エントリ

 金沢大付属病院(金沢市)に入院していた小松市の女性(59)が、脳こうそくを発症して神経に障害が残ったのは病院側の治療後の措置に過失のためとして、同大相手に1億円の損害賠償を求めた訴訟の第1回口頭弁論が4日、金沢地裁(倉田慎也裁判長)であった。金沢大側は「過失はなかった」として争う姿勢を見せた。

 訴状によると、女性は01年12月10日に心不全で同大に入院。心臓検査のため、頸(けい)静脈にカテーテルを挿入した。同13日にカテーテルを抜いた後、ベッド交換のために移動したところ、挿入口から多量の空気が静脈に入り、脳こうそくを発症。付き添い介護が必要な後遺症が残った。

 病院側はこれに対し、▽発症したのは脳こうそくではなく、脳塞栓(そくせん)▽カテーテルを抜去後の処置は医学水準に合致した手法で、挿入口から空気混入は考えられない▽ベッド交換が直接の原因とは断定できない−−などと反論した。【八田浩輔】

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コメント(38)

コメントとしては「裁判になるまで誰も突っ込まなかったのか?」につきると思いますが。

あるサイトには、

>脳梗塞は脳の血管が詰まって起こる病気です。
>脳梗塞には「脳血栓」と「脳塞栓」とがありますが、
http://www.jojinkai.com/info/sos.html

とあります。「発症したのは脳こうそくではなく、脳塞栓(そくせん)」
と言う反論は適切なのかと言う疑問が、素人にはあります。

それ以上の事は、情報量が少なすぎるので何とも言いかねるかと。

 なんで新聞は、いきなり「医療過誤」という見出しをつけるのか、よくわかりません。「過誤」や「誤診」という言葉が、医療関係者を、どれほど過敏にさせるのか知ってほしい。そして不特定多数の読者に、多大な不安感を与えることを再認識して頂きたい。

 後遺症が残った患者さんは、もちろんお気の毒です。しかし、新聞の報道姿勢に、常に病院は強者であり、患者さんは弱者であるという図式を感じます。耳に心地よい響きがあるからでしょうか。新聞に「過熱する受験戦争の問題点」の記事を載せ、系列雑誌に「高校別有名大学合格者数」の記事が載っていたりしますが、同じように、「医療過誤」との見出しをつけた新聞に、「どうするか僻地の医師不足」などという記事が載っていたりするので、さらによくわかりません。

 マスコミの方も当ブログをご覧になっているでしょうから、他エントリの医師の声に、ぜひ耳を傾け、その上で掲載記事の文面を推敲してほしいものです。

 頚静脈から多量の空気が入り、ふつうおこるとすれば、肺梗塞でしょう。それにポンプで圧力をかけない限り、大気圧が静脈圧に抗して、血管内に空気が入ることはないでしょう。現病が心不全とのことなので、心房細動を併発していたかもしれません。心房細動によって生じた左心房内の血栓が、偶然脳動脈へ飛んでいき、脳塞栓を引き起こしたのかもしれません。

 いずれにせよ、もし、この裁判で被告側敗訴となると、心拍出量や圧負荷、容量負荷などを計測し、心不全の病態を把握するための心カテーテル検査はできなくなり、その結果、患者さんにとって最適の治療方針を立てることは、できなくなるでしょう。これは金沢大だけの問題ではなく、我が国全体の問題であります。金沢大も正々堂々と裁判所で争い、是々非々の判断を仰いでほしいものです。

 医事訴訟の報道に接していつも思いますが、医師と患者さん(ご家族)との間に交わされた、言葉のやりとりの機微を知りたいものです。

以下、興味のある方のために・・・
まず、

●1 頚静脈に空いた穴から空気が入る条件
「心臓から頚静脈に空いた穴までの高さ」 > 「中心静脈圧」

ここで、「中心静脈圧」=「水平に寝た状態で静脈に穴を開けたときに、血が噴きだす高さ」と考えてください(用語については、突っ込まないで下さい)。
「心臓から頚静脈に空いた穴までの高さ」は寝た状態では0cm、直角に座った状態で最大15cmです。
心不全と言うからには、血液の流れが滞っていて、「中心静脈圧」も15cm以上にはなります。
ですから、●1が成り立つのは、

i) 体位変換時に坐位になり(または、肺うっ血で坐位しかとれず)
かつ
ii) その時は血管に穴が開いたままで止血されておらず
かつ
iii) 中心静脈圧が15cm以下であった場合

i)、ii)、iii)とも個々にすら、成り立つとは思えません。
(肺うっ血があれば、中心静脈圧が上がっていますので、空気はさらに入りにくくなります。)


