新人医師、半数近くが臨床研修後も母校に戻らず(2008年7月12日20時16分 読売新聞)
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母校に戻る理由がどこにあるのでしょうか? 基礎研究をするか,社会医学の研修をする目的がなければ,大学でしか学ぶことのできない価値あるものがあるのでしょうか?有効性の低い,悪性腫瘍の治療用の薬剤やら,手術がうまくもないのに,威張った指導医やら,大学という特殊な環境でしか通用しないような検査やら,一般臨床の場を知れば,無意味なものでしかないことがわかってしまいます.それでも,臨床の場での疑問を掘り下げて,研究しようとする本物の研究者だけが,大学に戻れば,いずれは,大学が真に価値のある場所になるでしょうけど.
>大学でしか学ぶことのできない価値あるものがあるのでしょうか?
うちの大学の場合は,症例の多様さ,スタッフの力量とも研修するにはよい環境であると自負できるレベルです.市中病院でも大きなところはスタッフの数もそれなりで,腕の良いスタッフが居ればそれなりの研修が可能でしょう.
「麻酔」というものを考えた場合にはやはり大学病院の患者の方が合併症も多く1例1例管理方針をきっちり立てて管理しなければならない患者さんが多いのは事実です.そういった思考のトレーニングするには市中病院よりも大学病院の方が適しています.一方,手技的なものは市中病院の方がトレーニングに向いているところもあるでしょう. 新生児から超高齢者まで幅の広い症例を体験できるのは大学病院の利点です.それほど大学病院が否定されるものでもないと思いますが.うちの場合,メジャー科の大部分の臨床レベルは高いです.(一部ちょっと落ちるところもありますが,それは致し方ないことでしょうか...)
Level3先生の大学は,都会にあるそれなりの大学であろうと思いますが,私の母校は,体外循環の研究をしていても,レベルが低く,臨床症例数も少なかったので,医局を離れて就職してから,就職先の病院でのPCPSの症例数の多さに驚いたものです.いい指導者のいる大学であれば,麻酔科については,症例のバリエーションもあり,性格の悪い術者との出会いなどもあり,意義のある修行の場となりましょうが,他の科では,特に外科系であれば,名の通った病院での研修の方が,得るものは多いのではないでしょうか?
タカ派の麻酔科医先生,
そうですね.大学といってもいろいろありますから,ひとまとめにして言う訳にはいかないですね.
大切な事は,「よい指導者」,「経験に値する症例の豊富さ」,「勤務環境」といったところでしょうか...
医療関係者なら誰でも知っているはずのことですが、
> 新研修制度は、大半が大学病院だった研修先を、原則 > 自由に選べるようになった。
マスコミでこういう誤解をしているのをよく見かけますが、 嘘なんですよね。大学を卒業してどこを研修先に選ぶかと いうのは大昔から自由です(例外として自治医大や防衛医 大は学費相当分を返還しない限り勤務先が拘束される)。 ただ、昔は卒業した大学以外の情報が非常に限られていて、 地方の医大だと「○×先輩は東大の内科に行った。やっぱ り頭よかったよね」という感じだったわけです。
研修必修化で何が変わったかと言えば、厚生労働省の外郭 団体のホームページを見れば、全国の研修病院の選考日程、 待遇、研修終了後の進路、などが一目でわかるようになっ たということです。卒後の進路が非常にはっきりとイメー ジできるようになった。都市部の病院の選考を受けるのに も以前ならば電話や手紙でいちいち問い合わせる必要があっ たのが、インターネットで簡単に出願できるようになった。 さらに、地方医大から都市部へという流れができたために 「遊んでばかりいて成績が良くなかった○×先輩が東京の ○×病院(有名研修病院ないし都内の有名大学)へ行った」 といった実例が積み重なって、学生レベルでも意識が大き く変わってきているようです。
こうした状況で、多少研修医制度をいじったところで、地 方の大学病院に研修医が戻るわけがありません。
大学側の姿勢も非常に問題ですね。「卒業生が残らないか ら制度を変えて出て行けないようにしよう」という発想が でるような地方大学に、誰が残るものですか。
私は地方の大学から都内の大学医局に就職したクチですが、 大学病院幹部の話に感動してしまいました。
