2008年3月アーカイブ

日中合作の「靖国」、映画館が相次ぎ上映中止に(2008年3月31日21時28分 読売新聞)

今月12日から公開を予定していた日中合作のドキュメンタリー映画「靖国 YASUKUNI」が、東京と大阪の映画館5館すべてで上映中止となった。
最初に助成を問題視し、試写会に参加した自民党の稲田朋美・衆議院議員は「我々が問題にしたのは助成の妥当性であり、映画の上映の是非を問題にしたことは一度もない。いかなる内容の映画であれ、それを政治家が批判し、上映をやめさせるようなことが許されてはならない。私たちの行動が表現の自由に対する制限でないことを明らかにするためにも、上映を中止していただきたくない」との談話を出した。

 詭弁でしょうね。
 助成の妥当性を問題にするのであれば、事前に試写を求める必要もない。
 助成の妥当性を問題にする前提として映画の内容を問題にしているのは明らか。
 弁護士のくせに、つまり憲法を学んでいるはずなのに、表現の自由のデリケートさに対する配慮が全くない。

東京での「靖国」上映中止に 「近隣に迷惑の恐れ」(産経ニュース)

 上映を中止した銀座シネパトス(東京都中央区)を運営するヒューマックスシネマは「近隣の商業施設に迷惑を掛ける恐れがあるため」と説明している。

 ここにもプリンスホテルの論理の援用が見て取れます。

 無神経の極みの国会議員と公の意識皆無の経営者(いずれも極めて控えめな表現)にはとても腹立たしい思いをしております。

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「取り組み不十分」29カ所=裁判員制度、弁護士会次期会長アンケート(ヤフーニュース 3月30日15時1分配信 時事通信)

 2009年5月までに始まる裁判員制度について、全国の52弁護士会の次期会長のうち、29人が所属弁護士会の体制構築を不十分と考えていることが30日、時事通信のアンケート調査で分かった。

 半数以上ですね。

 容疑者段階の国選弁護も始まるため、「弁護士数が絶対的に不足」(青森・小田切達氏)と人数の問題を挙げる回答が多数を占めた。

 当然のこととして予測というか予定されていた状況です。
 こういうことになることは分かりきっていた、という意味です。

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検察側も控訴 秋田県藤里町の連続児童殺害事件(asahi.com 2008年03月31日11時21分)
東京地検が控訴 耐震偽装事件・小嶋被告の判決不服(asahi.com 2008年03月31日12時50分)

 秋田の事件は死刑求刑事案であり、死刑求刑というのは検察としても死刑求刑以外はありえない、判決も死刑以外は承服できないとして腹をくくって求刑してますから、無期判決に対しては控訴しなければ筋が通らないとも言えます。

 しかし、小嶋被告人については求刑が懲役5年であったことを考えると、控訴しなければ筋が通らないとまでは言えないと思います。
 ひょっとしたら被告人側が控訴しなければ検察もしなかったかもという思いもちらと浮かびますが、被害金額から見るとやっぱり控訴ですかね。

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http://mainichi.jp/select/today/news/20080331k0000m040063000c.html(毎日新聞 ウェブ魚拓

 このニュースページの「関連記事」のところなんですが、すごいです。
 重複記事もありますが、3月21日から30日にかけて、8件の殺人未遂事件が発生しています。

 上記とは別に
 19日に殺人を犯した犯人がと23日に土浦で8人殺傷事件
 25日に岡山駅の突き落とし殺人事件
 
 さらにググッて見ると
 27日に茨城県鹿島で強姦。殺人未遂(毎日新聞
 29日に神奈川県相模原市で妻の夫に対する殺人未遂(産経ニュース
 30日には大阪市住吉区で殺人未遂(朝日
 同日、兵庫県尼崎市で殺人事件発覚(毎日新聞

 いったいどうなってるんでしょう。
 
 

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長野の高校生がワシントンでジャズ共演(産経ニュース)

 こういうニュースは好きですね(^^)

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170法廷にカメラ設置・裁判員制度、証言など録画(NIKKEI NET blog of Dr. Makoto Ibusuki経由)

 裁判員と裁判官で有罪無罪や刑の重さを決める評議の際、ポイントになる供述や証言をDVDで再生し確認できるようにする。裁判員がメモを取る負担を軽くし、被告や証人の表情から「心証」を取ることに集中してもらう狙いだ。

