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コメント(34)

医師ですが、なんかこの棄却の報道に対して、判決文も出てないのに過剰反応している人が多い気がします。

>原告代理人は「同じ証拠で、ここまで180度違う判決になる理由が分からない」

というのが良く分かりません。

要するに2つの判決を総合すると「うつ病は勤務に起因する労災ではあった、だけど、労災保険にプラスして更に民事で慰謝料払わせないといけないほどの管理義務違反はなかった」ってことですよね? その2つは何か矛盾することなのでしょうか?

「勤務に起因する死亡なら労災認定」というのは良く分かるのです、それは勤務と関連していると証明するだけですから、他がどうあれ、この人が仕事のつらさを苦に自殺したという事実が証明できればそれでいいはずです。

でも「勤務に起因する死亡で損害賠償」っていうのは、もっと厳しい要件が必要なんじゃないでしょうか。「鬱病を発症して当然と言える程の勤務状態であった」とまで証明しないといけませんよね。同じ環境の小児科医がバタバタうつ病で死亡することが当然に予想される程じゃないといけないんですよね。医師の自殺率なんて知りませんが日本人の平均よりはなんだかんだで低いでしょし、そこまで証明するのは厳しかったんだろうと思います。他の業界も含めてそのような損害賠償を認められるほどの例って多いのでしょうか。

タミフルの件では症例報告程度で騒ぐな統計だ詳細な報告だエビデンスだ大規模調査だとアレだけ言ってるのに、毎年数十万人の自殺者のうち1例の裁判例を見て心が折れたり仕事辞めたりすることもないんぢゃないかなーと思います。もう少し労働関係訴訟について色々知りたいです。

>医師の自殺率なんて知りませんが日本人の平均よりはなんだかんだで低いでしょし

勤務医開業つれづれ日記から引用です。医師の自殺率は一般より低くありません。

H17医師自殺90人 医師の過重労働、自殺、突然死について 「東京さんぽ」(産業保健情報誌)


東京産業保険推進センター
の刊行物のようです。

「東京さんぽ21」
http://download.sanpo13.jp/pdf/s32.pdf
PDF形式です。
カラー 24Pです。

タイトルは
何だか良く分かりませんが(苦笑)、
特集の2に
「医師の過重労働」
あります。
大変参考になりますので
御参照下さい。

もうひとつありました
職業別自殺者数

田舎の消化器外科医さん、御指摘ありがとうございます。

日本の労働者の年齢における自殺率は対10万人で30人強くらいなので、日本の医師数30万人のうち90人の自殺というのは、確かに一般より低くも高くもない数字ですね。予想で間違ったことを書いて申し訳ありませんでした。同じく金には困らないであろう、弁護士や官僚の自殺率が気になるところです。

もちろん、この自殺率のうちどの程度までが、その職業を選択したゆえの自己責任なのか、事務的管理責任なのか、国の方針の責任なのか、ということについては議論の余地があると思います。

これだけ根の深い問題に対して「死んじゃった、悔しいからとりあえず病院を訴えてみた、悪いやつだから訴えて賠償もらっちゃえ!」みたいな気分(あえて論理と言わず気分と書きますが)が医師間に蔓延してるのは健全じゃない気がします。

そういうのって、「死んじゃった、悔しいからとりあえず医師を訴えてみた、悪いやつだから賠償もらっちゃえ!」という患者の家族と発想が一緒のように感じます。そんな訴訟で実現不可能な要求して勝訴したとしても、医療として良くなるわけじゃないってのは散々主張されてる通りですし。

「こんなに現実離れした訴訟されたんじゃ正常な医療なんてできっこないヨ!」って医師が主張するなら、事務方に「そんな訴訟されても正常な医療なんてできないよ!」と言われちゃいそうな労働基準法がらみの訴訟なんて、棄却された方がいいんじゃないかという気すらします。

nさんの発言に同感です。
それにしても、小児科の勤務医は超人的な体力のある人(または寝つきと寝覚めがよくてどこでも寝られる人。向井千秋さんはそうらしい)しか務まらないって感じですね。
子どもってなんで夜中に熱を出すんですかねー。夜中になると親の不安が募って(様子を見てられなくて)受診するというのもあると思いますが。
診療時間が終わると自宅に帰る個人病院しか残らない?