「この大学病院でも研修医の希望者が減ってきている。都 内の有名研修病院と比べるとどうしても待遇が劣ってしま う。大学病院だから稼ぎと関係ないというのではなく、き ちんと収益を上げて職員の待遇を改善して、研修医を含め た医師からも選ばれる病院にしなければならない。」
なんというか、制度で卒業生を縛ろうと発想する地方大学 とは発想のレベルが違いますね。貧困な発想しかできない 地方の大学病院には未来はなさそうです。
厚生労働省の「安心と希望の医療確保ビジョン」会議で、尾身茂・WHO西太平洋地域事務局長と言う方が次のように言っています。 ______________________________________________________
<前略> 日本の医療を外から見ていて、素晴らしい制度が崩壊しかかっていて、新臨床研修制度がそのトリガーになったという説明も聞くのだけれど、たしかに新臨床研修制度がトリガーになったかもしれないけれど、既にその前から日本の医療は3つの根元的な課題を抱えていて、それが顕在化したに過ぎないと思う。
3つの課題とは、まず一つ目。医療サービスは本来公共財として扱われるべきものであり、車やテレビのように好みとかお金のあるなしで受ける受けないが決まるものではない。誰もが病気になるリスクはあるのであり、そのリスクを皆でプールする仕組みであり、決して一部の人のものではない。断じて医師のものでも一部の患者のものでもない。その認識がこれまで低かったと思う。
<中略> この3点の課題を踏まえて私見ながら、どんなコンセプトが必要なのか5点挙げる。
1、医療・医師に関して公共財としての概念を浸透させる。プロフェッショナル集団としての職業の自由は最大限に尊重するけれど、同時に公共の福祉も考えないといけない。どこに行っても何科の医師になっても自由というのは、どこかで是正しなければならない。
http://mric.tanaka.md/2008/02/02/_vol_7.html ______________________________________________________
とのことです。 個人的には、とても共感できる意見です。
随分変わるようです。
http://www3.nhk.or.jp/news/k10015976691000.html
7月18日 5時41分 地域の医療を担う医師を増やすため、厚生労働省は、医師免許を取った医師に2年間義務 づけている「臨床研修」の制度を見直し、産婦人科や外科など医師不足が特に深刻な分野 を重点的に学ぶコースを、新たに設ける方針を固めました。
>随分変わるようです。 >http://www3.nhk.or.jp/news/k10015976691000.html
顔(形式)が変るだけで,実際の意味(効果)はほとんど何もないでしょうね.2年間の研修内容と,その後の進路とは無関係ですから. このシステムそのものが存在する限り,大勢は変らないということです.尤ももはやこのシステムを無くしてもダメですけど. 研修システムよりも,医療を取り巻く環境(労働環境問題,訴訟問題)などを改善しない限り,結局のところ勤務医不足は解消しません.これらが根本的治療法です.それは厚労省の仕事ではなく,政府の仕事です. 小手先の見せかけ対症療法によるお茶濁しに過ぎません.
総合医というのも同様です.使い物になる医師が育つまで10年近く掛かりますし,これも訴訟問題の解決無くしては実効性に乏しい.
都心の大学病院だけ埋まりそうな気もしますね。 田舎の大学には僻地奨学金でも出せばいいのに。
医師研修の工夫解禁 大学限定、地方に誘導 厚生労働省 http://www.asahi.com/national/update/0718/TKY200807170336.html
だーかーらー、
研修先の勤務医が、ヘロヘロになってるのに、いくら入り口を弄っても無駄なんだよ。
研修医の知性をバカにした政策です。
「隗より始めよ」の意味を間違って覚えているタイプだな。
>「隗より始めよ」の意味を間違って覚えているタイプ
なんかこれ間違えてる人が過半数越えてるようですよね。
だいたい開けちまったらパンドラの箱の蓋は閉められないでしょう。 対症療法にもほどがある。(笑
まあ、産科に行く気のない研修医がローテートしてきても、正直言って邪魔だし・・・。というのは、スーパーローテーが始まってからやる気のない研修医が増えてきました。何を言ってもサマリーは書かないし、仕事もできない・・・。デューティを与えても、「私、この科にはどうせ行きませんから」となってしまいます。 行きたい科であればいくらでも居残りをするのですけどね。
