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強制わいせつ罪の男性に無罪判決 横浜地裁横須賀支部(asahi.com 2008年03月18日21時03分)

 検察は控訴するかも知れませんので、訴訟上の事実としてもまだ確定はしていませんが、それにしても

 男性は05年5月に逮捕され、06年11月に保釈が認められるまで約1年半の間、勾留(こうりゅう)されていた。

 裁判官は(本件の裁判官に限らずすべての裁判官への問いかけです)、この事実をどう考えるんでしょう。

 60歳の古書店主にいったいどの程度の罪証隠滅の恐れがあったというのでしょう。
 もしこのまま被告人の無罪が確定したら、この勾留期間はどれだけ不条理なものになるのか。
 
 人質司法は無罪推定の原則を蹂躙するものであるという感を深くします。

 結果論で言っているのではありません。
 被疑者・被告人を勾留するということは、すでに文字通りの意味における「無罪の推定」を超える「犯罪の嫌疑」の存在を前提にしていますが(その意味で無罪推定の原則は被告人を無罪として扱うべしというわけではありませんが)、それでも被告人は無罪になり得るということは当然織り込んで制度を運用すべきだということです。

 この被告人の背後に暴力団組織があって、保釈すると暴力団組員が被害者に対して威圧的な働きかけをする恐れがあったというのであれば、正当化の余地が少しはあるかも知れませんが。

 ここまで書いて公判の推移を確認しますと、06年11月に保釈が認められてますね。
 おそらくこの時点で何らかの状況の変化があったと思われますが、その後1年以上審理が続いていたということからすると、その時点で証拠調べが終わったというわけでもなさそうです。

 いろいろな可能性が推測可能ですが、あまりに情報不足なのでやめておきます。

 最近、被害者の証言の信用性に疑問を投げかける判決が目に付きますが、その大元には、検察官が被害者の供述を十分な検討もしないで鵜呑みにして信じる傾向があるのではないかと危惧しています。
 被疑者と被害者の話が食い違ったら、被害者の話を信用すると公言する検事を知っています。
 判決が指摘しているように、信用性の低い被害者供述もあれば、被害者も被疑者もどっちも信用できない場合もあります。
 じっくり聞けばどっちも正直者だったということもあります。
 はなから被疑者・被告人を疑って被害者の供述にそう自白を求めるという考え方の危険性と弊害を考えていない警察官や法曹が増えていないでしょうか。


 いずれにしても、この被告人が経営していた古書店はどうなったのでしょう?

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コメント(8)

 被害者死亡や意識不明の場合は、どうなるのでしょう。直接話など聞けるはずもないですね。イタコの霊媒師に聞くというわけにもいかないでしょうし。
 被害者本人が嘘や狂言を言っている場合は反論の余地が残されているだけ、まだ救いようもありそうですが。
 昔の歌で、「死んだはずだよお富みさん」というのが、ありましたが、知っている人は少ないでしょう。

>検察官が被害者の供述を十分な検討もしないで鵜呑みにして信じる傾向があるのではないかと危惧しています。

先日の甲南大生による痴漢でっち上げ事件もそうですよね。
ま、こちらは検察というよりも警察でしたが・・・
モトケン先生やここに参加してみえる法曹の専門家の方々がこのような現状に危機感を持ってもらえれば、我々一般人が冤罪に巻き込まれる危険性が少しは減るのかな、と思ってみたり。

 以下は、ググッて入手したこの判決に関する別の報道です。

 求刑が2年なのに、未決勾留は1年半ですか・・・絶句です、言葉がありません。
 さすがに裁判官からも判決後に遺憾であるとの言葉があったようですね。それにしても弁護人は、保釈申請や裁判審理の促進などに余り熱心ではなかったのだろうか? 疑問だらけの裁判だ。

