エントリ

堀江被告、懲役2年6月の実刑判決…直ちに控訴(2007年3月16日13時47分 読売新聞 キャッシュ
堀江被告実刑、判決理由の要旨
(asahi.com 2007年03月16日15時34分 キャッシュ

 客観面では本件の会計処理が粉飾にあたるかどうかが争われていますが、この問題についてはコメントできる能力がありませんので、控訴審がどう転んでも上告は必至ですから最高裁の判断が出るまで待つことにします。

 主観面での主要な争点は、いうまでもなく共謀です。
 ひらったく言いますと、堀江被告は本件の決算処理の内容を知っていたかどうかです。
 つまり、認識の有無です。

 認識というのは、心の中の問題ですから第三者が目で見てわかるというものではありません。
 被告人が、「知っていた」と言った場合はたいていの場合は知っていたと認定していいと思いますが、「知らなかった」と言ったからといって知らなかったことになるわけではありません。

 変な言い方ですが、主観は客観的に認定される必要があります。
 一番わかりやすいのが殺人罪における殺意です。
 人の胸を狙って拳銃を発射しておいて、「殺すつもりはありませんでした。」は通用しません。
 さらに言えば、金属バットで人の頭部を力いっぱい何回も殴って死なせたような場合などは、殴った犯人が本当に殺すつもりはなかったとしても、少なくとも未必の殺意は認定されてしまいます。
 繰り返しますが、真実殺すつもりがなかったとしてもです。
 裁判では、どういう状況でなにをやったか、という客観的事実に基づいて、殺意という主観の有無を認定します。

 本件の共謀と上記の殺意の例は厳密にいうとまったく同じではないのですが、まあ似たようなものです。

 以下は、具体的な証拠関係を知らずに書いていますので、私の感想または想像としてお読みください。

 判決は、量刑(実刑)の根拠として

 被告はライブドアの創業者で、当時唯一代表権を有する代表取締役社長であり、筆頭株主でもあって、グループ不動のトップとして君臨し、絶大なる権限を保持していた。LDMでの架空売り上げの計上については自ら実行を指示。それ以外の犯行も、宮内からの報告、提案を受けて、これを了承し、最終的な決定をする形で関与している。いずれの犯行においても、被告が中心的な役割を担ったことは否めない。被告の指示、了承なしには、各犯行の実行はありえなかった。

と指摘しているようですが、ここで指摘されている事実は量刑根拠だけでなく共謀の認定においても重要な事実だと思われます。

 そのような状況を前提にして宮内被告らの証言の信用性が判断されたと考えられます。

 言い換えれば、検察は、宮内被告らの共謀の存在を示す直接的な証言以外の証拠によって、

 「堀江被告が知らないわけないじゃん。当然知ってなきゃおかしいよ。」

 という心証を裁判官に得させることに成功していたものと思われます。

 だからこそ、弁護人が宮内被告の横領事実を検察がもみ消して堀江被告に有利に証言させたという主張に対しても、裁判所は横領もみ消しの可能性を認めつつも宮内被告の証言の信用性を維持したものと想像されます。
 判決は電子メールの内容を宮内被告の証言の信用性の支えとして指摘していますが、メールの内容がどの程度決定的なものであったかは疑問です。
 支えにはなったでしょうが、全体的な構図の信用性が問題になれば宮内被告の証言または供述を支えきれるものであったとは思えないところがあります。


 なお量刑等については、落合弁護士のブログも参考になります。

追記
 本エントリは共謀認定についてコメントしていますが、量刑(実刑)の根拠については、「堀江被告人、実刑判決の当否」で簡単にコメントしています。

| コメント(15) このエントリーを含むはてなブックマーク  (Top)

コメント(15)

裁判官の説諭について落合ブログが見る限り最も詳しかったです
ええ話じゃないですか

粉飾のもう一つの問題点として
公開されている文書だけから摘発前に指摘可能だったという点も重要で
そういう意味でも粉飾はクロと言っていいとおもいます

検察には上場企業以上に公益性公共性が高い地方自治体の粉飾債務隠しも
是非犯罪として摘発していただきたいです.放置されているように見えます.