次に、静脈に入った空気は、通常の解剖では肺の毛細血管にトラップされてしまいます。(つまり肺梗塞にはなりえます。)
空気が脳塞栓を起こす(奇異性脳空気塞栓)ためには、次なる条件

●2 「肺動脈を介さない動静脈の短絡という、循環系の解剖学的破格が存在する」

を満たさないといけません。

これには、心房中隔欠損、心室中隔欠損、卵円孔開存、肺動静脈奇形があります。
前2者は心不全の原因となりえますが、その際は中心静脈圧が高くなると考えられますので、空気が入るための条件を満たしません。卵円孔開存は正常でもかなりの頻度(4分の1程度?)で認められるとのことですが、開存していてもほとんどの場合はショートカットしません。肺動静脈奇形の有無は、胸部CTで確認可能です。

というわけで、かなり長くなりましたが「医学的に、●の2つを同時に満たす可能性は限りなく低く、起こる可能性は可能性は0に限りなく近い」ということを説明させていただきました。

ちなみに、金沢大学側の
>発症したのは脳こうそくではなく、脳塞栓(そくせん)▽
という説明にも突っ込んでおくと、

「脳塞栓は、脳梗塞の一部です。脳塞栓を発症したら、脳梗塞になります。」

とはいえ、こうした説明を受け入れられないほどの、背景を知りたいと思います。
急性期病院で、治療中(しかもカテーテル抜去後)に脳梗塞を発症。
病院は責任を認めず、また在院日数の関係で、リハビリ病院への転院を打診され、十分な治療を受けられなかったことに不満を感じ・・・、といったところでしょうか?

或る内科医さんの
>医事訴訟の報道に接していつも思いますが、医師と患者さん(ご家族)との間に交わされた、言葉のやりとりの機微を知りたいものです。

私も、同感です。

すでに基本的なところは詳しく解説いただいているのでよろしいかなと思いますが、医者ならこの記事を見てまず一般常識的判断から「は??」と思うでしょう。ついでもし実際そういうことが起こるとしたらどんな可能性があるか考え、極めて稀な事態が起こったならばそういうことも起こりえるかなという結論になります。そしてそういう通常起こりえない特殊な事態が発生したことをもって訴えられることに暗澹たる気持ちとなり、(人によっては)「やはりこれからの時代カテなどするものではないな」と考えるにいたるわけです。

事件を起こして「オレは悪くねえよ!シリウス星人が毒電波でオレを操ってたんだ!」などと主張する者がいたとすれば、実際そういうことが起こっていなかったのだと証明することは限りなく困難でしょうが、たぶん普通の人間は「は?何言ってんの?そんなことありえねえよ」と判断するのではないでしょうか。その結果何かを隠していると考え事件の背景を調べるか、あるいは精神鑑定が必要かといったふうに考えを進めていく。どうやったらシリウス星人に事実関係が確認できるだろうかとは考えない、それが常識的判断というものです。
大多数の医療者もむろん専門的知識を下地に持ってはおりますが、基本的には常識的判断というものを前提に医療を行なっているわけです。当たり前だと思っている判断が医療においては通用せず訴えられることもある、周囲の誰もそれをおかしなこととも思わないという事実のみをもってしても、これほど医師の逃散が進む一因として考慮に値すべきものかと思います。そしてそれは司法が常識的判断を下すか否かとも全く無関係なレベルでの話であるということに、こういう場での理性的な議論を超越した部分でのやりきれなさを感じるのです。

No.4の脳外科医(大学助手)さんの圧力の話しよく解るんです。

水銀の比重を13.6として血液を水と同じだとすれば、100mmHgは136cmに相当するわけで、15cmは20mmHgの血圧でしかない。最低血圧を考えるべきか、平均血圧を考えるべきかはありますが、空気が血液の中に自然に入る状態だとすると、患者は相当大変な状態であるし、医師の方も患者の血圧を当然知っているから、そんな低血圧だったら色々と注意を払うと思うのです。

そこで、私が疑問に思うのは、患者が裁判に訴えたのは、勝訴なり和解なりで勝つ見込みがあるからだと思うのです。又、その為に、他の医師か誰かの意見書を入手しているのではないかと思うのです。この辺りは、どう思われますか?

