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ヒューザー社長が有罪 耐震偽装知り販売 東京地裁判決(asahi.com 2008年03月25日15時07分 ウェブ魚拓

 毛利晴光裁判長は、住民11人から代金約4億1千万円をだまし取ったと認定。「エンドユーザー軽視の悪質な犯行で、被害者の人生設計を大きく狂わせた結果は重大だ」と述べた。

 ここだけ読むと、十分な被害弁償がなければ当然実刑だと思える事案です。
 なお、記事中に被害弁償についての言及はありません。

 この日の判決は「建築確認の検査済み証が出ていた事情があり、ヒューザーは耐震偽装の被害者ともいえる立場だったことは否定できない」とも述べた。

 どうもこの部分が執行猶予をつけた理由かな、と思うのですが、被害者だと見たとしてもその被害を結局エンドユーザーに転嫁しているのですから、エンドユーザーの被害の大きさに照らして執行猶予の理由になるのかどうか疑問です。

 しかし、詐欺の故意については「ごく軽い安易な気持ちでだまし取ることを認めた」とし、「強い意図があった」とする検察側の主張は退けた。

 なんですか、この判示は?という感じなんですけど
 「ごく軽い安易な気持ちでだまし取ることを認めた」という認定は被告人に有利な情状として見ているのでしょうか?
 もしそうだとしたら、違うんじゃないのかな、と思うのですが、、、

 最近、ピンとこない判決が多いです。
 私の実務感覚にずれがしょうじているのかと不安になります。

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コメント(15)

モトケンさま、毎日新聞の記事には次の通り報道されています。

 一方で判決は「倒産回避という動機から詐欺の『強い故意』があった」とする検察側主張を退け、「小嶋被告は実態が十分に把握できず混乱状況にあった。引き渡し中止となれば、改ざんを説明せざるを得ず、問題が一挙に広がるのを避けたい安易な気持ちだった」と判断した。

 そのうえで「積極的にだまし取ろうとした事実まで認められない。構造計算書の改ざんという思いもよらない重大な問題に直面した中でのとっさの選択で、『弱い故意』に基づく犯行だった」と実刑を避けた理由を述べた。

記事を書いた新聞記者の文章の差ではないかというものの、朝日のこのまとめ方は少々荒すぎて、正確性に欠けているような気がします。

「ごく軽い安易な気持ちでだまし取ることを認めた」

「安易な気持ち」が「引渡し中止」を指しているのか、それとも「だまし取る」を指しているのかでは、大きな違いがあると思うのですが・・・。

判決文の原文ではどのように書かれているのか、よく確かめないといけないように思います。

欠陥を知らせないことが不作為の欺罔として積極的に欠陥マンションを売りつけるのと同様な刑事責任を問われる場合もあるのでしょうが、今回の事件では始めから黙って欠陥マンションを売りつけようとしたわけでなく、引渡し前の最終段階で発覚したことを知らせなかったということですから、そのあたりが考慮されての執行猶予ということでしょうかね。

こういう不作為の欺罔、それも契約締結後に発覚した欠陥って民事の問題と交錯する気がします。悪意の瑕疵担保責任を負う人はみんな詐欺になりうるんでしょうか?

法律家的にはありなんでしょうけど、マンションを買わされた被害者はたまらないと思います。

うろ覚えなのですが、こんな話を聞いたことがあります。
実話かフィクションかは覚えていませんん・・・。

タバコ屋のおばあさんが「偽札」をつかまされた。
おばあさんは家族に怒られるのが怖くて、騙し取られたつり銭分を「補填」しようと、他の店で「偽札」を使った。
しかし、相手に「偽札」であることがバレ、偽造通貨行使で捕まった。

被害者が加害者に変わった、という点では同じように思います。やはり、自分のつかんだ「ババ」を「ババ」と知りつつ他人に売った、というのは重い罪ではないでしょうか?

以下は余談です(^^;
「偽札」の話ですが、上記のような犯罪の連鎖を防ぐために「偽札」を警察に届けた人への「謝礼金制度」ができた、というのは本当ですか?

う〜ん。私はそんなに執行猶予付きに違和感は感じませんでした。
被害者は実際のところ懲役実刑より弁済、賠償のほうを優先する気がしますが・・・

あと私も事の重大さは違いますが、似たような場面によく出くわしまします。

孫請けが仕様通りにアプリケーション作成したとテスト完了報告書込みで報告・納品を受け、虚偽に近い報告書で仕様通りになっていなかったなんて事をシステム稼動後に聞いた場合なんかです。

その場合、顧客・会社上層部に連絡し、きつ〜いお叱りの言葉を一身に受けながら、アプリ改修内容調整・リリースと損害の影響度調査、
リカバリ方式の策定とその実施指揮、経過報告レポート及び実施完了報告書、損害賠償の協議等で最低でも3日は確実に帰れなくなります。

そんな日に限って息子の誕生日だったりして泣きたくなります。そして一瞬でも「後日、報告しようかなぁ」という感情がでてきたりします。
結局は報告、対処するんですけど・・・・

この事件は重大さからヒューザー社長の糾弾は免れないと思いますが、実刑までいくかなぁと感じてます。
※さすがに姉歯元建築士が執行猶予だったら違うと思いますけど・・

通行人1さんが出した例ですと、収得後知情行使等の罪(刑法152条)が適用されますね。これは偽造通貨行使罪よりは刑が軽くなっています。

うろ覚えですが刑が軽くなっている理由は偽造通貨をつかまされた人間がそれを使うことは、はじめからそのつもりで偽造通貨を手に入れた場合と比較して非難の程度が低い(期待できない)からだそうです。

