エントリ

 鹿児島地検が8日、控訴断念を決めたことを受け、警察庁の漆間巌長官は同日、当時の鹿児島県警本部長の稲葉一次・関東管区警察局総務部長(53)に、「捜査指揮が不十分で、反省すべき」として注意文書を手渡した。

 国家公務員法に基づく懲戒処分ではなく、業務上の指導にあたるが、個別の捜査指揮について長官が本部長を注意するのは極めて異例。稲葉総務部長は「肝に銘じ、今後に生かしたい」と述べたという。

 これが内部批判としては精一杯ということでしょうか。

 鹿児島地検が控訴断念を表明する前に行われた同日の定例記者会見で、漆間長官は、選挙違反事件の捜査指揮について、「本部長は全体のチェックが役目で、事件が成り立つかどうかを見極める資質がなければ失格だと思う」などと厳しい口調で述べた。

 このような資質がある本部長はいったい何人いるか。。。

鹿児島県議選めぐる公選法違反事件、地検が控訴断念(2007年3月9日1時45分 読売新聞 キャッシュ

 検察当局は当時の担当検事に対し、「(県警への)チェック機能を果たせなかった」として異例の指導を行う。

 ヘタをうった検事が先輩や上司から叱られたり指導されるというのは別に異例でもなんでもないですが、このように報道されるというのは異例でしょう。
 繰り返しになりますが、たしかに本件の捜査は検事の捜査の体をなしていません。
 でも、指導を行うなら捜査をしていた当時に鹿児島地検の上司が行うべきだったと思います。
 当時の検事正は既に退官していますが、次席検事はどうなっているんだ、と問いたいところです。

 また、県警も捜査を指揮した捜査2課警部(56)と志布志署生活安全刑事課長の2人(所属はいずれも当時)を8日付で厳重注意処分とした。

 誰も納得せんでしょうね。
 本部長(当時)も処分すべきですよ。
 本部長を処分しないということは、本部長なんてのは飾りに過ぎないということを警察自身が認めていることになってしまいます。

 しかし、警察は曲がりなりにも処分したわけですから、検察はどうするんだ、という声が出てきて当然ですね。
 もう一度言いましょう。当時の次席検事はどうなっているんだ!

 水沼次席検事は控訴断念の理由について「アリバイを覆すのは難しく、会合が存在したとする証拠がない」と述べた。さらに、「供述など証拠の吟味、精査が不十分だったことは率直に認めざるを得ない」と話した。

 現次席検事のスポークスマンとしてのコメントですが、ここまで率直に捜査不十分を認めるのは異例だと思います。
 本当にひどい捜査だったということを裏付けています。

鹿児島県議選買収:12人に対し謝罪…地検と県警(毎日新聞 2007年3月8日 21時06分 キャッシュ

 ある検察幹部は「当初の見立ても疑問だらけだし、裏付ける(金の出入りなどの)証拠もない。それなのに『自白しろ』と迫るやり方は暴走だ。なんのために捜査しているんだ、と批判されても仕方ない」と唇をかむ。
 県警幹部の一人も「功名心で事件にしようとしたから、こんな結果になる。1000対0で無罪だと思っていた。普通は無罪だと悔しいが、今回はまったく思わない。ひどすぎる」とため息をついた。

 警察・検察内部から見ても、どうしようもない捜査のようです。

鹿児島県議選買収:やっと無実の身に…地検控訴断念(毎日新聞 2007年3月8日 20時29分 キャッシュ

 落合弁護士のコメントが載っています。


 以上のニュースは大石英司さんの代替空港経由でキャッシュ保存を付加して引用しました。

 大石さんは

なぜ引き返す努力をしなかったんだ? 君たちは。

とおっしゃってます。

 これは主として、鹿児島地検に対して投げかけられた言葉だと私には聞こえます。

 法廷における証拠の意味や価値を評価できるのは警察ではなく検察だからです。
 鹿児島地検は、判決が出るはるか前のいずれかの時点で無罪を確信したはずです。
 そういう場合にとるべき手続についてはいろいろ議論がありますが、少なくとも検察としては被告人の立場を考えてできるだけ早く裁判を終わらせるべきあると考えます。
 
 私が検事をしていた当時から、検察には一度起訴した事件についてはやたらと往生際の悪いところがあると感じていました。
 基本的に好きな検察庁ですが、検察の中の嫌いな部分の一つです。

