エントリ

 医療事故に対する司法の完全不介入などという非現実的な話をするのは本来はばかばかしい話ですし、私も無尽蔵の忍耐力を持ち合わせているわけではありませんので、かなりやる気が失せていたところですが、以外の前編の(民事編)のアクセス数が多いのです。 エントリ本文が興味を引いたのか皆さんのコメントが面白いのかよくわかりませんが、ワンセットにしておかないと格好が悪いという面もありますので、適当に書くことにします。

 医療事故に対する刑事司法の不介入というと、医師に対する刑事責任追及の禁止ということが問題になりますが、民事編のコメントで書きましたように、医療事故紛争に対する民事司法の完全不介入ということを前提にしますと、患者側の医療側に対する犯罪行為に対する刑事司法の介入という問題も生じてきます。
 まず、前者から考えてみます。

 ここでの対象は、医療事故です。事故ですから故意行為は除きます。いくらなんでも、医師は故意の殺人をしても処罰すべきでない、という人はいないでしょう。
 つまり医師については、業務上過失致死傷罪が問題になります。

 医療行為における患者の意に沿わない死傷について、司法は医師の過失の有無を判断する能力がないのだから刑事事件としても介入すべきでない、ということが何を意味するかと言いますと、医師が業務上過失致死傷罪で起訴されたとしても、医師側が、患者(被害者)の死傷が医療行為によるものである可能性があるということを立証すれば、医師は無罪になるということです。理論構成によれば公訴棄却も考えられますが、いずれにしても、医師は有罪にはならない、つまり刑事責任を問われないということです。

 ここで、明白な過失行為の場合は刑事責任を問うてもいいのではないか、という意見があるかも知れませんが、「明白」であるかどうかが問題になってくるのであり、司法には医療行為の当否について判断する能力がないとの前提に立てば(私が立っているわけではありません。魔人ドール氏の意見です。)、過失が「明白」かどうかも司法は判断できないことになります。

 裁判所が、医師の業務上過失致死傷事件について有罪にしないのであれば、検察は当然のごとく起訴しません。法律の定め方によっては起訴できないことにもなります。

 そして、検察が起訴しないのであれば、司法とは言えませんが、警察も医師の業務上過失致死傷事件を捜査しなくなります。法律の定め方によっては捜査自体が違法になることも考えられます。
 なぜなら、刑事警察の仕事(つまり捜査)は、刑事事件つまり検察が起訴すれば有罪になる可能性がある事件についてその証拠を収集するためのものですから、裁判で有罪になる可能性がなく従って検察が起訴する可能性がない事件について、警察が捜査することはなくなります。
 つまり、警察の捜査権は刑事司法を前提としているのであり、特に強制捜査権は司法(裁判所)の監督下にあります(令状主義)。

 医療事故が業務上過失致死傷事件として立件されることがないのであれば、医師の皆さんは何ら萎縮することなくのびのびと存分にその能力を発揮されることであろうと思いますが、必ずしも性善説に立たない私としましては、医療事故に見せかけた医師による殺人事件が密かに多発する可能性を否定することができません。

 それはともかく、非現実的シミュレーションから現実に立ち返って現在の制度を前提にして考えた場合、民事医療過誤訴訟を抑制する効果的な手段を考えることは困難なのですが、業務上過失致死傷の刑事立件を抑制する現実的な方策の可能性はあります。
 それは検察が医師の医療業過事件の起訴にあたって慎重な姿勢をとればいいのです。
 これは、地検単位で言えば検事正が、全国的な規模でなら検事総長が医療過誤業過に対してどのようなスタンスで望むかによって現実的に大きく影響されます。
 制度を変えたり、新たな制度を創設する必要がないという意味で、刑事司法の医療事故に対する介入の消極化は容易だと考えています。

 次に、医療事故の被害者側すなわち患者・遺族側による医療側に対する犯罪行為についての刑事司法介入の問題を少し考えます。
 具体的には、患者側が依頼した暴力団による、あるいは患者側自らによる恐喝行為や、復讐心や恨みに基づく医療側に対する殺傷行為が考えられます。
 このような行為を不可罰とするのは立法論としても非現実的過ぎるのですが、民事編のコメントなどで述べましたように、被害者としての立場の患者側に対する法的救済手段を完全に奪ってしまうとするならば、患者側の自救行為としての恐喝行為の処罰を正当化することが困難ですし、民事的な法的救済手段がなく、刑事訴追もなされないとすれば、患者側の恨みを晴らす合法的手段がないことになりますから、そのような患者側が医療側の誰かを殺傷したとしても、情状面ではかなり同情的に見ざるを得ないことになり、量刑的にも軽くなることが考えられます(あくまでも非現実的シュミレーションであることをお忘れなく)。

 要するに、世の中の紛争解決制度(秩序維持制度)というのは、さまざまな制度が相互補完しつつ全体としての制度を形作っていることを分かっていただきたいという思いで、しょうもないシミュレーションをしてみました。
 
 医療の土俵の上だけで、しかも聖人君子的な医療側からの視点だけで紛争を見ている人には到底理解できないと思いますが。

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コメント(196)

>モトケンさん

つまり医師については、業務上過失致死傷罪が問題になります

極論になってしまうのですが、業務上過失致死傷罪と、刑法とを切り離す事はできないのでしょうか。さらに言えば、日本の法体系において、刑法と業務上過失致死傷罪を切り離すと言うことは、何を意味するのでしょうか。


医療事故に見せかけた医師による殺人事件が密かに多発する可能性を否定することができません

業務上過失致死が認められないという状況は、医師による医療行為に基づく殺人との疑いを検察・警察が抱いたとしても、容易に病院を捜査できないという解釈でよろしいでしょうか。

まー刑事のほうはモトケンさんが前にも指摘していましたが、今後は問題になる機会は少ないような感触があります。ただ、福島事件は未解決ですから、解決するまで徹底的に糾弾し続けて地固めをして、と。

あと問題は、書類送検は大々的に掲載するのに、不起訴処分は触れないことの多いマスコミの姿勢ですか。

しまさん

>極論になってしまうのですが、業務上過失致死傷罪と、刑法とを切り離す事はできないのでしょうか。さらに言えば、日本の法体系において、刑法と業務上過失致死傷罪を切り離すと言うことは、何を意味するのでしょうか。

?

切り離すとは何を意味されているのかよくわかりません。
業務上過失致死傷罪を刑法典から切り離すとしても、刑罰を与えるのであれば本質的には何も変わりありません。
「切り離す」という意味が、医師の過失による事故をを刑事処罰の対象としないということであれば意図するところはわかります。
それは魔人ナントカさんの主張と同じことになりますね。

峰村先生

>あと問題は、書類送検は大々的に掲載するのに、不起訴処分は触れないことの多いマスコミの姿勢ですか。

あっ、それは無理です。医療だけでなく、どの事件でも同じですので。
訂正記事や謝罪記事、自分たちに不利な後日談などは極力書かないで済ますのが、彼らの矜持ですから。

>kenji47 さん

医師の過失による事故を刑事処罰の対象としないということであれば意図するところはわかります。

「医師」のではなく、過失による事故そのものを刑事処罰の対象としないという意味です。

モトケンさんに忍耐力を使わせて申し訳ないです。ですが、その懐の広さがこのブログの魅力でもあります。突っ走らないように、煽らないように気をつけます。それにモトケンさんがキレルと、このブログが消滅しますから、皆そこまでの無軌道はないと思います。

これは、地検単位で言えば検事正が、全国的な規模でなら検事総長が医療過誤業過に対してどのようなスタンスで望むかによって現実的に大きく影響されます。

問題は、どのようにすれば検察のスタンスを変更できるかという点に絞られるわけですね

1.検察・警察が介入することによる、医療界に対する影響力をPR
2.医師会による自浄能力の強化(医道審議会の能動化)
3.第三者機関や調停制度による紛争解決

この程度の事しか考えられないのですが、どうも、民事訴訟対策と重なってしまうようですね。

これだと、「患者とのトラブルを起こさないこと。起こしたとしても、容易に仲裁できるようにシステムを整えること」が刑事にあたっても有効だという事になるような思いがしますし、当たり前の事を言っているような……

個人的にはアメリカには見習うべき点が多いと思います。聞くところによれば医療に対する刑事罰として業務上過失致死というややこしいものはなく、単純明快に殺人罪の適用となっていること。殺人罪には第一級、第二級(すみません他は知らないです)とか区別があって、計画殺人と衝動殺人が区別されていることを考えると、そのほうが論理的に明快な感じがします。日本の大野病院の事例のように医学の専門的な予見可能性とか未熟性とかどだい論証不可能な争点を持ち出す必要もないし、ある医療行為が意図的殺人かどうかは医者の意見も警察の意見も容易に倫理的に一致するでしょうから、警察の犯罪捜査能力も十分に発揮されるでしょう。民事不介入の原則もきちんと機能するでしょうし。

アメリカのほうが日本より司法がきちんと倫理的に機能しているように感じている者の毎度ぼつでおkな所感です、ぼそ(笑)

>ぼつでおkさん

アメリカのほうが日本より司法がきちんと倫理的に機能しているように感じている者の毎度ぼつでおkな所感です、ぼそ(笑)

アメリカの民事訴訟では懲罰的賠償請求などというものがあるので、アメリカと日本の司法を単純に比較するのは難しいのかなと思います。

また、アメリカの場合は、例えばニューヨーク市などは行政処分システムも発達しているので、刑事が介入する余地が少なくなっているのかも知れません。

>No.9 しまさん
コメントありがとうございます。
そうですね、裁判制度そのものも陪審制ですし(笑)
私の意見には裁判員制度より陪審員制度のほうをだいぶん好ましく思っているというバイアスもシッカリかかっておりますです、はい(笑)。

具体的には、患者側が依頼した暴力団による、あるいは患者側自らによる恐喝行為や、復讐心や恨みに基づく医療側に対する殺傷行為が考えられます。

長崎市長の事件がまさにモトケンさんのおっしゃることの現実版でしょうか?
事件の前提に、まさに犯人が市役所にクレームを言い続けた挙句、最終的に交渉を打ち切られたと報じられていました。

相手にしてもらえないという思いが、このような狂気の沙汰につながってしまう・・・


元スレの話題、法律は素人ですが素人なりに思ったこととして、法曹側の皆様方は理論上の整合性については詳細に検討されている一方でその現実的側面についての考察が疎いのではないかなという印象を受けます(よい悪いではなく方法論として)。
医療が理屈を超越しても結果オーケーならそれでよいという部分もあるからでしょうが、結局のところ現状の何が問題であって何処を目指すべきなのかということをしっかり認識しないと正しいけれども現実に照らし合わせて妙だという結論が出かねないのかなと感じました。

医師不足が言われ、ことに僻地では深刻という状況から昨今では各地の自治体で独自の解決策をいくつも提示していますが、正直現場の人間からは「そのニンジンに食いつくような医者なんているの?」とも思える頓珍漢な話ばかりで全く事態解決に役立っているという話を聞きません。
同様に「医療従事者が訴訟リスクを恐れるあまり危険を伴う行為を回避し、結果として国民に不利益が生じている」という点が問題なのだとすれば、「ではどういう状況になれば現場は訴訟リスクを恐れなくなるのか?」という点をクリアできない解法はそもそも幾ら議論しようが意味がないのではないでしょうか。
その点で現場の生の声がやや過小評価されているように感じられたのを残念に思う一方で、結局これだけ大勢の人間が集まって徹底的に議論しても明確な「正解」などというものは存在しない問題なんだろうなという印象を抱いた流れではありました。

むろん国の立場としては「国民は本当に不利益を被っているのか?」あるいは「被っているとして何か不都合があるのか?」という視点もあるのかも知れませんが(苦笑)。

 これまでの議論にもあったように、医療事故について刑事責任を問うことの問題は、事故の責任を個人の責任にしてしまうと、そこで幕引きになってしまい、事故再発防止につながらないおそれがあることだと思います。(むしろ犯罪者にならないように自己防衛する方向に働くのではないかと思います。)医療に限らず「事故」が発生するメカニズムは単純ではなく、必ず背後に複数の要因が複雑に関連しており、システムの問題が大きなウェイトを占めていることが指摘されています。個人の責任が認定されてしまうと、事故の全体像がみえなくなるおそれがあります。確かに、これまで刑事責任以外の処分制度が機能していなかったことも、刑事責任追求の方向へ動いてきた因子のひとつかもしれません。将来は、医療事故を客観的に分析し、個人の過失の割合が大きい場合には行政処分や過失を繰り返す医師の再研修義務化などの制度を整え、刑事責任の追求は極めて慎重に行われるようになることが望ましいのではないかと思います。

それは検察が医師の医療業過事件の起訴にあたって慎重な姿勢をとればいいのです

検察の慎重な姿勢の一例でしょうか


産婦人科医、不起訴処分に 大和高田市立病院の妊婦死亡 2007年04月18日

奈良県大和高田市の同市立病院(松村忠史院長)に入院中の妊婦が出産直後に死亡した事故で、奈良地検は18日までに、業務上過失致死容疑で書類送検された産婦人科の30代の男性医師を不起訴処分とした。「死因の子宮破裂による出血性ショックを、予見させる症状がなかった」と判断した。 調べによると、04年10月、同病院の産婦人科に入院していた当時30代の女性が出産後、脈拍や呼吸状態、血圧が異常に高い数値を示し、子宮内の大量出血で死亡した。奈良県警は、医師が施した投薬が一時的に数値を下げるだけの効果しかなく、妊婦の体内に出血など異常が生じていた恐れがあったのに、漫然と放置したと判断。06年3月、書類送検に踏み切った。一方、地検は、医師は女性の臓器状態などを調べるために超音波検査を実施したが、子宮破裂を疑わせるような症状は映っておらず、「予見は不可能」とみなした。大学病院の鑑定結果は「子宮裂傷部から大量に出血した出血性ショックまたは失血死」。全血液の約3割もの出血があった。遺族は05年4月、医師らを相手取り約1億円の損害賠償を求めて奈良地裁に提訴した。 病院側は昨年6月、医師不足などから新規の分娩(ぶんべん)予約を大和高田市など周辺4市1町の住民に限定することを決めた。奈良県では昨年8月、町立大淀病院で、重体となった妊婦が19病院に搬送を断られた末、脳内出血で死亡。県警はこの件についても業務上過失致死容疑で捜査している。

素人考えて申し訳ありませんが、海難事故に対しては、「海難審判庁」が原因究明などにあたっていますが、これの「医療版」が存在しないのが、不思議です。

ちなみに海難審判庁のサイトには、目的が以下のように記述されています。

 ひとたび海難が発生すると、船舶・積荷などの財貨に多大な損失を招くことが多く、また、尊い人命の犠牲を伴うことも少なくありません。
 海難審判庁は、このような海難の原因をいろいろな角度から究明し、海難事故の再発防止を目指しています。
 海難審判は、海難が船舶の乗組員などのヒューマンファクターで発生したものか,また、船体や機関の構造や性能などで発生したものかなどを、専門の知識と経験を有する審判官の合議体によって審理し、裁決をもってその原因を明らかにしています。
 また、その海難が人の故意や過失で発生したときには、これらの者を懲戒することになっており、さらに、海難の原因に関係した海運・造船会社などに対して、その業務や設備などの改善・改良を勧告することがあります。

この文章、「海難事故」を「医療事故」と置き換えると、そのまま通じるように感じるのですが、専門家の皆様のご意見はどうでしょうか。

別件ですが、航空機事故や鉄道事故に対しては、海難審判庁みたいな組織はないですね。これは、国際的な取り決めのようなものがあるのでしょうか。

「メディカル朝日」4月号の小特集「医療紛争 転ばぬ先の杖」で、「刑事の立件は双方を不幸にする」という提言がありました。東大医療政策人材養成講座が2000から2006年の刑事判決の出た事件を分析したものです。(メンバー:医療提供者、患者支援者、ジャーナリスト、政策立案者など)

18件の分析結果は1/3が刑事責任が妥当でないか、疑わしい(個人の責任でなく医療安全システムの問題)。患者は10年戦争をしたあげく、事件は風化し病院では何も改善されず。被告になった医者は職を失い、犯人扱いされ、家庭崩壊までいった例もある。
「刑事事件は個人の責任追及を目的とするもので、医療安全システムに問題があるときには、刑事事件になじまない。原因を明らかにして再発防止に努めなければ、同様の事故が繰り返される」

ここでは言い古された内容ですが、このような認識をもっとメジャーなマスコミが世間にたたき込んでくれないと、医師や看護師が矢面に立たされる刑事訴訟は減らないと思います。
 民事だけでも嫌気がさしている医療者は、刑事事件の可能性を考えるだけで逃げ出したくなりますから、子宮癌の手術で死んだ人まで業務上過失致死扱いされて大々的に報道されるなら、「もう子宮癌手術なんてやめだあ!」となるでしょう。

モトケンさま
エントリ本文
> 裁判所が、医師の業務上過失致死傷事件について無罪にしないのであれば、検察は当然のごとく起訴しません。

?有罪にしないのであれば?

-----
> 検察が医師の医療業過事件の起訴にあたって慎重な姿勢をとればいいのです。
> 制度を変えたり、新たな制度を創設する必要がないという意味で、刑事司法の医療事故に対する介入の消極化は容易だと考えています(モトケンさま)

注意喚起として、
検察審査会法改正により、二度の決議で起訴強制できる制度が施行されれば、これは崩れます。
一般国民から無作為抽出される審査委員が、マトモな判断力を備えていることを祈るのみです。

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> 「医師」のではなく、過失による事故そのものを刑事処罰の対象としないという意味です(No.5 しま様)

「過失による事故」の罪は、刑法典に限っても、

・業務上過失致死傷罪(211条)
・過失傷害罪(209条)、過失致死罪(210条)
・失火罪(116条)、業務上過失失火罪(117条の2)
・過失激発物破裂罪(117条2項)、過失建造物等浸害(122条)
・過失往来危険罪(129条)

等々がありますが、これら全てを非犯罪化すべきとのご意見でしょうか?
特に、現状で業務上過失致死傷罪の大部分を占めるのは交通事故類型ですが、
交通事故を起こしても、民事賠償責任のみで刑事上不問(免許取消等の行政処分は無免許運転者には無力)でよいかということは、法制策として大きな問題です。

なお、法制審議会で検討中の、刑事裁判に付属する賠償命令の制度について、
今のところ業務上過失致死傷罪を除く方向で考えられているのも、もしこれを含めるとすれば膨大な件数の交通事故事案を刑事裁判所が処理しなければならないという困難が予想されるためです。

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> 「海難審判庁」が原因究明などにあたっていますが、これの「医療版」が存在しないのが、不思議です(No.15 成田の近くの住人さま)

海難審判の法的性質は行政処分であり、海技免状の取消処分をしたりする権限があることからして、
法制度的には医道審議会が似ているのではないかと思います。

> 航空機事故や鉄道事故に対しては、海難審判庁みたいな組織はないですね

海難審判のような専門的海難調査の制度が構築された背景事情としては、
「ベニスの商人」のように、船舶による通商は歴史的に近代以前からさかんに行われ、事故処理の必要性が大きかったこと、
船舶は国際間を多数往来しており外国との関わりを避けえない以上、国際社会において各国が相互主義的に海難調査制度を整備しなければならないという圧力がありました(日本船舶や日本人船員が外国で海難事故を起こした場合にも、きちんとした調査や処分を受けたければ、日本でに国際水準の調査制度を用意しなければならない)。

それに比べて、同じ交通でも、鉄道はどちらかというと国内問題、航空機は歴史がずっと浅いことから、
現在は事故件数が少ないので、その都度、必要があれば特別に調査委員会を組織することでまかなっている状況と思われます。

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> 「刑事の立件は双方を不幸にする」という提言(No.16 山口(産婦人科)さま)

普通の弁護士は、医療過誤事件(医師に過失があると見込まれる事件)を刑事告訴することはお勧めしません。
患者側代理人をしている弁護士でさえも、福島事件での逮捕は疑問であると発言していました。

そもそも、いわゆる「民事がらみ」告訴(民事紛争の解決を有利に進める目的で行う告訴)は、弁護士のとる手法としてあまり上品でないとされています。
例 貸金を返済してもらいたい → 返すつもりなく借りた詐欺罪で告訴