さらに日興の粉飾もライブドアに勝るとも劣らないと思われ
こっちもバンバンやっていただきたいです

風説の流布も有罪になったのはいささか驚きました.
N村証券の営業なんてほとんど全員やっていると思います
テレビの全国放送で「ライブドアの株は5倍になるわよ」とか言ってた
インチキ占い師共々 小物過ぎるのかもしれないのですが
これも摘発しないとバランスが取れない気が非常にします
騙されたのは百人や二百人じゃないんですから

そして肝心要の裏社会ルートに対して
成果がからっきしだったことについては率直に反省していただきたいです
政治家は他になんぼでも叩けばホコリが出るに決まってますが
西の大物をアゲる機会は十年に一度くらいだと思います

>さらに日興の粉飾もライブドアに勝るとも劣らないと思われ
こっちもバンバンやっていただきたいです

検察は、絶対やらないと思います。
ライブドアの時でさえ市場に大混乱を起こしてびびってますから、大手の証券会社なんて経営破綻でもしない限り手を出せません。
大鶴君も地方に飛んじゃったことだし、特捜部が今後積極的な姿勢を見せることはないでしょう。
いったいライブドア事件とはなんだったのか?

あのー
日興の粉飾はすでに周知の事実で
TOBも成立しゃってるわけですから
経営者を逮捕しても市場の混乱は
一切 生じないと思います

ライブドアとはぜんぜん状況が違います
むしろ放置するほうが整合性が取れないです
証券市場に対する責任はホリエモンより重いでしょ

裁判官の事実認識(LDMの架空売上は堀江氏主導、他は宮内氏主導、横領揉み消しは否定できないが証言は信用できる)はかなり妥当だったような気がしますが、その割には量刑(実刑)がかなりアグレッシブですね・・・

初犯で再犯の恐れもなく(社長職解雇済)、それでもってこの罪状で、実刑ですか・・・。起訴されていないもろもろのグレー行為や社会的影響との「合わせ技」で「一本」ということなのでしょうか?

もしくは裁判官の心証が著しく悪かったかw

正直、この事件はあんまり関心はないんですが、これで検察の手駒として貢献した宮内氏や中村氏が軽い刑なら、ついに日本にも司法取引制度が定着ということになるんでしょうかね。

私は、ホリエモンがLDの広報部長であったなら、無罪でよいと思うのです。

彼は、LDの代表取締役Chief Executive Directorであったのであるから、他の取締役や従業員の行った行為について「報告もなく勝手にやったのだから、自分は責任がない。」というのは通らないと考えます。これを受け入れたら、会社というものが社会に対して不正義を働くことを容認することになってしまうことを懸念します。ホリエモンは刑法ではなく、証券取引法の刑事罰を問われているのであり、上場している株式会社における代表取締役の刑事罰という見方をすべきと思います。

いのげさん

>ライブドアとはぜんぜん状況が違います
むしろ放置するほうが整合性が取れないです
証券市場に対する責任はホリエモンより重いでしょ

そう整合性取れないんですよ。
そもそもこの当時の東京地検特捜部の方針がおかしかったんですよ。
http://www.moj.go.jp/KANBOU/KENJI/kenji02-01.html
「額に汗して働」かない輩を挙げようという摘発の基準が変なのです。
本来、粉飾決算が問題だというなら粉飾の額や態様、その企業の上場している市場などの要素で悪質性を判断すべきと思われますが、
そうではなく、目に付いた奴に手をつけただけなんですから。
だから、
>むしろ放置するほうが整合性が取れないです
証券市場に対する責任はホリエモンより重いでしょ
こういう矛盾に対して彼らは説明できる言葉を持たないんですよ。
ま、その特捜部も大鶴君、北島君が去って少しは穏健な方向に変わっていくんじゃないですか。

ライブドアの自己株売却益の利益計上は、会計上、真っ黒です。会計士が100人いれば100人が不可と答えると思います。また、これはある意味単純な粉飾で、発覚はしにくいが発覚してスキームがわかったら議論の余地無くアウトです。
一方、日興コーディアルの連結外しは、会計上、限りなく黒に近いグレーです。今はありえませんが、あの当時なら会計士100人いれば1人くらいはOKというかもしれません(事実、中央青山の会計士がOKと言ってしまったわけです)。その理由は、形式上は明文化された例外条項に該当しており、連結から除外するかどうか議論になり得るからです。連結の範囲は、支配や取引の実態を踏まえた上で行う物であり、そこは会計上、高度な判断が求められ、機械的に決定する事はできないのです。

ちなみにライブドア事件で興味深いなと思ったことは、当初は親会社と連結子会社との利益の付け替えという、どうでも良いような粉飾が捜査のネタとして報道されていたのが、いつのまにやら自己株売却益の利益計上にすりかわっていたことです。自己株売却益の利益計上の方が会計上大問題であるということに検察が自分で気づいたのか、どこかの時点で外部からアドバイスした人がいたのか、どっちなんでしょうね。

