肝臓に排液管刺さり、72歳患者が失血死…東京の病院(2007年3月18日1時55分 読売新聞)
東京都板橋区の医療法人財団健康文化会「小豆沢(あずさわ)病院」で昨年9月、同区内の男性患者(当時72歳)が胸腔(きょうこう)内にたまった水を抜く処置を受けた際、誤って排液管が肝臓に刺さり、失血死していたことがわかった。届け出を受けた警視庁志村署では、業務上過失致死の疑いもあるとみて調べている。
同病院によると、この男性は昨年9月7日、胸腰ついの圧迫骨折などで入院。同15日朝、呼吸不全に陥ったため、レントゲン撮影などをしたところ、胸腔内に水や空気がたまっていたことが判明、排液管で水などを抜き取る処置を男性医師(39)に受けた。
同病院では、胸腔内に水がたまったのは、人工呼吸の際に肺が損傷したためと判断、専門医のいる新宿区の大学病院に転送した。ところが、検査の結果、排液管が肝臓に刺さり、血が止まらなくなっていたことがわかった。男性は同日深夜、失血死した。
小豆沢病院の話「男性が当病院の処置を受けた結果、亡くなったことは遺族におわびしたい」
> この男性は昨年9月7日、胸腰ついの圧迫骨折などで入院。同15日朝、呼吸不全に陥ったため、レントゲン撮影などをしたところ、胸腔内に水や空気がたまっていたことが判明、排液管で水などを抜き取る処置を男性医師(39)に受けた。
> 胸腔内に水がたまったのは、人工呼吸の際に肺が損傷したためと判断、
…前後関係が不明瞭でわかりにくい記事です。だいたい、胸腰推の圧迫骨折から呼吸不全って、受傷原因は何だったんでしょう? 交通事故ですか? しかも入院後1週間って??
胸腔穿刺をしたのは、気胸にでもなったか、胸水が貯まったからでしょうが、…。「人工呼吸の際に肺が損傷」って、ファイティングで気胸でも起こしたということなのかあ…?
また、穿刺後に転院したのは、穿刺後、ドレナージが悪くて胸水が逆に急増したということなのでしょうか?
わかりません。
伝言ゲームの一番最後にいる気分です。
医療事故:肝臓に排液管刺さり72歳死亡 東京の病院
【佐々木洋】
毎日新聞 2007年3月17日 15時00分
今回は毎日新聞の記事の方が読売よりも前後関係が少し整理されていてわかりやすいです。
…要は、(人工呼吸と関係なく)気胸+胸水による(?)呼吸不全になり、胸腔穿刺中に大量出血し、(手術で?)止血を試みたが効無く、患者さんが亡くなったということですね。
別の病院から転院してきたというところを見ると、長期療養中の患者さんだったのかも知れません。
横隔膜の胸腔側から入って腹腔側に抜け、さらに肝臓を刺したということから考えると、前胸壁か、側胸部からならよほど足方からの穿刺だったのでしょうか。…あんまり落ちてなかったので狙えるスペースが小さかったということでしょうか。であれば、今度は呼吸不全となった理由は別物でしょう。
どうせ気胸になっているのであれば、ペアン等で大きめに小開胸し、内針不要でトロッカー入れれば避けられた事故だったかも知れません。…普通はそんなコトしませんが。
また、気胸や胸水の原因次第では、死因そのものも失血で片付けて良い物かどうか分かりません。だいたい、ダメージコントロールできなかったのがなぜなのか、記事だけではもう分かりません。
>rijin様
まあ、いずれにせよ、あまりかばえる症例ではないと思います。
血気胸であれば横隔膜が挙上している事態は考えにくいですし、血気胸であるのに前胸壁から穿刺する医者は普通はいないでしょう(もし、血気胸で前方から穿刺したらならその方が問題)。側胸壁穿刺でしかもかなり足側から刺したというのが妥当な解釈だと思います。
> どうせ気胸になっているのであれば、ペアン等で大きめに小開胸し、内針不要でトロッカー入れれば避けられた事故だったかも知れません。
ん?これは斜めにではなく、肋間をまっすぐに開けてと言う意味ですか?少なくとも私はトロッカーを入れるときにはケリー鉗子で肋間筋を開排して(正確には肋間筋の肋骨上縁付着部を剥離)、小開胸をおいてから挿入してますが・・・。結構長いのトンネルを造りますので内針無しでは挿入できませんけど。
(肋骨下縁に皮切を置き、肋骨上縁で胸腔内にはいるようなトンネルを造って開胸、トロッカー挿入)
僻地外科医先生、こんにちは。
たしかに血気胸であって、事前にそれが分かっていれば、前胸壁からは行かなかいですね。ただ、気胸と少量の胸水の場合は、取り敢えず前胸壁からという先生もいるだろうと思います。
…個人的には側胸部からのドレナージの方が好きですが、…。
> 肋骨下縁に皮切を置き、肋骨上縁で胸腔内にはいるようなトンネルを造って開胸、トロッカー挿入
開胸を大きめにし、皮下トンネルも大きく剥離すれば、ペアンで肋間を拡げながら皮弁を一緒に持ち上げ、ほぼまっすぐの視野を内針無しで挿入することができます。
…なんでそんなコトしなきゃならなかったのかは内緒です。
また、自分も皮下トンネルは長いのが好きで、皮切はひとつ下の肋間に置いていました。
もう現場を離れて5年が経とうとしていますが、この辺り、今は何らかのevidenceがあるのでしょうか?
> No.3 僻地外科医 さん
前胸壁とは書いていないようですが、私は過誤を起こした後の処置が問題でなければかばう余地はあると思います。
まあ、確かに臥位であれば比較的胸水のたまりやすい後胸壁からアプローチをするのだとは思いますが・・・。
オーストラリアではトロッカー(中に金属が入っているもの)は完全に禁止されてます。
複数の欧米の人たちの話しでも、他の国の多くの病院で禁止されているようでした。
ぺアンや指で道を作った後、2つに割れた円錐状の金属製のものを入れ、それをトンネルにしてchest tubeを入れたりします。
どこに肋骨があるのか全く分からない人が大半を占めるのですが、特に脂肪層の厚い人は、円錐がとどかないので、長いかん子か何かで先端の穴をつまんで入れてました。トロッカーがあれば楽なのに、と何度となく思いましたが、ないものはないです。
日本人は、欧米人に比べ、器用だからということで、禁止されていないのでしょうね。
10年以上前ですが、胸腔チューブ挿入で 原因不明で死亡したとして 病理解剖に回った症例で チューブがしっかり肝臓に刺さっていたという事例を 病理の先生から聞いたことがあります。
CTやエコーはよく見て 行っているものと 通常は思いますが、刺し方が手荒であった可能性とか いろいろ考えます。
座位に出来ず、臥位でしか処置できない患者さんであったりすると つらいとは思いますが。。。。