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医療過誤訴訟:遺族側が逆転勝訴 東京高裁(毎日新聞 2007年1月31日 19時51分)

 新潟県立十日町病院で手術中に死亡した女性(当時65歳)の遺族が「麻酔薬の過剰投与が原因」などとして、県に約4200万円の賠償を求めた訴訟の控訴審で、東京高裁は31日、約1400万円の支払いを命じる遺族側逆転勝訴の判決を言い渡した。富越和厚(とみこしかずひろ)裁判長は、麻酔薬投与での担当医の過失を認めた。

 女性は97年6月、左足の骨の一部を人工骨に置き換える手術を同病院で受けた。担当医が全身麻酔と局所麻酔の薬を併用したところ、手術中に心停止し死亡した。

 判決は「個々の麻酔薬は過剰投与ではないが、局所麻酔は単独使用の場合の限度量が投与され、総量が最小になるよう努める注意義務を担当医は怠った。この過失が心停止の原因」と結論付けた。

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コメント(18)

>判決は「個々の麻酔薬は過剰投与ではないが、局所麻酔は単独使用の場合
>の限度量が投与され、総量が最小になるよう努める注意義務を担当医は
>怠った。この過失が心停止の原因」と結論付けた。

詳細は不明ですが,おそらく人工股関節置換(もしくは人工膝関節置換)でしょうか.全身麻酔+硬膜外麻酔での管理と思われます.
「個々の麻酔薬は過剰投与ではない」のであればそれが「心停止」の原因にはならないでしょう.血管内に注入されれば容易に局所麻酔薬中毒になるでしょうが,予めテストして問題なければその可能性は非常に低くなります.硬膜外チューブ適切に留置されていたとすれば,極量を超えない局所麻酔薬を投与することに何ら落ち度はありません.全身麻酔併用時にこの極量を超えて使用することはありません.

そもそも判決では「局所麻酔薬の総量が最小になるように努める注意義務を怠った.この過失が心停止の原因」としていますが,本当でしょうか?
人工関節の手術で最も心停止を来す原因は肺塞栓であることは衆知の事実です.まず,「肺塞栓でない」根拠はどこにあるのでしょう.そもそも「局所麻酔薬の量が問題ない範囲であった」としながら一方でそれを「心停止の原因」とするところに論理の矛盾があります.
もしかして低血圧に起因する,心筋虚血ー>心筋梗塞だったんでしょうか?
それでも,麻酔科医の過失にするのは異常ですね.裁判官は麻酔科医以上に麻酔薬の量を決められる知識と経験を持っているのでしょうか???
ありえないですね.

麻酔科医としてはまさに「明日は我が身」といえるようなトンでも判決ですね.(得られた範囲のデータから推測した限りですが)

例によって情報少なすぎですね。これでは何のコメントもできません。
しかし、マスコミの情報だけ見ると「個々の麻酔薬は過剰投与ではないが、局所麻酔は単独使用の場合の限度量が投与され、総量が最小になるよう努める注意義務を担当医は怠った。この過失が心停止の原因」の部分の麻酔薬過剰=心停止の原因と断定できるのでしょうか?よほど使わない限り(例えば通常量の5倍とか)医者でも断定不可能だと思うのですが・・・・。その自信はいったいどこから?

硬膜外単独で、手術をする場合と、全身麻酔+硬膜外で手術をする場合では、硬膜外カテーテルからいれる麻酔薬の量が異なると思います。
全身麻酔併用下で、硬膜外単独くらいの大量をいれれば、当然血圧が低下すると思います。
そういうことを原因にあげているのかな、、、と思いました。
いずれにしろ、毎日新聞の報道など医学的に、???なんですから、
実際の麻酔チャートや、せめて、裁判の判決文を読まないと全然わからないですね。

硬膜外単独で、手術をする場合と、全身麻酔+硬膜外で手術をする場合では、硬膜外カテーテルからいれる麻酔薬の量が異なると思います。
全身麻酔併用下で、硬膜外単独くらいの大量をいれれば、当然血圧が低下すると思います。
そういうことを原因にあげているのかな、、、と思いました。
いずれにしろ、毎日新聞の報道など医学的に、???なんですから、
実際の麻酔チャートや、せめて、裁判の判決文を読まないと全然わからないですね。

