エントリ

 奈良県立奈良病院(奈良市)の産婦人科医5人が04、05年の超過勤務手当の未払い分として計約1億円の支払いと、医療設備の改善を求める申入書を県に提出したことがわかった。医師らは「報酬に見合わない過酷な勤務を強いられている」と訴えており、要求が拒否された場合は、提訴も検討する方針。

 県によると、同病院の年間分娩(ぶんべん)数は05年度で572件。産婦人科関連の救急患者は年間約1300人にのぼる。産婦人科医が当直をした場合、1回2万円の当直料が支払われるが、当直の時間帯に手術や分娩を担当することも多いという。

 申入書によると、当直について労働基準法は「ほとんど労働する必要がない状態」と規定しており、実態とかけ離れていると指摘。当直料ではなく、超過勤務手当として支給されるべきで、04、05年の当直日数(131〜158日)から算出すると、計約1億700万円の不足分があるとした。現在9床の新生児集中治療室(NICU)の増床や、超音波検査のための機材の充実なども要求している。

 医師の一人は「1カ月の超過勤務は100時間超で、医師の体力は限界に近い。更新期限を過ぎた医療機器も少なくなく、これでは患者の命を救えない」と訴える。

 県は、産科医を1人増員するなどの改善策に乗り出すとともに、医療設備の改善を検討しているが、超過勤務手当の支払いは拒否した。担当者は「財政難のため、すべての要求に一度に応えるのは難しい」と説明する。

 論評なしで報じています。

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コメント(38)

医療崩壊がおこりつつある現状と、その原因と、今後の見通しと、
民意と、行政と、司法と、マスコミの影響と、医師の現状と
朝まで生テレビとかでだらだら垂れ流してはどうだろうか。

解決にはならんだろうが、彼我の溝の深さと危機感は伝わるかもしれないし、
味方と敵との見分けはつくかもしれん。

テレビ出演で生計をたてるようなノーリスクの医者に「ぼくだったら・・・」
みたいなことを言われてはこまる。

医師に労働者としての権利をきっちり与えると、現行の診療報酬制度の下ではおそらく病院の9割以上が崩壊します。

似た事案の報道はこれまでにいくつかありましたが、今回は、
・大淀病院の件で産科医を始め医師自身の目が報道に敏感になっている時期
・まさに大淀病院の件の渦中の病院からの発言
・5人というある程度まとまった人数で出した要求
・それゆえに「1億円」と見出しにしやすい高い額
などの点で医師側に与えるインパクトは相当なものでしょう。
労働争議などというものは、経営側と労働者側が断絶しているほど起こしやすいものです。
今後とも「県立奈良病院」クラスの大病院で連鎖反応が起こる可能性があります。

これまでの医療崩壊は主に僻地の小さい規模の病院から起こっていたものでしたが、今度は都市部の大病院からの崩壊も無視できない流れになりそうです。
山手線内で問題にならないと霞ヶ関や永田町には危機意識が芽生えないものですので、以後の経過に非常に興味があります。
医療費を減らしたい一心の国として、医師を労働法規の枠外に置く措置で対処しようとしたとき、国からも完全に見捨てられたと感じた医師がどう動くか。
さて。

================
医師達の立ち去らないもう一つの選択
================

医療崩壊をめぐる大状況として

1 医療費抑制政策を補完補強する各種動向
(混合保険の解禁、財界の医療産業進出、国策としての医療バッシングby検察)
2 大学医局の変容と求心力の低下
(IF重視臨床軽視の教授選、教授職の相対化、新臨床研修後の研修医大移動)
3 患者側モラルの低下と呼応するマスコミの非健全性
(未払い、悪罵、コンビニ感覚、衆愚視聴率優先マスコミによる医者バッシング)

上記の様なものが列挙出来ると思ってます。
そんな状況下で産科医の改善要求が起きたわけです。

勤務医達は、過酷な労働環境と訴訟ハイリスク業務を
病院管理者達に押しつけられて来ました。今まで逃散
立ち去り型サボタージュで対抗してきた公立病院等の勤務医に
とり、別の選択枝であり労働者意識の芽生えだと、思います。

自ら交渉団体を持たない勤務医達は、手強い相手である、
マスコミや、患者側弁護士と戦うよりも遙かに、共感と支持を
得やすい戦いの選択として、労働基準法遵守の戦いを開始しました。

