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コメント(45)

これぞ過誤ではなく、合併症というべきものだと私は思うのですが、皆様いかお考えですか?

私は過誤(いわゆる医療ミス)は不注意などによるものと考えています。注意しながらやった場合は患者に起きた有害事象であっても合併症と見なし、賠償は発生しないべきだと思うのです。

救命救急医の立場からです。

肝硬変の程度がどの程度であったか、
全身状態がどの程度であったかにもよりますが・・・・。

亡くなるまで外科処置をしなくても良かったの?
という疑問が強いです。

実施したのが研修医でなければ、問題にならなかったケースかもです

NHKのニュース(関西ローカル版)でも見ましたが、なぜ病院が記者会見まで開いて謝罪(取材陣の前で)するのか、意味不明です

過誤がないのであれば謝罪する理由が全くないし、自己否定にしか見えません。
民事訴訟を受けた時に、どうやって戦うというのでしょう?

こんな”過誤が存在しない事例”がマスゴミ報道になるということは、原告側からの宣戦布告が行われたということでしかないのに、憲法9条を守って「不戦宣言」しちゃっているんでしょうか?

病院から守られない研修医は、ご愁傷さまとしか言いようがありません
選んだ病院を間違えました。
もちろん病院を選ぶ権利は研修医にあったのですから自己責任ゼロとは言いませんが・・・


一体、腹水穿刺が必要となるような肝硬変で皮下出血からのショック死を防ぐ方法があるものだろうか私には分かりません。そしてこの出血性ショック死を処置前に予測できるかと言えば非常に難しいと思います。さらに言えば処置の12日後の死亡の死因が出血性ショックと言うのは非常に違和感があります。皮下血管損傷とか肝硬変、凝固能障害、または(結果的終末状態としての)多臓器不全、肝不全であればまだ分かるのですが、なぜ出血性ショックなのか。そしてここまでならば「頭が悪い医者もよくいるよね」で済むのですが、本当に疑問なのはMed_Lawさんがおっしゃるように
>「なぜ病院が記者会見まで開いて謝罪(取材陣の前で)するのか、意味不明です」
という点です。
私の専門領域で例えれば大動脈瘤破裂の術後に腸壊死で患者が死亡すれば手術により患者を死亡させたとして記者会見をすべきなのかというばからしい話になってしまいます。
それとも研修医の処置後に死亡したから問題なのでしょうか。
この発表を決めた関係者に直接話を聞きたいものです。現場での出来事を詳細に聞けば、関係者が選択した処置を納得できるということもよくあることですから。

35歳女性の重度の肝硬変ってなんでしょうね。B型肝炎?どちらかというとアルコール性でしょうか?

詳細はわかりませんが、記事の内容から推測しますと、肝硬変末期の患者の腹水穿刺を施行した際に、腹壁内もしくは腹膜を走行する血管を損傷し、腹腔内にではなく穿刺部を通して皮下に出血。貧血が進行し、凝固因子も消費されDICに似た状態になり、肝不全も進行、最後は多臓器不全になりお亡くなりになったというところでしょうか。これなら外科的処置を行わなかったことも理解できます。出来る全身状態ではありませんし、それ以前に必要ありません。

推測どおりであれば、何の問題もないでしょう。私なら「肝臓がもちませんでしたね」と説明して終わりにするところです。腹水穿刺はのべ千人以上はやっていると思いますが、似たような経験は私もあります。そもそも腹水穿刺自体が、苦痛の軽減と引き換えに寿命を削り取る処置であるとも言えますが、緩和ケアの一環と考えて日々行っています。

トラブルになった事情の方に興味があります。
穿刺部から背中にかけて、広い範囲が紫色に変色したでしょうから、見慣れていない遺族がショックを受けたのでしょうか。
院長の「対応が正しかったかどうか今後検証したい」という発言は、いかにも責任回避な風に見えますが、あるいはそう言わせるような特別な事情があったのでしょうか。
詳細を知りたいところです。

通りすがりのものです。コメントお許しください。

この事例はアルコール性との報道がされていました。

たまたま私が担当している事件で、HCVの末期肝硬変で67歳女性の腹水穿刺翌日の死亡例があって、この報道を見た依頼者からの連絡でこの事案を知りました。

私の取り扱い事件は先日神戸地裁へ提訴したばかりですが、過失の構成としては、腹水穿刺によるショック死という部分は取り上げませんでした(結果、ある意味挑戦的な請求原因になっています)。お医者様とお見受けする方のコメントにもありますように、末期肝硬変での腹水穿刺をすべきでないという積極的な論拠はないように思います。
ただ、本件では若年者でもあり、皮下出血がひどかったことや、穿刺後やや時間が経過してからの死亡例だということからみると、なんらかの(穿刺前後の)ミスが重なったのではないかとも思われます。

いずれにしても、マスコミはよくわかっていないのにいい加減な記事を書くので困ります。私の事件でも司法記者から問い合わせがありますが、内容的にはよく似た事件なので、どんなコメントをすべきかと思案してしまいます。

交ぜっ返すつもりはないのですが、お書きのコメントを拝見して一箇所、かなり強いひっかかりを感じました。

本件では若年者でもあり、皮下出血がひどかったことや、穿刺後やや時間が経過してからの死亡例だということからみると、なんらかの(穿刺前後の)ミスが重なったのではないかとも思われます

常識的に考えれば、ミスがなくとも患者が亡くなることはあるわけですよね?単に病状が進むとかでも。
どのような合理的根拠から「なんらかの(穿刺前後の)ミスが重なったのではないか」との推定が可能になるのか、バイアスのかかった思考ではないのか、疑問が拭えません。

