エントリ

 神戸市立中央市民病院(菊池晴彦院長)は3日、肺塞栓(そくせん)で搬送された60歳代の女性の血管内に挿入した金属製ワイヤが心臓を傷つけ、女性は死亡したと発表した。

 兵庫県警は業務上過失致死容疑にあたる可能性もあるとみて、4日にも遺体を司法解剖して調べる。

 最近、医療過誤事故に対して警察が介入してくる傾向が強まっているように感じられます。
 警察にもトレンドみたいなものがありまして、他県警の事件が注目されると、我も我もと同種事件をやりたがる傾向があります。

 しかし、警察の介入が必要だと思われる事故もありますが、そうでもなさそうな事故もあります。
 医療側が(行政も含めて)積極的な対応と取らないと、警察の出しゃばり過ぎを許してしまうのではないかと心配です。

関連ニュース
 医療過誤は9人、厚労省が医師・歯科医師32人処分(2006年8月2日20時5分 読売新聞)

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コメント(21)

肺動脈造影をやろうとしたということなんですかね?
(循環器は専門外なので緊急肺動脈造影の適応についてはわかりませんが)
これで刑事事件になるようなら兵庫県ではおそらく緊急の心カテはできませんね。
福島の事件でもそうですが、警察や検察の偉いさんは地方勤務なんてどうせ腰掛けでしょうからその地方の人たちが後でどうなろうが知ったこっちゃないってことなんでしょうね。

>警察にもトレンドみたいなものがありまして、他県警の事件が注目されると、我も我もと同種事件をやりたがる傾向があります。

医学研究や基礎研究にも同様の傾向があります
みんな日本人なんですね

肺梗塞における心カテはX線透視をすればワイヤは見えますが
それでも壁は見えないし確実に壁の損傷を回避する方法は無いと思います
基本的にはブラインドの操作です 手の感触が頼りです
透視し続けると被曝量がえらいことになります
症状があるほどの肺塞栓なら緊急でこの操作をしなければ確実に死亡します
一般論としては以上のことが言えます
それ以上のことについては続報待ちでしょう

蛇足ながらこの疾患は診断も難しい

報道記事からはうかがい知れませんが、侵襲的処置なのでインフォームド・コンセントは、院内規約通りきちんと行っていたと推測されます。

すると、県警は患者ご遺族からの訴えではなく「病院側の発表」にもとづいて捜査に着手したのでしょうか?

「病理解剖」ではなく「司法解剖」をおこなった理由がわかりません。ご遺族の希望がなくても、「業務上過失致死の疑いあり」とのことで、なかば強制的に司法解剖をおこなったのでしょうか?

県警は、兵庫県下の医療事故(医療過誤ではありません)すべてに、「業務上過失致死の疑いあり、司法解剖をおこなうべし」と考えるのでしょうか?

その結果、業務上過失致死の疑いなしと判明した時、「いやあ、ごめんごめん。」と言って済ますつもりなのでしょうか?

誤認逮捕のとき、謝罪するではないですか。業務上過失致死でなかった場合、同じように謝罪の記者会見を開いてほしいものです。

>また医療過誤
モトケン先生すみませんが。。。「医療過誤」と「医療事故」は違うと思います。
裁判所で認定されて、はじめて「医療過誤」なのでは?

つづきです。

法律家のみなさん、ご教示お願いいたします。「業務上過失致死」ではなかった場合、病院あるいは医師が、県警(この場合兵庫県ですか?)を訴えることはできるのですか?(そんなことをする病院、医師はまずいないと思いますが。)

 医師が困難な治療を失敗したら犯罪という傾向が出てきているような気がしますね。私は医療関係者ではありませんが、どんどん非合理な方向に進みそうで、なんとも言えない怖い感じがします。

>或る内科医 さん

 タイトルに「?」を付記しました。
 最初から入れるつもりだったのですが、書き忘れてました。

>裁判所で認定されて、はじめて「医療過誤」なのでは?