頸静脈に空気が入って脳塞栓にしても脳梗塞にしても起こりえるのでしょうか?ここがよく分かりません。一応解剖学を勉強したはずなのですが・・・。分かる人がいたら教えてください。VSDかASDがあったとしても普通、L→Rシャントですからアイゼンメンジャー化していないとあり得ないと思います。
というかアイゼンメンジャー化していたらそれだけで命に関わるとおもうのですが・・。

ちなみに脳塞栓が原因で脳梗塞になることは理論的に正しいです。が、すべて脳梗塞を発症するわけではありません。

普通に考えて金沢大学の「脳梗塞ではなく、脳塞栓」というのは正しいかどうか分かりませんが、頸静脈に空気が入る原因を突き止めるのが先ではないでしょうか?
それにどう考えても脳梗塞・脳塞栓の原因に頸静脈に空気が入ったことと関連するとは思えません。それともこういうことは起こりうるのでしょうか?理論的にはあり得ないはずですが・・・。

あ、VSDは心室中隔欠損症、ASDは心房中隔欠損症です。脳外科医(大学助手)様が説明していましたね。

既出かもしれませんが、脳梗塞の原因となるものに脳血栓と脳塞栓があります。ただし、脳塞栓や脳血栓がすべて脳梗塞を発症させるわけではありません。
その他、血管狭窄、血管閉塞でも脳梗塞は発症し得ます。

VSDやASDがあったとすれば逆に頸静脈圧は通常より遙かに高くなりますのでなおのこと空気が入るとは考えられないのですよね
そもそも脳塞栓の前に肺塞栓がおきるのではないでしょうか

ちょっと考えられない内容です
専門医の意見を聞きたいですね

>むいむい様

おっしゃる通りです。
そして肺動静脈瘻が無い限り肺でトラップされ、動脈系に行くことはありえません。

私は、医学の知識はありませんが、記事を読んだときに、「カテーテルを抜いた後の挿入口から多量の空気が静脈に入るなんてことが普通起こりうるのか?」という素朴な印象を持ちました。

或る内科医さんの「ポンプで圧力をかけない限り、大気圧が静脈圧に抗して、血管内に空気が入ることはないでしょう。」という説明を読んで、「そうだろうなぁ。」と思いました。
脳外科医(大学助手) さんの説明は、^気隆愀犬妊戰奪匹琉榮按度で静脈に空気が入るようなことはない、仮に静脈に空気が入ったとしても脳に行くことはない、ということでいいんでしょうか?

医療事故を専門に扱う弁護士は、証拠保全を行ってカルテ等を確保し、協力医から治療行為の内容や相当性の意見を聞いたうえで、法的に責任を追及できるかの検討を行い、責任を追及できるとなれば訴訟を起こす、という手順を踏むと思います。
仮に本件でも協力医がアドバイスをしていた場合、協力医の専門や経験年数によって、アドバイスに差が生じうるレベルの問題なんでしょうか。
(老人の医者さんの「裁判になるまで誰も突っ込まなかったのか?」というコメントを見ますと、原告は協力医のアドバイスを受けていないんじゃないかとも思いました。)

いくら協力医が訴訟をそそのかしたとしても、仮に静脈から脳梗塞を発症した可能性があるから訴えよう、と言ったとしたら、その協力医は医学生以下のレベルの解剖学の持ち主ですね。とても医師とは思えません。
あるいは静脈から脳梗塞を発症するという新理論を発見したスーパードクターのどちらかでしょう。仮にスーパードクターだとしても一般の医師にはもはや理解不能なのでいずれにしても裁判が成り立つとは思えませんが・・・。

