エントリ

 第三小法廷は、一審が根拠とした「迅速な輸血をすれば救命の可能性が高かった」という遺族側提出の鑑定書について「合理性を否定できない」と述べた。そのうえで、「病院側提出の鑑定書をそのまま採用して医師に過失はない、とした二審の事実認定の仕方は違法だ」と結論づけた。

 この種の判決報道についていつも感じられることは、因果関係の観点に偏っており、過失についての情報がとても少ないということです。

 たぶん記者が勉強不足なので過失についてよく分かっていないのだろうと想像しています。

 ともかく、私としては医療的観点からの判決の当否についてのコメントは能力不足です。

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コメント(27)

意見書の説得力に関しての争いであるとも言えそうですね。医学的な事は分かりませんが、一見するとG意見書の方が説得力があるように感じなくもないです。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20061114132536.pdf

これは法曹の方にお伺いしたいのですが、一審判決後、病院が意見書を提出した事は加味されるのでしょうか。もっと言えば、一審の後に、敗訴した側が新たな意見書を提出するというケースは珍しくないのでしょうか。

No.1 しまさん

判決文そのものに説得力を感じました。
これを読む限り、医学的にもG意見書の内容が正論(というか立場が中立)であると思います。
E意見書も間違ってはいませんが、被告側を弁護するための意見書というスタンスを強く感じました(もともと、そういう目的で書かれたのでしょうが)。

自分としては、どうして胃内視鏡検査をしておかなかったのかな?って感じがしますが、そこは主たる争点にはなっていないみたいですね。

>>No.1 しま さん
いつもいつもソース提供ありがとうございます。

並行してこちらは、法学的なやり取りは抜きにして、医学的な状況を考えます。

簡単にまとめると、本例は「肝弯曲部の内視鏡的切除不能な大腸ポリープに対して上行結腸部分切除術を行い、術後合併症として化膿性前立腺炎による発熱を来し、さらに多発性胃潰瘍出血も合併して失血死した症例」ですね。
この症例の場合、決して輸血量の多寡が生死を左右したわけではないと考えます。
死亡を回避出来たか否かは、ひとえに「上部消化管出血を『強く』疑ったかどうか」にかかっています。
上部消化管出血さえ「強く」疑えば、内視鏡検査を行い、止血可能な出血性病変を見つけ次第、内視鏡的止血術を行うのは、G鑑定書に改めて言われるまでもなく、消化器疾患を診療している医師ならば当然の行動です。

言ってしまえば問題は「大量のタール便を見て、手術部位よりもっと口側の出血の可能性の方が高いと思えなかったこと」に尽きます。
ページの真ん中あたりに「ウォー○ー」がいたのです。
病理レポートを見てきっとY1医師は地団駄踏むほど悔しかっただろうな、と考えます。
「なんで素直に考えなかったのだろう」と。
最後の夜は泊まり込んでまで診療に当たっていたのに。

なお、本筋から外れますが、発熱の原因を化膿性前立腺炎に求めるのは、消化器外科医のY1医師にとってかなり無理があったと考えます。

諸先生、如何でしょうか。

大量のタール便、ショックで搬送された患者で緊急内視鏡したものの食道、胃に出血性病変が全くなく、結局、上行結腸の悪性腫瘍からの出血というケースもありますし、腹部全体の腹痛、リバウンドを伴っていたケースで経鼻胃管を挿入、鮮血出血確認、動脈性出血を伴う胃潰瘍に対し内視鏡処置をしたものの腹痛自体はS状結腸穿孔由来というケースもあります。正直いってなくなった患者さんはお気の毒とは思いますが、目前で見ていたDrに「お前はこれこれの過失があった」なんて臨床医としては言えません。

>>No.4 Hekichin さん
>正直いってなくなった患者さんはお気の毒とは思いますが、目前で見ていたDrに「お前はこれこれの過失があった」なんて臨床医としては言えません。

