エントリ

 判決などによると、清郷さんは腎臓がんの治療のため、同県内の病院で2001年9月から、保険診療のインターフェロン療法と、自由診療の「活性化自己リンパ球移入療法」と呼ばれる治療法を併用していたが、05年10月、病院から「混合診療にあたるので続けられない」と告げられ、併用できなくなった。

 訴訟では、混合診療の原則禁止という国の政策に法的な根拠があるかどうかが最大の争点となった。

 国側は「健康保険法で保険の適用が認められているのは、国が安全性や有効性を確認した医療行為。自由診療と組み合わせた診療は保険診療とは見なせない」などと主張。これに対し、判決は「保険を適用するかどうかは個別の診療行為ごとに判断すべきで、自由診療と併用したからといって本来保険が使える診療の分まで自己負担になるという解釈はできない」と、国の法解釈の誤りを指摘し、混合診療禁止に法的根拠はないとした。

 また、国側は、混合診療ができるケースを健康保険法が例外的に定めていることから、「例外以外は禁止できる」と主張したが、判決は「法律などには、例外以外の混合診療がすべて保険の対象から排除されると解釈できる条項はない」とし、原告には保険を受ける権利があると結論づけた。

 ただ、判決は「法解釈の問題と、混合診療全体のあり方の問題とは次元の異なる問題」とも述べ、混合診療の全面解禁の是非については踏み込まなかった。


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コメント(276)

この記事を話題にしていただけることを待っていました!
この問題は医療の根幹に関わる問題なだけに非常に重要だと思っています。
個人的には混合医療は、国民が貧しいときには禁止、裕福なときは導入にすべきと思います。現時点で混合診療はあるべきと思います。しかし、ご存じのように国が保険診療を放棄したりすることも考えられ、アメリカのようになってしまうことも考えられます。
当面、このようなことに絞るべきと考えますが、問題点も多く、一筋縄ではいかないでしょう。

1.憲法で保障している最低限のQOL(この定義が曖昧ですが)については保険でカバーする
2.日常的な感染症(要するに風邪)については保険適応外とし、合併症は保険適応内とする
3.見栄だけが良いものは保険適応外とする(歯科医で言えば金歯みたいなもの)
4.エビデンスが不十分なものは保険適応外とする(治験適応?)

という原則を元に混合診療とするのはどうでしょうか?そもそも一部が保険適用外ですべてが自費になるという根拠はいったい何なんでしょうか?医師会の見解によれば、「お金の有無で健康や生命が左右されるようなことがあってはなりません。

http://www.med.or.jp/nichikara/kongouqa/index.html
しかし、現実に治る可能性のあるものが保険がきかないことによって「お金次第で左右される」という矛盾が生じているのです!医師会の見解はいまいち論理性に欠けます。保険診療が十分発達しているものであるならばこの説得力があります。しかし、現実には「指導」あるいは「査定」という名の不払い、新しい治療の適応手続きが遅い、といった問題もあり、このままでは行き詰まることは明らかです。

ただ、判決は「法解釈の問題と、混合診療全体のあり方の問題とは次元の異なる問題」とも述べ、

???法解釈は混合診療全体のあり方に影響を及ぼさないとでも?
どうも裁判官の方は判決が社会に及ぼす影響を軽視しすぎているのでは。

No.2 うらぶれ内科 さんのコメント
>どうも裁判官の方は判決が社会に及ぼす影響を軽視しすぎているのでは。

せんせ、それは新聞記者の主観的「踏み込むべき」判断の部分に反応しすぎですぜ。この判決ではそこに踏み込む必要はまったくないですし。
ただ、もともと司法は行政立法とは独立した立場で判断するものだから、あんなこと裁判官も判決ではいわずもがなだろうとは思いましたが(笑)。

あと個人的には、このエントリーのテーマならrijinせんせいとかじじい先輩とか場外からブギ−マンさんとかも大挙してなだれ込んできて欲しいです(笑)。

あ、よく読みますと>No.2 うらぶれ内科 さんのコメントに全文同意です、私のNo.3のほうが「反応しすぎ」のミスレスでございました。
No.2 うらぶれ内科せんせいに謹んでお詫び申し上げます。

No.3 ぼつでおk(医) さん
>ただ、もともと司法は行政立法とは独立した立場で判断するものだから、あんなこと裁判官も判決ではいわずもがなだろうとは思いましたが(笑)。

実は私もまったく同意見なんですよ。むしろ判決の社会的影響を軽減したいがためにこんな事言ったのではないかと勘ぐってます。

>No.5 うらぶれ内科 さんのコメント
>社会的影響を軽減したいがためにこんな事言ったのではないか

そうですね。
ただ今思ったですが、国敗訴の判決本文ですから国からの様々な反撃が(裁判官個人に対するものも含めて)予想されるので、あえて純粋な司法判断であることを裁判官は言い添えたのかもしれません。

とにかく混合診療禁止を掲げる国がそのことで患者に敗訴したという事実を作ってくれた判決であり、治療のための制度論上医師対厚労省の対決構図にある現医療現場では、患者さんにより近い立場の医師側にとって力になるありがたい判決であるような気が致します。