この労働基準法遵守を勝ち取る為の勤務医達の戦いは
=========================
最終的に医療費抑制政策と立ち向かう必然性を孕んだ運動
=========================
であり現存の医療体制を変革しうる鍵(かぎ)になりえます。

患者さん達の悲鳴が消え、医師達の悲鳴も消える、より良き社会
をつくる流れに必ず繋がることと思います。

やっと言うべきことを言い出したのかなという感想です。

受け入れられる、られないは別としても、医師の外に実情を知らせていかないと、根本解決は無いと思いますので、日本の医療を良くする第一歩だと思います。

どんどん、改善要求をしていっていただきたいと思います。

より良い医療のために、私にもお手伝いができることがありそうな、そんな流れができる予感がします。タイミングといい、手段といい絶妙です。
いち患者予備軍、重症児を持つ親として、ハラハラしながら見守っているところです。いつでも応援に参じることができるよう準備していきます。

勤務医の先生から出された意見がやっと報道されましたね。

至極当然な要求だと思いますし、他の勤務医の先生もどんどん要求したら良いとおもっております。
フランスに倣ってスト権をバシバシ行使して、医療の有限性をアピールしてくださっても仕方がない状況だと思っております。

件の大淀病院の件でも、県立奈良病院では4人のスタッフが深夜に病棟にいたと報道されてますが、その4人のスタッフが勤務医の先生であったら5人中4人が深夜勤務をなさっていたことになりますので、労働条件からすれば異常な状況であると思います。

不払賃金という債務の履行は拒否するが、県民から反発を受けるであろう機材の更新は仕方なく受け入れる「県」の姿勢には、場当たり的な発想があると感じております。

小児救急医療拠点病院における小児科医の勤務:36協定の規定を上回る勤務の可能性.日本医事新報 2006;4301:75-77.
http://members.jcom.home.ne.jp/3754001601/my_paper/sinpo_4301_75_2006.html

小児救急担当者の夜間における診療と睡眠について.小児科臨床 2006;59:2071-2075.
http://members.jcom.home.ne.jp/3754001601/my_paper/rinsho59_Sept_2006.html

報道にみる勤務医の過労死労災請求:高い小児科医の請求率 日本医師会雑誌 2006;135:349
http://members.jcom.home.ne.jp/3754001601/my_paper/ishikaiH18_3.html

医師の長時間労働は医療安全に有害ではないのか.日本医事新報.2006;4263:73-78.
http://members.jcom.home.ne.jp/3754001601/my_paper/shinpo4263_73_2006.html

ご参照あれ

これは、ネットでは流れていますが、肝心の朝日新聞(少なくとも本日の東京本社版)には載っていません。

代わりに1面トップは在宅療養支援診療所が都市部に偏在しているですよ。(どこまでも患者=読者受けする記事を書き、自分等は年棒1400万円の高給を取って、弱者の味方面しているんだから。)

医師会は、勤務医の訴訟を全面バックアップして欲しいです。

医者も労働者なのだから。

しばらく前の「新小児科医のつぶやき」というブログで、この手の訴訟を封じる恐ろしい制度が論じられていると報道されていました。
「ホワイトカラーエクゼンプション」というのだそうですが、一定収入以上のホワイトカラー職では、一種の結果報酬制度にしてしまう(つまり労働時間制限なし、時間外割り増しなし)という制度です。(記憶に頼って書いていますので不正確です)こんなものが通ってしまったら、訴訟の基盤である労働基準法自体の崩壊です。確か年収で制限して、年500万円以上だったら該当という話だったような。500万円なら、かなりの医師が該当してしまいますよね。

>これは、ネットでは流れていますが、肝心の朝日新聞(少なくとも本日の東京
>本社版)には載っていません。

西日本版(?)には載ってましたよ.土曜日の夕刊です.