そういう疑念を抱きつつ拝読しますと「マスコミはよくわかっていないのにいい加減な記事を書く」というのも、山之内さんが思い描くような図式での報道をしてくれない、提訴の内容に疑義を差し挟むような記事を書くことを意味しているのではないかとさえ思えてきます。

 肝硬変の末期で凝固因子や血小板が減少、門脈圧亢進症で皮下の静脈が怒脹した状態でそこに針を刺せば止血不能>>出血死ということは十分可能性があります。
おそらく消化器内科医 さんの言われるとおりの経過なのでしょう。
 
日常しばしばある不幸な合併症であると思われますがこういうのも公表しないとダメなのでしょうか。

山之内桂さんは弁護士さんとお見受けします.

腹水が溜まるような肝硬変というのはどういう状態であるかご存知でしょうか?
肝臓がここまで悪くなると,余命は非常に限られています.現実的に積極的な治療の対象にはならないと私は考えています.腹水穿刺を行なっていなくても早晩亡くなります.
それではなぜこの患者さんでは腹水穿刺を行なったかということになります.腹水穿刺をしても全身状態は良くなるどころか悪くなる確率が十分に高いでしょう.しかし,腹水を抜けば一時的にでも患者さんは「楽になった」と感じるでしょう.末期のQOLを少しでも改善させるためにこういった処置をトライするのです.
末期の肝硬変では凝固因子の合成は低下しており出血傾向を来す上に,側幅血行路が発達してしまうために,今回のように思わぬところで出血し,それが止まらないということが起こります.こういったリスクと「患者さんが少しでも楽になる」ということを天秤に掛けて処置を行なうのです.このような事例の出血はある程度の確率で生じる「合併症」であり,これにクレームを付けられるようでは医師はこのような治療を一切やろうとしなくなるでしょう.苦しんでいる患者さんが亡くなるまで放置することになります.もしあなたがそのような立場になった場合に「ほっとかれたらどう感じるでしょうか?どう考えるでしょうか?」
医療における合併症にクレームを付けていけば,やがてそれは自分に刃となって跳ね返ってくるでしょう.
チャレンジングな治療をやってもらいたいと思っても医師は引き受けてくれなくなるでしょう。これが萎縮医療です.医療では結果はやってみなければ解りませんから,後付けでクレームを付けられるようなれば成り立たなくなるのです.
このことはよく解っておいて下さいね.

>皮下出血がひどかったことや、穿刺後やや時間が経過してからの死亡例だということからみると、なんらかの(穿刺前後の)ミスが重なったのではないかとも思われます。

既に批判があるのですが、更に追加します

穿刺後時間が経ってから大量出血しているということは、穿刺部については一次止血が十分終わっていることを示しています
本来は、このあと本格的な止血反応や組織修復が起こるのですが、この方では起こりませんでした。
肝障害が進行していて、重症の血友病のような状態であったかしたのでしょう
人為的操作によって皮下出血が起こったから死亡したのではなく、致死的な皮下出血が起こるような病態だったから死亡しただけだろうと思えてなりません。

似たような事例で亀田テオフィリン事件を想起します
強引に過失認定されましたが、全身から血が噴き出す状況のなかでの医療行為だったにすぎないと私は見ています

時系列でそろっていたら因果関係ありとするのは早計過ぎます

67歳の末期肝硬変で”挑戦的訴訟”ですか?
腹水抜いた翌日に死亡されたら賠償責任ありの推定ですか?
弁護士さんがクライアントの主張に沿った活動をされるのは当然のこととしても、私は批判します。

過保護の患者の権利擁護は、医療コストを高め、かえって患者集団の権利を侵害します。
ミクロレベルの患者の主張擁護によりマクロレベルでの医療崩壊を促進させるのです。
このミクロとマクロの利害の調整は、裁判という「個別具体的終局的紛争解決手段」では全く改善されません。
解決手段のルール改正が必要であり、今のルール(判例等々)に従えば、当然の流れとして医療が崩壊します

人権派の患者側弁護士の主張、藤山判事の主張を聞いて、白々しく盗人猛々しく感じるのは私だけではないと思います

 今日これから腹水抜こうとしている人間にとってはろくでもない話し。

 末期肝硬変や、癌性腹膜炎のひとで穿刺後2週間で死んでる人はものすごい確率なんですが皮下出血さえ見つからなければこんなことにならなかったということなんですかね。
 今のところ、何とかおなか苦しいのたすけて、という患
者さんの言葉に対応してやっているけど、こんなことで報道され、裁判沙汰になるのなら、、、無情に捨てることができないドクターは現場から逃散するしかないでしょう。
 この前の朝日の朝刊にありましたが、(失礼します、後で何とかURL調べますが、)半年近く入院していた膿胸の患者の膿瘍ドレナージがうまくいかないで、肝臓からの出血で死亡したケースを藤枝市民病院が警察に届けなかったと朝日が問題にしてましたが、藤枝市民病院側は、合併症であり届ける必要はなかったと回答しておりました。
 医療従事者にとって合併症は帆船時代に海をわたるとき嵐にあうようなものであるように考えますが、(医療なんてそんなものです)被医療者やマスコミにとっては、歩いて隣の家に行くようなものなんでしょうかね。
 研修医にやらせたといって騒ぐなら、今後は研修医にすべての手技をやらせなければいい。それぞれの技が廃れていって、最後は、誰もやれるものがいないという国になって国外に医療を受けに行けばいいということです、。
 後は、臨床研修病院においては、このての手技を研修医がおこなうことを義務化してしまって、研修医以外の処置を禁じてしまい、この手の病院に入院する場合はそれを了解の上でしか入院させないという手しか技術を残すことはできないでしょう。

