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 「振り込め詐欺撲滅月間」の今月、東京都内のATM(現金自動預け払い機)に6000人もの警察官を配置している警視庁が、14日までの被害状況を調べたところ、計94件の被害のうち16件は、警戒中の警察官の目の前で被害者が現金を振り込んでいたことがわかった。

 16件の被害総額は1700万円に上り、最高額は298万円だった。被害者の大半は高齢者で、事態を重視した同庁は、警戒中の警察官に、ATMを訪れるすべての高齢者に声をかけるよう指示した。

 声をかけられる多くの人にとってはうっとおしいかも知れませんが、1件でも被害が減れば警察官としても声のかけがいがあると思います。

 しかし

警察官に注意されながら、「家庭のことだから関係ない」と振り切って130万円を振り込んだ59歳の女性や、行員が声をかけたものの、「大丈夫です」と答えて50万円を振り込んだ73歳の女性もいた。

 こういう人たちもいます。

 まあ、だまされちゃっているわけでして、信じ切っている人には何を言っても無駄ということなのかも知れませんが、後で後悔倍増しているでしょうね。

 詐欺事件を捜査した経験で言いますと、被害者の人というのはほんとに簡単に信じちゃってます。
 後から思い出すと、不自然な点やおかしな点がごろごろあるんですが、被害に遭っている当時はそんなことにまったく気がつきません。
 被害者から被害当時のことを聞いていくと、「えっ、なんでそこんところを信じちゃうの?」という話がいっぱいでてきます。
 取調室でそのことを被害者に指摘すると、「ほんとにそうですよね。今から思えばおかしいことはよくわかります。でもそのときは信じたんです。」という話がよく返ってきます。

 取り調べる側(つまり検事当時の私)は、もともといろんな証拠を見てますし、詐欺事件であることが分かった上で被害者の話を聞いてますから、おかしなところがはっきり見えるのは当たり前です。
 ですから、騙された被害者を非難するつもりは毛頭ありません。
 騙されたほうが悪いんだ、などと言ったら起訴できる詐欺事件などなくなってしまいます。
 騙したほうが悪いに決まってます。

 しかし、もうちょっと気をつければ被害にあわなかったのになあ、という事件はたくさんありました。
 騙されやすいタイプに二つあるように思います。
 一つは、ほんとに人のいいタイプでこれまで他人に騙されたことなど一度もない人です。
 疑うということを知りませんから、簡単に騙されます。
 でも、誰かが言ってあげれば騙されたことに気がつきやすい点もあります。
 しかし、二度三度と騙される場合もあります。
 原野商法の被害にあった人が、被害金を取り戻してやると騙されてさらに被害を拡大するような場合です。

 もう一つのタイプは、自分は騙されたりしないと思っているタイプです。
 何度か実際に騙された経験のある人はそれなりに人を見る目ができてきますが(検事なんかもその類^^;)、騙されたことがないのに何故か自分は騙されないと思っている人がいます。
 そう言う人は、横からあなた騙されてませんかと言われても、聞く耳を持たない場合が多いかも知れません。

 もう一つ気になるのは、警察官が信頼されてないのかも知れないな、という危惧です。
 声をかけた個々の警察官が信頼されていないという意味ではなく、全体としての警察官というものが信頼されていないという意味です。
 正確には、警察官を信頼していない人がいると言うべきかも知れませんが、警察官側としては、さらに市民の信頼を得るべく努力をお願いしたいと思います。

 このブログを読んでおられる方のほとんどは、振り込め詐欺のことをご存知だと思いますが、高齢のご家族の中には知らない人もまだまだ多いと思います。
 一度話題にされてはいかがでしょうか。

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コメント(10)

実は、誰も言い出さない(言い出せない)対策は、昔のようにATMによる振込を禁止し、窓口だけに振込を限定すれば、振り込め詐欺は激減するはずです。

ただ、コストがかかりますから、誰も言い出せないだけでしょう。なお、ヨーロッパの銀行では、CDは24時間営業ですが、振込などは窓口だけの国も多いようです。また、不便なのですが、同じ銀行間でも、振り込んでから口座にお金が入るまでに、3日くらいかかる場合もあります。逆に、この時間差があるため、何か犯罪がらみの場合、指定口座に振り込まれる前に、阻止することもできると思います(そのような意図があるのかは、存じませんが)。

