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司法解剖の遅い開示が医療訴訟の一因 法医学学会で報告(asahi.com 2008年04月27日10時25分 ウェブ魚拓

 その間に、過失の有無を知りたいと強く望む遺族が次第に増え、解剖結果の説明を求めて警察への開示要求や弁護士相談などを試みていた。また解剖経験遺族の54%が「死因について納得できる説明があれば訴訟をしなかった」と答えるなど、開示の遅れが不信を招き、医療訴訟が増える原因となっていた。

 調査を指導した吉田謙一教授は「司法解剖の結果を早く開示することは、類似事故の再発予防など社会的にも極めて重要なのに、貴重な情報が医療現場に還元されずに埋もれ、紛争を促進する結果さえ招いている」としている。

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コメント(15)

 これで遺族感情を理由に医療関係者の刑事告発が増えるようでは、警察のマッチポンプと言われても仕方ないですね。

司法解剖の実施件数の上昇や開示の早期化はいいんですが、そもそも司法解剖が司法官憲(裁判官)の鑑定処分許可状を必要とする強制処分であることをどれくらいの人が知っているんでしょうか?
令状が必要ということは当然に令状の請求を行う必要がありますが、請求には被疑事実、つまり「医師を被疑者とした業務上過失傷害被疑事件」を立てる必要があります。
そして犯罪に対する捜査が開始されている以上、事件の利害関係者たる死者の遺族に対し、簡単に解剖の結果(≠死因)を開示することは困難です。
要するに、目的や手続きが全く異なる病理解剖等と簡単に比較してもらっては困るということです。
こればかりは捜査機関だけでは如何ともし難い事なので、
運用面ではなく制度面(法改正等)で対応していただきたいですね。
あと付け加えるならば、法医学の先生方にはもっと積極的に司法解剖を受け入れていただきたいです。
何しろうちの県なんて、県下で司法解剖を実施してくれる病院は4カ所しかないんですよ。
解剖の必要性があっても実施が容易ではないというのが現実です。

>あと付け加えるならば、法医学の先生方にはもっと積極的に司法解剖を受け入れていただきたいです。

つ一方、専門知識がある解剖医は全国に約130人しかおらず、現状の年間約1万5000体の解剖が限界としている。

つーこってムリです。

まあ、この指摘は当ブログでも何年も前から議論されてきましたね。私的には今更・・・という感がなきにしもあらずですが。
いずれにしてもマスコミがこの点を指摘したのは喜ばしいことです。やっと気づいてくれたのか・・・と。

リンク先の記事を読んでも、司法解剖についての説明がありませんね。

知らない人が読むと、依頼すれば司法解剖が可能と思ってしまうのではと心配します。犯罪捜査と死因究明は、少し異なるということを、少しでもマスコミは書いてくれたらと思います。

任意の病理解剖についての報道は、少ないと思います。

医療ミスの関連で言うならば、本来は行政解剖をするべきなんでしょう。そもそも、家族の告発を待たなければ警察は司法解剖をしないはずであり、患者の死亡直後に警察に告発したという話もほとんど聞かないのですがね。この司法解剖をしたというのはいかなるケースなんでしょうかね。

No.2 感熱紙(刑)さん
んーと、まあ、お互い様だと思います。警察の方も法医学会に対して、法医学の先生を増やせと「要望」しているわけでして……。

ただ、警察の方も無関心という訳ではないと思います。数年前に、司法解剖の費用が遺体一つに対し、7万円から、20万円に上がった事は存じ上げております。司法解剖の費用は警察の予算から出ているわけですし、できる限りの事は行っている様に思います。


No.5 ある経営コンサルタントさん
死因究明は国費で行うべきだと考えております。


個人的には、司法解剖と犯罪捜査を切り離すべきであるし、予算も警察から出すべきではないと考えています。

つまり、死因が不明な遺体は全例司法解剖するべきであるし、司法解剖の結果を開示するべきであると思います。捜査に関しては、開示された司法解剖の結果を警察が用いればそれで済むと思います。

