エントリ

被害者参加制度 「2次被害の恐れ」と反対運動(ヤフーニュース 3月8日9時57分配信 毎日新聞 キャッシュ

 被害者裁判参加制度(あるいは単に被害者参加制度)については気になっていました。
 感覚的にはあまり賛成できないと思っていたのですが、被害者側からも反対意見が出てきたようです。

 「酔うぞの遠めがね」でも触れられており、同ブログが引用している山下幸夫弁護士の「法と常識の狭間で考えよう」によくまとまったエントリがあります。

 この制度は、「全国犯罪被害者の会」という被害者団体の強い働きかけによって法制化が進められているようですが、「全国犯罪被害者の会」の皆さんは、どうも自分たちにとって都合のよい、という語弊がありますが、自分たちの期待する法廷の状況だけをイメージして法制化を働きかけ、法制審議会などは法廷の現場がどのようになるか的確なシミュレーションを行わずに(または行えずに)採用すべきと考えたように思われます。

 つまり、「全国犯罪被害者の会」の皆さんは、被害者・遺族が被告人に真相を語れと要求すれば被告人は真相を語り、被害者・遺族が被害の苦しみを語れば被告人がうなだれ、反省し、自責の念に苦しむと考えているのではないかと思われるのです。

 しかし、現実の被告人はそんな殊勝な人間ばかりではありません。
 ふてくされ、反論し、嘘をつく被告人はいくらでもいるのです。
 裁判官や検事すら恫喝する被告人もいるのです。

 これに対し、日弁連や「被害者と司法を考える会」は

被害者参加制度について、同会は(1)被害者の負担が大きい上に、法廷で被告から逆に落ち度を追及される恐れがある(2)参加しなかった場合に、処罰感情が薄いと受け取られかねない(3)裁判終了後に被告から報復される危険がある−−などと指摘。制度導入よりも前に、公費で被害者に弁護士を付ける仕組みを確立することや、被害者への捜査情報の説明を徹底すべきだ

と主張しているのですが、こちらの主張のほうがはるかに現実的なシミュレーションに基づく意見だと思います。

 裁判員制度にしろ被害者裁判参加制度にしろ、全然地に足が着いていない「司法制度改革」(皮肉を込めて括弧書き)ばっかりです。

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コメント(16)

国がわざわざ「法テラス」を作って、一見すると矛盾しそうな国選弁護関連業務と犯罪被害者支援業務の両方を「法テラス」にやらせることにしたんだから、国選弁護と同じように、公費で被害者に弁護士を付ける仕組みもやればいいと思います。
ただ、お金がかかるので、国はやらないでしょう。

被害者に法廷でしゃべらせるのにお金はかかりませんし、附帯私訴では2000円の申立手数料を徴収するようですので却って歳入が増えます。

司法制度改革も医療崩壊も、ある部分の根は同じところにあるような気がします。

例えば、平成19年2月7日開催の法制審議会第152回会議の議題4が「犯罪被害者等の保護に関する諮問第80号について」であり、その審議会情報を読むと「審議・採決の結果,同要綱(骨子)は,賛成多数で原案どおり採択され,法務大臣に答申することとされた。」となっており、こんな簡単に答申を決定してよいのかと思います。司法制度崩壊なんて、深刻でありすぎて考えたくもありません。

こんなメンバーで、全部で6議題あって、1日のうちに簡単に決める。法務省の役人が人気取りをするように簡単に運んでしまう。時間をかけて問題をつぶしていく努力をしない。軽薄な風潮になってしまっている。それも法務省までがと思ってしまいます。

医療崩壊と関係については、”医師の労働条件の実情について”においてNo.45 さかしたさんやNo.53 Med_Law さんが指摘された『医師の需給に関する検討会報告書 (平成18年7月)』の問題構造と似通った部分があると思ったからです。

リンクを多く張ると管理人さんにお手数をかけることから、No.2のコメントで「犯罪被害者等の保護に関する諮問第80号について」のリンクを張りませんでしたが、要綱(骨子)は以下にあり、その中の「第四  犯罪被害者等が刑事裁判に直接関与することのできる制度」です。
http://www.moj.go.jp/SHINGI2/070207-7-4.html

>リンクを多く張ると管理人さんにお手数をかけることから

 一つのコメントに二つくらいのリンクは大丈夫だと思います。
 No.2 は問題ありませんでしたし。

矢部善朗様

初めまして。マンション管理士(登録申請中)のOTTOといいます。

確かに、「被害者裁判参加制度」の目的は、被害者への手続き保障
であり、正しいと思います。
また、被害者も裁判に参加して、検察や裁判所に代わって被告人を
懲らしめてやりたいという気持ちもよく理解できます。
(私も家族にもしものことがあれば、きっとこう思うのではないかとも思います。)

