再審開始決定取消す 名張毒ブドウ酒事件で名古屋高裁(asahi.com 2006年12月26日10時17分)
三重県名張市で1961年、ブドウ酒に入れられた農薬で女性5人が死亡した「名張毒ブドウ酒事件」で、名古屋高裁刑事2部(門野博裁判長)は26日、第7次再審請求審(同高裁刑事1部)が認めた奥西勝死刑囚(80)の再審開始決定に対する検察側の異議申し立てを認め、再審開始決定を取り消す決定をした。決定は、奥西死刑囚の死刑執行の停止を取り消し、第7次再審請求も棄却した。弁護団は特別抗告する方針で、結論は最高裁に持ち越される。
高裁の判断の当否について論評する材料は持ち合わせていませんが、
この事件は
昭和39年12月23日、津地裁で無罪
昭和44年9月10日、名古屋高裁逆転死刑判決
昭和47年6月15日、最高裁上告を棄却して死刑が確定
その後、今回を含めて7回の再審請求が行われているという事案ですが、法務省が確定後30年以上にわたって死刑を執行できないということは、やはり一抹の不安というか有罪であるとの絶対の確信が得られない事情があるのかな、と想像しています。
奥西勝死刑囚は80歳とのことです。
法務省は老衰死を待っているように思われます。
死刑の終身刑化とも言うべき事態が生じています。
追記
名張毒ブドウ酒事件、異議審の決定理由要旨(asahi.com 2006年12月26日12時22分)
平沢貞通と同じですね。全面否認している死刑囚がいて、外部に強力な支援団体があって、再審請求をしている限りは死刑執行はされない。
それだけでなく、裁判そのものに信頼性に欠けるところがあるのでしょうけど。
再審請求中の死刑執行も法的には可能なようで、25日に執行された藤波芳夫は再審請求中でしたし、過去にも実例があります。
刑事裁判では控訴審での事実認定が原則として法的な真実とみなされるにもかかわらず、法解釈の厳格さでは他の追随を許さず人間味に欠けると批判を受けることさえある法務省が、本件の死刑を長年にわたってなぜ執行しないのかが不思議に思えます。
法務省や検察庁の立場としては、新証拠等によって既に冤罪との心証を持つに至ったとしても未来永劫確定判決の弁護人たることを強制され、どのような新証拠が出たとしても、その都度その証拠価値を否定させるように努力しなければならないといったところなのでしょうか。
検察官には客観義務がありますし、再審請求権者として法が真っ先に掲げているのは検察官で、有罪判決を食った人間はその次です。
いかなる新証拠が出てきて、無罪が明らかになったとしてもしつこく前確定判決に固執することは本来あってはいけないはずですが。
少なくとも、検察としてはなお確定判決を正当と考えているという建前でしょう。裁判官としても、心証が割れるようなものであることは間違いないですし。
はじめまして。
学部時代の研究テーマが刑事再審でしたので、名張事件に関しても考察したことがあります。今回、異議審決定により再審開始決定が取り消されたことで、更なる長期化が予想されます。正直な感想としまして、改めて、いわゆる真犯人の出現などの「明らかな」証拠でなければ再審は開始されないという印象を受けました。
皆さんご存知のことと思いますが、袴田事件の裁判官が「無罪だったと思う」という告白をしましたね。
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/d/20070226
この裁判官の発言が最も正確に引用されているソースをご存知の方、情報提供をお願いします。
著作憲法違反かと思われますが、とりあえずYouTubeをご紹介します。
http://www.youtube.com/watch?v=IvR59YfCxpo
不適切の場合、削除お願いします。
>峰村健司 さん
情報提供ありがとうございます。
ニュースの著作権にはドンカンなモトケンということで消さないことにします。
真相は依然として藪の中だと思いますが、裁判所も罪なことをするなと思いました。
反対した左陪席に死刑の判決書を書かせるなんて。
このニュースによって、裁判員裁判での死刑判決が確実に減ることになったと思います。
死刑判決の責任と重圧というものがある程度は伝わったでしょうから。
そして、袴田死刑囚の執行が遠のいたと言えるかも知れません。
著作権に関しては、1月7日のエントリ「著作権についてちょっと考えた」を拝見していたので、大丈夫だろうとは思っていましたが、形式上釈明を入れさせて頂きました(笑)
新聞記事の引用と言うことなら、裁判官が書いている日本裁判官ネットワークブログも、結構やっていますね。というか非常に多い。しかもモトケンさんの言われるところの「その中には現在の著作権法の解釈を形式的に適用すれば著作権法違反になるものも含まれていると思」われます。
今日のエントリなんか、毎日新聞の引用で、最後のところに記者名を記すための墨付き括弧までコピペされていて笑えました。
http://blog.goo.ne.jp/j-j-n/d/20070301
袴田事件のほうに関しては、痛々しくて…
袴田事件の支援者の集会で、熊本元判事が語ったと読売新聞に出ました。テレビでもやっていました。
http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20070309i116.htm
ついでに、日本裁判官ネットワークブログでも取り上げられていました。