某掲示板などでは、軽視しているとか無視しているという意見があります。
と問題提起していきなり話を変えますが、別エントリで企業の目的とコンプライアンス(法令遵守)についての議論がありました。
現在、コンプライアンスの重要性が強く強調されています。
企業の目的はといえば、やはり収益を上げること、つまり儲けることだと思います。
しかし、現在では、コンプライアンスを軽視または無視する企業は顧客の支持を得られない、その結果企業として成り立たなくなっているのでしょう。
要するに、企業が収益を上げるためにはコンプライアンスを徹底しなければならなくなっているということだと思います。
つまり、企業が存続し、収益を上げるための手段としてコンプライアンスが重要になるのであり、コンプライアンス自体が目的になっているのではないと考えられます。
専門外ですので言葉の使い方に自信がありませんが。
刑事弁護と被害者・遺族への配慮というのも同じ関係にあります。
ただし、企業のコンプライアンスのように不即不離な関係ではありません。
犯人性を否認する事件では、被告人はそもそも加害者ではないと主張しているのですから、そのような被告人やその代弁者たる弁護人に被害者や遺族に対する慰謝の措置を求めること自体筋違いということになります。
強姦事件で和姦を主張するような場合は、被告人と被害者の利害は決定的に対立します。
被害者の供述を弾劾しなければ弁護として成り立たなくなってしまいます。
そのような事件では、慰謝の措置はもちろん被害者の気持ちに配慮することすらできなくなります。
しかし、特に被害者との示談の成立が実刑と執行猶予を分けるような事案では、被害者に対して最大限の慰謝の措置を講じて示談の成立を追求することが、弁護活動の全てといってよいものです。
とにもかくにも被告人の行為によって被害が生じたという事実を争わない事案においては、被害者・遺族への慰謝の措置や被害感情に対する配慮は、最も重要な弁護活動のひとつです。
その意味で、加害の事実を認める事件において被害者や遺族のことを考えない弁護人というのは弁護士失格と言っても過言ではありません。
その観点で光市事件は殺意は否認するとしても傷害致死は認めているのですから、被害者・遺族への配慮が必要な事案といえるのですが、弁護団の遺族対応を見てみますと、配慮に欠けるところが散見される点が否定できないと思えます。
弁護団としては、死刑回避を至上命題とし、殺意の否認さえ成功すれば目的は達せられると考えていたのではないかと思えてしまうのです。
主にマスコミ対応(記者会見)についてそういう印象があります。
この問題は、今後、裁判員制度の実施を踏まえて弁護人としてもマスコミ対応の必要があると考えた場合は、全ての刑事弁護人にとって他人事ではありません。
しばらく前に「光市弁護団のどこが気にいらないか。」というアンケート調査のようなエントリを立てたところ、多くの率直な意見が寄せられました。
弁護士としては、もう一度、同エントリのコメント欄を読み返すことは無駄ではないと思います。
同エントリのコメント欄におきましては、私の趣旨を的確に汲んでいただき、議論に流れることなく忌憚のない意見を寄せていただいた皆様に感謝申し上げます。