に激しく同意します。
No.3のコメントはあくまで後から振り返ってみれば、の話です。

逆に、Hekichinさんの提示してくださった例などのように、胃内は急性胃粘膜病変(AGML)止まりで、主病変は吻合部からの出血だった可能性も十分にあったわけですので。

> 一審判決後、病院が意見書を提出した事は加味されるのでしょうか(No1.しま様)

原告患者側は当初から協力医の意見書を証拠として訴え提起するのですから、
被告医療側の訴訟戦術としては、普通は、控訴審になってからではなく、一審の時からカウンターの意見書を出しておくだろうと思います。
しかし、民事訴訟において、主張や証拠の訴訟資料は控訴審の口頭弁論終結時まで提出できます(時機に遅れたとして却下されない限り)から、
カウンターの意見書を控訴審になってから新たに出すとか、一審で出した上に控訴審でも追加してまた出すということは、手続法上は可能です。

最高裁が本件を差し戻しにした理由としては、
病院(被上告人)が意見書を出すのが遅かったことよりも、
控訴審裁判所が1回で結審してしまい、病院側の意見書だけを受け取って、患者側に反論の機会を与えなかった(判決書の下線箇所)という、訴訟指揮の不公平さが問題視されています。

つまり、本件判例からは医学的判断の当否の見極め方というより、訴訟手続上の教訓を読み取るべきであるように思います。
裁判所が下級審の判断を覆す、しかも新たな証拠に基づいて認定しようとする場合には、
下級審が依拠していた証拠(反対証拠)と十分に比較検討して、こちらを取りあちらを捨てるべき理由を詳細に述べなければ、証拠によらない認定だと言われてしまう。
私としては、これはよい傾向だと思うわけでして、
判決書の理由判断の書き方として、とかく裁判官に都合の良い証拠ばかりを取りあげ、反対証拠はその存在自体スルーというような説得力のないものが見受けられるので、
きちんと証拠を比較して、どういう理由でどちらを取るか書くようにしてもらいたいものです。

---------
本件の医学的な判断について。

1.急性胃潰瘍を見落としたこと
大腸ポリープの手術をした人が、消化管のどこからか出血がある場合に、出血源が「胃」であることに気づかなければならないか?
2.下血がある時、どのくらい出血したら輸血すべきか?
輸血していたら救命できたか?(因果関係)

胃潰瘍は大腸ポリープとは一応は別の病気です。手術後の時期だから手術部位からの出血と勘違いしてしまったのであって、むしろ手術も何もしていない時のほうが胃潰瘍を発見できたかもしれず、間が悪かったと言えます。
でも、最高裁のムードだと、消化器の医者ならば、上から下まで全部診てろ、ということになりそうです。
これが消化器系でない病気、例えば肺の病気を見落としたというのなら、許されるのでしょうか?

No.4 Hekichin さん、No.5 元田舎医さん
>目前で見ていたDrに「お前はこれこれの過失があった」なんて臨床医としては言えません。
医者同士の仁義としては同意なのですが、それを言ってしまっては臨床医が公正な第3者機関に参加することも不可能となってしまうわけで・・。
判決文の内容から判断すると、No.3での元田舎医さんの指摘は正論であり「胃内視鏡検査をしなかった論理的な理由」がない限り過失が問われるように思います。

No.6 YUNYUN さん
最高裁が差し戻しにした理由は、なるほど そういうことなのですね・・よく分かりました。
>本件の医学的な判断について。

>1.急性胃潰瘍を見落としたこと
>大腸ポリープの手術をした人が、消化管のどこからか出血がある場合に、出血源が「胃」であることに気づかなければならないか?
可能性を考えて検査はしておくべきであったと思います。できなかった理由があれば、別ですが・・。
>2.下血がある時、どのくらい出血したら輸血すべきか?
>輸血していたら救命できたか?(因果関係)
死亡日以前より胃潰瘍が存在していたのであれば、止血処置をしないかぎり救命できなかったと思います。
また、死亡日に突然、胃潰瘍出血が起こったのであれば、前日までに輸血していても救命できなかったでしょう。
つまり、どちらにしても輸血の量と死亡とは直接的な因果関係は乏しいように思います。

