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取り調べ「全面可視化法案」が参院委可決、衆院へ(ヤフーニュース 6月3日19時56分配信 読売新聞)

 警察や検察による容疑者の取り調べについて、全面的な録音・録画(可視化)を義務づける民主党提出の刑事訴訟法改正案が3日、参院法務委員会で民主、共産、社民の賛成多数で可決された。4日の本会議での採決を経て衆院に送られることになった。

 日本弁護士連合会は「画期的な意義がある」と歓迎しているが、与党が多数を占める衆院で成立する可能性は低く、否決か継続審議になる見通しだ。

 こんな法案が提出されてたんですね。
 知りませんでした。

 こんどの衆院選で与党が負けると成立しちゃうんでしょうか?

 「福岡若手弁護士のblog」では

可視化によるデメリットが 国民には皆無のケースでは ないかと思いますので

 と述べられていますが、皆無と言って良いかどうか疑問です。

 全面録画自体はいいとして、その情報をどこまで開示するかなど制度や手続のつめが必要だと思います。
 法案ではどうなっているのか知りませんが。

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コメント(35)

>こんどの衆院選で与党が負けると成立しちゃうんでしょうか?

国会の会期内に両院の可決を得て成立しなかった法案は、会期末に継続審議の手続がとられないと、自動的に廃案になります。

「こんどの衆院選」ということは、当然ながら衆議院が解散されるか、或いは任期満了での総選挙しかあり得ませんので、今国会の会期は解散又は任期満了の日をもって終了しますので継続審議とならなければ廃案です。さらに衆議院選挙(総選挙)によって国会会期が更新された場合は、前国会で審議未了法案で継続審議の手続がとられていても、総選挙で国会が国民に選び直されたこと尊重して、全て自動的に廃案とする決まり(慣例)もあります。

今回法案が参院で可決されて衆院に送られた訳ですが、衆院での圧倒的多数を持つ与党が今国会会期中に賛成に回って審議入り&採決の上可決とならない限り、衆院での実質審理はされせず店ざらしのまま会期満了での廃案になる筈です。現状では法務省や警察官僚の理解が十分に得られていない(時期尚早&全面記録による捜査への悪影響懸念等)状況から、参院案を衆院与党が賛成に回る可能性は無いようで、このまま廃案でしょう。

モトケン先生のご心配は杞憂かと思います。

参考→Wikipedia継続審議

前投稿に自己レスです。

「こんどの衆院選で与党が負け」た後に、改めて廃案となった「全面可視化法案」が再度提案され、新しい国会勢力での衆議院と参議院の両方で可決されれば成立します。

審議未了で廃案→次期国会で改めて提案となれば、報道の参院での可決も効力を失い、議決し直すことを要す筈と私は記憶しております。

以上、仕事の合間にとり殺ぎ追加投稿です。

>モトケン先生
>(可視化によるデメリットが)皆無と言って良いかどうか疑問です。

前々から疑問だったのですが、今までこちらで主張されてきたような「可視化によるデメリット」って、本当にあるのでしょうか(あるとして、弁護人の閲覧を制限しなければならないほどのものなのでしょうか)?

犯罪組織(暴力団、極左団体等)関係者の取調べでは、「調書にしない条件で」組織の内部関係などを聞き出すことがあります。これが外部に漏れると被疑者の生命の危機すら招きかねません。
しかも、この手の事件では、組織の伝書鳩みたいな弁護士が(監視を兼ねて)付けられることがしばしばあり、そのような場合、弁護人といえども被疑者の味方ではなかったりします。

これだけでも、無条件の開示の怖さが分かると思います。

No.4 通りすがりさま
 ご教示いただきありがとうございます。

 さて、こちらのブログ主であるモトケン先生や常連コメンテイターの皆様は、私が本ブログにおける可視化をめぐる議論にごく初期から参加し、こちらで行われてきた議論や、吉丸論文・本江論文、諸外国の立法例・運用例のうちのいくつかを踏まえた上で(少なくとも皆様と同程度には議論の蓄積を共有した上で)、上記のような問いかけをさせていただいていることをご理解いただいているものと推測しています。

 「供述内容が外部に漏れることで、被疑者本人や関係者に危険が及ぶ」との懸念については、本来は証人保護制度の問題であり、可視化の問題ではないでしょう。また、「供述内容が外部に漏れることが、組織犯罪捜査の遂行、ひいては我が国の治安維持に深刻なダメージを与える」とのご懸念が論者から示されたことがありましたが、既に可視化を導入している諸外国における「供述内容が外部に漏れたことで、組織犯罪捜査が致命的な打撃を受けた事例」というものを寡聞にして存じ上げません(もしそのような事例があるなら、アジ研の紀要なり警察学論集なりで紹介されていてもおかしくありませんし、そもそも可視化に反対したい警察庁あたりが反対論の有力な根拠として大々的に取り上げているはずですが、今のところそのようなことはないようですね)。
 既に可視化を導入している諸外国において、皆様が心配なさっておられるような事態が(少なくとも可視化を後退させようという動きが活発化する程度には)生じていないのに、皆様が我が国で可視化を導入することによって、そのような危険が無視できないほど大きくなるとお考えになるのは何故なのかよくわからない、というのが、上記コメントを投稿させていただいた理由です。
 例えば、諸外国において弁護人に取り調べ記録の閲覧を認めているのに我が国の弁護人には認めるべきではないとお考えの方は、例えば
1)諸外国には組織犯罪がない
2)諸外国の捜査機関は組織犯罪の摘発に熱心でない
3)我が国の弁護士の職業倫理は諸外国の同一職種のそれと比べて著しく低い
とお考えなのか、
それとも何か他の理由がある(そのようなデメリットを減殺するための制度が整備されているから、とか、そのようなデメリットがあってもなお可視化の有用性が認められているから、とか、その他何でもいいですが)とお考えなのか、ご教示頂ければ幸いです。

