エントリ

 手術をしても余命約6カ月の大腸がんと診断され、術後7カ月に別の病気で死亡した女性(当時71歳)の遺族が「別の病気で死んだのは術後管理のミス」として、病院側に約4500万円の賠償を求めた訴訟で、東京地裁は22日、約1300万円の支払いを命じた。女性はほぼ診断通りの余命だったものの、藤山雅行裁判長は「ミスがなければ、人生の最期を自宅で家族と過ごすことができたはずで、女性は精神的損害を受けた」と慰謝料請求を認めた。

 判決によると、女性は01年5月、岡山市にあるこの病院で大腸がんの摘出手術を受けた後、栄養補給用のカテーテルを右の鎖骨付近に約1カ月挿入したままで感染症にかかった。それでも担当医がカテーテルを外さないミスをしたため、敗血症を発症して同12月に転院先で死亡した。

 一方、余命約6カ月と診断されていたことから通常は賠償対象になる逸失利益や葬儀費用の請求を「ミスとの因果関係が認められない」として退けた。

 民事損害賠償請求訴訟の経験の豊富な弁護士の方のご意見をお聞きしたい事件です。

追記(12/3)
 「新小児科医のつぶやき」で、判決文の引用とともに詳細な意見が述べられています。

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コメント(15)

記事の内容からは、医学的な考察が全く出来ません。わざと、わからないように書いているのかと疑えるほど、医学的な論点を外した記事です。
まず、手術してから亡くなるまでの7ヶ月の間の、どの時期に「鎖骨下からの栄養補給のカテーテル(CVカテーテル)」が入っており、どの時点でどのような状態で、転院したのか。これがわからないと、担当医の過失の評価は困難です。

手術前から挿入されていたカテーテルでの敗血症であれば、そもそも死因とは無関係と思いますし、術後にCVカテーテルを挿入する場合を想定して、自分の経験のなかで、ありそうなストーリーを考えてみました。

あくまでも一般論ですが、最近では、大腸癌の手術前後に、CVカテーテルは挿入しないことが多いですし、癌の末期でも、CVカテーテルを挿入することは少なくなりました。
ただし、腸閉塞を併発している場合、抗癌剤治療を行っている場合、末梢点滴が容易に取れなくなった場合、CVカテーテルが必要になる場合があります。これらの状態のときは、カテーテルを抜去すると、全身衰弱が早くなる、また免疫力の低下などから、カテーテル感染を起こしやすいし、さらに他の感染症での発熱も起こりやすいので、カテーテル敗血症の鑑別診断も困難になります。

手術時点で予後6ヶ月と説明されていたのであれば、肝転移などの遠隔転移が多発していた可能性が高いと思われますが、全身状態がよほど不良でなければ、まず原発巣である大腸の腫瘍部分を切除し、その後抗癌剤による化学療法を行うことが一般的です。

この症例で、もし化学療法が行われており、それがかなり効いていた(つまり予後の延長を期待できた)のに、合併症である敗血症で、急激な悪化で亡くなったのであれば、遺族が納得できないことはありうるかな、とは思います。でも逸失利益が請求できるほど確実に延命できるという保障は無いと思います。

また化学療法を行う場合、最近は、局所麻酔下に右鎖骨下の皮下に中心静脈注射用のリザーバーを埋め込んで、経皮的に中心静脈注射を行うことが、普及してきているので、これを行っていたのかもしれません。この方法の利点は、外来での治療が、可能になることで、家族に出来るだけ在宅で治療しようと話をされていたのかもしれません。(記事が在宅での療養に触れていたので)また、リザーバーを埋め込んだ場合、カテーテル感染は起こりにくいのですが、もし起こった場合、心情的には、抜去しづらいので、対処が遅れてしまった、という可能性も考えられます。

