著者と鑑定医、少年調書の受け渡しを否認…秘密漏示の捜索(2007年9月16日9時27分 読売新聞 ウェブ魚拓)
鑑定医と本の著者は否認しているとのことでありますが、本件は徹底解明されるべきと考えています。
著書の内容からしますと、供述調書等の裁判資料が流出したことは間違いないと思われます。
裁判資料に直接触れることのできる者は限られますから、鑑定医が重要参考人の一人であることは否定できません。
もちろんそれ以外の可能性もいくつかあります。
弁護人(付添人)、検察庁の職員(検事、事務官等)、裁判所の職員なども可能性があります。
いずれにしても不正な手段で流出したことは間違いありません。
私は、供述調書がそのまま流出したことに危惧感を覚えます。
供述調書というのは、警察または検察官が捜査の必要性に基づき、公権力を背景として被疑者や関係者のプライバシーを聞きだしてそれ書面化したものであることを忘れてはならないと思います。
参考人も捜査の必要性ということを前提として語ってくれているのです。
検察官や弁護人も、被告人や参考人のプライバシーを不必要に侵害しないように配慮しています。
この問題について、9月15日付け朝日新聞が記事を掲載していますが、その中に看過できない憲法学者のコメントがありました。
獨協大学法科大学院の右崎正博教授(憲法)のコメントとして
プライバシー侵害については、関係者が民事訴訟で解決すべきだ。
と言ったとされています。
編集が入っている可能性がありますが、このとおりの発言であったとすると、あまりにもメディア側に偏したコメントと言わざるを得ません。
「民事訴訟で解決すべき」というのは、要するに報道した後の事後救済手続で解決すべきということです。
しかし、それではメディアの書いたもの勝ちと言っているのに等しいです。
一旦メディアによって侵害されたプライバシーは回復は不可能です。
しかも、一個人とメディアという圧倒的力の差を無視した見解です。
メディア側に情報が渡る経緯において不正が介在していることが明らかな本件において、ここまでプライバシーを軽視するバランス感覚には信じられない思いがします。