 しかし、これほど内外からぼろくそに捜査が批判される事件は珍しいです。
 最近の富山の強姦冤罪事件も本件に匹敵するひどい捜査なので珍しくないと言われると、そう言われるのも「仕方がない」と思いますが、気になるのは、本件も富山の事件も検事が検事としてやるべき捜査をしていないということです。
 若手検事の指導体制に問題がないかどうか心配です。

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この事件、実は今朝まで知りませんでした。朝のテレビ番組で事件の詳細を知って、非常に驚きました。そして、犯罪とは無縁に田舎でまじめに暮らしていても「いつでも犯罪者にされるんだ」と怖くなりました。

司法は正義の味方、という原則が揺らぐ事件だと思います。医療が崩壊するように、国民の司法への信頼が揺らぎ、司法が崩壊する前触とならなければいいんですが。

朝のテレビでは、検察が数名の警部に競わせた、なんて報道もありましたが(どこまで本当かわかりません。テレビはいい加減な報道をすることは承知ですし、私の記憶もあやふやな面もあります)それがもし本当なら自分の手柄のために犯罪者を作り上げることがあるということで、福島事件もそういう流れがあったのかもしれない、と勘ぐりたくなりました。

モトケンさんはこの事件を厳しい目で見ておられるようで、すこしばかり救われました。

中山さんはこの騒動で県議を辞職されていますが、県警・地検サイドはどう償うんでしょうね。次の選挙では県警を挙げて“こっそり”応援でもするんでしょうか(^^)

ところで、「県警も捜査を指揮した捜査2課警部(56)と志布志署生活安全刑事課長の2人(所属はいずれも当時)を8日付で厳重注意処分とした。」とのことですが、

現職県議を的にかけるような捜査を、本庁の一警部(課長補佐レベル?)と所轄の課長の判断でやるとは思えないんですけど。本庁の捜査2課長あたりならキャリアかもしれんので、叩き上げの警部がかぶった(かぶらされた)のかも知れませんが。

>なぜ引き返す努力をしなかったんだ? 君たちは。

イケイケドンドンと無謬主義からくる
インパール症候群でしょ

本ブログで、この件や外山えん罪事件について、医療関係ほど盛り上がらないのが、正直残念です。

さて、地元では有名な話のようですが、「自白しないと、親兄弟親戚子供も同じ目に遭わずぞと脅されて、両親が庭木で首を吊ろうとしていたことろ、子供に発見されて思いとどまった方」、「気がおかしくなって、川に身を投げた救い上げられた方」など、お亡くなりにならなかったのが幸いというケースがあるようです。
事実上の拷問で、警察署で気絶し、虚血性心筋梗塞を起こした方もいらっしゃるという話もあります(ただし、裏はとっていません)が。

これでも、警察官は逮捕されないのは、どうしても納得がいきません。ところが、民間人だったら、喫煙していた女性に足蹴りにしただけで、「逮捕」ですよ。警察官は、「捜査」という名がつけば、何をやっても許されるという「認識」を、ぜひ改めていただきたいものです。

こんなエントリを上げるモトケンさんって、勇気有りますね。(ホメゴロシ)

検事さんがたを敵に廻すのって正直怖いですもの。その意味では三井環さんよりも山根治先生を私は深く、尊敬しております。

さて、この事件何故、検事正は出てきてあやまらんのですかね。
なんでもいつでも次席にまかせて済む問題じゃないでしょう。
スポークスマンではなく、検事正がでるべきでしょう。