No.17のYUNYUNさん、
>そもそも、いわゆる「民事がらみ」告訴(民事紛争の解決を有利に進める目的で行う告訴)は、弁護士のとる手法としてあまり上品でないとされています。

そうですね。
私も、やりません。

「罪と罰」を読んでいるようで、深い問題だと思います。人が人を裁くのは難しいですねえ。
私も、懲罰は必要だと思います。リピーター医師も裁かなければいけません。
教室で、悪い事をしたら廊下で立たされました。ずるい事をしたり、いたずらをしたら当然です。でも、現在の医師達は学科試験の成績が悪いから、立たされているような気持ちなのです。本人は精一杯頑張っているのですが、他の用事で勉強ができなかったとか、元々与えられた時間がわずか(医師不足)だったなど理不尽にも点数が足りないのです。
国立がんセンターで訴えられるのは、いつも100点とっている優等生が98点だから、立たされいるような気分です。それも、罰している人が組主任の先生ではなく、隣の先生だったり、他の学校の先生だったりで生徒達は不満爆発でこんな学校やーめたという感じなのです。どうしても全員に100点とらなければいけないとすると、易しい(リスクの低い)学校に転校するか、転校できないならもっと勉強できる環境が欲しいのです。点数が悪い場合、学習塾で補習できるとか、知らされても同じ教室の中の人しか知られないなどなければ、勉強意欲は湧きません。更生するために、裁判はあると思います。見せしめはもうたくさんなんです。

 このエントリーを読んでいて、思い出したのは、731部隊の石井四郎軍医中将のことでした。ご存じの人はそれほど多いないのかもしれませんが、旧満州国で行われた人体実験のことです。医学の進歩を飛躍的に向上させたとも評価されていますが、当人はアメリカとの取引で、ほとんど責任を負うこともなかったようです(詳しいことは忘れました)。
 ところで、3年ほど前、たまたま思い出して検索を掛けてみたのですが、私が昭和57年に読んで、この問題を知った「悪魔の飽食」という本ですが、不正確な情報収集や分析が含まれていたとか。
 従軍慰安婦問題と異なり、731部隊の話しはマスコミでもほとんど聞かなくなりましたね。徹底した証拠隠滅も行われたそうですが、医療事故も証拠収集が困難になれば、問題がありそうですね。
 弁護士の雇えない貧乏人は、人体実験にされたりして。
 どこの世界でも一部の不心得者ために、真面目にやっている人が割を食うということはありがちなように思えます。
 アメリカの大学の射殺事件の犯人のメッセージを聞いていて、思い出したのも、同じく昭和58,59年頃の少年時代の医者の子供の大学生の行状でした。
 野放しに増長させれば、別のかたちで大きな悲劇が起き、巻き込まれて割を食う、被害者も出る可能性もあるのではないかと。
 いずれにせよ、皮肉な言い方になりそうですが、風が吹いて儲かるのは弁護士さん、という一面もあるのではないかと。
 アメリカのケースで言えば、大学の管理責任、安全配慮義務などが問われそうです。

>YUNYUN様

>現在は事故件数が少ないので、その都度、必要があれば特別に調査委員会を組織することでまかなっている状況と思われます。


 一応常設の航空鉄道事故調査委員会は存在します、日本にも。
 ただ、権限が弱く人員不足のため実働はほとんど警察・検察だとか・・・。
http://araic.assistmicro.co.jp/

刑事免責の話も良くでるのですが、私は刑事免責とするには、医療機関が自浄作用があることが前提条件であると思っています。
つまり、医療団体が刑事罰に相当するか判断する部署を持ち、第三者的に判断するということです。

善良な医療行為が、医療知識のない司法警察に判断されるのは、医療の混乱を招くだけですが、一方で、富士見産婦人科で見られたような非倫理的な手術が組織的に行われた過去を振り返る必要もあります。
やはり、社会は性善説では、一定数の悪者を放置することにしかなりません。

きちんとした医療行為が行われたという証明を自ら出さない限り、刑事免責への道は遠いと思います。
民事と違って、故意がなく、再発防止を試み、賠償行為を行っていれば、重過失さえも免責にしてよいと思ってます。
ただし、重過失に対する内部制裁(免許停止、研修義務、等々)は、外部を意識したものを作る必要があり、軽過失等については、実情にあった域値の設定ができると思います。
刑事ということであれば、重過失に相当するもの以外は、直接司直に情報提供する義務がないとすれば、自己に不利益な証言であっても情報を得て、再発防止という社会法益を満たすことができることでしょう

非公開のカンファレンス方式で事例を検討し、重過失がないという結論だけ公開することだけでも、民事訴訟についても抑制が効きそうな気がします。

如何なものでしょうか?
(でも、これって司法というより行政・立法の問題なんですけど?と、いつも思う)

(N0.20)について補足させて頂きます。
 731部隊は細菌戦の研究として知られていますが、その他、想像が及ぶ限り、ありとあらゆる医学研究が、文字通り人体実験として行われたそうです。たとえば凍傷実験など。

>Med_Lawさん
>(でも、これって司法というより行政・立法の問題なんですけど?と、いつも思う)
立法・行政の問題でもあると思いますが、医師会が独自に組織を立ち上げてもいいと思うんですよね

事故調査委員会に関してはフランスにおける航空事故をめぐる安全確保の法スタンスが有益な資料かと思います。

日本の事故調査委員会が、報告書以外の資料を公開(警察に対しても)していないというのはいささか意外でした。

半年ほどwatchしていました。整形外科診療所勤務医です。
 書き込みを読みながら、なんとなく医療事故調査組織は海難審判をモデルにしてはどうかとずっと思っていたところ、No.15の成田の近くの住人さんが海難審判庁を引き合いに出されましたので、賛成票を投じるために投稿しました。
 とはいえ、海難審判についてそれほど知っているわけではないので理解している範囲での賛成理由を述べますと、1.当事者と関係のない(少ない)専門家が判断をする。2.双方の申し立てを受け付ける。3.二審制をとっている。4.背景事情まで検討して勧告を与えることができる。というところでしょうか。
 元医師(というのは存在しないはずですが)と元司法(というのも存在しない?)の複数の医療事故専門の審判員が、当該治療の専門家や当事者の意見、当該施設の体制、更には国のシステムを検討し、裁決を行う。場合によっては、個人の責任の有無だけでなく、病院の体制の欠陥や国のシステムの欠陥を指摘して改善勧告をあたえる。その結果をふまえて、刑事裁判・民事裁判を行うが、事実認定については審判結果を最大限に尊重する。頻発する医療訴訟を考えるとかなりの大がかりな組織になりそうですが(かかる時間まで考えるとあり得ない?)、医療者・患者(一部の感情的な被害者をのぞく)共にあるていど納得できるものができそうですが幻想でしょうか。先日の厚生労働省の医療事故検討委員会もこれに近い気がしますが、どこからも独立性が担保された組織(今の医療者側から見れば裁判所も含む)が必要だと思います。
 ところで、海難審判の裁決は、事実認定の面では最大限尊重されるものなのでしょうか?

 みなさん、パブリックコメントの募集と並行して、既に検討会の委員の人選も進んでいます。

 このままなら、厚労省原案通り、甚だ理不尽な制度が運用開始されることになります。医療崩壊の進行は避けられず、多くの罪のない患者が死んでいくことになるでしょう。

 パブコメに投稿しても、所詮、無視されるばかりではありますが、回答は公開されます。取り敢えず意見は提出しておくべきでしょうし、他の方法で事態を改善していく努力も必要です。

 繰り返しますが、明日が締め切りです。

> 一応常設の航空鉄道事故調査委員会は存在します、日本にも。
> ただ、権限が弱く人員不足のため実働はほとんど警察・検察だとか・・・(No.21 僻地外科医 さま)

ご紹介ありがとうございました。
そのホームページによれば「一応常設」ですね。
大きな事故のときしか名前が出ないのは、普段は開店休業状態なのか?

海難審判では裁判に倣った厳密な手続きが法定されており、受審人は自分の意見を代弁してくれる海事補佐人を選任する権利があり、不服については最終的に出訴できること(海難審判法)と比べて、
航空機・鉄道事故調査委員会ではそれほど厳密な手続保障はなく、原因関係者は意見陳述の機会を与えられるだけです(航空・鉄道事故調査委員会設置法)。
反面、事故調査委員会は文字通り調査をするだけで、調査結果の公表、国交大臣への勧告や建議といった権限しかなく、強制力をもった処分権限はありません。

医療事故調査の専門機関を設けるとして、どの程度の重さの手続きにするかは、どのような権限を持たせるか(医師免許等に関してなしうる処分の内容)との関係で、考えなければならない問題です。

>YUNYUNさん

これら全てを非犯罪化すべきとのご意見でしょうか?

非犯罪化すべきだと思っているわけではないです。本来「罪」を裁くのであろう刑事訴訟で、「過失」も裁くのは何故なのだろうと言う疑問です。

>YUNYUNさまさま

非犯罪化してくれというのではなくて、犯罪要件を明確にしてくれと言うことですね。困難な作業でも、いくつか類型化して犯罪として認定するものを前もって条件を絞ってもらえれば、そのような犯罪認定されるものを、回避できるからです。現在は、犯罪要件などは設定せずに、事実上、裁量によって犯罪になりますので、それが困る。

まあ、防衛医療をしとけば、そんな心配も不要ですけど。

しまさん

>「過失」も裁くのは何故なのだろうと言う疑問です。

「過失」にも程度というものがあると思います。
先生方も様々な事例を見る中で、「その状況において医師のその判断はありえないよな」
という医療ミスもあるとは思いませんか?
そういう過失による事故の中には過失犯として責任を問われるべきものがあると思います。
要求される注意義務の限界を定める作業が難しいところなんでしょうけどね。

医療分野については不可侵で刑事責任が問われないというような、「夢想」は生産的な考えではないと思います。

>kenji47 さん
>医療分野については不可侵で刑事責任が問われないというような、
>「夢想」は生産的な考えではないと思います。

そのような事を主張されている医師のコメンターは非常にマイナーだと思いますが、
あえて、マイナーなコメンターに焦点を合わせる意義がおありですか?
重過失、意図的な医療過誤にも刑事責任を問うべきでないと主張している医師は
あなたの「空想」又は「曲解」の産物でしょう。

非常に残念なコメントです。

座位さん

いえいえ、すぐ上にそのような主張をされている方がおられましたものでね。

何か、誤解したかなぁ。
だったら、kenji47さんに謝罪します。
夜も更けて、頭が働きませんでした。

業務上過失を裁くかどうかの議論で、医療事故と呼ばれるものを論じる場合に注意が必要なのは、医療という業務ではもともと医師がかかわらなくてもかかわっても業務上過失がなくてもあっても、結果としての人の死亡や障碍は起こり得るものであるということです。

他の業種で生命や身体に直接手をいれる特殊な業務は軍隊と死刑執行人だけです。いずれも国が業務を行うことを免じています。

死亡や後遺障害という結果だけから、免許を受けたものが行う特殊な業務の内容そのものを、一般人の観点の(一般の社会的活動の遂行にあたっては他人への傷害(障害)や死亡を第一義的に避けなければならない)刑法理論だけで、罰するべき犯罪かそうでないかが正しく「診断」できるのかどうか。その「業務上過失」は医師個人の犯罪的誤操作か、システムエラーの引き金になっただけで個人としては善管注意義務を果たした通常操作に過ぎないのか。これに予見可能性をさらに持ち込んで過失と特定し大野病院の事例のように刑事立件することの刑訴法的是非は論議する必要があるのかないのか。

すなわち刑訴法の業務上過失は、各種業務間の目的や業務環境や設備用具用法といった前提条件の違いを十分勘案済みで適用されている、という論理的保証や社会的実績があってこそ医療事故と呼ばれるものを刑訴法下に過失認定できると思います。

例によって長文苦手過ぎてそのうえ不慣れな法律用語を使ってみるともう全く論旨混乱(笑)になっちゃいましたんでここらで止めます。やっぱり専門外では夢想的論しか書けませんね。こういうアレなアタマでは裁判員はとても務まりそうにありません(笑)。

今回は駄文長過ぎのぼーっそーっ、暴走(笑)のぼつでおkコメント失礼致しました。

>YUNYUN さん

 ご指摘感謝、さっそく訂正しておきました。

>No.33 座位 さん
>非常にマイナー

 たしかにこのブログでは「非常にマイナー」だと思われますが、「司法不介入」を主張して聞く耳を持たない方がおられ、そしてその主張はともかく心情に対する理解者がこのブログにおいても少なくないところからしますと、このブログの常連さん以外の医療側全体の中では、はたしてどの程度マイナーなのかよくわかりません。

 このエントリ(民事編も)自体が「夢想」を前提にしたらどうなるかというエントリですが、アクセスはとても多いのです。
 どういう人がどういう思いで読んでおられるのかは分かりませんが。
 コメントの多くは現実的議論が多くて私自身もとても参考になっております。

>kenji47 さん
私の疑問は、刑法そのものに関する疑問です。つまり、過失は罪なのかという問いかけです。

返答として期待していたのは、例えば。

広辞苑で罪を引くと「社会の規範・風俗・道徳などに反した、悪行・過失・災禍」とある。罪を裁くのが刑罰であり、刑事訴訟である以上、過失も刑事訴訟で問われるのは当然の事である。他国でも状況は概ね同じであり、近代法の下では過失は裁かれるものなのである。
アメリカでは刑事で通常の過失は問われず、よほどの重過失または故意的な殺人のみ刑事で問われると言う話があるが、これは懲罰的損害賠償などの制度によって、日本であれば刑事訴訟で問われる分野に対しても、民事で問われているからであり、アメリカでは過失は刑事に問われないと言う考え方は正しくない

と言うような返答なのです。あくまでも思いつきですけども。

このブログでは言い古された解決策だけど、刑事司法手続の前置手続として、医療事故調査委員会の審決制度みたいなものを作るしかないと思う。
まず、医療事故を刑事無問責にするのは、現実的にありえない。
で、問題は、「医療界の通念を基準とすると問題ない事故」が捜査・起訴され、有罪となること。そして、医療の高度の専門性・特殊性からして、警察・検察・裁判所に、「医療界の通念を基準として、問題ない事故」か否かを判断する能力が不十分であることは間違いない。
とするなら、刑事司法手続の前段階に、その判断能力を持った機関の判断の手続をもって来るしかない。
そして問題は、この機関の構成をどのようにするべきであり、その判断の手続をどのようにするべきなのかという点にあるのだと思う。

しまさん

>私の疑問は、刑法そのものに関する疑問です。つまり、過失は罪なのかという問いかけです。

甚だしい過失により人の死傷という結果が発生した場合、その責任を問うべきだという思想が刑法にあるのだと思います。
これは社会通念にも適っていると思いますがいかがでしょう?

例えばですね、コンビニでサプリメントを万引きしたという窃盗犯は故意の犯罪であり被害額は小さくともその主観的態様は悪質性が高いとも言えますが、
これを電車の運転士が重大な過失によって事故を起こし100人以上の死者を出したなどという場合と比較すると、過失だから故意の犯罪よりも責任は低く処罰に値しないということは困難でしょう。
やはり、過失でも刑事責任は問われるべき場合はあると思われます。

それに、アメリカの懲罰的損害賠償について触れられてましたが、
そんなものは払う資力の無い一般人にはあまり関係のない話ですね。
そもそも払えないんだから怖くもなんともありませんw
懲罰的損害賠償が効果を発揮するのは企業に対してくらいのものでしょう(大規模な医療法人には関係のある話かもしれませんが)。

 むかし、刑事コロンボに「溶ける糸」という話がありました。レナード・ニモイ扮する心臓血管外科医が、理由あって、術後合併症死を装って殺人を試みる…というようなお話でした。

 たしかに医者も人間ですから、そんなヤツおらんやろ、とは言い切れません。よって、故意犯についてまで免責にする必然性があるとも思いません。

 さらに言えば、故意犯であれば、一般的な死因究明の方法論では見抜けないような工夫をされる可能性もあります。診療に関連する死亡についての死因究明の制度化の中では、その見逃しもないような制度設計が必要です。

 他方、重過失を指摘されるようなおちゃらけた医療従事者などが出ないよう、多くの現場でそれなりの緊張感を持って仕事が為される文化があります。結果の如何を問わず、あまりに慣習に外れたふざけた態度が見られたときには、上司や同僚からツッコミが入るという点で他の職場と異なるものではありません。

 ただし、医療というのは複雑かつ失敗の可能性の高い作業の連続によって成立するものであり、一回性が高いという特殊性もあって、一定の確率で必ず不幸な結果が生じます。

 事後的には必ず何らかのエラーが指摘できるはずです。

 医療の現場に於いて人の死傷が生じたときに、特定の従事者の過失を罰することに妥当性がないことについては、 ">「人は誰でも間違える」の中で多くのページを費やして論じられています。

 日本では永年にわたって、塩化カリウムの急速静注や経腸栄養剤の点滴静注による死亡事故が繰り返し何度も発生し、その度に現場にいた看護師が罰せられてきました。刑事罰は何の効果もありませんでした。むしろ、個人に帰責することによって、システムの改善が行われずに済まされてきたと言っても、言い過ぎではないと思います。

 人が死んでるんだから、誰かに責任があるだろう、それは誰かを追求すべきだ、ということにエネルギーを費やしても、またいつかどこかで、同じ原因による死亡が繰り返し何度も発生するだけです。

 被害者やその遺族の被害感情を無視することはできないという主張には一定の範囲で同意しますが、ここには個人的法益と社会的法益の間で相互に矛盾が生じています。あるいは患者同士の個人的法益の間で相互の矛盾が生じています。

 どちらかを優先するのであれば、その点についての明確なコンセンサスが必要であると考えます。

 それと、私憤や義憤による犯罪を正当化することは、如何なる理由があれ、あまり頂けません。

故意の犯罪などという為にする議論はむろんですが、リピーター医師の排除をと繰り返す人もいるのが不思議です。現場の実感としてリピーター医師による患者被害より桁違いに過労によるミスや防衛医療による不利益などのほうが多いと思うのですが。

わざわざ改善の実効性が大きいと予想される領域を放置したまま重箱の隅を先に突きたがる理由がわかりません。

>老人の医者さん
>過労によるミスや防衛医療による不利益などのほうが多い
と言う部分は同意します。

しかし、残念ながら、リピーター医師は存在します。我々の側も、知っておかねば成りません。何故なら、トンデモ鑑定医と同様、あるいはそれ以上に、彼らは内なる敵であるからです。多数の善良なる医師の足を引っ張るリピーター医師は、本来は医師会等で矯正しておかねばならない存在です。
以下引用
=======================
リピーター医師 なぜミスを繰り返すのか? (新書)
貞友 義典 (著)
1973年から1995年までの間に、100万円以上の損害賠償を2回以上請求された医療事故を起こした医師は、511人(日本医師会会員のみ)
うち 
2回……391人、
3回……82人
4回……22人
5回以上……16人

>No.44 座位 さん

おや、刑事よりいくぶん民事のコーナー寄りにナチュラルシュートしてませんか(笑)

診療行為の刑事責任の幅について

医師の診療行為が伴う事によって、患者に不利益が生じた事象類型に関して、業務上過失致死として刑事責任を問う範囲が甚だ大きすぎる。
たとえ患者の同意を得て行った正当業務(狭義の違法性阻却事由)の範囲から離れた事案であったとしても、患者病態の複雑性の都合から来る偶発症に関しては、診療行為を行う医師の側は、原因において自由な行為とはならない。
期待される水準で、患者にリスクの説明がなされ、理解をさせ、診療行為を加えていた場合、その説明以外の条件によって患者に不利益が生じたとしても、その条件が、不明の機序から来る極めて稀な偶発的なもの等である場合は、診療行為を加えた医師の側には責任無能が生じるのではないか?診療行為には、どの時代の医療水準においても、常に予見不可能性が内包されているからである。

とても、共通言語に翻訳出来ないんだけど、、、、、、

>ぼつでおkさん
コメントを刑事よりに修正致しました。(No.46) 失礼しました。

いえ、No.45の出過ぎた非礼お許しください。

>No.46 座位 さんのコメント
は、真っ向からど真ん中剛球勝負という感じです。確かな制球力は主戦投手の真面目(しんめんぼく)だと思いました(笑)

なんかボツ相当なボソッ、ばかり連発してごめんなさい。

医療側が法律の運用について法曹界に意見を述べるとき、刑事と民事では意見をいう相手がおのずと違ってくるだろうと思います。

民事の内容について物申したい時は民法の最終判断を行う裁判官判事職の人が相手先に、一方刑事では刑訴法の運用者で業務上過失の摘発を行う検察・警察の人が自然に物申す相手先の念頭上の中心になるのではないでしょうか。

この刑事編のエントリー内では業務上過失で立件された事件事例を中心に、その立件要件について可及的具体的に論じるほうが、議論が集約され易いような気がしましたので、かような出すぎた真似に及んでしまいましたが、これもまた皆様読み流していただければしあわせです。ぼつっ(笑)

No.46 座位 さま

バベルの塔です。
私はお付き合いが長いから、座位さまの言わんとすることはおおよそ想像が付きますが、
その文章を裁判官や検察官に見せても、通じません。
法律用語の使い方がおかしい、というか、法律用語のつもりで使っておられないのかもしれませんが、なまじ法律用語っぽい言葉遣いであるだけに、かえって混乱を招きそうです。

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> 診療行為を行う医師の側は、原因において自由な行為とはならない
⇒ 診療行為を行う医師の側は、その状況を予測したり制御したりする自由を持たない。

※「原因において自由な行為」論とは、責任論における「行為と責任の同時存在の原則」を緩和する理屈であり、
責任無能力状態での行為(酔って前後不覚で人を殺した)についても、その前段階で自らを責任無能力状態に陥れた(自分の意思で酒を飲んだ)点に非難可能性を認めて、刑事責任を問うもので、日本では判例・通説である。

> 不明の機序から来る極めて稀な偶発的なもの等である場合は
⇒ 事前に予測しがたい、または医学的に十分解明されていない機序から来る極めて稀な偶発的なもの等である場合は

> 診療行為を加えた医師の側には責任無能が生じるのではないか?
⇒ そのような事態までも想定して、事前に患者に説明し治療方針を検討せよというのは実際上不可能を強いるものであって、期待可能性がないから、医師に対して刑事上の過失責任を問い得ないのではないか?