こうの裁判はすべてが理解不可能で、我々の理解の範疇を超えています。

 おそらく・・・ですが、心カテ検査をしていることから考えてASD(VSDよりは確率的にあり得ると思います)、しかも年齢、心不全と言うことから考えてアイゼンメンジャー化があったことは記事の情報だけでは否定できないと思います。
 だとすれば全くあり得ない話では無いと思いますが、少なくとも「挿入口から大量の空気が入り」はあり得ないと思います。もう少し正確な情報が欲しいですね。この記事はあまりに情報に乏しいと思います。

Eisenmenger化していて例え空気が入ったとしても予期しなかった事故に入るのではないか?と個人的には思います。カテーテルから空気を直接入れた、というのなら過失ですが、抜けた際に空気が入ったというのは事故であって過失ではないですね。
それに記事にはカテーテルから空気を誤って入れたとは書かれていません。あくまでも
「カテーテルを抜いた後、ベッド交換のために移動したところ、挿入口から多量の空気が静脈に入り」と書かれています。kろえを過失とするのはちょっと考えにくいですね。裁判が成り立つのであればもっと決定的なことがあるはずですが・・・。

ところで、予期しなかった事故も民事の損害賠償に含むのでしょうか?だとしたら「ちゃんと医療をやっていても患者の結果が悪ければ賠償の対象」ということになり、医療従事者だけでなく保険会社からも反発がでそうですね。アメリカでは医療費が高騰しています。
以前、この種の結果責任論をどこかの裁判官が発現していたと思うのですが・・・ソースが見つかりませんでした。

アイゼンメンジャー化したASD、VSDがあったという可能性はありえますが、右房、右室圧が動脈圧以上に上昇しているためそんな簡単に空気は入らないだろうと考えます(注射器ででも押し込まない限り)。
心不全と時期を一致して心房細動の脳塞栓が発症することは時々経験しますが。。。
いずれにせよあまりにも突拍子もない訴えなので、怒りを通り越して、呆れるばかりです。

コメントのはじめのほうにあったように、いきなり「過誤訴訟」というタイトルは、不適切ですね。

医療事故ではあるとおもいますが、医療過誤かどうかは、これからしらべるわけで、事故と過誤を混同することは、容疑者と犯人を混同するのと同じです。

しかし、不思議な記事ですね。静脈に入った空気が動脈系に行って、脳血管に空気塞栓を生じるのは、非常に考えづらいです。心内の右左シャントが必要ですね。

大変面白い話なので、続報に期待したいのですが、新聞に期待は出来ませんし、困りました。もし、本当にこのようなことがあれば、その機序を解明して欲しいものです。

他の先生がコメントされているように、自分にも全く理解が不可能な話です。
本当に、よほどの先天奇形でもあるんでしょうか。でも そうであれば、もっと前に問題が生じていたはずなのでは、と思います。
空気塞栓は 本当であったのでしょうか。そうした患者さんを見たことがないので、どこまでが 真実なのか??????????????

>>No.17の某救急医さんのコメント
>コメントのはじめのほうにあったように、いきなり「過誤訴訟」というタイトルは、不適切ですね。

ところがですねぇ、これはかなり異常な見出しなのですよ。
毎日新聞の場合、以前からこの手の記事の見出しは必ず「医療ミス:」で始まるものと決まっていました。
それが「医療過誤『訴訟』」に変わったのです。

ま、担当記者+デスクの気まぐれかもしれませんが。
参考:Yahoo!ニュース>国内トピックス>医療と福祉>医療過誤のカテゴリの9/7 19:40現在の見出し一覧(9月分のみ)
><医療事故>「無過失補償制度」創設へ 自民が検討会を発足(毎日新聞) (7日18時15分)
>県立がんセンター医療ミス:「隠ぺいで精神的苦痛」 遺族が損賠提訴 /栃木(毎日新聞) (6日12時1分)
>医療過誤訴訟:金沢大病院「過失ない」争う姿勢−−地裁で口頭弁論 /石川(毎日新聞) (5日17時1分)
>医療ミス:分べん手術で新生児が脳性まひ 市立静岡病院で02年 /静岡(毎日新聞) (5日13時2分)
>医療過誤損賠訴訟:鹿嶋の医療法人と遺族、1億円支払いで和解 /茨城(毎日新聞) (2日14時1分)
>医療事故で患者死亡 守山市民病院 遺族に260万円賠償(京都新聞) (2日10時29分)
><医療過誤>がん検診怠った医師らに賠償命令 東京地裁(毎日新聞) (1日23時24分)
>手術で脳障害、広島市民病院提訴 - 中国新聞 (1日19時48分)
>県立淡路病院 患者死亡、4100万円賠償 - 神戸新聞 (1日18時37分)
>吹田市民病院:女児の医療事故、訴訟女性と和解 /大阪(毎日新聞) (1日18時1分)
>医療ミス:中津川市、ミス認め3800万円を賠償 /岐阜(毎日新聞) (1日12時0分)
>手術ミスを認定 7800万円賠償命令  宇多野病院訴訟で京都地裁判決(京都新聞) (1日10時29分)