しかし、この事例で「研修医が」などと発表する必要はなかったのに下手を打ちましたね。
これで来年以降、この病院を志望する研修医はいなくなるでしょう。

医療者の方は当然ご存じと思いますが、肝硬変では重度の易出血を来します。従って外科的処置は肝移植とかでなければあまり積極的には考えないと思います。
過誤(ミス)が無くてもこの症例は死亡する可能性がかなりあった症例とお見受けします。

一部の医療者とお見受けする方が話しているように、研修医がやったと言うことではなく、腹水穿刺が必要だったかどうかという点に焦点を合わせるべきではないでしょうか?腹水穿刺ははっきり言って研修医でもできる技術的には易しい手技の部類に属します。かくいう私も一年目で腹水穿刺を結構こなしました。出血性ショックを起こすかどうかは神のみぞ知る領域であり、必要のある処置だったとすれば普通は過誤ではなく、合併症に入るべき症例でしょうね。
ただ、もう治る見込みが全くないだけでなく、患者の意識が戻る見込みが無いのであれば穿刺は不要な手技だったと断定できますが、よほどやばい状態で合ったのでなければそれを予測することのできる医師はいないでしょう。

素朴な印象論としてですが。

・実名でブログも開設している弁護士である (まさか騙りではないですよね)
・その実名を、通りすがりのブログの初コメントで、正面から明かしている
・そのうえで、自身の受任事件の内容について言及している
・その事件について、関係者や法廷での傍聴・記録閲覧等ができる人であれば容易に特定可能な程度に具体的な情報まで開示している

「他の弁護士が開設していて、医療関係者との議論も活発なブログに、こういうコメントを書きますよ」 ということについて、事前に承諾 (あるいは逆に要請) があるか、事前承諾がないのであれば、その結果依頼者が特定されたりしても信頼関係が壊れないという確信がある、そのいずれかなのであろうと思います。

私には到底マネのできない行為であり、それだけの強固な依頼者との信頼関係を羨ましく思います。

>腹水穿刺が必要だったかどうかという点に焦点を合わせるべきではないでしょうか?

yさん,
これは一概に決められないと思いますが.
No.9に書きましたように,QOLを一時的にでもましにする方策としての選択はありだと思います.予後云々という意味では治療の意味はほとんどないでしょうけど.結局,合併症の発生との天秤を医師がどのように考えるかに依存しています.この価値観は個々の医師で異なりますし,どちらが絶対的によいと言える代物ではありません.

仮に自分の身内が相手だったとして腹水でお腹が張って非常に苦しそうであったならば本人と相談して上で考慮すると思います.

>腹水穿刺が必要だったかどうか

の「必要」性としては、

QOLを一時的にでもましにする

という目的も含まれる(そうyさんは意図している)ように読めますが。

コメント下さった方々、ありがとうございます。
たしかに、ミスと書いたのは軽率でした。お詫びいたします。
不確かな情報であれこれ議論することが望ましくないことは理解しております。

私が取り扱った腹水穿刺直後の死亡例の裁判は、既述のとおり、腹水穿刺の因果・結果の責任を問う内容の請求原因ではありません。それとはまったく別の争点の立て方をしておりますが、それはそれで議論を呼びうるので、詳述は差し控えます。

訴状を読んだあるお医者様からは医療慣行の観点から「時期尚早」とのコメントを頂いており、そのような趣旨で「挑戦的」と形容しましたが、主張として間違いではないと考えています。

ミクロ・マクロのご指摘はおっしゃるとおりと存じます。
「医療版事故調設立」の運動に賛同しておりますが、それがない現状で、医療に素人の弁護士が若干のお医者様からの助言をもらいながら、素人の依頼者の要求をコントロールしつつ、提訴する、しないを切り分けていっているのが実情です。

おそらく、どの患者側医療過誤弁護士もそうでしょうが、私の場合には、多くの相談案件のうち、提訴にいたるものはとても少ないです。むしろ、仕事の分量としては、依頼者に提訴をあきらめてもらうための作業のほうが多いような感覚があります。
本来は担当医師か相応の権威ある医師が時間を取ってきちんと合併症の説明をすればいいのでしょうが、人には感情というものがあって、いったん相手に不信感を持ってしまうと、なかなか難しい。そんな状況で、両者の間に入って、紛争を沈静化させているのも患者側医療過誤弁護士の仕事の一面であります。

コメントありがとうございます。

訴状のマスコミ提供については原告の同意を得ていますが、この尼崎医療生協事件がおこったので、一緒に扱われると困るな、さて、どうしたものかと思案していて、ここにコメントされているのを見て、書き込みました。

ここがどのような傾向のブログであるかは、理解しております。

実名を出しているのは発言の責任を取るためです。

すべてのコメントに返信するつもりはありませんが、必要に応じて意見表明させていただければ幸いです。


合併症とミスの受け取り方について。

合併症とは医療行為を実施するに当たって、ある一定の確率でおきうる不都合な事象を言います。

 今のマスコミと多くの被医療者は結果が悪ければミスであると騒ぎ立てる傾向にあると思います。しかし、一定の確率でおきうる合併症のたびに医者一人がつぶれていくのではわれわれ最前線の医者はやっていられません。