No.7 血液内科さん

>医者同士の仁義としては同意なのですが、それを言ってしまっては臨床医が公正な第3者機関に参加することも不可能となってしまう

既に他の先生が指摘されているように、タール便即ち上部消化管出血という考えは、国試レベルの机上の反応であって、臨床の場の知識としてはそんなに単純な話ではないわけです。術後であり縫合不全の可能性もある患者ですから、内視鏡を行い、多少なりとも侵襲を加える(最も疑っている状態が正しければ悪化させかねない)を、吐血などの(吐血してないことは逆の証拠でもあります)もっと明確な証拠がないのであれば、躊躇すること経過観察とすることは不合理ではありません。(強いて後出しで言えば、すぐ内視鏡をするは不正解で、まず胃チューブを入れてみるが正解でしょう。G鑑定はこのウォーリーには気付いていないようです)

内視鏡をしなかったことは、上記のような理由で十分に論理的な理由になると思います。このような症例で過失なしと判断できることこそ、むしろ臨床医の意義だと思います。

輸血量に関しての私の意見は、逆で、もっと多く輸血していれば、再出血してもその瞬間は持ちこたえる可能性があった(出血量は予想不能。少ない可能性も多い可能性もある)。そして再手術時に胃潰瘍からの出血に気付き、胃切でセーフになる可能性もそれなりに存在するというものです。
どのくらい入れるかは、血液が無限に供給されるわけでもないので、常に悩まされるところですが、印象として足りなかったとは感じます。(輸血で血圧が程々になった途端再出血とか、今より止血法が貧弱な昔はよくありました。入れればいいというわけでもないのも難しいところですよね)
明確な治療の基準もなく、輸血の内容による予後の違いを予想できるデータもない。所詮推論レベルの話ですから、余程治療内容として逸脱していない限りは、責任を問えるわけなどないし、べきでもない。輸血治療の内容が予後に絡んでいる感触は先生より大きく感じていますが、責任を問うべき過失とはもちろん私も考えていません。


ついでに判決文を読んで
G鑑定書での「タール便にて多量にありとの記載があることなどからすれば,同日午後4時30分の時点では迷うことなく上部消化管出血の可能性を考え」という表現は、Gが「タール便即ち(以下略)」という実は浅い判断をしている可能性が高いでしょう。もしくはGは弁論主義的に、被告の非を最大限強調しているのかもしれません。このような観点で書かれた二つの鑑定のどちらかを正しく選ぶことは、どちらを選ぶにせよ無理だと思います。(鑑定を書けるレベルがなければ絶対に選べません)

AGMLと思われる症状で18歳の患者さんが死亡するという経験を持っています。
病理解剖では胃−小腸にかけて2l以上の血液がたまっていましたが、ついに潰瘍は見つかりませんでした。
しかし、このときは朝、突然患者が倒れ、何が起こったのかも全く分からずそのまま救命措置にもかかわらず亡くなられました。もちろん吐血や下血もなく、消化管出血を思わせるような症状は全くありませんでした。ゆっくりとした出血ならともかく、残念ながら急激な出血は輸血云々にかかわらず死亡原因になり得ます。ですから、輸血を迅速にしていれば助かった確率が高い、なんて言うのは全くのでたらめとしか言いようがないでしょう。答えは「輸血をしていれば助かったかもしれないが、その確率は不明である」です。
しかし、本件はタール便があり、消化管出血の疑い診断を下すには十分な症状であったと思われます。但し、輸血が必要なくらいの多量出血かどうかの判断はどうでしょうか?Hb(ヘモグロビン値)あるいはHt(ヘマトクリット値)は出血後直ちに下がることは無いと思います。つまり、そのときに輸血が必要かどうかの判断はどれだけ下血したか、あるいは吐血したかということ以外には判断付かないのかもしれません。
私は消化管は専門外なので責任ある発言は出来ないのですが、少なくとも鑑別診断に胃潰瘍による出血はあるべきで、これを疑わなかった医師は経験が浅いとしか言いようがありません。しかし、直ちに輸血をするかどうかは慎重に決める必要もあるかもしれません。輸血にだって副作用はあります。一番多いのは腎障害ではないでしょうか?溶血反応だって現れます(同じ血液型であっても輸血というのは非常に副作用の多い行為なのです)。
当然内視鏡だって見方を変えれば侵襲的なのです。全ての医療行為は負の部分があります。それを考慮しないと全ての医療事故に陥った案件は医師の過失として無意味に処理されてしまうでしょう。