医師に限らず、どの職場も一緒なのでしょうけど、やはり人間は向き不向きの仕事があります。 では、不向きな科でも気合いで何とかしなければならないのでしょうか?やりたくない科に行ったところで、おそらく無理矢理やったとしても覚えは悪いでしょうし、特に外科系(勿論産科も含みますよ)はそれこそ生まれ持ったDNAによって外科に向いているかどうかというのがあるのではないかと私は思います。事実、ちゃんと勉強しなきゃ、と気合いを入れても自分に向かない科の知識や技術はものにならないのです(他の職種でこういうことが実際あるのかどうかは知りませんが)。また、普通の職業ならいざ知らず、医療の場合、不向きの医師が手術をやると患者を殺しかねません。私ならやる気のない医師に患者を任せることはしません。
ですので、厚生省のまた意味のない制度に辟易しています。
> ですので、厚生省のまた意味のない制度に辟易しています。
根本的な問題として、制度をいじる厚生労働省が医療の現場 を知らなすぎる、というのが大きいのだと思います。医療問 題に関して出す案がどれも事態を悪化させる方向に働きそう なものばかり。
私の持論なのですが、厚生労働省にいっぱいいる「医系技官」 と呼ばれる人々をもっと医療の現場に出すべきです。例えば 平職員から係長、係長から課長、といった節目で数ヶ月間の 研修をした上で一線の医療の現場に出てもらう。それこそ僻 地の自治体診療所の一人診療所長として一年くらい赴任させ る。
医師免許を持っていながら患者さんを直接診察しない層が医 師不足の原因といわれています。結婚した女医がその典型で すが、医系技官もその一つです。こうした人々を一線の診療 現場に動員できれば医師不足解消に役立ちます。さらに、厚 生労働省の政策に医療現場の実態を反映させることにも役立 ちます。
また、国に直接雇用されていない医師の人事を国が行うこと はできませんが、医系技官は国家公務員ですから国の人事で 地方に出向させることができます。「技官は医療職ではない」 といった反論もあるようですが、教育職であるはずの大学教 員が医療に従事していた実態があるのですからそのへんは支 障にならないでしょう。
是非ともこの案を実現させてほしいものです。
No.13 都内病院勤務医 さん
チョット古いニュースですが‥ NIKKEI NET 経済欄 6月26日 01:08
舛添厚労相「医系技官に臨床研修を」 舛添要一厚生労働相は26日、政府が7月にまとめる社会保障分野の「五つの安心プラン」の参考にするために都内の日野市立病院を視察した。病院関係者と記者団を前に「医系技官が臨床をやって戻ることをやりたい」と発言し、医系技官に臨床研修を積ませる意向を示した。安心プランの柱の一つである厚労省の組織改革案に盛り込む考えだ。 厚労省の官僚には事務系の職員のほか、大学医学部卒の「医系技官」がいる。医療現場の経験を積んでいない医系技官もいるため、医師団体などから「厚労省は現場を知らない」などと批判が出ている。舛添厚労相は医系技官に病院などで臨床経験を積ませることで厚労省内部の活性化にも役立つと判断しているようだ。
厚労省の官僚には事務系の職員のほか、大学医学部卒の「医系技官」がいる。医療現場の経験を積んでいない医系技官もいるため、医師団体などから「厚労省は現場を知らない」などと批判が出ている。舛添厚労相は医系技官に病院などで臨床経験を積ませることで厚労省内部の活性化にも役立つと判断しているようだ。
>都心の大学病院だけ埋まりそうな気もしますね。
一市民さん, 残念ながらこれもまた,そうはならないでしょう.なぜ,初期研修医の多くが大学病院を嫌うか.その答えは雑用の多さでしょう.大学病院くらい看護師の働かない病院はありません.その分の仕事は研修医に押し付けられるのです.嫌がって来ないのはある意味当たり前でしょうね.学内出身者はほとんどそのことを知っていますから残らないのです.うちの大学でもやる気のある研修医は市中の総合病院に出るのが多いです.
>田舎の大学には僻地奨学金でも出せばいいのに。
positiveな意味で研修医が研修先をえらぶ理由は金銭ではなく,「どれだけ教えてもらえるか」「どれだけの症例を体験させてもらえるか」です.だからこれもあまり成功しそうにないのです.
研修医の先生たちに対するアンケートの結果などもWebに転がっていると思いますので,そういったものも参考にされてはどうかと思います.