「裁判官がLD株を買っていて、大損したから、実刑プラス説教」なんてことはないでしょうね。

まぁ、これは冗談として、堀江元社長の肩を持つつもりではないのですが、他の経済事件(経団連所属企業の談合や粉飾決算)では、なぜ、ここまで厳しく逮捕・起訴しないのかが、納得できません。

何か、最近目立った若造をつるし上げて、「お上(および古くからの財界)に逆らったら、ただではすまないぞ」というメッセージのような気がしてなりません。

本ブログは法律関係の方も多くご覧になっていると思うのですが、経済事件に対する量刑については、どのようにお考えでしょうか。

>No.8 会計士X さん

>いつのまにやら自己株売却益の利益計上にすりかわっていたことです。

 特捜部もいろいろ勉強したのだと思います。
 主観面(共謀)での否認が強く予想される事件で、客観面(粉飾か否か)がぐらついていたのでは話になりません。

>一方、日興コーディアルの連結外しは、会計上、限りなく黒に近いグレーです。

 検察が日興コーディアルに手をつけない理由の一つかも知れません。
 ライブドア捜査で勉強した会計知識を日興コーディアルに当てはめて検討したと思います。
 しかし、最大の理由は検察の人手不足かも知れません。


>No.9 成田の近くの住人さん

 量刑面については別エントリでごく簡単にコメントしました。

No.8 会計士X さんのコメントに関し、このエントリーと離れてしまいますが、日興CGの連結財務諸表について:

2007年2月27日にあらた監査法人の監査報告書が添付された日興CG2007年3月期の半期報告書が提出されています。この連結財務諸表でも、ベルシステム24及びその子会社BBコールは連結対象外となっています。私は、2400億円もの投資を行い、子会社としてから2年半以上も経過しているにもかかわらず、2400億円の投資結果が財務諸表に反映されなくて良いのだろうかと思います。

ライブドア事件は会計上、真っ黒であるとして、2400億円は何もなしでよいのだろうかと思うのです。しかも、2400億円を投資した現在のベルシステム24資本金は90億円であり、BBコールの資本金は1億円です。

上場会社は、自社の情報を適切に開示する説明責任を持っているはずが、日興CGはそれを果たしていないと思います。何故こんなに甘いのだろうと思う次第です。

なお、ベルシステム24とBBコールの資本金は、次のベルシステム24のWebで分かります。

http://www.bell24.co.jp/company/info.html
http://www.bell24.co.jp/company/group.html

>No.10 モトケンさん
> しかし、最大の理由は検察の人手不足かも知れません。
自由と公平と安全を互いにより高度なレベルで保障するには、より高いコストがかかる、ということが今もっとも国民に必要とされる認識かもしれません。

>No.11 ある経営コンサルタント さん
半報を読みますと、「中間連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」の注記のところで、ご指摘の子会社は「営業取引として投資育成目的で所有」しているため、連結対象外としている旨、記載があります。
当該目的にて保有していると認められる場合は実務指針においても連結対象外とする事が認められており、またいわゆるベンチャーキャピタル投資会社はほぼ全て同様の処理を行っているものと思います。これは、いわば銀行の貸付金と同じで、その額がいかに巨額であろうが、その投資結果を連結の形で財務諸表に反映する必要はありません。
したがって、この場合に問題となるのは下の2点です。
ー詑屬箸靴討癲∋拉曚垢詭榲が無いと認められるか
∀結対象外の処理が適正であるとして、投資損失引当金の計上漏れがないか

,問題となったのが、今回の粉飾でしょう。名目上は資育成目的の所有としながら、実質的には支配していなければあり得ないスキームを組んでいたわけです。
ご指摘の会社について,OKと言えるかどうかは、詳細に監査しないとわからないでしょうね。
△砲弔い討蓮銀行の貸付金の自己査定に準じて査定を行い、ランク付けして必要に応じ引当金を積まねばなりません。これは投資を受けた会社の財政状態、経営成績、これからの事業の将来性等を加味して総合的に判断する必要がありますが、これまた詳細に監査しないとわかりません。また、資本金の額と比して投資額が大きいようですが、これだけでは剰余金の額が不明なため、のれんの大きさはわかりません。
ベルシステム24は会社法上の大会社に当たりますので、官報にB/S、P/Lが広告されているはずです。数年分の官報を入手して、予想DCFを出せば、少しは判断がつくかもしれません。土地の含み益とか、将来の事業計画等が不明なので精度は低いですが。
大銀行もこの手のキャピタル会社を持っている所が多く、さらにライブドアで投資事業組合が問題となりましたが、多くのキャピタル会社が投資事業組合に出資しています。担当会計士は心が休まらないでしょうね。