>MJ様

>硬膜外単独で、手術をする場合と、全身麻酔+硬膜外で手術をする場合では、硬膜外カテーテルからいれる麻酔薬の量が異なると思います。

 私も最初それをちょっと考えたんですが、それだと理屈に合わない部分があるんですよね。仮に膝関節置換だとすれば、L3あたりからチュービングすることになると思いますが、全身麻酔併用の場合、麻酔薬の量じゃなく、麻酔薬の濃度で調整しませんか、普通。(Ex.全身麻酔へ移用しない場合は2%キシロカイン、併用する場合は1%キシロカイン・・・等)。しかも、硬膜外麻酔で極量投与というのはそう滅多にあることじゃないと思います。また、仮にトータルで極量になるにせよ、通常は30分ごと投与・・・等となるのでこれで極量がどうのこうのというのであればもっと問題だと思いますし。

 ともあれ、情報少なすぎは私も同感です。一審判決文を見たいのですが・・・。

僻地外科医 さんへ
全身麻酔といってもGOS筋弛緩して挿管とプロポフォールLM自発とでは、硬膜外からいれる局所麻酔の量と濃度が違うと思います。

http://www.geocities.jp/tokamchibyoin/index.html
たしか、ここに麻酔チャートが載っていた記憶があります。

一番可能性が高いのは、やはり肺塞栓だと思います。
次が、たまたまクモ膜下出血や心筋梗塞などを併発した場合。

局麻剤中毒は論外なので、硬膜外麻酔関連であれば、麻酔域が広がりすぎて循環抑制となり、放置していたら心停止になった可能性も絶対無いとは言えないかな。手の足りない病院では、麻酔科医が飯を食いに行ったとき、誰も見ていないこともあるから。元々麻酔を担当していたのが麻酔科医ではない可能性もありますが。

麻酔チャートは見つかりませんでした。

bamboo さん
URLは、その昔、遺族によって、麻酔チャートがさらされていました。今は、削除されています。
麻酔チャートですから、見る人の知識と経験によって、いろいろなことがわかります。書いてあることも大事ですが、書いていないということも大事な情報です。
当然起こることが起こっているのか、予想外のことが起こってしまったのか、、麻酔チャートをみて議論すべきものと思ったのですが、遺族によって掲載が中止されていますから、医学的なカンファランスはできませんね。
また、ここを読まれている方々は、医学的なカンファランスの結論と、民事や刑事としての過失があるかどうかは、別の問題だということもご理解いただけると思います。
あくまでも、医学的なカンファランスは、レトロスペクティブに想像上のゴッドバンドな医師が最良の結果を出すには、どうすべきだったかと議論するようなものですから、それをしていなかった=民事の過失ではありません。もちろん、民事で負けても、刑事や、行政処分も不適当だと思います。

ただ、私の感想としては、患者死亡の麻酔チャートをネットに公開されたことで、この「麻酔科医」にとっては、医学的な制裁(麻酔科医からの評価)は終わっているように思います。

素人ですが失礼いたします。記事をTB致しましたが、いつも届かないようですので、コメントに書かせて頂きます。

心停止の原因には色々とあるのだろうと思いますが、骨セメントによる影響というのはどうなんだろうか、と思った次第です。急速な血圧降下が起こっても不思議ではないように思えるのですが・・・

骨セメントも十分に考えられると思います。
以前はステムを叩き込んだときの血圧低下は骨セメントだけのせいだと思っていました。
今では組織片も血管内にはいると言われ、症状が出るかどうかは別にして、何かしら肺には飛ぶという意味で、肺塞栓と書きました。

骨セメントはそれ自体が血圧低下を来す作用がありますから、使用したのであれば心停止の原因として有力です。
ただ、セメントレスの手術もありますので、使用したのかどうか判りません。

こんにちは、整形Aです。

No.10 まさくに さんのコメント

>骨セメントによる影響というのはどうなんだろうか、と思った次第です。急な血圧降下が起こっても不思議ではないように思えるのですが・・・

確かに骨セメントによる血圧低下の可能性はあると思います。
ただ、患者さんが65歳と比較的若いことからすると、人口骨頭置換術に際して、僕ならば骨セメントは使わないでしょう。
もっとも、骨折のタイプや、リウマチなどの基礎疾患による骨粗しょう症の程度によってはその限りではありませんが。

