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死刑判決:今年は44件 厳罰化で80年以降最多(毎日新聞 2006年12月29日 3時00分)

 全国の裁判所で今年、死刑を言い渡された被告を毎日新聞が調べたところ計44人に上り、最高裁が集計をまとめた1980年以降、最も多いことが分かった。死刑判決が確定して拘置所に収容されている死刑囚94人も、年末の収容数としては戦後最多となった。
 80年以降、死刑判決を受けた被告の数は年間5〜23人で推移してきたが、01年に30人に達した。厳罰化の流れの反映とみられ、02年24人▽03年30人▽04年42人▽05年38人と、死刑判決が言い渡されている。

 たしかに厳罰化の傾向は私も感じています。

 しかし、「死刑判決が44件だったから」というような統計的な数字を前面に出して「厳罰化」を強調するのは安直過ぎないか。

 この記事は

 今年の主な死刑判決は、連続幼女誘拐殺害事件の宮崎勤死刑囚(44)=1月17日、最高裁▽元オウム真理教幹部、新実智光被告(42)=3月15日、東京高裁▽同、土谷正実被告(41)=8月18日、同▽小1女児誘拐殺害事件の小林薫死刑囚(38)=9月26日、奈良地裁−−など。

と報道しているが、これらの事件の中で20年前なら死刑にならなかったのではなかろうかと思われるのは小1女児誘拐殺害事件の小林薫死刑囚くらいではないか。
 以前と比較して厳罰化かどうかは、事件の数ではなく、個々の事件の中身を検討してみないとわからないはずです。

 厳罰化の主体は誰かという問題もあります。
 死刑判決の問題を前提にすれば、裁判官が厳罰化している、という論調が多いように感じられます。
 しかし、問題はそれだけか。
 死刑に値する犯罪が増加しているのではないか。
 国民の多数はどう思っているのか。

 このあたりを意識しないで、44件だから厳罰化、と言われても、毎度おなじみの統計のごまかしを見せつけられているような気がします。

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コメント(10)

失礼します。

素朴な疑問です。
何故、死刑囚の人数などを公表するのでしょうか?
公表すべきものなのでしょうか?
どなたか、ご教授願います。


失礼しました。

 司法統計として公表すべきものと考えます。
 具体的には犯罪白書等で公表されています。

 国民が現在の司法の運用状況を知るための資料の一つとして重要な情報です。
 あくまでも資料の「一つ」ですが。

裁判官が厳罰化をしていると言うのも解らなくは無いですが、
実感としてあるのは、国民一人一人が厳罰化を望んでいるというような空気は感じます。

少年法の問題や、噴出した飲酒運転や危険運転致死傷罪の問題。

それらの処罰感情を判決に取り入れているとも考えうるかなと思いました。

死刑に値する犯罪が増加しているかは解りませんが、
死刑判決を受けた犯罪と言うのは概ね、死刑に値しうるものだったと思います。

ただ、国民の処罰感情の高まりがあるとしても、
子供の可塑性や、刑事政策的に厳罰化の抑止効果は疑問視されても居ますので、
その辺を踏まえて冷静に考えたい、考えて欲しいと思います。
メディアに煽られて感情だけが高まったでは間違った方向に行きかねない。

ごめんなさい。ちょっと死刑から横道に逸れちゃいました。

>No.4 zero さん

 許容範囲でしょう。

>メディアに煽られて感情だけが高まったでは間違った方向に行きかねない。

 ここがポイントだと思いますし。

 この記事を読んで感じた事は

 〇犒困燃猟蠅靴進が何人いたのか分からない

 ∋犒困増えたとして厳罰化なのか犯罪行為が凶悪化したからなのかが分からない

 従って、「この記事は何を言いたいのか分からない」ということです。

 厳罰化したというためには、以前なら死刑判決などなされなかった同種事案に、今では死刑判決がなされているという実態が検証される必要があると思います。死刑判決が増加している原因・背景に対する考察がないこの記事は、それを読む人に考えさせるものであるなら意味もあるのかなあ、と思いますが。厳罰化というタイトル付けはミスリードを誘うもの以外のなにものでもない感じがしますね。
 

医療関係の報道を見るといつも感じることなのですが、論調が正しいのかどうかの判断材料が示されていることは稀です。
読者が判断できるような記事を書くという訓練をしていないのでしょうか。

「ただ何となく、そんな気がして」レベルで記事を書いているわけではないでしょうに。

わたしは医者ですが,その仕事は,データや証拠の吟味です.
データや証拠の吟味は,そのデータの出所が正しいかと,解釈が正しいかになります.
で,その解釈が正しいか,再度検討できなければ,仕事の正確さが疑われます.

その点で,新聞記者は気楽な商売だなぁ,と思います.
データの出所は,基本的に,取材源の秘匿と称して,隠しておけます.
解釈は,この記事のようにいい加減にやっても,記事になります.

論文の査読風にこの記事を検証すると…….
(1)グラフが間違っている.
 死刑確定者数という毎年の累積数と,年間死刑判決数という年ごとの個別の数字を同一の折れ線グラフで表示している.本来直接比較できない数字なので,これは,同じY軸に載せてはいけない.
 累積数は棒グラフにするべきではないですか.

(2)死刑確定者数の年次変化は,本来,その年の新たな死刑確定者数と,死刑執行者数の差なのだから,そのプラスマイナスを提示してください.

(3)本邦の裁判は三審制であり,通常死刑事案は三審まで争われる.この記事は「死刑判決宣告数」を論じているが,この数え方では,1人の死刑求刑事案について,3回死刑判決があったとカウントし,死刑判決宣告数を誇大に表示している.一審死刑が,高裁で無期になることも決して珍しいわけではなく,死刑確定数を数えない限り,「厳罰化」かどうか論じられません.
この記事の死刑判決宣告数の取り方は,高裁で減刑された場合がカウントされないので,ナンセンスです.一審死刑判決が10件あっても,それが,高裁で全て無期に減刑された場合を仮定すると,死刑判決宣告数10ですが,死刑確定者数は増加しません.

(4)死刑判決数の増加は「厳罰化」の結果だけではなく,「事件の凶悪化」あるいは「事件発生数の増加」という解釈もできますが,その視点では全く論じられていません.考察が不充分です.

以上,再検討が必要です.

かつとし先生のご指摘の4点
検討不足か意図的なものか
おそらく両方含まれてると思います

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