No.14 法務業の末席 さま
ううむ、舛添厚生労働大臣に大いに期待、というところで しょうか。
No.15 Level3 さま
某地方国立大学の部内報に載っていた学長談話によれば、 初期臨床研修を終えた後で大学の医局や関連病院に残ら ずに外部に出て行く研修医が続出しているそうです。私 の現在の所属医局(都内の大学病院)でもそうした研修 医を多く受け入れています。
厚生省や地方の大学当局が学生を騙して(?)研修医に したとしても、結局は逃げられてしまうということです ね。研修の内容を充実させたり待遇を改善したりという 本質的なことに背を向けていてもどうしようもないとい うことで。
いまだに「大学は指導医が多い」などという寝言を書い ている大学病院幹部がいっぱいいます。指導医の数が問 題なのではなく、研修医を指導する指導医や中堅クラス のスタッフに(研修医を指導する)余裕がどれだけある か、という中身が問題なのにねぇ。
以下は2005年のコメントですが、今回の見直しでついに一部実現したということでしょうか? 医局復活? よくわかりません。
全国医学部長病院長会議が、地域医療の危機を理由に挙げて制度見直しを 求めるのは、こうした大学病院の事情からのことだが、疑問の声も上がる。 元東京大学医学部教授で日本学術会議会長の黒川清氏は「大学病院は地域医 療のことを考えて医師を派遣してきたわけではない。医局の権力維持のためだ。 見直し要求は研修医の数を元に戻して、医局体制を維持したいのが本音」と 切り捨てる。寺沢氏は「大学病院から派遣されてきたのは専門教育だけを 受けた医師。地方のニーズにあった総合的な診療ができる医者だったのか」 と派遣医師の質にも疑問を投げかける。
神奈川県の大和成和病院で心臓外科部長を務める南淵明宏氏は「大学病院 の臨床能力のいいかげんさを知る研修医が避けた結果。見直し要請は 『もてない男が、絶対カップルになれる合コンを設定してくれ』 と言うのと同じ」と手厳しい。
>元東京大学医学部教授で日本学術会議会長の黒川清氏は「大学病院は地域医療のことを考えて医師を派遣してきたわけではない。医局の権力維持のためだ。見直し要求は研修医の数を元に戻して、医局体制を維持したいのが本音」
これは、東大がそうしてきましたってことでしょ。 地方の大学医局がどれだけ、地域医療に貢献してきたかこいつはまったく知らない。
それを名義貸し・寄付金問題で手の平を返して、じゃあバイバイとなったら、地方自治体病院は崩壊し、地方大学病院もやばくなったということ。
黒川氏は、ドメスティックな構造をまったく理解せずに、理想論を振りかざし、日本の医療をぶっ壊した立役者です。 イイか悪いかは別の問題ですが、それは間違いのない事実。 もちろんこの人を利用した勢力はたくさんいますがね。
>いまだに「大学は指導医が多い」などという寝言を書い ている大学病院幹部がいっぱいいます。指導医の数が問 題なのではなく、研修医を指導する指導医や中堅クラス のスタッフに(研修医を指導する)余裕がどれだけある か、という中身が問題なのにねぇ。
都内病院勤務医先生, 大学や専門科によるとは思いますが,少なくともうち(麻酔科)では数そのものが指導する余裕の程度と相関します.これは麻酔科という特殊性にあるのでしょうけど.手術の列数は基本的に決められていますからです.もちろん緊急手術の数も考えなければなりませんが.
結局「医局の良い部分」を見ないでわかりもしないお偉方が騒いで医局を無条件につぶしたのも医療崩壊の原因の一つになっているのではと私は見ています。
yamaさんの書かれたことが最も正鵠を射ていると思います. 問題点はいくつもありましたが,医療基盤を維持する上で医局のシステムというのは非常によい機能を発揮していました.その機能をうまく別システムに移行させることができていれば,現在のような地方医療の崩壊などは起こらなかったと思われます.
厚労省は医局にとって変ろうとしていたということも噂されていましたが,実際上それは無理であったと思います. 国家試験に合格しただけでは医師免はもらえてもの何もできない白紙の状態です.これを実務に耐え得る臨床医に育てるには教育システムが必要なのです.医局はこれまでその教育システムを担って来ました.臨床医を育てるという機能と共に,その見返りといっては何ですが,一定の期間は各地域の病院にも出向して労働力となって頂くということを行なってもらっていた訳です. 今の臨床研修システムでは,やる気のある研修医は自分で研修病院を探して修行を積み,一人前の臨床医に育っていくでしょうけど,おそらくそれは少数派でしょう.そこまでのモチベーションのない多数派(?)は初期研修を受けた病院でそのまま後期研修を続けるか,別の後期研修病院で研修を受けてもそのまま常勤医としてその病院に就職できる可能性は低いでしょう.多くの病院を廻り,色々な見聞を深めて臨床医は一人前になるわけですが,その経験数が圧倒的に不足するからです.また,その病院の常勤医が辞めない限りはポストは空きませんし,そのポストに後期研修医君が入れる保証は何一つ無いからです.実力次第ですが.10年先には一般に医療レベルは確実に低下するでしょう.まあ,目の見える後期研修医たちは徐々に気付くんでしょうけど.そしてそういった人たちは結局医局に入っるようになります.実際のところ少しずつそのような傾向が出始めているようです.