山之内桂さんの言われるように、交通整理で訴訟を押しとどめていただける役割を患者側弁護士の方がなさってくださっていることは承知しておりますが、遺恨を抱く患者さんにおいては、それなら受託する人を見つけるまでと無茶な言いがかりに近い訴訟を、結局起こす方がおられることも事実です。(少なくとも私に起きた事例に関して言えば、、、、私は最初の相手側弁護士さんを交えて、カルテやレントゲンを示して、漏れなくお話したのですが、その弁護士さんにいさめられたにもかかわらず、あったこともない弁護士さんが担当して、結局請求棄却となりましたが2年近い月日を無駄にしました。それで現場から逃げ遅れたともいえます)
 法科大学院制度により大量に生まれる弁護士の方がこのような受託をされないことを願うばかりです。患者さんにとっても訴訟される医者にとっても最後は不幸をもたらすだけですから。

おっしゃるとおりです。

fuka_fuka先生,

はい,おっしゃることは解ります.だからこそ,「ある意味では必要性があると言えるし,別の意味ではないと言える」ので,これを議論しても仕方が無いという趣旨で書かせて頂いたのですが...

当該記事では
>皮下出血が確認された
とあるだけです。
おそらく重症肝硬変患者で止血機能が低下していたため、腹腔内出血が持続し、それが死亡につながったと推測されます。
皮下出血だけで死亡に至るような出血性ショックは考えにくいと思います。
運悪く腹膜下の太目の血管を損傷したのでしょう。
当然、体外からは見えませんから、予測できません。
病理解剖はされていないのでしょうか。
死亡後、腹水穿刺で腹水の性状確認はされなかったのでしょうか。
いずれにしても100%安全な手技ではありません。
基礎疾患によりもよりますが、合併症は起こりうるものです。
疾患により、外科的処置が不可能な場合もあります。
医学的見地からすれば、死亡に至る原因については多くの推測が可能です。

しかし、今一度考えるべきは病院側、そして報道側の姿勢です。

病院側については藤枝市民病院のように合併症として、毅然とした態度をとることは重要だと思います。
今回の病院のような姿勢は、萎縮医療の印象を受けます。
謝罪すべき理由があるとしたら、その理由は必ず正確に報道するよう申し入れるべきでしょう。
そうでなければ、同じ処置を行う他の医師をいたずらに不安にさせるだけです。

報道側については、病院発表を鵜呑みにした報道をするのではなく、緊急性もないのだから、他の複数の医師の意見を十分に取材して、その社会的影響力踏まえて報道に値するものかどうかしっかりと検討すべきでしょう。

このような不十分な報道で醸成された医療不信が、社会に蔓延しそれが警察、検察を動かす要因の一つになるとすれば、医療側、被医療者側双方にとって非常に不幸なことです。
社会の公僕たらんとする大手新聞であればよくよく考えるべきです。

会見ベースの記事ですので、会見の中身を知るためにサンケイと神戸新聞の記事を。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/090108/crm0901080151003-n1.htm

尼崎医療生協病院、医療過誤で女性死亡
2009.1.8 01:50

このニュースのトピックス:医療事故
 兵庫県尼崎市の尼崎医療生協病院で昨年12月、肝硬変で入院していた同市内の女性患者=当時(35)=が、腹水を抜く際に誤って針で血管を傷つけられたことが原因で亡くなっていたことが7日、分かった。病院側は「血管を刺したことで出血が止まらず亡くなった」とミスを認め、遺族に謝罪した。

 同病院によると、女性は昨年11月27日に入院。12月4日午前10時ごろ、主治医が立ち会い、男性研修医が腹部にたまった水を抜き出すため、針(直径約1・2ミリ)を左下腹部に刺した。1度目では水が出ず、2度針を刺したという。

 女性は同日夜から針を刺された下腹部が皮下出血で赤くなり、出血が止まらなくなるなど容体が急変。6日から病院側は輸血を開始したが、16日に女性は亡くなった。死因は出血性ショック死だった。

 病院側は「1度目に針を刺したときは出血は確認できなかった」としているが、この際に血管を傷つけた可能性が考えられるという。

 島田真院長は「主治医も立ち会っており、態勢に問題はなかったが、肝臓が悪いため出血しやすい状態だったなど危険性をしっかりと説明するべきだった。このようなことが2度とないよう取り組みたい」としている。

 女性の母親(62)は病院側の謝罪にも「家に戻ってきた娘の背中は赤紫色だった。どんなに苦しかったのだろう。もっと生きたかったはず。あの病院にさえ行かなければ」と怒りを抑えきれない様子で話している。
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http://www.kobenp.co.jp/news/jiken/0001645860.shtml
腹水抜く出術後、患者死亡 尼崎医療生協病院 
 尼崎市の尼崎医療生協病院で昨年十二月、肝硬変で入院していた同市内の女性(35)が、腹腔(ふくこう)内にたまった水を抜く手術による出血が原因で死亡していたことが八日、分かった。「家族への説明が不足していた」として女性の家族に謝罪したという。

 同病院によると、女性は重度のアルコール性肝硬変で昨年十一月二十七日に入院。その後発熱し、腹腔内に水がたまっていることが確認され、細菌感染の疑いがあるとして十二月四日、水を検査するため腹腔内に針を刺す手術を実施した。