タクシーの運転手さんや新聞記者なんかもそうだと思いますが、なぜ夜勤明けに仕事を続けさせるんでしょうね? 夜勤専門で朝には交代、ってわけにはいかないんでしょうか。
過労で医療ミスが増えたり体壊したりって、いいことないと思うんですが。

nさんは、中原先生の自殺に関して色々文献に目を通した上で
>「死んじゃった、悔しいからとりあえず医師を訴えてみた、悪いやつだから賠償もらっちゃえ!」という患者の家族と発想が一緒
という風にお考えになるのですか?そういう考えで裁判を起されたと考えてらっしゃるのでしょうか?
少なくとも医療従事者でない私でも、今回の中原先生の件についてはそういう言葉をもって語る気にはなれませんが…。

まあ「判決文を見てから詳細を語り、それぞれの制度についての不備を語るべきではないだろうか」という主張自体は特に意義はありませんが、ここで医療裁判に語るにしても、医者の方々弁護士の方々共々少なくとも亡くなった方とご遺族に対しての表現は礼節をもって語ってらっしゃるようにしてますし、それを意識された上での論議を希望します

既に、良識ある医師は、No1のコメントが出た時点で、引いています。

私良識にかけるので少ししゃべります。

まず、医師の労働条件のエントリーをお読みください。現場では労働基準法はハナから無視、勤務医は奴隷扱い。これが今回の判決で言われている普通の勤務医ということなのです。おまけに厚生省の役人は国会の場で堂々と医師に労働基準法どうりに勤務させたら、大半の救急病院はやっていけなくなるとおっしゃいました。
行政は堂々と労働基準法を無視して、こんな状態を放置し、医師は充足しているとばかりに改善するふりすらもしないのは、それこそ社会正義に反するというものでしょう。

そんな反社会正義を世の中に告発し、是正させることこそ民事裁判の役割のはずです。ましてや個別の事例しか判断できない裁判においては、犠牲者が出たからこそ訴訟を起こすべきなのでは。医療の崩壊に少しでも抵抗するためにです。

>うらぶれ内科さん

そんな反社会正義を世の中に告発し、是正させることこそ民事裁判の役割のはずです。ましてや個別の事例しか判断できない裁判においては、犠牲者が出たからこそ訴訟を起こすべきなのでは。

医事関連訴訟に関しても肯定的な見方をされると言うことでしょうか。

医事関連訴訟に関しても肯定的な見方をされると言うことでしょうか。


 横レスですが、ちょっと短絡的ではないでしょうか。医師の勤務実態が労基法違反の状態のまま放置されているから、訴訟することを肯定しているわけです。医事関連訴訟だって、医師の目から見て医療者側の責任が重いような事例であれば反対しません。何でこれが訴訟になるの?何でこれが敗訴なの?と言う事例が多いので問題にしているのです。

 誰がどう見たって医師が悪いという事例で、多くの医師が訴訟を否定したことがありましたでしょうか。医師にも労働者の権利を認めるならば、急性期病院の勤務医の置かれている状況は、誰がどう見たって違法です。

>bambooさん

f/uありがとうございます。

みなさまお久しぶりです。

この春で、「肉体的」という事に限定すれば、中原先生がおられた状況よりもキツかった非人間的な小児救急の現場から脱出いたしました事をご報告いたします。中原先生の残したメッセージと、残されたご家族のメッセージには、大変影響を受けました。

自分がなんとかなっても、結局は家族が常に私の事を心配し続ける環境というのは、とても幸せとは程遠いものですし、仕事の充実感を帳消しにするに十二分であったと実感しております。

>bamboo さん
短絡的に書いてあるというご指摘はもっともです。

何が言いたいかというと、医事関連訴訟の原告も「反社会正義を世の中に告発し、是正させること」を目的に訴訟を起こしているのではないかなと思うわけです。何が正義かというのは主観的なものだと思いますので、あえて書き込みをいたしました。

>>chaimdさま
こんにちは、はじめまして。こんな状況から脱出できたことに心からお祝いを申し上げます。(以下産婦人科の記事ですが、小児科、外科等も大差ないかと)これから色々別な形でのご苦労もあるかと存じますが、家族の方々と共により人間的な生活をおすごし下さい。