母校に戻る理由がどこにあるのでしょうか?
基礎研究をするか,社会医学の研修をする目的がなければ,大学でしか学ぶことのできない価値あるものがあるのでしょうか?有効性の低い,悪性腫瘍の治療用の薬剤やら,手術がうまくもないのに,威張った指導医やら,大学という特殊な環境でしか通用しないような検査やら,一般臨床の場を知れば,無意味なものでしかないことがわかってしまいます.それでも,臨床の場での疑問を掘り下げて,研究しようとする本物の研究者だけが,大学に戻れば,いずれは,大学が真に価値のある場所になるでしょうけど.
>大学でしか学ぶことのできない価値あるものがあるのでしょうか?
うちの大学の場合は,症例の多様さ,スタッフの力量とも研修するにはよい環境であると自負できるレベルです.市中病院でも大きなところはスタッフの数もそれなりで,腕の良いスタッフが居ればそれなりの研修が可能でしょう.
「麻酔」というものを考えた場合にはやはり大学病院の患者の方が合併症も多く1例1例管理方針をきっちり立てて管理しなければならない患者さんが多いのは事実です.そういった思考のトレーニングするには市中病院よりも大学病院の方が適しています.一方,手技的なものは市中病院の方がトレーニングに向いているところもあるでしょう.
新生児から超高齢者まで幅の広い症例を体験できるのは大学病院の利点です.それほど大学病院が否定されるものでもないと思いますが.うちの場合,メジャー科の大部分の臨床レベルは高いです.(一部ちょっと落ちるところもありますが,それは致し方ないことでしょうか...)
Level3先生の大学は,都会にあるそれなりの大学であろうと思いますが,私の母校は,体外循環の研究をしていても,レベルが低く,臨床症例数も少なかったので,医局を離れて就職してから,就職先の病院でのPCPSの症例数の多さに驚いたものです.いい指導者のいる大学であれば,麻酔科については,症例のバリエーションもあり,性格の悪い術者との出会いなどもあり,意義のある修行の場となりましょうが,他の科では,特に外科系であれば,名の通った病院での研修の方が,得るものは多いのではないでしょうか?
タカ派の麻酔科医先生,
そうですね.大学といってもいろいろありますから,ひとまとめにして言う訳にはいかないですね.
大切な事は,「よい指導者」,「経験に値する症例の豊富さ」,「勤務環境」といったところでしょうか...
医療関係者なら誰でも知っているはずのことですが、
> 新研修制度は、大半が大学病院だった研修先を、原則
> 自由に選べるようになった。
マスコミでこういう誤解をしているのをよく見かけますが、
嘘なんですよね。大学を卒業してどこを研修先に選ぶかと
いうのは大昔から自由です(例外として自治医大や防衛医
大は学費相当分を返還しない限り勤務先が拘束される)。
ただ、昔は卒業した大学以外の情報が非常に限られていて、
地方の医大だと「○×先輩は東大の内科に行った。やっぱ
り頭よかったよね」という感じだったわけです。
研修必修化で何が変わったかと言えば、厚生労働省の外郭
団体のホームページを見れば、全国の研修病院の選考日程、
待遇、研修終了後の進路、などが一目でわかるようになっ
たということです。卒後の進路が非常にはっきりとイメー
ジできるようになった。都市部の病院の選考を受けるのに
も以前ならば電話や手紙でいちいち問い合わせる必要があっ
たのが、インターネットで簡単に出願できるようになった。
さらに、地方医大から都市部へという流れができたために
「遊んでばかりいて成績が良くなかった○×先輩が東京の
○×病院(有名研修病院ないし都内の有名大学)へ行った」
といった実例が積み重なって、学生レベルでも意識が大き
く変わってきているようです。
こうした状況で、多少研修医制度をいじったところで、地