エントリ医療崩壊(その7)No.239で書いた問題提起ですが、個別エントリが立ちましたので、こちらに同内容を再投稿します。

個人的には判決の慰謝料額に対しては疑問を感じますが、
そのことよりも、法的な問題で気にかかったのは、ここです。

> 余命約6カ月と診断されていたことから通常は賠償対象になる逸失利益や葬儀費用の請求を「ミスとの因果関係が認められない」として退けた

以前に、「病気にかかった人はたとえ治療が上手く行ったとしても、余命は健康人の平均より短く、逸失利益は少ないはずではないか」というご意見がありました。
これについては、理論的に考えられるものの、実際には病気治療後の余命の立証が難しいのではないかと言われていましたが、
本件のように余命がハッキリ診断されている場合は、それに従って計算すればよいことになります。

これに対する、No.240 kouki さまのコメント
> 6ヶ月先の余命をはっきりと診断できる医師なんていないと思います。
> 今までの経験と勘からなんとなく言える人がいるかもしれませんが、はっきりとしたエビデンスは聞いた事がありません。
> 個人的には長期の天気予報みたいなものかなと思って聞いています。

判決が前提としている「余命6ヶ月」は、医学的に見ればアヤシイということですね。
つまり、余命は6ヶ月でなく、もっと長かったかもしれない。どうにかして、余命が7ヶ月以上であったことが立証できれば、医師の過失により命が縮んだことになって、逸失利益までも認められる可能性が出てきます。
判決書に当たってみなければ分かりませんが、余命の点を被告側が立証して認定されたのか、それとも双方に争いがない事実であったのかが、興味あるところです。
もし原告が一審ではその点を積極的に争っていなかったならば、控訴して争ってみようという気になるかもしれません。

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そうすると、医師としては、余命の見通しは「短め」に説明しておくほうがよい。嘘の説明はだめですが、シビアな見立てというものはあり得るわけです。
診断より長生きしたと言って怒る家族も稀にいるそうですが、通常はそのことによって何らかの物質的な損害が生じるとは思えませんし、医師が一生懸命頑張って治療した結果、期待以上に延命できたのですから、慰謝料はさすがに認められないでしょう。

余命6ヶ月と診断されているのにも関わらず、7ヶ月生きた。しかしながら、「逸失利益や葬儀費用の請求を「ミスとの因果関係が認められない」として退けた」わけですので、藤山裁判長は思いきった判決を出したなと思いました。

本件につきましては、判事さんのお名前でサーチしてみることを推奨いたします。
上告二審が「常識」に基づかれるよう強く望みたい次第。

>G.Foyle さん
藤山さんに関しては、以下のような意見もあるみたいですけどね
http://blogs.yahoo.co.jp/abc5def6/37304244.html

ところで、かねがね疑問だったのですが、そのハンドルは某SF小説か、某SF漫画からおとりになったのですか? 違っていたのなら失礼しました。

「国やぶれて藤山あり」
国を,今までにない不思議な感覚で負かすことに,快感を覚えていた人ですからね。
判決内容については誰も納得しないが,藤山が出したということで皆納得する。そんな方ですからね。
何があっても不思議ではない。
つまり,評論するだけ無駄という方です。

m3の共同通信配信記事です。残念ながら自分の想像とは全く異なる展開のようです。この記事でも被告の過失の有無は評価できませんが、コピペします。
この記事からは、原告が訴訟を起こした決め手は、病理解剖の結果と思われますが、病理の先生は、裁判の証拠となるという意識で報告書を書いたのではないと思います。病理解剖の報告書は、思いっきり「後出しじゃんけん」の評価なので、これを元に、訴えを起こされるのは「かなわんな」、というのが感想です。
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最期の機会奪った損害大 約1300万円賠償命じる 死早めた医療ミス認定
06/11/24 記事:共同通信社