お産拠点 8割で32時間勤務
NHKニュース 2007年4月1日
http://www3.nhk.or.jp/news/2007/04/01/d20070401000119.html
 これは、全国の総合周産期母子医療センターの協議会が去年8月から11月にかけて調査したもので、1つを除く59の施設から回答がありました。その結果、95%、56の施設で、日勤の産婦人科医が引き続き当直勤務をしていました。また、81%、48の施設では当直明けの医師がそのまま夕方まで診療を行い、日勤、当直、日勤と続く連続32時間に及ぶ勤務が日常的に行われていました。

 総合周産期母子医療センターは、24時間態勢で妊婦や赤ちゃんの異変に対応する施設で、仮眠がまったく取れないこともあるということです。回答した施設からは「慢性的なスタッフ不足で、いつ医療事故が起きてもおかしくない状況だ」という訴えも寄せられたということです。調査した北里大学の海野信也教授は、「産婦人科医不足で、このままでは続けられなくなるところが出るかもしれない。交代勤務という形で無理なく仕事を続けられるようにする必要がある」と話しています。


>医事関連訴訟の原告も「反社会正義を世の中に告発し、是正させること」を目的に訴訟を起こしているのではないかなと思うわけです。

横レスです。言葉にからむようですが、さらっと流す内容ではないので一言。
心タンポナーデの穿刺が適切でなかったと過失を問われた脳外科医や、福島で業務上過失致死を問われ裁判中の産科医についても「反社会正義」だというのでしょうか。
特に刑事裁判に関しては医師個人が被告人になるわけですから、医師個人が社会正義に反する行為を行ったから告発したという意味になりますね。
本来これらの問題は医師個人の資質ではなく医療体制の不備に起因するものであり、医療従事者個人の努力で解決するのはすでに限界にきています。受益者に正確な情報を与えない医療行政、行政を動かす医療受益者側の医療問題に対する偏見・無関心・危機感の欠如にも大きな要因があるにもかかわらず、そういった背景を無視して医師個人をスケープゴートにする医事関連訴訟が目立ってきたことに多くの医師は拒否感を示していると思うのですが。

>しまふくろうさん

心タンポナーデの穿刺が適切でなかったと過失を問われた脳外科医や、福島で業務上過失致死を問われ裁判中の産科医についても「反社会正義」だというのでしょうか。

医師が社会的正義に反しているとは思えませんが、原告側は「正義は我にあり」と考えて訴訟を起こしているのではないかと思います。


本来これらの問題は医師個人の資質ではなく医療体制の不備に起因するものであり、医療従事者個人の努力で解決するのはすでに限界にきています。

その意見には同意します。そして、小児科医の自殺問題でも状況は同じだと思います。病院側が「小児科医の自殺の背景には、小児科医の過酷な労働環境がある。本来これらの問題は病院個々の問題ではなく医療体制の不備に起因するものであり、個々の病院の努力で解決するのは既に限界に来ている」と主張する余地は残されているのではないでしょうか。

参考にこちらも。
http://medt00lz.s59.xrea.com/blog/archives/2007/03/post_475.html

このあいだ遊びに来た下級生の話。

・奈良県の産科事例、例の18病院が救急搬入を断った話は、現場では誰も驚かなかった。
神奈川では、20病院以上に声をかけても搬入先がみつからないのは日常茶飯事だから
・産科救急で一番不足しているのが、小児集中治療に携わる医師。30週未満の早産では、
生まれた子供は集中治療室でないと処置ができない、NICUのない病院は、そもそも救急搬入に対応できない

・小児用の集中治療室が維持できなくなっている。「早産の子供に対応してほしい」という声よりも、
「風邪の子供を 24時間診てほしい」という声のほうが圧倒的に大きくて、集中治療室を放棄せざるを得ない
・某大学では、病院が24時間救急を受ける方針を決定した。風邪の子供を抱えたお母さんが夜中に殺到して
外来が回せなくなり、集中治療室を閉めて対応せざるを得なかった
・病院間のネットワークは、すでに十分に機能している。某大学にネットワークの本部があって、電話一本で
救急対応可能な搬送先を紹介してくれる。ところが稼働している病院が減っているため、横浜から問い合わせて搬送先小田原とか、
神奈川/東京全滅で、搬送先はヘリで千葉県とか、どんどん遠くなっている

