入)という議論をすべきではないかと思います。社会が、子供をどれほど大切にしたいと考えるか、議論を尽くしたらよい。
(救済の方法としては、無過失補償の一時金よりも、福祉で一生手厚く面倒を見ますというほうが筋ではないかと考えます。)
No.14 しまさま、No.15 YUNYUN さま
>> 保険料を出産費用に組み入れるのなら、結果的には親が払うのと同じ
細かいことをいうと、病院が増収(約約200億円?)になれば、それだけ税負担が増えますから、産婦が直接支払うシステムよりも、病院側は税負担分、不利になります。また、Yosyan さんの試算では、保険料収入が足りないようですから、導入後に保険料値上げをしても、文句が出にくい、医療者から、保険料を回収する仕組みを考えたのではないかと思います。
>問題は、医療側が負担する保険料相当額を、出産費を値上げして、うまく転嫁できるかどうかですね。難しいような気がします。特に、公立病院では。
外来の窓口の自己負担分が、数百円増えるだけで、患者さんは、病院が儲けていると、クレームをつける方が数多くいます。自己負担分が増加しても、病院の収入が変化は無い(むしろ税金分損している)ことを理解していただくのは、実際大変に困難なことと思います。
>YUNYUN さん
>田舎の消化器外科医さん
そこで登場するのが、出産育児一時金の代理受領制度だと思います。この制度を使えば、医療機関が回収不能に陥る事は少なくなると思います。必要コストを隠蔽するという意味では、あまり好ましくはないと思いますけどね。
http://www.iwoman-net.com/infomation/ikujiichijikin200608.html
税問題に関しても、保険会社が代理受領して、保険金分を差し引いた額を病院に給付すると言うことで解決出来そうな気もしますし。
>医学的な過失はなくても、診療記録の作成や検査項目のガイドラインに反していれば不適切な医療として取り戻し
医学的な知識に乏しく繰り返し同じような間違った出産時の管理を繰り返すリピーター医師もいる事をみているので、日本である程度以上の医学的レベルの産科医療を提供を政策的に目指すにはこのような制約も必要悪なのかという気もします。
こういう条件で医療者側から取り戻しをはかる場合、『診療記録の作成や検査項目のガイドライン』が「現場で行なうのに現実的対応可能なものである」という条件は必須でしょう。
>こういう条件で医療者側から取り戻しをはかる場合、『診療記録の作成や検
>査項目のガイドライン』が「現場で行なうのに現実的対応可能なものである」
>という条件は必須でしょう。
こういったガイドラインが一般に行なわれている医療行為に沿ったものであればよいのですが,往々にして現実ばなれしたガイドラインが一人歩きしていることもしばしばです.
先に話題になった,脊髄クモ膜下麻酔後の血圧測定間隔とか,薬剤の添付文書とか,挙げれば枚挙に暇がありません.
そもそもカルテに行なったことを逐一書けといわれても困りますし...
カルテに書くことはメモ程度ですから.
このような,挙げ足を取るような,本質と関係のないところでの医療側の不備を突くクレームには辟易します.「医学的に適切であったか否か」だけが問題であって,記録云々は決して核心ではないことを非医療者の方には理解していただかなければ困ります.それはunfairです.
医学的な問題で,医療側が負けることは仕方が無いと思いますし納得できますが,医学的に正しいことをしているのに医療側が負けるのは断じておかしいのです.
きちんとカルテを書いていないと、適切な医療であったかどうか後から判断できない 判断できないものはクロとして扱う ってことじゃないでしょうか。
カルテの書き方については内科系と外科系の間で相当の違いがあるように感じております。
併診なんかすると 全然カルテ書いてないけど大丈夫か?って思ったりすることがあるんですが(笑)。
脳性麻痺で一時金2000万を得て、それを弁護士費用にして
更に民事で億単位の金を請求することを推奨する制度ですかね・・・
>No.3 田舎の消化器外科医さんの
>医師のみが保険料を負担すること、また保障受け入れが、
>民事提訴の放棄とセットになっていないことが問題と思います。
>出産の危険性の啓蒙にも役立つと思います。
の意見に激しく同意です。
>併診なんかすると 全然カルテ書いてないけど大丈夫か?って思ったりすることがあるんですが(笑)。
小生らの研修医時代にはSOAP(subject、object、assesment、plan)の順に書くように指導されましたが、最近ではsubject、planあるいはobject、planしか書きませんし、研修医などにもそのように話しています。後で証拠とされた時に有利な内容しか残らない書き方です。何か非常に空しいですが、現在の過剰訴訟の時代にはそうするよりありません。
もうひとつ、看護婦さんは何も考えずに(つじつまの合わない)記載をすることもあり、要注意です。患者を救うことより自己を防衛することの方が大事なんて馬鹿げたことです。
>Level3さん
>「医学的に適切であったか否か」だけが問題であって,記録云々は決して
>核心ではないことを非医療者の方には理解していただかなければ困ります.