極論は極論だとは思います。

後々刑事司法プロセスですんなり証拠採用できる明確な道筋さえつけてやれば、行政解剖でいいと思うんですがねえ・・・。
そういえば令状の発効前に「司法」解剖に着手した疑いがもたれた監察医もいましたっけ。

尤も、異常死の件数に対して監察医の数が全く足りていないことを前提としても、では行政解剖にすればそれに従事する医師の数は足りてくるのかって疑問もあるのですけども。

>No.7 しまさん

犯罪捜査のために行われるのが司法解剖、死因不明のときに行われるのが行政解剖です。後者は遺族が望めばいつでもできるはずです。確かどこかの力士が暴行で死んだとき、遺族の求めで行政解剖が行われたと思います。
最も死因不明者全例これを行うことは現状では不可能でしょうね。

No.8 惰眠さん

別に行政解剖の結果を証拠採用するのに何の問題もないとおもいますが。

No.9 うらぶれ内科さん

死因不明のときに行われるのが行政解剖です。後者は遺族が望めばいつでもできるはずです

事件性の有無を、死因究明無しに判別できるのかという疑問があります。また、遺族が望まなかったらどうなるのかという疑問もあります。

事件性の有無にかかわらず、遺族の希望にかかわらず死因究明を行うことが必要だと思います。

行政解剖の問題としては、監察医制度があるのが5都市に限られていることが上げられます。。そして、名古屋は監察医制度があるにもかかわらず、相撲部屋の際には行政解剖が行われなかった。つまり、現実には機能してないという事が問題だと思います。

失礼しました。時津風部屋の時太山が無くなったのは、愛知県犬山市ですね。ここは監察医制度がない都市でした。

事実誤認をお詫び致します。

 結果の開示に時間がかかる点について、司法解剖の制度・手続きの問題(あるいは医療事故に「司法」解剖が適切かどうかという問題)とは別に、医療事故の場合、技術的な要素もあるのではないかと思います。
 犯罪や他の事故の場合、外因死か否かを確認することが目的となるので、当日の解剖の肉眼所見(創傷の有無など)からある程度結論を出すことが可能なことが多いと思われます。
 一方、医療事故の場合、ほとんどは病死なので(診療行為の適切さが問題になる)、肉眼所見のみで結論を出すことは難しく、病理解剖と同等の時間が必要になるのではないかと思われます。
 例えば、術後縫合不全が考えられる事例であっても、単なる技術的なミスなのか、それとも、もともと縫合部に炎症などの病変があって組織が脆弱になっていたためなのかは、縫合部位の組織を顕微鏡下に観察してみなければ分かりません。
 また、死因となると、全臓器の組織病理学的所見も含めて総合的に評価した上でないと結論は出せないと思います(結論が出ないこともあります)。
 さらに、医療過誤かどうか(過失の有無)ということになると、解剖所見以外の情報も含めて総合的に評価しなければならないと思います。「捜査」である以上、慎重に結論を出す必要がありますから、その分時間がかかるのは止むを得ないのではないかと思います。

 病理解剖においても結果が出るまでに半年弱の期間を要する点について、本ブログでは蛇足かもしれませんが、参考として、私の知る範囲で、病理解剖の手順を記します。(誤っている点があれば、御指摘いただければ幸いです。)

(1) 当日の解剖は2〜5時間ほどかかります。全ての臓器を肉眼的に詳細に観察し、所見を記録します。必要な場合は写真を撮影します。
(2) 臓器をホルマリン液に浸して固定します。1〜2週間かかります。
(3) 固定後、臓器を薄く切っていきながら、全ての臓器を肉眼的に詳細に観察し、所見を記録します。必要な場合は写真を撮影します。その後、組織標本を作製するため、病変部あるいは病変がなくても臓器の一部分を切り出します。標本の数は通常1症例につき50個前後(病変を詳細に観察する場合はそれ以上)になります。数時間かかります。
(4) 組織をエタノールとクロロホルム(あるいはキシレン)に浸して脱水・脱脂した後、パラフィンに包埋します。骨髄をみるためには骨を脱灰してから脱水・脱脂します。(数日かかります。)
(5) 組織を薄く切ってスライドグラスにはりつけ、乾燥させた後、ヘマトキシリン&エオジン染色を行います。(数日かかります。)
(6) 顕微鏡で観察し、所見を記録します。
(7) 必要な場合、特殊な構造物や病原体などを観察するための特別な染色を行います。(数日かかります。)
また、さらに組織学的な検討が必要と思われる部位がある場合、切り出しを追加して標本を作製します。(数日かかります。)
(8) 必要な場合、文献を調べ、専門家とディスカッションすることもあります。
(9) 報告書を作製します。