 評議室で、「あそこで目を伏せたところが怪しい。」なんて議論をするんでしょうか。
 私も(たぶん多くの法曹も)、相手の表情を信用性判断の参考にしますが、表情を決め手にするとなるとかなり危なっかしいところがあります。
 そのあたりを踏まえつつ、「メモを取る負担を軽く」するというのは大事だと思います。
 私は、証人尋問のときに、ここが大事なポイントだと思うところしかメモしませんでした。
 どういうところが大事なポイントかというと、ほかの証拠と矛盾したり整合しない証言です。
 つまり大事なのは証言の内容でして、表情ばかり見ているのもまずいと思います。
 ましてネクタイの柄などは気にしないでもらいたいです。

証拠法上、評議室での再生をどう位置づけるのかとか、訴訟法的に興味のあるところだが、(blog of Dr. Makoto Ibusuki)

 たしかに気になりますが、ま、ここは堅いことを言わずに、というところでしょうか。


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プリンスホテル「真摯に受け止める」 港区が事情聴取(asahi.com 2008年03月28日13時04分)

 これまでプリンス側は「旅館業法違反にはあたらない」と主張していたが、区が宿泊予約の解約は同法に違反するとの判断を伝えると、渡辺社長が「真摯(しんし)に受け止める。旅館業法に違反するということはしっかり反省すべき点と考えている。今後は関係者の信頼を得るために努力する」などと述べた。

 何が「真摯に受け止める」ですか、っていう感じなんですけどね。

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 ボツネタ経由
 毎日新聞で「正義のかたち:裁判官の告白」という連載記事が掲載されています(リンク先は6番目の記事)。

 裁判員制度に向けて、多くの人に読んでもらいたい記事です。

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取り調べ規則、来春施行 警察内に監視担当者(asahi.com 2008年03月27日17時45分)

 警察本部や署の総務部門に設ける監視・監督部署の担当官(取り調べ監督官)は透視鏡で外から取調室内を見たり、報告書を読んだりして点検。本部の担当(巡察官)も定期や抜き打ちで署を回る。違反があれば、事件捜査を指揮する幹部に取り調べ中止や是正措置を求めることができる。

 必死の抵抗という感じがしますが
 これだけやってなお冤罪が出たらそれこそ全部録画に抵抗できなくなるでしょうね。
 きっと出ると思います。

 犠牲者が何人か出なければ変わらないと思います、この国は。

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自白調書も厳選、提出しない選択も 最高検が方針転換(asahi.com 2008年03月26日15時00分 ウェブ魚拓

 最高検の方針転換は、まったく不十分と見るべきか、方向性を誤っているのいずれかだと思います。

 自白に依存しないというならば、立証のあり方全体の再検討が必要であり、検察庁だけの問題ではありません。
 というよりも裁判所や裁判員の事実認定のあり方の問題です。
 さらには刑法の根本的な大改正も必要になります。

 自白は重要だという考えを維持するならば、取調べの適正化、具体的には可視化等によって任意性と信用性を確保する方向を目指すべきものと思います。


関連ブログ
 http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080327#1206574566(落合ブログ)

 最高検はともかく、高検は、役に立たない、どこにも持って行き場のない検事が集まった廃棄物中間処理場のようなところで、

 全ての高検検事がそうではありませんが、同様の印象を抱いたことはあります。

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落合ブログから
http://d.hatena.ne.jp/yjochi/20080327#1206549485

 法科大学院制度は旧司法試験における司法試験予備校の弊害が原因の一つとなって作られたと理解しています。
 つまり、司法試験に合格しても「使えない」人間がたくさん合格するようになってしまったことが原因と思っています。
 となると、問題は、法科大学院を卒業し司法試験に合格した者が「使える」か「使えないか」こそが問題であると思います。
 落合弁護士が指摘しているように、答案作成能力は実務文書作成能力と重なるところがあります。
 新司法試験的観点において優秀な答案は実務文書としても優秀でなければなりません。
 新司法試験の問題とその採点基準はそういうものでなければならないと考えます。

 その意味でも、評価する側が評価されていると言えます。

 かなり以前にこんな文章を書いています。
 「司法試験予備校考
 指摘を受けた法科大学院が予備校化しているかどうかは、指導の中身を見てみないとなんとも言えません。

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ヒューザー社長が有罪 耐震偽装知り販売 東京地裁判決(asahi.com 2008年03月25日15時07分 ウェブ魚拓