>それはunfairです.
記録云々は核心ではないと思いますが、血液内科さんの言われるとおり、記録無しに「宇学的に適切であったか否か」を判断出来るのかどうか疑問に思います。例えば、Level3さんが第三者機関に参加して、医療訴訟を評価する立場となった場合、やはり記録を元に判断するのではないかと思うわけですが。
前にもおかしい点を指摘しましたが、一番の問題は無過失補償の目的が何かです。つまり、子供を亡くされた親を救済するだけが目的なのでしょうか?だとしたら分からなくもありませんが(それでもただの責任押しつけであることは間違いありません)、それで「医師不足対策」どころか、医師過疎になるのは目に見えています(毎日新聞社はそんなこともわからないのでしょうか?)。だれもアメがある、あるいは損得無しなら患者のために一肌脱ごうか、という気持ちになるでしょうが、ムチしか与えられないのであればやりません。
過失もないのに医師に費用を負担してもらうというのも冷静に考えると馬鹿げた話ですが、それが医師不足対策に結びつくなんてどう考えてもあり得ない楽観的な態度で臨んでいる政府とそれを意味もなく喜んでいるマスコミにも腹が立ちます。
こうして国民は洗脳されていくのですね。
No.18 オダさん
私はリピーター対策は別にお産だけにとどまらないので別件として対策を立てるべきカナと私個人は思いますが、他の皆さんの意見はどうでしょうか?ともかく、ここで前例を作ってしまうと、患者死亡=医師の責任という風潮が助長されてしまうのではないかと危惧してしまいます。必要悪とは私個人は到底考えることができません。
>記録云々は核心ではないと思いますが、血液内科さんの言われるとおり、記
>録無しに「宇学的に適切であったか否か」を判断出来るのかどうか疑問に思
>います。例えば、Level3さんが第三者機関に参加して、医療訴訟を評価する
>立場となった場合、やはり記録を元に判断するのではないかと思うわけです
>が。
すみません,
全く何も記録(データ)が無ければ判断するのは難しいというのは確かです.経過が全く解らなければ判断のしようはないでしょうね.医師や看護師から聞き取りでもするしかないでしょう.(でも一般の事件なら,これだけしか情報はないのでは...)
ただ,先にも書きましたように言葉の端々を捉えて枝葉をあたかも幹のごとく扱ってクレームを付けられることを思えば,そんなものない方がよいかとも思ってしまうわけです.
書かれたことは,常にそれが正しいと仮定されて話が進められると思います.しかし,はたしてどれだけ記録が正確なんでしょうか?患者さんが急変した場合に,そもそも記録を逐一まちがいなしに記録することは不可能です.
例えば麻酔科医が麻酔管理を行っていた時に,突然ST上昇から心室細動(Vf)が起こったとします.なんのさしたる前触れもありませんでした.
ここで何をすべきかは明白で,熟練麻酔科医なら10人が10人とも同じことをするでしょう.手術操作を止めてもらい,心マッサージを外科医に依頼しながらボスミンやニトログリセリンを準備して投与します.差し当たってボスミンは末梢静脈もしくは気管チューブから,ニトログリセリンは末梢静脈から投与します.換気は100%酸素に切りかえます.除細動器が使えるようになったら,いちど心マッサージを中止して心電図を確認します.VfならDCですしPEAならマッサージ続行です.Vfを確認しDCを施行したところ2回目で戻りました.さておそらくは冠攣縮だったんでしょうか?一応ニトログリセリンを続行し,念のためにリドカインも投与します.必要ならカテコラミンを少しだけ投与するでしょう.もしVfのままでしたら蘇生が繰り返されます.治療に抵抗するなら,中心静脈ルートを取ったり,PCPSの依頼を考慮したりすることでしょう...