骨頭置換術自体は確立された手術方法で、さほど高度の手術ではありません。
僕なんかも開業前は、腰椎麻酔でよくやっていました。
自分では術後短期間での死亡例は経験しませんでしたが、その後肺梗塞のリスクが知れ渡るようになり、あとから怖くなりました。

この患者さんは、術中に心停止をきたしたとのことですが、麻酔の影響だとすると、モニターで管理していれば、ある程度対応可能だと思うのです。
対応できなかったということからすると、心筋梗塞や肺梗塞など、突発的な合併症のほうが考えやすいと思います。

>骨頭置換術自体は確立された手術方法で、さほど高度の手術ではありま
>せん。
>僕なんかも開業前は、腰椎麻酔でよくやっていました。
>自分では術後短期間での死亡例は経験しませんでしたが、その後肺梗塞の
>リスクが知れ渡るようになり、あとから怖くなりました。

整形A先生,
確かに術式は確立されていますが,肺塞栓のリスクは結構あります.経食道エコーを使用した研究などでは塞栓子はかなり飛んでいるようです.
ただ,実際に循環系に影響が出るまでのものはそれほど多くないというところでしょう.私の知っている麻酔科医でも「人工骨頭の手術の管理は必ず全身麻酔で行なう」という先生もおられます.一度でも患者さんを亡くしますとこのようになるのでしょうね.私自身は幸か不幸か心停止を来したことはありません.

心停止を来すような肺塞栓が生じた場合,蘇生できる保証はありません.運がよければ心臓マッサージと人工呼吸を続けて救命できることもありますが,ダメな場合ももちろんあり得ます.さらに,塞栓子が凝血塊ではなく脂肪などの場合にはあとから剖検しても塞栓子がはっきりしないこともあるようです.

麻酔チャートをこの目でみればおおよそどのようなことが怒ったのか推測できると思いますが,ホームページから無くなっていましたね.

骨セメントでもかなりの低血圧を来すこともありますが,65才くらいだと心停止まで来すことは滅多にないと思います.

整形外科の手術後での肺塞栓は長期臥床もリスクとなるのでしょうか?
よく、整形外科から胸痛の患者で心エコーのオーダーが入りました。その際、少なからず肺高血圧を認めましたが、肺塞栓と診断できたのはほとんど記憶にありません。

>整形外科の手術後での肺塞栓は長期臥床もリスクとなるのでしょうか?
>よく、整形外科から胸痛の患者で心エコーのオーダーが入りました。そ
>の際、少なからず肺高血圧を認めましたが、肺塞栓と診断できたのはほ
>とんど記憶にありません。

それもリスクのひとつです.これはよく言われる深部静脈血栓症ですね.
典型的なパターンではリハビリを始めたところで,突然心停止というものでしょう.

術中に生じるのは,多くは人工骨頭を打ち込んでいる時です.我々は骨頭を打ち込んでいる時にはいつも注意しています.
それ以外でも,大腿骨の骨折などの場合には受傷後しばらく臥床していたことによって深部静脈血栓症が生じている場合があり,このような場合にはいつ塞栓子が飛ぶかわかりません.体位変換後に心停止を来しているといった場合もありです.

>yama先生

 整形外科に限らず、下肢を長期間動かせない臥床の患者さんではDVTのリスクはけっこうあります。

 心エコーは感度が低い(肺動脈末梢に飛んでいる場合は拾えない)ので一般的にはD-dimer(またはFDP)でスクリーニングすると思います。

>心エコーは感度が低い(肺動脈末梢に飛んでいる場合は拾えない)ので
>一般的にはD-dimer(またはFDP)でスクリーニングすると思います。

僻地外科医先生,
確かD-dimerは保険適応外ではなかったでしょうか?(間違っていたらすみません)
後は下肢静脈のエコー検査とかかと思います.

元々肺高血圧があった場合は肺動脈塞栓の診断にはならないんですよね。もちろん、近年心エコーをやっていてその時肺高血圧が無かったのに現在あるという場合は肺動脈塞栓症の可能性が高まるわけですが・・・。

P R

ブログタイムズ

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