 * * *

【神奈川】女子高生2人にわいせつ行為:古書店経営者に無罪判決 裁判官「女子生徒たちの話は信用できない」 約1年半にわたり拘置
わいせつで逮捕、1年半拘置の男性に無罪判決 16:38更新
 神奈川県横須賀市の古書店で平成17年、アルバイトの女性2人の体を触るなどしたとして、強制わいせつや暴行の罪に問われた経営者の男性(61)に対し、横浜地裁横須賀支部は18日、無罪(求刑懲役2年)の判決を言い渡した。
 判決理由で忠鉢孝史裁判官は「証言通りの犯行が不可能ではないにせよ、被害者の証言は断片的で首尾一貫しておらず不自然。被告の犯行とするには合理的な疑いが残る」と指摘した。
 判決言い渡し後、忠鉢裁判官は「痴漢被害などで各地で同種の(無罪)判決が出ている。本件は証言の信用性を判断したもので、事件そのものがなかったということではないため、検察が控訴してくる可能性はある」と男性に声を掛けた。
 男性は17年5月に逮捕されて以来、約1年半にわたり拘置された。
ソース:http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/event/130826/

 * * *

女子高校生2人にわいせつ行為:古書店経営者に無罪判決 横浜地裁支部 毎日新聞 2008年3月18日 15時00分
 神奈川県横須賀市の古書店内で05年2〜3月、アルバイトの女子高校生2人(いずれも当時18歳)にわいせつ行為をしたとして、強制わいせつと暴行の罪に問われた店の男性経営者(61)に対し、横浜地裁横須賀支部は18日、無罪(求刑・懲役2年)を言い渡した。忠鉢孝史裁判官は「女子生徒たちの話は信用できない」と検察側の主張を退けた。
 男性は同年2月15、28日、3月1日の3回にわたり、2人のアルバイト女性に対して、店内事務所やカウンター内で、抱きついたり胸を触ったとして起訴された。目撃者はいなかった。
 判決は、女子生徒について「(事件後も)勤務態度が変わらず不自然」と認定。「直接証拠である女子生徒たちの話は、犯行状況が断片的で首尾一貫していない」と信用性を否定した。
 忠鉢裁判官は判決言い渡し後、「裁判が非常に長かったことは裁判所の責任であり遺憾。お体を大切にして下さい」と男性に話しかけた。
ソース:http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080318k0000e040083000c.html?inb=rs

 裁判員制導入を前にして,裁判員に通用しそうにない理由で有罪判決を導くことを躊躇する気運が高まってきたということでしょうか。
 

>小倉秀夫さん

 どうなんでしょうね。
 保釈の許可率は微妙に上がってきたような気がしますが
 事実認定は裁判官個人の感覚や資質に影響される面のほうが強いかなと思っているのですが、、、
 判決した裁判官はいつからこの事件を担当したのでしょう?

ありもしない「でっち上げ」に踊らされる方がどうかと思いますよ。
痴漢の冤罪?証拠不十分で立件すらされていない。
「冤罪」などないのですよ。
冷静に考えて人を罪に陥れるということがどれほどのリスクを伴うか・・・
攻撃の手段として有効性がまったくありません。

ファンタジーの中の「冤罪」にとらわれすぎてはいませんか?
単にTVの見すぎか犯罪者の味方がしたいだけのように思います。 
思春期思考のオタク君、かっこ悪い。

>痴漢の冤罪?証拠不十分で立件すらされていない。
>「冤罪」などないのですよ。
>単にTVの見すぎか犯罪者の味方がしたいだけのように思います。 
>思春期思考のオタク君、かっこ悪い。

まさか、「検察が起訴したから」ってことだけが「有罪」主張の根拠じゃないよね?

それと別にモトケン先生はじめ誰も「本件は冤罪だ」と主張してるわけではないの、理解できてる?

自分で証拠調べもしないで、「証拠十分」「冤罪ではない」と言い切れるのはまさに神業。神様、早朝からご降臨乙。

とりあえず釣られてみました(^^)

 私の言いたいことは検察批判なんですけどね。

 要するに、検察官の捜査が下手くそなのではないか、ということです。

 基本的には、有罪になるべきものを起訴し、有罪にならないものは起訴しない、というのが検察の基本的な考え方なんですけど、そうすると有罪率が99.数パーセントになっちゃって、それはおかしいんじゃないかと批判されたりするんですけどね。

 有罪率の高さを批判する人には、本件の被告人の悲劇を考えて欲しいと思います。

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