No.9の山口(産婦人科)さん、コレ↓のことでしょうか?

http://plaza.rakuten.co.jp/machine10/diary/200606150000/

日本経団連は年収400万円を提案しているとか。

山口(産婦人科)さん
『新小児科医のつぶやき』でYosyanさんが、かなりつっこんで検討しています。9/15〜9/17のコメントです。
臨床医の場合、とても純粋なホワイトカラーとは思えないのですが、
官僚なら様々な知恵をだして、一括しかねません。
経団連の提言として、 http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2005/042/teigen.pdf
でていますので、少しみんなで勉強してみませんか?
専門業務型裁量労働制http://www.mhlw.go.jp/general/seido/roudou/senmon/index.htm
との兼ね合いでも、該当HPで論議されています。
Yosyanさんは、かなり先進性を持った才人でして、いつも感心して読んでいます。

経団連の人たちは、つまり、

正社員ほぼ全員に、高い成果のハードルを課して、ハードルを越えるために残業手当なしで死ぬほど残業させて、働きすぎで潰れても裁量労働制だから自己責任で、病気になったり、文句をいう奴は、すずめの涙のような金を払ってお払い箱。

また、リストラしたい社員を、成果の出にくい業務につけて、安価な給料で勝手に潰れてくれるのを待つのも良し、金でケリをつけて辞めさせるのも良しと。

彼らの多くも昔は一サラリーマンだったでしょうに。

PINE様、座位臥位立位様、それですそれ。すんません、おぼろな記憶で書いたのを追記していただいて感謝しています。詰まるところ、経済諮問会議のお歴々の考えはじじい様のおっしゃるとおりかと。
今産科開業医と助産師会で暗闘している保助看法の件でも分かるとおり、法律なんてものは通達一本で解釈が変えられるものですからねえ。労働基準法が無事であるうちにこの訴訟が成立することを切に祈ります。

世界一の医学雑誌であるNew England Journal of Medcineの先週号にはドイツの勤務医によるストライキが広がっていることが報じられています。
http://content.nejm.org/cgi/content/full/355/15/1520
ドイツの勤務医は週80時間労働も普通であり、給料払われていないことも多く組合が賃上げと労働時間短縮を求めたと。


その原因として、雑誌の分析はドイツでは過去十数年の間に、国の財政的な面からベッド数の削減と入院期間の短縮が行われ、その結果医者は低い労働賃金で過重労働に追い込まれていることを挙げています。
そして病院に医者が残らないこと、他の国に逃げていくことも指摘しています。

まぁ確かに勤務医は年収ベースで750万円程度と安いのですが。

日本でもだんだん似たような動きが広まっていくでしょうね

初めまして。こちらには最近お邪魔するようになりました。
発言は初めてです。以後、よろしくお願いします。

このニュースは始めて知りました。
やっとブログや掲示板だけではなくて、マスコミが
医療者側からの現状を取り上げたのですね。
声を上げて立ち上がった5人の医師達の行動に
安堵しました。

私は子育て中のパート主婦なのですが、母親仲間と会うとき
産科の話などになります。
そういう時は医療崩壊についても話すのですが、
実感している人は少ないですね。。。

医療従事者には出来るだけ「過労」とは遠い勤務体系で
いていただきたいと思うのですが、程遠いのですよね。

変わっていくきっかけになりますように・・・。

>ちちぱぱ さん

 情報提供ありがとうございます。
 リンクが多いコメントは保留されることがあります。
 反映が遅れても申し訳ありませんでした。

>座位臥位立位さん

 お手数をおかけしました m(_ _)m

今日の朝刊を見ていたら、週刊東洋経済の広告が出てましたけど、今週号は「医療特集」ですね。
見出しに、「勤務医は不眠不休で過労死」等出てます。
帰りに買ってじっくり読んでみるつもりです。

経団連が提起しているホワイトカラーエクゼンプション(WE)は、来年導入されることが、ほぼ決定していますが、組合を持たない勤務医集団は、警戒心が足りないと思います。

現実に次々と起きている、医療関係事故の不当な取り扱い、医者バッシングへの反応に手一杯で、それどころではないという感じです。

WEは、医療費抑制政策になじむ労働時間規制撤廃制度ですから、本来なら、医者達からガンガン反発やブーイングがあるべきなんです。
正直言って、大学の基礎研究者などは、WEに引っかかっても止むを得ないと思うのですが、実は、臨床部門の医者は、定数上三割近くは病院所属でなく、学部所属です。ですから、医学研究者の労働時間規制撤廃がそのまま、医療部門の医者達の労働時間規制撤廃に繋がっていきかねない。

今回の産科医五人の動きは、勤務医に夢を与えてくれた喝采すべきイベントなんですが、この件で、県から要求拒否され、更に労働基準局が適切な対応をしない事態にでもなれば、勤務医達の絶望は如何ほどのものになるか予想付きません。

更に、たとえ部分的に要求が通ったとしても、WE制度が公立病院領域に導入されれば、労働基準法はもはや、過酷な労働環境にある勤務医を守るものではなくなってしまうのです。

各職場単位で過半数代表組織を持たない勤務医ですから、そもそも導入に反対の態度を表明する場、労使委員会に出席できないのが現状で非常に危うい状況だと思います。日本医師会勤務医部会などは、今回の奈良県産科医の動きや経団連のWE導入に関して、どのような態度表明をしているのでしょうか?