 手術は主治医が指導し、二十代の男性研修医が実施。直径一・七ミリの針を左下腹部に刺したが水が抜けず、もう一度刺したという。同日夜に皮下出血していることが分かり、容体が急変。肝硬変のため外科的処置が行えないと判断し、輸血したが、十六日夜、女性は死亡。死因は出血性ショック死だった。

 島田真院長は「この手術に出血はあり得るが、肝硬変で出血が止まりにくく、結果的に病状が悪化し、死期を早めてしまった。現時点で医療過誤とは判断していない」と説明。今後、外部の医療機関などに検証を依頼する。
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杞憂かとは思いますが一言だけ。

医師の皆さんから見ると、医療過誤訴訟を担当される弁護士さんは「仲間を血祭りにあげ医療崩壊を促進する輩」に見えてしまうのは無理からぬことだと思います。
でも、こういった弁護士さんたちが「明らかに無理筋の訴訟を食い止めるフィルター」あるいは「本当に救済や真相究明が必要な患者遺族の代理人」としての役割も持っているのも否定しようのない事実だと思います。
でもさんのご指摘はもっともですが、それは医療側にも「検察に協力して訴訟に踏み切らせる医師」がいることへのブーメランともなりえます。

山之内さんが担当されている事案が医学的に妥当かどうかを私たちが判定することはできません。そして、この方が理不尽な医療訴訟を担当して医療崩壊を促進したと見なす確証は何もありません。

山之内さんのような方が自分の立ち位置を明らかにしてこのブログに参加されたことはかつてなかったと記憶しています。この方を「お手ごろな仮想敵」と見なさず、新しい視点を提示してくださる議論相手として意見交換できれば、これまでに達したことのないステージでの建設的な議論が可能になるのではないでしょうか。

法曹側として医療側と正面から対話しようとしたモトケンさんをサンドバッグと見なして攻撃する一部の医師のような振る舞いは避けていただければと思います。

>それは医療側にも「検察に協力して訴訟に踏み切らせる医師」がいることへのブーメランともなりえます。

う~ん、これはどうですかね。
前にも別エントリで投稿しましたが、医学的見解が分かれるのはよくあることです。
学会や院内カンファレンスなどで、少数意見を主張する医師はいます。
しかし、多数意見であれ少数意見であれ、将来の医療を向上させようと主張するのであり、どちらの医療行為が過失に当たるかなど意識するものではありません。
対立する意見を検察側が過失の根拠とすることには、医師にとっては極めて違和感があります。
もちろん、明らかに重大な過失は別としてです。

>新しい視点を提示してくださる議論相手として意見交換・・・

>サンドバッグと見なして攻撃する一部の医師のような振る舞いは避けていただければ

同意です。

「敵を知り己を知れば百戦危うからず」です。折角ですから患者遺族側から見たモンスター対策の苦心談や、医療側の防御が足りない部分や攻め口のパターンなど、医療側にしてみればリスク低減につながる情報を得るチャンスだと思いますが。

素人であるため、的はずれな見解になってしまうのは承知ですが、あえてコメントしてみます。


1.止血機能が低下している患者に対しても、腹水穿刺というものは普通に行うものなのでしょうか。

医師の方々の書き込みを見る限り、患者のリスクは相当以上に高かったことが伺えますが、そのような患者に対しても腹水穿刺を行うことは通常なのでしょうか。

高いリスクを覚悟して、それでもなお腹水穿刺を行ったと言うのであれば、死を前提とした医療行為であったと思われます。そのあたりが患者に伝わっていたのかどうなのか。


2.リスクが高いと想われる患者に対しても、腹水穿刺は研修医が行うものなのでしょうか。

つまり、腹水穿刺は研修医にやらせるのが普通なのかも知れませんが、肝硬変の末期と言うことで、止血機能が低下していたと言うことになると、研修医に取ってはリスクが高いと言うことになるかと思います。

高いリスクを覚悟してあえて研修医にやらせたのか、ここまでひどくなると、研修医だろうが主治医だろうが、リスクは変わらないという事なのか。

なーんかわけわかめな事件ですなー。
朝日

院長は「腹水を抜く方法、態勢に問題はなかった。肝硬変の症状が悪化しており、出血後、患者の体に負担をかけないよう外科的処置は見合わせたが、対応が正しかったかどうか今後検証したい」と話している。

産経
病院側は「血管を刺したことで出血が止まらず亡くなった」とミスを認め、遺族に謝罪した。

神戸
院長は「この手術に出血はあり得るが、肝硬変で出血が止まりにくく、結果的に病状が悪化し、死期を早めてしまった。現時点で医療過誤とは判断していない」と説明。

病院としてどう判断しているかも各記事によって受ける印象が違いすぎ。多分総合すると病院としては①医療過誤はない②しかし今後検証する予定である③家族に対する説明不足はあった、ってことかな。

遺族が死亡直後に混乱するのは仕方ないのだけれど、それを報道しちゃうんはどうかな?重度のアルコール性肝硬変か・・・。背中の紫も死斑とちがうん?