方の大学病院に研修医が戻るわけがありません。
大学側の姿勢も非常に問題ですね。「卒業生が残らないか
ら制度を変えて出て行けないようにしよう」という発想が
でるような地方大学に、誰が残るものですか。
私は地方の大学から都内の大学医局に就職したクチですが、
大学病院幹部の話に感動してしまいました。
「この大学病院でも研修医の希望者が減ってきている。都
内の有名研修病院と比べるとどうしても待遇が劣ってしま
う。大学病院だから稼ぎと関係ないというのではなく、き
ちんと収益を上げて職員の待遇を改善して、研修医を含め
た医師からも選ばれる病院にしなければならない。」
なんというか、制度で卒業生を縛ろうと発想する地方大学
とは発想のレベルが違いますね。貧困な発想しかできない
地方の大学病院には未来はなさそうです。
厚生労働省の「安心と希望の医療確保ビジョン」会議で、尾身茂・WHO西太平洋地域事務局長と言う方が次のように言っています。
______________________________________________________
<前略>
日本の医療を外から見ていて、素晴らしい制度が崩壊しかかっていて、新臨床研修制度がそのトリガーになったという説明も聞くのだけれど、たしかに新臨床研修制度がトリガーになったかもしれないけれど、既にその前から日本の医療は3つの根元的な課題を抱えていて、それが顕在化したに過ぎないと思う。
3つの課題とは、まず一つ目。医療サービスは本来公共財として扱われるべきものであり、車やテレビのように好みとかお金のあるなしで受ける受けないが決まるものではない。誰もが病気になるリスクはあるのであり、そのリスクを皆でプールする仕組みであり、決して一部の人のものではない。断じて医師のものでも一部の患者のものでもない。その認識がこれまで低かったと思う。
<中略>
この3点の課題を踏まえて私見ながら、どんなコンセプトが必要なのか5点挙げる。
1、医療・医師に関して公共財としての概念を浸透させる。プロフェッショナル集団としての職業の自由は最大限に尊重するけれど、同時に公共の福祉も考えないといけない。どこに行っても何科の医師になっても自由というのは、どこかで是正しなければならない。
http://mric.tanaka.md/2008/02/02/_vol_7.html
______________________________________________________
とのことです。
個人的には、とても共感できる意見です。
随分変わるようです。
http://www3.nhk.or.jp/news/k10015976691000.html
7月18日 5時41分
地域の医療を担う医師を増やすため、厚生労働省は、医師免許を取った医師に2年間義務
づけている「臨床研修」の制度を見直し、産婦人科や外科など医師不足が特に深刻な分野
を重点的に学ぶコースを、新たに設ける方針を固めました。
>随分変わるようです。
>http://www3.nhk.or.jp/news/k10015976691000.html
顔(形式)が変るだけで,実際の意味(効果)はほとんど何もないでしょうね.2年間の研修内容と,その後の進路とは無関係ですから.
このシステムそのものが存在する限り,大勢は変らないということです.尤ももはやこのシステムを無くしてもダメですけど.
研修システムよりも,医療を取り巻く環境(労働環境問題,訴訟問題)などを改善しない限り,結局のところ勤務医不足は解消しません.これらが根本的治療法です.それは厚労省の仕事ではなく,政府の仕事です.
小手先の見せかけ対症療法によるお茶濁しに過ぎません.
総合医というのも同様です.使い物になる医師が育つまで10年近く掛かりますし,これも訴訟問題の解決無くしては実効性に乏しい.