どうも、二重三重に、今後も医療バッシングが待ち構えているようで、呆れてしまいます。

>更に、たとえ部分的に要求が通ったとしても、WE制度が公立病院領域に導入
>されれば、労働基準法はもはや、過酷な労働環境にある勤務医を守るものでは
>なくなってしまうのです。

これが本当に医療現場にも導入されれれば,確実に公立病院は壊滅しますね.全員逃散でしょうね.
厚労省はそのことを理解しているんでしょうか?
どこまで人をバカにしているんでしょうかね.

かく言う私も身の振り方を考えなければならないです...

予想されたとおり、再び崩壊のドミノ現象が発生しているようです。

医療機関整備で県外派遣産科医の撤収へ 奈良・妊婦死亡
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200610250038.html

 奈良県大淀町の町立大淀病院で19病院に搬送を断られた末、妊婦が死亡した問題を受け、同県立医大から大阪や和歌山など県外の病院に派遣されている産科医を引き揚げる方向で、県が検討を始めたことがわかった。高度な治療が必要な妊婦と新生児を受け入れる「総合周産期母子医療センター」を早急に整備するためだが、深刻な産科医不足の中、引き揚げによって「お産の空白地帯」に陥る恐れがある地域に、動揺が広がっている。
(後略)

長文コピペスマソ。
===============================
643 名前: 名無しの心子知らず Mail: 投稿日: 2006/10/24(火) 16:26:05 ID: Xj+u5Uax
まあ、この状況で産科・小児科やる方が負け組なのかも知れん。
医師にも守るべき家族がいるだろうからな。

644 名前: 名無しの心子知らず Mail: sage 投稿日: 2006/10/24(火) 18:01:45 ID: IBvFAVxv
私が住んでる市(北関東)も総合病院の産科無くなっちゃったよー;
あるのは開業の先生一件だけ、もちろん予約いっぱい。

実は高校の後輩に産婦人科の女医さんがいて、医者になったときは
「先輩がお産するときは手伝いますよ?!」って笑ってくれてたのに、
このまえ風の便りで「仕事で鬱になって辞めちゃった」と聞いた…。
一年前くらいの飲み会で「患者さんってみんな、こっちがどんなに頑張っても文句ばっかりいうんですよアハハ」
ってどんよりしてて、皆で疲れてるねー、少し休みなよ、って言ったんだけど
「それが全然休めないんですよ?もういやー!」って泣きだしちゃった。
しばらくしてから連絡付かなくなったんだけど、今にして思えば
あのとき既に限界だったんだよね…。

その話があるから、>>643のような意見が出るのも納得できる。
でも、実際いなくなるととっても困る。
よくママ友で話すと「医者が無愛想」「態度が悪い」「偉そう」って愚痴ばっかりだけど
そういうときは後輩の話を出して「寝てないんだから無愛想にもなるよ」とフォローしてます。
でも、そう説明しても「そこで無愛想になるのはプロじゃない、お母さんはすごい不安なんだから!」
って返されることが多くてなんだか虚しくなってくるよ…。
いつから日本人は思いやりの気持ちを忘れちゃったんだろうか。

645 名前: 名無しの心子知らず Mail: 投稿日: 2006/10/24(火) 18:05:21 ID: JmE6zM9D
>>644
やっぱ産科だけは行くのを辞めてつくずくよかったと思います。
後輩にもそう進言するようにしておきます。

646 名前: 644 Mail: sage 投稿日: 2006/10/24(火) 18:37:02 ID: IBvFAVxv
>>645
やっぱりそうなっちゃいますよね…;;
ログ見てると先生方が安心して産婦人科に行ける体制つくるのは
すごい難しそうですよね;;(裁判とか警察とかマスコミとか)
できたとしても時間すごくかかりそうだし、お金もかかるし
(もう毎年おなじ道路工事繰り返すなら病院に回してほしい!)
先生が増えるまで(そして一人前になるまで)、地方の産婦人科が持つのかどうか。