※「責任無能」という言い方はない。近い意味の用語としては、「免責」「無問責」(cf.国会議員の院外無問責)くらいか。
なお、「責任無能力」は一般的に法的責任を負えない状態(未成年、心神喪失等)をいう。

> 診療行為には、どの時代の医療水準においても、常に予見不可能性が内包されているからである
⇒ 診療行為はその性質上、どの時代の医療水準においても、常に、予見不可能性をはらんでおり、これを許容しなくては医療は成り立たないからである。

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これは、一般的に想定されておらず、事前に患者に説明していなかった稀な事態が発生し、医師が対処しようとしたけど、結果的に上手くいかなかったケースについて、説明義務違反を問うべきでないという主張でしょうか?

私見としては、医療事故における期待可能性の無さについては、
「予見可能性が無い」ことよりも、「結果回避可能性が無い」ことのほうを重視すべきのような気がします。
医学の進歩により、いろいろな合併症の可能性は知られてくると、予見可能性で切れる範囲は狭くなってしまうのではないか。

cf.割り箸事件第一審
脳に箸が刺さる可能性を想定して診断できなければならないが、もし仮に診断ができていても救命は不可能だったから無罪
(注・判決は救命不可能を責任の有無ではなく、因果関係の問題と捉えています。)

YUNYUN様
素人の付け刃に、お付き合いいただき、スミマセン。
法律用語の使い方としては、赤点なのでしょう。

僕の論点は二つです。
1. 敢て、『原因において自由な行為』と書き込んだのは、
病態の複雑性の前では、いくら予め予想しうる対策をとっていても
医師は、無力で不自由であると言うこと。
だから、前段階においても非難に値しない。

2. 敢て『責任無能』と書き込んだのも、
病態の複雑性の前では、医師は、責任持てない酔っ払いと同等。
だから、科学的に解明困難な事象の前では医師は、相対的無能である。

いずれも、予見可能性でなく、『予見不可能性』という点を、りかいしていただきたいという趣旨です。

モトケンさん

勘違いしないで頂きたいのですが、私は、「未来永劫、司法は医療に介入すべきではない」と主張しているのではありません。「現在の日本の司法」には、医療行為の是非を判断する能力がないのだから、正しく判断できないことに手を突っ込むのは止めなさいと申し上げている。

ところで、理屈としては「医療事故に見せかけた医師による殺人事件」が完全に排除できないとしても、それを議論する意味がどれだけあるんですか。別に、医師はこっちから患者を選んでいるわけではなく(それができればどれだけ楽か!)、向こうから頼まれて診ているわけです。ある医師にとって殺したい患者がたまたまその医師の下を訪れて・・・・とゆう小説的なシチュエーションを想定しておられるのですか。それこそ非現実的では。そんな「理屈上は絶対にないとまでは言い切れないが、社会現象としては限りなく皆無に近い行為」を見つけ出して罰する可能性を残しておくために、全体の99.9999%にあたる善良な医師を刑事罰の恐怖に晒して萎縮させる、ひいては患者の利益を制約する必要がどこにあるのでしょうか。あまりにバランスが悪い。暴論ですよ。

それから、「医療事故の被害者側すなわち患者・遺族側による医療側に対する犯罪行為」の考察は、「医療事故があったこと」が前提にされていますね。しかし実際には、「医療事故があったと思い込んでいる患者側」の犯罪であるわけで、それが刑を軽くする理由になるかは疑問です。また、その裁判において「実際に医療事故があったのだ」とゆう弁解がなされても、それを正しく判断する能力が裁判官にはないのだから、その点に関係なく、専門家に対する暴力的犯罪は厳しく罰する、とゆうことで十分だと思います。

YUNYUN様
翻訳ありがとうございました。
>私見としては、医療事故における期待可能性の無さについては、
>「予見可能性が無い」ことよりも、「結果回避可能性が無い」ことの
>ほうを重視すべきのような気がします。

救命治療時に生じうるリスクとして、患者および家族にあらかじめ説明し
理解させた以外の、予見不可能な、あるいは結果回避不可能な事態が
生じたとき、医師にはどのような、責任が生じるのか?
この点が、うやむやなのですね。

こうした際に、刑事犯罪としての責任を問う、犯罪要件を予め限定して
いただけると、我々医療者側はそれを回避できるわけです。

それは無理だ、予め犯罪要件を限定などできないと言うのであれば、
医療者側の『はじめから結果回避や予見などは出来ない』という弁解も
理解出来るのではないでしょうか?

>その文章を裁判官や検察官に見せても、通じません。

法律用語を使いたい年頃でして、申し訳ありませんでした。

私もまとめて叱られたクチですよね(笑)。どーもお手数かけます。
でも心の中ではひそかに(じゃないかってネタパクリすんません)46のあれはど真ん中だったよなーて思っちゃう往生際の悪いぼけな奴でした(笑)。

>魔人ドールさん

 私宛のコメントですのでここでお返事することにしましょう。
 はっきり言ってあまりする気になれないんですけどね。
 なぜかと言いますと、あなたは医師の又は医療の論理でしかものを言っていません。
 それも医師側だけに立って、しかも医師性善説に立脚しています。
 そして最もたちが悪いことに自分以外の論理を認めません。
 これでは議論の余地がないからです。
 ですから以下の文章はあなたに理解してもらうつもりはありません。

司法の医療への介入を肯定する(否定しない)人々が頭に思い描いているのは、「紛争の内容を正しく把握し、実態に基づいた正しい判断ができる司法」でありますが、少なくとも医療に関する日本の司法の現実を前提にする限り、これがいかに空虚な妄想であるか。

 あなたは医師側が勝訴する裁判の存在を知っていますか?
 もし知っているならば、それをどう理解しますか?
 世の中に完璧な制度などないと知るべきです。
 もちろん、医療もそうです。
 そして世の中に完璧な人間などいないと知るべきです。
 もちろん医師もそうです。
 
 「医療事故が起こった場合、医師はそれを適正に判断して適正額の賠償をするものだ」、と言ったり、「全体の99.9999%にあたる善良な医師」などということを平気で言うあなたはここで発言する資格がないとすら言えます。
 現実から遊離しているからです。

しかし実際には、「医療事故があったと思い込んでいる患者側」の犯罪であるわけで、それが刑を軽くする理由になるかは疑問です。

 あなたは私の発言を理解する意思か能力のいずれかまたはその両方が欠落しています。
 司法制度というものはどういうものかを理解する気がないからでしょうか。

 少なくともこのブログにコメントしている常連の法曹の中には、医師が医療の現実からかけ離れた判決をトンデモ判決として批判することを批判する人はいないはずです。
 どうしてそのような判決が生じるのかについて、私から見ても忍耐強く説明されているだけです。
 そして私を含めて医療の現実を知ろうとする気持ちを持っています。

 私が、医療崩壊問題についてこのブログのテーマの一つとして取り上げて見ようかと思って最初に立てたエントリのタイトルは

医療崩壊に対する制度論的対策について

でした。

 私が「制度論的」と言った趣旨は、「感情論的」の対極として言ったものでした。
 そして「現実論的」という意味も込めています。

 その趣旨は多くの医療側の方に理解していただいて今まで医療関係エントリにおける議論が続いてきたものと考えています。

 あなたはこのブログでいったい誰に対して何を言いたいのですか?
 あなたは医師ですか?
 医師ならば、身元を明らかにしていただければ私の管理しているSNSにご招待申し上げますよ。
 医療側同士での突っ込んだ議論ができると思います。
 議論をしたければですが。
 単なる不満のはけ口ならほかにいろいろあるんじゃないですか。

 もっともあなたのコメントをきっかけにして立てたエントリで活発な議論が行われていることについては感謝しています。
 民事編と刑事編における議論を読まれた感想はいかがですか。
 これこそ議論というものですよ。
 両エントリの医療側の方の発言とあなた自身の発言を比較することをお勧めします。

魔人ドールさんのコメントは、7割方はエンジニアの私も同意できるし、おそらく多くの医師の本音だと思います。
残りの3割方は、おそらく釣りなのでスルーするのが賢明でしょう。

僭越ながら非医療者の方にお教えします。
"マジンドール"という薬があって、主作用は食欲抑制、副作用は交感神経刺激です。
つまり、デブがイライラしていたらマジンドールの副作用かもしれない、と言うわけです。
デブがイライラしている姿を想像しながら魔人ドールさんのコメントを読めば腹はたたないと思います。

こいつも繰り返しですが、功利主義者かつ夢想家であるおいらとしては、
医療の結果に関しては民事刑事ともに介入せず、必要ならば行政的に介入して医師免許の取り消しを含む処分を行うことが一番皆が幸せになると思いますがね〜。

>座位さん

いずれも、予見可能性でなく、『予見不可能性』という点を、りかいしていただきたいという趣旨です。

予見不可能性と言うのは受け入れやすい概念ですし、訴訟の場では通りやすい主張なのではないでしょうか。薬害エイズの東京地裁判決でも取り入れられているように思います。


>魔人ドールさん

理屈としては「医療事故に見せかけた医師による殺人事件」が完全に排除できないとしても、それを議論する意味がどれだけあるんですか

議論しなければ、対処できないわけです。

魔人ドールさんの仰っているのは、例えば原子力関連施設で「バケツで核分裂を起こす可能性が完全に排除できないとしても、それを議論する意味がどれだけあるんですか」と言っていることに等しいかと思います。


>立木 志摩夫さん

医療の結果に関しては民事刑事ともに介入せず、必要ならば行政的に介入して医師免許の取り消しを含む処分を行うことが一番皆が幸せになると思いますがね〜。

医療審議会の現状、つまり刑事訴訟がなければ医師免許の取り消しもできないという現状を見る限りは無理でしょうね。

>立木 志摩夫さん

 そういう選択肢の存在は否定しませんが、これも繰り返しですが民事不介入を実現するためには法制度論的には憲法改正が必要です。

 刑事的には法律レベルでかなり可能だと思いますが、国民の支持が得られるかどうかは疑問。
 

ならば次善の策は、刑事民事ともに不問にすることだと思うんですけどね。
無理でしょうが。

相当なやぶでも、トータルでみればいないよりははるかにまし。
どんな名医でも、完璧からは程遠いということで。

モトケンさんこんにちは。前の文章はしまさんへのコメントです。
まぁ憲法改正は不可能でしょうから、そうなると
1)訴訟の結果が医療全体に悪影響を及ぼしていることを自覚して判例とか法理論とかがドラスティックに変わっていく。か、
2)医療ミスで訴えても勝ち目が薄いような契約書を最初に作ってから診療を開始する、かとかになるのかなぁ。

後者だと嫌だなぁ。

>No.62 立木 志摩夫さん

 横レス御免ということで^^;

 1)が現実的な考え方だと思います。
 最高裁がちょこっと感覚を修正すればいいのではないかな、と思っているのですが。
 ほとんど事実認定の問題だと思いますので、そのガイドライン的な判例が出ればいいのではないかと考えているのですが、民事不法行為の判例を確認せずに書いていますので、他の弁護士さんフォローしていただけるとうれしいです。
 

>立木 志摩夫さん
1.医療審議会を変革して、予算と組織を十分に用意し、能動的な組織にする
2.医師法を改正し、医師会を弁護士会なみの組織に位置づけ、医師会に入らなければ医療行為が行えないようにする
3.医師の行政処分を各自治体で判断を下せるようにする

と言う辺りが現実的な方法かと思います

>モトケンさん

事実認定の問題だと思いますので、そのガイドライン的な判例

具体的にはどのような判例が出ることが望ましいとお考えでしょうか。

No.59のしまさん、最近では、刑事処分を経る前でも審査するようですよ。

でも、いまだに、こういう相談がなされているようですが。
患「あの医師に仕事を続けさせたくない。免許の取消しとかは求められないですか?」
弁「刑事処分がなされないと無理です。」
患「じゃあ、刑事告訴してください。」

ちなみに、弁護士の場合は、個々の弁護士に対する懲戒処分は弁護士会が行います。
懲戒処分については、私のブログ記事(http://puni.at.webry.info/200703/article_6.html)でも見てください。
弁護士会が弁護士の懲戒権を持っているのは、大先輩方が国と血みどろの闘いをして自治権を獲得したからです。
今の政治状況と今の日弁連では、到底無理でしょう。


お医者さんなどから見て、我々法律家の考え方が枠にはまっていると思われる理由の一つとして、我々法律家が「憲法」を学んでいることが関係していると思います。
思考の前提に、「憲法」「国家」「国法」ありきなんです。
立法権も行政権も司法権も、すべて「国家権力」です。
我々は、国家権力により統治されているのです(憲法の建前は国民が統治機関を作って権限を付与しているのですが)。
検察官も裁判官も、「国家権力」を行使しているわけです。
弁護士資格や医師免許すら国によって与えられているものですが、もっとそれ以前に、我々は国民として「国家権力」のもとにあるのです。
そして、行政権や司法権を制限できるのは、国民によって選ばれた国会で作った法律です。
ただ、その法律ですら、憲法を侵すことは許されません。

私の弁護士資格も、国から付与されたものであり、弁護士として何ができるかは弁護士法等で定められています。
ちなみに、日本の弁護士資格なので、外国では、その国が認めてくれない限り、弁護士の仕事はできません。

お医者さんの医師免許も、国から付与されたものでしょう。
ただ、お医者さんの場合は、免許は国から与えられているとしても、その対象とする領域は国家権力や国籍など関係のない「人体」です。
だから、私は、魔神ドールさんをはじめ、多くのお医者さんが、そうした「人体」を扱う医学の分野に、国家権力(裁判権)が知識もないのに無神経に踏み込んでくることが、どうにも耐えられないのだろうと思っています。
他方で、我々法律家は、弁護士も医師も国家権力(裁判権)に服するのは当然だが(「最高裁がそう判断したのなら仕方がない。」)、問題があるのなら制度から変えていくしかないと考えるのだと思います。

>PINEさん
三ヶ月前、医師会と弁護士会の違いを調べていまして、両者の対応の違いで現状が異なっているのだなと興味深く存じました。GHQに「強制参加は罷り成らない」と言われたのは両者とも同じようですが、弁護士は性悪説で考えていたところが違ったと言うことかなと思いました。再度転載します。

 そこで、強制加入の問題についてはこういうことが言われております。長々申し上げませんが、日本の弁護士の歴史を見ると、いつまでであったか私も記憶がはっきりしておりませんけれども、前の弁護士法が制定されるまでは、いわゆる三百代言ということで、資格が明確でない町の法律家が担当しておって社会にいろいろな弊害を流しておるということで、旧弁護士法ができた。ところが、まだまだそういう弊害が今日残っておる、昔の三百代言みたいな弊害を社会に及ぼしておる、であるからわが国においてはどうしても強制加入にして、弁護士の資質を向上させ、統制をとらなければいけないのだという説明が加えられて、そういう事情ならやむを得ぬということでGHQも了解をしたという経過になっておるようであります。

衆 - 法務委員会 - 26号
昭和53年05月31日


医師会改組委員とGHQとによる改組懇談会が開かれた。この席で,GHQは,新生医師会は「任意設立,任意加入」とすべきだと指示した。しかし,医師会の幹部は,強制加入にしないと多数の医師が参加しないのではないかと心配して,抵抗した。
http://www.med.or.jp/jma/50th/pdf/50th122.pdf

医療事故への司法不介入は、現実論として採用されえないから、医療事故に対する司法判断が行なわれる制度を前提とするが、「トンデモ判決」の背景には、この国のメディアの絶望的な偏りと無能力の問題が存在しているように思う。
行政を筆頭として、立法に対しても、司法に対しても、この国の公権力全体に対して、「国民の声」を装った(主に左翼系の)メディアによる偏りに満ちた言論的圧力が加えられている。そのために、公権力の判断がどれだけ歪められているか。どれだけの志ある公務員が無念の涙を呑んでいるか。民間の方々には想像もつかないと思う。
トンデモ判決を書いた裁判官の中には、本心から、そのとんでもない判決が正しい判断だと考えている者もいるだろうが、少なからぬ裁判官が、「患者=弱者=正義  医者=強者=悪」という、メディアの脊髄反射のような偏ったメッセージによる圧力に屈して、必ずしも本心ではない判断を下しているのではないかと推測する。もちろん、メディアのメッセージを受けて行動するナントカ市民団体からの圧力とか、メディアに媚て票を取りたい政治家からの圧力とか、批判されたくない最高裁からの主に人事権限を利用した圧力とかも含めてだが。
そして、これと同じ現象が、警察にも検察にも起きているのではないかと推測する。
公権力サイドにいると、「国民主権」ではなく、「メディア主権」がこの国の現状だと痛感する。そして、そのメディアの絶望的な偏りと無能力が、この国を危険な方向に誘導している。自称「権力の批判者」たるメディア自身が無批判の存在となって傲慢になり、「トンデモ記事」を平気で流すから、公権力の判断が「トンデモ」なものになることが多くなってきているということを、皆さんに知っていて頂きたい。

単純化すると、真実が見えてきません。(ボソッ)

>座位さん

単純化というメッセージが、私宛てのものなのか分かりませんが、よく読んでいただければ、「トンデモ判決の原因は、全てメディアの偏向報道にある」と単純に主張しているわけではないことは、理解していただけると思います。
むしろ、トンデモ判決の原因を、「単純に」裁判所の判断能力の問題とすることに対して、別の、しかも、おそらく重要な切り口の一つを提示したつもりです。
私は、当然あなたの地位を存じませんが、仮に公権力サイドにいらっしゃる方ならば、私の書き込みが単なるピントはずれな単純化ではないということを、分かっていただけるはずだと思います。メディアの偏向報道によって作られる「空気」が、公権力機関の判断にどれだけ影響を与えているかを。

rinjinさん

>医療の現場に於いて人の死傷が生じたときに、特定の従事者の過失を罰することに妥当性がないことについては、 「人は誰でも間違える」の中で多くのページを費やして論じられています。

「人は誰でも間違える」から処罰すべきではないとはいえないと思います。
自動車運転者だって誰でも間違う可能性はあるわけです。
そのすべてに刑事処分を下すのは適当でないとして、過失の度合いの高いものを処罰することには妥当性があるのではないでしょうか?
たとえば、大幅な速度超過あるいは余所見をしたため歩行者に突っ込んで多数の死傷者を出したみたいな事故がありますよね。
それと同様の重大な過失により事故を起こしたトンデモ医師は処罰されてしかるべきかと思います。

過失犯の成立範囲を限定すべしという見解はもっともだと思われますが、
「医業は神聖不可侵」みたいな思想は妥当性を到底受け入れがたいものがあります。


アルブレヒト様へ

では、つぶやきでなく真正面から書いてみますね。

まず、左翼右翼の切り分けは必要ありません。レッテル貼りですし問題点が分散します。次に、「トンデモ判決」の主要因にこの国のメディアを挙げることは不適切です。次に、裁判官が、「患者=弱者=正義、医者=強者=悪」というメディアのメッセージによる圧力に屈し必ずしも本心ではない判断を下しているのではないかと推測する。←この推測の根拠がないため、論理が弱くなっています。全体として、メディア主敵論になってませんか?