都心の大学病院だけ埋まりそうな気もしますね。
田舎の大学には僻地奨学金でも出せばいいのに。
医師研修の工夫解禁 大学限定、地方に誘導 厚生労働省
http://www.asahi.com/national/update/0718/TKY200807170336.html
だーかーらー、
研修先の勤務医が、ヘロヘロになってるのに、いくら入り口を弄っても無駄なんだよ。
研修医の知性をバカにした政策です。
「隗より始めよ」の意味を間違って覚えているタイプだな。
>「隗より始めよ」の意味を間違って覚えているタイプ
なんかこれ間違えてる人が過半数越えてるようですよね。
だいたい開けちまったらパンドラの箱の蓋は閉められないでしょう。
対症療法にもほどがある。(笑
まあ、産科に行く気のない研修医がローテートしてきても、正直言って邪魔だし・・・。というのは、スーパーローテーが始まってからやる気のない研修医が増えてきました。何を言ってもサマリーは書かないし、仕事もできない・・・。デューティを与えても、「私、この科にはどうせ行きませんから」となってしまいます。
行きたい科であればいくらでも居残りをするのですけどね。
医師に限らず、どの職場も一緒なのでしょうけど、やはり人間は向き不向きの仕事があります。
では、不向きな科でも気合いで何とかしなければならないのでしょうか?やりたくない科に行ったところで、おそらく無理矢理やったとしても覚えは悪いでしょうし、特に外科系(勿論産科も含みますよ)はそれこそ生まれ持ったDNAによって外科に向いているかどうかというのがあるのではないかと私は思います。事実、ちゃんと勉強しなきゃ、と気合いを入れても自分に向かない科の知識や技術はものにならないのです(他の職種でこういうことが実際あるのかどうかは知りませんが)。また、普通の職業ならいざ知らず、医療の場合、不向きの医師が手術をやると患者を殺しかねません。私ならやる気のない医師に患者を任せることはしません。
ですので、厚生省のまた意味のない制度に辟易しています。
> ですので、厚生省のまた意味のない制度に辟易しています。
根本的な問題として、制度をいじる厚生労働省が医療の現場
を知らなすぎる、というのが大きいのだと思います。医療問
題に関して出す案がどれも事態を悪化させる方向に働きそう
なものばかり。
私の持論なのですが、厚生労働省にいっぱいいる「医系技官」
と呼ばれる人々をもっと医療の現場に出すべきです。例えば
平職員から係長、係長から課長、といった節目で数ヶ月間の
研修をした上で一線の医療の現場に出てもらう。それこそ僻
地の自治体診療所の一人診療所長として一年くらい赴任させ
る。
医師免許を持っていながら患者さんを直接診察しない層が医
師不足の原因といわれています。結婚した女医がその典型で
すが、医系技官もその一つです。こうした人々を一線の診療
現場に動員できれば医師不足解消に役立ちます。さらに、厚
生労働省の政策に医療現場の実態を反映させることにも役立
ちます。
また、国に直接雇用されていない医師の人事を国が行うこと
はできませんが、医系技官は国家公務員ですから国の人事で
地方に出向させることができます。「技官は医療職ではない」
といった反論もあるようですが、教育職であるはずの大学教
員が医療に従事していた実態があるのですからそのへんは支
障にならないでしょう。
是非ともこの案を実現させてほしいものです。
No.13 都内病院勤務医 さん
チョット古いニュースですが‥
NIKKEI NET 経済欄 6月26日 01:08
>都心の大学病院だけ埋まりそうな気もしますね。
一市民さん,
残念ながらこれもまた,そうはならないでしょう.なぜ,初期研修医の多くが大学病院を嫌うか.その答えは雑用の多さでしょう.大学病院くらい看護師の働かない病院はありません.その分の仕事は研修医に押し付けられるのです.嫌がって来ないのはある意味当たり前でしょうね.学内出身者はほとんどそのことを知っていますから残らないのです.うちの大学でもやる気のある研修医は市中の総合病院に出るのが多いです.
>田舎の大学には僻地奨学金でも出せばいいのに。
positiveな意味で研修医が研修先をえらぶ理由は金銭ではなく,「どれだけ教えてもらえるか」「どれだけの症例を体験させてもらえるか」です.だからこれもあまり成功しそうにないのです.
研修医の先生たちに対するアンケートの結果などもWebに転がっていると思いますので,そういったものも参考にされてはどうかと思います.
No.14 法務業の末席 さま
ううむ、舛添厚生労働大臣に大いに期待、というところで
しょうか。
No.15 Level3 さま
某地方国立大学の部内報に載っていた学長談話によれば、
初期臨床研修を終えた後で大学の医局や関連病院に残ら
ずに外部に出て行く研修医が続出しているそうです。私
の現在の所属医局(都内の大学病院)でもそうした研修
医を多く受け入れています。
厚生省や地方の大学当局が学生を騙して(?)研修医に
したとしても、結局は逃げられてしまうということです
ね。研修の内容を充実させたり待遇を改善したりという
本質的なことに背を向けていてもどうしようもないとい
うことで。
いまだに「大学は指導医が多い」などという寝言を書い
ている大学病院幹部がいっぱいいます。指導医の数が問
題なのではなく、研修医を指導する指導医や中堅クラス
のスタッフに(研修医を指導する)余裕がどれだけある
か、という中身が問題なのにねぇ。
以下は2005年のコメントですが、今回の見直しでついに一部実現したということでしょうか?