そう考えると、先生方の言うように、産婦人科は崩壊決定なのか…
いつの間にこんなことになってしまったんだろう…;;
===============================
【奈良】分べん中意識不明…出産…死亡 - 育児板
http://life7.2ch.net/test/read.cgi/baby/1161043132/

小児科も負けず、劣らず酷いですよ。私の上司2人は自殺していますし(飲み会で泣くだけならまだまし。)、私も訴訟に巻き込まれて、嫌気さして内科に転科しました。

転科し、地域医療が崩壊しても、患者に文句言って貰いたくないですよ。

そもそも国は、混合診療、医療費免責性の拡大を目指していますから、勝ち組の金持ちは受診で困ることはありません。

医師も、公立病院の勤務医等、貧乏人相手の商売を考えると失敗しますよ。勝ち組の医師になるには、金持ち(そういう地区で開業し、金持ちのニーズに合わせることが大切。そうでないと、生き残れない。)相手、例えば高級住宅街での自費診療、美容外科等でないといけないのかなあ(私は年齢的にやり直しがきかないけど。)と考えています。

日本の医療は患者負担は安く、アクセスも今のところ良好です。ほとんどの場合所得によって受けられる医療の限界を感じることはありません。しかし皆保険制度導入以来かれこれ半世紀、この制度の弊害が昨今とみに噴出しているように感じます。

ある難治性の疾患について文献レベルで見れば治療が奏功したという報告はある、しかしその治療には100万ドル掛かり市中病院で受けられるような性質のものではない。諸外国であれば「それは私の受ける治療ではない」と断念し別な道を探す患者がほとんどでしょう。しかしこの国では「いや先生、出来ることは何でもしてください」と言えば事足りる。当院でも生活保護のアルコール性肝硬変患者から移植希望が出たため大学病院に紹介したという事例がありますが、正直何かが違うのではないかと言う感がぬぐえません。

それでも治ったのであればまだよいのです。治らなければ訴訟になる。よくて少なくとも数百万の和解金、下手をすると到底現実的とも思えない判断に基づいて巨額賠償金を命じられる。医療は安くて当然、治って当たり前という感覚がこうまで蔓延している。本来それは望ましい、良いことであるのかも知れません。しかしその一方で、医療不信は年々声高に叫ばれるようになっているのはなぜなのでしょうか?

人間である以上いずれ必ず治らないという事態に遭遇することだけは避けようのない現実です。あるいは神の如き手を持ち、あらゆる病を治して名医と呼ばれる者もいるのかも知れません。しかし空想の世界に住むブラックジャックとて全てを救えるわけではない、まして現実世界においては程遠い話です。そしてこの国において医者たちは、そのレベルを全ての患者から要求される立場におかれているわけです。

何ら見返りを要求されることが無くなった瞬間から、人間の要求水準は天井知らずに暴騰していきます。医者は医療の質を向上させることにのみ専念していればよいなどという考えは、少なくとも医療満足度の閾値が底を打ったこの国では空論としか思えません。医師会を始め今の医療側の行なっている医療不信への分析と対策はほとんどの場合、この現実を敢えて直視していないように思えてなりません。

本当に求めるべきは空想の世界にすら存在しない神の手ではなく、現実の世界でいかに患者満足度を高めていくことが出来るのか、その実効性ある方法論です。百の病を抱えながらも患者が笑顔で病院を去っていく、それこそが医者にとっての本当の「価値」であり「勝ち」でもあるのではないでしょうか。

ありますね、生保被保護者の高額医療。

五十代の血液のガンの患者に骨髄移植を行って、ドナー共々500万円。
翌月、拒絶反応でこじれて集中治療室で濃厚医療を行い400万円。
とか、
七十代の糖尿病+統合失調症の方のガンにわりと大きな手術をし、術後やはりこじれて、2ヶ月にわたって300万円コース。
とか。

いい国だなぁとしみじみ思います。

県立奈良病院の産科医五人の労働条件改善要求は
二人の産科医によって、提訴に至りましたが、
残り三人の産科医は、様々な事情により、
訴訟に名を連ねることは出来ませんでした。
残る三人の産科医いずれも、提訴した二人を
支持しているとの事です。

北海道の信頼ある筋からの情報です。
(私自身の信頼は不確かですが(笑))