>>
>少なくとも鑑別診断に胃潰瘍による出血はあるべきで、これを疑わなかった医師は経験が浅いとしか言いようがありません。

私は逆の印象を持ちました。
国家試験の勉強中の医学生が、この臨床経過を示され、「最も考えられる病態は次のうちどれか」と問われたら、ためらうことなく「c.上部消化管出血」やらを選ぶものであり、また選ばなくてはとうてい合格はおぼつきません。
一方、実際の臨床の場においてそれなりの経験のある医師にとっては、そう簡単な判断ではない、ということかと。

それにおそらく「鑑別診断に浮かばなかった」のではなく、「緊急内視鏡の必要性を感じるまでには可能性を高く見積もっていなかった」だけであろうと考えます。
あくまで、おそらく、に過ぎませんが。

仮に、この患者さんの出血源が胃ではなく、吻合部であったなら、そして主治医の頭に真っ先に浮かんだのが消化性潰瘍出血であったなら、内視鏡室に運ばれた後、「あれー? 胃内はきれいだなぁ。もう少し奥の覗けるところまで覗いてみるか...」とかやってるうちに、何かの拍子にえずいたその瞬間、とどめの吻合部大出血を来してやはりお亡くなりになる、というシナリオだって十分考えられるのです。

No.9 yama さん

他の部分は同意なのですが。。。

>これを疑わなかった医師は経験が浅いとしか言いようがありません。

主治医は上部消化管出血の可能性をちゃんとムンテラしたと書いてありますよ。

>YUNYUNさん
丁寧な説明、ありがとうございました。

>元行政さん
>躊躇すること経過観察とすることは

単純な質問なのですが、経過観察と放置とはどう異なるのでしょうか。今回の件の場合、医師は「ただ下血量を測定していただけ」であり、「ただ血圧測定、血液検査を行っていただけ」と受け取れてしまうのです。

恐らく、判決文に問題があるのでしょうが、経過観察と放置とは別物であり、ある程度の方針や論理的な思考プロセスに基づいて計画されているものだと思います。例えば、「総下血量が○○○○ccを超えたら再手術」とか「総輸血量が○○○○ccを超えたら再手術」とか、そのような方針があるのだと思います。

今回の件も、おそらくは「ヘモグロビン値6以下の状態が4日続いたら再手術」とか、そのような方針があったのでしょうが、それが見えないために、なんだかおかしいような印象を受けてしまうのですね。

結果的にみれば胃内視鏡をしておく必要があったわけですが、No.8 元行政さんのコメント にあるような、そのときの現場の判断というものも臨床医としては理解を示さずにはおれません。
基本的に、現場の判断というものは、そのとき・その場所にいないと言及しにくいものですし、医学的な正解は後になってから分かる場合も多いものです。
外野から言うのは難しいですね。
個人的には、胃内視鏡を行うべきであったかどうかが争点であれば医療側に厳しい判断が下るのではないか、と予想してしまいますが、輸血の量に関してであれば、多量に入れることで、かえって致命的な心負荷をきたした可能性もありますし、そもそも今回のケースでの本質的な問題点ではないように思います。