 当事者または警察が過失の存在を疑った時点で、「医療過誤」という言葉は主張としては使われると思います。
 その主張が正しいかどうかについては、最終的には裁判所の判断が決定的に重要だと思いますが。

>newKamer さん

>医師が困難な治療を失敗したら犯罪という傾向が出てきているような気がしますね。

 私もそれを心配してます。

 医道審議会の処分判断についてですが、報道を読んだ印象では、刑事事件として立件された医療事故については、刑事の処分が確定してから医道審議会としての処分を決めているように感じられるのですがどうなんでしょうか?
 もしそういうことであれば、医療側の主体性がないことになってしまい、警察の暴走を止めることができないのではないでしょうか。

 まず医道審議会の判断があって、医道審議会の告発に基づいて捜査が起動するという手順が考えられていいように思うのですが、いかがでしょう。
 別に医道審議会とは別の調査機関を作ってもいいと思います。

>>医師が困難な治療を失敗したら犯罪という傾向が出てきているような気がしますね。

>私もそれを心配してます。

民事(損賠)では、もっと顕著に出ているような気がします。
私の友人の医師によると、近年の医療過誤訴訟では、国公立病院や大学病院などの大手病院に対しては、原告側に過失の立証を求めるのではなく、被告である病院側に無過失の立証を求める場合さえあるようですから。

要は、どーせ保険に入ってるんだろうし、あんたら払えるんだから払ってあげれば、みたいに。

 はじめまして....
 肺塞栓防止用とかのワイヤーを調べると、こういうのがありました。

http://www-md.info.pmda.go.jp/ygo/pack/16300BZY01149000_F_01_03/16300BZY01149000_F_01_03?view=body
 以下はメルクマニュアル。
http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec04/ch046/ch046a.html
 この問題だけど、何かの病歴を持っている場合もあるしねえ.....
 結構、医療過誤とかの問題は難しい。
 何を持って過誤とするかは、本人の病歴・本人の治療の緊急性・その治療法適用において一般的に必要とされる医療者側のスキルと注意の程度。
 そこらへんですね。心臓の傷がどのように一般的に検知されるのか含めて。

 でも、肺塞栓防止用ワイヤで心臓を傷つけるのと、術後、このワイヤーを使わずに肺に血栓が入って死ぬのと、どっちが可能性があるのでしょう?

>要は、どーせ保険に入ってるんだろうし、あんたら払えるんだから払ってあげれば、みたいに。

まー実は裁判官がそう思ってるから変な判決が多いわけです
医療事故被災者救済の必要性と医師の責任の有無は別問題なんですけどね

保険は判決が出ないと降りないので必然的に裁判が必要になる
ところがこの裁判がものすごく疲れる 不毛な話が延々と続く
それじゃあこんなリスクがある治療は最初からやめよう、ということになる昨今なわけです
メリットが無いからではなくリスクがあるから、という点に注目するとどうなるか。

そして日本でも医療事故保険の収支は逼迫しており、アメリカのように保険料率が上昇してこれまた産科医療や手術のモチベーション低下の時代が来る日は目前です。僕は手術やめたんで関係ないですけど。

>保険は判決が出ないと降りないので必然的に裁判が必要になる
ところがこの裁判がものすごく疲れる 不毛な話が延々と続く
それじゃあこんなリスクがある治療は最初からやめよう、ということになる昨今なわけです

医療についての知識がまるでない裁判官を相手に、医療水準からみて過失があるかないかを主張し理解を求めるわけですから、その苦労は想像に余りありますね。それで理解を得られればよいが、裁判官は亡くなった、あるいは重篤な障害が残った原告側に同情的な場合が多いことは想像できますので、理解する意欲が最初からない場合も十分考えられます。

理解する意欲のない裁判官に、専門外のことを理解させようとすることほど不毛な戦いはありませんよね。被告側は勝ったからと言って、何か手に入るわけじゃないですから。

本来、高度医療とは成功と失敗が紙一重の、リスクが高いケースが多い(それでも選択せざるを得ないようなケースが適応になる)と思うんですが、たとえ高度医療を施したとしても治らない、失敗するケースは数多くあり、「人は病気で死ぬもの」という前提を理解していないがために、失敗=過誤という短絡的発想になるのかなと。

素人さんであり、当事者である患者側がそういう理解でも仕方ないかもしれませんが、裁判官の場合は、そうした患者側の視点を理解することは大事ですが、患者側と同レベルの認識では、到底判じ得ないと思うのですが。

裁判所も、医師免許を持つ者をやとい、合議体の中にオブザーバーとして参加させるなり、判事の中から選抜して一定期間医学研修をさせるなり、努力すればいいと思うんですけどね。医学研修は面倒でしょうが、弁護士になったときでも役立つので希望者は結構いると思います。