医師向けの週刊新聞 Medical Tribuneに下記記事が出ていました。
(無料?で郵送されてくるやつです。皆さん捨ててませんか?)
オンライン版も有りますが、会員制になっているようで、一般には見ること出来るか?なので、貼っておきます。

Medical Tribune 2007年4月5日 (VOL.40 NO.14) p.45
奈良・勤務医の時間外手当請求訴訟
宿直・日直,宅直は時間外労働かが争点
 勤務医の「立ち去り型サボタージュ」とも「逃散(ちょうさん)」とも呼ばれる崩壊現象が止まらない。そのおもな原因は,一向に改善される兆しのない過酷な労働環境にある。そうしたなか,奈良県の県立病院に勤務する2人の医師が,時間外勤務に対する手当が労働実態に見合っていないとして,県に未払い分の支払いを求める訴えを起こして4か月。提訴に至るまでにどのような経緯があったのか。また,この訴訟の意義などを探った。
2 年間の未払い分を請求
 時間外手当支払い請求の訴えを起こしたのは,奈良県立奈良病院の産婦人科医 2 人。昨年12月初めに奈良地裁に提訴した。2004〜05年の 2 年間の当直(宿直・日直)および宅直(いわゆるオンコール)勤務に対する未払い賃金として,県が支給した当直手当との差額分( 2 人合わせて約9,230万円)の支払いを求めたものである。
 分娩は昼夜の別を問わないため,分娩を扱う産婦人科は24時間体制の勤務が必要となる。同院産婦人科の場合,平日の午後 5 時15分から翌日の午前 8 時30分まで 1 人の医師が宿直を担当する。土・日・祝日と年末年始は 1 人の医師が日直と宿直を兼ねるため,午前 8 時30分から翌朝の 8 時30分まで24時間の当直に当たることになる。
 同院は奈良県の中核的医療施設の 1 つとして 1 次〜 3 次の救急患者を受け入れており,産婦人科関係の救急患者は年間かなりの数にのぼる。このため,宿直あるいは日直時に入院患者と救急患者の診療が重なった場合には,1 人の医師では対応できないことになる。そこで,同院の産婦人科医たちは自主的に宅直制度を始めた。宅直当番の医師は,呼び出しがあればいつでも病院へ駆け付けられるように用意して自宅待機している。
 県は,医師の当直勤務手当として 1 回 2 万円を支給している。宅直については,実際に呼び出しがあって診療を行った場合でも手当の支給はない。

交渉決裂の末の提訴
 同院の産婦人科医たちは 5 人体制で通常の時間内勤務のほか,宿直と日直,宅直を分担してきた。提訴した 2 人の医師の場合,2 年間の当直および宅直がそれぞれ155日と120日,158日と126日にのぼっている。このため医師たちは,現状の改善を求めて県と交渉を重ね,昨年 5 月には時間外勤務の未払い賃金支払いなどを求める申入書を県に提出した。こうしたなかで昨年 7 月に医師 1 人が増員された。しかし,「当直は時間外労働である」とする医師側の主張は受け入れられなかった。
 提訴した 2 人の医師の代理人である藤本卓司弁護士は「 2 万円の当直手当は医師の労働実態を無視したもので,労働基準法に違反している」と指摘する。
 労基法では,例えば守衛や小中学校の用務員など「監視または断続的労働」の従事者については,労働時間や休日に関する労基法の適用外とされている。奈良県は,医師の当直を断続的労働としている。つまり,宿直を例に取れば「寝ている時間がほとんどで,労働時間はあまりない」ことが前提になっている。そのため,時間外割増賃金の支払い義務はなく,手当の支給で十分というわけだ。
 実態はどうなのか。同弁護士は「宿直の産婦人科医が仮眠を取れるのはきわめて短時間で,診療に追われることが常態化している。また,休日の日直についても平日の勤務と大差はない。医師の当直は断続的労働ではなく,明らかに時間外労働である。県は規定の割増賃金を支払うべきだ」と主張する。
 宅直に関しても,実際に病院へ駆け付けて医療行為を行う頻度がまれではないこと,また「労働からの解放」が保障されていないため,当然,時間外労働とみなすべきだとしている。同院産婦人科の場合,医師たちが自主的に宅直制度を敷いたことで,宿直・日直勤務が成り立っているともいう。