疾患により、外科的処置が不可能な場合もあります。

穿刺というのは、報道を聞く限りでは、外科的な処置のように思います。一方、この患者は、肝硬変の末期という事もあり、外科的な処置が不可能だったと病院は認識しているようです。

外科的な処置が不可能な疾患の患者に対し、外科的処置を行ったとも解釈は可能なように思います。

ブラインドで行わざるを得ない手技(今回の腹水穿刺のことです)の場合、血管に当たるのは誤ってもくそもなく単なる運でしかないので、血管にあたったことをもってミスとされたら身もふたもない。

 これはまさしくある一定の確率を持って生じる不幸な合併症の典型例であり、避け得ない事象であるが、事情を理解し得ない人にとっては病院が殺したと称することも理解できる。ここで冷静に中立的立場で介入して、遺族の精神的なケアも見れるシステムがないことが最大の問題なんでしょう。


 この件に対して、冷たいことを言えば重度のアルコール性肝硬変の患者さん(アル中は自業自得というスタンスを取ってはいけないんですけど)に付き合って地獄に落ちるくらいなら、積極的な加療などあきらめて天にその命運を任せてあげるくらいの心持であるべきかもしれません。(私お酒弱いので、お酒のみにはとても冷たいことを自覚してはおります。それで、もめたこともありますがね)

 

>穿刺というのは、報道を聞く限りでは、外科的な処置のように思います。

最近では内科領域と外科領域の境界が少なくなってきています。というか内科領域の治療手技が外科領域に近づいてきています。
しかし、腹腔穿刺や胸腔穿刺などは以前から外科手技と認識はされてないと思います。
内科医師でも通常に行う手技です。

あとさきになりますが
>止血機能が低下している患者に対しても、腹水穿刺というものは普通に行うものなのでしょうか。

症例によりますね。

>普通に
というところがひっかかりますが、極めて止血機能が低下している場合や、死期がさしせまっている患者には、あまりおこなわない場合が多いと思います。
しかし、腹水穿刺で止血されないような時は、通常の採血や、点滴のためのルート確保でも止血が悪く予後不良でしょう。

>死を前提とした医療行為

これはありえません。
常に利益が上回る治療法を選択します。その判断は主治医ないし診療科意思として行います。
今回の一部の報道で推測する限りでは、細菌性腹膜炎を併発していた疑いがあるようです。肝硬変では明らかな原因がなくても、細菌性腹膜炎を起こすことが稀にあり、放置すれば死に至ります。したがって、その鑑別診断として腹水穿刺の必要があったと思われます。ただ、その場合でも試験穿刺だけであれば穿刺針も細く、侵襲性は少ないですが、その後1.5リットルの腹水排液を行っているところから、腹水貯留による患者さんの苦痛がきわめて強かったとが想像されます。

>リスクが高いと想われる患者に対しても、腹水穿刺は研修医が行うものなのでしょうか。

これは多少議論の余地があるかも知れません。
腹水穿刺そのものは初歩的な手技であり、研修医が行っても全く問題ありません。
ただ最近はほとんどがエコーで、事前に穿刺スペースが腹腔内にあることを確認して穿刺を行うことがほとんどだと思います。
しかし、エコーでも腹膜下の血管走行や腹部の脂肪、筋層内血管の走行は観察不可能です。したがって、研修医でも主治医でも血管損傷のリスクには関係ありません。
むしろ穿刺角度、深さで腸管損傷が気になります。これは主治医のほうが適切に判断できるでしょう。

医学的説明になると書き切れませんので、このあたりにしておきます。

たぶん、この記者会見の病院側のアレ気振りからは、実際のところ、病院側も患者さんの死因について、まともな自信のある回答は持っていないと違いますかねえ。
死亡まで時間もたっぷりあったのですから、採血・CTくらいはやったのでしょう。
あとはせめて病理解剖をしておけばはっきりしたのかもしれませんが、ウヤムヤにしたら、裏目に出たという感じ。
今後は、こういうケースでも司法解剖をするのがスタンダードになるのではないでしょうか。

タイトル見ると、研修医が何かやってる間に間違って血管を切ってその場で患者が死んだように見えます。実際は出血させた行為と死亡との因果関係ははっきりせず、(現実に10日以上経っている)後出しで結果的に命を縮めたかもしれないという程度ですね。
 ですから医学的には穿刺と死亡の因果関係は怪しいのですが、法的には相当因果関係には該当するのでしょうか。刑事だけでなく、民事賠償を含めてです。

医師の意見次第でしょう。

訴訟になった場合、「医学的には穿刺と死亡の因果関係は怪しい」との意見が鑑定医等から出されれば、裁判所は、法律上の因果関係を認めないことになると思いますけど。

「尼崎医療生協病院HP」
http://www.amagasaki.coop/byouin/
で公式見解が出ましたね。


患者様、組合員様、地域の皆様へ
尼崎医療生協病院での医療事故報道について
2009年1月9日
尼崎医療生協病院
院長 島田 真

 2009年1月8日、新聞・テレビ等で尼崎医療生協病院での医療事故報道がされました。2008年11月27日に入院された重度の肝硬変の患者様に対し、診断と治療の必要性から12月4日に腹水穿刺を行いました。その後、肝硬変からくる極度の凝固機能低下があり、穿刺部周辺の腹壁内に出血を認め、12月6日より輸血、止血処置などを試みましたが、その他の部位からの出血も加わり、12月16日に出血性ショックにより死亡された患者様に関するものでした。

 尼崎医療生協病院は不幸にもお亡くなりになられました患者様、ご遺族の皆様に心よりお悔やみ申し上げます。ご遺族の皆様には、これまで同様誠実な対応を継続して参ります。

 今回の医療事故報道を見られた地域住民の皆様、尼崎医療生活協同組合の組合員、患者の皆様には大変ご心配をお掛けしました。

 現在尼崎医療生協病院では、この患者様の経過に関する医学的な検討を集団的にすすめており、現時点では今回の処置に明らかな過ちがあったとの認識はしておりませんが、今回の診断と治療が適切であったか、インフォームドコンセントが十分なされたかなど、今後第三者の専門家を含めた検討の場を持つことにしております。真摯に検討し、今回の教訓を今後の診療に活かしていく所存です。