エントリーでご紹介の記事には
>血栓を防ぐ器具を血管内に挿入する際、挿入に用いる金属製ワイヤが
>心臓を傷つけて出血。3日午前5時15分ごろ、死亡したという。
とありますが、はっきり言って意味不明の文章です。
「血栓を防ぐ器具」は適当Xさんご紹介の下大静脈フィルターの可能性が高いです。「金属製ワイヤ」がもしこのフィルター自体を指すなら、留置されたフィルター(下大静脈の腎静脈合流部よりやや下に留置が標準)が移動して心臓まで達したことになります。この場合、現象としてはフィルターがうまく開かなかった場合と、下大静脈の径が大きすぎた場合が考えられます。原因としては、フィルターの製品異常、時間を掛けすぎでフィルターに付着する血栓形成が起こりフィルターが開かなかった、下大静脈径の評価不足(CTで簡単に判ります)などが考えられ、不可抗力も手技上のミスも判断ミスもあり得ます。
フィルターの留置にはこれをガイドする太いカテーテルを下大静脈に挿入する必要があり、右内頚静脈または右大腿静脈からアプローチします。この際まずガイドワイヤを先進させますが、通常心臓には入れません。透視下でも心臓にワイヤが入るのは確実に把握できます。また少しくらい入れてもまず傷などつきません。この操作で心臓に傷をつけたとすると、右内頚静脈アプローチでワイヤが心臓内にあるにも関わらず無理矢理太いカテーテルをインナーごと挿入したくらいしか考えつきません。もしこれをやったとすれが、完全な医療過誤です。
 下大静脈フィルター留置は「先進医療」などではなく、もはや日常診療のレベルに近いものです。急性期に肺動脈内の血栓を吸引する手技は確かに先進医療ですが、この記事からは血栓吸引を行ったとは思えません。何も知らない新聞記者の記事ですから、あるいは吸引かも知れませんが・・・なお肺動脈塞栓症を起こしても常にフィルター留置が必要なわけではありません。残存する大きな下肢静脈血栓が無ければ(これもCTで簡単に判ります)、抗凝固療法だけでほとんどの場合が大丈夫です。適応をきちんと判断できたかどうかも問題となります。

>>ヤブ医者さん

読売よりなぜか、日刊スポーツが一番詳しいw
さすが医局の愛読紙

http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20060803-70402.html

>循環器内科の救急当番医が検査した結果、肺塞栓症の疑いが強いとして、カテーテルを使い、肺動脈内にあった血栓を除去した。
>さらに足などにある血栓が肺の血管をふさがないように、静脈にフィルターを挿入する作業をしたが、
>その際にカテーテルに付随する金属製のガイドワイヤの位置がずれ、右心室に数ミリの穴を開けた。
>このため出血し、心臓を覆う膜の内側に血液がたまる心タンポナーデを併発、緊急手術を行ったが、3日午前5時15分、死亡した。
>カテーテルを扱った医師は38歳の男性で、カテーテルを使った検査や治療の経験は、これまでに約500回あるという。

年齢・経験共に豊富ですし緊急手術という訳でもないですから適応については問題なかったのではないでしょうか

>>医師が困難な治療を失敗したら犯罪という傾向が出てきているような気がしますね。

>私もそれを心配してます。
それはそれで問題ですが、世間でおきていることはもはやそのようなレベルは通り越しているように思います。

たとえば筑波大学で最近以下のような事件が生じました。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/archive/news/2006/08/03/20060803ddm012100133000c.html
体液を排出するための管(ドレーンといいます)を抜く行為自体には別段困難は伴いません。
>うみが腹部全体に広がり腹膜炎を発症した
このようなことは一般的に正しいとされていることを行っても一定の確率で起こります。
というよりかなりの医師は患者に対して期待通りでない不幸な結果が起きることを経験していることと思われ、もしこれが刑事罰にあたいするなら医師の少なからぬ部分は犯罪者ということになってしまいます。

そのような場合医師はやはりとてつもない後悔の念に悩まされます。
自分自身経験があるのですが、真剣に医者を辞めようか、と思いましたし
自殺を考えることさえ幾度とありました。
周囲のサポートがなければおそらく立ち直れなかったと思います。
このような状態で警察の取調べを受けようものなら容易に罪を認めてしまうと思います。

>むいむいさん
情報有り難うございます。これで状況がよく判りました。日刊スポーツの記事から、アプローチが大腿静脈経由であったことがはっきりしました。おそらくガイディングカテーテルを進める際にガイドワイヤの保持が甘かったのだと思いますが、助手なしの状態などでは致し方ない面もあります。少なくとも警察が関与すべき事故ではないですね。
この事故から学ぶことは、
・ 助手がいない様な状況(今回がそうであったかどうかは存じませんが)では、dislocationを起こしやすく先端が堅いラジフォーカスは使用せずに、先端が柔軟なコイルスプリングワイヤを使用する。
・ 長めのワイヤを上大静脈まで確実に進めて、ワイヤがまっすぐに安定した状態でかつ血管壁を押さない状況で操作する。
・ カテーテルを進める際ガイドワイヤはしっかり保持する(原則!)。
などでしょうか。
 なお、揚げ足を取るつもりはありませんが、
>年齢・経験共に豊富ですし緊急手術という訳でもないですから適応については問題なかった
というお考えには、一般論として同意しかねます。適応はあくまでも患者さんの病態によります。(日本では安易にフィルターが留置される傾向があります。)