「空気塞栓」で検索をかけたらこんなページが引っかかりました
(ちなみに私は透析医ではありません)
http://www.jsdt.or.jp/cgi_bin/topics.cgi?tid=77
「んなあほな」という感じでしたが絶対にあり得ない話、というわけでもないようです。

ほとんど医者板と化していますが・・・。


脳外科手術の際に、出血を避けるため頭部を挙上しすぎると術野の静脈から空気が入り込む可能性があり、かつ患者に右→左シャントが存在する場合には空気塞栓による脳梗塞が合併症として生じることが知られています。
そこで、頭頂部の手術や、脳深部の手術で、頭部を挙上した体位をとる必要がある場合は、術前に卵円孔開存などのチェックをし、また、空気が入った場合に備えて、空気を抜くことができるよう、カテーテルを右心房内に留置します。
脳外科医、麻酔科医、循環器内科医は知っていないとまずい知識かもしれませんが、その他の医師にとって常識かと言われると「?」かもしれません。

とはいえ、とても特殊な条件下でしか起こりえません。
この裁判の例では、「ありえない」と断言しておきます。


ちなみに、手術以外の原因で検索すると、1件引っかかりました。
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?cmd=Retrieve&db=PubMed&dopt=Citation&list_uids=12865105
21歳男性、自殺企図にてリストカット後に、心内に大量の空気が貯留し、空気塞栓による脳梗塞と心筋梗塞を併発しています。
本文を見ることはできないのですが、たぶん腕を挙上した際に空気が入り込み、卵円孔か、ASDを介して動脈系に流入したのだと思います。


なお、No.4の最後の方の文面が、見苦しくなってしまい申し訳ありませんでした。
ボーっとした頭で、書いていてついつい・・・。
仕事中は、このようなことの無いようにしたいものです。^^;)

>>No.20のばんたさん
げ!
全く知りませんでした。
恐ろし。
「辞めててよかった臨床医」をしみじみ感じます。

情報ありがとうございました。

>「んなあほな」という感じでしたが絶対にあり得ない話、というわけでもないようです。

たしかに、ちょっとびっくりしました。
要約を読める雑誌がないので、これが、透析用のシャント(透析のための前腕部動脈ー静脈間のバイパス)がある患者のみが対象なのか、すべての患者が対象なのかはわかりませんが。


ところで、この「お知らせ」には、

>『カテーテル抜去後は空気塞栓予防のために、空気を遮断するドレッシング剤を貼付する。』よう取扱い説明書に「警告」として表示のうえ、カテーテルメーカーならびにすべてのカテーテル取り扱い医療機関に警告を伝えて頂くことを厚生労働省に強く要望した。

という一文があります。
この裁判で、「空気塞栓予防のために、空気を遮断するドレッシング剤を貼付」しなかったという民事上の責任を問う根拠となりえますでしょうか?

>この裁判で、「空気塞栓予防のために、空気を遮断するドレッシング剤を貼付」しなかったという民事上の責任を問う根拠となりえますでしょうか?

透析学会のページのReturnのボタンを押して戻ると、その前後の記事の日付から判断するにこの「お知らせ」がされたのは平成14年以降のことと思われます。
一方この事故がおきたのは平成13年のことですからこの「お知らせ」が裁判上の責任を問う根拠にはならないと思うのですがいかがでしょう。
大体このページの皆さんの反応を見るにほとんどの医者は今でもそんなことは
みんな知らないわけですし。

No.23 脳外科医(大学助手)さま

>この裁判で、「空気塞栓予防のために、空気を遮断するドレッシング剤を貼付」しなかったという民事上の責任を問う根拠となりえますでしょうか?