 引き続き尼崎医療生協病院は、皆様方の信頼にこたえる診療をめざし職員一同一層の努力をして参ります。皆様のご支援とご協力をお願いいたします。

やはり、病院は医療ミスとは認めていないようですね。

 肝硬変の患者では、腹壁内の血管が無数に怒張しており、この無数に怒張している血管を避けて刺すのは技術的に不可能で、これはミスではありません。一度目の穿刺で成功しなかったのも経験の浅いDr.だと腹壁の筋膜が想像していたより堅く貫けなかったのだと思います。ただ、この手技は運を天に任せた一か八かの手技であり、延命にも意味がなく、今後裁判になり結果がどうであれ、あたかもミスであると報道されたことで、だんだんとこの手技は廃れていくものと思います。

>ただ、この手技は運を天に任せた一か八かの手技であり、延命にも意味がなく、今後裁判になり結果がどうであれ、あたかもミスであると報道されたことで、だんだんとこの手技は廃れていくものと思います。

まっとうな医療行為が,素人の悪意(敢えてマスコミの悪意と書かせて頂きます)で行なえなくなるのは言語道断ですね.むしろ医療界から声を挙げて,糾弾すべきことと思います.
こういった報道は医療に対する「誹謗」でしょう...

>ただ、この手技は運を天に任せた一か八かの手技であり、延命にも意味がなく、今後裁判になり結果がどうであれ、あたかもミスであると報道されたことで、だんだんとこの手技は廃れていくものと思います。


医療関係者以外も見ているHPなので一応突っ込みますが。「一か八かの手技」と言うほど危険性は高くないでしょう。今回のような皮下出血であれ、あるいは腹腔内出血であれ、輸血が必要なほどの出血がおこる頻度は、自分の経験からは1%以下という印象があります。死亡にまで至るのはさらに一桁下でしょう。


腹水穿刺の合併症ということでしたら、循環動態の変化に伴う肝不全・腎不全の進行の方がはるかに高頻度でしょう。対象とする集団によって異なりますが、程度の軽いものまで含めれば1割は超えるでしょう。本当の終末期の余命幾ばくもない状況なら5割以上でしょう。


「ここで水を抜いたら体がもたないだろうな。でも苦痛をとるためには仕方ないな。」と腹水穿刺して、はたして予想どおり尿が出なくなって2~3日中に亡くなる。よく経験することです。「週末には息子がアメリカから戻ってくると言っていたな。それまでは苦しいのをちょっと我慢してもらうか。」そんなことを考えながら日々行っています。


今回報道された件が問題になり、私のしていることが問題にならないとすれば、その理由は因果関係が素人にもわかりやすいかどうかにあるでしょう。処置の目的だけで言えば、挿管チューブを引っこ抜いた事件ともあまり違いがないかもしれません。(あの件は私は支持しませんが)


もっとも、私の患者も家族も、予後が非常に厳しいこと、腹水穿刺が延命という点ではマイナスになりかねないことを理解している人が大半です。こちらから明言する場合もあれば話さない場合もあり、ケースバイケースですが。できるだけ良い状態で死を受容してもらうために、今後も決して廃れさせてはいけない手技であるといえます。


今回の事件では、病状が厳しいこと、何かもう一つ後押しするもの(今回は出血だったわけですが、感染とか外傷とか色々あります)があれば、命が危なくなるということを、十分に理解していなかった、あるいは理解させていなかったことがトラブルの原因でしょう。患者にとっても家族にとっても担当した医師にとっても不幸な事件です。

冷静に、教訓を拾い上げると:

  亀田総合病院テオフィリン中毒事件でもそうだったが、
「凝固異常があるときの穿刺は、合併症でなく医療過誤とされやすい」ということです。

  この事例では、時間には猶予があったようですから、「肝硬変末期の腹水を、凝固異常があるにもかかわらず穿刺する」という危険な侵襲行為について、どれだけ患者本人が深いインフォームドコンセントを与えていたか、それがカルテに記載されていたか、がポイントでしょう。患者本人に判断力があれば(肝性昏睡でなければ)家族に説明する義務はありませんから、患者が不幸にもなくなったあとは、カルテのみが医療側の味方です。カルテを読んで、家族が、「これだけ説明を受けて本人が同意を与えていたなら」と納得するかどうか(訴訟になりそうになったとして、弁護士がカルテを読んで無理と判断し、逆に家族の説得にまわってくれるかどうか)です。

  予後が悪いことを医療側だけがわかっている、という事態が、もっとも危険です。「この患者にはとても真実に耐えることができないだろう」と独善的に患者を値踏みして(たいてい間違っていますが)、医者が「良かれと思って」真実を隠す、というパターナリズムは、患者の権利の侵害だけでなく、リスクマネジメント的にも割に合わない、ということを、医療側はもっともっと肝に銘じるべきです。

  研修医、という視点からいうならば、古き良き時代の感覚の指導医が、リスクマネジメント意識ゼロで研修医に漫然と危険なことをさせている、というのが最悪ですね。研修医のみなさん、このような悲劇を繰り返さないためには、リスクマネジメントを組織的に実行していてそのような自覚度の高いカルチャーの研修病院を選びましょう。研修医がそのような自衛意識を持つことが、研修病院の自覚を促し、患者の安全(=研修医の安全)が守られることにつながります。