労働環境改善への思い
 裁判はこれまでに 2 回開かれ,そのなかで原告側が要求した宿日直時の診療に関する資料(分娩数や救急患者の数など)が県側から提出された。藤本弁護士は「中身を精査して医師たちの労働実態を明らかにし,宿直・日直が時間外労働であることを立証していきたい」としている。
 原告側には,この裁判を通じて「こんな多額な割増賃金が発生する医療現場の労働環境を変えたい」という思いがあるようだ。同弁護士は「“医師聖職論”が医療現場の矛盾を明らかにしないままあいまいなものとし,結果的に現場で働く医師がしわ寄せを被っている。現在の日本の医療は医師の責任感と自己犠牲でなんとか持っているが,果たしていつまで持つのか。勤務医の労働実態を明らかにし,法律をきちんと適用したらたいへんな事態になることをわからせない限り,抜本的対策に向けた動きは起こってこないのではないか」と話している。

提訴されいつの間にか裁判2回開かれていたんですね。
でも 「2人合わせて約9,230万円」、どれだけ残業してたことやら。

この裁判も、大野事件と同じようにすべての「疲れた勤務医」が支援すべき裁判のような気もするけれど騒がれてませんね。
広告マンの諺通り
「宣伝されていないものは存在していないのと同じ」
悔しいけれどマスコミに出ないと、無いも同然、ボソッ、。
(えーと、これは一般紙に対する、医師の心を掴む為に書いたらというつぶやきです、スレッド違ったかな? 見ている記者さん早い者勝ちです。)
このコメントでささやかでも応援拡がって欲しいです。

労働からの解放がなければ、労働であり、雇用者が好き勝手に被雇用者に勤務を命じることができないという、当たり前の労働法規が守られていない現状を憂います

ただ、この判例が出れば雪崩を打って、勤務医が権利を主張するでしょう
遵法的に請願する限り、しかも相手が国・自治体であれば、遵法的に支払うか、業務を縮小するしかないでしょう

いずれにせよ、医師が多大な自己犠牲を払って、公僕のように働いてきた時代は終わりを告げつつあります

訴訟時代の副産物ともいえましょう

>falcon171さん
ざっと見たところ、以下の所が焦点になりそうですね

同院産婦人科の場合,医師たちが自主的に宅直制度を敷いたことで,宿直・日直勤務が成り立っているともいう。

自主的というのが裁判所では問題にされそうです。

Med_Lawさん、しまさん コメントありがとうございます。

自主的というのが裁判所では問題にされそうです。

裁判官の方が、「民事だから、県側の言い分がよりもっとも(51対49でも)に響いた、だから、自主的だから支払い義務はないと判決した」というのは、ご自由にです。しかし、その判決のとたんに、全国で自主的にがんばっている産科医が、評価されない自主的努力を止め、静かに手を下ろし、去っていくだろうと思います。それでも良いんだと言う覚悟を持った上で、判決を出して頂きたいです。そんなことになるとは思ってもいなかったとは言ってほしくないので、外野で騒ぐ所存です。

できれば、労働運動に詳しい方もそうでない方も多数加わって頂いて大弁護団できないかなあ。医療と司法の共同戦線できないかなあ。
いわゆるI have a dreamです。

私には夢がある。いつか、ジョージアの赤土の丘に元産婦人科医の息子たちと元弁護士の息子たちが一緒に座り、友愛のテーブルを囲む日が来るという夢が。

>No.27 falcon171 さん

全然関係ないレスで恐縮ですが、

勤務医の「立ち去り型サボタージュ」とも「逃散(ちょうさん)」とも呼ばれる崩壊現象が止まらない。

「ちょうさん」と読むのですね。ずっと「とうさん」と読んでおりました。しかも、昔からある手段ということに驚きました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%80%83%E6%95%A3

No.27のfalcon171さん、「Medical Tribune」の記事の内容って、全国紙の新聞に比べて質が高いですね。

 宅直に関しては、以前から法律家の意見を聞きたいと思っていました。医師が勤務時間外に呼び出されることは良くあることです。誰が呼び出されるか決まっていないと、呼び出す方にとっても呼び出される方にとっても面倒です。つまり、宅直制度は双方にメリットがあります。

 まず、そもそも帰宅しているのに呼び出されたら出勤する義務はあるのか。

 人道的見地ではなく、あくまで法的にどうなのだろう。そして法的に義務があるのだとすれば、どのような要件の時に宅直が労働と認められるのだろう。こんな疑問を持っています。