 岡山市の私立病院で大腸がんの手術を受け、約7カ月後に死亡した女性の夫と長男が「医療ミスがあった」として、同病院長の医師に約4500万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は22日、約1300万円の支払いを命じた。
 藤山雅行(ふじやま・まさゆき)裁判長は「余命はわずかだったが、医師の過失で寝たきりの闘病生活を強いられ、死期が早まった」と認定。
 その上で「人生の最期を自宅に戻って親しい人と交流しつつ、身辺整理する機会を奪われた。夫は看病疲れで入院を余儀なくされ、顔を合わせることもできなくなった。一時的でも平穏な生活に復帰し得た場合と大差があり、精神的損害は大きい」と判断した。
 判決によると、女性は2001年5月、同病院でがんの摘出手術を受けた。その際「手術が成功しても余命は6カ月」と診断された。手術後、カテーテルで栄養を摂取していたが、腎不全などを発症して岡山大病院に転院。さらに転院した別の病院で、同年12月に死亡した。
 病理解剖で死因は「カテーテルが原因で感染症となり、敗血症と続発する腎不全などが考えられる」とされ、夫らは04年1月に提訴。医師側は「がんが死因」などとして過失を否定した。
 判決は「カテーテルによる感染症が死につながった」と認めた。ただ支払いを命じたのは慰謝料で、医師の過失がなかった場合でも「生存は若干の期間」として逸失利益などの請求は退けた。

> カテーテルが原因で感染症となり、敗血症と続発する腎不全などが考えられる
というのはあくまでもあり得るというだけの話であって、因果関係を肯定しているわけではない。つまり、可能性だけで判決を決めている節が見えます。疑わしきは罰せずというのは民事では通用しないのでしょうか?それとも、患者がかわいそうだからというレベルで判決を出しているのでしょうか?
例の小田急線の訴訟でもそのような温情判決が見て取れます。

大体、病理解剖で完全に死因が特定できるほど医学は進んでいないと思うのですが・・・。最近はやりのエビデンスだって可能性を述べているだけだし。
藤山裁判官には一度不確定性原理を勉強して欲しいと思います。

今症例のようなケースにおいて「中心静脈カテーテルを入れ替えていれば敗血症も起こらず、癌死を迎えるまで在宅で安らかな時間を過ごせたはずである」と断定することは、医療従事者にとってごく控え目に言わせて頂ければ、ありえない楽観・信じ難い暴挙、ということになるでしょう。
癌末期でおそらく悪液質も出ているであろう状態では、往々にして複合感染が見られます。抗生剤使用や長期免疫不全状態に続発する気道・消化管・尿路感染や褥瘡等が原因となり、主な感染源が不確定なまま全身状態のコントロールに難渋する事は珍しくありません。
結果致命的な事態になったからといって、後の病理解剖で主な感染源がある程度推測され「ここに焦点を絞った治療が不十分であったのではないか?」と責められても、それは部外者の横柄な難癖に過ぎないのではないかと思います。
中心静脈カテーテル感染には勿論留意するのが常ですが、余程刺入部が発赤していなければ(手技自体もリスクを伴いますし)入れ替えには逡巡してしまうのではないでしょうか。特に、このような生命予後があまり見込めない症例では・・・。
また、医者はよく「あと○○ヶ月の寿命だ」と告げるものと考えられているようですが、それは誤解があるように思います。
少なくとも私は、「癌で転移が見付かりこのような手術をした場合、統計的には平均余命が○ヶ月という事になっていますが、それは人それぞれで、同様のstage(病期)であっても1年生きる人もいれば、1ヶ月で亡くなる例もあります。急変する可能性もゼロではありませんよ」といったニュアンスで説明するようにしています。

藤山裁判官は、現場での事情を理解する視点が欠けているように見えます。
いずれにしても、恣意的な偏りがない判決を望みたいものです。

YUNYUNさんの「法的な興味」というのがよく分からなかったりします。

余命がわずか見込めない人が明らかな医療ミスで無くなった場合でも、さすがに「逸失利益」としてはゼロ円で計算されているのが普通だと思うのですが…

少なくとも自分が今までみてきた限りの判決では、「○○癌IV期の人間の平均余命は○ヶ月なのでそれを基準に算定」とか、「余命○○月と判定されていたのでそれを基準に算定」とか、「少なくとも回復して労務可能だったとは認められない」とか、そういう風に判断されていることが殆どかと思います。

最近だと京大病院のエタノール中毒事件とかが、少なくとも逸失利益については0円であると判決されています。これは平均余命1年に満たないとされる病気の人が人工呼吸で17年生き続け、いよいよ終末期が近づいた時点で明らかなミスで死亡した、とう事例です。