 「証人保護プログラム」のことのようですが、それをテーマにしたアメリカ映画は、初犯刑務所内でも放映されていました。
 タイトル名はおろか、内容もよく覚えていませんが、当時すでに、矯正教育の一環であったのかもしれません。
 ちなみに、現役の暴力団員でも仮釈放をもらって、早く出るために、組員でないと申告する例があると聞いていました。自己申告だけで簡単に通ることもあったのかもしれません。
 また、暴力団関係者の多い再犯刑務所では、現役の組員に対し、職員が離脱指導というのを行っていたようです。
 組員であれば、初犯でも再犯刑務所ですし、元組員であっても再犯刑務所におくられるようになっていたようです。過剰収容の関係もあり。
 また、離脱届けが認められれば、仮釈放の対象になるそうですが、外部に確認を行うそうです。
 現場の刑事さんより、刑務官の方が情報を豊富に持っているのかもしれません。対立抗争中の組織の組員同士を一緒にさせないとか、いろいろと配慮も必要なようです。
 組関係の人の刑務所内での喧嘩はすごかったですよ、瞬間に一面血の海のに鮮血が飛び散ったり、強力な磁石で吸い寄せられたように組み合ったり、K1とかの格闘技とは、まったく異なる凄まじさがあり、映画などとは比較にならない迫力です。
 すごい世界だなと、思いました。
 そのあたりの緊張感というのは、検察官にも共通していると感じました。

 また、そのような暴発の抑止力として皮手錠がありましたが、弁護士さんらの反発で、使用禁止になったと聞いた覚えがあります。
 マスコミを通じて見聞したことは皆無ですが、再犯刑務所では、新入教育時に、「まず、ここから五体満足で出ることを最優先で考えろ」と言われます。
 さらに、万一暴動が起こった際は、ためらわずに銃を使うとも言われました。
 裏社会と治安体制側には、暗黙のバランス関係のようなものも存在するはずです。時には、毒を持って毒を制するということも、あるのかもしれません。
 杓子定規な法律のみが、すべてではないように思えます。いわば、駆け引きというか、暗黙の取引の部分も、一般の想像を越えて、大きいのかもしれません。

>an_accusedさん

 お久しぶりです。

 私がやってきた取調べを前提にして考えた場合、現時点で最も懸念される全面可視化の問題は、被疑者自身及び被疑者の供述の中に出てくる関係者のプライバシーの保護です。

 取調べのあり方を変えれば弊害は減らせるかも知れません。

 組織犯罪捜査への影響も、私の経験からすると、あるように思います。
 諸外国との対比を指摘されていますが、比較するのであれば、容認されている捜査手法、証拠法、司法取引、刑事免責等を含む制度全体の中で検討する必要があると思っています。

容疑者を録画したとして、映像が必要になってくるのは恐らく「犯人しか知りえない情報を喋ったか」「自白が強要されたものでないか」等が
裁判で争点になった時ではなかろうかと。

プライバシーの侵害と言っても、裁判において傍聴席にいる人に見せてしまうのが問題でしょ?
争点になっているところだけ切り出したものを公開するなら問題無さそうですが。
関係者のプライバシーが侵害されるようなケースが起こりうるんですかね?

被疑者(容疑者?)の側である弁護士の閲覧まで懸念するのは考え過ぎかと。

>被疑者自身及び被疑者の供述の中に出てくる関係者のプライバシーの保護です。

 私もかねてから、引きずりつづけている課題の一つです。反発はおろか、問い合わせ自体皆無のままですが、昨日あたりも、事件の関係者の名前で検索サイトからの訪問があり、引き続き、まとまった数のページビューがあったようです。
 今に始まったことではありませんが、その後の定期的なブログ訪問というのは、ログを見る限りほとんどないようです。
 おそらく、幅広い関係者の実名公開という点でも、自分の知る限り、前例はないはずですが、問題視されたことも自分の知る限り、皆無です。

 数日前の太田総理の討論番組も、至る所に関しカメラを設置せよ法案、で圧倒的とも言えるような世論の支持を受けていたようです。
 正確な情報を提供することで、よりよい判断材料を与える、というのも本来関係者の利益に適うように思っています。
 安易に「被害妄想」という言葉を用いる、実名にこだわる弁護士さんもいるようですが、こちらでも鼻つまみ者扱いのようです。

 ところで、以前、松下幸之助氏の自伝のような本を官本で読んだことがありました。
 そこに仏教説話のようなお話が紹介されていました。
 とても美しい女性の神と極端に醜い女性の神の二人が、ある一軒家を訪れて、宿泊を求めたそうです。
 家人は美しい方だけを招き入れようとしたところ、神々は、それは出来ません、受け入れるのなら両方でなければなりません、と答えたそうです。
 とても印象的で心に残りましたが、当時は、おいしいところだけいただく、という風潮が強いと感じていた頃でもありました。
 ニーチェの「善悪の彼岸」という概念にも通じるものがあると考えていたし、法律の勉強をしている頃も、法というのは、そのようにして歴史的に形成されて来たという印象も受けていました。
 法律を武器だととらえる向きもありそうですが、テレビの影響もあり、受け手が一面的にとらえれば、今後、そのような傾向が強くなるのかもしれません。

 誰にとって、おいしいところなのかは、時と場合により相対的と思えますが、ニーチェは自身の思想哲学を表明するメインに据えた寓話風の書物「ツァラトウストラはこう言った」において、その入り口のような部分で、「万人のための、誰のためのものでもない書物」と書いていました。
 しかし、これも日本語の翻訳の過程において、「誰にでも読めるが、誰にも読めない書物」という表現をされている例もありました。l

 モトケンさんと同じく元検察官でもある落合弁護士は、現在ブログのプロフィール欄に、「敬天愛人」を掲げていらっしゃいます。
 西郷隆盛の言葉のはずですが、西郷さんは「人を相手にするな、天を相手にせよ」とも言っていたそうです。また、中国の孟子の影響も多分に受けていたと本で読んだ覚えがあります。
 専門的に詳しいことはしりませんが、このような思想の人物が、江戸城を無血開城し、維新という新しい時代を切り開く大きな原動力になったことも併せ考えると、やはり私心を離れ、清濁併せ呑む度量でよりよい制度改革を、力ある専門家の方々には期待したいところです。

 ちなみに、西郷さんは新政府に対する不平不満を募らせた武士たちに担がれ、西南戦争で自刃されたようで、波瀾で複雑な人生を歩まれたそうです。
 また、新政府に見切りをつけ、鹿児島に帰るとき、「脱出す、人間虎狼の軍」という言葉を発したとも本で読んだことがありました。
 あるいは、現在の政治や社会の有様にも通じるものがあるのかもしれません。
 落合弁護士も、歯に衣きせず、豪放磊落ですね。
 私の経験と頭では、たまに理解を超えることもありますが。それだけ、自分の器が小さいのかもしれません。

弁護人が信用できない(場合がある)なら、裁判官のみが視聴できる(民事の文書提出命令に関するインカメラ手続のような)手続があっても良いかと思われます。

 情報漏洩について最も懸念の対象となるのは裁判員です。

>No.9

 の一部訂正をさせていただきます。
 虎狼の軍、ではなく、虎狼の群であったと思います。

裁判は公開されたものですから、裁判で提出される資料については裁判官も裁判員も傍聴人も知ってしまうと思いますが、これがプライバシーの侵害ならすでに問題になってますよね。

そもそも「取調べ」はプライベートな行為では無いし、供述調書という文章の形ですでにあるんじゃないですか?