No.12 会計士X さんのコメントについて
(会計士X さんを非難するものではありません。貴重なコメントを頂いたと思っています。)

粉飾決算とは、経営者が自己の都合の良いように財務諸表を作成することと考えます。それは、一般的な良識に従っての判断が基準であると考えます。その基準で考えて日興CGの最新の半報財務諸表は信頼性が低く、粉飾の疑いがあり、日興CGは適切な説明をすべきであると考えます。(正しいのであれば、ベルシステム24とBBコールを連結からはずした理由について、あらた監査法人に対して行ったのと同様な説明(社外秘があれば、その部分をはずして良い)を一般投資家(潜在的投資家を含めるべきだから全員となりますが)にすればよいと思います。)

具体的には、次のようなことを思ってしまいます。
1) ベルシステム24とBBコールの株主資本
ベルシステム24の2006年5月末の貸借対象はここ(pdf file)にありますが、このベルシステム24の貸借対象における子会社株式50,065百万円のうち49,957百万円はBBコールと推定されます。株主資本(資本の部マイナス自己株式)は23,688百万円です。そして、この年度では、自己株式の取得を行い、NPIに132,014百万円の資本払い戻しを行っています。これを行うために資本の減少53,175百万円と資本準備金の減少52,362百万円を行いました。
一方、BBコールの株主資本は2006年2月末で19,389百万円です。(2006年6月1日の官報での公告による。同日付けで、BBコールも資本金と資本準備金の減少公告を行っています。)
通常では余り見受けられないことがベルシステム24とBBコールで行われています。日興は関与せずにベルシステム24とBBコールの取締役主導により行われたと言えるでしょうか?そんなことはないと思います。逆にそうであれば、2400億円を投資した先をコントロールしていない日興の経営者は全員失格であると思います。

2)連結会計
ベルシステム24がBBコールを取得時に計上したのれんが400億円です。上記の状態でBBコールに400億円ののれん価値があるであろうかの疑問があります。NPIHが増資ではなく発行済み株式を購入したのが1330億円ですから、日興CGがNPIHがベルシステム24を連結対象としていたと仮定しての計上されたのれんは、資産・負債の簿価評価となりますが、860億円です。合計すると1260億円です。
ベルシステム24とBBコールを連結した場合には、巨額ののれん計上となることは間違いありません。
2年半以上支配しておきながら、支配は一時的であると言うのは、日興CG経営者の言い逃れであることを払拭できずにいます。

3)固定資産減損会計
のれんの場合は、固定資産減損会計の対象です。「営業取引として投資育成目的で所有」として投資有価証券としたなら、やはり固定資産減損会計の対象であり、流動資産としたなら、(時価評価すべきか)とも思うのですが。いずれにせよ、日興CGのベルシステム24の資産評価は正しいのかと疑問を持ちます。

4)日本基準VS米国基準
日興CGは、CITIによるTOBの結果、CITI子会社になると思います。その結果、CITIは米国基準であることから日興CGの連結財務諸表も米国基準で作成されるはず。まさか、CITI連結財務諸表用と日本の報告用で異なった基準を採用しないと思うのですが。
米国基準で作成した場合でも、ベルシステム24がBBコールを連結対象外としての適用が許されるのだろうかと思います。

日興のことばかりで、エントリーとかけ離れて書いて済みません。監査を行った中央青山は解散となりました。主犯は生き延びて、引きずり込まれた監査法人は解散という不思議な事件と思います。米国では、EnronやWorldComの粉飾の結果、財務諸表の信頼性の向上のためのルール見直しが行われた。ライブドア事件や村上ファンド事件では、証券取引法の改正や投資事業組合に対する実務対応が作成された。日興CG事件に対しては、野放しというより、「多少の不正を行っても、上場廃止されることはない。」との結論を出してしまったと思います。

 日興コーディアルの問題については、まともなコメントができるほどの情報・知識・理解を持ち合わせていませんが、多くの国民が釈然としない思いをしていることは間違いないと思います。

 しかし、検察に「立件しない理由の説明」を求めてもそれは無理な注文だと思います。
 たぶん、越権になると思いますし、将来的に同種の不正を行う者たちに対して言い訳の口実と罪障隠滅の方策を教えることになる恐れがあります。

 日興CG事件については、下記ブログにわかりやすい解説が載っていました。

isologue March 13, 2007
日興の「悪さ度合い」と上場維持についての考察

> 本当に悪い事をしているという認識があれば、あらかじめヤバいメールは消しておくという行動に出たんじゃないか

 結局、検察の心証を左右したのはここだったのかも知れません。

法律相談へ

ブログタイムズ

このエントリのコメント