ここにも、検察の真の堕落があると思う。検事正がでれば、国民は驚いて見直すことでしょう。

この事件では、警察の捜査の指揮系統にも異常な点が見受けられます。
一部報道によれば、なかなか自白を引き出せない捜査員に業を煮やしたK警視の指示に従い、I警部が取調官を次々に変えたとされています。
また、大石氏のブログにおいても「K警視が自身の功名心のためにI警部とともに事件をでっち上げた」としています。
通常であれば、本件の捜査指揮を執ったI警部は県警本部捜査二課の特捜班長であり、志布志署に捜査本部が置かれているとはいえ、そして階級が上であるとはいえ、同署署長のK警視から直接指揮を受ける立場の人物ではありません。
I警部に指揮を行う権限があるのは、彼の直接の上司である捜査二課の次席、そして捜査二課長です
にも関わらず、なぜI警部はK警視の指示に従ったのか、なぜ県警本部は、捜査本部の異常な事態に介入しようとしなかったのか、解せません。
また、N元県議の対立候補で、本件の情報提供者と言われている某県議とI警部は20年来の友人で親子同然の付き合いをしている間柄であるとの報道もなされていますが、事実であれば、そのような交友関係を有する人物が捜査二課の特捜班長の職に就けることは通常では考えられません。
これらの報道が事実であるならば、政治家との癒着、警察捜査の私物化という、まさに司法に対する背信行為であり、これはもはや犯罪と言っても過言ではないように思えます。
>No.2じじいさま
>現職県議を的にかけるような捜査を、本庁の一警部(課長補佐レベル?)と所轄の課長の判断でやるとは思えないんですけど。
基本的に贈収賄事件は本部長指揮事件で、事件のゴーサインは本部の上の方で決定されますが、現場の事件指揮そのものは特捜班長(警部)が行いますから、責任は重大です。
ただ一緒に処分された生活安全刑事課長さんは、はっきり言って何の権限もないはずですから、これは定年退職してしまったK警視の身代わりでしょうね。
ちなみに、規模の大きな県警の捜査二課長はおっしゃるとおり若い(30歳そこそこ)キャリア組のためのポストですが、鹿児島県警ではそうではないようです。


 当時の検事さんは、とっくの昔に、クビ(肩タタキ)になっています。でも、担当の検事さん(3年目)を検察庁から追い出しただけでこの事件に終止符を打てるとは考えない方が良いですね。少なくとも、3年目の検事さんの仕出かした不始末ですから、上司である次席検事さん、3席検事さん、そして最高責任者であった検事正さんも何らかの責任を負うべきです。民事で、それらの方々の個人としての責任を追及することは出来ないのでしょうか?余りにも酷い、検察官や、警察官には、公務員には、国や県、地方公共団体が損害賠償を請求できる制度を作って欲しいですね。
 その後、鹿児島地方検察庁では、この事件の事後処理に、専従の検事さんを置いて、事件の洗い出しを進めたようですが、とてもじゃないけど、公訴を維持できる内容ではなかったようですね。

>成田の近くの住人様
>これでも、警察官は逮捕されないのは、どうしても納得がいきません。

この件に関しては、被害者が特別公務員暴行凌虐罪で告訴し現在捜査中です。

No.6 感熱紙さんのコメント

N元県議の対立候補で、本件の情報提供者と言われている某県議とI警部は20年来の友人で親子同然の付き合いをしている間柄であるとの報道もなされていますが、事実であれば、そのような交友関係を有する人物が捜査二課の特捜班長の職に就けることは通常では考えられません。

M県議(某県議)は議長選挙の贈収賄事件で起訴されたこともある方なんですが(私は金はもらってない、金をあげただけだ)とノタマッタ方です(たぶん)。

その様な人と警察官の癒着が公然と許されるほど司法は腐ってるんですよね鹿児島
(大隅半島わ)

志布志市では、嘘つきは警察のはじまりと揶揄されております。

検察と警察の違いすら解らない方々をあえて的にかけたその性根の腐ったやり方に憤りをこして○○すら感じている方々も

※大隅半島は弁護士過疎化の場所でもあるのも理由の一つかもしれませんね

> No.4 成田の近くの住人さん
新潟の震災で問題になったことの一つに肺動脈血栓症(俗に言うエコノミークラス症候群−私はこの名称が適当とは思いませんが)や心筋梗塞があります。動脈硬化のリスクのある方は血栓ができやすくなりますが、ストレスはそれを助長し、リスクを高めます。過労でもこれらが非常に問題なっています。
当然長期取り調べに対するストレスのために心筋梗塞になっても不思議ではありません。

>なぜ引き返す努力をしなかったんだ? 君たちは。

夕張の問題でも同様の問いかけにある部長は「言えなかった」としか答えていません。
組織が決定した事項あるいは推進しようとする方向に異議を唱えると(特に人事権を握る上司に対しては)人事で報復されてしまいますから、結局、それに疑問を抱いても誰も何も言おうとはしないのが、公務員の世界です。民間であれば、間違った方向に進めば、即、それが、会社の存続や自分自身の進退につながるので、(公務員よりは)リスクに対する考え方がシビアであるように思います。

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