モトケンさま、リクエストに応えてエントリを立てて頂き、ありがとうございます。

この混合診療禁止については、健康保険法および関連する政省令には「保険外の医療を行なったら保険給付を一切行なわない」と明確に規定された条文はありません。それゆえに禁止の法的根拠を何処に求めるのかは、私が社労士試験の受験勉強中から気になっていたことです。

この法的根拠問題についていろいろと調べていく中で、厚労省は健保法第63条(療養の給付)と同第86条(保険外併用療養費=旧特定療養費)の条文の反対解釈を根拠としているようでした。現実には厚労省はこの条文解釈に加え、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和三十二年四月三十日厚生省令第十五号)の第18〜19条の規定も反対解釈し、これらを根拠として通達と告示で混合診療を禁止してきました。

私も判決文を手に入れたわけではなく報道からの情報ですが、今回の東京地裁判決では、そうした健康保険法や療担規則の反対解釈では法的根拠とは認めることが出来ず、混合診療の禁止により保険診療分を給付しないことは違法とされた判決のようです。

ただし、判決では混合診療を禁止することそのものを違法とした訳ではなく、あくまでも明確な禁止の法的根拠無く保険給付を行なわないとする厚労省の手続き(通達や告示)が違法と断じたもののようです。言うなれば、混合診療の禁止が健康保険や日本の医療制度上必要な施策であるならば、健康保険法の条文に禁止を明確にする法改正をすれば良く、それを怠っていた不作為を指摘した内容かと思います。

ですので今回の違法判決は、決して混合診療そのものの是非を断じた訳ではなく、厚労省の行政手続の違法性を判断したものです。そのれゆえに投稿癸欧念用された「法解釈の問題と、混合診療全体のあり方の問題とは次元の異なる問題」という判決文の言及部分は、混合診療そのものの是非を判断したのではないという定塚裁判長の意思表示かと思うのです。

早い話が、混合診療を禁止したければ厚労省は健康保険法を改正すれば良いのに、そうした正しい法的根拠作りの作業をせずに通達や告示だけで禁止していたのがケシカラン、健康保険法に禁止規定を盛り込むかどうかは国会審議で決めればよいことだ。という判決内容であって、医療者の皆さんが心配される日本の医療保険システムを崩壊させる判決とは違うと思います。

いずれにせよ、厚労省は必ず控訴するでしょうが、原告の清郷伸人氏は弁護士を付けずに本人訴訟で闘っていますので、控訴審ともなれば有能な弁護士のサポート無しの素人訴訟では、面子を掛けた国側にひっくり返される恐れが大きいと思います。

常日頃、通達や告示・内簡などの「裁量行政」に振り回されて苦労してきた社会保険労務士の私としては、厚労省側の主張をズッパリと斬り捨てた今回の定塚裁判長の判決には拍手を送りたい気分です。判決文を手に入れたいのですが、地裁判決ですし当然被告(国)側が控訴するでしょうから無理ですね。それが残念です。

なお最後になりましたが、原告の清郷伸人氏のHPを紹介しておきます。


久しぶりにコメントします。一番困るのは裁判官の意図を無視して、この判決が一人歩きすることのように思います。
 つまり国は控訴せずに判決を確定し、混合診療解禁法案を通してしまう。厚労省は保険適応部分を狭く解釈し、どんどん保険適応を狭めていく。結果自由診療部分が拡大され、増えるのは患者の自己負担ということになるのではということを、危惧しているのです。

私も No.7 法務業の末席様 の御見解と同じ感触を持ちました。
判決の意図するところは、法務業の末席様が5番目以降の段落で述べられたところにあると思います。判例を掲載する雑誌などで採り上げていただけるなら、是非とも読んでみたい判決です。

私も混合診療の是非が論点として報道されるたびに、その是非は別として、そもそも現状で混合診療を禁止しているその法的根拠は如何なるものか、いつも疑問に感じていました。如何なる法的根拠により混合診療が禁止されているのか、現状の法令を読む限りは理解できなかったからです。

混合診療を禁止する厚生労働省の見解が法令の根拠が無い違法な見解であるか否か、司法の判断を訊いてみたいと思っていました。一方で、自分が原告になる覚悟がない事を棚にあげて不謹慎な考え方だと自戒もしておりましたけれども。

御案内のとおり、健康保険法は大正11年成立の法律を改正する形で現在に至った法律で、公的保険制度の根拠法としては最も古い法律です。成立時期が戦後になる現行の国民健康保険法や国家公務員共済組合法等の短期給付の規定と比較しても、やや規定が大雑把と申しますか、あやふやな部分(行政の裁量による部分)が多く含まれる法律だと感じていました。

帝国憲法下で成立・執行されてきた法律故に、戦後に整備が進展した行政法の体系下で考えたときに、やや異なった雰囲気と申しますか、他の社会保険制度の根拠法と比べて異なった趣が感じられる法令・執行体制のような気が致します。

もし国が控訴しなければ、これはもう確信犯ですね。
C型肝炎訴訟などでは「さっさと非を認めて和解勧告に応じるべき」とのマスコミ圧力があるので、恰好の隠れ蓑になる予感が。

健康保険法とかきっちり難しそうな法律議論で私なんぞが議論に加わる余地は皆無なのですが、(ただかなり自身の将来に密接に係わるかもしれないエントリで一生懸命ROMっとこうと思っている)幼稚園児のような質問なのですが、「混合診療」というのが具体例としてこんな些細なことも範疇に入るのでしょうか?