No.12 しまさん

>経過観察と放置

医療ではその時点ではそれ以上何もできないという状況(やるべきことをやり尽くして治るのを待っている状況も含む)になることがよくあります。その時点でとるべき方策が経過観察です。悪意でとらえるならば、それは広い意味での放置でしょう。もちろん血圧測定を定期的におこなう計画であったりしますので、純粋な意味の放置とは違います。血圧測定も内視鏡におとらない立派な医療行為、検査です。
放置というのはすべきことをしないで放っておくという意味でのみ使うべき言葉だと思います。この症例で放置と言える点は何もないと思います。

ところで、私は一昨日、胃潰瘍からの大量吐血でプレショックの患者を持ちました。輸血しないで経過観察中です。

No.13 血液内科さん

>致命的な心負荷

G意見書はこんなことも言ってますよ。
「中心静脈圧を測定しつつ,ショックを起こさないだけの充分な輸血・輸液」
その反論は想定内のようです。Gは性質が悪い。

私見です。

積極的な治療を行わない場合において
・経過観察:情報収集を継続し、随時判断を下している状態
・放置:「経過観察」でない状態

>元行政さん
輸血という処置を施しているわけですから、確かに放置という言葉遣いは不適切でした。すみません。

何が言いたかったかというと、何をもって医師は5/2の朝に再手術の決断をしたのかが分からなかったのですね。ヘモグロビン値だけを問題にするのなら、4/30日にヘモグロビン値が5.6に落ちたときに再手術を決断してもよかったように思いますし、ヘモグロビン値を問題にしないのであれば逆に5/2に再手術の決断をする必要はなかったかと思いました。


この判決文だけ見ると、医師が判断に迷っているような印象を受けるのです。経過措置に関しては医師それぞれの方針によって決まるのでしょうが、医師の方針が判決文に明記されていない事を問題にしたかったのですね。

内科医ですが。
術前のHb。手術の出血量。術前に上部内視鏡がいつでその所見、なんかは最低知りたいなぁ。
このご家族はHbが7を切った段階での輸血の申し出を拒否しているんですよね。
一般論としていうと、自分にミスがあったんじゃないかと思うと他人を攻撃したくなりますよね。自分のせいじゃないと思いたいから。
輸血量自体はそれほど本質的ではない気もしますが、その辺遺族とのしこりの原因もあるのかなと邪推。


>No.17 しまさん
自然に何とかなることを期待したんじゃないですか?
普通の人だって、38度の熱が2日間なら風邪かなと解熱剤だけで頑張るけど、1ヶ月続けば医者に行くでしょ?それと同類かと。

No.17 しまさん

>何をもって医師は5/2の朝に再手術の決断

明確な基準はなく、医療側の状況と患者の状態の微妙なバランスで決まりますからね。難しいですね。
裁判では、ほとんど考慮してもらえないこと(こちらとしては大変不満)ですが、手術のためのスタッフが足りないとか、麻酔科医がいないとかそういう病院側の要因も大きかったと思います。(祭日前というのも着目点かもしれませんね)裁判官においては、義務違反があったか否かの結論を左右するものではないといったような表現で無視したりせずに、要素の一部として常に考慮して欲しいことであります。

消化器疾患は専門ではありませんが。
いくつか疑問点がありましたので述べさせていただきます。

症例は術後、コントロールに難渋した感染症があり、病理解剖にてその責任病変と思われる化膿性前立腺炎が判明したとの事ですが、それはやはり尿道バルーン留置に合併したものなのでしょうか?であれば、ルーチンで行う尿検査にて尿路感染が判明する余地はあるかと思うのですが・・・。頻度的にも少なくないですし。
というのも、胃カメラ云々以前に、出血性胃潰瘍を惹起した背景には、周術期及び感染症によるストレスと、解熱鎮痛薬(ボルタレン)使用が絡んでいることは疑うべくもないから、内科医としては拘ってしまうわけです。感染源が判ればそれなりに対処法もあるでしょうし。
また、H2ブロッカーやプロトンポンプインヒビターといった胃酸分泌抑制薬の使用は行われていたのでしょうか?
消化管免疫の観点からも乱用は推奨されませんが、術後タール便が出れば即座に(カメラを施行せずとも)投与すべきものかと思われます。
しまさんが提供して下さった資料の主文には、内視鏡的な止血による救命率向上云々・・・とあります。吐血がありショック状態で運ばれてくる患者さんならクリッピングやヒートプローブの有用性は言うに及ばずですが、亜急性の経過であればそれなりに胃酸抑制薬の効果は見込めるのではないかと思いました。