モトケン氏の懸念は、録音・録画の問題ではないと思いますが。

 供述調書は取調室で被疑者が語った内容を全て記録するものではありません。

>裁判は公開されたものですから、裁判で提出される資料については裁判官も裁判員も傍聴人も知ってしまうと思いますが、これがプライバシーの侵害ならすでに問題になってますよね。

公開裁判といっても、提出された資料や証拠の類を、傍聴人が裁判官や裁判員と同様に全て閲覧しながら傍聴できるような制度ではありません。

また、裁判記録の閲覧に際しても、閲覧できない証拠類がない訳ではありません。

ですので、個別裁判の証拠類については、担当裁判員と傍聴人を含む一般人との情報量は必ずしも同レベルではありません。

整理しますと、

1.取調べの全面可視化には必ずしも反対ではない
2.しかし実際の取調べでは調書化されない会話が膨大にあり、
3.その中には被疑者本人への後禍を懸念せねばならぬもの、
  被疑者の関係者に関するプライベートな事柄などが含まれる
4.取調べを全編録画録音し、これを必要に応じて再生するとなれば
  取調室限りの話だった事柄が、取調室外に「漏れる」ことになる
5.「漏れた」先が法曹三者の範囲に留まる限りは保秘性の担保に
  関する懸念は最小限に留まるが、素人である裁判員の閲覧も
  認めた場合には保秘性の担保に重大な疑念がある
6.疑念に留まればいいが、実害が出てからでは取り返しがつかない
7.したがって、データの保存や開示の方法・範囲に関して保秘性の
  担保が十分制度的・運用則的に保障されていることが
確認
  できるまでは、手放しで賛成は出来ない

・・・と言った感じでしょうか。

 そんな感じですね。

なるほど。若干疑問なのが

5、裁判官でも警察官でも逮捕されるケースはあるのに、素人の裁判員にのみ、なぜ問題を起こす重大な懸念があると言えるのか、根拠が無い。

4、警察官による情報漏えいの可能性もあるのなら、それに対してはどうすればよいのか。
そもそも、取調室の証言は裁判で証拠として用いられる可能性があると言う前提のもののはずだが、(↓に続く)

3、わざわざ被疑者に配慮して隠す必要があるのか。
仮に危険があるのなら、それは「証人保護制度の問題」との指摘がNo4であるが、これについては?

といった所です。
そもそも裁判員制度がまだ始まってません。が、情報では3日程度しか時間がないと言われてますから、膨大な量の映像を見る時間などあるはずも無く、結局自白の場面くらいしか見ることが出来ないのではないかと思ってます。

誰でも自由に閲覧できますよという法案なら確かに問題あるかもしれません。
7、の指摘はもっともです。

>No.18 まつくらさん

>根拠が無い。

 本当にそう思いますか?
 マスコミから取材を受けて毅然と抵抗できる人の割合は同じだと思いますか?
 残念ながら私は同じだと思いません。
 失うものの大きさが違う場合もあります。


>そもそも、取調室の証言は裁判で証拠として用いられる可能性があると言う前提のもののはずだが、

 これは間違いです。
 取調室における供述(証言とは言いません)は、供述調書に録取されて、それに供述者が署名押印(または指印)して始めて証拠になります。
 供述者が記録することを認めた範囲に限って証拠になるのです。


>「証人保護制度の問題」

 証人保護制度の問題とは違うと思っていますが、そもそも現在有効な証人保護制度なるものは存在しません。
 少なくとも私は知りません。
 取調べ全面可視化法案の中に証人保護制度の規定があるかないかも知りません。
 たぶん、ないんじゃないでしょうか。

>モトケン先生

 こちらこそご無沙汰いたしております。また、丁寧な応答をいただきありがとうございます。
 さて、

>私がやってきた取調べを前提にして考えた場合、現時点で最も懸念される全面可視化の問題は、被疑者自身及び被疑者の供述の中に出てくる関係者のプライバシーの保護です。
 取調べのあり方を変えれば弊害は減らせるかも知れません。

 で、まさに、その「取調べの在り方を変えるべき時」にきているのではないですか?

>組織犯罪捜査への影響も、私の経験からすると、あるように思います。

 「弁護人に対する閲覧制限」が必要なほどに、“ある”とお考えであるということでしょうか?
 私は、モトケン先生が「取調べ記録の弁護人による閲覧を制限すべし」とお考えであるとは思っておりませんが、少なくともそのような主張がご自身のブログで繰り返されることを容認なさっておられることは事実ですので、確認させていただきたいのです。

 実際のところ、諸外国における取り調べ可視化をめぐる議論状況や我が国の刑事訴訟法学界における議論状況に照らして、こちらで展開されている議論は極めてユニークなのですよね。いや、ユニークだから直ちに誤りである、というつもりはありません。ただ、老婆心ながら、そのユニークさが、他で(オフィシャルな場で)行われている議論の成果を踏まえたものでは全くない、ということについて、元検事の弁護士であるブログ主としては、注意を促しておかれるほうがよいと思います。こちらしか取調べ可視化を巡る議論に触れることがない方々に、「元検事の弁護士が運営するブログで支持されている刑事司法に関する主張が、実はかなりユニークなものである」と気付け、というのは酷なことでしょうから。
 
>諸外国との対比を指摘されていますが、比較するのであれば、容認されている捜査手法、証拠法、司法取引、刑事免責等を含む制度全体の中で検討する必要があると思っています。
 