しかし、私も「被害者裁判参加制度」は手段として妥当でないと思います。

理由は、日弁連さんと同じです。すべての被害者が公平に利用できる
とはとても思えないからです。

ただ、こんな声が上がるのは、そもそも、司法に対する被害者の不審である
と思います。迅速な裁判、妥当な処罰、捜査情報の説明など、被害者に
とってわかりやすい司法の実現をお願いしたいと思います。

えらそうなことを書いてしまいました。
お気を悪くなさらないで下さい。

今後ともよろしくお願いします。

以上

被害者裁判参加制度は、被害者の参加を大幅に認めたので「全国犯罪被害者の会」の皆さんもびっくり、という話を読んだような記憶があります。
司法改革はつまりは政治の場面で、それで政治の場面はつまりは多数決なんだなーと思いました。
なお、被害者参加の趣旨には最近流行のいわゆる修復的司法の影響があるのではないかと思います。
と、言いつつ、何気に自分のブログ記事をリンク

これ、医療裁判にも適用されたら、大変な事になっちゃいますね。
病気で死んだのに、医療ミスで死んだ。
って顔されて、遺族が証言に立ったら、素人の裁判官の判決に影響を与える可能性がありますから。

医療裁判以外でも、被害者に余計な負担を与える事になると思うのですが。

裁判官でそのくらいで騙されるほど馬鹿な人は少ないとおもいます

ある経営コンサルタント様

>こんな簡単に答申を決定してよいのかと思います。
>こんなメンバーで、全部で6議題あって、1日のうちに簡単に決める。法務省の役人が人気取りをするように簡単に運んでしまう。

あの〜、話の腰を折るようで申し訳ないのですが、諮問80号に関しては、下のメンバーで構成される「刑事法(犯罪被害者関係)部会」で、平成18年10月3日の第1回から平成19年1月30日の第8回まで計8回の部会で審議されているようです。月2回ペースで4ヶ月かけてやっているようですので、それでも十分かと問われるとビミョーですが、国の審議会にしては頑張っている方だと思いますので勘弁してあげてはいかがでしょうか。

国の審議会は担当スパンが広く、本審の方は専門性・機動性に欠ける部分もありますので、原案作成はたいてい部会の方で行います。メンバー構成的には本審の委員の中で、そのテーマに最も関係する専門家を部会長にあてて、あとはテーマにあった人選ということになりますです。で、部会の中でいろいろ審議を行い、最終的に部会の審議を踏まえた上で答申案を作成(これは役人)し、いろいろ部会員の意見を聞いて部会で了承し答申案の完成となります。

本審の方は手続きとして事前に委員に答申案を配布して読んでもらい、意見を聞いたうえで最終的に会議で了承する手はずになります。ですので、実際の会議の方はある経営コンサルタント様のご指摘のようにセレモニー的にあっさりしたことになっちゃうのが通常の流れだったと思います。

http://www.moj.go.jp/SHINGI/

本審の随分下のほうに部会の議事録もありますのでご参照を。

部会の最終的なメンバー表です。

法制審議会刑事法(犯罪被害者関係)部会委員等名簿
(平成19年1月30日現在)
(注)○印は法制審議会委員を示す。
学習院大学教授○芝原邦爾
東京高等裁判所判事阿部文洋
弁護士( 大阪弁護士会所属) 岩田研二郎
一橋大学教授上原敏夫
全国犯罪被害者の会代表幹事岡村勲
最高裁判所事務総局刑事局長小川正持
同志社大学教授奥村正雄
法務省刑事局長小津博司
法務省大臣官房審議官後藤博
東京大学教授佐伯仁志
京都大学教授酒巻匡
中央大学教授椎橋隆幸
いばらき被害者支援センター事務局長照山美知子
警察庁刑事局長縄田修
弁護士( 第二東京弁護士会所属) 番敦子
弁護士( 東京弁護士会所属) 前田裕司
最高検察庁検事松井巖
法務省大臣官房審議官三浦守
法務省刑事局刑事法制企画官飯島泰
最高裁判所事務総局刑事局第二課長伊藤雅人
内閣法制局参事官岩尾信行
名古屋大学教授大澤裕
法務省刑事局刑事法制管理官大谷晃大
法務省大臣官房参事官小野瀬厚
東京大学教授川出敏裕
警察庁刑事局刑事企画課刑事指導室長白川靖浩
法務省刑事局刑事法制企画官白木功
最高裁判所事務総局民事局第二課長花村良一
一橋大学教授山本和彦
京都大学教授山本克己

係官
法務省特別顧問竹下守夫
法務省特別顧問松尾浩也

資料・日弁連会長談話

◆被害者の参加制度新設に関し慎重審議を求める会長談話(2007年3月13日)
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/070313.html
(抜粋)
被害者参加制度には、以下に述べるような裁判現場での影響を考慮すべき様々な問題点がある。