 毛利晴光裁判長は、住民11人から代金約4億1千万円をだまし取ったと認定。「エンドユーザー軽視の悪質な犯行で、被害者の人生設計を大きく狂わせた結果は重大だ」と述べた。

 ここだけ読むと、十分な被害弁償がなければ当然実刑だと思える事案です。
 なお、記事中に被害弁償についての言及はありません。

 この日の判決は「建築確認の検査済み証が出ていた事情があり、ヒューザーは耐震偽装の被害者ともいえる立場だったことは否定できない」とも述べた。

 どうもこの部分が執行猶予をつけた理由かな、と思うのですが、被害者だと見たとしてもその被害を結局エンドユーザーに転嫁しているのですから、エンドユーザーの被害の大きさに照らして執行猶予の理由になるのかどうか疑問です。

 しかし、詐欺の故意については「ごく軽い安易な気持ちでだまし取ることを認めた」とし、「強い意図があった」とする検察側の主張は退けた。

 なんですか、この判示は?という感じなんですけど
 「ごく軽い安易な気持ちでだまし取ることを認めた」という認定は被告人に有利な情状として見ているのでしょうか?
 もしそうだとしたら、違うんじゃないのかな、と思うのですが、、、

 最近、ピンとこない判決が多いです。
 私の実務感覚にずれがしょうじているのかと不安になります。

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風俗店女性殺害男に懲役6年 「取り調べで暴行」認定(産経ニュース 2008.3.24 19:59 ウェブ魚拓

 情報は必ずしも十分ではありませんが、報道に基づく限り納得できない判決です。

 並木裁判長は「被告は犯行時に過度の飲酒による心神耗弱状態にあった」とした

 「覚せい剤で心神喪失無罪判決」でも述べましたが、自らの意思で飲んだ酒を原因とする無罪や減刑は認めるべきではないと思います。
 この判決(少なくともこの判決報道)は、酔っ払った上での犯行は大目に見てもらえるという強いメッセージを与えることになります。
 特に飲酒は、覚せい剤と違って合法であり、その意味で抑制力が効いていませんので悪影響は覚せい剤無罪判決より深刻だと言えます。
 最近、裁判所の心神喪失や心神耗弱の認定が甘くなりすぎてはいないでしょうか。


 納得できない点がもう一点あります。

 公判では、府警の取調官に暴行を受けたとする黒木被告自筆の「被疑者ノート」が証拠採用され、供述調書の一部の採用が却下された。判決理由で並木裁判長は、取調官の暴行を認定し、「精神的、肉体的に苦痛を被ったことは量刑上考慮すべきだ」と指摘した。

 取調べにおける暴行は絶対許されるべきではありませんが、それは刑事訴訟上は供述証拠の証拠能力として問題にすべきであり、被告人が受けた「精神的、肉体的苦痛」は損害賠償(国賠)の問題として解決すべきであって、量刑に反映されるべきではないと思います。

 取調べ時の暴行を量刑に反映させた場合、それによって「精神的、肉体的苦痛」が慰謝されたと見るのでしょうか?
 慰謝されたと見るならば、別途国家賠償請求が起こされた場合、量刑に影響した範囲で損害賠償額を減じる認定が可能なのでしょうか?
 被害感情、遺族感情に対する考慮はどうなっているのだろうか?
 刑罰による法回復機能との整合性はどうなるのだろう?
 などなどと疑問がいくらでも出てきます。

 私としても、考えがまとまっているわけではありませんが、直感的におかしい判決と感じます。

 検察は控訴すると思いますので、上級審の判断が待たれます。

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 単なるつぶやき程度のエントリですが

 産経新聞などで報道されている精神鑑定をした何人かの鑑定人の証言を読んでみますと

 刑法39条というのは、所詮刑法理念の産物であって現実対応力のない規定のように思えます。

 犯罪の成否を左右する基準としては、いい加減過ぎます。

 いわゆる夫バラバラ殺人事件の被告人について、鑑定前に責任能力に問題があると考えていた法律家はたぶん一人もいないと思います。
 検察官は当然として、裁判官にとってもそして弁護人にとっても二人の鑑定人の鑑定結果は青天の霹靂だったと思います。
 検察官の再鑑定請求を裁判所が直ちに却下しなかったことにはっきり表れてます。
 裁判所の最終判断が注目されます。
 こうなるとどっちに転んでも控訴必至ですが。


