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口利き者の供述にためらい 収賄容疑で逮捕の大分県教委元審議監(産経ニュース)

 この事件自体は、あきれた事件で裁判官が詐欺事件を起こしたのに匹敵する事件だと思いますが、このニュースにひっかかったのは弁護人のマスコミ対応の部分です。

 大分県の教員採用試験をめぐる汚職事件で、収賄容疑で逮捕された県教育委員会のナンバー2だった元教育審議監、二宮政人容疑者(61)が、逮捕容疑以外で口利きを受けた人物の具体的な名前について「迷惑が掛かるので(警察に)言うかどうか悩んでいる」と供述をためらっていることが11日、分かった。接見した弁護士が明らかにした。

 こういうことを弁護士が、この段階でマスコミに対して明らかにしていいのかな、と思うわけです。
 
 被疑者に有利になるか、という観点で見て、周囲に波風が立つだけで有利になりそうな点が見つからないんですが、同業諸氏はどう思われるでしょうか?

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コメント(9)

有名事件を担当したことはなく、記者会見はもちろん出待ち記者の突撃を受けたりしたこともないのですが、
接見中に「マスコミに公表すること」について承諾をとったと考えられないことが明らかな事項について、ぺらぺらと喋るということが信じられません。

「守秘義務がありますから」
「被疑者/被告人の主張は公判で明らかにします」
で済ませられない理由があるのであれば、後学のために知りたいと思います。

>こういうことを弁護士が、この段階でマスコミに対して明らかにしていいのかな、と思うわけです。

横から専科が失礼します(笑)。
この段階で弁護士がマスコミに対してしゃべっていいのは警察の取調べがミランダルールを逸脱しているかいないかについてだけだと思います。
その観点からすると、もし私が逮捕された被疑者ならこの弁護士を即解任(笑)しますね。

テレビで2人の弁護人が記者会見している様子をチラッと見ました。
私は、弁護人がマスコミの前で接見の内容などについて話すことについては、以前から好ましくないと思っていますので、モトケンさんご指摘の部分については「なんでこんなことまで。」と思います。
名前をしゃべんねぇ、反省足んねぇ、わいわい、悪い情状が報道で盛り上がる、ってなりそうです。

#秋葉原の事件でも弁護人が就任していると思いますが、弁護人のコメントというのは聞こえてきませんね。

 ご指摘の通りでしょう。実務修習中の修習生には、「懲戒ものだよ。問題点を考えてごらん。」と言っておきました。地元の新聞記者の話では、実によく先生方が本人の言ってることを流すので、その追及で、底なしの状況とのことです。検察・県警も困惑しませんかね。但し、贈収賄事案としては微妙な事案も立件化されそうだとのことです。依頼者は全て話せば自分だけが悪くない=他にもっと悪い人がいる=自分の罪が軽くなると、ともすれば錯覚しがちですし、身柄拘束下にあると、自分が如何に反省しているか分かってもらいたいと考え、あることないことを供述しがちですが、弁護人の苦労もそこにありますよね。だからと言って、弁護人は、依頼者に全面的に同調することは許されず、最善の努力を傾注して弁護人でなければ守れない依頼者の利益を守るべきことも当然で、それに優越して弁護人が世直しを事件をかりてすることは許されないと思っています。また、この職務を完遂する為に、守秘義務がむしろ弁護人の武器としてあるのもまた経験的に明らかです。時代が変わったのではなく、あるべき弁護人像について日頃思考をしていない者の愚行というべきでしょう。如何ですか。

穿った見方をすれば、「私に口利きを依頼した覚えがある人は、私を助けた方がいいですよ。そうでないと私全部警察にしゃべっちゃうかも」というアナウンスメントのようにも聞こえなくはないですが・・・。

>>No.5 じじい さん
なるほど、さすがはお師匠!
もしそうであればこの被疑者は私などより余程切れ者でつね(笑)。
あ、横入り専科の分際で毎度失礼致しました(陳謝)。

私もこの事件でやたら弁護人から話が出てくるのを不思議に思っていました。
以前、弁護士会でも刑事事件におけるマスコミ対応というのをディスカッションしたことがあるのですが、基本的にしゃべって得なことはないという意見が大勢でした(マスコミを利用し、警察を牽制するためとして情報開示する人もいるようですが、かなり高度の見極めが必要になると思います)。

過去にマスコミが関心を寄せる刑事事件を扱ったことがあり、マスコミの取材攻勢が結構うるさかったため、時折事件の進行状況について記者会見的なことをすることはありましたが、刑事弁護のために必要な行為とは思わなかったです。
特に、起訴前で本人の供述以外に証拠関係がわからないときは、うかつなことは言えないと思います。

異業種の門外漢ですが、私は「あってもいい」と感じる口です。こうして情報が「漏出」することによって、起訴事実に基づく公判が被告人不利になるのであれば別ですが、なんと言うかな、公益性だとかパブリック・フェアネスの観点からはむしろ好ましいとの評価も可能かと思います。
マスコミが言う「国民の知る権利」って紋切り型の言葉は使いたくありませんので(笑)。

ただし、刑事の弁護人に要請されているのが「公益(パブリック)からアタックを受ける被告人(プライベート)の防御」であることを考えると、パブリックを盾に情報開示を要求するのもまた筋が違いますから・・・どこまで話すのか話さないのかは結局バランス感覚と言うしかないのかな、とも・・・。

普段はROMなのですが、この問題については時折考えるところがあるので2回目のコメントです。同業の方にはわざわざ言うまでもないことも含んでいますが。

弁護人がマスコミに接見内容を話すことについて、少なくとも起訴前の段階ではハイリスク・ロー(ノー)リターンであろうと思います。
被疑者段階では証拠が開示されていませんので、弁護人が知っているのは基本的に被疑者が接見で話したことだけになります。被疑者が接見で「取調べで〜と供述しました」と言っている事柄すら、本当にそのとおり供述したのか、また調書がそのようになっているのか、あるいは客観的証拠との明らかな矛盾がないかどうかについて確信を持つことはできません。
そのような状態で被疑者の接見での説明だけを根拠にマスコミに話すというのは、被疑者自身の利益にならない危険があるうえ、そもそもそのようないい加減な情報をマスコミに流すことが公益に適うとも言い難いように思います(被害者、関係者を不当に貶めることもありますし、知る権利の観点からも好ましくはないでしょう)。

まして、「(警察に)言うかどうか悩んでいる」というデリケートな内容をマスコミに話すという発想がどこから来るのかわかりません。

取材を継続的に受けていると、顔見知りになった記者に対していつも「言えない」というのが心苦しくなったり、逆に自分が知っていることをおしゃべりしたくなったりという心理は(恥ずかしながら)ないではないのですが、そこを抑えるのが職業倫理というやつだろうと思います。

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