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覚せい剤使用で心神喪失、強盗など無罪に 岐阜地裁(asahi.com 2008年03月17日18時55分 ウェブ魚拓

 まだ人が死んでないからいいですけど

 覚せい剤所持・使用や不法残留、強盗致傷など10罪に問われたイラン国籍、名古屋市千種区上野、塗装工ジャムシッド・モハマディ被告(34)の判決公判が17日、岐阜地裁であり、田辺三保子裁判長は覚せい剤使用・所持と不法残留のみ有罪とし、懲役2年執行猶予4年(求刑懲役10年)を言い渡した。覚せい剤使用後に及んだ強盗などは「覚せい剤の影響で心神喪失の状態にあった」と無罪を言い渡した。

 理論的には、心神喪失の原因が精神疾患であろうと薬物中毒であろうと心神喪失状態での犯行は無罪なんですけど、薬物中毒による心神喪失無罪というのは昔からまったく釈然としないんですよね。

 病気などは自分の意思でどうにもならないところがあると思いますが、薬物は悪いと知りながらそして多くの場合は精神に異常をきたす可能性を認識しながら、自らの意思で使用を継続した挙句に心神喪失になるというものです。
 どうしてそんな人間に免責の恩恵を与えなければいけないのか、と常々思うわけです。

 抜本的には、薬物を原因とする心神喪失無罪を認めないという立法措置をとるべきだと思っていますが、今のところ見通しが立たないので、せめて事実認定の問題として、薬物による心神喪失認定のハードルを高くするべきではないかと考えます。
 新聞報道ですから断片的な判決内容しか分かりませんが、「何も覚えていない」と供述したら心神喪失が認められる、という噂が広まったらたまったものではありません。

 その意味で、検察は控訴して控訴審でひっくり返してもらいたいものだと思うのですが、それにつけても執行猶予ですか。
 不法残留と覚せい剤の使用・所持の初犯ならそういう結論も理解できないわけではないですが、心神喪失状態になって強盗まで行うというのは、覚せい剤使用事犯としては最も重い量刑に値する最悪の情状と考えられますから、実刑は当然視野に入ったと思われます。

 外国人だからとっとと追っ払ってしまえばいい、と裁判官が考えたわけではないと思いたいですけど。
 
 しかし、そういうつもりで国外退去にしても、すぐ戻ってくる場合が少なくないはずなんですよ。
 裁判官はどういう認識だったのかわかりませんが。

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コメント(4)

覚せい剤でラリって心神喪失が認められるのは、ものすごく珍しいと思います。
心神耗弱程度はまだあるとしても。

普通の人が考え付かないような、”とてつもないコト”をしでかさなければ、「正気でなかった」と裁判所に認めてもらえません。
”とてつもない”とは、往々にして、多数の死傷者を出す非常に凄惨な状況だったりするため、
それが無罪or減刑されてしまうのは、法理論的にはともかく、心情的には納得できないものがあります。
本件では、人的被害が出なかったことは幸いでしたが、
そうすると逆に、本当に心神喪失状態であったのか、やはり納得し難いような。

「原因において自由な行為」理論は使わないのかなあ?

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余談ですが、イラン人が覚せい剤使用というのも、珍しいですね。
麻薬・覚せい剤等の薬物の何をやるかは、各国文化の違いで好みが分かれ、
覚せい剤がこんなにも好まれるのは、特殊日本的な現象らしいです。
日本に滞在して長い人なのでしょうか。

素直に判決全文を読みたいです。

原自はやっぱり実務では使いにくいんですかねぇ。

覚醒剤等の違法薬物で「心身耗弱」とかで減刑になるのはおかしいのでは?と以前から思っておりました。
やっぱり、法曹界でもそういう意見があるんですね

監禁して縛り付けられてシャブ中にさせられた人とかはともかく、覚醒剤で減刑や無罪だったら、凶悪犯罪の後から使って中毒患者を装って死刑を逃げるようなヤツが出るのでは、と思ってました。
まあ、そんな事件はなかった(と思います)が…

酒気帯び運転の時の交通違反の減点が重くなるように、自分の意志で麻薬・覚せい剤を服用したうえでの犯罪は、やはり重くすべきだと思います。少なくとも心神喪失を適用するのはおかしいと思います。ラリ強盗が無罪なら、酔っ払い運転も無罪にしないと辻褄が合わないでしょう?それに酒は「合法」ですが、「ヤク」は「違法」なんですから、余計におかしいと思います。素人考えですが。

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