例)歯が痛く、歯科へ行ったところ虫歯が判明した。その虫歯さえ抜歯すれば治る。しかし、歯医者の診立てで、今回の診療とは関係なく、歯垢の掃除もしましょう(開発されたばかりの良い洗浄剤があるので)という場合。

No.11 Oさん
>健康保険法とかきっちり難しそうな法律議論で私なんぞが議論に加わる余地は皆無なのですが、(ただかなり自身の将来に密接に係わるかもしれないエントリで一生懸命ROMっとこうと思っている)
もうまーったく同じ気持ちです^^
ただあほなだけなんですが、混合診療なんであかんの?治療の幅広がっていいやん程度にしか思えてないので、それを認めることによるマイナス部分を勉強できればなってROMってます。

で、ブラックジャックによろしくでちらっと見たのですが、歯医者ではなぜか混合診療が認められているって・・・。それまたなぜなのでしょう。歯医者ではOKなのに・・・。

No.11 O さん
混合診療というのは、同一の疾患、例えばがんに対して保険診療と自費診療を組み合わせることです。歯科のことは良く知りませんが、虫歯と歯垢は同一の疾患ではないと思います。医科においても病気の診療と同時にバイアグラを自費で処方しても良いです。ただしカルテは別にしておけとのことです。

No.12 Lega さん
混合診療よろしいかと私は思います。お金をたくさんだせばそれだけ良い(?)医療を受けられるのは当然の理かとおもいます。ただし医療費の高騰だけは覚悟しておいたほうがよろしいかと。

Lega さん
反応していただきありがとうございます。
そうなんだ。歯科ではどんな場合でも混合診療は認められるんですね。
投稿してから自分なりに考えたんですが、「混合診療」っていうのは私が挙げた例ではなく、一種類の病気に対して二種類以上の治療方法を取ることなのかなっと思ったのですが、どうでしょうか?
そうすると私が挙げた例では(歯科とか内科とか別として)ただ、併用治療(言葉が適切ではないと思いますが)ということなのかな?


>No.14 O さん

それも違いますね。

「混合診療」というのは、健康保険で認められた治療と認められていない治療を行った場合のことをいいます。

例えば、がんの治療に対して、普通に保険で認められている抗がん剤や放射線治療を行い、それ以外に主治医の了解を得て、日本では認めてられていないけど外国では承認され販売されている注射薬を買って(個人輸入)注射をしてもらう。
こういった場合が混合診療となり、保険で認められている抗がん剤や放射線治療の料金まで保険が利かなくなるため、負担が大幅に増えるというになります。

この場合の治療とは、サプリメントや民間療法などは入らず、医療行為と医薬品ということになります。

>No.8 山口(産婦人科) さんのコメント
>厚労省は保険適応部分を狭く解釈し、どんどん保険適応を狭めて
>いく。結果自由診療部分が拡大され、増えるのは患者の自己負担
>ということになる

いままさに介護保険で厚労省が行なっている施策とまったく同じですね(笑)。

No.13 うらぶれ内科さん
ありがとうございます。
混合診療問題について、日本医師会のホームページに、「混合診療が導入された場合、保険外の診療の費用は患者さんの負担となり、お金のある人とない人の間で、不公平が生じます。」ってかかれてます。しかし混合診療は認めないということであれば、結局はなおさらお金のある人しか保険適用外の診療を受けられないわけで、この理屈では混合診療を認めないことによって不公平をなくすことにはなっていないと思うのです。
自由診療が認められていない(保険適用の医療以外はしてはいけない)のであれば、本当に公平なんでしょうが。
私のすぐオーバーフローする頭で考えるに、「この方法は保険適用、こんな方法もありますが保険適用外、どうします?」って患者が治療方針を常に選択できさえすれば不公平にはならないと思うのです。

また、「政府は、財政難を理由に、保険の給付範囲を見直そうとしています。混合診療を認めることによって、現在健康保険でみている療養までも、「保険外」とする可能性があります。」とも書かれていますが、自分にあった治療方針を患者自身が選択できることにより、病気が早く治り、結果保険給付も減る、なんて皮算用は駄目なんでしょうか・・・。

No.14 Oさん
あ、あ、でもしょせんマンガで読んだだけですしうろ覚えなので、歯科ではどんな場合でもかどうかは自信ないです^^;