 標本の作製(4、5、7)は技士が行うことが多く、機械で自動化されているところもありますが、それ以外は病理医が行います。このような解剖の業務は、日常の病理診断業務、教育、研究などの業務と並行して行わなければなりませんが、どうしても日常の業務の方が優先されることになります(リアルタイムに対応しなければならないから)。しかも、病理医は少なく、日常の業務はどんどん増えているようです。
 このように、解剖の結果が出るまでは時間がかかることを御理解いただきたいと思います。(司法解剖の場合もそれほど変わらないと思います。)

 うろ覚えですが、医療事故調査委員会(案)では、3ヶ月以内に解剖の結果をまとめ、6ヶ月以内に調査の最終報告書を作成することが目標になっているようなのですが、マンパワーの点で、極めて困難なのではないかと思われます。(「新小児科医のつぶやき(2008年4月10日)」でも指摘されています。)

通行人A(内科医)さんがお示しくださったように、解剖という作業には多くの手間が必要です。そもそも解剖実習でさえ何ヶ月もかかるものです。医師法21条に従い異状死体を検案して24時間以内に届出する段階では、ミスも含めて医療行為による死亡が除外され、明らかな害意のもとに行われ犯罪行為によると「疑われる」死体に限って届け出るのが当然でしょう。24時間以内というのは単に証拠保全を考えての縛りというだけであり、現実問題として1分でも遅れたら重過失になるというような性質の縛りではないことは、子供にでもわかる常識的理解でしょう。
現在事故調設置検討委員会で論じている非医師委員は、少なくとも解剖実習を見学するなど疑似体験をしてから届出の問題を論じ直したほうが、結局はいまより早く実効的な合意に達することができるんじゃないでしょうかね(笑)。
厚労省・法務省関係委員の検討委員会での主張を見ていると、あまりに現実を知らない幼稚な思い込みが多いことにある意味驚嘆(笑)しちゃいますから。

 私の意見はしまさんに近く、死体解剖保存法を一部改正して、医療事故(疑い含む)の死因究明の場合も「遺族の希望にかかわらず」解剖できるようにすべきであると思います。
 遺族は「真実を知りたい」といつも言っていますから、本来は解剖に同意してしかるべきであるのに、感情的な問題からなのか、解剖を拒否して訴訟を起こすケースが見受けられます(福島県大野病院事件でも奈良県大淀病院事件でも拒否されたようです)。そしてこれまでの本ブログでの議論にもあったように、トンデモ判決の多くは解剖されていない事例に多くみられます。
 なお、解剖所見を正しく解釈するためには臨床情報が不可欠なので、当事者の主治医・病院の協力(情報提供)は必要です(刑事捜査の場合は強制的に行われているわけです)。

 少ないマンパワーの対策ですが、臓器をホルマリンに固定していれば組織の形態は長期間安定しているので、遺族には少し我慢していただいて、報告書の期限を設けないことが当面の対策かもしれません。(とりあえず組織標本の作製(No.13のコメントの1〜5)までを速やかに行えるように人員を配置することを目標とする。)

 近年、オートプシー・イメージング(AI)といって、死後にCTやMRIを撮影して、その情報を元に、採取する臓器を限定することによって解剖の負担を減らそうという試みが研究中のようです。確かにMRIでは小さな病変も描出できるようになったのですが、それでも解像度は顕微鏡にははるかに及ばず、MRIで正常に見えても顕微鏡でみると病変があったということはよく経験します(例えば、血管内リンパ腫の浸潤など)。また、組織で見ると全く異なる病変であっても(例えば、腫瘍と炎症)、CTやMRIでは似たような像を呈して鑑別が困難なこともよく経験します。したがって、組織病理学的検索の必要性は変わらないと思います。

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