 とのことですが、全くおっしゃるとおりだと思います。
 ところが、残念ながら、本ブログにおいては、先生がお持ちのような問題意識に基づいた議論、即ち、取り調べの可視化が「取り調べ手法の改善」「証拠法」「司法取引」「刑事免責」といった課題と関連づけられながら検討されるといったことがごく初期の頃を除いてほとんど行われず(もちろん、初期には「司法取引」に関するエントリーなどもアップしておられたことは覚えております)、また「可視化導入諸国において可視化導入に伴って生じる弊害がどのように顕在化し(顕在化しているとしてですが)、また各国がその弊害(無視できないほどにあるとしてですが)をどのように克服しようとしているか」などが全く検討されず、一人二人の捜査関係者(元職含む)の「経験に基づく見解」のみを根拠に議論が展開しているわけです。

 ところで、「比較するのであれば、容認されている捜査手法、証拠法、司法取引、刑事免責等を含む制度全体の中で検討する必要がある」というご見解には全く異論はないのですが、「で、実際に検討なさろうとしておられるのかなあ」と思ってしまうのですね。
 例えば、かつて私は、手続法も実体法も法文化も全く異なる英国などではなく、我が国の旧刑訴法を継受した台湾における取調べ可視化の運用状況について紹介させていただいたわけですが、「容認されている捜査手法、証拠法、司法取引、刑事免責等を含む制度全体が我が国とそれなりに類似している国において、ご懸念のような事態が生じておらず、ましてや「取調べ記録の弁護人による閲覧を制限すべし」などという見解が声高に唱えられるようなことがない、という点について、どのようにお考えでしょうか?

追記:例えば台湾では王迎先事件という人権蹂躙事件(警察の暴力を伴った取り調べに耐えきれず銀行強盗の犯人であることを「自白」した王迎先が、引き当たりの途上に橋から身を投げて自殺した事件。自殺の直前に別の捜査官が真犯人を逮捕しており、王迎先の無実が明らかにされていた。)をきっかけに、一気に取り調べの可視化が実現したわけですが、なぜ我が国では、志布志事件のような深刻かつ大規模な人権蹂躙事件が起こってもなお(さらにいえば志布志事件国賠訴訟で国・県側が今なお「捜査は適正だった」などと強弁するような恥知らずぶりを晒しつづけているにも関わらず)、未だに捜査関係者側の発する反対論にさしたる疑問も持たずに同調すらする人々が多いのか、不思議でならないのですよね。
(感熱紙さまによる、その経験に基づくご見解は貴重ですし、その価値を貶めるつもりは全くないのですが、それをあまりに無邪気に受け入れたり、批判した法曹の意見に対してその表現や姿勢といった皮相に向けた非難に終始するさまをみていると、一度きちんと言っておく必要があるなあと感じていた次第です)。

追記2:供述調書の任意性が、証拠能力の問題として公判前整理手続の中で検討されるものとすると、そこに裁判員の関与はないので、モトケン先生のご懸念は文字通り杞憂ということになります。ただ、任意性の有無が証拠の証明力の問題だとすると、その判断は裁判員の権限でもあるので、モトケン先生のご懸念は的を射たものということになります。現在の有力説は後者ですが、タイトな公判日程を考えると、任意性の問題は供述調書の採否の問題として公判前整理手続でほとんど片付けられていくのではないでしょうか?

素人で勉強不足ゆえan_accused氏の言ってる意味が半分くらいしか理解できません。

で、それ以前の流れで想定されている事態は、

供述調書には無く録画映像にのみ存在する情報で、
裁判でも公開されること無いもので、
それが被疑者に重大な影響を与えるもの、または関係者のプライバシーに関わる物であり、
審議期間が3日しかない裁判員がそれを閲覧出来て、
守秘義務があるのに公表し、またそれを強要する記者が存在し、公開するマスコミが存在する。

そういう話をずっとしてたんですか。
これが警察官による情報漏えいよりも懸念すべき事ですか。

で、裁判員が参加する事件では全て公判前整理手続が行われるために、供述調書の任意性が争点になり録画映像で検証するような事態はあまり起きないと考えられるわけですか?

もういいです。付き合ってられません。

>No.20 an_accusedさん

>で、まさに、その「取調べの在り方を変えるべき時」にきているのではないですか?

 可視化が不可避の状況になっていると思います。
 その結果として「取調べの在り方を変えなくてはいけない時」にきていると思います。

 しかし、それは、国民の刑事司法に対する要求を変えなくてはならないことも意味することになると思います。

>「弁護人に対する閲覧制限」が必要なほどに、“ある”とお考えであるということでしょうか?

 制度としてこれを制限するわけにはいかないでしょうね。
 弁護人が閲覧できない全面録画はナンセンスでしょう。
 ただし、守秘義務違反に対するペナルティはきちんと課さないといけないと思います。

>少なくともそのような主張がご自身のブログで繰り返されることを容認なさっておられることは事実ですので、

 このような指摘を受けると正直困ります。
 私が、コメント欄の意見に対して批判・反論しないことをもって容認つまり暗黙の支持と受け取られると困るわけです。
 このブログのコメント数は一日あたり数十件、日によっては100件を超えます。
 これらについて全部といわず重要なコメントに限ったとしても適切に対応するのは困難です。

>「で、実際に検討なさろうとしておられるのかなあ」と思ってしまうのですね。

 これについては二つのネックがあります。
 根本的な問題として、私の諸外国の制度の実情に関する知識が極めて不十分であるということです。
 さらに、制度全体との関係において説明を始めると、論文並みの説明になってしまいそうで、一般の素人の方に対してわかりやすい説明する自信が全くないという問題があります。

 いずれも私の能力不足に起因する問題ですが、時間があれば挑戦したいテーマではあります。
 
 しかし、今はその時間が決定的にありません。
 大学が夏休みに入れば少しは余裕ができるかも知れませんが。

>「取調べ記録の弁護人による閲覧を制限すべし」などという見解が声高に唱えられるようなことがない、という点について、どのようにお考えでしょうか?

 これについては、上記に述べたとおりです。

>未だに捜査関係者側の発する反対論にさしたる疑問も持たずに同調すらする人々が多いのか、不思議でならないのですよね。

 検察庁の可視化への転換については、志布志事件が大きな影響を及ぼしたのではないかな、と想像しています。
 私の感覚もこのブログを始めたときから比較すればずいぶん変わりました。

>タイトな公判日程を考えると、任意性の問題は供述調書の採否の問題として公判前整理手続でほとんど片付けられていくのではないでしょうか?