以上、本筋から多少外れたかも知れない疑問を提示させて頂きました。

No.20 いなかの内科勤務医さん

>亜急性の経過であればそれなりに胃酸抑制薬の効果は見込める

ルーチンでH2は入れているところが多いのではないでしょうかね。タール便で、ムンテラまでしているわけですから、入れていないとすれば、かなりのウッカリでしょう。
ジワジワ出血して総計として大量出血になる場合もありますが、大量出血といえば露出血管でしょう。その場合、投薬のみでは甚だ心許ないです。数日ごとに血が噴出すなんてパターンもありますし、PPIを使っていたからといって防げるとは限りません。

> No.11 元行政さん
済みません、読み落としていました。とならば当然無罪が当たり前ですよね、医学的に考えて。

> とならば当然無罪が当たり前ですよね、医学的に考えて。(No.22 yama さま)
本件は、民事の損害賠償請求です。
「罪」と言われるとドキッとしますので、「過失なし」「責任なし」というような表現でおながいします。
言葉のアヤとも思いましたが、一応。

(某所で同じ指摘をしたら、医師の方々から総スカンをくいました。)

YUNYUNさんご指摘ありがとうございます。
ところで基本的な疑問なのですが、過失が無くても民事は成立するのでしょうか?今までの判決を見る限りそうとしか思えないのですが、あまりにも不公平と思いました。

>No.21 元行政さん
ありがとうございます。確かに「露出血管を認めた」とありましたしね。
しかし、下部消化管とはいえ縫合不全が懸念される患者さんに、腸管にガスが沢山たまってしまう胃カメラを施行する事はかなり勇気がいるだろうとも思います。
輸血量の件に関しても思うのですが、家族死亡という現実を甘受できないがため、医療サイドの過失を徹底的に捜し求められるのはフェアでない気がします。
程度の差こそあれ「注意義務違反」をした事がない臨床医は存在するのでしょうか?
>No.20 yamaさん
民事で成立するような損害賠償は、医療行為そのものの過失に対して、というよりむしろ、説明義務違反等の、患者家族とのコミュニケーション不良であった状況に対し課せられるようなものであるべきとも思います。私見ですが・・・。

> No.25 いなかの内科勤務医さん
> 民事で成立するような損害賠償は、医療行為そのものの過失に対して、
> というよりむしろ、説明義務違反等の、患者家族とのコミュニケーション
> 不良であった状況に対し課せられるようなものであるべきとも思います。
> 程度の差こそあれ「注意義務違反」をした事がない臨床医は存在するのでしょうか?

同意です。ただ、世の中にはいくら説明しても言うことを聞かない、あるいは理解してもらえない、そういう患者さんが少なからずいますよね。それで説明違反といわれても・・・と思うことがたたあります。
人間は機械ではありません。完璧に注意することが不可能な動物です。一番の対策はチェックを多重化する、ということであるのは以前から分かり切っていることです。それをしようとしない、あるいは提言しようとしない政府とマスコミには悪意さえ感じられてしまいます。

差戻し審の資料を見てきました。
病院側は準備書面を1回は出しましたが、程なく和解成立していました。和解金8000万円。ちなみに一審判決が8050万円余り(請求は9400万円余り)なので、原告全面勝訴に近い和解だと言えそうです。

P R

ブログタイムズ

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