トンデモ判決の要因は、
1 医療訴訟に対する司法のシステム不全 (医療の理解困難含む)
2 医療費抑制政策化での、医療従事者の労働環境の悪化
3 マスコミ及びクレーマーによる医療従事者への過度な期待
4 トンデモ鑑定医の存在
大きく4点あります。これは医療崩壊の4要因でもあります。

付言すると、仮に、司法判断の他に第三者機関の判断を設けるにしても、その機関が既存の公権力機関と同様に、メディアに起因する圧力の影響を強く受ける地位に置かれるならば、仮にその機関の構成員が全員医師であっても、その判断の医学的合理性を維持し続けることは困難であると推測します。必ず、「メディアに叩かれない線」という不文の判断基準に直面することとなるでしょう。そして、その判断は、一般の医師から見ると少なからず「トンデモ」なものとなると思います。
民間の方も、この「線」を意識はしていると思いますが、公権力機関の場合は、その意識は極めて強いものです。

>No.64 しまさんのコメント
>1.医療審議会を変革して、予算と組織を十分に用意し、能動的な組織に
>する
>2.医師法を改正し、医師会を弁護士会なみの組織に位置づけ、医師会
>に入らなければ医療行為が行えないようにする
>3.医師の行政処分を各自治体で判断を下せるようにする

非常に現実的な構想だと感服致しました。ややこしい法律論議を避けて解決できる可能性もありますね。ただ、医療側としては第一項で、医療審議会の能動性を医師に対してだけでなく厚生行政内容に対しても対等に発揮できる権限を付与されてはじめて、3項目をワンセットで改革案として受容できるだろうなという個人的予想ですが。

>座位さん

>トンデモ判決の要因は、
1 医療訴訟に対する司法のシステム不全 (医療の理解困難含む)
2 医療費抑制政策化での、医療従事者の労働環境の悪化
3 マスコミ及びクレーマーによる医療従事者への過度な期待
4 トンデモ鑑定医の存在
大きく4点あります。

↑この断定の根拠は何ですか?
また、2は「判決の内容」への影響要因ではないように思われます。3は、私の主張に同旨ではないですか?

なお、わざわざ左翼系メディアと断ったのは、社会常識として、現にメディアのスタンスに左右の別があり、しかも、いわゆる「右」の主張は、なぜか公権力は無視しやすく、影響力が弱いからです。これは、私の職業経験上、間違いありません。その意味で、推論ではないです。
そして、このような私の職業経験を基礎として、また、マスコミのいうところの「強者」に有利な判決が、しばしば左翼系メディアに一方的に叩かれている様を見て、上述のように推論したところです。

確かに、個人的な経験を基礎とした、個人的な観察に基づく、個人的な推論に過ぎないという点で、根拠に弱く、論理も弱いかもしれません。ですが、貴方の主張はそうではないかというと、同じ程度のものに過ぎないように思いますが。

 いわゆる「トンデモ判決」の主要因を、
僕の場合、司法のシステム不全にあると言うのに対して、
アルブレヒトさんの場合、マスメディアの影響力(別の切り口)を
重視していると言う事になりますかね。
 もちろん僕の主張が正しいと、固執するわけでもありません。

おそらく、判事の裁定が、マスメディアの圧力に影響されやすいかどうかの点に、僕との見解の相違があるのでしょう。

>判事の裁定が、マスメディアの圧力に影響されやすいかどうかの点に、僕との見解の相違があるのでしょう。

裁判官がマスメディアの圧力に影響されることは多分にあると思われますが、
マスゴミがいくら馬鹿でも彼らに力を加えて変容させることは許されないので、
方法論としては、司法の側の体制から変えていくしかないのではないでしょうか。

>座位さん

実は、39の書き込みも私なのですが、私も、裁判官等の医療事故に関する判断能力が不十分と思われる点について、全く異論ありません。そして、当然、この点は「トンデモ判決」の大きな原因でしょう。
ただ、私は、メディアの偏向報道に起因する諸々の圧力も、大きな原因の一つだろうと推論しているわけです。これに対して、座位さんは、それは原因ではない、若しくは原因だとしても大きなものではないと主張されているわけですね。
そして、その対立の原因は、ご指摘のとおりでしょう。

座位さんは、もしや、判事ですか?
私は司法関係ではないので、もしそうだとすれば、メディア報道の司法判断への影響力の実情について、教えていただけると勉強になります。もしかすると、裁判所は、私の所属組織とは全く違うのかもしれませんし。

>kenji47さん

仰るとおりだと思います。

で、私は、僭越ながら、
〇碧ヾ愀玄圓琉緡纏故判断能力不十分→第三者機関必要論
▲泪好灰瀛亳報道関係圧力の裁判所を含む公権力への不当な影響肯定論
なので、第三者機関を機能させるために、少しでもこの影響を排除した判断が可能となるような、第三者機関の構成と判断手続を考える必要があると思うわけです。

ふぅ。では、寝ます。
皆様、お疲れ様です。

>座位さんは、もしや、判事ですか?
いえいえ、痴呆の医学系の末端教員にすぎません。
>メディア報道の司法判断への影響力の実情について、
>教えていただけると勉強になります。
こちらこそ、いろいろと御教示下さい。

では、また 失礼します。

 交通機関(航空・鉄道・船・自動車)の場合、悪天候のときは運行を停止して安全を確保することができます。また整備が万全でない場合も運行を停止することができます。
 一方、医療をこれに例えると、たとえ悪天候であっても、地震が発生したり火山が噴火していても、運行を停止できません。むしろ天候が安定していることの方がまれです。しかも、整備不十分であっても運行しなければなりません。これも、人的・資金的な限界から、整備が万全であることの方がまれです。
 こうした状況では、手探りで、その時点で最善と思われることを判断しながら進めていくので、安全に到着することの方が奇跡なのですが、こうした背景が全く考慮されずに、過失のみを一方的に問われることにやりきれない思いが生じてくるのだと思います。
 安全確保のために運行を停止しようとしても、(いわゆる「たらいまわし事件」のときのように)捜査のメスが入ることがあるので、八方ふさがりのように感じるのでしょう。

まぁ、これも繰り返しですが交通機関は便利性と人命のトレードオフですが、
医療は不十分でも行うことで助かる命と、不十分であるから失われる命のトレードオフですからねぇ。

後者について非難されたり賠償取られることが続くと、医療を行うことは少なくなりトータルでみた助かる命が減る、と。

 kenji47 さん、こんにちは。

> 「人は誰でも間違える」から処罰すべきではないとはいえないと思います。

 それは書名なんです。リンクも貼ってあるし、入手も容易です。

>No.27 R_seikei さんのコメント
>元医師(というのは存在しないはずですが)と元司法(というのも存在しない?)の複数の医療事故専門の審判員が、当該治療の専門家や当事者の意見、当該施設の体制、更には国のシステムを検討し、裁決を行う。場合によっては、個人の責任の有無だけでなく、病院の体制の欠陥や国のシステムの欠陥を指摘して改善勧告をあたえる。

「病院の体制の欠陥や国のシステムの欠陥を指摘して改善勧告」、即ち、勤務態勢(病院だけでなく地域、国の医師数)、患者説明のあり方、実際的な医療基準、などに対して、今後に繋がる勧告・提言をして貰える体制があればと思います。

通行人Aさん

>こうした状況では、手探りで、その時点で最善と思われることを判断しながら進めていくので、安全に到着することの方が奇跡なのですが、こうした背景が全く考慮されずに、過失のみを一方的に問われることにやりきれない思いが生じてくるのだと思います。

他の方がすでに何度も述べられてますが、医療というのは行為債務なので、
>その時点で最善と思われることを判断しながら進めていく
のであれば過失を問われないという取り扱いを徹底することが大切だと思われます。

多くの医療関係者の方はご理解いただいてると思うのですが、
こういう判断も医療行為において過失責任を問われる可能性を前提にして、
そのの特殊性を考えて限定して考えていくべきことだと思われます。

にもかかわらず、そもそも、
「医療行為に司法は介入すべきでない」
というような意見がいまだにポコポコと飛び出してくるのはどうしたもんなんだろうかと思ってしまうんですよね。

>No.85 kenji47 さんのコメント
>>その時点で最善と思われることを判断しながら進めていくのであれば
>過失を問われないという取り扱いを徹底することが大切だと思われます。

実際の取り扱いに当たって過失かどうかを誰がどういう立場でどういう方法で判断するとkenji47 さんはお考えですか。医師側は現在判断する主体ではないとされておおいに困惑し現場が混乱しているので、なにか考えるヒントのようなものでもあれば大変有難いのです。

また、福島大野病院の事例について福島地検が過失と認定し起訴して現在刑事裁判中ですが、kenji47 さんは医療が行為債務であるという観点から福島地検の判断が適切であったとお考えなのでしょうか。できれば執刀医の債務行為のポイントを具体的に併せてご教示いただければいっそう勉強になることと思います。

ぼつでおkさん

私はその判断をする知識を持ち合わせておりませんので、提示することはできません。
たしかにご指摘のとおり福島大野病院の事例などは、刑事責任を問うべきか問題があるのだと思われます。

ただ、それは医療行為について過失責任を問える可能性を肯定した上で、実際の事件について過失責任を問うべきか否かという具体的事例についての判断の問題です。
医療行為一般について過失責任を問うことが可能であるということが、具体的事件において過失責任を問えるということを意味するわけではありません。

前提→具体的事例に常に適用

つまり、前提の命題が成立するならば、すなわち後行の具体的事例について適用可能というわけではなく、

前提→具体的事例に適用される
   →具体的事例に適用されない

という両方の場合があり、これをどういう基準を立てて各具体的事例に当てはめるかという問題が重要なわけです。
だから、
>kenji47 さんは医療が行為債務であるという観点から福島地検の判断が適切であったとお考えなのでしょうか。できれば執刀医の債務行為のポイントを具体的に併せてご教示いただければいっそう勉強になることと思います。

そんなこと聞かれても、たしかに福島地検の判断は間違っているのかもしれませんね、くらいのことしか言えませんよ。
しかし、すでに説明したとおり、福島地検の判断が間違っていたとしても前提の命題が誤ってることにはならないわけです。


 過失責任を限定する理論というのはいくらでも考えることができます。
 問題は限定することが妥当かどうか、またはどこまで限定することが妥当かという結果論的な判断であろうと思われます。

 この問題点について、これまで医療側からの、より正確には医療側の代理人弁護士(民事)または弁護人たる弁護士(刑事)からの主張が十分なされてきたのかがよくわかりません。

 今までのことはよくわかりませんが、これから現実的妥当性とその理論的な裏づけの主張を意識してしていく必要があると思います。

 裁判官がマスコミの圧力に影響されるということは医療過誤事件においてはほとんど考えられませんが、マスコミが醸成してきた世間の空気には影響を受けていると思います。

 その意味で、今後のマスコミの論調は裁判の方向性に相当大きな影響を及ぼすものと思われます。

 ぶっちゃけて言えば、医療側から見てトンデモ判決と見える裁判をした裁判官の多くは「まず被害者の救済ありき」という考えを持っていた可能性を感じます。
 裁判における理屈(判決理由)などというものは、裁判官が結論を決めてからその結論に都合のいい理由を考えるという面が否定できないからです。
 
 医療過誤裁判というのは、本来的には(制度設計的には)患者側に不利にできています。
 原告たる患者側にしろ、刑事事件の検察官(訴訟当事者的には原告)にしろ、原告に医療側の過失の存在の立証責任があります。

 そして、法律家の世界では、昔から「立証責任あるところ敗訴あり」と言われているのです。

 つまり、裁判官が医療側を勝たせるべきである、と考えれば医療側を勝たせる理屈をひねりだすことは容易なのです。

 ですから、医療崩壊と司法の問題は、裁判システムにその本質があるのではなく、裁判官のバランス感覚にあると考えています。

> それは検察が医師の医療業過事件の起訴にあたって慎重な姿勢をとればいいのです。

> 制度を変えたり、新たな制度を創設する必要がないという意味で、刑事司法の医療事故に対する介入の消極化は容易だと考えています。

医療については性善説を排除する一方、検察に対しては性善説を採るのは、
やはり身内だからですか。


法律の土俵の上だけで、しかも聖人君子的な法匪側からの視点だけで紛争を見ている人には到底理解できないと思いますが。


>No.87 kenji47 さん
コメントありがとうございます。
>すでに説明したとおり、福島地検の判断が間違っていたとしても前提の
>命題が誤ってることにはならないわけです。
も、論理的に理解致しました(笑)。

医療も人間の行為であり、しかも生命に直接かかわる業である以上高い職業倫理が要求されます。行った医療行為はいわば危険行為ですから、医療記録は診断および治療計画を記載しそれに基づいて行った治療内容を正確に記入し、これを医療行為を行った証拠の第一とするので、倫理に反するいわゆる改竄を行えば刑法で裁かれるのは明白な事です。民事の責任を不法行為で逃れると刑事罰がある、医学生のうちから医師はそういう倫理教育を受けています。

医師がこのブログで「医療行為に司法は介入すべきでない」という時、上記の当然の刑事事件への介入のことを言っているのではありません。
業務上過失の一点について言っております。

医療記録が不正なものでないことが明らかな医療行為について、刑事罰を与えることを目的とした業務上過失行為であるかどうかを判断する時行為債務を適用して債務の大きさを法的に定量判断するとしますと、医療行為という危険行為にもともと許容されている危険度の大きさを判断できない或いはしないままで判断することは、論理的にいって債務定量のための計算式が正しくないので出力エラーを頻発することになるだろうと述べているに過ぎません。

本来は法改正が必須になるような性質の問題ではなかろうと思うのですが、諸般の事情により現在のような状況が出現しているのでしょうね。

 まったくため息の出るコメントですね。
 私は民事司法との比較において刑事司法の方がシステム的に方向転換が容易だと言っただけですよ。
 実際そういう動きもありますしね。

 ただし、ある方向に変えることが容易だということは別の方向に変えることも容易だということです。

 は〜〜

あのう、すみません訂正です。

改行含む14行目の
>医師がこのブログで「医療行為に司法は介入すべきでない」という時、

ブログじゃなくこのエントリー(刑事編)です。訂正してお詫び申し上げます。

>モトケンさん

原告たる患者側にしろ、刑事事件の検察官(訴訟当事者的には原告)にしろ、原告に医療側の過失の存在の立証責任があります

「正当な医療をしているのならば、原告側の主張に対して医師は論理的に反論できるはずだ」と裁判所が考えている節はありますね。

原告側「死因はAである」
被告側「死因はAではない、Bだ」

と言う感じで争っている時、被告側が「死因がB」だと言う事を立証しないと、「死因はBではない以上、Aである」と言う感じで被告側敗訴になっているケースが多いのではないかと思います。


> No.85 kenji47 さんのコメント

 コメントありがとうございます。
 過去のエントリーでも議論され、本エントリーでkenji47 さんも言及されているように、「過失の範囲」について明確な定義(提示)がなく、医療側の認識と非医療側の認識の間にギャップが生じていることが、混乱の一因になっていると思われます。

>>多くの医療関係者の方はご理解いただいてると思うのですが、こういう判断も医療行為において過失責任を問われる可能性を前提にして、そのの特殊性を考えて限定して考えていくべきことだと思われます。

そして、過失を問われる範囲が予想できない中で、上記を理解したからこそ、いわゆる萎縮医療・防衛医療につながっているのではないでしょうか。

>過失責任を限定する理論というのはいくらでも考えることができます。
>問題は限定することが妥当かどうか、またはどこまで限定することが
>妥当かという結果論的な判断であろうと思われます。
>今までのことはよくわかりませんが、これから現実的妥当性とその
>理論的な裏づけの主張を意識してしていく必要があると思います。

診療行為における犯罪成立要件として考慮して欲しいと思うのですが、

A 治療行為について
1 病態が増悪進行しており、
2 代替医療施設の使用が不適切で
3 代替の医療従事者が望めない場合、 
3 時間的制約のため待機できない状態で、
4 救命方法または治療方法の選択肢が限定されており、
5 緊急処置を施さなければ致死又は、相当程度の重大な傷害後遺が予想され
6 その処置が直接の救命または、相当の重大な障害を直接除去する目的でされた場合
は、結果責任を問わない。

B 不作為について
1 極めて稀な疾患であるか、極めて稀な複合要因で生じた病態である
2 診療を担当した医師の診療科又は専門から離れた疾患であり
3 必要に応じて他医への診療又は、再診を勧められている
4 該当施設で該当時間帯に検査又は治療できない状態である
5 患者及び家族と、診療契約を準委任契約として結べない特別の事情がある
場合は、不作為の責任を問わない 

これくらいのことは
立件段階でもフィルタリングして欲しいと思います。

>座位様

>診療行為における犯罪成立要件として考慮して欲しいと思うのですが、

 つまり、刑事訴訟の話になると思いますが(エントリーも刑事編ですし)、先生が上げられた条件を満たしていない医療刑事訴訟はありますか?
 大野病院事件にしてもA3(2つありますね(笑)、両方ともです)でひっかかりますし、杏林割り箸事件にしてもB3,4で引っかかると思います。

 先生のおっしゃっているのは条件のすべてを満たす場合ではなく、挙げられた条件のどれか一つにでも引っかかる場合は立件を見合わせて欲しいと言うことでしょうか?