>No.16 ぼつでおk(医) さん

そうなんです。
医療保険は、医師会の反対があるから、まずは介護保険でやってしまえ。それで既成事実を造ってから医療保険へなだれ込め〜っというのがここ数年のトレンドです。
家にいてもメシは喰うと食事の自費が増え、家にいても風呂も入ればクソもするとホテルコストと称して自費が増え、次は何が保険から外されることやら・・・

No.8 山口(産婦人科)さん
No.16 ぼつでおk(医)さん
のコメントをよく読まずにNo.17のコメントをしてしまいました。なるほど、そういう危惧があるのですね。。。しかも介護保険で先例がある・・・。

うらぶれ内科 さん
事務方の星 さん

ご説明いただき誠にありがとうございました。

うらぶれ内科さんの投稿時間とほぼ重なってしまい、そのご説明を拝見しないままでしたので、事務方の星 さんのお手も煩わせてしまい申し訳ありませんでした。
おかげさまで「混合診療」の意味をよく理解した上でROMできるようになりました重ねて御礼申し上げます。

報道が正しければ、これは「とんでも判決」です!

厚労省の不作為を問題にしているという体裁はとっているようですが、結局現状「混合診療」を認めるべきという趣旨には変わりありません。

周知のこととは思いますが、平成7年の「姫路日赤未熟児網膜症事件」最高裁判決以来、医療機関は「患者の期待」にもとづいて医療機関に要求される医療水準で治療を行わなければならずそれに達していない治療は医療裁判では医療過誤とみなされてしまいます。

今回混合診療を大筋認めたということは、まだはっきりとした有効性を証明できていない治療(最先端の実験段階のものやいかがわしい民間治療などありとあらゆる治療)までも医療機関は求められることになります(実施するか否かは別として、こういう治療もあるんですよと患者に提示しなければならないということです)。

極論ですが、運悪く治療の効果なく死亡した患者の遺族が、(何かの雑誌やテレビ、あるいは口コミなどで知識を得たような)わけのわからない治療法を教えてくれなかったと後出しじゃんけんで医療機関を訴えることが可能になります。

医療裁判での「医療水準」解釈を現状のままとしておいて、混合診療を認めるとは、こういう結果をもたらしかねないということをこの裁判官は理解しているのでしょうか?個別のケースの救済という意図なら、もうすこしましな判決がありえたと思います。

厚労省は即刻混合診療を禁止する法令を整備すべきでしょう。

No.3 ぼつでおk(医)さん

混合診療は正直コメントしづらいんですよ。
自由診療が製薬会社にとってプラスなのはシミュレーションできているんですが、混合診療は保険指定医の方々がどのような動きをされるかでだいぶ違ってきますので・・・

まあ、常に曖昧な形で無責任を保ってきた官僚には良い試金石になると思います。

 保険を適用するかどうかは個別の診療行為ごとに判断すべきで、自由診療と併用したからといって本来保険が使える診療の分まで自己負担になるという解釈はできない

 これは裁判所のおっしゃる通りですよね。
 正直、混合診療を禁止する必要性がピンと来ません。
 保険が使える診療行為だけを受ける人、自由診療も含めて受ける人。
 人それぞれで良いと思うんですが。

 「混合診療」が解禁されると,

 新しい治療法が出てきたときに,財政的理由等で保険診療として認可されない場合や,エビデンスが乏しいなどで認可されない場合に,お金のある人はこの新しい治療法を受けられるが,お金の無い人は受けられないという状態が生まれます.

 また,財政的理由が進んで,現状認可されているものでも,一定のものは保険診療からはずされる可能性もあり.その場合には,国民の負担が増える可能性があります.

 このような不都合(特に平等に医療を受けられるという観点から)を回避するために混合診療は禁止されている(と,行政解釈されている)ものと思われます.

混合診療が解禁になると、「保険適応範囲は年々狭くなりますが、保険料はこれまでどうり払って頂き、追加で自由診療費も払って下さいね」となりそうですね。

議論を二段階に分ける必要があるのではないでしょうか。

1 法解釈論として,「現在の健康保険法では混合診療を禁止することを定めているとは読み取れない」という裁判所の解釈・判断が正当かどうか。
2 制度論として,混合診療を解禁すべきか。

1については,判決文を入手できないとどこまでその裁判所が考えた結論であるか,論理的に正当かどうかは論評しづらいものがあります。
ひとまずコメントは差し控えます。

2については,実は1と独立した議論が可能です。
今回の裁判所の判断と反対の立場にたっても,現行の法制度上混合診療は原則禁止されているが,それを改めるべきという立論も十分可能です。
逆に,今回の裁判所の判断を支持しても,法律の作り方が悪い(広義の立法の過誤)として,法律を変えて穴をふさいでしまえばよい,混合診療はやはり原則禁止すべきだという立論も十分可能です。

「判決は『法解釈の問題と、混合診療全体のあり方の問題とは次元の異なる問題』とも述べ、混合診療の全面解禁の是非については踏み込まなかった。」と報じられているのは,そういう観点から理解すべきです。
あえて付言すると,新聞報道を前提にする限り,この判決は混合診療を保険で認めるべきかという制度論については中立を貫いていると評価すべきです。

>No.24 ardor さん
 お金のある人だけが先進的な治療を受けられると言うことですか?それはそれで構わないと思うんですが。
 保険の適用範囲が適正に確保されていれば問題は無いんじゃないかと。

No.25 地方医師 さん
 混合診療が解禁されると保険診療の適用範囲が狭くなるんですか?
 だとしたら問題ですが、そうなる理屈が良く分からないのですが。

名無しさん

>適用範囲が適正に確保されていれば

 ここが難しいんだと思いますよ.「なにが適正か」というところがきわめて難しいと思います.適正を狭く解釈すると保険での医療費を節約することができますから.