 被告人が公判廷で捜査段階と異なる供述をする場合は珍しくありませんが、その場合は捜査段階の供述つまり供述調書の信用性が問題になりますから、裁判員としては録画を見たいと思うのではないでしょうか。


> さらに、制度全体との関係において説明を始めると、論文並みの説明になってしまいそうで、

 そういうことって、ありますね。なるほどと思うご説明です。

>an_accusedさん
名指しでご指摘をいただいたので、横レスになりますが一言言わせて頂きます。
私がモトケン先生のブログにおいて「自身の捜査経験に基づく見解」を述べてさせていただいているのは、取調べ可視化にかかる議論において、本来最も影響を受けるはずの第一線の捜査官の懸念が全く考慮されていない、あるいは極めて軽視されていると感じるからなのです。
確かに警察庁の見解は存在しますが、彼らはあくまでも「行政官」であって「捜査官」ではありませんから、経験のない現場の懸念を上手く表現できてはいません。
「犯罪被疑者の取調べ」というある程度の専門性を必要とする特殊な事項について、実際に運用する者の存在を軽視した議論は「机上の空論」となりかねません。
可視化の積極的導入を主張される方は、頻繁に「導入済の諸外国の状況」をその根拠として挙げられますが、その際に捜査機関の捜査情報収集に大きな制限が設けられている日本の現状が無視されているのはどうにも解せません。
(DNA鑑定とその情報の集積は最近になってようやく形になって来ましたが、未だ「人権」の名の元にその収集範囲は制限されたままであり、その結果、機能が米国と比して二十年は遅れていると言われています)
いくら「諸外国の状況」を紹介して頂いても、我々が行使するのは「日本の法」であり、対峙するのは「日本の犯罪者や犯罪組織」ですから、あまり懸念の払拭には繋がりません。
現実に犯罪捜査に当たる捜査機関の懸念など「被疑者の人権保護」や「世界的な趨勢」の前では考慮に値しないと言われるのであれば、それで結構なのですが…
ちなみに私自身は、取調べの全面可視化について容認(条件付き賛成)の立場であり、その導入のために自分が必要と考える条件や制度整備について法曹や学者の方々とは異なる視点で述べてきたつもりでした。
しかし、自身の意見について「オフィシャルな議論とはかけ離れている」という理由で、取調べの経験を有さない方から、「一度きちんと言っておく必要があるなあと感じていた次第です」などと上から目線で小馬鹿にされるのであれば、もう意見を述べるのは止めにさせていただきます。

>No.22 モトケン先生
 応答をいただき有り難うございます。

>可視化が不可避の状況になっていると思います。
 その結果として「取調べの在り方を変えなくてはいけない時」にきていると思います。
 しかし、それは、国民の刑事司法に対する要求を変えなくてはならないことも意味することになると思います。

 先生がお考えになっておられる「国民の刑事司法に対する要求」の含意については、機会があればご教示頂ければ幸いです(なんとなくですが、先生がものすご〜くお言葉を選んでお書きにならなければならないとお考えになるようなものであるような気がしています(笑))。
 ただ、取調べの可視化が「国民の要求する刑事司法」の実現に資することもまた事実でしょう。
 例えば指宿信「豪州における取調べ録音録画の実態−『ディクソン・レポート』の概要とその示唆ー」判時1994号(2008)によれば、

 「(取調べに対する録音録画の影響について)当事者である警察官の75%が、取調べ計画を立てるなど準備をするようになったと答えている。(中略)我が国でいう『可視化』効果として、取調べを洗練させ、効率化させるという『副作用』を生んでいる。」(4p)

とのことです。自国の捜査機関がさらに取調べ技術を洗練させていくということは、「国民の刑事司法に対する要求」の一つと考えて差し支えないでしょう。

>>「弁護人に対する閲覧制限」が必要なほどに、“ある”とお考えであるということでしょうか?
>制度としてこれを制限するわけにはいかないでしょうね。
 弁護人が閲覧できない全面録画はナンセンスでしょう。
 ただし、守秘義務違反に対するペナルティはきちんと課さないといけないと思います。
 
了解いたしました。

>>少なくともそのような主張がご自身のブログで繰り返されることを容認なさっておられることは事実ですので、
>このような指摘を受けると正直困ります。
 私が、コメント欄の意見に対して批判・反論しないことをもって容認つまり暗黙の支持と受け取られると困るわけです。

 私自身、こちらで自由にコメントを書かせていただいておりましたし、それらについてモトケン先生から積極的に支持を頂かない限り、「自己の見解とモトケン先生の見解が同じである」と考えたことはありません。ただ、専門家が運営するブログでまさにその専門領域に関する話題について語られているので、今一度当たり前のことでも確認しておこうと思った、ということです。
 長くなりましたのと、取り急ぎ応答すべきコメントに気づきましたので、ここで一旦措かせていただきます。

>感熱紙さま
 ご無沙汰いたしております。また、いつぞやは有り難うございました。

 さて、拙文が感熱紙さまのご気分を害してしまったようで、申し訳ありません。
 私は、感熱紙さまのご見解については「その経験に基づくご見解は貴重」と考えており、上から目線で小馬鹿にするつもりはありません。私が懸念しているのは、あくまでも「それをあまりに無邪気に受け入れ」る人々の存在です。
 私の願い通り感熱紙さまがご登場下さったので(そのトーンは期待と異なりましたが)、種明かしをするというか、話を先に進めますと、かつて私が紹介させていただいた財前昌和「台湾における可視化の実情」季刊刑事弁護39号では、取調べ過程の完全可視化が法定された後も、取調べが録音録画されない場合があるとレポートされています。財前弁護士はこの点について「その原因がどこにあるのかは分析が必要」と呑気なことを書いていますが、感熱紙さまなら、台湾の捜査官が取調べの一部を録音録画しない理由がすぐにお分かりになるだろうと思います(感熱紙さまは外国の事例紹介にあまり価値を見いだしておられないかも知れませんが、私は、ある程度は学ぶべきところはある、例えば今回のテーマで言えば、我が国の捜査官についても台湾の捜査官についても、彼らが犯罪に立ち向かうにあたって直面する問題といったものは共通するところがあろうと思います。要はいいところだけつまみ食いして紹介しようとしなければ、学ぶべきものはあるのではないかなあということです)。
 結局、「完全な可視化」なんてものは実現不可能であり、問題は例外をどう作るか、その例外の悪用を防ぐにはどうするか、という話になるわけです。しかし、全取調べのごく一部に生じる懸念を根拠に弁護人閲覧の一律制限なんて話になるかというと、やはり疑問ですし、その疑問がほとんど顧みられないというのではちょっとなあ、と思うわけです。
 感熱紙さまが今後コメントなさるかどうかは、当たり前ながら感熱紙さまの自由な選択に委ねられるわけですが、私としてはもっとお話を伺いたい、例えば最近指宿信先生が判例時報で連載なさったレポートについて感想などお聞きしたいと考えています。

