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 判決によると、元課長は接見した妹尾弁護士らに「話していない内容が含まれた供述調書に署名した」と説明。この時、そういう調書に署名しないよう助言されたのを受けて元課長はその後、自分の考えと違う調書への署名を拒否した。これに対し、副検事は「弁護過誤だ」「弁護士を信じても最後には弁護士は責任を取ってくれない」などと発言した。

 似たようなことを言う検察官(検事、副検事を問わず)はそれほど珍しくないのではないかな、と想像しています。
 警察官はもっと直截な物言いをするかも知れません。
 しかし、損害賠償請求をする弁護士は多くないと思います。
 これは皮肉ではありません。
 よくやった、という賞賛です。
 認容額は10万円ですよね。
 民事訴訟については、いわば泣き寝入りをしている弁護士は多いと思います。
 当該刑事事件の法廷では思いっきり検察官を非難しているかも分かりませんが。
 そういうなかで、妹尾弁護士らが民事提訴しまだ一審とはいえ勝訴したことは大きな意義があったと思います。

 自分の言っていないことが書いてある調書に署名してはいけない。

 これは、私が弁護士になってから、被疑者との初回接見のときに必ず言う言葉です。
 たぶん、私や妹尾弁護士らだけでなくほとんどの弁護士が同じことを言っていると思います。
 要するに、刑事弁護のイロハのイです。
 それに対して「弁護過誤だ。」は恐れ入りました(^^)
 この副検事は、普通に被疑者が言ってないことを調書に書いているんでしょうか?

 私も綺麗事を言うつもりはありませんが、検事当時に、少なくとも、被疑者から「検事さん、私そんなこと言ってませんよ。」と言われて、「お前の弁護士は弁護過誤だ。」と言った覚えはありません。

 但し、語弊を恐れずに綺麗事を言わないついでに言いますと、検事当時に、「弁護士は責任を取ってくれない。」というようなことは言ったかも知れません。(被疑者が真実を供述していないと思われたときのことだと思いますが。)
 本当の意味での弁護過誤がない限り、弁護士が責任を負わないというのは事実だからです。
 少なくとも、「話した覚えのない調書に署名するな。」と言ったことによる責任は生じません。
 ですから、弁護士としての私としても、警察官や検察官が私のクライアントである被疑者に対して、「弁護士を信じても最後には弁護士は責任を取ってくれない」と言ったとしても、たいして怒る気にはなりません。
 クライアントが接見の際に、「検事からこんなこと言われました。」と言ったとしても、私としては「それはそのとおりだよ。」と答えます。
 「判決を受けるのはあなたであって私じゃない。」ということも言います。
 クライアントも納得します。
 その上で弁護方針を相談します。
 あとは、その被疑者が私を信頼するか、検事を信頼するかの勝負だと思っています。
 

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コメント(1)

「話した覚えのない調書に署名するな」という弁護士からの助言に対して、「弁護過誤だ」「弁護士を信じても最後には弁護士は責任を取ってくれない」と検察官が言い返すのは、「チャッチャッと署名して取調べに協力すれば早く娑婆に戻れるぞ」という人質司法を背景にした、被疑者を脅して早く片づけようという意識の顕れでは?

全面的録画録音が始まったら、警察や検察は賠償請求の嵐に見舞われそう。
あっ、だから取調べ可視化に反対するのか。

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