 それと..次にもかかりますが..

>混合診療が解禁されると保険診療の適用範囲が狭く
>なるんですか?

 おそらく「財政的理由」というのが真っ先に出てくるだろうというのが危惧されていると思います.現状の保険診療でも,エビデンス(根拠)が薄いものなどがありますから,こういうものは削られて,保険外になっていき,結局は「保険外でやってください」となるのではという危惧があるわけですね.

>No.24 ardor さんのコメント

>「混合診療」が解禁されると…(中略)…お金のある人はこの新しい治療法を受けられるが,お金の無い人は受けられないという状態が生まれます

う〜ん、ある程度以上の富裕階層にとっては、逆ではないかと…。

50万円分の保険適合の診療と、50万円分の保険外の診療を組合せて「混合診療」を受けた場合、現在の混合診療禁止政策では100万円全額が患者負担となります。これが混合診療解禁となると、保険適合診療の自己負担額85,100円(高額療養費が"一般"の場合)プラス保険外診療50万円の計58万円少々となり、経済的に負担可能となる人が増えると考えられます。

すなわち毎月100万円は無理でも、58万円ちょっとなら何とかなるという人が増えてくるわけです。ただし、毎月50万を超える負担を3年間続けると2000万円に近い金額となり、とてもそれだけの資力が無いという階層にとっては結果は一緒です。
(保険外の診療を考える余地が資力の上からそもそも有り得ないから)

※負担が3年間としたのは、病状が相当進行したがん患者を想定したものです。慢性的な病気で、高額の保険外診療を20年、30年と続けるのは、大富豪でない限り無理でしょう。


No.25 地方医師 さんのコメント

>混合診療が解禁になると、「保険適応範囲は年々狭くなりますが、保険料はこれまでどうり払って頂き、追加で自由診療費も払って下さいね」となりそうですね。

今後のパンクしかけている健康保険財政の破綻を食い止め、健康保険料の国民負担の上昇を抑制する手段として、厚労省の官僚が「保険適用範囲を縮小して健康保険の給付を減らし、ハミ出た部分は混合診療の自己負担で…」と本当に言い出しそうですね。


>No.27 名無しさま

ご理解の一助として下さい。

No.27 名無しさん

混合診療のうち自由診療の部分は全額自費ですから、保険財政を圧迫しません。つまり、厚生労働省としては社会保障支出を減らしたい財務省の意向に沿うことができます。
厚生労働省には保険診療の適用範囲を狭める動機があることになります。

個人的に勉強した範囲内での結論では「混合診療解禁に反対」ですが(まあ専門家ではないので、素人の考えですけど)、医師会はなぜ明白な法的な根拠を作る圧力を掛けてこなかったのかが不思議です。この問題は相当前から、話題になっていたように記憶していますが。なーんのために比例代表の上位などで与党に議員を送り込んできたのかと。

その経緯などをご存じのかたがいれば、紹介いただければ、皆さんの議論の一助になるかと。

法務業の末席さん

 いやいや.本来的には,新薬も根拠のあるものは速やかに保険診療にすべきですから,保険診療を前提にすべきなのだと思います.混合診療の全額自費を前提にした議論では変になるものと思われます.(先ほど書いた適正範囲という議論とも兼ね合いがありますね)

本来の保険適応の場合には
    (50万円の基礎+20万円の新薬)
     の3割負担(21万円支払う)
     [高額医療費を考えない]

混合診療で保険診療が狭められた将来

   狭められて40万円の基礎は3割負担で12万円
   10万円の狭められた分の保険外診療
   20万円の新薬(保険外)
     の合計が42万円

 で倍になるといったふうに考えないといけないのでは,ないでしょうか?

 本当のお金持ちは,現在の全額自費でも全く問題ないのではないかと思われます.

