判決記事 裁判官が“注文”/実名報道訴訟 高裁那覇支部が文書(沖縄タイムス ウェブ魚拓)
「実名報道→不起訴」で、福田 出さんが紹介してくださったニュースです。
判決理由では報道側に「逮捕された事実を報道しておきながら、起訴猶予処分とされた事実などについて、もはやニュースバリューがないとして、これを報道しない姿勢にも、報道機関の在り方として考えるべき点があるように思われる」などとしている。
刑事裁判の起訴状には、「公訴を提起する。」と書かれています。
公訴つまり公の訴えです。
公益性の存在が必要なわけです。
起訴に対して不起訴は、起訴できない、または起訴すべきでない、または起訴するまでもない、という判断の結果として不起訴になるわけです。
代表的な不起訴理由として、嫌疑不十分があります。言い換えれば証拠不十分です。
灰色ということになりますが、刑事司法では灰色は無罪です。
灰色の中には、限りなく白に近い灰色から限りなく黒に近い灰色までありますが、それは部外者にはわかりません。
憶測で判断できないということです。
いずれにしても、起訴すべきでない事案であり、被疑者は反公益性による非難を受けるべきではないのが原則であるはずです。
公人たる立場で、疑われること自体が批判の対象になるような人もいると思いますが、多くの一般市民は捜査が終われば元の生活に戻れなければいけないはずです。
起訴猶予というのは、犯罪行為の存在は認められるが起訴するまでもないという場合であり、最も典型的には軽微な交通事故で被害者との間に示談が成立したような場合ですが、本件のような場合も典型事例の一つです。
要するに、当事者同士で紛争が解決されれば、公のものとして起訴するまでもない事件という判断に基づく不起訴であり、他人(当然マスコミも含む)がとやかく言うべきでないと認められたものです。
つまり、起訴猶予も公の非難の対象にするべきでない事案ということになって、被疑者は再び日常に戻ることができるべきであり、刑事政策上もそのことが期待されます。
しかし、逮捕時点での実名報道は、それだけで社会復帰の可能性を吹き飛ばす破壊力があります。
刑事司法上では失う必要がない被疑者(その家族も含む)の人生が、マスコミの報道によってぶち壊されることになります。
本当に実名を報道しなければならないのか?
今報道しなければならないのか?
マスコミの皆さんは真剣に考えていただきたいと思います。
そうでないと、マスコミは他人の人生を食い物にすることによって利益を得ていると言われるべきことになります。
ところで
河邉裁判長は各報道機関に「御連絡」と題した文書を配り、「『教諭が過去に…の容疑で逮捕された』という事実だけでなく、『その後、起訴猶予処分(または不起訴処分)になった』という事実を盛り込んでいただけないものか、ご検討下さい」などと、異例の要請をした。
これはまさしく異例であり、裁判所の中でもこのような裁判官の行為が許容されるかについて異論があるかも知れませんが、報道被害に対する深い憂慮の表れとして支持します。
判決理由中で書くわけにはいかなかったのかという気もしますが、異例の方法をとることによってインパクトを狙ったのかも知れません。
ひょっとして河邉裁判長は定年間近なのかしら(←これは憶測)
私も原則的には逮捕時には実名報道をするべきではなく、罪が確定した時や、少なくとも起訴時に実名報道を行うべきだと思います。
http://mainichi.jp/area/aomori/news/20081028ddlk02040074000c.htmlただし、私も人間なので、場合によっては逮捕時にも実名報道を行うべきだと思う時があります。理性より感情が上回ってしまうのです。
司法で対処出来ないのなら、せめて報道でも……と思います。また、性犯罪は再犯を招く事が多いとも聞きますし、匿名では警戒する事も難しいのではないかと思います。感情的な発言で失礼しました。
うろおぼえで恐縮なのですが、北欧かどこかの国で事件報道は被害者も加害者も実名報道しない国があると聞いた記憶があります。
その理由は、当事者の実名を知らねばならない立場の人には、マスコミが報じるまでもなく警察なり関係者から情報が伝わる。そして、マスコミ経由でないと伝わらないレベルの人たちは直接関係のない第三者なので、「そういう事件があった」という事実を知らしめれば十分である、というものだったと思います。
言われてみればそうだよな、と納得したものです。
>ひょっとして河邉裁判長は定年間近なのかしら(←これは憶測)
あまり余計な事を言うと、再任拒否されてしまうのでしょうか????
寺西判事補事件の巻き返しを期待したいのですが、どこかの裁判官が頑張ってくれないものでしょうか???
寺西判事補は再任されていますよ。
寺西判事補は再任されておられたのですね。よかったです。
あら、びっくり!新しいエントリ立てていただいてm(_ _)m
「実名報道→不起訴」で、No.1七誌さまが一番はじめに地裁判決を取り上げておられたので、高裁もということです。(ハイ
裁判記事に詳しい産経が取り上げてないのが不思議かな。
確か、河邉義典裁判長は
1974年京都大学法卒
(現)福岡高裁那覇支部長
名古屋高裁判事
東京地裁判事
最高裁調査官 だと思うんです。
55、56歳位かな?
高裁の定年が65歳だったような。
余談:外商先の沖縄料理店で記事読みました。
事故レス
>裁判記事に詳しい産経が取り上げてないのが不思議かな。
産経さんごめんなさい。ありました。
う〜ん、記事が小さいよ(^^;
No.2 みみみ さま
確か、スウェーデンが匿名報道です。
ご参考まで
「実名報道」
私の記憶違いですが、一般人は有罪判決が出ても匿名だったとはちょっと驚きました(^^;
はじめまして。
付言の価値をどう考えるか?という問題もありますが、
自分もこの付言に関しては報道倫理の議論を求めたいと思います。
報道倫理に関して、各局の自主的マニュアルとBPOの指導などで取組りが図られていますが、なかなか
編集権の自由との競合性を含めて難しい問題だと思います。
実名報道に関しては、私は慎重な姿勢で、少年法に関わる実名報道問題でも、実名報道の危険性を危惧してしまいます。
ただ、根本的には実名報道そのものではなく、実名報道による被害が問題であることを問題にする必要性もあると思います。
実名報道は比較的取り沙汰される傾向がありますが、検察移送時の報道への対処ももう少し考えた方がいいと思います。
(URLでも記事にしてますが、移送時の毛布の有無はどういう基準なのでしょうか?)
個人的にこの司法判断に関して付言含めて概ね支持しているのですが、判例をまだ探している状態で困っています。
(ブログで特集したいこともありますが、BPOに意見するのに、問題になる報道を指摘する必要性がありまして)
機会ありましたら、また覗かせてもらいます。失礼しました