未熟児網膜症事件最高裁判決(最高裁昭和57.3.30判決、最高裁昭和57.7.20判決)でいう
「診療当時のいわゆる臨床医学の実践における医療水準」を基準とする「危険防止のために実験上必要とされる最善の注意義務」
にあてはめて判断されることになるだろうと思います。

No.24のばんたさまの言われるとおりであれば、「診療当時」にそういう危険性があることは(ほとんど)誰も知らなかったということになるので、根拠とされることはないと思います。

架空の設例として、同様の注意が事故以前に出され、ある程度周知されていたという場合、
その「『最善』の注意義務」をどう読むかもまた解釈問題になってくるので、医療側に厳しく解釈する裁判官の場合、その「注意」が根拠のひとつとされる可能性はあるかもしれません。
(東大梅毒輸血事件(最高裁昭和36.2.16判決)で、当時誰もやっていなかった問診をする義務を裁判官が認めたように)

しかし、最近のみなさんのコメント、むちゃくちゃ勉強になりまくりです。

>脳外科医さま
No.20のリンク先には、以下のように記載されています。

>今回使用したものも含めた当院で採用している同用途のカテーテルの取扱い
>説明書の抜去に関する記載も、一定ではなく、当該メーカーに問い合わせても、
>空気塞栓予防の為にシールを用いるべきであるという回答はなかった。(ただし、
>Arrow社の製品にはこの旨が表記されている。)また、厚生労働省からもカテーテル
>抜去に関する指導、注意、警告はでていない。

該当のカテーテルの取扱説明書に「空気塞栓予防のためにシールを用いるべきで
ある」と言う記載があれば、医師側に不利に解釈される可能性があると考えます。

この事を知らなかったという医師が大半のようですが、皆様方が用いられている
カテーテルの取扱説明書には、そのような旨は記載されてないのでしょうか。

オランダと国内で一例ですか・・・
それはともかくこれは透析に使うカテーテルですよね?
金沢大の心臓検査に頸静脈に挿入したカテーテルはS-Gでしょ
同一視するにはあまりにカテーテルの太さが違いすぎると思いますが?

専門医の方のコメントを聞きたいです

例の「なりすまし」騒動以来、謹慎しておりました腎臓内科医です。立ち去ると言っておきながらも、ずっとROMしておりました。
私の専門領域の話題が出てきたので、恥ずかしながらコメントします。

透析医学会が件のお知らせを出したのは、私の記憶ではH15年ごろと思います。当時、私たちもなぜ静脈系に入った空気が脳塞栓かと不思議に思いました。原著にあたったわけではありませんが、当時仲間内で出した結論としては、右心房を介して動脈系に行くのではなく脳静脈系に逆流して脳血流障害を引き起こすのではというものでした。

しばらくの間、圧迫止血後オプサイトなどで覆うようにしていましたが、いつの間にか忘れてしまい、今では何の疑いもなく普通にガーゼで止めています(怖)。
太さは、11Frなので通常のTPN用のカテなどに比べると圧倒的に太いです。
また透析用の動静脈シャントの存在とは関係ないように思います。

以上、またROMに戻ります。

我々のレベルでも頭上げるなとか言った注意は聞いたことがありますので、透析用の太いカテから逆行性にというのは理解できます。問題は心カテやCVカテレベルの太さでそこまでのエアー流入が起こり脳塞栓を発症するのかどうかですが、今のところ適切な文献が見当たりませんのでどなたかご教示いただければと思います。
記事によれば原告が「多量」の空気とわざわざ言っていることからして何か普通でないやり方をしたからだと言いたいのか(そもそも多量の空気は確認したのでしょうか)。病院側では「医学水準に合致した手法で、挿入口から空気混入は考えられない」というコメントを出しているので何か極端に通常とかけ離れた方法をとったとも思い難いのですが…

>腎臓内科医先生
 ROMに入っているところのお呼び出しで申し訳ありませんが、件の透析用カテーテルの件は挿入して何日ぐらいたったものでしょう?
 S-Gカテーテルは心臓手術後に入れておくものは別として、単回検査では入れたあとすぐ抜いてしまうものですから瘻管が遺残することは考えにくいのですが。たしかに透析用のカテーテルでは長期留置後に瘻管が遺残することがあり、このケースでは空気引き込みも宜なるかなと思いますが、単回検査で同様のことが起きる可能性は低いと思うのです。