皆さまの意見をうかがいますと,混合診療の原則解禁の弊害としては,
 健康保険財政の悪化の折,保険診療の適用範囲が狭くされる危険性が高く,今まで保険で受けられていた診療について高額の負担を求められることがありうる。ひいては,ある程度資力がある人でないと今までの保健診療と同等の水準の診療を受けられなくなる。
ということにつきるのでしょうか。

そうすると,保険診療の適用範囲を不当に狭くしないような対策を取ることが可能であれば,混合診療解禁のハードルはなくなるのでしょうか。

No.29 法務業の末席さん

富裕階層の自己負担額は“一般”ではないでしょう。
あと、医療費還付を忘れていますよ。
併用すると富裕階層は混合診療が開始されてもさほど影響はないが、一般階層は大幅な負担増になるという形になるのではないでしょうか

<長文です>
 本件については、素人・門外漢で、新聞報道と日本医師会の説明を読んだだけですが、知らぬものの強みでコメントすると、次のような感じでしょうか?(憶測ですので、違っていたら指摘お願いします)

 判決は法律に根拠がないと言っているだけで、法律で規定すればいい話というように読める。
 しかし、実際には次のような状況・カラクリがあるので立法での規制は難しく、とんでもないことになる。

 仝労省は混合診療を禁止立法へ動こうと思っても、財政・予算が絡むだけに財務省のOKが必要。(日本の立法は、関係省庁全部の同意がないと内閣提出法案として国会に出せない慣行)
◆〆睫馨覆楼緡堵颪料加を懸念しており、虎視眈々と医療費削減を狙っている。
 おまけに規制改革推進会議は市場原理主義に凝り固まっており、混合診療解禁を推進している(メンバーには医療関係者はおらず、保険会社・クレジット会社等の経済界中心)。

ぁ〆合診療を解禁した途端、財務省は保険適用範囲を狭める方向に進む。例えば、保険適用が必要な理由につき詳細な資料をもって説明しないと認めない(自由診療になるものとどこがどう違うのか、自由診療でできるものは国が面倒見る必要ないとチクチクとやる)

ァ〆合診療を解禁するとその場限りでは利用出来てよいように見えるが、保険適用外のもの(例えば外国で使われているもの)が一気に入ってきて外資の得になる。
Α^緡鉄愀顕饉劼保険適用になるよう努力せず、自由診療に目がいき、高額設定により採算を取ろうとする(郵政民営化で言われていたようなことと類似)。
А々盂曚砲覆襪里廼盪ちはよいが、そうでない者との間に格差ができる(同上)。

─々盂曚砲覆襪里婆唄嵎欷韻鮖箸Δ茲Δ砲覆蝓∧欷渦饉劼離咼献優好船礇鵐后
 高額になるので支払いが取りはぐれないように前金制になる(西部劇の酒場のように?)ので、ますます金が必要。
 高額になるのでローンで分割はどうですかとなり、クレジット会社のビジネスチャンス。
 その結果、普通の人は多重債務者のように借金地獄になる。

 時折、アメリカで手術を受けるので数千万・億単位の募金をお願いすることがニュースになるが、あのような状態は日常茶飯事となる(日常茶飯事になれば誰も募金に協力しない・・・)。

 そして金持ちでない人は良い診療を受けられなくなり、映画SiCKOの冒頭シーンのように自分で傷口を縫うことにもなりかねない。

 つまり混合診療解禁は、朝三暮四どころか、「蟻の一穴」となり、これまでの日本の医療制度(高品質で安価)は消えてなくなるが、そうなってから泣いても遅い。

 よって、東京地裁の判決は、財務省・規制改革推進会議にとっては「よっしゃー」となり、厚労省・日本医師会は真っ青。

 本来なら厚労省が保険適用を認める手続を迅速にやって皆が平等に診療を受けられるようにするのが正しく、日本医師会はそのように主張している。
 しかし守旧派の遠吠えのように思われるからインパクトはなく、国民が実態を知って猛反対がないと駄目なのだが、そこを何とか分かって声を上げて欲しい。

 反対論を考慮しないで書くと、こんな感じですかね。

エントリの投稿コメントの上の方で、歯科診療では混合診療が認められているではないか? という疑問が議論されていましたので、その点について解説を。

私の癸靴離灰瓮鵐汎發脳匆陲靴泙靴拭嵎欷碓緡典ヾ惶擇喨欷碓緡斗榁甘規則(昭和三十二年四月三十日厚生省令第十五号)」には歯科の保険診療の範囲について規定した部分(同規則第19条&第21条)があります。

その条文中に大意として、「厚生労働大臣が別に定めた保険外の歯科材料については、保険診療との材料差額のみ患者負担すればOK」と規定されています。すなわち材料差額だけの負担で実質的に「混合診療」が部分的に認められているのです。これは今回の裁判で法的根拠が問われた医科の混合診療禁止と違い、明確な法的根拠となる条文です。

定められている歯科材料は、前歯のクラウン(歯の被せ物)での14金の金合金や、白金(プラチナ)を加えた金合金で、世間で言う「金歯」「銀歯」の類などですが、細かな指定材料や使える場所(どの歯にもOKではない)や、土台となる歯根の保険適用の治療方法との組合せなどが別途の通達・告示で細かく定められています。

その詳しい内容は、レセプト請求のマニュアル本を見ないと、歯科医療事務の専門家でない私には解説できません。

非常に思いっきり単純化すると

・皆保険の世界
公立の小中高等学校しか存在していない世界

・混合診療の世界
公立と私立の小中高等学校が入り乱れ
予備校とか学習塾も乱立している世界

と言うような感じですかね

 psq法曹さんの御指摘は,大筋では的を得ているのではと(私は)思います.