さてこのような時にどの時刻にどれだけの薬剤が投与され,どのような治療がどの時点から行われたか,誰がまともに記録できるでしょうか?
もしだれかがある程度記録していたとして自前の時計で時刻をみたのでは狂っている可能性もあるでしょう.複数の人間が記録したりすれば時刻だってバラバラです.気がついたことから書き留めればこの時点で時系列もバラバラです.
バイタルデータは今ではモニターに自動的に残されていますから後から拾うことも可能です.ただモニターの時計には注意しておく必要があります.
(今なら手術室全体のビデオを常に撮影しておくという方法もとれるんですが,そういうことを実際にやっている病院はほとんどないでしょうね)
このような状況は少々極端かもしれませんが,急変した場合など(特にこういう状況が最も裁判etc.になりやすいですよね)にどのくらい記録が可能かということをもう少し現実的に考えていただきたいと考えています.
残された記録の中から医療知識を背景にして正しいと推定されるもの,間違っていると推定されるものを取捨選択して,最も妥当と考えられる経過を推定するのが正しいのですが,これまでの裁判というものをみているとそのようなことおかまいなしで本質でないところで争われていることも少なくありません.
「記録を残さない方がよい」というのは極論で,「記録の妥当性を踏まえた議論を飛ばして欲しくない」というのが私の最も言いたい点です.ことば足らずですいみませんでした.
>私はリピーター対策は別にお産だけにとどまらないので別件として対策を立てるべきカナと私個人は思いますが、(No.24 yama さん)
ここに限らず,例外的な医師や患者については別途対策すべきで,本論がそれに引き摺られるのはまずいでしょう。
特に,本エントリは制度についてのものですから,事例紹介等はほとんど不要で,ケース分析も「例外事項である」と判断されれば,そこでおしまいにしたほうが良いでしょう。
ps. 毎日新聞に言いたいことがある場合
記者が半ば以上公的にやっているブログや投稿の場がいくつかあります。そちらに投稿してみては?
> ここに限らず,例外的な医師や患者については別途対策すべきで,
> 本論がそれに引き摺られるのはまずいでしょう。
引きずられているかどうかはともかく、幅広い知識を得て議論することは大切ではないですか?
全く関係ないというわけではないのですから。
> 特に,本エントリは制度についてのものですから,事例紹介等はほとんど不要で,
> ケース分析も「例外事項である」と判断されれば,そこでおしまいにしたほうが
> 良いでしょう。
良いでしょうか?先ほど述べたように幅広く議論すべきと個人的には考えます。
全く関係ないという訳では無いのですから。
> ps. 毎日新聞に言いたいことがある場合
まあ、これは余計な一言だったと反省しております。が、それによって無過失保証に対する世論が変わってしまうことがあるのでマスコミが無関係かというとそうではないと私は思います。
え?yama さんは,ここでリピータ医師の話をしたいのですか?
それから,毎日新聞のブログや投稿の場の件は,本当にそういう場に出したほうが良いと思っているから言っただけで,皮肉でも何でもありませんよ。yama さんに限らず,マスコミに問題があると考える方々は,そういう場を利活用して,言うべきことを言ったほうが良いと思います。私は投稿していますよ。
いつも興味深く拝見させていただいています。ただただ感想なのですが、最近少し相手をあおるような発言が多い様な気がします。
>え?yama さんは,ここでリピータ医師の話をしたいのですか?
例え丁寧な言葉使いでも不快な気分にさせると思います。一般人から見ると大変この掲示板は勉強になります。それだけに感情が先に立ち議論が進まず段々と荒れてくるのを見ると悲しいです。
そう言えば、TuHさん、FFFさん、an_accusedさんは「ゲストプロフィール & 足跡帳」にご記帳されてませんね。
この際、ぜひ。
> No.25 Level3 さん
例えば、ご存じのようにカルテは遅延無く記すると法律で定められていますが、実際には処置を優先して、場合によってはアンプルを何本使ったか忘れた、なんて事態にもなりかねません。幸い、私の勤めている病院ではナースが書記を担当しているのでそれを見て後からカルテを書いています。
でも、このブログにもいるように、本質を見誤って人の揚げ足をとるような輩は沢山います(本質を見誤るだけならかまわないのですけどね、幅広い知識の取得もできるし。問題は揚げ足とって問題を違う方向に誘導する人たちです)。後から「ちゃんとカルテは正確に書いているのか」とか・・・。私が危惧しているのはそれによって「ちゃんとカルテは書かれていない。ほら、医師が悪いんじゃん」となって無過失補償の出資元が医師の賠責保険になってしまうのではないか、ということです。
>> No.25 Level3 さん
>例えば、ご存じのようにカルテは遅延無く記すると法律で定められていま
>すが、実際には処置を優先して、場合によってはアンプルを何本使ったか忘
>れた、なんて事態にもなりかねません。
我々麻酔科医にとってカルテは麻酔記録ですが,緊急時に「麻酔記録を遅延無く記することなど不可能」です.そんなことをしていたら助けられる患者も失ってしまいます.救急外来でも同様だと思います.