・搬送中は医師が同乗する。どの施設も人数ギリギリなので、たとえば往復に3時間かかると、
その間病棟をみる人が誰もいなくなったり、外来がストップしたりで病院の機能ががた落ちしてしまう
・千葉県の亀田総合は「最後の砦」の一つだが、現場が疲弊して、救急対応がいつまでできるか分からない

・産科に進んだ同級生で、研修をまっとうできなかった人が何人かいる。
その研修医が頑張れなかったからではなくて、病院から産科がなくなってしまったから
・妊娠6週ぐらいに予約をしないと、もう分娩病院がみつからない。10万人クラスの市でさえ、産科が対応できない地域が出てきている


2年のローテーション研修と、1年の専門研修。あまりにも早すぎる「一人前」認定を受けて、4月からは産科医として責任ある立場へ。
「やれるだけやってみます」。
3年ぶり。やっと育った新人産科医。

4月の当直は月に16回だそうだ。

>No.16 KKさん

 貴重な情報ソースだと思いますが、記載のURLはたぶん(間違いなく)該当エントリのトラックバックURLです。
 エントリのURLを再度コメントしていただければ管理人が編集させていただきます。

>創価板UD日報係さん

 そのようですね。ありがとうございます。
 KKさんのコメントを管理人が訂正させていただきました。

No.15 しまさん

今回の訴訟のバックグランドは、国を挙げて労働基準法を無視していることです。最低の道徳といわれている法令違反があるのですよ。
かたや医療訴訟は、社会正義がないとは言いませんが、医師や病院の過失を問うために行われているわけです。今の医療は何か一般的に法令違反が行われているのでしょうか?
この二つは質的にまったく違うのでは?

国は勤務医の「当直」の現状を認識していながら、通知一本出しておしまい。
http://www.joshrc.org/~open/files/20020319-001.pdf

取締りが伴わなければ、状況が変わることはない。

その昔、関西医大研修医の過労死認定で大騒ぎしていた頃を思い出すと、隔世の感がありますね。

いわゆる医療訴訟が医療崩壊に関してかなり主導的な役割を果たしつつあるのと同様、この訴訟も奴隷医廃絶に関してそれなりの役割を果たす可能性はあるのではないかなという気がしています。
奈良の勤務医による未払い賃金訴訟なども今まで医師が自らの権利を主張してこなかった領域であるだけに成り行きに注目したいですね。

今の医師は従来横行していた奴隷制度が崩壊するのを期待しているし、しないのなら崩壊させてやるという気概で挑んでいる者も増えてきているんじゃないでしょうか。まさに時代が動き始めたのかなと感じます。
制度論や原則論を語るのとは全く違ったところで自らの身は守らなければならないし、そのために利用できることは利用してやれという逞しさも今の医師は身につけ始めているようです。権利は自ら主張しなければ保証されない、労働者として当たり前の事実にようやく気がついたということでしょう。

別に徒党を組んで圧力団体化するばかりが能じゃない。ネットを介した緩やかな連携しかり、そもそもがたった一人でも戦える能力を多くの医師は元々持っているわけですから。目覚め始めた医師達がどれだけのことをやってくれるか、この国の医療がどこまで変わっていくのか、時代が動く瞬間に当事者として立ち会える期待感で近頃妙にわくわくしています。

>しまさんへ コメントありがとうございます。

最近の医事訴訟は訴える相手が違っているのではというのが医師の立場からみての感想です。
患者側からすると直接に医療行為を行ったのは病院であり、医師ですから直接関わった相手に非難の矛先が向くというのもわかります。そして裁判となるとどちらの言い分に理があるという争いになり、白黒決着をつけねばならずどちらの言い分も正しいという判決はでないでしょうから、不完全な医療体制であるにも関わらずそれを承知しながらその環境の中で治療して患者に不利益をもたらした医師が悪い、つまり医師の側に落ち度があるという判決になるのでしょう。患者と医師・病院での裁判中に医師が医療制度の不備を理由にあげたところで、それを取り上げてくれる裁判官はおそらくいないでしょうから、現場でトラブルに巻き込まれないよう保身をはかる医師が増えてくるのもやむをえないことです。