 ついでに余談ですが、あの事件の被告人を「セレブ妻」と呼ぶのはまっとうな新聞社としての見識を疑います。
 まっとうじゃないのかな。

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志布志事件「違法に接見交通権侵害」 国・県に賠償命令(asahi.com 2008年03月24日13時58分 ウェブ魚拓

 接見内容を調書化することが絶対許されないというわけではないと思いますが(例えば弁護人による罪証隠滅工作があった場合など)、本件では調書化の必要性があったのかどうか疑問です
 事件全体の空気も影響しているかも知れません。
 
 普通なら国・県側が控訴すべき事案だと思うのですが、志布志事件を早く忘れさせたいと思ったらしないかも知れませんね。
 事件を風化させないために、是非国・県側に控訴してもらいたいと思います。
 理論的な問題として最高裁の判断を聞きたいという気持ちもあります。

 しかし、それはそれとして、警察は何のために「否認をそそのかされた」などという調書を作ったのでしょう?
 弁護人への牽制か?被疑者への圧力ないし被疑者と弁護人との離反工作の一貫か?
 結局のところは、弁護人が邪魔で邪魔で仕方がなかったんだろうと想像します。
 なんとかして弁護人を解任させたかったんでしょうね(そういう報道もあった記憶があります)。

 そういうことであれば浅知恵と言うしかありませんね。
 弁護人の存在を当然の前提として捜査ができなくて、一人前の捜査官と言えません。
 浅知恵に基づく調書化や調書化のための接見状況の取調べは、違法とされても仕方がないと思います。

 ここまで違法・不当捜査のかたまりのような事件は珍しいと思います。

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警戒中の凶行、県警捜査に不備? 変装・金川容疑者に気づかず(産経ニュース)

 結果論で批判してはいけないのですが

 金川容疑者は男子生徒(18)を襲った後、警戒中の男性巡査(29)の頭を切りつけた。巡査は同僚に取り押さえるよう叫んだが、付近にいた捜査員は金川容疑者の逃走を許した。

 ここのところは残念だったというほかありません。
 ほかの言い方もありえますが、現時点の情報に基づくモトケンの気持ちです。

 緊張感に欠けるところはなかったか、という点は問題になると思います。
 お前ならどうなんだ、という問いかけはあると思いますが、それなりの訓練を受けた警察官が市民の安全を自らの命を張って守るという状況なのですから、なんとかならなかったのかな、という思いがどうしてもでてきます。
 拳銃使用も当然想定内のことだったと思うのですが。

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最高検、取調べ全過程の録音・録画は拒否 日弁連反発(asahi.com 2008年03月22日03時14分 ウェブ魚拓

 検証によると170件の録画で撮影を担当した検事のアンケートで、全過程を撮影すべきだという意見はゼロ。「容疑者の供述の矛盾を厳しく問えず、十分な追及ができなくなる」「雑談や笑いもある取り調べを公開し、被害者や遺族が目の当たりにしたら、捜査機関に極度の不信感、嫌悪感を抱くかもしれない」などの意見が多かった。

 元検としましては、こういう意見が出るだろうなと理解できる意見ですが、

 「容疑者の供述の矛盾を厳しく問えず、十分な追及ができなくなる」というのはあまり説得力がないと思います。
 このような意見を述べた検事が何を考えているのか明確ではありませんが、厳しく問うシーンが裁判員から見ると任意性を疑われる恐れを心配したのでしょうか?
 しかし、供述の矛盾は誰が見ても矛盾なのですから、そこを厳しく問うのは当然でしょう。
 本音は別のところにありそうです。
 取調べ技術の未熟さが露呈するのを恐れているように思われます。
 
 「雑談や笑いもある取り調べを公開し、被害者や遺族が目の当たりにしたら、捜査機関に極度の不信感、嫌悪感を抱くかもしれない」のほうははるかに本音に近いですね。
 「雑談や笑いもある取り調べ」というのは日常的にあります。
 調書にならない本音もポロポロでます。
 紹介された意見では、捜査機関に対する不信感などが生じることを恐れていますが、場合によっては被疑者がポロリと漏らした本音が思いっきり被疑者に不利に働く場合もあります。