取り急ぎ、アクセスできた2症例の情報から転記します。

症例1:12Frの透析用カテーテルを13日間留置、抜去後、座位になり咳をした後にCPA。剖検で右心系に空気、しかし脳塞栓とは記載されていない。著者は、臥位での抜去と空気が入らないドレッシングで24時間覆うことを推奨。

症例2:TPN用のカテーテルを結腸癌の手術後15日間留置、座位で抜去後意識消失・血圧低下。CTで脳表面の脈管内に空気。翌日のMRIで新しい梗塞巣を認めた。
(私には、やはり左心系からの塞栓ではないように思えます。)

僻地外科医さんのコメントには、まったく同感です。記事を読む限りでは、別の要因による脳梗塞だと思います。

1. 既にコメントされていますように,通常カテーテルから静脈内に
空気を引き込むことはありません.ただし脳外科の先生が書かれて
おられますように,頭部を挙上していてさらに中心静脈圧が低い場
合には引き込む可能性はあります.カテーテルのポートが開いたま
まになっていた場合です.カテーテルを抜いた孔から引き込む可能
性は限りなく0に近いです.書かれている頚静脈が内頚静脈のこと
だと仮定しますと,内頚静脈は皮下5-10mm程度のところにあります.
カテーテルを抜いた場合血管から表皮までには皮下組織があり,仮に
低い中心静脈圧のために空気が引き込まれるような状態であったとし
ても皮下組織の孔が先に塞がります.
心不全ということですから通常は中心静脈圧も正常かそれ以上でしょ
うから,その情報だけからでも空気を引き込む可能性は低くなります.

2. ある程度以上の量の空気が右心系に入った場合,卵円孔を介して空気
が左心系に流入することはあります.卵円孔は成人でも機能的にしか
(つまり左房圧>右房圧のために)閉じていない場合が結構あるとされ
ています.また,このような解剖学的シャントがないにも係わらず左心
系に空気が流れてしまうこともあります.おそらくは肺の毛細管をすり
抜ける空気がいくらかはあるようです.(これはかなり大量に空気が右
心系に入らないと起こりません)
50-100mlも一度に空気が右心系に入りますと先に心停止を来しますし.

従って静脈系から入った空気で脳塞栓が起きる可能性は全くないではあ
りませんが,起きたとしても非常に希有な場合です.
少量の空気が静脈に入っただけでは起こる可能性は心奇形がない限り,
限りなく0に近いと考えてよいでしょう.もしも心不全の原因が心房中
隔欠損(ASD)によるEisenmenger症候群のような病態であったなら空
気による脳塞栓は十分あり得ますが,その辺りの記載はいっさいありま
せんので最終的な断定は困難ですが.

新聞の記事からではこれ以上の推測は不可能です.考えられる可能性が
列挙できるに過ぎません.ただ,もし仮に空気による脳塞栓が生じてい
たとしても,医師が明らかに問題となる処置をした可能性は低いと思い
ますが,これも想像の域を出るものではありません.
(麻酔科指導医としてのコメントです)

当方循環器内科医ですが、この透析学会のこと、知りませんでした。まずいですかねえ?
静脈からカテーテルを抜く際の処置は大学病院であってもここ5−6年変わらないと思いますが・・・。抜去後、手で5−10分圧迫止血してその後止血用の圧迫テープで留めていると思います。そして数時間後にそのテープもはずし、あとは絆創膏。
この透析学会のことは全国の医師が知っているわけでも無いと思います。厚生省が指導したわけでもなさそうですし。となると現段階での一般的な医学知識を超えている内容と判断できると思います。そうすると民事上の責任は負わなくても良いと思うのですが・・・。

ついでに、S-Gカテは通常7Fです。

No.24  Posted by: ばんた さん
No.25  Posted by: fuka_fuka さん

ご回答ありがとうございます。
やはり、原告側が勝訴する要素は無いようですね。

この患者さんに起こったことに関しては、悲劇的なことですし、同情いたします。
「医療崩壊について」のエントリーで、No.166 のFFFさんが言われていた、十分な時間をかけて何回も説明することが、結局は裁判の回避につながる、という指摘が、この例でも当てはまるのかもしれませんね。