その場でベストを尽くすのが医療人の誠意であり、医療従事者はそうあるべきと教えられてきたのですが、今のご時世ではそのような善良で純朴で無防備な人物は一旦訴訟を起こされれば簡単に餌食とされてしまいます。行政も国民の非難が自分たちに向かないよう責任を医師に押しつけて積極的に行動を起こす気はさらさらないようですから、医師としては自分が傷つかないような立ち位置で仕事をつづけるか、あっさりその場を立ち去るかの選択肢しかなくなってきています。

>No19モトケン様

いらぬお手間をおかけして申し訳ありませんでした。この場を借りてお詫びいたします
いつも色々な意見を読める場を用意していただいていること、心から感謝しております

>うらぶれ内科さん
>しろふくろうさん

労災訴訟に関しては私も異論があるわけではありません。

私が焦点にしているのは、病院を相手にした訴訟です。病院に対して訴訟を起こしていると言うことは、病院の過失を追求していることになりますよね。つまり、「小児科医が自殺したのは病院の責任」であり、極論を言えば「病院が小児科医を殺したのだ」と言っていると私は解釈しました。


しろふくろうさんの仰ることはもっともだと思いますし、そのような面は多分にあると思います。だからこそ、遺族が病院を訴えたことに対して、病院側も「訴える相手が違っているのでは」と主張できると思うのです。


蛇足ですが、遺族が病院を訴えた事に対して悪感情を持っているわけではありません。遺族の立場からすれば正当な主張だと思いますし、訴訟するのはもっともだと思っています。

No.25 しまさん

>私が焦点にしているのは、病院を相手にした訴訟です。病院に対して訴訟を起こしていると言うことは、病院の過失を追求していることになりますよね。

何度もくりかえしますが、問題にしているのは法令違反ですよ。病院によって意図的に行われた行為は過失とはいわないと思いますが。

中原先生は被雇用者。法外な過重労働で鬱病を発症し自殺に至った。雇用者である病院は、その現状を看過し,労働条件を改善させる努力を怠った、というロジックは成立すると思います。
問題は,同様の訴えが多発する可能性があること。小児科医なり産科医の労働条件を改善させようにも、若手が敬遠し,人材が枯渇する一方。絶対無理。不可能。
この訴訟には現在の日本医療の病根が凝集されている気がします。
訴訟を起こす意義は、多分社会に対する問題提示です。
これがトンデモ裁判と言うなら言うが良い。

No.27 あみぐだらさん

>中原先生は被雇用者。法外な過重労働で鬱病を発症し自殺に至った。雇用者である病院は、その現状を看過し,労働条件を改善させる努力を怠った、というロジックは成立すると思います。

 私も、医師以外の事案で、過労から自殺した案件で労災認定を争った事案に関与したことがあります。

 この場合、問題は、死因が自殺ということにあります。

 残業代の請求あるいは、過労の結果の病死であれば、争点とならないのですが、自ら死を選んだことから、それが、過労の結果かが問題となります(過労の結果、鬱病になり、それで自殺にしても、過労だから鬱病になるとは限らず、また、鬱病だから自殺するとも言えないことは、むしろ、医師の先生方の方がご存じだと思います)。

 この場合、相手方からの考えられる反論としては、それは、中原先生個人の要因ではないかということです。そこで、それを、覆すためには、通常の人間であれば、当然、自殺するような状態であったことを主張・立証しなければならないことになります。勝訴した事案について言えば、たとえばいじめ的な要素があったとするものがあります。また、準備が不十分な状態で海外の事業を一人にまかせた等のものもあります。

 ここからは、推測になりますが、労災認定の関係では、当然、相手方は、通常の医師には労基法違反の残業がない(少なくとも実態についてのデーターがない)との前提ですから、中原先生の労基法違反の残業等の状況(これはある程度立証できますので)から、中原先生が突出した残業をしていたということになりますので、勝訴しやすいことになります。

 逆に、相手方が病院の場合、他の医師も同様の残業をしていたことを立証できますし、当然、同様の残業をしていた他の医師の先生方は、自殺されていないですから、自殺したことは、中原先生個人の要因となりやすくなります。