これを書きながら思いましたが、私がこの事件が積極的詐欺よりは刑事責任が軽いと考えるのも同じ理由によるものですね。

判決文を読んでみないと(書かれているかどうか不明ですが)、不明ですが、素人ではないヒューザーなる会社が、柱も細い、梁も薄い、弱そうな設計で、だから坪当たりの工事費も低くて済むそんな建物の強度について本当は疑問を持っていなかったのだろうかと思います。

義務・責任の放棄を罪としないか?医師だったら、最善の注意が求められるのに。

私は、販売して利益を得る会社の責任は重いと思うのです。マンションを買った人が欺されたというのは、「仕方がないか」と思いますが、販売人と工事請負人については、「姉歯さんと共犯ですね」というのが、一番素直だと思います。

だから、姉歯元建築士に執行猶予がつかないなら、この人もつかないのが当然と思います。

>最近、ピンとこない判決が多いです。
> 私の実務感覚にずれがしょうじているのかと不安になります。

この事件では本来問われるべき国の建築確認証発行責任の部分が全体の裁判の中でまったく問われていないために、個別の裁判において裁判官の判断とモトケン先生の実務感覚との間に乖離が生じるのではないでしょうか。
モトケン先生の実務感覚の鋭さにはいつも敬服感嘆の私としましては、そんな気がします。

姉歯さんと共犯
その責任を負わせるには、建築構造の技術的な問題が有ります。

建物強度の把握が同程度にできるには、構造設計の専門家(姉歯氏)と同等の技術力が有り、なおかつ同様の業務を行う必要が有りますが。

建築業は各専門分野での能力を寄せ集めるシステムなので、現実的には不可能です。

共犯を認定出来るのは、姉歯氏が「貴社の要望に応えるには強度を偽るしかない」とヒューザーに伝えた。との証拠が有る場合だけでしょう。

但し、最善の注意を払っていれば(出来るのは少数です)怪しいと思う事はできた、それなら他の技術者に再検証させれば良かったが、それはしなかった。
で、執行猶予なのかな?と。

それにしても、一年近くに及ぶ建築確認のブランク問題が刑期(もとい景気)悪化の半分以上の原因かもしれない・・・

>No.6 ひらのさん

 いわゆるばば抜き罪ですね。
 私も頭に浮かんだのですが、本件はちょっと違うような気がしています。

 なんとなく共犯(共同正犯)の臭いがするんです。
 具体的な共謀がないとしても、つまり共同正犯にはならないとしても、「規範的に見て共同正犯に準じるような関係」の臭いがするんです。
 臭いですから、感覚的なものなんですけどね(^^;

私はモトケン先生のコメントに賛同です。

過去の報道のなおかつ私の記憶ですから事実かどうかはわかりませんが、藤田氏が構造設計偽装が明らかになった建物の購入者への引渡しを中止せよと小嶋氏にせまった時、小嶋氏は地震が来て実際に壊れるまでは設計強度不足は証明されないし、建築確認をおろした藤田氏も共犯だと強弁して引き渡したという話でした。
購入者はまったく強度偽装の経緯を知る由も無いその状況で小嶋社長が共犯という言葉を使ったのが事実であれば、地震が来て壊れなければ強度偽装はばれないという論理こそが小嶋社長の詐欺行為への強い意志を示したものであり、犯意は明らかであると思います。そして引渡しの瞬間に小嶋氏の巨額の詐欺犯罪が実行されたと思います。
ゆえに、検察はこの一点を論告すべきであり、そこを充分に審理したのであれば裁判官の判示はピント外れの「なんじゃこれ」であると言わざるを得ない。

というのがモトケン先生の実務感覚に賛同する私の個人的仮説です。

であれば小嶋氏の詐欺は姉歯氏の犯行とはまったく別の場で行われた犯行であり、姉歯氏の受けた刑罰とのバランスを考える必要はまったくないように私としては思います。

>No.10 モトケンさん
関係者が以前から姉歯元建築士の偽装に感づいていたんじゃないか、ということでしょうか?

そうなると未必的な認識による積極的詐欺の可能性もあるので評価がガラッと変わってくると思います。


この事件始めは姉歯元建築士がヒューザー側から従わなければ仕事を与えない、と圧力をかけられて偽装をしたと証言したため積極的な欺罔による詐欺と思われましたが、元建築士がヒューザーの物件を手がける以前から偽装を行っていたことなどが明らかになって証言の信用性が失われて結局局元建築士と小嶋社長の共犯での立件が見送られたんですよね。

>No.12 ひらのさん

>関係者が以前から姉歯元建築士の偽装に感づいていたんじゃないか、ということでしょうか?

 それを度外視してもということなんですが。

 ババ抜き罪はマイナスを転嫁しようとするものですが、ヒューザーはプラスを得ようとしています。

モトケン先生のエントリーコメントのうち最初のほうの
>十分な被害弁償がなければ当然実刑だと思える事案です。

につきましては私は別なことを考えます。実刑は被害弁済の有無で考慮されるべきではないと思います。

なんとなれば購入者に被害を与えた行為全体を見れば建築確認を下した検査機関(最終的には国)の責任は大きく、小嶋社長の詐欺行為に加担したか否かに関わらず弁済責任を免れるものではないと思われるからです。
小嶋社長が同じ穴の狢と呼んだのは弁済責任に関しては正しいと思います。

No.6 ひらのさま

ご指摘ありがとうございます。

「収得後知情行使等の罪」 一つ賢くなりました(^^)

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