家族は「本件事故により死亡することがなければ,将来飛躍的に進歩した医療技術によりリー脳症が治癒し,症状が改善された可能性は十分にあった。」などと主張はしていますが、さすがに今の常識からしてあり得ないので否定されています。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?action_id=dspDetail&hanreiSrchKbn=01&hanreiNo=33797&hanreiKbn=03

(余談ですが、その代わり10年以上人工呼吸で意思疎通も不可能だった患者が死に際に感じたとされる「精神的苦痛」の慰謝料が2000万に算定されていて、そっちの解釈は法的に興味あります。あとこういう人工呼吸器付けて入退院するパターンの場合、親も看護師以上に、生活の一部たる人工呼吸器の管理には習熟してると思うのですが、一番長く一緒にいるはずの親がどうして気付かなかったんですかね、これ)

私は医療関係者ではありませんし、ある本で読んだだけの知識に過ぎませんが、
一般に大腸癌は転移が見られてもなお余命が見込める場合が間々ある
比較的制御しやすい悪性腫瘍とか。
本例の場合で亡くなった女性に自覚症状がなかったとは思えませんし、
「訴えた家族はなぜ手遅れになるまで気づかなかったのか」は
少々疑問に思うところではあります。

>しまさん

ご推察の通り「虎よ 虎よ」からで(^^;
ただ、漫画があったことは知りませんでした

>一般に大腸癌は転移が見られてもなお余命が見込める場合が間々ある
>比較的制御しやすい悪性腫瘍とか。

一般的な話ですが,例えば肝転移があってもそれが孤立したものであれば外科医は癌本体と共に肝の転移巣も切除に行きます.予後の改善が見込まれるということです.
ただし,転移巣が複数存在する場合(何個以上あればという規準があるようですが細かいところまでは知りません)には,そうはいきません.従って単純に転移の有無だけでは,余命はわかりません.「転移がみられてもなお余命が見込まれる場合がある」のは事実です.

> 京大病院のエタノール中毒事件とかが、少なくとも逸失利益については0円であると判決されています[No.10 2年目さま]

私が気にしているのは、病人の余命という観点です。

京大エタノール事件で逸失利益を認めなかった理屈は、カテーテル事件とはちょっと違っていて、「病気で働けず収入がない人である」ことを理由としています。寿命の長短は関係ありません。
判決書の表現では、
「以上の事実を踏まえると,Aは,将来,就労することが著しく困難であったというほかはなく,その他に,Aが,就労可能であったことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,Aの就労可能性を前提とする逸失利益の損害は認めることができない」
この患者は若年でしたが、もし高齢者ならば就労しなくても息をしている限り、年金収入があることが多いので、この理屈では逸失利益はゼロにはならないはずです。
京大エタノール事件では医療過誤により命を縮めたという点は認定されているため、葬式代は被告に負担させられています。

大腸癌カテーテル事件では、「医療のせいで寿命が縮んだわけではない」という理屈から逸失利益ナシ、葬式代ナシとしたのが珍しいと思いました。

 「新小児科医のつぶやき」で、判決文の引用とともに詳細な意見が述べられています。

 本文にも追記しました。

最近ですが、こんな判決も出されていたのですね...

>毎日新聞 2006.10.19
>6000万円支払い命じる 帝京大病院の医療過誤訴訟
>帝京大病院の医療過誤訴訟:6000万円支払い命じる----地裁 /東京
>帝京大医学部付属病院(板橋区)で受診後、心不全で亡くなった男性(当時47歳)の遺族が、
>入院を説得しなかった医師の過失が原因などとして、病院を経営する学校法人「帝京大学」(同)に
>約1億1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は18日、大学側に約6000万円の支払いを命じた。

>『藤山雅行』裁判長は「自分の症状を誤解している患者に対し、医師は適切な説明をすべき義務を怠った」と述べた。

どの分野に変わっても「変わらない」方の様で。
しかし、物には限度があると思います、私(わたくし)は

P R

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