医療現場に司法が介入することが増えている事に関して、萎縮医療につながりかねないとの懸念がありますが、私は、それよりも医学の発展の足を引っ張ったり、原因究明のための医学的な論争を妨げる可能性を危惧します。

病院の場で、警察が行うことは、医学的な原因究明よりも「悪人を見つけ出すこと」ですし、その段階で得られた医学的な資料は、警察の捜査資料として押収されてしまいます。警察の捜査となると、「自己に不利な供述はしなくてもよい」という憲法上の権利(でしたか?)がありますから、当事者は肝心なところは黙ってしまうでしょう。自分に非がないとは思っていても、何かしゃべってあらぬ誤解を受けるよりは、触れずに済ませたいものです。

これでは、「何が原因であったのか」「どうすれば再発をふせぐことができるのか」という点が、全く不明のままで終わってしまいます。結局のところ、なにも進歩のないままで終わってしまいます。

これで、よいのでしょうか。

私の子供は心臓に先天異常があり、出産の翌日にカテーテルで応急措置を行い、その1週間後に心臓手術(失敗率3割くらい)を行いました。幸い全てうまく行き、子供は今では健康体です。

カテーテルも心臓手術も失敗するリスクがあることは説明を受けましたし常識で分かっていました。手術には12時間ほどかかりましたが、手術室に送り出す時は「死んで帰ってきても仕方ない」と考えていました。途中で(何か手違いがあり)子供が死亡したとしても、病院や医師を訴えようなどとは夢想もしませんでした。一週間の寿命しかなかった子供の不運を嘆くだけです。

カテーテルという技術、失敗して患者を殺したら逮捕されるというのでは、やる医者がいなくなるでしょうね。誰もそんな貧乏籤を引きたくありませんから。福島の産科医を逮捕した事件と同じ恐ろしさを感じますし、別スレで医療関係者の方が言われていることに同意せざるを得ません。

>noon さん

 コメントありがとうございます。
 多くの医師の方が勇気づけられたのではないかと思います。

 私は、このニュースの件については、警察が功名心に囚われているのではないかと危惧しています。

この神戸の医療過誤 (とされている) 事件ですが、
患者はイスラム教徒の中国人でして、そもそも
インフォームドコンセントというのがどこまで有効な相手だったのか………
結局前医できちんとした診断がつかずK戸市立中央市民病院に搬入されたのですが、
「前医では何も異常がないといわれたのに、この病院で訳のわからないうちに
検査されて死んでしまった。知り合いの新聞記者に言いつけてやる〜!」と
患者家族がごねたので表面化したそうです。

肺塞栓症は胸部X線や心電図の所見が
全く無いわけではないのですがかなり微妙で
特に外来の段階では診断が難しい
やはりこの点が影響してましたか…

まあ お知り合いに言いつけられたら記事にする記者は論外として
病院側が公表する必要性又は根拠というのはどうだったんでしょうか
公表したから記事にしたというのなら病院が事故の社会性を
認定したも同然ということになりますがそこまで考えてたかあやしい
何を持って発表するべきかという基準は存在するのでしょうか?
無用な公表(といいより報道)は医師の士気を損ねて
大いに公共の福祉に反する結果になると思います

 モトケン さん、こんにちは。

> まず医道審議会の判断があって、医道審議会の告発に基づいて捜査が起動するという手順が考えられていいように思うのですが、いかがでしょう。

 法制度上は既にその下準備は整えられています。

***

医師法
第7条の3 厚生労働大臣は、医師について第7条第2項の規定による処分をすべきか否かを調査する必要があると認めるときは、当該事案に関係する者若しくは参考人から意見若しくは報告を徴し、診療録その他の物件の所有者に対し、当該物件の提出を命じ、又は当該職員をして当該事案に関係のある病院その他の場所に立ち入り、診療録その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をしようとする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

***

 しかしながら、肝腎の人材が確保できないため、今に至るも立ち入り検査は一例も行われていません。

 また、医道審議会が警察・検察に対して告発をするという仕組みは未だ想定されていません。厚労相が職権で告発することが可能であるか否かすらも、明確でありません。

P R

ブログタイムズ

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