患者さんとその家族にとって、この民事裁判はさらに金銭・時間・労力においてダメージを与えるだけではないかと危惧します。


No.26  Posted by: しま さん

>皆様方が用いられているカテーテルの取扱説明書には、そのような旨は記載されてないのでしょうか。

あるカテーテルの説明書には、「留置操作・留置中」の重大な有害事象として、「空気塞栓」が記載されています。しかし、「抜去時」に関しては何の説明もなく、もちろん抜去時にドレッシング(空気流入を防ぐためにシールを貼って密閉すること)を行わなければならないという記載はありません。
(PDFになりますが、下記をご覧下さい。説明書は「2005年1月31日改訂」とあります。)

http://www.bdj.co.jp/pi/1f3pro0000002nfa-att/1f3pro000006pdp7.pdf#search=%22%E3%82%AB%E3%83%86%E3%83%BC%E3%83%86%E3%83%AB%E3%80%80%E6%8A%9C%E5%8E%BB%E3%80%80%E7%A9%BA%E6%B0%97%E5%A1%9E%E6%A0%93%22


No.31  Posted by: 腎臓内科医 さん
症例1は肺塞栓を、症例2は脳の静脈性梗塞を強く疑わせる記載と思います。いずれにせよ、左心系は関与しないようですね。

No.34追記

No.33  Posted by: yama

>ついでに、S-Gカテは通常7Fです。
S-Gカテ(この患者さんに入っていたと思われるカテーテル)については、専門の先生方いかがでしょうか?

>S-Gカテ(この患者さんに入っていたと思われるカテーテル)につい
>ては、専門の先生方いかがでしょうか?

うちでは心臓外科の手術ではほぼルーチンにS-Gカテを入れています.
教育病院ですので...
シースは8.5Frです.我々が抜去することは稀です.ICUにいた時には,
抜いた後の出血を止めるためにいくらかの時間圧迫止血を行いその後
消毒をしてエアストリップを貼付していました.一応エアタイトになっ
ています.時にはステリストリップで皮膚を寄せておくこともありま
す.これは傷跡を小さくするためです.

透析カテーテルは12Frとさらに太く,留置期間が長いとカテーテルを
抜去した後の皮下がトンネル状になってしまうこともあるでしょう.
しかしながら多くはこれで問題となるのは空気を吸い込むことではな
く出血です.

カテーテルを抜いた後に異変が起こるとしたら,(1) 抜く操作時に空気
が入って右房あたりに留まっていたのが体位を変えた時に肺に一気に流
れて肺の空気塞栓を生じた場合,(2) カテーテル周囲の静脈内に血栓が
生じていて,これが体位変換時に肺に飛んで肺塞栓が生じるか,などが
考えられます.空気ということなら(1)ですが...

脳外科の手術で手術終了後の体位変換時に空気塞栓が生じた例も
かつてありましたが,おそらくこれも心房内に留まっていた空気
(おそらく術中に頭の静脈から引き込んだ)が体位変換時に肺に
流れ込んだことが原因と推測されました.もっともこの場合左心
系には流れていませんでしたが.

> Level3 様
8.5Fですか。7Fと比べると当然太いですよネ?
心臓カテーテルでは12Fというでかいシースを使うことは通常無いので(PTMCでも使わないかも?)このような太いシースで空気が入るかどうかはちょっと経験不足で解らないです・・・。

>8.5Fですか。7Fと比べると当然太いですよネ?
>心臓カテーテルでは12Fというでかいシースを使うことは通常無いので
>(PTMCでも使わないかも?)このような太いシースで空気が入るかど
>うかはちょっと経験不足で解らないです・・・。

そうですね.S-Gカテーテルが7.5Frでシースがそれを通すために8.5Fr
のサイズで少々太くなります.いずれにしても通常入ることはないです.
人工心肺を廻しているような時には静脈側が陰圧になり空気を引き込む
ことはあるのですが,これは特殊な状態です.
抜く時にカテーテルを通して空気が入る(三方活栓を開いてしまってい
たとかなら)可能性はあるでしょうが,抜いた孔から入るというのは非
現実的だと思います.

P R

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