 

 要するに、医療行為の実情や本質を知らない検事や裁判官が医療事故を交通事故と同じ感覚で処理しようとするからおかしなことになるんだろうと思います。
 
 つまり問題になるのは、どなたさんが言っているように法曹の無能力なのではなくて、無知なのだと思います。

 そこで問題解決のためには、法曹に医療の実情を知らせること、つまり法曹界と医療界のコミュニケーションが重要ではないでしょうか。
 最近、検察上層部が小松秀樹先生の話を聞いたという情報もコメントされていました。
 そういうことであれば、今の(昔または将来はともかく)検察上層部は医療側の声を聞く耳を持っているということになります。

 だったら今はチャンスです。
 医療側ができるだけ多くの情報を司法側に向けて発信するべきです。

 座位 さんが考慮して欲しいといわれている事項は、つまるところ過失の認定基準(規範)とその判断資料のことだと思われますが、司法側にそのような情報が与えられることによって、過失の認定基準が変わっていく現実的可能性があります。

 民事司法の流れを変えるためには、多数の裁判官一人一人の意識を変えなければいけませんが、刑事司法は、起訴権限を独占してその要の位置にあり、かつピラミッド組織である検察の上層部の意識を変えれば、一気に流れを変えることも可能なのです。

 私の意見の前提にはこのような制度論的または組織論的な認識と理解が前提になっているのですが、No.89 とおりすがりさんのように、そのことを全く理解しない人がいることは残念なことです。

業務上過失だけをとりあげようとしてもそもそも罪と罰について論ずることになる以上、議論は尽きることがありません。

しかし結論が出ないまま地球の公転自転に基いて決められた毎日の時間は過ぎていきます。

以前にも述べましたが、軍隊を持たない日本社会では人の身体生命を責任をもって扱うのは司法と医療だけと考えています。

議論はあっても日が昇れば両者とも否応なく自らの業務を行い責務を果たして社会のその日を支えていかねばなりません。

その業務遂行時の心構えとして他業種より両者間に際立って共通項の色合いが強く倫理的に存在すべきものが、「鬼手仏心」ではないかと考えております。

以前も書きましたが、一般的には刑事で医療事故が立件されるのは反対ですが、以下の場合は刑事で立件されても仕方がないと考えます。
一方、過誤ではない医療事故はすべて不起訴とすべきでしょう。つまり、以下は過誤の場合に限ります。

1.リピーターによる医療事故
2.地方の最低レベルの年寄り医師でも間違えないような医療過誤(このレベルの解釈が難しいと思いますが)

リピーターによる医療過誤は同業者が見ても「おいおい、ふざけるなよ。医者やめなよ。」と言いたくなることが多いのです。
例えば外科医師の一部には毎回検査結果を見ないで麻酔をかける人がいます(注意しても直らないんですよね、本当に)。こういうのは内科医師として非常に許せないし、万が一の事故の時に助けてやろうという気にもなりません。私の祖父が亡くなったときも貧血(Hb 5台!)に気づかなかった外科医が未だに許せません(それで結果が変わったわけでもないので訴える気もありませんが)。要するに律儀に検査したはいいけど結果は見ていなかったわけです。おそらく親族としてではなく、自分が上司だったとしてもこんなことは許さないでしょう。それまでもこういう態度の外科医を許せませんでしたが、その事件以来なおさら気にするようになりました。

>僻地外科医 さん
>モトケン さま

 僕の挙げた、立件段階でのフィルタリング(CID 50051)ですが、今の段階では、充分なものではありませんが叩き台として、出しております。
僻地外科医さまが、指摘されているように、and or の問題もあります。

  過去の刑事訴訟に廻った不当と思われる事案や不起訴となった事案、検審で起訴相当などどされた事案から、逆算していく作業も必要だと思います。

(ただ、そのような資料を個人的に取り寄せるためには、法曹資格者のアドバイスが必要ですし、アドバイスを頂くためには、法曹を無能呼ばわりしていた場合には謝罪をしなければならないと思います。僕は、当然、法曹を無能といってるのではありませんで、(それは、職業偏差値を考えれば、一目瞭然ですし)
『理解困難な医療事案を安易に判断判決し、医療崩壊を起こすことは止めて頂き、無能力であることを素直に声明して欲しいと思う。』
との所感は、医療裁判を裁定する上で、理解困難な医療事案を裁定する
能力に乏しいことを指摘強調しているにすぎません。まあ、同じ事と受け取られるかも知れませんし、僕から頭を下げる筋合いでもないです。)

 ですから、僕などからではなく、法曹(判事、検事、(弁護士))と親しい人
から上記のような犯罪要件の明確化による立件の限定を提案して欲しいと思うわけです。

 立件段階での限定以外に、捜査段階での限定にも必要でしょうし、裁定での参考事項にしてもらうことも必要でしょう(検事、警察、判事の各段階での限定)。初犯(疑い)であるか、該当医師のスキルは該当事件以外で問題にされたことはなかったか、等も判断材料だと思います。

 こうした作業を、本来は、最高裁や検察首脳部からではなく、日医などが主導権を取ってコミュニケーションを取っていく必要があるし、その作業が、結局は大きな意味で医療安全(医療者安全含む)に繋がり民事訴訟にも波及すると思うわけですね。

要するに、現在検察が立件の基準として参考にしている非公開のノウハウを推測して、それを医療者、医科学者の眼から見直し、対案を資料として提出できないかということですね。(日医の暇な理事がやってくれないかな)

>座位様

> 僕の挙げた、立件段階でのフィルタリング(CID 50051)ですが、今の段階では、充分なものではありませんが叩き台として、出しております。
僻地外科医さまが、指摘されているように、and or の問題もあります。

 了解です。で、当然私も司法との共同作業による調整は必要だと思いますが、医師会に任せておいてなんとかなる事案でもなさそうです。というか、医師会上層部が「現在の現場の医療、特に救急系の訴訟になりやすい病院の現場」についてきちんと認識しているとはとうてい思えません。

 その意味で今のLMnetはその答えを出す一つの手段になりうる可能性を秘めていると思います(うわ、回りくどい言い回し・・・(^ ^;)。

>座位 さま

> CID 50051の叩き台について

非常に貴重なかつ簡潔な提案だと考えます。私にとっては目の覚めるような記載だと感じました。

単なる繰り返しになって申し訳ないのですが

刑事不介入といってもそれを原則にすることは到底不可能です。
明らかな殺人の意図があるものや到底容認できない行為(これが難しいですが)までも十把ひとからげにすることはルールとして許されません。
しかし「普通の医療行為での不幸な結末」まで「明確な指針も公表されることなく」「医療については『大丈夫ですか』と心配になるほど素人の方に捜査」されることのでは、萎縮医療をしない方が無用心であると思われます。

そこをどうにかできないものかというわけですが、やはり捜査して頂くにしても「ある程度の基準」が明確でない現状では高度な医療はできません。場当たり的に起訴される印象を医療者が持てば、医療現場は単なる「地雷原」でしかなくなります。

今のところ防衛医療に邁進する以外選択肢はありません。今は堪える時期だと考えます。その傍ら、今後医療崩壊後の再生過程における制度の充実を目指したいものです。

>座位さん

現在検察が立件の基準として参考にしている非公開のノウハウを推測して、それを医療者、医科学者の眼から見直し、対案を資料として提出できないかということですね。


検察は医師の意見・厚労省の見解をある程度まで参考にしていると言う意見もありますね。こうなると堂々巡りなのですが。

これまでも検察は、決して勝手に医療過誤に関して過失の判断をしてきたわけではない。必ず数名の専門医に相談の上、判断してきたのだと言う。ただ、そうした相談した医師の意見がばらばらで困っているののが実情なのだとか。相談した臨床医によっては、自分は絶対にミスをしないと思っている方もいるようだ。福島県立大野病院事件でも、結局は検事が相談した臨床医の質に問題があったように感じる。
法医学者の悩み事[結局は医師自身の問題なのかも ]

この検察が困っている部分を、医療側で協力するようにすれば、信頼関係を築く事ができるかも知れません。また、法医学者の悩み事[刑事手続きの医学によるコントロールは可能か]は示唆に富んでいるエントリーだと感じます。

私は整形外科の開業医で、日本リウマチ財団の登録医でもあり、現在約130人のリウマチの患者さんを治療しています。
そのうちの多くは関節の骨破壊があり、疼痛のため就業・家事などを含め日常生活に支障を感じ当院を初診された患者さんですが、そのほとんどは他施設にかかっていたが抗リウマチ治療をしていなかったか、あるいはどこに行っていいのかわからず限界まで耐えてきた方々です。

リウマチの骨破壊は、発症2年以内に進行するとされており、一旦関節破壊が生じると健常な状態に復活するのはかなり困難です。
そのような場合リウマトレックス(MTX、メトトレキサート)の投与が基本であるとされています。(それに加え生物学的製剤の使用がゴールデンススタンダートとされていますがその当否については今は触れません。)
しかしMTXに関しては、2年前に発売以来5年半で134人の死亡例があったと新聞報道され物議をかもしました。
その後も昨年までに約17〜18万人に投与され200人程度の死亡例が報告されており、その半数弱は投与開始より6カ月以内に起こったとされています。

私は患者さんに対して投与前にリウマトレックスの副作用に関しいつもくどいほど説明し、能書のコピーを手渡して、家族会議を開いて「命をかけての大博打をうつ覚悟があるかどうか十分考え納得できたら処方しましょう」と話してきましたが、他施設で当該薬を投与された経験のある方も、副作用に関し十分な説明を受けていない(あるいは受けたかもしれないが十分に伝わっていない)例も時々ありました。

実は当院の近隣数10Km範囲の医療施設では、リウマチ難治例にもかかわらずリウマトレックスを投与しておらず(200床クラスの総合病院なのに薬剤の採用すらしていない)、そのため切羽詰まった患者さんたちが何らかのルートで当院の存在を知り、おいでになるというパターンがほとんどです。

正直なところ医療体制のヒエラルキーの末端の開業医としては、リウマトレックスといえども、死亡例の発現時期の半数が半年以内に集中していることを考えると、投与をためらってしまいます。
ただそれらの患者さんたちはADLにも多大な障害をかかえ、多くの方が自殺まで考えてと後になって口にされておられる現状を考えると、自分がリスクから逃げるとこの方たちはどうなるのだろうという、医師としての矜持から、「覚悟があるのなら一緒に荊の道を歩きましょう」とお話して治療を行っています。
幸いにしてMTXを現在も50人程度の患者さんに投与しておりますが、間質性肺炎や白血球減少症などの重篤な副作用は軽度のうちに見つけることができ、それなりの対応をしたため、今までは大事にいたることはありませんでした。

患者さんには「はっきりいって自分としてはこの薬は出したくない。しかしこれを使わないとあなたは寝たきりになるかもしれない。自分のやっていることはあなたに事故が起こったときは責任を問われ高額な賠償金を払わなければならないかもしれないけれど、といって私が特別なお金がもらえるわけではない、ちょうど保険会社が掛け金はいただきませんが何かあったら保険料だけはお支払いします、というようなもので私にとっては割が合わない。でもこんな状態になっているところに、今私まで逃げたらどうにもならなくなるでしょう、正直いって他所に行ってもらえると嬉しいけれ、でも行く所がないのなら一緒に頑張ってみましょう。」と話しています。
実際リスクを背負ってMTXを処方しても、湿布だけの場合と比べて処方箋料が割り増しになるわけでもないし、他の患者さんを待たして長時間説明しても指導料もいただけないという現状には納得はしていません。

傍目には多くの方からの信頼と感謝を受けながら日常診療をしているように見られていますが、実際にはもし何かあると大学病院のように事務方がトラブルの対応をしてくれるわけでもなく、他の病院に転勤するなどの逃げ道もあるわけでもないので、一度失敗したら自信を喪失して診療所を閉めることになり、多分二度と患者さんを診る事はできなくなるのではないかとの不安に怯えながら毎日を送っているのが実情です。

それにつけても昨今の結果責任のみを問う医療バッシングを見るにつけ「俺がやらなきゃ誰がやる」といった馬鹿げた使命感だけで支えてきたモチベーションが日に日に低下してくるのを感じている今日この頃です。

>No.105 take さんのコメント

私ぼつでおkは危険な毒物であることが周知のMTXを自分の寿命を削る思いの医師の裁量で複数の他人に服用させている整形外科の先生の行為を目にした時、それをのまなければ死ぬことはないがのみ続ければ誰かが必ず死ぬ予見可能性がある行為を、回避義務を冒して投与し続けている業務上過失行為いやこの場合未必の故意に基づく殺人未遂行為の可能性すらある犯罪を目撃したとして、市民の義務として刑事告発するでしょうか。

医師である私は絶対に告発致しません。付言すれば一旦医師となった以上その立場以外の社会的存在となる事は意識ある限り私にとって不可能なことですので、市民としての私もまた絶対に告発することはあり得ません。この先生の行いに業務上過失の存在自体観念上からして認識できないのです。社会的にはン十年間税金を完納し続けてきている普通の一国民でありますが(笑)。

たとえ実際に誰かが亡くなって、そのときだけ処方されたMTXの量が処方システムの中のどこかのうっかりミスで一桁違っていたとします。その場合でも私の目には注意義務違反や回避義務違反の業務上過失致死や未必の故意にもとづく殺人という刑法犯罪はまったく映らないでしょう。その一桁違う量で死亡と言う重大結果につながったうっかり処方ミスに関わったすべての人を含めて、過失や故意の区別なく犯罪行為をどこにも見ることがないでしょう。
この場合、うっかりミスがあって結果が重大でも、死亡したのが私の身内や肉親であっても私には刑法に問うべき過失とは全く思えません。

検察・警察の方は私のこのような医療刑事犯についての感覚、いわば刑法への遵法精神状態について、私を重過失犯罪者予備群の一人と評価なさいますか。

>No.106は、私の書き方がよくありませんでした。

文中の過失という言葉はすべて刑訴法の業務上過失と言う意味で使っています。

うっかりミスと言う言葉は刑法上の過失と区別するために用いた言葉ですが、ヒューマンエラーと同義のつもりで使いました。106ではうっかりミスの倫理的有責性やいわゆる社会的道義的有責性を否定するものでは全くありません。紛らわしい言葉を用いてしまって論旨がわかりにくくなった私のミスです。
従いまして最後の問いかけの部分も意図がわからない飛躍した質問の様相を呈してしまっており、議論の混乱を招く恐れが大きいと思われますので、106では下記の部分を削除訂正申し上げます。
(削除)
>検察・警察の方は私のこのような医療刑事犯についての感覚、いわば
>刑法への遵法精神状態について、私を重過失犯罪者予備群の一人と
>評価なさいますか。

民事と刑事の概念の混乱をきたしやすい分野だと存じますが、刑事編のエントリーながら106で述べた内容については民事に関する事項への私の態度も私見に基づき明らかにしておく必要があると感じましたので、削除した部分に以下を加筆訂正させてください。
(加筆)
またうっかりミスで私の身内や肉親或いは私自身が死亡した場合でも、逸失利益に基づいた求償請求は一切行わないでしょう。治療を受けなければ死亡しなかったとしても、利益を得られる生活を送ることはできなかったからです。

以上、取り急ぎ訂正してお詫びいたします。

No.56 モトケンさん

「医師側が勝訴する裁判の存在」は知っていますし、それに対する「理解」も以前説明したとおりです。裁判の結論としては、結果として正しい結論になったが、別に、医学に対する深い理解に裏打ちされたものではないです。マークシート試験でも偶然正解することはあるでしょう。

現実から遊離しているのは貴方じゃないですか? 弁護士や検察官、裁判官が、自らのミスを認めて、医療関係者に自発的に弁償したことありますか? それに対して、病院が自発的に弁償するのは、報道されているケースだけでもしょっちゅうですよ。もちろん、公表を望まない患者さんもいるとゆうか、その方が圧倒的に多いから、実際には報道されたケースの何倍、何十倍も、自発的、良心的かつ適切な解決がなされているのです。それから貴方、医師の殆どが良心的に仕事をしていることを疑っているわけですか。つまり、故意に患者を傷つけるような医師(そんな人は既に医師とは呼べませんが)がそんなに沢山いるとでも? 医師、医療従事者に対する侮辱、冒涜もいい加減にして欲しいものですね。

私は、医師性善説に立脚してなどいません。問題のある医師も絶対にいないとまでは言わないと何度も表明しているじゃないですか。ただ、いつも文字通り必死の、死にものぐるいの努力を重ねて、100点満点とは言わないまでも98点平均の成績を取っている生徒が、不可避的な理由で、たとえばそもそも60点満点であり61点以上は取りようがない試験で60点だったからといって、犯罪者の汚名を着せて社会から抹殺するような司法のあり方に疑問を投げかけるのはそんなにいけないことですか? 

これも繰り返しだけど、司法が医療に介入することで何らかのプラスの効果があり得るとしても、その前提として、「司法が正確な医療判断ができること」が必要です。この前提を欠いている現在、介入することはマイナスでしかない。だから、前提を達成するまでは無益な介入を控えて、将来、前提条件を満足した後に介入すればよい。極めてシンプルな考え方だと思うのだけど、何故それができないのですか。


これが医療とか警察だったら分かるのですよ。多少リスクがあっても、それをしなければ人が死ぬかもしれないのだから、踏み込まざるを得ない場面がある。でも、医療過誤裁判は違うでしょう。裁判所が判断を回避したからといって、人が死ぬわけじゃないし、事故原因の解明が妨げられるわけでもない。

もちろん、「本来救済されるべき、真の医療過誤被害者が救済されない」とゆう可能性は、論理上は、一応残りますよ。でも、今の医療訴訟が年に1000件ですか。その自称被害者のうち何パーセントが真の被害者でしょうか。訴訟を起こすとゆうことは、病院が補償に応じなかったということですが、多くの通常の病院は本当にミスがあれば誠実に補償するのだから、その1000人は、ただ医療過誤があったと思い込みたい集団である可能性が極めて高いわけですよ。仮に、そのうち3パーセントが「真実の被害者」だと(かなりに多めに)見積もれば、1000人中30人。そして、司法が医療過誤の判断を正しくでき、かつ、損害の算定も妥当である確立が3パーセントだと(かなり多めに)見積もれば、30人中1人。つまり、司法の医療への介入を許すことで「正しく救済される原告」は、おおざっぱに見て年に1人いるかどうかですよ。一方、その介入を許すことによって999人の原告が病院から不法に利益を受け、1億2000万人の国民が潜在的な被害を受ける。どちらが社会にとって望ましいのか、明らか過ぎるくらい明らかです。

>No.108 魔人ドールさん
横から失礼致します。

ここは意見を述べ合う場と心得ております。法廷や学会上のようないわゆる制約なきディベートでその時その場だけの勝ちを得ようとは(殆ど)誰もしていないのではないでしょうか。
また皆で議論を積み上げると言う作業のスムーズな段取りを考えますと、個人のコメントに反論する場合、できるだけ最新のものについてお願いしたいと思います。
番号の古いコメントがなされたあとここにいたるまでには議論の積み上げがなされており、各論者の問題意識もその影響を受けて自然に変化してゆくものですから、番号の古いひとつのコメントだけを目標とした議論は見かけ上対象を論破しているようでも実質は現時点においてすでに的外れであり、あなたをはじめ吾々医師が非難しているトンデモ判決例の如く「後出しの論理」そのものになってしまっていることを、今一度ご賢察賜りますよう老婆心(老爺心?)ながらお願い申し上げる失礼をお許しください。

>No.108 魔人ドールさん

もちろん、「本来救済されるべき、真の医療過誤被害者が救済されない」とゆう可能性は、論理上は、一応残りますよ。でも、今の医療訴訟が年に1000件ですか。その自称被害者のうち何パーセントが真の被害者でしょうか。訴訟を起こすとゆうことは、病院が補償に応じなかったということですが、多くの通常の病院は本当にミスがあれば誠実に補償するのだから、その1000人は、ただ医療過誤があったと思い込みたい集団である可能性が極めて高いわけですよ。仮に、そのうち3パーセントが「真実の被害者」だと(かなりに多めに)見積もれば、1000人中30人。そして、司法が医療過誤の判断を正しくでき、かつ、損害の算定も妥当である確立が3パーセントだと(かなり多めに)見積もれば、30人中1人。つまり、司法の医療への介入を許すことで「正しく救済される原告」は、おおざっぱに見て年に1人いるかどうかですよ。一方、その介入を許すことによって999人の原告が病院から不法に利益を受け、1億2000万人の国民が潜在的な被害を受ける。どちらが社会にとって望ましいのか、明らか過ぎるくらい明らかです。

 あなたはこの文章中の「3パーセント」という数字の客観的根拠を示すことができますか?

 これ、刑事板ですよね?附帯私訴の話ですか?

>No.111 rijin さん
のおっしゃるとおり、私も107あたりからナチュラルシュート(笑)しちゃってます、すみません。座位さん、面目ないです(笑)

医療者ですが、刑事罰で、日本の国(国民)がより幸せになるのなら別に受け入れるべきと思っています(現在そうなっているはず)。やはり、主体は日本国民ですからね。

rijinさんのおっしゃるように、このエントリーは刑事編ですからNo.38、No.40、No41-42のところでなされていた議論が本筋のような気がしております。
業務上過失とは何か、という原点を問うような議論ですね。

私はNo.59でしまさんがあげられた事例に興味を惹かれました。
>例えば原子力関連施設で「バケツで核分裂を起こす可能性が完全に
>排除できないとしても、それを議論する意味がどれだけあるんですか」
>と言っていることに等しいかと思います。

この事件で業務上過失致死(死亡者がありましたね)に問われたのは誰だったのか、恥ずかしながら記憶にないのですがご存知の方はおられますか。

No.110 モトケンさん

 もちろん、仮に置いた数字ですよ。1パーセントかも知れないし2パーセントかも知れない。文脈から分かるでしょう。

 医療過誤被害者と称して病院にいろいろな要求を突きつけてくる連中の資質については、多くの先生方から繰り返し指摘されているでしょう。全員がそうとは言わないけど、多くは、医療過誤があったと思いこみたいか、金が欲しくて難癖つけているかですよ。それまでは全く見舞いにも来なかった遠戚が、金になりそうだと見るや、突然ねじ込んでくることも多い。
 
 そして、自称被害者の資質がどうあれ、本当に過誤があれば、基本的には、適切な、常識的な額の補償を病院がするわけですよ。裁判をするまでもなく。したがって、原告のうち「真実の被害者」の割合はいっそう下がるわけですよ。裁判所の判断能力については、散々言われているからいまさらもういいでしょう。

 ところで貴方は、「裁判所が医療問題について正しく判断できる確率は97パーセント以上ある」とでも仰るのですか? その「客観的根拠」とやらを、是非ともお示し頂けませんか?