  亀田総合病院テオフィリン中毒事件との決定的違いは、説明する時間はたっぷりあった、という点です。

  「これまでは」肝硬変の腹水を抜くのが当たり前だった、というのは、もはや、言い訳にならなくなりました。これが、教訓です。

  この事例が、初めての腹腔穿刺による合併症だったとしたら、「早すぎた死」を悼むご家族の気持ちは非常に強いものでしょう。まことに残念なことでした。しかし、今からでも、肝硬変というのがどんなものであるかをご理解いただいて、納得していただけるよう、つとめるしかありません。

  いっぽう、もし、何度も腹水を抜いているのであれば、一回一回のリスクを切りぬけながら腹水を抜くことを繰り返すうちに、次第に延命が困難になってきていることはじわりじわりとわかってくるはずで、その場合、患者さんが、感染や出血の合併症による死を選ぶのか、「自然な形での死」を選ぶのか、という問題に帰着します。医療者は、肝硬変末期の死に方の過程を熟知しているわけですから(もちろん、いろいろなケースがあるにせよ代表的な大筋としての経過はわかる)、肝硬変末期の患者さんには、死に方の話をしておくべきでしょう。「自然な形での死」とは、呼吸苦軽減のためにモルヒネを使用し、それが漸増されていくなかでの安らかな死ということになります。「早く死なすことを目的として使用したのではなくて、苦痛軽減を目的として使用し、その結果、死がいくらか早まった可能性はあるが、倫理的には問題にならない」というのが現在の世界的趨勢です(尊厳死法を制定した国々では尊厳死のほとんどがモルヒネ使用による安らかな死です)。このような死に方がある、ということを選択肢として示せていれば、患者は、『たとえ、結果としてやや死が早まったとしてもかまわないからモルヒネで苦痛除去してほしい』との趣旨のリビング・ウイルを、前もって書いておくことができます。

追加です:

>>患者本人に判断力があれば(肝性昏睡でなければ)家族に説明する義務はありませんから

 それどころか、判断力ある患者本人の許可を得ずに、医療者が勝手に家族に病状を話すことは、倫理的でなく、また、個人情報保護法違反でもあります。今の日本の医療現場では、あまり厳密に考えていないようですが、非常に問題です。あくまでも、患者本人と医療チームとカルテのみが医療内容を知る、というのが基本です。

NATROMさんのところをみると、
実弟という方が登場しています。

>ミスを認めたテープレコーダーがあります。何が起きたのかは腹水を抜くのに失敗しその後も止血もしないまま安静にとゆう指示もないまま普通の入院生活で、深夜お腹が痛いとゆうと安定剤、痛み止めを一時間に三回投与し姉がトイレ行く時倒れて意識不明。以下省略。詳しくはメールください

http://d.hatena.ne.jp/NATROM/

この経過ですと、出血性ショックが直接の死因なのか疑問に感じます。

>その他の部位からの出血も加わり
というのは何だったのでしょうか?
肝不全の悪化?DIC?消化管出血の合併?

遺体が家に帰ってきてから、気がついたら布団が血の海になっていたという記事がありますね。穿刺部付近が皮下出血後にブヨブヨに浮腫んで、ジワジワと体液が滲みだす状態になっていたのでしょう。入院中は強く圧迫してなんとかしていたのが、死後の処置の際に、あるいはその後葬儀社の社員か遺族が普通のテープに貼り替えたところ、体液が漏れて上記のようなことになったというところでしょう。その場の状況を想像すると、泣きたくなりますね。


裁判の直接の争点にはならないでしょうし、これ自体はミスではありませんが、遺族の目から見て「酷い目にあった」と思えることが色々と積み重なったのでしょう。
全てが悪い方向へ悪い方向へと進んだ、やりきれない事例です。

>全てが悪い方向へ悪い方向へと進んだ、やりきれない事例です。

 私もそういう事例を知っています。
 何年もの間に積み重ねられた信頼と感謝がわずかの期間で崩壊して不信と憎悪に変わってしまったような事案でした。
 暗澹たる思いになります。

皆様の専門的に 中間の立場での見解参考になります。 
このケースで 心配なこと 当事者の20代の研修医さんは 心身ともにひどいダメージでしょうね。 研修医は指導医のいうがままで意見の相違があっても 到底口にできないと考えます。 末期の肝硬変のこの患者に 腹水穿刺 必須じゃなかったかもしれませんが 状況がわかりにくいです。呼吸苦があったのかもしれませんが・・。 穿刺しなくても 予後がかなり悪いことが伝わっていなかった印象です。一般に 腹水抜くと 病状が悪化することが多いことも 伝わっていなかった?
研修医の方の将来を心配しています。

産経新聞は「ミスを認め」となっていますが、どう見ても医学的にミスを認めているかどうかは最初の報道の段階でも不明ですよね?マスコミの先走り(場合によっては記事捏造とも言える)はどうも産経と毎日とNHKで多い印象を受けます。
その後、病院はミスを認めていないとの発言があったわけですが・・・。

ちなみにいくら研修医が行ったとはいえ、上級医の観察の下で行った行為ですから、体制は全く問題が無かったと私は考えております。
上級医がやっても腹水穿刺は手技としては簡単な方に属しますから合併症の起きる確率は変わらないです。

この症例の場合は、肝移植以外は治る見込みはないと普通はムンテラが行っているでしょう。その辺の事実関係が気になります。
腹水穿刺前に本人を楽にするためとの説明が言っていれば倫理的にも法的にも問題は無いと考えます。

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