まず、犯罪被害者等の生の声を被告人に伝えることの重要性は理解できるが、既に被害者等の意見陳述制度が導入されている。さらに被告人に対し、直接法廷で犯罪被害者等の生の声を尋問や求刑という形で対峙させるよりも、検察官や弁護人を介して伝える方が被告人に冷静に受け止められて反省を促すには有効であり、実際そのような努力がなされている。

また、本来刑事手続が予定しているところとは異なり、結果の重大性に圧倒され、検察官の主張に対して言うべきことが言えない被告人は少なくない。特に、正当防衛の成否、被害者の落ち度、過失の存否という重大な争点について、結果が悲惨であればあるほど、これらの点を主張すること自体が心理的に困難な状況に置かれている。法廷で犯罪被害者等から直接質問されるようになれば、被告人は沈黙せざるを得なくなる可能性がある。

そのほか、被害者参加制度が現行の刑事訴訟法の本質的な構造である検察官と被告人・弁護人との二当事者の構造を根底から変容させるおそれがあることや、犯罪被害者等の意見や質問が過度に重視され、証拠に基づく冷静な事実認定や公平な量刑に強い影響を与えることが懸念される。2009年から施行される裁判員制度においては、その制度設計の際に被害者参加制度のことが考慮されておらず、被害者参加制度が及ぼす影響は大きなものがあると予想される。裁判員制度が実施され定着する前に被害者参加制度を導入することによって、裁判員制度の円滑な運用に支障を来すおそれがある。

当連合会は、現時点において直ちに被害者参加制度を導入することは刑事裁判の本質に照らし将来に取り返しのつかない禍根を残すことになると思料する。以上の諸点について、国会において国民が納得のゆくように徹底的に審議を尽くすべきであると考える。

よって、当連合会は、この法案の国会における慎重な審議を求めるものである。

>結果の重大性に圧倒され、検察官の主張に対して言うべきことが言えない被告人は少なくない。

監禁王子やライブドア事件などを見ていると、結構、言いたいことを言っている被告も多いような気がしますが、気のせいでしょうか。それともまだ、いいたいことの万分の一も言えていないという趣旨でしょうか。

>国会において国民が納得のゆくように徹底的に審議を尽くすべきであると考える。

審議を尽くすのはもちろん当然なのですが、納得いっていないのは、弁護士会なのではないですか。私が不勉強なだけで、既に弁護士会が国民にアンケートを取られた結果なのかもしれませんが。

マスコミや某政党の常套句に「国民が○○といっている」「国民が納得いくように」「国民が許さない」と自分たちが国民の代弁者であるかのような言葉があります。実際に国民の大多数がそう思っているなら良いのですが、たいていは何の根拠もない、虎の威を借る何とやらなんですが。

マスコミもそうですが、国民の大多数は加害者よりも被害者に同情的ですので、本件については、国民の納得するポイントと日弁連の納得するポイントには大きな乖離があるのではないかと推察します。日弁連会長ともあろう人なら当然そういうこともご承知と思いますが、何故こんな言い方をしたのでしょうか。

>しかし、現実の被告人はそんな殊勝な人間ばかりではありません。
 ふてくされ、反論し、嘘をつく被告人はいくらでもいるのです。
 裁判官や検事すら恫喝する被告人もいるのです。

被害者が強制的に参加させられるわけではないんだから、そのあたりは気にしなくてもいいのではないでしょうか?
嫌なら参加しなければいいまでです。

> 結果の重大性に圧倒され、検察官の主張に対して言うべきことが言えない被告人は少なくない。

医療事故事案で過失を否認して争ったら、遺族が法廷に出てきて、
「過失がないなら、何で死ぬんだ!」と責められる。
そこで、さらりと「寿命ですがな」と答えられる度胸があればよいが。

いつも飛び入りすみません(笑)。
この議論でわからない単語がありますが(笑)、それは被害者です。
ふつう、人が亡くなったとすると、死ぬという被害を受けたといえるのは亡くなった本人だけなのではないでしょうか。

たとえば政治家や官僚の政治的行政的過失が人の死亡の原因となった場合、多くの遺族が被害者として裁判参加すれば、先のイラク前大統領裁判のごとく人民裁判以上のものにはなり得ないでしょう(笑)。

現在日本では亡くなった本人以外の誰についてどんな被害をどの程度誰が認定しているのでしょう。わからなくなりました(笑)。

被害者が死んでなければ、「被害者」がいるし、
死んだ場合は被害者が死んだことによって精神的物質的な損害を受ける遺族がいます。

参加できる遺族の範囲は多分法律がちゃんと制定するとは思いますが、
感覚的に、民法で生命侵害の場合の慰謝料請求できる近親者の規定(711条)に準ずるんじゃないかと思います。

>kenji47さま

制度の導入に反対されている被害者の方々は、もし参加しなかった場合に、参加した場合に比べて「処罰感情が高くない」と受け取られることも心配されているようです。

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