 このエントリは「刑事」だから話を戻しますが、ロッキード事件のときに、検察官と裁判官が共同で「不起訴宣言」とかゆうのを出したことがありましたね。要するに、何か法律上責任を問いうる事情が今後発覚しても、それについての裁判はしないとゆう内容の。医療について法律(憲法?)を改正するのが難しいなら、その宣言を使えばいいのではありませんか。今後、医療行為について裁判をすることはありません、だから安心して職務に精励して下さいと司法当局が公に表明すればよい。もちろん、福島事件等、現在進行している事件についても裁判を中止して、医師と国民に謝罪することも必要ですが。

 過失犯を処罰しても事故の再発防止にはつながらないことは明らかです。特に医療のように、個人の特定の手技だけを取り上げても事柄の本質は分からず、システム全体に対する考察が必要な分野については、原因究明のためには免責を保証して調査をすることが世界の常識です。そのうえ、医療事故について司法が正しく判断することはできません。いかなる点から見ても、医療事故を処罰しようとするメリットは何もない。私が分からないのは、これだけ簡単なことがなぜ法律家に分からないのかとゆうことです。

>No.115 魔人ドールさん
医師と判事のいずれが是か非か、そんな大まかな事を論じているのではありますまい。

報道の不確かさはすでにお判りでしょうが、その報道が医療事故とした場合、医療事故の名に隠れた殺人が絶対行われていないなんて誰もいわないでしょう。それを見つけるには捜査をしなくちゃ始まらない。医療事故に警察・検察が介入する社会的要求は大きいのです。

あなたがおっしゃりたいのはその事案が事故か殺人かの最終的判断を医師だけが行い司法は口を出すなということだ、ととられても仕方のない言い回しです。

職業の違いによって人間の判断能力に上下の差が生じるとおっしゃるなら傲慢との謗りを受けることは避けられないでしょう。
そして、傲慢な人が常に正しいことを言っている確率は100%じゃあないでしょ(笑)

>魔人ドールさん

 同じ話の繰り返しですね。

ロッキード事件の不起訴宣明書(が正しい表現)は、事情と理解が違うと思いますので、二言三言。
1 まず、共同で出してない。
あれは検事総長が起訴しないでしょうと約束した(証言内容はほぼ判明しており、証言調書という形で欲しかった)。それではアメリカが十分と言うので(日本の司法制度を知らないため)、最高裁が「検事総長の言は将来も守られるでしょう」(最高裁が何か約束したわけではない)と言っただけ。
大義のために小義を捨てたが、それも数十年の後に最高裁で法律に規定がないので違法となりました。
マスメディアの表現が悪いので誤解するのも無理もありませんが。

2 次に、基本は贈収賄であり、いわゆる(具体的)被害者のない犯罪で、医療事故と一緒にすることは出来ないでしょうね。
医療事故の場合は、それがいずれ証明出来るかどうかは別として、一応具体的に被害を受けたという人が存在しています(大義と小義が明確でない)。
場面は違うのは承知していますが、それをバッサリ切り捨てることは無理でしょう。
それに先に述べた通り、最高裁で違法とされましたので、ますます使えず、使えば結局、国が国賠訴訟で負けるでしょう。

3 もともと売り言葉で言ったのでしょうが、もしそうでないとしたら困りますので、念のためマジレスしました。

訂正・・・1の三行目「アメリカが十分と言うので」→「アメリカが不十分と言うので」m(_ _)m

>魔人ドールさん

そして、自称被害者の資質がどうあれ、本当に過誤があれば、基本的には、適切な、常識的な額の補償を病院がするわけですよ。

 説得力のある根拠をお持ちですか。30年以上にわたる私の医師としての経歴から見て、とても信じられない内容ですが。

よく見ると魔神ドールさんの論旨は私がNo.116で書いたことではなく、業務上過失に限って書かれたもののようです。誤読してしまい申し訳ありません。謹んでお詫び申し上げます。ただ、司法と言う語を用いられますと、判事職の人に対してのご意見なのか検察官の人に対してのご意見なのか、読んでいて判断しかねる部分なので、できれば具体的に表記くださるようお願いいたします。

魔神ドールさんが司法の不介入をこのように尖鋭的にご主張なさる背景を考えるに、やはり最前線の先端医療の現場責任者である医師が医学的に高難度の治療を行おうとした時、治療が高難度であればあるほど現在の刑事司法から受けるプレッシャーが飛躍的に増大している為であろうと想像されます。病気は待ってくれませんから。
口は悪いが魔神ドールさんは腕のいい医師でおられるのではないかと想像を致しております(笑)。

法曹の方々へ。
私が司法不介入という夢がほぼ絶対に不可能な夢であるという事実を悟ったのはつい最近でして、単純なようで結構難解な話だと思っています。
私は魔人ドールさんに同調するつもりはないんですが、魔人ドールさんと類似の怒りをもっている医者は相当に多くて、ここに出入りする物分りの良い医者よりもずっと多いのかもしれません。裏山には膨大な数の魔人ドールさんが控えていると考えて良いでしょう。
法曹の方々から見たら「医者は常識が通じなくて気に入らない」からと言って、そういう医者たちを切り捨てれば、それすなわち医療崩壊が加速するだけでしょう。
あまりカリカリせずに上手な説得を続けてください。

>No.122 峰村健司 さん
メチャメチャ自制してはるやん。

>峰村健司 さん

 聞く耳を持っていただけるのであれば、いくらでも何回でも説明します。

 すでにお二人がそうされていますが。

>「医者は常識が通じなくて気に入らない」

 私はこういう一般化した言い方はしていないつもりです。

 「魔人ドールさんは・・・」と言っています。

 多くの医師が魔人ドールさんと同様の怒りを持っておられるであろうことは容易に想像されます。
 しかし、魔人ドールさんよりははるかに論理的にお考えになっているだろうとも思っています。

 常連さんにとっては魔人ドールさんの発言が周回遅れであることが明白でしょう。
 しかし、通りすがり的訪問者から見ればそうとは限りません。
 通りすがり的訪問者さんが、魔人ドールさんの発言によって、このブログにおける私と私以外の弁護士のスタンスについて誤解するようなことは容認しがたいことです。
 多くの医療側の皆さんの考えを誤解することも同様に容認できません。

 今のところ、医療側の方たちからのコメントがありますので私もかなり自制しています。

 言うまでもないかも知れませんが
 私は本来、相当論争的なんですよ(^^;

追記
http://www.yabelab.net/blog/2006/10/20-165202.php#c51031
こういうコメントを書く人もいますからね。

昨日このブログを読んで寝たせいか、妙な夢にうなされました。
ふと、目を覚ますと遅刻しそうになって、病院へ急ぎました。病棟についてみると一人も医師がいません。
聞いてみると、診断用コンピュータが入って、8割方自動診断可能となったため、いなくても良くなったと看護師。代わりに弁護士さんがおり、超高速に契約書を作成しながら診療に当たるそうです。全ての病室や処置室ではビデオが撮られ、録音されており、会話しただけで翻訳コンピュータで法律文書に書面化可能とのこと。
しかし、実際の診療は弁護士さんでは無理なので、ロボットの手を借りながら看護師がするそうです。
…めまいしながらフラフラと手術室に行ってみました。なななんと!そこでは、裁判官が執刀しているではないですか!恐る恐る尋ねてみると、帝王切開をしているんだが、癒着胎盤だったので子宮全摘術をしていると。福島の大野病院事件以来、裁判官が手術方法を決定するようになったのだそうです。手術の教科書も裁判官によって執筆され、それに基づいて医師が手術していたのだそうです。ただ、医師が未熟なのか、その通りしてもうまく行かず、ついに医師全員が逮捕されてしまい執刀医がいなくなってしまったのです。そこで裁判官登場と言うわけです。
彼はピンセットで胎盤をチョンチョンと引っ張って言いました。ほらね、癒着しているでしょう?!私はそんな少し引っ張ったくらいでわかるのか不安になり尋ねました。
彼は答えて言いました。「癒着胎盤かどうかは裁判官が判断するので法的にはまったく問題ない」とのこと。また、万が一不幸な転機となっても、司法の行いだから免責だし、国民は、法的に正しいことをして死んだってしょうがないと納得しているのだそうです。なるほど、患者が納得しているのだから問題ないか…。妙に納得しながら私は手術室を後にしたのでした。
ここではっと気がつき、今度は本当の朝を迎えられました。

ん?!これって、正夢?30年後の日本?!

すいません。フォントでか過ぎ!

魔神ドールさんはモトケン先生を最高裁長官か検事総長(笑)と勘違いされておられるような気がします。それほど極端でなくても、元検事というご経歴に対してなにか、辞めてなお現役の検察官の仕事に大きな影響力を持つキングメーカーのような隠然たる存在(笑)でおられる、くらいの誤解があるような気がしました。
現役の検察官や裁判官はそれぞれに司法を実現させるための裁量を認められた国家公務員組織の一員として、一体性と独立性と安定性を併せ持つことが厳しく求められますが、それを辞めて弁護士事務所を開業された人は裁量権を失いわれわれ一般国民と同じく司法の裁量下に入ります。
モトケン先生、これで間違ってないですか(笑)

このブログはそういうモトケン先生が開いた私塾のようなものだと心得ております。普通寺子屋に通うにもお礼や講義料を払うものですが、先生は金持ちでもないのに心意気で向学心ある者のために無料で24時間ネット開放しておられます。その大きなお心に魅かれて心ある弁護士さんはじめ法曹の人たち、医療界の人たち、様々な職種の公務員や民間人の方々が集まってきている様が、さながら塾の教室の中にいるように思えます。

塾生としてのマナーを失う事がないように自問しているつもりですが、毎度ついつい変なほうに外し過ぎる天然ぼけなぼつでおkの、今朝の不思議の国の「笑い」でした(笑)。

>不思議の医療のアリスさん

 fontsizeを5ptにしました。

 なお、大野病院事件ではまだ裁判所の判断が出ていませんので、正夢を見るのは早すぎると思います。

過失認定の困難さは、日々臨床に携わっているものとして実感します。
中心静脈栄養のための静脈ルート確保もその一例です。
十分手技に集中してしているつもりが、鎖骨下動脈をついてしまうことが時々あります。運が悪ければ血腫を作ってしまい、窒息することもあります。20年やってますが、失敗をなくするのはまったく不可能です。より安全な鼠径部より確保するとしても、亀田病院事件のように腹腔内に出血させ、失血死(真相は違う可能性もありますが)することもあるわけです。医学の常識的にありえないと思っても、臨床の現場で自身がレアケースを体験して、ああ、こんなケースもありうるのだ、臨床は何でもありやなーと驚くこともあり、人体の奥深さに畏怖の念を感じることがあります。やはり、人体は神様の作ったものであり、人間が作った車の修理とはわけが違うと思いました。やはり遺伝子(設計図)は一人一人違うのだ。

もうひとつ刑事にかかわらず、裁判の問題点は、判決まで時間と労力、費用がかかる点です。トラックの運転手が業務上過失致死に問われることはおそらく一生にそう何度もないでしょう。しかし、毎週のように主治医をしている患者がなくなっている医療現場では、もし全て立件すれば一生に1000回ぐらい裁判を受けることになるでしょう。100件に1件としても立ち去りがたサボタージュを決意するのに十分な数でしょう。パパッと即日判決が出れば精神衛生上ももっと良いでしょう。自身に不利な判決も、はやく乗り越えられるでしょうし…。立ち止まっていては、次から次に裁判はやってくるのです。

法医学者の悩み事  本当に警察が悪いのか?

momohan先生は、医療関連死は、すべて、司法解剖で証拠保全をして、さっさと不起訴処分にするのが理想と考えておられるようです。
現在の、予算とマンパワーでは不可能ですけど。

ブログ主と、警察官との会話が興味深かったので一部引用します。

先日、検視官(警察官)と話した会話は印象的なので、を以下に記載しておく。

私「医療関連死、現行制度では、警察に届出ることになっているが、医療事故を捜査する気などないでしょう?」
警察「医療事故は面倒くさいのでやりたくない。ただ、遺族が医者を疑っている場合は、刑事の方でも動かざるを得ないので仕方がなくやっている。」
私「殆どの医療事故など、刑事でやっても意味がないのだから、ヨーロッパのように捜査機関は証拠保全だけやって、早々に不起訴処分にでもして、示談や民事で活用できるように情報開示したらいいんじゃない?」
警察「その意見には賛成だけど、検事が許さない。検事は、現場も知らず、あーだこーだ行ってきて困る。司法解剖をして、不起訴やむなしというようなニュアンスで書類を検事に送ろうとすると、検事がもっと調べてから送れとうるさく言って来る。その結果、書類が検察に送れずに、継続捜査中との事で、警察署につみあがる。そうなると、情報も開示できない。」
私「なんか、制度や法律が悪いと言うより、働いている人が死因究明の全体像に関して無知で未熟なあまり、運営の方法を間違えてるんじゃないですか?もっと国民に対してサービス精神をもてないものかねえ?」

是非全文ご覧ください。

 不思議の医療のアリス さん、こんにちは。

> ん?!これって、正夢?30年後の日本?!

 最高裁判決まで30年も待たなくて良いだろうと思います。…よくわかりませんが、10年ぐらいでしょうか?

 ただ、診断プログラムの作成と安定化までには時間がかかるだろうと思います。

…知識だけは一杯に詰まった国試合格直後の研修医を、一人前の医者を育て上げるまでと同じかそれ以上の手間暇が必要なはずですから。

rijinさん、こんにちは。

遠い未来のことは分かりませんが、とりあえず今一番心配しているのは、国が、医療事故調査委員会のようなものを立ち上げると言っていることです。もちろん、立ち上げることそのものは大変歓迎すべきことなんです。
しかし、医療事故調査委員会を立ち上げたとして、患者さん側は、医療機関からの申し込みだけでなく患者(及び家族)が駆け込めるようにしてほしいと要望しております。これは大変もっともなご意見なのですが、残念ながらその結果、システムがすぐパンクするのではないかと言うことです。
日本では、年間約40万人の人が病院で亡くなっていらっしゃいます。このうちのわずか0.1%の患者さんおよびご家族が、駆け込んできたとしても、年間400件の調査依頼があることになります。400件の案件を調査するのに、いったい何人の人員が必要でしょうか?これをまかなうには相当な予算が必要でしょうねえ。冗談ですが、これほどまで不安を煽り立てたマスコミの報道姿勢に対して、誰かが審査して、認定されれば「不安あおり税」を徴収したらどうでしょうか?!
ともあれ、難題山積ではないかと愚考しております。

モトケンさん

お礼を忘れていました。フォントありがとうございます。
ここは勉強になるとともに「熱い」ブログですね。ついこちらもまだ春なのに熱くなって書き込んでしまいます!尚、夢の内容は他意はありません。

通常の医療行為を刑事罰に処するべきかと考えると、否定的な意見を私は持ちます

一般予防(他の医師への警告)の意義にも乏しければ、特別予防(当該医師への戒告)という意味にも乏しい、今の医療への刑事介入は弊害が大きすぎるでしょう。

刑事罰は民事と違って、私人間でなく、医師という個人への国家の介入ですから謙抑的である必要があり、「9人の悪人を逃しても、ひとりの冤罪を許してはいけない」という本来の刑事裁判制度からいっても、通常医療に刑事介入する場面は乏しいと思われます。

過失は本来罰すべき対象でない(条文がない限り)というのが日本の刑法の根幹だったと理解していますが?
医療とは、ある程度の過失を容認した中でしか、実施できないものであることを一般に理解してもらう必要があるし、一般に理解される前に、検察に理解してもらう必要があるでしょう。
罰することに意味がないものは、国家として罰するべきものではないからです

さらに言うと、現今の刑事訴訟を見る限り、99.9%の有罪立証能力がない限り、検察側も起訴に及び腰にならなければならないし、刑事訴訟の本旨を考えても、そうあるべしと思います
福島事件などは、検察は自らの能力を自省して取り下げるべきだろうし、おそらく今後は刑事訴訟については控えめになることだろうと見ています。

民事についての意見については、後日また。。。。

> No.134 Med_Law さん
というより、私の考えでは答えはもっと明白で、「通常の医療行為に伴う医療事故の類(合併症も含めて)で医師が逮捕されたり有罪になってしまったり、賠償を払っていたりしては、そもそも医療という侵襲的な行為は成り立たない」ということなんだと思います。その点では私は刑事と民事は差がないと思っています。
ただ、過失がある場合は(確かに刑事では馴染みませんが)民事では問われてしかるべきと私は考えています。そしてその過失が誰からの目から見てもひどい場合は刑事立件もやむを得ないでしょう。
しかし第三機関はそれとは別の次元の問題として私はとらえています。その目的はあくまでも原因を追及し、発表し、医療をより事故の少ないシステマティックなものとして構築していくデータベースとして機能させていくことです。そのための第三機関だと私は考えておりますので刑事事件として取り上げる代わりとは考えておりません。あくまでも原因追及のための機関と位置づけるべきと思っております。

これは今の日本の刑法とは相容れない考え方であると思いますが、むしろ他の先進諸国では当たり前のことだと思うのです。

>No.135 yama さんのコメント
に関連して述べてみたいと思います。
研修医という明らかに知識はあっても腕のない状態での治療行為について
どういうふうに法的責任を問うのが妥当かと考えたときに、いわゆる医療でない健康食品や民間療法で健康被害が生じたときにどの程度の刑事責任や民事責任を実際に問うているのかの判例が参考になるのではないかと考えます。

また研修中の医師が事故を起こした場合、その事故発生時に上級医が少しでも指導的関与があったばあいは研修医の責任を含めて医療側は刑事免責で医療機関本体が民事賠償を行う。事故発生時に上級医がまったく関与していない時研修医の刑事責任を問うが第二級傷害と確認されれば書類送検のみで不起訴とし、民事の賠償責任は医療機関が負い、研修医については資格身分関係の処分のみを行う。

これくらいの段階的刑事免責規定を作らないと、医師の養成という社会からの根源的要請が現実的には果たせないでしょう。

ごめんなさい、>No.136 書類送検のみで不起訴に、はおおまちがいで、逮捕拘留なしで執行猶予付き有罪、のつもりです。バカでした(笑)。

ごめんなさい、>No.136 書類送検のみで不起訴に、はおおまちがいで、逮捕拘留なしで執行猶予付き有罪、のつもりです。バカでした(笑)。

モトケン先生、二重投稿してしまいました。すみません(謝ってばっかし)
No.138とこのコメント削除していただければしあわせです。

 不思議の医療のアリスさん、こんにちは。

 あくまでも精度の低い推計ですが、長谷川敏彦先生によると、日本での年間の診療に関連した死亡は4万件、うち、何らかの形で予防可能なものは2万7千件ということです。

 患者さん側の勘違いによる調査依頼なども入れると、死因究明機関では全国で一日平均100件以上の処理能力が必要になります。

 おおむね1日で解剖の要否を決めるとすると、現場の職員規模は控えめに見積もっても200〜300人、多分500〜600人で、うち相当数を医師で占める必要があります。(直接解剖に従事する人員は含みません。)他にも薬剤師、歯科医師、看護師、臨床検査技師、診療放射線技師…等々が必要です。

 また、純然たる後方勤務の事務方がほぼ同じかそれ以上に必要で、さらに中肉中背のキャリアか医系技官が事務局長に座ることになるでしょう。

 総員1000人ほどの公務員の人件費だけで100億円弱、旅費、備品、消耗品経費がほぼ同額として、年間予算規模は200億円ぐらいとなります。

 人員・予算とも役所としては小規模なものに留まります。

自己レスですが、
「誰からの目から見てもひどい場合」
というのは、医師の目から見てという意味です。つまり、開業医、地方病院や大学病院などそれぞれレベルが違うことも考慮し、評定を下すと言うことです。
私は原則刑事免責派ですが、それでもやはり免許を取り上げるべき、あるいは刑事で立件されても仕方のないあまりにもずさんな医療行為というのは残念ながら存在します。いわゆるリピーターというような人たちを排除すべきことは必要だと思います。