 可視化に関する議論は、録画されたもの全てが少なくとも裁判関係者(被告人、弁護人、裁判官、裁判員)に公開されることが前提になっており、場合によっては傍聴人にも公開されることが想定されているようです。
 しかし、以前も述べましたが、全面録画をするのであれば、公開対象場面と公開対象関係者を限定することが検討されるべきではないかと思います。

 録画は、被告人にとっても有利なことばかりではないのですから。
 場合によっては、被告人以外の関係者に重大な不利益を及ぼす場合も考えられます。

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 このエントリは「無罪推定の原則とネクタイ」の続編です。

 ネクタイをきちんと締めている人は「真面目な勤め人に見える。」という日弁連の感覚はごく普通の犯罪などとは縁のない一般市民の日常的な感覚だろうと思います。

 しかし、裁判員の前で展開される刑事法廷というのは日常世界ではありません。

 身柄拘束中の被告人は、手錠をされて腰縄を結ばれて法廷に入ってきます。
 たしかに初めてそのような姿を見る人(裁判員)にとっては衝撃的な光景だと思います。
 昔、検察庁に出入りしていた保険外交員の人に、「初めて見たときはショックだった。」という話を聞いたことがあります。

 そして、その被告人は検察官から犯罪者だと指弾されているのです。
 それも万引きや喧嘩の類ではありません。人を殺した者と言われているのです。
 そして、通常、すでに1か月以上、場合によって数か月以上自分の意思に反して身柄を拘束されているのです。
 被告人にとっても非日常的なそのような状況は、被告人の心身に目に見える影響を及ぼす場合があります。

 もし、その被告人が無実の冤罪被害者であったなら、その被告人が置かれている状況というのは不条理の極みというべき非日常世界です。

 その被告人が真犯人であったとしても、正直に反省している被告人であるとは限りません。
 あらゆる手段、つまり嘘八百や可能な限りの罪証隠滅工作を行って自己の罪を免れようとしているかも知れません。
 
 被告人が、「私は無実だ!」と叫ぶとき、その被告人が冤罪被害者であるのか罪を免れようとしている狡猾な真犯人であるのかは、ネクタイをしているかどうかによって区別できるようなものではありません。

 何が言いたいかといいますと、

 日弁連は、本来的に非日常的な状況に、日常感覚を持ち込もうとしている誤りを犯しているのではなかろうかという危惧です。
 非日常の世界を日常の基準に従って見てしまった場合、真相に迫ることは極めて困難になるだろうと思われます。

 すでに、前エントリのコメント欄で指摘されているところですが、日常感覚の見た目を問題にするよりは、裁判員に対して裁判および被告人の置かれている状況というものは非日常の世界なのであるということを理解させることこそが重要なのではなかろうかということです。
 
 そして日弁連の主張は、単に優先順位を誤っているだけでなく、裁判が非日常であるという最も重要な理解から裁判員を遠ざけてしまう危険があるように思われます。

 私は全エントリの最後で

 木を見て森を見ないような対策や、木ばっかり見ることによって森が見えなくなるような対策、または森を見えなくするための対策だったりすれば、そんな対策をとらなければならないということは裁判員制度などできる状況でないということです。

 と書きましたが、それは何が木で何が森かを見定めないと、結果的に「森を見えなくするための対策」になってしまわないかということを恐れたからです。

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裁判員裁判、予断排除のため被告のネクタイを容認(2008年3月20日03時05分 読売新聞)

 例によって揚げ足取りかもしれませんが

 拘置中の被告が出廷する場合、服装は原則自由だが、ネクタイは「自殺に使われる恐れがある」、靴は「逃走が容易になる」との理由で拘置所が認めていない。しかし、日本弁護士連合会は、拘置所を所管する法務省に対し、「裁判員が『やはり犯罪者なのか』という予断を抱けば、無罪推定の原則が揺らぐ」として、ネクタイ着用などを認めるよう要求していた。

 裁判員制度というのは、被告人がネクタイをしているとかしていないというくらいのことで判断の公正さが問題になるようないい加減なものだったんですね。

 見た目で犯人ぽいとかぱりっとしたスーツを着ているから無罪だろうというような気分で裁判されたらたまらんですな。

 たしかに、刑事事件の依頼者から、裁判所にはどんな服を着ていったらいいですか、という質問を受けたときには「スーツのほうがいいですよ」と言うときがありますし、いかにもスーツが板につかないなと思うときは「きちんとした服装できてください」と助言します。
 しかしそれは主として情状面で被告人の裁判を受けるに当たっての真剣さを疑われないようにというためであり、無罪推定の原則、言い換えれば証拠に基づく裁判における有罪無罪に影響するという意識はありませんでした。
 検事時代の感覚では、少なくともネクタイの有無によって心証を左右されたことはありません。
 