No.32 ardor さま、No.34 薬屋の企画屋 さま

説明しやすくするために、健康保険の高額療養費の制度を単純化して投稿してあります。所得階層や年4回を超える多数該当、世帯の年齢構成などを厳密に試算して説明するのは、このブログの投稿欄のようにテキストだけですと、私には説明し切れませんので簡略化しました。金額が荒っぽいのはご容赦下さい。

ardor さまの下記コメントには、私としては全面的同意です。

>本当のお金持ちは,現在の全額自費でも全く問題ないのではないかと思われます


No.35 psq法曹 さま

素晴らしく解りやすいまとめ方で、大筋同意です。

本来病気を治療する行為は患者ひとりと医師ひとりの1対1の関係の中にのみ存在します。
当たり前ですが人間はみな個体としてのみ存在しており一つの「病名」を診断しても患者が違えば治療内容はひとりひとり異なったものにならざるを得ません。

厚労省が決めた保険診療は治療の実態に即して考えられたものではなく経済的効率を第一に考えて決めたもので、患者一人一人の治療の成功ではなく国の福祉政策としての医療制度が経済的に維持できることだけが施策目標であり、ゆえに保険診療と医療水準との間に単純な相関関係を見出すことはほぼ不可能であろうと考えます。

これが厚労省の施策がほぼことごとく国民ひとりひとりの受診受療後結果満足度のさらなる低下にしか資していない最大の原因でありましょう。

制度を司るものは常に原点に立ち戻って考察することが制度を維持発展させる上では不可欠ですが、残念ながら現厚労省にはその認識がまったくないと思います。
厚労省や国を相手に制度論を戦わせる時にはそのことを弁えて論を立てないと、孫子の兵法に則った戦いはできないでしょう。

などと、夜中でぼんやりした頭で半分寝言なコメント(笑)まことに失礼致しました。

大正11年に健康保険法が制定された当時、健保の被保険者である被用者(給料生活者)の生活は貧しく、高額の医者代の工面を心配する状況でした。
また、医者の方も現在とは大幅に意識が違い、患者が治療代金を支払えないことを心配して、身なりの貧しい患者などは玄関先で門前払いされることが珍しくない時代でした。

こうした背景から、医者の玄関先で「保険証」さえ見せれば、患者と医者の双方が、高額の治療代の支払い(医者からすれば取りっぱぐれ)の心配から免れる。こんな目的で設計されたのが健康保険制度のルーツです。

No.35 psq法曹 さまのコメント中にある┃での「前金制」とか「クレジット後払い」などのご指摘は、健康保険制度の制定当初の理念を表していて、良く見抜かれていると感心いたしました。

素人の目から見たら、No.27 名無しさん さんのコメントが一番ごもっともに見えます。

「混合診療の場合の保険診療部分に保険給付をすること」と、「保険診療の範囲が狭まること」は、どう考えても直結しないように思います。

財政的理由で自由診療の範囲が拡大し保険診療の範囲が狭まるのであれば、それは混合診療の場合の保険給付とは因果関係ないのではないでしょうか。


また、本当に「平等な診療」を強調するのであれば、自由診療を全面禁止(本当に禁止)すれば良いと思います。

「混合診療の場合の保険診療部分に保険給付をしない」というのは、(特にこの判決の事案の場合)非常に中途半端な嫌がらせに見えるのですが・・・

以前会社と同じビルに入っている結構大規模な歯科病院に通っていたことがあるのですが、「同じ会社の○○さんも通ってるんですよー」みたいな世間話をよくするんですよ。歯科医が。さらに、こっちからも色々な話を聞き出そうとすると。「○○さんって会社ではどんな人なんですか」みたいな。

それで何回か通っているうちに気付いたんですが、それって社員の大体の懐具合をチェックしてるとしか思えないと。実際に社内色々聞いてみると、医師に勧められる詰め物の値段がそれぞれ違う。取締役には30万×本数。ある課長クラスは10万円×本数。ワタシには1本だけに5万。w さらにバイト君には保険診療だけで、そもそも何も勧めなかったとか(それはそれで良心的……なのか? ちなみにウチの会社はITベンチャー系なので年齢と給料はあまり比例しません)。

混合診療の日常化はこのような患者の収入具合をチェックしながら、診療する行為も増えることもあるのではないでしょうか。歯科医での経験からいうと、正直気持ちは良くなかったです。歯科診療は直接的に命には関わらないですから、会社でのネタ話になった程度で済んでますけど。