>No.25 an_accusedさん

初めまして。司法、法律に知識に乏しいど素人のカツビンと申すものです。

「それをあまりに無邪気に受け入れる人」

私はこの対象になっていると自覚してます。
※以降、統計・科学的理論から離れた部分で記述します。

玄人や知識ある人から見ると「無邪気」に見えるかもしれません。が、一応ですね可視化の議論を一通り見て判断し同意したんですよ。その過程で思ったのは、可視化議論の「殆どは弁護士側視点」の意見に見えることなんですよね。
でも私なんかは別に元々どっち側の人間でもないわけですから、社会的に一番メリットある制度を望むわけです。その時の視点として「今まであった制度、暗黙知、経験」を変えなくてはならない場合、それがなぜ長年社会の中で浸透し社会が廻っていたのか理由を考えるんですよね。
そして例え問題制度であっても存在し、ある程度社会に対してメリットがあったからだと考えています。

そのような心理が根底にあり、この議論で弁護士側の可視化メリット(冤罪防止等)ばかり言われていると、私なんか眉唾でみてしまいます。
また、日本の警察は優秀であると巷では思っている素人は多いと思いますが、(本当に優秀であるかは別問題。また近頃の評価はどうか不確かですが・・・)
それを極端に弁護士よりの制度に持っていくと、その優秀な警察の捜査の萎縮を引き起こし、検挙率が下がる、犯罪予防の妨げ(犯罪率が高くなる)等が起こらないのかという感情が根底にあります。(これは理論じゃありませんが・・・)
なので犯罪率(殺人等凶悪犯)が日本より高い外国と比較してもねぇ〜という感覚もありますから、日本の現職・元職の方の意見を重要視するわけです。

私は(条件付き)可視化には賛成です。そして感熱紙さん等現職の方の意見のほうが納得感があったからそれに同意したわけです。
⇒勿論、今後議論を見ていて見解が変わる可能性も多いにあります。

※私には当件について知識、経験、見識を持ちませんので議論はできません。ど素人で無邪気に感熱紙さんの意見に同意する人の一例を示す意味で書きました。

>カツビンさま
 はじめまして。

>一応ですね可視化の議論を一通り見て判断し同意したんですよ。その過程で思ったのは、可視化議論の「殆どは弁護士側視点」の意見に見えることなんですよね。

 そりゃあまあ、Web上で自己の見解を表明しているのは、弁護士・検事・警察官・裁判官・被疑者・被告人・被害者の中で言えば圧倒的に弁護士であり、そもそも捜査官関係者や裁判官がブログなどで見解を表明することはあまりないですからね。

> でも私なんかは別に元々どっち側の人間でもないわけですから、社会的に一番メリットある制度を望むわけです。その時の視点として「今まであった制度、暗黙知、経験」を変えなくてはならない場合、それがなぜ長年社会の中で浸透し社会が廻っていたのか理由を考えるんですよね。
そして例え問題制度であっても存在し、ある程度社会に対してメリットがあったからだと考えています。
そのような心理が根底にあり、この議論で弁護士側の可視化メリット(冤罪防止等)ばかり言われていると、私なんか眉唾でみてしまいます。

 おっしゃる通りだと思います。奴隷貿易だって大航海時代当時の欧米社会にとってメリットがあったでしょうね。
 また、「弁護士側の可視化メリット(冤罪防止等)」については、私も眉唾だと思っています(おそらくカツビンさまとは別の趣旨でですが)。

また、日本の警察は優秀であると巷では思っている素人は多いと思いますが、(本当に優秀であるかは別問題。また近頃の評価はどうか不確かですが・・・)
それを極端に弁護士よりの制度に持っていくと、その優秀な警察の捜査の萎縮を引き起こし、検挙率が下がる、犯罪予防の妨げ(犯罪率が高くなる)等が起こらないのかという感情が根底にあります。(これは理論じゃありませんが・・・)

 そもそも、取調べ可視化って、そんなに「極端に弁護士よりの制度」といいうるものなんでしょうか?
 「一応可視化の議論を一通り見」ていれば、取調べ可視化が必ずしも被疑者・被告人にとって有利なものであるとはいえない、それどころかかえって観る者(裁判官など)にバイアスを与え、任意性の適切な評価に悪影響を及ぼす危険性があるかも知れない、ということがお分かりになるだろうと思います。

>なので犯罪率(殺人等凶悪犯)が日本より高い外国と比較してもねぇ〜という感覚もありますから、日本の現職・元職の方の意見を重要視するわけです。

 おっしゃる趣旨がよくわかりません。取調べ可視化の導入が捜査の萎縮や検挙率低下・犯罪発生率上昇を招くかどうかは、ある国において取調べ可視化導入の前後でそのような事態が生じたかどうかによって判断されるべきものでしょう。また、「我が国の犯罪発生率が他国に比べて低いのは、捜査機関が取調べ過程を秘匿しているからだ」ということを示す説得力のある主張が、捜査関係者の側から提示されたことが今までありましたでしょうか?