 ネクタイの有無程度が問題になるのであれば、マスコミの事件報道のほうがはるかに深刻な問題です。
 できる範囲のことはたとえ小さなことでもやろう、ということであれば目くじらを立てるほどのことはないのかも知れませんが、
 木を見て森を見ないような対策や、木ばっかり見ることによって森が見えなくなるような対策、または森を見えなくするための対策だったりすれば、そんな対策をとらなければならないということは裁判員制度などできる状況でないということです。

続編あり
 裁判員の日常と裁判の非日常

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橋下・大阪府知事「府庁内は全面禁煙、朝礼は始業前」(asahi.com 2008年03月19日23時58分)

 禁煙は時代の趨勢だと思いますが

 また、橋下知事は今後の朝礼について、始業前の午前8時45分から行うことも明らかにした。記者から「始業前の朝礼はサービス残業の容認ととらえられる」と質問されると、「民間の皆さんに判断をお任せします。労働基準法ではサービス残業は認められないが、(朝礼は)任意で自由参加でやる」と語った。

 知事が府庁の職員に対して言う言葉として、この「任意」という言葉は無神経過ぎはしませんかね。
 例の女性職員に対するバッシングがあった直後ですから二重の意味での無神経になりかねません。

 本気で下からの意見が欲しいなら、意見が言いやすい空気を知事自らが作らなければいけないのに、逆方向へ走ってませんかね。

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「靖国」上映を中止 東京の映画館(asahi.com 2008年03月18日09時03分 ウェブ魚拓

 来月公開予定のドキュメンタリー映画「靖国」をめぐり、都内の映画館1館が、予定していた上映を取りやめることを決めた。「問題が起こる可能性もあり、総合的に判断した」としている。

 危惧していた状況が現実化しました。
 プリンスホテルの事件(「二流ホテルの証明」)のときに生じた危惧です。
 はたして、プリンスホテルが日教組の会場使用を拒否するという事件が起きなかったら、この映画館は上映を中止したでしょうか?
 たらればの話ですから推測の域を出ませんが、嫌な空気が感じられます。

 一見すると小さな出来事の積み重ねが世の中を大きく変えることがあります。よい方向へも悪い方向へも。

 

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【鈴香被告】死刑回避の理由は(産経ニュース ウェブ魚拓

 一読の価値あり

 関連記事
 秋田連続児童殺害事件地裁判決

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「選挙テロだ」―長崎市長銃撃、検察は死刑求刑(asahi.com 2008年03月19日22時44分)

 被害者は1人でも、選挙期間中の候補者を狙った「選挙テロ」の重大さを考えれば死刑を選択すべきだ――。19日、長崎市長銃撃殺害事件の論告求刑公判で、長崎地検は元暴力団幹部、城尾哲弥被告(60)への死刑求刑に踏み切った。

 たしかに「踏み切った。」という感じの求刑だと思います。

 日本弁護士連合会のまとめによると、永山事件判決後、確定した死刑判決は163件。このうち死亡被害者が1人の殺人事件は25件で、多くは金銭や性犯罪目的の事件か、被告に殺人の前科があるケースとされる。

 たしかに「今回の事件はいずれにも該当しない。」という感じです。

 九州大の内田博文教授(刑事法学)は「最近は下級審で死刑求刑が退けられても、控訴、上告して死刑を求め続ける検察の強い意思がある。今回の論告も、その流れが特徴的に出ている」と指摘し、こう話した。

 「暴力団の銃使用犯罪ということで、世論の支持も得やすいと判断したのではないか。永山事件判決とは異なる基準での求刑のように感じる」

 永山判決も、つきつめれば死刑に値する犯罪には死刑が許容されると言っているわけで、「永山事件判決とは異なる基準での求刑」かどうかはよく分かりませんが、永山判決に反しているとは言えないように思います。

 地裁が求刑ついてくるかどうかについては5割以下かなという気がしますが、検察としては他の死刑求刑事件以上に強い意思を示してくると思いますので、上告までいく事件だろうと思われます。