時にはボスミンを何アンプル使用したか,なんて一段落してから「空アンプル」を数えて記録するくらいのものです.心停止の時なんかは,心拍を再開させるのが目的ですから戻るまで適宜投与しますから...
大量出血の時の輸血量だって,血液型とマッチング確認さえ済めば残量を考慮しながらも「片端からポンピングもしくは輸血ポンプで早送り」ですし.
そんな悠長な状況ではありません...
病棟での急変時も似たようなもんでしょう?
>yama さん
医師法には「医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない」としかありませんので、例えば緊急時に詳細な事を書き込む必要はないと思いますが。
ただし、何か事が起こった時に、自分が行ったことを証明する強い証拠にはなると思います。「記録がない=何もしなかった」と思われる可能性があるのではないでしょうか。
> No.32 Level3 さん
おっしゃる通りです。後からアンプルの数を数えるので当然100%正確に記載するのは不可能です。
> しまさん
解釈って難しいですね・・・・。それ故カルテは診療録というより、訴訟対策のためのメモ帳と化しています。
医師の過失外での補償に、先天的な障害は含まれないとありますが、
明らかな先天性異常ならともかく、出産時は何ともなくても、
半年後くらいに障害がわかり、それが出産時に拠るものだと判明した場合や、
(それが出産時の時のものかどうか立証するのは難しいでしょうが・・・。)
法律が成立する以前に生まれたこ子の場合は補償はゼロなんですよね。
あまりにずさんな考えだと思います。
医師の過失外での補償に、先天的な障害は含まれないとありますが、
明らかな先天性異常ならともかく、出産時は何ともなくても、
半年後くらいに障害がわかり、それが出産時に拠るものだと判明した場合や、
(それが出産時の時のものかどうか立証するのは難しいでしょうが・・・。)
法律が成立する以前に生まれたこ子の場合は補償はゼロなんですよね。
あまりにずさんな考えだと思います。
ソラミさん,
基本的なところで考え方に相違があるように思われます.
なんでも問題があれば補償されてしかるべきとお考えのようですが,それは「自分の問題でなく相手が悪いからだ」という考えが根底にあるからではないでしょうか.つまり出産は問題がなくて「当たり前」という意識があるからだと思います.
現実はそうではありません.産科や新生児科の先生方の非常なご努力の結果として,母体死亡率や新生児死亡率は非常に低くなっています.しかし決して0にできることはありません.医療は不確実なものですから,医師がどんなに適切に対処できたとしてもうまくいかないこともありますし,状況に応じては最善の道が選択されない場合もあります.しかし,それらを「ミスだから補償しろ」というのは根本的に間違っているとしか言いようがありません.それが納得できない方には医療は受けて頂けないと思っています.
人は病気になります.誰のせいでもなく自分の体に原因があります.そして医師はそれを確実に治すことはできません.根本は自分が病気になったところにあり,あくまで運がよければ「治る」でしょうし,運が悪ければ「治らない」でしょう.医師が実際に病気を治している部分なんてごくわずかでしかありません.その程度に思っていただくべきです.
出産についても同様です.五体満足で生まれてくればそれは「運がよかったに過ぎない」のです.たまたま「運が悪かったことを他人のせいにして補償を要求する」のはおかしな話です.明らかに意図的な行為や明らかな重過失で問題が生じた場合には,そういった話もあり得るかと思いますがそれはごくわずかなことです.そういった事例に関しては民事訴訟もやむを得ないかと思いますが.