>an_accusedさん

>任意性の適切な評価に悪影響を及ぼす危険性があるかも知れない

当然、場合により、または被疑者・被告人によっては、デメリットになりえることはあるでしょう。
ただ、そのリスクを加味しても、被疑者・被告人(弁護士側)が有利?になる部分がトータル的に多いと判断しているように見えますが。

>「取調べ可視化導入の前後で(略)判断されるべき」

前後で判断されるんでしょうけど、導入前の「率」が重要なんだと思ってます。

「仮」に導入前には本来検挙可能と予測された率より10%程度落ちた場合を想定し、極端な例を挙げると・・・

A国:前 90%
   後 81%(差−9%)

B国:前 10%
   後  9%(差−1%)

この通り低い率ほど、絶対比率差が低くなりますので、比較評価することが困難であると考えた結果です。
※誤差と看做されることもありえる。

>an_accusedさん
些か感情的になりすぎてしまいました。
お恥ずかしい限りです。
もちろんan_accusedさんが御呈示になられている「捜査関係者(≒権力側)言い分をあまりに無邪気に受け入れる人々」の問題に関しては確かに仰るとおりだろうと思います。
しかしながら、取調べ可視化の問題に関しては、可視化を導入する事が前提で、反対意見を論破することばかりが先行し、制度的な面に関してはほとんど議論が進んでいないという印象を受けます。(このブログでも以前録画記録の運用に関して意見を求めましたがスルーされてしまいました)
今回の民主党の法案についても、「撮影の仕方と封印の仕方」と規定した程度でしかなく、はっきり言って「警察の捜査に不満を持つ人たちの人気取り」くらいにしか感じられません。
そのような状況において、実際の運用者たる捜査機関の持つ懸念に対して、当事者的な感覚により同意を示される方がおられるのは当然ではないかと思うのです。
あと、御紹介の判例時報の連載については、時間がある時に刑事総務課から借りるか図書館あたりで探して精読させていただきたいと思っておりますので、今暫く御時間を頂きたいと思います。
>カツビンさん
賛意を頂きありがとうございます。
カツビンさんのような方の御意見を目にすることは非常に心強い限りでありますが、私の意見は、なにぶん捜査機関関係者による極論ですので、その点についてはある程度割り引いて見ていただけると幸いです。
取り急ぎで申し訳ありませんが、お詫びとお礼を述べさせていただきます。

>No.29 感熱紙(刑)さん

私は元々どちら側の人間でもないですし、個人で勝手に判断した結果なので・・・
「捜査機関関係者」というところで割り引くというか、可能かぎり公平にみようと心がけてます。ただ、「極論」にはみえないです。全面可視化には賛成で、具体的な制度・運用面についての意見が主だと思ってます。他に制度面に突っ込んだ意見があまりみられないので参考させていただいてます。
※極論であれば、絶対反対に近い意見になるはず。

ご意見の中で一つのポイントなのが、「弁護人に参照可能としない」だと思います。私は「捜査・取締りへの萎縮による検挙率低下、犯人逃し」や「不当に任意性を争うことによる裁判長期化、真実から遠ざかること」を懸念してます。

「警察・検察」「裁判官・員」「弁護士」では「任意性」についての感覚が相違してそうなのは、各意見をみていても感じるところです。

この懸念が杞憂で終わればいいんですが・・・

そして元々この議題について確固たる意見・ポリシーもなく、プライドもないので(笑)、他に説得力ある意見をみて納得した場合、自分の意見を変えることもあると事前に言っておきます。

>感熱紙さま
些か感情的になりすぎてしまいました。
お恥ずかしい限りです。

 いえ、こちらこそ配慮を欠いたコメントだったかもしれません。改めてお詫びします。

>もちろんan_accusedさんが御呈示になられている「捜査関係者(≒権力側)言い分をあまりに無邪気に受け入れる人々」の問題に関しては確かに仰るとおりだろうと思います。

 私としては、「可視化バンザイ論」を無邪気に唱える人もどうかと思うわけですが、そのような方はこのブログにはあまりいらっしゃらなかったし、既にコテンパン(死語?)にされていたので言及しませんでした。
 
>しかしながら、取調べ可視化の問題に関しては、可視化を導入する事が前提で、反対意見を論破することばかりが先行し、制度的な面に関してはほとんど議論が進んでいないという印象を受けます。(このブログでも以前録画記録の運用に関して意見を求めましたがスルーされてしまいました)

 オフラインですが、吉丸元判事による「録音・録画記録制度について」(上)(下)判例時報1913・1914号は、本江元検事の取調べ可視化反対論「取調べの録音・録画記録制度について」判例タイムズ1116号を詳細に検討し、批判したものですが、それには取調べ録画の一時停止を認めるべき場合があることや、公訴事実及び量刑事実の存否を明らかに取調べ記録を利用するにあたっては相手方の同意を必要とすべきと主張している点など、運用面についての言及があります。

>今回の民主党の法案についても、「撮影の仕方と封印の仕方」と規定した程度でしかなく、はっきり言って「警察の捜査に不満を持つ人たちの人気取り」くらいにしか感じられません。

 そうかもしれません。しかし、「警察の捜査に不満を持つ人たちの人気取り」って、ずいぶんニッチなニーズですね(笑)

>そのような状況において、実際の運用者たる捜査機関の持つ懸念に対して、当事者的な感覚により同意を示される方がおられるのは当然ではないかと思うのです。

 なんとなくはわかります。また、こちらに登場していた可視化推進論者(おそらく弁護士)が唱えていた「人権擁護最重視」説が無用な反発を招いたこともあるでしょう。

>あと、御紹介の判例時報の連載については、時間がある時に刑事総務課から借りるか図書館あたりで探して精読させていただきたいと思っておりますので、今暫く御時間を頂きたいと思います。

 私も、他エントリーで応答を書くのに一週間以上もかかったことがありますので、お気になさらないでください。

>カツビンさま

>リスクを加味しても、被疑者・被告人(弁護士側)が有利?になる部分がトータル的に多いと判断しているように見えますが。

 そうでしょうね。で、「極端に弁護士よりの制度」なんですか?

>「仮」に導入前には本来検挙可能と予測された率〜

 そんなものどうやって測定するのですか?
 測定できないような指標を持ち出し、適当な数字を放り込んで、比べてどっちが多い少ないとおっしゃられても困ってしまいます。

ところで、

>ご意見の中で一つのポイントなのが、「弁護人に参照可能としない」だと思います。私は「捜査・取締りへの萎縮による検挙率低下、犯人逃し」や「不当に任意性を争うことによる裁判長期化、真実から遠ざかること」を懸念してます。

 弁護人が「取調べに問題があった」と主張したとき、裁判所は当然「取調べのどの部分に問題があったというのか具体的に示せ」というでしょう。もし弁護人が取調べ記録に接していれば、具体的に示すことができますし、もし裁判所から言われても弁護人が具体的に示さなければその主張は退けられるでしょう。で、もし弁護人が取調べ記録に接することができないような制度であれば、裁判所は弁護人に具体的な指摘を求めることができないですし、全記録とはいわないまでもかなりの部分について検証する必要に迫られることになるでしょう。
 つまり、「弁護人に参照可能としない」ことにすれば、明らかに裁判長期化を招くわけですが、カツビンさまがこの点についてどのようにお考えなのかよくわかりませんでした。

>モトケン先生
 というわけで、某トピックに比べて注目度の低いテーマですが、地味〜に進行していますので、お時間があればよろしくお願いします。

>No.31 an_accusedさん

気がつきませんでした。遅れて申し訳ありません。

>そうでしょうね。で、「極端に弁護士よりの制度」なんですか?