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「選挙テロだ」―長崎市長銃撃、検察は死刑求刑(asahi.com 2008年03月19日22時44分)

 被害者は1人でも、選挙期間中の候補者を狙った「選挙テロ」の重大さを考えれば死刑を選択すべきだ――。19日、長崎市長銃撃殺害事件の論告求刑公判で、長崎地検は元暴力団幹部、城尾哲弥被告(60)への死刑求刑に踏み切った。

 たしかに「踏み切った。」という感じの求刑だと思います。

 日本弁護士連合会のまとめによると、永山事件判決後、確定した死刑判決は163件。このうち死亡被害者が1人の殺人事件は25件で、多くは金銭や性犯罪目的の事件か、被告に殺人の前科があるケースとされる。

 たしかに「今回の事件はいずれにも該当しない。」という感じです。

 九州大の内田博文教授(刑事法学)は「最近は下級審で死刑求刑が退けられても、控訴、上告して死刑を求め続ける検察の強い意思がある。今回の論告も、その流れが特徴的に出ている」と指摘し、こう話した。

 「暴力団の銃使用犯罪ということで、世論の支持も得やすいと判断したのではないか。永山事件判決とは異なる基準での求刑のように感じる」

 永山判決も、つきつめれば死刑に値する犯罪には死刑が許容されると言っているわけで、「永山事件判決とは異なる基準での求刑」かどうかはよく分かりませんが、永山判決に反しているとは言えないように思います。

 地裁が求刑ついてくるかどうかについては5割以下かなという気がしますが、検察としては他の死刑求刑事件以上に強い意思を示してくると思いますので、上告までいく事件だろうと思われます。

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食の安全に警鐘 田中社長に懲役4年 ミートホープ判決(asahi.com 2008年03月19日14時27分)

 田中社長に対し、札幌地検が求めた刑は「懲役6年」。「実刑で罪を償うしかない」というメッセージを込め、裁判所に執行猶予付きの判決を出させないように思案した末のことだった。

 検察官に「裁判所に執行猶予付きの判決を出させないように」する権限はありませんが、懲役6年の求刑は実刑判決を求める明確な意思表示であったことは間違いないでしょう。

 「司直の判断は時代に応じて変化する。今の社会では、絶対に許されない犯罪だった」。検察幹部の一人は、こう話した。

 たしかに10年前だったら実刑になったかどうか分かりません。

 一連の偽装を内部告発した元常務の赤羽喜六さん(72)は、この日の判決を傍聴した。「程度の差こそあれ、私も不正に加担したと言える。消費者に大きな迷惑をかけてしまった。今日、自分も同様に罰せられたのだと思っています」。そして、こう語った。「正しいことをしたという思いが半分、そして後悔が半分。同僚を路頭に迷わせてしまった……。告発が必要のない社会になってほしい」

 元常務さんの告発がなければ、ミートホープ社はさらに長期間偽装肉の販売を続けていたわけで、元常務さんの行動はまったく正しかったのですが、「そして後悔が半分。」という正直な言葉に元常務さんの人柄が表れているようでお気の毒なところがあります。
 しかし、偽装を続けていれば重大な健康被害が生じた可能性もあり、そうなった場合に社長一人の責任で済む保証はありません。
 元常務さんとしては、同僚のためにも正しいことをしたと考えて欲しいと思います。
 それにつけても社長の責任は重いです。
 実刑は当然と考えます。

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 死刑求刑に対して無期懲役の判決ですね。

 量刑にあたっては動機が重要なものの一つですが、とても認定が難しい事件だったようです。
 特に豪憲君殺害の動機については、精神鑑定が微妙だったせいもありかなり分かりにくい認定になったようで、朝日読売毎日の要約はそれぞれ異なったものとなっています。
 こうなるとやはり産経ニュースのように詳細に報道してくれると助かります。それでも分かりにくいですが。

 産経ニュースの判決報道を読んだ印象では、これで無期懲役はないだろう、という気にはならない量刑的にも微妙な事案と思われます。
 しかし、地裁判決は責任能力は認めていますが、被告人の異常性については精神鑑定をかなり受け入れた内容みたいですので、精神鑑定の評価如何でかなり雰囲気が変わる可能性を感じます。

 検察も控訴するでしょうから、高裁の評価によってはがらりと変わる判決もあり得ると思っています。

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