医局復活?
よくわかりません。
全国医学部長病院長会議が、地域医療の危機を理由に挙げて制度見直しを
求めるのは、こうした大学病院の事情からのことだが、疑問の声も上がる。
元東京大学医学部教授で日本学術会議会長の黒川清氏は「大学病院は地域医
療のことを考えて医師を派遣してきたわけではない。医局の権力維持のためだ。
見直し要求は研修医の数を元に戻して、医局体制を維持したいのが本音」と
切り捨てる。寺沢氏は「大学病院から派遣されてきたのは専門教育だけを
受けた医師。地方のニーズにあった総合的な診療ができる医者だったのか」
と派遣医師の質にも疑問を投げかける。
神奈川県の大和成和病院で心臓外科部長を務める南淵明宏氏は「大学病院
の臨床能力のいいかげんさを知る研修医が避けた結果。見直し要請は
『もてない男が、絶対カップルになれる合コンを設定してくれ』
と言うのと同じ」と手厳しい。
>元東京大学医学部教授で日本学術会議会長の黒川清氏は「大学病院は地域医療のことを考えて医師を派遣してきたわけではない。医局の権力維持のためだ。見直し要求は研修医の数を元に戻して、医局体制を維持したいのが本音」
これは、東大がそうしてきましたってことでしょ。
地方の大学医局がどれだけ、地域医療に貢献してきたかこいつはまったく知らない。
それを名義貸し・寄付金問題で手の平を返して、じゃあバイバイとなったら、地方自治体病院は崩壊し、地方大学病院もやばくなったということ。
黒川氏は、ドメスティックな構造をまったく理解せずに、理想論を振りかざし、日本の医療をぶっ壊した立役者です。
イイか悪いかは別の問題ですが、それは間違いのない事実。
もちろんこの人を利用した勢力はたくさんいますがね。
>いまだに「大学は指導医が多い」などという寝言を書い
ている大学病院幹部がいっぱいいます。指導医の数が問
題なのではなく、研修医を指導する指導医や中堅クラス
のスタッフに(研修医を指導する)余裕がどれだけある
か、という中身が問題なのにねぇ。
都内病院勤務医先生,
大学や専門科によるとは思いますが,少なくともうち(麻酔科)では数そのものが指導する余裕の程度と相関します.これは麻酔科という特殊性にあるのでしょうけど.手術の列数は基本的に決められていますからです.もちろん緊急手術の数も考えなければなりませんが.
結局「医局の良い部分」を見ないでわかりもしないお偉方が騒いで医局を無条件につぶしたのも医療崩壊の原因の一つになっているのではと私は見ています。
yamaさんの書かれたことが最も正鵠を射ていると思います.
問題点はいくつもありましたが,医療基盤を維持する上で医局のシステムというのは非常によい機能を発揮していました.その機能をうまく別システムに移行させることができていれば,現在のような地方医療の崩壊などは起こらなかったと思われます.
厚労省は医局にとって変ろうとしていたということも噂されていましたが,実際上それは無理であったと思います.
国家試験に合格しただけでは医師免はもらえてもの何もできない白紙の状態です.これを実務に耐え得る臨床医に育てるには教育システムが必要なのです.医局はこれまでその教育システムを担って来ました.臨床医を育てるという機能と共に,その見返りといっては何ですが,一定の期間は各地域の病院にも出向して労働力となって頂くということを行なってもらっていた訳です.
今の臨床研修システムでは,やる気のある研修医は自分で研修病院を探して修行を積み,一人前の臨床医に育っていくでしょうけど,おそらくそれは少数派でしょう.そこまでのモチベーションのない多数派(?)は初期研修を受けた病院でそのまま後期研修を続けるか,別の後期研修病院で研修を受けてもそのまま常勤医としてその病院に就職できる可能性は低いでしょう.多くの病院を廻り,色々な見聞を深めて臨床医は一人前になるわけですが,その経験数が圧倒的に不足するからです.また,その病院の常勤医が辞めない限りはポストは空きませんし,そのポストに後期研修医君が入れる保証は何一つ無いからです.実力次第ですが.10年先には一般に医療レベルは確実に低下するでしょう.まあ,目の見える後期研修医たちは徐々に気付くんでしょうけど.そしてそういった人たちは結局医局に入っるようになります.実際のところ少しずつそのような傾向が出始めているようです.