私は「極端」に弁護士よりの制度とは言っておりません。警察・検察の現場の声が入ってないんじゃないのということです。
これに拘られるのは、an_accusedさんは、現状、「警察・検察の現場の意見を十分加味した制度・運用」だと評価されてるということでしょうか?

>そんなものどうやって測定するのですか?

ええ測定不能です。本来評価するべきものは測定不能なので、それに類するデータを出してきても評価対象にならないことをいってます。
※参考として出してもよいが積極的な評価下すのは他の外部要因が多すぎるので困難と思われる。

>部分に問題があったというのか具体的に示せ

それはこれまで通りではないでしょうか。そして画像の確認は裁判官ということで。
ただ再考の余地は十分あると考えます。

素人でよく分からないのが、「公判前整理手続(期日間含む)」までに、どれだけの期間があるのかの部分です。また、その時点で証拠として提出可能なのか(画像等の貸し出しは一体どの段階で行われるのか。弁護人受任したら直ぐ申請?)という点です。

私の最大の懸念は、「ビデオ等弁護人が観て、今までであれば任意性を争点にしない事案も争点にする数が極端に多くならないか」という点なので、上記の疑問とあわせて、「公判前整理手続」後であれば参照可でもいいと感じます。

−−−−−−−
TVなどで「○○警察24時間」に類する番組を観た際、任意捜査で逮捕に至る過程で警官と犯人間の会話は、一般社会の感覚からだと「強要・脅迫」にみえる部分があります。でもスンナリ自白する人は少ないはずで、何かしら強い口調になるのは仕方ないとも感じます。「強要・脅迫」として認識される感覚が警察・検察、弁護士、裁判官そして素人である裁判員でかなり相違しているんだろうというところが根本です。

正直、法廷外のデータで結論を出すこと、弁護人に参照不可とすることには違和感あることは確かです。ただ、アジテーション的な発言する弁護士をみるにつけ、その反発と不信感が大きく素直に納得できない部分があります。

※守秘義務の問題(特に裁判員)もありますが、現段階では触れません。

>No.30 カツビンさん
ご返信ありがとうございます。
>ご意見の中で一つのポイントなのが、「弁護人に参照可能としない」だと思います。私は「捜査・取締りへの萎縮による検挙率低下、犯人逃し」や「不当に任意性を争うことによる裁判長期化、真実から遠ざかること」を懸念してます。
確かに取調官の言動の細部にわたり任意性を争ったり(方言で詰問した点を挙げ「威圧された」と主張した被告人がいました)、必要以上に取調官の証人出廷を請求し萎縮効果を狙おうとする事案が頻発する可能性が考えられますが、この部分に関してはある程度捜査機関側で対処可能ですし、an_accusedさんが言われているように、公判前整理手続や裁判官の裁量により負担はより軽減される可能性があります。
私自身としては全面可視化が実施されれば、公判において自身の取調べの任意性について争おうとする被告人は「減少する」と思っています。
しかしながら、組織犯罪捜査(暴力団事件や、銃器薬物事件、広域集団窃盗、組織的詐欺事件等)においては「完全黙秘」は増加する可能性があります。
基本的に取調室内での取調官と被疑者とのやり取りは、「二人だけの秘密」(何かイヤですね・・・)です。
上司への報告も事件に関係する事項以外はほとんど話しませんし、組織犯罪捜査の場合では自供しても調書化の承諾をしない限りは、自供したことすら報告しないこともあります。
取調室で話したことを殊更に公言する刑事は、被疑者からだけでなく同僚刑事からも嫌われます。
「取調室で話したことが後に第三者の知るところとなる」ことは、人的資源(被疑者等からの情報入手)に頼る現在の日本の組織犯罪捜査においては、非常に重い足かせとなる可能性があります。
>No.31 an_accusedさん
こちらこそ今後ともよろしくお願いします。
>吉丸元判事による「録音・録画記録制度について」(上)(下)判例時報1913・1914号は、(中略)運用面についての言及があります。
お恥ずかしながら未見でした。
これについても読ませていただきたいと思います。
私が、弁護士による取調録画証拠の閲覧に難色を示しているのは、基本的に「法廷外への情報流出と、それによる影響に対する強い懸念」からです。
「弁護士への閲覧制限」が現実的ではない(自分でもそう思いますが)とされるのであれば、「録画証拠の目的外使用や外部への流出の厳重な禁止と重罰(執行猶予なしの懲役刑+法曹資格の剥奪)」くらいは規定していただきたいと思うのですよ。

No.33 感熱紙(刑)さん

弁護士会は、そもそも、証拠の目的外使用を制限する条項自体の削除を求めてきた立場ですから、そのような厳しい処分はおよそ期待できませんなー。

弁護人が録画記録を見る際は、当然、第三者の立会いを排除することになるのでしょうから、録画ないし撮影をする弁護人が出てくることは必然です。それが禁止されるかどうかに関係なく。

そして、録画ないし撮影された記録が第三者に流出した場合ですが、そこには、おそらく「警察の横暴を暴く」とか、「自白強要による冤罪であることを明らかにする」という題目がつけられるわけで、それを処分することは報道の自由や被告人の防御権を侵害するから許されない、という意見が強く主張されることになりましょう。弁護会とマスコミから。

録画記録が存在するのに弁護人に見せないという扱いは現実的ではありませんから、遠からず、上記のような事態が発生すると予想しています。


ま、横山弁護士の事件(録画記録でなく調書でしたが)なんてのもありましたが、あれは本人の特異なキャラクターが影響した部分が大きいような・・・・。

>「法廷外への情報流出と、それによる影響に対する強い懸念」

 誰に、どういう影響があるのか気になるところです。

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