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京大病院脳死移植ミス、医師3人を不起訴に(2008年12月27日00時16分 読売新聞)

 京都大病院(京都市左京区)で2006年3月、脳死肺移植手術を受けた女性(当時30歳)が脳障害を起こし、同10月に死亡した問題で、京都地検は26日、業務上過失致死容疑で京都府警に書類送検された当時の呼吸器外科医(47)と心臓血管外科医(45)、麻酔科医(49)の3人を不起訴(嫌疑不十分)とした。

 処分理由について、地検は「原因が客観的に証明し難く、経験豊富な専門医でも予見し難い特殊例だった可能性がある」としている。

 嫌疑不十分で不起訴とのことです。

 一方、脳障害を発見するモニターを設置していなかったとして同容疑で告発され、府警が捜査書類を送付した同病院の内山卓・前院長と当時の副院長2人について、地検は同日、不起訴(嫌疑なし)とした。

 こちらは嫌疑なしとのことです。

 「嫌疑不十分」と「嫌疑なし」とはどう違うのか?
 という疑問があろうかと思いますが、簡単に言えば、「嫌疑なし」は嫌疑がないことが明白であるという場合で、「嫌疑不十分」は嫌疑なしといえるほど明白ではないが、起訴するに足る嫌疑つまり証拠がないというのが基本的な考え方です。
 疑わしきは被疑者、被告人の利益に、という原則から、検察官が犯罪の証明ができそうもないと考えたときは原則として「嫌疑不十分」として不起訴になり、その中でも嫌疑なないことが明白な場合が「嫌疑なし」になります。

 比ゆ的に言えば、「嫌疑不十分」は灰色であり、「嫌疑なし」は白ということになるのですが、「嫌疑不十分」の場合でも、限りなく黒に近い灰色から限りなく白に近い灰色までありますので、「嫌疑不十分」を「証拠が見つからなかったので処罰を免れた」と考えることは多くの場合は間違いです。

 医療過誤事件(業務上過失致死傷)の場合は、事実関係(誰が何をしてどうなったか)は相当程度解明されますから、起訴の当否は事実関係の存否ではなく評価にかかる部分が多くなります。
 評価について見解が分かれる場合に、検察が慎重な判断をした場合は通常「嫌疑不十分」として不起訴になると思われます。

 その意味で、この記事の見出しが「京大病院脳死移植ミス」と言うのは、かなり問題があります。
 「ミス」の定義が問題にはなりますが、検察は、本件を一般的な意味において「ミスではない可能性がある」と判断して不起訴にしたのですから、見出しで「ミス」と言うのはミスリードになると思います。

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