 ちなみに、うちでは宅直医と全部署の当直者の一覧表を各部署に配っていましたが、今年度から宅直医だけ外しました。悪知恵の働く奴が進言したからです。宅直が自主的かどうかの判断材料になりかねないというわけです。とんでもない奴と非難することは簡単ですが、日本の病院の経営状況から見たらやむを得ないと思います。私には非難できません。だって私なんだもの。

>> No.33 bamboo さんのコメント

 医師会病院や民間病院では、オンコールで病院に呼び出された場合は時間外勤務の申告ができました。若い医者の場合基本給は安いのですが、呼び出し回数が多い分時間外勤務手当てがつくことでそこそこの額になっていたようです。近年、大学病院でも時間外勤務の申告ができるようになりました(ただし上限をこえると一律カット)。国公立病院の状況は分かりません。

No.34の追加です。
オンコールの自宅待機時間は無給です。

私、一応弁護士ですが、労働法の分野は詳しくありませんので、普通の自営業のおっさんとしてコメントします。

「当直」とは違いますが、私が県の職員だったころ土木事務所にいたことがあり、管内で大雨洪水注意報が発令されると、休日夜間でも、あらかじめ定められた当番表に従って登庁し、警戒業務にあたっていました。
その場合は、登庁した時刻から退庁した時刻までが時間外勤務となりました。
当番日は、お酒も飲みませんし(車で登庁せざるをえないからです。)、土日でも出かけることはしませんでした。
平日の退庁時刻前から大雨洪水注意報が発令されていると、そのまま警戒業務にあたります。
翌日もそのまま勤務だったりすると、夕方4時くらいに倒れるくらい眠くなったのを覚えています。
当番日以外でも、人手が足りず、「出て来い。」という時間外勤務命令が発令されれば、出て行かざるをえないです。
今でも、司法試験の日(択一試験1日、論文試験3日間、口述試験6日間)にあたらなくて、良かったと思っています。

お医者さんの「当直」の問題の根本は、現実には「時間外勤務」になっているのに、役所が「時間外勤務」ではなく「当直」だと言い張っているところでしょう。
真正面から「時間外勤務」と認めてしまうと、その「時間外勤務」は毎日でしょうから、運営体制全般の見直しに波及せざるをえず役所は及び腰になるんでしょう。
ですが、No.27のfalcon171さんが引用してくださった記事の最後の段落『労働環境改善への思い』にある原告代理人弁護士のコメントが、この事件の全てを物語っているように思えます。
この事件が、一部のマスコミによって、「高い給料を貰っているのに、まだ税金からお金を取ろうとするのか。」などという、ありがちな論調に歪曲されないよう願うばかりです。
(私は、高い給料だとは思っていません。念のため。)


以下、愚痴(「つぶやき」の方が適切かも。)
私は、国の職員になったとき、上司から「無制限無定量に働くのが上級職の務めだ」と言われたことがあります。
また、県の職員だったころは、月に150時間残業しても、「予算が確保できない。」という理由で、時間外勤務手当は2万円程度でした(今は違うようです)。
「かなわんなぁ」という気持ちで働いていました。ボソッ。

PINEさんのおっしゃる通りであります。

ちなみにどうしてそんな劣悪な状況で医者が無理をしているかというと、
「患者が人質だから」ですね。
自分が働かないと患者さんが亡くなりますから。
falcon171さんの紹介してくださった訴訟は僕は全面的に支持しますよ!!

>No.33 bamboo さん

>とんでもない奴と非難することは簡単ですが、日本の病院の経営状況から見たらやむを得ないと思います。私には非難できません。だって私なんだもの。

私は非難します。日本の病院が本気で困っているなら、日本の病院が頑張って現状を打破するべきです.
日本の病院が困って、日本の患者が困っているというのであれば、困っている患者が家族・親族、知人、友人を動員して、必要な措置を取ってくれるよう政治・選挙行動等を取るべきです。
末端の労働者の権利を侵害して、病院、医療制度が残って何になるというのでしょう

bamboo さんが民間病院の経営者だというのなら、話は簡単で、bambooさんは勤務医の味方ではない。
勤務医であるというのであれば、勤務医の仲間の権利を侵害している裏切り行為です。

私は、あなたを非難します

P R

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