>人員・予算とも役所としては小規模なものに留まります。

なるほど。では、あまり心配しなくてよかったわけですね、参考になりました。早く実現して、妙な夢に悩まされることがなくなればいいです(笑)。

リピーターで主に問題となるのは研修医の期間の医師ではなく、一人で医療を行えると資格上認められた医師だと思います。そして現実に上級医や同僚部下または看護師等コメディカル等の他者が患者さんの治療を協同で行う目的で意見を述べても、それに対してチームワークを示して応えるという反応に何らかの事情で欠ける場合が殆どだと思います。

一人の患者さんに対する治療はもともとひとりの医師のみの力で行われてはいません。コメディカルやパラメディカルは別としても他科の医師に相談したり同科の上級医に相談したりしながら主治医として治療にあたっている。これは開業医勤務医の別なくひとりの患者さんに相対する時、医療は患者さんの目の前にいる医師を通じて、実質的にはより上級な医学を、より上級の階層医師チームとして提供しているということです。

一人開業医でも病診連携や出身医局等を用いてこのチームとしての医療の中に身をおいています。それをすることで上級医(一人の医師には年齢や経歴に関わりなく病態や治療について必ず彼より上級医がごく近くに存在します)の監督指導を受けた、水準以上の医療を常に行うことができます。

患者さんの目の前の主治医は実は、上級医学的頭脳を持った医師チームの訓練された感覚器官であり手足であるに過ぎないわけで、その意味でエージェントと言われることもあります。これが医師ギルドとよばれるシステムの医療水準維持向上作用における実際的有用性でしょう。

で、このチームワークの中の役割分担を拒否した形で一人の医師の裁量のみで行われた医療行為は、先にNo.136で述べた指導医が一言も指導上関わっていない無監督の状態の研修医が行う医療行為とまったく同義とみなせると思います。

すなわち、その医療行為が原因であると明らかな事故があれば、個人の刑事責任を問うと言うことでいいのではないでしょうか。資格身分については現在の医道審議会が刑事処分を受けた医師について検討する機能がありますから、現在それ以上の機関は不要でしょう。

刑事処分は結果傷害の重傷度に拘わりなく一定期間の執行猶予付き有罪でいいと思います。この量刑は一定であるべきだと思います。そう考える理由は機会があれば私見として述べますが今回はここで止めて、本コメントに対する皆様のご批判をたっぷりと受けたいと思います(笑)。

>ぼつでおkさん

医療行為が原因であると明らかな事故があれば、個人の刑事責任を問うと言うことでいいのではないでしょうか

基本的には、このような方向だと思います。


資格身分については現在の医道審議会が刑事処分を受けた医師について検討する機能がありますから、現在それ以上の機関は不要でしょう。

行政処分を行うために、刑事訴追を受けなければならないと言う矛盾があるかと思います。つまり、本来は行政処分だけで構わないケースに関しても、刑事処分を行わなければならないという事があり得るかと。

> 行政処分を行うために、刑事訴追を受けなければならないと言う矛盾があるかと思います。

 今次医療関連法改正によって、刑事訴追など全くなくとも、任意に医師等の行政処分を申請することが可能になりました。

 果たしてどれほど多数の処分申請が出されることか、興味を持ってみているところです。また、行政処分申請の理由も多様化することがあらかじめ想像できますが、現行の医道審議会がどこまでの申請に対して独自調査を行い、新たな処分の基準をどのあたりに定めるのかも、その基準作りは非公開で事態が進んでいますし、最終的にパブリックコメント募集の対象になるのか否かも不明です。

しまさん、コメント有難うございます。

143は医療事故について現行の刑法で業務上過失致死傷を問わないで、アメリカの如く単なる傷害罪〜傷害致死罪を適用するという考えであります。そうするには、後述の専門医による事故調査機能を警察の捜査の前段階で行うことを手続きとして導入します。これで警察検察裁判所が医療を理解するための有用とは思えない畳上水練をする手間を省けると思います。

警察の手でその医療行為が本来害意を持ったものでないと捜査で明らかになれば執行猶予付きの短期刑にしょすることになるでしょうし、医療側にとっても正当な医療行為に実質的な刑事免責を与えられたに等しいことになるのではないでしょうか。

総合病院クラスの中核病院で医療事故があればすみやかに院内事故検討会議を立ち上げて医療記録と記録者全員を出席させ、集まった全科の複数の専門医の手で詳細に厳しく検討を行い、傷害罪に相当する医療ミス行為がなかったか調査します。多数決によって不可抗力の事故で医療側無責とすべきか、傷害行為の疑いがあり警察に捜査を依頼するかを病院の責任で決定します。

つまるところNo.143は、業務上過失の概念を使わずに医療事故への司法介入のあり方を考えた際、アメリカのドラマ「ER」に描かれているあの国での法的状況をそのまま真似して取り入れよう(別の言葉でパクろう)という意図のコメントでした(笑)。

本来はこのエントリーの始めからしまさんご自身も提起されていた業務上過失罪の問題をもっと勉強した後に出そうと思ってたんですが、いきがかりで早出ししちゃいました(笑)。が、制度論を考える上では可能性のひとつとして出しておく意味はあったかも(言い訳)。

で、私としてはNo.114の原子力関連施設事故における業務上過失罪についてもう少し詳しく勉強してみたいのですが(笑)。

>rijinさん
医師の行政処分に「戒告」新設 新年度から厚労省の事でしたら、どこまで厚労省のマンパワーが期待できるのかなと思います。官僚も崩壊している昨今ですので、あまり期待はできないでしょうね。

行政処分に関して言えば、ニューヨーク州のシステムをそのまま持ってくるのがベストだと考えます。


>ぼつでおkさん
横に逸れますが。東海村の臨界事故の場合、以下の様な判決が下された様です。

 JCO東海事業所長越島建三被告(56)=禁固三年、執行猶予五年、罰金五十万円(求刑禁固四年、罰金五十万円)▽製造部長加藤裕正被告(63)=禁固三年、執行猶予四年(同禁固三年六月)▽計画グループ長小川弘行被告(45)=禁固二年、執行猶予三年(同禁固三年)▽職場長渡辺弘被告(51)=禁固二年、執行猶予三年(同禁固三年)▽計画グループ主任竹村健司被告(34)=禁固二年六月、執行猶予四年(同禁固三年)▽副長横川豊被告(58)=禁固二年、執行猶予三年(同禁固二年六月)▽JCO(稲見智之社長)=罰金百万円(同罰金百万円)
http://www.nishinippon.co.jp/news/wordbox/display/157/

法医学者の悩み事を見ていたら、以下の内容のエントリーがあったのですが、これは初耳でした。世間で話題になっているのでしょうか?

現在、与党の方から、刑事訴訟法改正に関する法案が出されているようだ。
その案では、殺人、強姦などの重大事件で、被害者やその遺族が裁判に意見を述べることになっている。
それはそれで、一つの時代の流れなのだろうが、ちょっとびっくりしたのは業務上過失致死まで、被害者が物言えることになっていることだ。裁判員制度では、業務上過失致死は除外されているのに、何で、この件に関しては入っているのだろう。ちょっと考えたほうがよさそうだ。

田舎の消化器外科医さん

ちょっとびっくりしたのは業務上過失致死まで、被害者が物言えることになっていることだ。裁判員制度では、業務上過失致死は除外されているのに、何で、この件に関しては入っているのだろう。ちょっと考えたほうがよさそうだ。
おそらく、交通事故について被害者に意見を述べろ場を ということではないでしょうか。

No.148の田舎の消化器外科医さん、

>世間で話題になっているのでしょうか?

だいぶ前から、結構話題になっています。

現在でも、犯罪被害者には法廷での意見陳述権は認められています(刑事訴訟法第292条の2)。
これは、平成12年の刑事訴訟法改正により導入されたものです。

現在国会で審理されている新しい犯罪被害者の参加制度は、これをさらに進めて、犯罪被害者等に証人尋問権や求刑意見の陳述なども認めるものです。

犯罪被害者の団体の中にも賛否両論ありますが、今国会で成立すると思います。

ちなみに、裁判員制度とは直接関係ありません。

日弁連の意見書
http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/report/data/070501.pdf

> 世間で話題になっているのでしょうか?(No.148の田舎の消化器外科医さま)

モトケンブログでも、Yosyan先生のとこでも、他でも、既に話題になっています。

被害者参加は、附帯私訴と併せて、「被害者の権利保護」という方向性での制度改正です。
日弁連は反対ですが、世論はおおむね賛成なので、このままでは法案成立しそうです。

今の案では、業務上過失致死罪の扱いは、
  被害者参加 入れる
  附帯私訴  入れない

No.149 falcon171 さまのご指摘の通り、業過罪に膨大な量を占める交通事故事案をどうするかという考慮から、決められたものです。
被害者の生涯賃金だの過失割合だのはモメる元ですから、これを附帯私訴で扱えというのは大変で、刑事裁判所がパンクしてしまうから、外す。
その代わりと言っては何だが、被害者参加は認めてガス抜きを図る、という発想法かと思われます。

で、医療過誤事件を業務上過失致死傷罪で告訴しておいて、裁判で患者の遺族が主治医を尋問するわけ。
「過失がないなら、なぜ死んだ!」
そこでしれっと、「寿命だから」と答えられないようでは、刑事被告人は務まりません。
素人が「死刑を求刑します」とかむちゃくちゃ言い出しても、オタつかないように。

No.151 YUNYUN さん。御指摘有難う御座います。
附帯私訴と同様に被害者参加も業務上過失致死では、含まれないと記憶していたので、それが、さらに変更になったのかと思い、No.148 のコメントになったのですが、単純に記憶違いでした。

で、医療過誤事件を業務上過失致死傷罪で告訴しておいて、裁判で患者の遺族が主治医を尋問するわけ。
「過失がないなら、なぜ死んだ!」 そこでしれっと、「寿命だから」と答えられないようでは、刑事被告人は務まりません。

ここのブログを見てから、そのような主張は、裁判上は当たり前のことであることがわかりましたが、医療者の立場としては、自分の選択が必ずしも間違いでは無いとは思っていても、違う選択をすれば結果が良かった可能性はあると考えており、さらに遺族を慰撫する立場にあるので、そこで「しれっと」いうのはかなり勇気がいることと思います。

田舎の消化器外科医さま

後半はまったく同意です。

で、医療過誤事件を業務上過失致死傷罪で告訴しておいて、裁判で患者の遺族が主治医を尋問するわけ。
「過失がないなら、なぜ死んだ!」
そこでしれっと、「寿命だから」と答えられないようでは、刑事被告人は務まりません。

ああこれ。
これがどうしても医師にはできなかったのですよね。
患者さんが亡くなったら、何とかできなかったか必ず考え込むし、症例検討会なんかやっちゃったりする。そこで徹底議論してああでもないこうでもないと最良の治療を模索する。
いつも最善を尽くしきったとは思わない。 もっと上があると思っている。
自分や、同僚の経験値を上げ、医学を進歩させ、次の患者さんを助けられるように。

これはほとんど全医師に同意してもらえることと思います。心から上記の通りに思って日々の臨床をしている普通の医師には大変つらい時代です。

いっそのこと、医療関連死は、総て警察に届け出て、司法解剖を含み、証拠保全をしていただいて、起訴された場合は、附帯私訴付きの刑事裁判としたらどうでしょうかね。

メリットとしては、
1.証拠(司法解剖の所見も)を警察が保持することで、刑事裁判中は、民事裁判を別個に起こしにくい。
2.業務上過失致死に絞って、争われるため、(それに対する賠償、慰謝料は既に刑事で判決が下りるため)その後に、期待権侵害などでさらに民事訴訟を起こされても、民事での賠償請求額が低くなる。
つまり運用の仕方によっては、賠償額上限に事実上キャップを設けることが可能となる。
3.不起訴となった場合は、民事訴訟での、過失の立証のハードルが高くなる?
4.原告が訴えるよりは、検察のほうが、まだ公正に判断してくれるような気がする。
5.遺族が、検察審査会に申し立てすれば、一旦不起訴でも刑事裁判が行われる可能性が残されている。

ここ1年の、割り箸、青戸、女子医大の判決、大淀病院不起訴報道などをみて、ふと思いついたことです。警察、法医関係の、人員を増員し、鑑定医の選任を適切にできれば、ADR前置より、現実的と思いますが如何でしょう。但し、起訴される比率が高ければ、逃散の歯止めにはならないですが。

暴論ですかね?

>No.154 田舎の消化器外科医さんのコメント

十分なリソースが投入されれば、加えて公衆衛生学的に莫大な利益を社会にもたらすと思います。

>暴論ですかね?

 必要な捜査官の数を確保することが現実的に不可能という意味で「暴論」でしょうね。

 現在のレベルの捜査をするということが前提ならという条件付きですが。

医師法21条で異常死の定義が明らかにされていない限り、治療を加えかつ死の転帰をとった患者はすべて警察に届けでるべきでは。福島事件をみると痛切に感じます。

> 2.業務上過失致死に絞って、争われるため、(それに対する賠償、慰謝料は既に刑事で判決が下りるため)その後に、期待権侵害などでさらに民事訴訟を起こされても、民事での賠償請求額が低くなる。
つまり運用の仕方によっては、賠償額上限に事実上キャップを設けることが可能となる。(No.154 田舎の消化器外科医さま)

附帯私訴は、現在の案では業務上過失致死傷罪については行われません。
しかし、もし行われることとなった場合には、
基本的に、民事の損害賠償請求訴訟で認容されるのと同じ金額が認定されることになりますから、賠償金額が安上がりにはなりません。
理屈から言えば、過失行為に起因する損害は、逸失利益や後遺症損害のほかに、期待権侵害があればそれもあわせて、全部、附帯で処理できると考えられます。ある種の損害に限って附帯私訴をさせるという制度設計もありえますが、請求は分けてしようが、一緒にしようが、合計額は同じ額になるでしょう。
(そういう議論がヤヤコシイので、たぶん業過罪は外されることになると思います。)

なお、附帯私訴は被害者の申立によるので、被害者が「自分で普通の民訴をするから、要らない」と言えば、行われません。
また、被告人にとっても、3回くらいの期日で拙速で決められてはかなわないので、普通の民訴に移行してくれと言える権利が与えられる模様です。

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医療訴訟を刑事事件にさせることの、患者側のメリットは、
 証拠探しや裁判での立証活動を、検察官が(公費で)やってくれるので、ラクして安上がりに損害賠償が得られる。
しかし、検察官が立証に失敗して無罪になったり、証拠不十分で起訴できないと判断したら、あらためて自分で民事訴訟を提起しようとしても、ハードルが高くなりますから、
賭けではあります。

だから逆に、医師側のメリットはこの点と思います。
> 3.不起訴となった場合は、民事訴訟での、過失の立証のハードルが高くなる?

過失が認められる立証程度は、民事と刑事とで異なるとされ、まして裁判官には独立性がありますから、
刑事事件で検察官が証拠不十分で不起訴にしたからといって、民事の請求が認容できないわけではありませんが、
やはり、裁判官にはプレッシャーとなるでしょう。

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> 医師法21条で異常死の定義が明らかにされていない限り、治療を加えかつ死の転帰をとった患者はすべて警察に届けでるべきでは(No.157 うらぶれ内科さま)

あとで医師法違反と言われないよう、安全のために全件届け出ておけ、と言われますね。
届出すべき案件を間違って、届出しなかったら、罰せられますが、
本当は届出なくてよい案件を、間違って届出たことによる罰則はありません。
異状死の「疑い」があったら、届けてよいのです。

もし、医師が、自分の扱った患者の死亡を、どんな死因であれ全件届出るとすると、
日本では医師に全くかからずに死ぬ人のほう少ないくらいですから、膨大な数の届出がなされることになります。
警察は異状死届出があった以上、形式的には受け付けて処理しなければなりません。
犯罪性のない案件を持ち込まれても、無意味に手をとられるだけで、世の治安が良くなるわけでなし、本当は警察にとってはいい迷惑です。

で、そこを狙って、みんなどんどん届け出たれ!という“強硬意見”もあります。
警察がパンクして、「こういう案件は持って来ないでください」と泣きが入るまで。

>No.147しまさん
コメントありがとうございます。お返事遅れまして申し訳ございません。
いつも最適と思われる資料をご提供くださることに尊敬の念を抱きつつ衷心よりお礼申し上げます。

>行政処分に関して言えば、ニューヨーク州のシステムをそのまま持ってくるのが
>ベストだと考えます。
>http://shakai-gijutsu.org/ronbun2/285.pdf

私も現時点ではこれが最も議論が進んでおると存じましたので、お説に賛成であります。
導入に当たって換骨奪胎を最小限に抑える努力が惜しまれない事も大事ですね(笑)。

原子力関連施設事故の記事も有難うございました。
>http://www.nishinippon.co.jp/news/wordbox/display/157/
こちらのほうでは日本国内の業務上過失罪の適用実態について考えようと言う試みでしたが、最近の主流から少し外れてきましたので(笑)コメントするのはもうちょっと先に致したいです。取り急ぎ、遅い(笑)お礼まで。

(管理人により非公開処理中)

>司法の人間はくずさん

 自分の立場を明らかにしなさい。
 名前を書けとは言わない。
 職業くらいは書きなさい。
 それまであなたのコメントは非公開にします。
 他人のコメントを理解しようとする意思のない人はコメントする資格がありません。

こんにちは、モトケンさん。

整形Aです。

いつもお世話になっております。

>No.160
内容読んでいないのでわかりませんが、ハンドルだけでも失礼です。
仮に内容読めても不愉快になるだけですので、読みたいとも思いません。
管理者権限で速攻で削除でいいのではありませんか。

まともに相手をしてもモトケンさんが疲れるだけで、得られることは何もないと存じます。

>モトケン様、整形A様

 整形A様に全く同意。荒らしには「かまってやらない」が原則ですので、速攻削除でよろしいかと。
どうせ読むに耐えない意見なのは間違いないですから。

医療の免責なんて事実上無理です
国会議員(で医師の人)ですら免責制度化論を
主張しておられて
「そんなことするヒマが有ったら医道審を活性化させてよ」
といってしまいますた

無条件免責ではなく、小松先生がおっしゃるところの明確化
医事刑法の制定こそが医療者も国民も納得のいく方策であると
おもいます

> No.164 いのげさん
それでは、政治は期待できないと言うことなんでしょうかね・・・。

あの明治の文豪森鴎外は軍医総監(だったかな?)であり、当時の日本陸軍の兵士に栄養向上のため医師として白米(当時の高級米)の摂取を義務付けました。しかし戦地に赴いた日本軍兵士は戦いの長期化とともに脚気を発病して戦闘力が低下し、戦闘における死傷者の数は敵軍に比し増大するばかりでした。時に国内の医師鈴木織太郎(?)博士はこの奇病脚気の原因を精米によって除去された米糠に含まれる栄養物質の欠乏にあると考え、オリザニンを抽出しこれを多く含有する麦飯を白米に替えて主食とする部隊を編成したところ、脚気の発病を皆無にできたとして実証報告しました。当時の医学界、軍における両者の立場が天地の隔たりがあったため森軍医総監の判断(診断と同義)の誤りの責任は明らかにされぬまま軍人の主食は白米から麦飯へ変更されたようです。
これをいま、誤診が多くの人の発病と死亡に責任があったとみると、当時の法といっても一般法よりも厳しい軍法が存在しましたが、軍法に鑑みて裁くとすると業務上過失致死相当とみなされると思います。しかし、当時そう裁かれた明らかな歴史的事実は見当たらないと思います。当時刑法より厳しい軍法があったはずなのに。
そのひとつの理由として、刑法上業務上過失罪と言う概念が明治時代の日本にはなかったのではないでしょうか。
現代法が明治維新以来の西洋法輸入から始まっているとすると、業務上過失罪の概念の刑法への導入はいわばごく最近生まれたしかも日本独特に近いローカルルールみたいなものなのかもしれないな、となんとなく思ってしまうぼつでおkなわたくしの、素面の(笑)ちょっと長めのつぶやきでした。

「診療行為に関連した死亡の死因究明等のあり方に関する課題と検討の方向性」に対して提出された意見

 上記PDFが厚生労働省のホームページに掲載されていますが、よほど腹に据えかねたのか、おそらく意図的に携帯電話の番号やメールアドレスが掲載されています。掲載された方々からの求めに応じてという形で、数日中に消去され、二度と人目に触れることはなくなるだろうと思います。ご入り用の方は早急にダウンロードされるよう、オススメいたします。