 少なくとも、本件訴訟の切り口は、労働基準法の違反を問うているものではないということです。

いや、そんなことを言えば、アスベストを吸っても全員が肺癌になるわけでもなく、
肝炎ウイルスの入った製剤を投与されても全員が肝炎や肝臓癌になるわけではない。
すべて個人の要因だといえば要因ですな。

過労の結果の病死だと争点にならず、自殺だと争点になるというのは医学的にみれば問題ですね。

> 過労の結果の病死だと争点にならず、自殺だと争点になるというのは医学的にみれば問題ですね。(No.29 立木 志摩夫さま)

因果関係の問題で、
・過労 → 脳溢血 → 死亡 は 直接的で分かり易いが、
・過労 → 鬱 → 自殺 → 死亡 は 間接的で分かりにくい。

自殺は人間の意思的な行為だから、スイッチ入れたら結果がポン!ではなく、その人の意思によって止めようと思えばできたのではないかということが、疑われます。
だから、

> 通常の人間であれば、当然、自殺するような状態であったことを主張・立証しなければならない(No.28 L.A.LAW さま)

判例の「疫学的因果関係論」には医師の皆さんは非科学的であるとして反対が強いようですが、
こういう状況でヒトが必ず自殺するという立証は、まず不可能です。
せいぜい、高度の蓋然性がある(自殺したくなる人が多い)ということしか、立証できないでしょう。

うらぶれ内科医さま(No.26)
 訴訟の背景として労基法違反があるという事と、ご遺族が病院を訴えた事は別に考えないといけないと思います。労基法違反の責任を問うなら、労働基準監督署に告発するのがスジです。訴状をご覧いただければ分かると思いますが、ご遺族が問うているのは病院の安全配慮義務違反です。

立木 志摩夫さま(No.29)
 L.A.LAWさまが仰っているのは、病院側の言い分を予測したものでしょう。疫学的には、疾病の原因に対する人体の反応には「バラツキ」が存在することは当たり前で、No.28の病院の言い分は医学的に通らないものですし、近年の過労死裁判ではすでにそういう主張も無理です。

 過労自殺に関する安全配慮義務の問題は、H15. 7. 8 名古屋高等裁判所 平成13年(行コ)第28号遺族補償年金不支給処分取消請求控訴事件の判例が詳しいと思います。

 今回の故中原医師の民事訴訟で問題なのは、行政訴訟で過労自殺と認定し、判決が確定した後で、「過労ではなかった」と判断したことでしょう。判決は、「当直といっても仮眠する時間はあった」「他の小児科医と比べて激務とは言えない」という内容で、医師ならば耳を疑うものでしょう。「小児科医はどこでも激務だから、小児科医が死んでもそれは過労じゃないよ」ということですから。(「過労ではあったが、病院に過失はない」という理屈は、苦しいですが通る可能性はあると考えます。つまり、「他の病院でもそれが通例であったし、小児科医を募集するなど必要な努力はしていた」という理屈です。)

>「他の病院でもそれが通例であったし、小児科医を募集するなど必要な努力はしていた」

素人目には、勤労者が常に過労状態であることが「通例であった」と判決で容認し、勤労者に不利な判断の根拠にすることは、労働安全衛生法(24条、25条あたり?)違反を裁判所が追認することになるような気がしますが、それはOKなのでしょうか?

じじいさまへ

 裁判では、労基法違反を問うているわけではないので、「苦しいですが通る可能性はある」と申し上げた次第です。
 通常裁判では、訴えられた事についてのみ判決がでて、それ以外の事については言及しません。しかも、行政訴訟ではないため、判決の内容により、直接的に行政を動かすことにはなりません。
 ただ、社会的には通用しない理屈ですので、一般人の感覚を持った裁判官なら、そのような判決は下さないでしょう。少なくとも、私としては、そのような判決はOKと認めません。

産業衛生学の大学院生様、ありがとうございます。

>ただ、社会的には通用しない理屈ですので、一般人の感覚を持った裁判官なら、そのような判決は下さないでしょう。少なくとも、私としては、そのような判決はOKと認めません。

禿同いたします。

私も裁判所が一般社会から乖離し、社会正義に著しく反する判決を出すことは許されないと思います。

P R

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