本来はこのような「運が悪かった」時に対応するためには予め保険を掛けておくというのが一般的な対策だと思います.例えば海外旅行に行く時には行く人間が自ら旅行保険に入ります.そして旅行中に事故に遭ったり,病気になったりした場合には規定された範囲で保険金がおります.こういった保険は通常掛け捨てです.
出産においても同様であるべきだと私は考えています.
保証が欲しければ出産する妊婦さんが保険に入るべきなんですよね.出産における「無過失補償」を国や医師のお金で行なうというのは,それ自体が変ではないでしょうか.産科医の先生方が,出産がうまくいかなかっただけで訴訟に巻き込まれるという「非常識な状態」を打破するための苦肉の策がこれであって,私は個人的にはこれは旅行保険と同様に妊婦さんが「出産保険」に入るというのが筋であると考えています.
したがってこのような「出産保険」に相当するものを作るのが本来の姿であろうかと思うわけです.
私の書いたことが「おかしい」と思われましたら,なんなりと反論して下さい.
私の言葉不足ですみません。
何でも問題があれば一時金を補償されるべきとは思っていません。
うちの娘は重度知的障害があります。でもそれが判明したのは1才3ヶ月の頃でした。
出産時、陣痛誘発剤を多量に使用され、
陣痛ばかり強く来て、子宮口が開かず、帝王切開に切り替えて欲しい等の
要望は受け入れられず、出産に長時間かかりました。
出産後 医師もやはり心配だったのでしょう、
1ヶ月ごとに診察に行きましたが、身体の成長はそれ程ひどく遅れはなかったため、
(やや遅れてはいたが、今はまずまず追いついています。)
異常なしと判定され、1才になったところで検診は終了しました。
身体障害が明らかなため、理解されやすい。
しかし身体障害を伴わない知的障害は、日本では「先天性のもの」と判定されてしまう。
私は、上記で産科医さんやYUNYUNさんが書いていらっしゃるように、
一時金を支払うという制度は、そのお金で障害の子にかかるお金として親が使って下さい。ということになりますよね・・・更に書いていらっしゃるように、
家族と一緒に国がその子を理解し育み、社会で生活できるような制度を作ることや
成長していく上での福祉にお金を使って欲しいのです。
そう言う意味で、先天性の障害にも補償(親が受け取るということではなく)を。という願いです。学校の送り迎えや入浴をはじめ、10才になった今でも全て親の介助が必要です。
知的障害児手当ては(脳性麻痺のお子さんは、7万くらい)月に5万程度です。
一生、親の介護が必要です。
10才の体で2才程度ですから、目も離せません。
もう少し手当てがあれば、親の体調が悪い時などヘルパーさんに頼む事が出来ます。
それにしても、重度知的障害は先天性、と断定しているのは、日本だけですよね。
身体に障害がなければ、立証できないのでしょうね。
度々すみません。
上記のコメントで、「身体障害が明らかなため理解されやすい」というのは、
「身体障害が明らかであれば、出産時の事故として理解されやすい」の間違いです。
Level 3さんが書いておられるように、
一時金補償というのはおかしな話です。
無過失なことなら、「避けられない偶然の事故」として産む側が加入する保険を
作るべきですね。
ただ、「出産事故」として認定されなければ保険はおりないですが・・・
ただ、もし私が一時補償金を受けられるとしても、やはりそれは要りません。
そんな事より、社会の理解を望んでいます。
ソラミさん,
おっしゃりたいことは理解できました.
それはむしろ社会保障・社会福祉の問題ですね.脳性麻痺や,その他の種々の疾患等で介護が必要な方にも,日本国憲法でいう「健康で文化的な最低限度の生活」が保証される必要があるですが,そのための社会制度がまだまだ不十分であるところが問題なんでしょう.
これは国が行なうべき仕事です.
ソラミさん、
ウチの息子も重度の知的障害です。
原因は出産時の脳内出血です。
身体の麻痺はあまり目立たないですが、
眼震とてんかんがあります。
どうやら無過失補償制度は保険でまかなうのですね?
ソラミさんの言うとおり制度前の補償はないって言うことですよね。
これから先、息子は長い人生を生きていかなければなりません。
この制度のできる以前と以後、生まれた時期によって、
障害児に、してあげられる事ができる、できない、この根本の違いを聞きたいです。保険だからって一言で片付けて欲しくないです。