 言うまでもないことですが、悪用はお控え下さい。

…それにしても、やりようが下劣ですね。

> No.166 ぼつでおk(医)さん
このときに軍艦において白米をやめてビタミンにおける疫学的実証をしたのは高木兼寛です。彼は麦飯男爵とか、ビタミンの父とも呼ばれています。
鈴木梅太郎はビタミンを発見した人です。彼は世界で一番最初にビタミンを発見しましたが、日本語で論文を発表したため、世界的に認められるに至りませんでした。
それにもかかわらず森鴎外は最後まで自説を撤回しませんでした。科学を信じている科学者が科学を信じなかったのです。おそらくそれは帝国大学の官僚的権威主義がそうさせたのでしょう。彼は業績ばかりたたえられていますが、もし、これが今だったら彼は人権問題に発展して売ったられていたかもしれません。

>No.168 yamaさん
あちゃ、そうでしたか(笑)。何十年も前の日本偉人伝の記憶を頼りに書きましたんでぼろぼろでしたね(笑)。
ま、森鴎外が誤診したことと軍がそれを知っても軍法会議にかけなかったことは事実でしょう。そのご文豪になってますから(笑)。
いかに軍で偉くても軍法会議にかけられて有罪であれば文人生活など送ることは出来なかったでしょうからね(笑)。

なにはともあれ、添削ありがとうございました。
他の皆様には添削の通り訂正して謹んでお詫び申し上げます。

> 一般法よりも厳しい軍法が存在しましたが
> 軍法に鑑みて裁くとすると業務上過失致死相当とみなされると思います
> 刑法上業務上過失罪と言う概念が明治時代の日本にはなかったのではないでしょうか

疑問。日本近代法制史をよく調べてみなければ、そうは言えないのでは。
私の解る範囲の事実。

1.現行刑法の施行は明治41(1908)年10月1日です。
過失致死傷に関する罪の規定は、少なくとも現刑法の制定当初から存在すると思います。
条文番号に枝番が付いていないから。(枝番は後から挿入された条文)

刑法
第208条 (暴行)
第208条の2 (危険運転致死傷)
第208条の3 (凶器準備集合及び結集)
第209条 (過失傷害)
第210条 (過失致死)
第211条 (業務上過失致死傷等)

日露戦争1904〜05年当時は、旧刑法(明治13年太政官布告)でした。
ざっと読んだところ、「業務上」の加重規定が見あたりません。通常の過失致死傷罪の限度で処罰されるのであれば、罰金刑のみということになります。

2.森鴎外が白米の献立を指示したことが、傷病兵を増やした一因であるとしても、
それが刑法上の(業務上)過失致死傷罪に擬せられるかどうかについては、法曹の見解は分かれると思います。
薬害事件や公害防止などと同様に、行為と結果の間のつながりが間接的であり、相当因果関係は無いとも考えられます。

3.軍法は刑法と比べて厳しいかどうかは、一律には評価できません。
両者は異なる思想のもとに、異なる目的をもって作られた法律であるため、行為内容によって、一方が重くもあり、軽くもあります。

旧日本軍の軍法規定までは調べていませんが、一般的な軍法の考え方としては、過失行為はごく限定的に、軽くしか処罰しないそうです。
軍隊にとっては敵をやっつけることが至上命題ですから、その過程で少々の誤射・誤爆で友軍や民間人を死なせても、仕方がないという思想によるのではないでしょうか。
その代わり、敵前逃亡は死刑! 刑法では脱獄しても死刑にはなりません。

こんにちは、rijinさん。
整形Aです。

No.167 rijin さんのコメント

>「診療行為に関連した死亡の死因究明等のあり方に関する課題と検討の方向性」に対して提出された意見

> 上記PDFが厚生労働省のホームページに掲載されていますが、よほど腹に据えかねたのか、おそらく意図的に携帯電話の番号やメールアドレスが掲載されています。掲載された方々からの求めに応じてという形で、数日中に消去され、二度と人目に触れることはなくなるだろうと思います。ご入り用の方は早急にダウンロードされるよう、オススメいたします。

今見てみましたが、すでに黒く塗られていますね。
もっとも、元の書類を塗りつぶしたわけではなく、PDFファイル上での塗りつぶしなので、知識がある人なら復元できるのでは。

実際、僕もあちこちいじっていたら、フラッシュのように一瞬下の文字が見えます。

医師と司法の間にずれがあるのは、双方の共通認識になってきているのでしょうが、どこにずれがあるのかに関しても考え方の齟齬があるように思いますね。

医師が問題にしていないところを司法は問題にしており、医師が問題にしているところを司法は問題にしているように思います。

No.167 rijin さん

厚生労働省がようやく穴埋めをしたようです
「診療行為に関連した死亡の死因究明等のあり方に関する課題と検討の方向性」に対して提出された意見
但し、何のコメントもありません。関係者に謝罪しているのかどうかも分かりません
ハッキリしたことは判りませんが、近々報道があるかもしれませんね

一般から意見を募りながら、その個人情報を筒抜けにして晒すような厚生労働省に猛省を促したい。
というか、何人かは更迭されるべきじゃないのか?
一般会社だったら、解雇か、閑職に追いやられることだろう

私も元ファイルは保存してあります。
官庁が公開している公文書ですから、著作権もありません。

今のファイルは、黒塗りした後、印刷して、イメージとしてPDFで取り込んだものでしょう
さすが、官庁の中でも尻抜けの省です
政府好評のPDFで同じような穴があったら、大笑いですが、他の官庁が同じ轍を踏んでいるとは思えません

公式に謝罪するか、報道されるか、さてどちらが早いのでしょうね?

 報道が先になりました。

黒塗り部分、見えちゃった
厚労省HPの「意見募集」
2007年05月29日 11:33 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200705/CN2007052901000170.html

 共同通信社は厚労省には随分とお優しくていらっしゃる。

 癒着でしょうね。

意見を出した人全員で役人の守秘義務違反を告発してやればよいのではないでしょうか。
私は出してないからできないけど、もし私が晒されたらこの報道を証拠として遠慮なく訴えさせていただきますけどね(笑)。
あ、そのまえに検察が起訴するはずか、公務員の守秘義務違反は刑事犯罪だから(笑)。

 自分はパブコメ出しました。他の方にもオススメしました。

 いまのところ、謝罪のメール一本来ていません。意図的な作為と悪意を感じていますので、厳正な捜査と処分の行われることを期待しています。

***

  行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律
(平成十五年五月三十日法律第五十八号)
http://www.soumu.go.jp/gyoukan/kanri/030307_1.html

第 五十三条  行政機関の職員若しくは職員であった者又は第六条第二項の受託業務に従事している者若しくは従事していた者が、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された第二条第四項第一号に係る個人情報ファイル(その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を提供したときは、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

***

黒塗り部分、見えちゃった
厚労省HPの「意見募集」
2007年05月29日 11:33 【共同通信】
 医療事故の原因究明に向けた第三者組織創設について、厚生労働省が国民から募集した意見をホームページに掲載したところ、氏名や勤務先など「黒塗り部分」が特定のソフトを使えば閲覧できる状態になっていたことが29日、分かった。
 厚労省は同日までに該当部分をいったん削除し、閲覧できないよう修整した。意見を寄せたすべての人には謝罪するという。同省医療安全推進室は「閲覧防止のセキュリティーが不十分だった。今後、個人情報の保護に万全を期したい」としている。
 問題が見つかったのは同省が公表した第三者組織の素案について、今年3月9日から4月20日までに医療関係者などから寄せられた140件の意見を掲載した資料。

厚生労働省の当該HPにも公式謝罪はありません。
他の報道機関は情報の裏を取っている段階なのでしょう
共同通信のスクープなのでしょうね。

医師ならUSBを紛失して数人分の個人情報が漏れただけで、テレビニュース物です。
果して、厚生労働省です。
過失に対して二次被害防止のための努力をしているのでしょうか?

さて件のファイルから読める(と言うか、解読しなくても勝手に読めてしまい、公開しているようにしか見えない!)情報を基に、連絡を取り合うのは、個人情報の不正使用となるのでしょうか?
140件にキチンと取材しないと、どのような謝罪と、再発防止策、補償を行うのか追跡のしようもありません。

この件に関しては、当事者であるrijin さんの報告を待っております

 実は、この問題が指摘された当初において、モバイルアクセスしかできない状態でしたので、問題のページを見ていないのですが、証拠保全されているのなら告訴・告発または国賠訴訟を考えてもいいのではないでしょうか。

 本件限りの問題にとどまらず、今後の厚労省に対する特に医療側からの意見表明に対して重大な萎縮効果を及ぼしたことが考えられます。

 その意味で、意図的であれば(立証は困難と思いますが)極めて悪質であり、故意の有無を問わず影響は深刻かつ甚大です。

No.178 モトケンさん

国家賠償を簡易裁判所の少額訴訟制度(訴訟額140万円以下)で求めることも可能なのでしょうか?(被告を国として可能ですか?)

この手の敵失に高額訴訟は馴染みませんし、速攻即決で過失の存在は明らかです。数千円の賠償金額であったとしても、厚生労働省の失態は明らかで、責任の所在はハッキリさせることができます
一日で済むのでマスコミも大喜びで、簡易裁判所が満員の聴衆で埋まることでしょう

如何なものでしょうか?

× 少額訴訟(140万円以下)
○ 少額訴訟(60万円以下)

でした。すみません

 モトケン先生、こんにちは。

 ファイルは手許にあります。

 ダウンロード時に丸見えだった方の中で、旧知の間柄の先生数人に既にお送りしてあります。

> 本件限りの問題にとどまらず、今後の厚労省に対する特に医療側からの意見表明に対して重大な萎縮効果を及ぼしたことが考えられます。

 悪意の立証はほぼ不可能と思いますが、意図的に画策されているのは明らかだと思います。

 制度としてのパブコメがよほど迷惑なのでしょう。できることなら、パブコメ取ることそのものを止めたいのかも知れません。

>Informant (doctor) さん

 本件を少額訴訟でやることは手続的な制約等から無理です。
 被告の国も絶対応じないと思います。
 そうすると通常の手続でするしかありません。

 一日で終わる事件ではありませんし、一回で終わらせるのはもったいないですよ。

No.179のInformant (doctor) さん、ここは「刑事編」なので、細かいことは述べませんが、簡裁への少額訴訟の訴え提起は受理されるでしょうが、被告となる国は通常訴訟を求める可能性が高く、また事件の性質から簡裁が地裁に移送してしまう可能性が高いと思います。

今回の国の失態は、少なくとも過失によるプライバシー侵害という不法行為で、慰謝料の対象になると思います。

情報漏えいによる慰謝料請求の先例的な事件があります。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/1A35496C0691752949256B590027375E.pdf
この判決で認められたのは、1人当たり慰謝料1万円と弁護士費用5千円の合計1万5千円です。
この判決以降、情報漏えいがあった企業が、先手を打って1人あたり5千円から1万円の自社商品券などを出すことにより事件をおさめるケースがでてきたと記憶しています。

私がもし刑事告発するなら、本来高い守秘義務を持ってホームページの注意深い運営を行わなければならないのに、漫然とこの過失操作を行った注意義務違反回避義務違反で実行行為者を訴えます。個人名と役職を明らかにするために。
起訴されれば公務員ですから起訴休職扱いになるでしょう。損害賠償など一銭もいりません。この過失掲載を行ったのがどういう人物かさえ明らかになれば十分でしょう。
で、検察は個人を公務員の守秘義務違反の業務上過失で起訴しないのでしょうか。

 賠償請求への参加者はどうやって募ればいいでしょうか?

 また、賠償請求自体は、行政の作為を押しとどめる効果が期待できません。所詮は他人の金であり、国賠訴訟で負けても、官僚は罰せられる心配がないからです。

 この種の作為では、通例、たとえ違法行為が処分の対象になっても極めて軽く、組織に忠実な策源者は口頭注意程度で、そのまま順調に出世を続けます。おそらくこの一件で目論見通りの結果が出せれば、局長級を確実にしたことでしょう。

 トカゲのシッポ切りをされるのはせいぜい係長級で、それも訓告で即日依願退職して退職金も問題なく受け取り、数日を待たずして特殊法人役員や大学幹部教員の職に就くことになります。その先の出世のサポートも期待できます。

 その後、本当の狙いとする施策(この場合であればパブコメ中止)の実現のための根回しが始まることになります。

…こちらの方は選良の仕事になるのでしょうか。

国相手の損害賠償請求であれば民事ですので、別エントリーかLMnet内に移動しての議論のほうがよろしいかと存じます。
個人の過失責任を問うなら、まずは警察に犯罪の疑いがあると訴えたほうがよいのでしょうか。警察が個人を特定して書類を作って検察に送致して立件できるか検討する、のでしたよね。不起訴であってもその後その個人に対して損害賠償を請求する民事裁判を起こせばよいのではないでしょうか。

No.184のぼつでおk(医)さん、守秘義務違反は故意犯です。

「不注意でした。」では、処罰されません。

告発自体は、被疑者氏名不詳でもできます。
問題は、警察なり検察なりが告発状を受理してくれるかどうかです。

その気がない警察や検察に告訴状や告発状を受理させるというのは、弁護士の仕事の中でも、大変な仕事の一つです(笑)。


No.176のrijinさん、

行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律の53条は、「行政機関の職員(以下略)」が、「正当な理由がないのに」、「個人の秘密に属する事項が記録された第二条第四項第一号に係る個人情報ファイル」を「提供したとき」は、「2年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処するとなっています。

これも故意犯であり、また、客体は個人情報ではなく「個人情報ファイル」です。

この法律において「個人情報ファイル」とは、保有個人情報を含む情報の集合物であって、次に掲げるものをいう。
一   一定の事務の目的を達成するために特定の保有個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したもの
二   前号に掲げるもののほか、一定の事務の目的を達成するために氏名、生年月日、その他の記述等により特定の保有個人情報を容易に検索することができるように体系的に構成したもの

>No.187 PINE さん
ご教授ありがとうございました。

なるほど、それでは今回の件は社保庁の不祥事と絡める形でrijinさんのおっしゃるとおり国に賠償請求裁判を起こし、情報漏洩の被害は一旦発生すると継続的なものである点を裁判にして強調しておくくらいですか(笑)。

 別エントリを立てていただけると、移れるんですが…。

 PINE さん、こんにちは。

 このファイルでは、けっこう有名な方でも、個人住所や自宅電話番号が記載されており、発生しうる実害や精神的ダメージは重大なものがあります。

 また、ひしひしと悪意を感じるんですが、故意の立証は大変ですね。加害者の心の内を推定するにはどうすればいいんでしょう。

 ちょっとした手違いを主張してくるだろう事もまた明らかです。…この場合、故意の立証に必要な証拠というのは、たとえばどういうものがあるのでしょう。謀議の会議録など取っているとも思えません。

 実際のファイルを御覧になっていない方のために補足させていただきます。

 ファイルはファックスや郵便で送られたと思しきものをスキャナーで読み込んだらしい部分と、メールなどのテキストデータをそのまま使った部分とが混在しています。

 各コメントには、氏名・住所・電話番号とメールアドレスが付されています。…自分だったら、公開に当たっては黒塗りでなく、その部分は削除してしまうだろうと思いますが、そうはなっていません。因みに、一人が各コメントにいちいち氏名等を付したデータもあったはずですが、それはさすがに一箇所にまとめられています。…全部消せば消せたはずです。

 テキストデータ部分は、そういうわけで、コメントタイトル、コメント、氏名、住所、電話番号、メルアド等で構成されたデータベース構造をしています。実際、Readerの検索機能で順次検索可能です。ということで、若干の手入力も必要ですが、被害者名簿の作成は比較的容易な作業になりそうです。

故意の立証につながるかわかりませんが、pdfに電子的に黒塗りを貼り付ける技術がある以上、ネット上に情報流出の危険が大きいことを技術知識として知っていた可能性が高い。間違って掲載したのならいったん削除して元の書類をコピーしてそれに黒塗りしたものをpdf化すれば、今回のように電子黒塗りを技術的に解除される危険がなくなり、セキュリティが守られるというのはほとんど常識ですから、あの処理手順そのものに意図的に漏洩を狙ったという疑いをかけることが可能ではないですか。

この程度の知識もないというのであれば、官公庁がIT化促進を政策として遂行する能力にそもそも犯罪的に欠けていることになりますから(笑)。

No.189のrijinさん、既にコメントしましたが、厚生労働省の職員による過失行為による個人のプライバシー侵害を理由に慰謝料請求ができる事案と考えます(民事の損害賠償請求なら職員に過失があればよいのです。)。

議論するエントリとしては個人情報保護関連のエントリが適切かとも思いますが、ただ、もし本気で闘うことを考えていらっしゃるとすれば、このブログのコメント欄にいろいろ書き込むことは、相手方である厚生労働省も含めた公衆の面前で、作戦会議をすることになります。

 ぼつでおk(医)さん、PINE さん、コメントありがとうございました。

 取り敢えず、刑事告発と民事訴訟の両面について、以降はSNSで議論にお付き合い下さいますよう、お願い申し上げます。

PINEさま、モトケンさま、YUNYUNさま (順に意味はありません。。。汗)

この事件を風化させたくないので、匿名性を反故にされた人達に取材をして、厚労省の処置を検証することは許されるでしょうか?

当方、『剥がれる』黒塗り・元ファイルを保持していますが、それを元に情報源に接触することは違法なのでしょうか?
もちろん違法ソフトを使うことなく、見えちゃうものなのですが・・・・

保持すること、保持ファイルを第三者に提供することは違法でしょうか?
(元々、公開を前提として、著作権を放棄された公文書のはずですが?)

患者に説明して納得を得た上での一般の医療行為の延長上で不測の事態が起きた場合、問題になります。予め予見できないようなことが起き、それに対して尽力したにもかかわらず患者に不利益が生じることはしばしばおきます。

私としては、そういった場合に刑事事件として捜査が行われることは遺族側の捜査要求があるのであれば仕方がないと思います。

ただ、今後その全てを刑事にすること(今後増加するかどうかまだわかりませんが予断は許しません)について強い不信感があります。しかし、現時点で新たな制度を作ることなど実現可能性が全くないと思いますので、現時点での「過失認定」の段階で医師が戦うべきだと思います。安易な過失認定を許すべきではありません。

また、全ての医師が自分の人権を守るために知るべきだと思いますが、弁護人との接見を要求すること、黙秘権を行使できることを知ること、少しでも不本意な点があれば調書にサインしないことを徹底するべきだと思います。

結果予見性と結果回避の可能性とその義務がありそれにより過失が認定されるということが基本であるならば、その各段階で「本当にそれでいいのか?やりすぎではないか?冤罪を作ってはいないか?」との視点から被告以外の医師も含めて医師は積極的に関わるべきだと思います。

結果予見性の困難さをより色濃く強く強く主張するべきです。また結果回避が非常に困難で実現不可能である点を強固に医師側(公訴されてしまったら被告側に集まる人間すべてが、起訴前に検察側に第三者の医師が専門家として意見を求められた場合はその医師各々)が徹底して主張することで現実と乖離した過失認定を阻止するべく運動するべきだと思います。

不幸にしてconsultした医師がマヌケで、検察が甘い先入観を持ち、不適当な公訴をした場合、その全責任は最終的には検察にあると考えます。「意見を求めた医師が悪い」などというのは泣き言だと思います。自分の行為(公訴)の重大性(被告を作り出すという結果予見性)を認識しているなら更に別の医師にconsultし、不当な訴訟を作り出さないことにより結果を回避することができますので、それを行わなかった過失があるのではないでしょうか。

>No.195 元内科医さん
は福島大野病院裁判についておっしゃってるとお見受け致しました。
私もあのエントリーで弁護士さん向けではなく検察の人、警察の人、およびこれは無理筋でしょうけど(笑)判事の人向けに質問を掲載しています。
http://www.yabelab.net/blog/2006/10/13-230902.php#c59204
http://www.yabelab.net/blog/2006/10/13-230902.php#c59319
で、目下待ち人来たらず状態ですけど(笑)。
よろしければアゲがてらにあちらでごいっしょに待ったり(笑)致しませんか。
もちろん、ぼつでおkなお誘いですのでぼつでおkです(爆)。

P R

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