このほか、事前に登録した口座以外(この段階でチェックをかける)には、たとえカードでも少額(例:5万円以下)しか振込ができないようにするといった、不便な仕組みにすることが一番だと思います。

>不便な仕組みにすることが一番だと思います。

 実現性はともかく、実効性としてはそれが一番みたいですね。
 カードのタイプに応じていろんなオプションを付けることも技術的には簡単だと思うのですが。

私の先輩も騙され易い人です。
幸い振り込め詐欺は今まで、先輩のところには来ていませんので騙されていないだけです。
来たら騙されるでしょうねぇ。

今は、お金関係の問題が持ち上がったらすぐに私のところに相談に来るので、多分、大丈夫だとは思いますが。

で、先輩の問題点は、
困っている人を座視できない。
プライベートでは すぐに焦ってしまう。なので、後先考えずに行動してしまう。
自分のお金については、無意識にですが 蔑ろにしている(そうとしか思えません、私には)。

以上の3点です。
おかげで知人にお金をたかられて、生活費に事欠く寸前まで行くこと数回ありました。その都度、私の処に相談がありまして、介入せざるを得ませんでしたねぇ。仕事上では大先輩で、いろいろと指導していただいた方なのですが。

>不便な仕組みにすることが一番だと思います。

是非そうしてもらいたいです!!
これ以上 私は心配事を増やしたくありませんので。

>不便な仕組みにすることが一番だと思います。

確かに警察官よりも役に立ちそうですね。

ただ、銀行などの金融機関の責任はどうなのでしょうか。
犯罪者に口座を提供しているのですから。
振り込め詐欺の被害は銀行などが補償するとすればいいと思います。
そうすれば銀行側の自己防衛として自動的に不便な仕組みになるでしょう。

たとえ不便でも、利用者に優しい銀行を目指して欲しいものです。

まず不正口座の数と被害額を金融機関ごとに公表すれば効果があると思います。
犯罪者に利用されやすい銀行とみなさればイメージダウンですから

むかし、ためしてガッテンで「振り込め詐欺対策」についてやっていました。

http://www3.nhk.or.jp/gatten/archive/2006q2/20060517.html

「チカンや借金など、身内が起こした不始末は、金で解決しない」などのルールを一度家族で話し合っておくだけでも、いざというとき役に立ちます。

だまされること自体についてはあきらめた方がいいのかもしれません…。

なんかコメントの公開が保留されてしまいました…。

よければ、公開の承認をお願いします…。

(公開しました。保留になった原因は不明です。リンク一つくらいなら問題はないはずなんですが、なぜかシステムが気に入らなかったようです m(_ _)m )

なるほど、詐欺犯がATMを使わせるようになったのは、間に「冷静な人」を挟まないようにするためだったのですね。

この事例で登場した銀行では、これまでも何度かオレオレ詐欺を信じ込んで駆けつけた人たちを説得して、被害から救ってきました。その経験を通して、金を手にすると落ち着きを取り戻すことを知っており、振り込ませるつもりはないものの、あえて現金を用意し、説得の手段にしています。

http://www.shinkin.co.jp/nihonkai/mamorukun.pdf

どのくらいの契約者がいるのかはわかりませんが、対策としてやっている金融機関はあるようです。

振り込まれた現金は72時間以内は窓口で本人確認をしないと
おろせない。ぐらいのルールは作ってもいいと思います。

ATMで振込みをできないようにしても限界があるようです。
窓口で行員の説得に応じない人もいるようですから。

http://www.zakzak.co.jp/top/200810/t2008102816_all.html

いっそのこと振り込みはすべて24時間後とし、24時間以内であれば振込みをキャンセルできるとしたらどうでしょうか。
やはり不便極まりないですね。
となると怪しいものだけ保留するというのもありかもしれませんね。

先日報道ステーションで特集を組んでいましたが、振込み手続きを不便にすることについては触れられませんでした。
つまり自己責任において予防せよということらしいです。

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