No.43 ですが、すみません、今年度(H19)ではなく来年度(H20)でした。訂正します。

なお、診療報酬は2年ごとの見直しのたび、削減されてきており、病院の大部分が赤字に苦しんでいます。つぶれるところも、かなり出てきているとか。

まあ、少なくとも、政府が金を出す気はなく、減らす気は満々なのは間違いないところでしょう。

「混合診療の場合の保険診療部分に保険給付をすること」と、「保険診療の範囲が狭まること」は、直結はしないでしょうね。政府の考えひとつでしょう。

ただ、医療費削減の口実がひとつ増えて、政府がこれを使わないかどうかはなんとも。削減ノルマ達成は容易ではなく、政府は藁でもつかみたい気持ちじゃあないかなあ。。。

ついでに、財界を映す鏡、日経新聞のコラムによると、今の財政黒字化目標は手ぬるいのだそうで。

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...日本では「基礎的財政収支」(プライマリーバランス)が財政再建目標にされている。歳入では国債発行を、歳出では国債費負担を抜きにして収支をはかる考え方だ。二〇一一年度までに基礎的財政収支を黒字化するといった目標である。しかし先進国でこれを財政再建の目標にしている国は見当たらない。

 たとえば欧州連合(EU)では単一通貨ユーロへの参加条件は財政収支の赤字を国内総生産(GDP)比で三%以内に、長期債務残高は同六〇%以内にするというものだ。 ...

...

 プライマリーバランスは「基礎的」財政収支と呼ぶより、「プライマリースクール」(小学校)のように「初歩的財政収支」と呼ぶ方がふさわしい。 ...
...ユーロ加盟条件並みの目標を掲げてはどうか。日本はもう「小学校」は卒業していい。

日本経済新聞, 2007/11/06, 『大磯小磯』より
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ちなみに、日本の場合、一般会計歳出の公債依存度は40%程度、長期債務残高は、対GDP比で104.8%(19年度末)だそうです。(『図説 日本の財政』より)

混合診療を認めるというのは、「保険給付すべき診療内容(例えばインターフェロン)には制限なく保険給付をする」ということでしょうが、そのことが医療費削減の口実に使われるのはおかしいのでは・・・と思います。


あと、「混合診療の禁止」という言葉自体について、もう少し根本的(初歩的?)な疑問もあります。

新聞記事にも「混合診療の原則禁止」とあるのですが、混合診療的な診療(例えばインターフェロン療法と活性化自己リンパ球移入療法の併用)を受けることが「禁止」されているということは全然ないわけですよね?

混合診療的な診療も自由に受けられるけど、そのうちの保険診療部分(インターフェロン)について「国が金を出さない」というだけでしょう。

このようなことをされても、お金持ちの人は意に介さず全面自己負担で満足な治療を受けるのでしょうが、中流以下の人は保険適用外の治療を断念せざるを得ないでしょう(この訴訟の原告のように)。

そのような制度が「平等な診療」を保証しているかというと全然そうではなく、中流以下の人の選択肢を狭めるだけの結果になっているのではないかと思います。

>No.47 KT さん

>そのことが医療費削減の口実に使われるのはおかしいのでは・・・と思います。

そのとおりだと思います。
ただまあ、今までも「おかしなこと」が散々行なわれていた経緯がありますので。。。
政府が、ありとあらゆることを削減の口実に使っているような印象はありますね。

>混合診療的な診療も自由に受けられるけど、そのうちの保険診療部分(インターフェロン)について「国が金を出さない」というだけでしょう。

単に言葉の問題ですが、それは自由診療ですね。
たとえば、産科は自由診療で行なわれています。

>そのような制度が「平等な診療」を保証しているかというと全然そうではなく、中流以下の人の選択肢を狭めるだけの結果になっているのではないかと思います。

現在、日本の健康保険制度は、かなり広範囲の治療をカバーし、しかも安価に提供しているのは事実だと思います。世界的にみても、トップレベルの「平等な診療」を実現していると思いますよ。

財界のお好きな、”グローバル・スタンダード”に則れば、”中流以下の人”がこれだけの医療をこれだけ安価に受けられることは、まずないのではないかと思います。

結局のところ、混合診療解禁するか否かにかかわらず、政府が金を出すか否か、という点が問題かと。混合診療解禁すると、中流以下の人の選択肢を、今よりもさらに狭める結果となることもありえるわけです。

混合診療は、現状でよく話題として聞くのは、歯科の材料費と癌患者の薬価です。

解禁となれば、技術料も自由に設定できて、

ブラックジャック(仮):私の全能力を掛けた技術料は1億円と設定しているが、保険診療で認められているのは100万円なので、自由診療を拒否する貴君には、保険診療で技術料で赤字にならない医療のみを提供します。

という世の中になるのでしょうか。

今は、病気になったら、医療費は日本の国が定めて一律で、医療水準/医療関係者の能力も国などが監督して一定のレベルが保たれている安心感の下、自由に病院を選べるが、混合診療認可後は、予防接種、弁護士への依頼、一般の契約のように、自由診療分の医療費に対する医療機関の医療水準/医療関係者の能力まで、自己責任で判定、詳細な比較検討することが求められるのでしょうか?

そうなると、事故・急病になったときが大変で、個人では判断しきれないので、大抵、自動車保険のように民間医療保険に追加加入することになるのでしょうね。

公的健康保険≒自賠責 ?

建物になぞえると以下?
・「国などが監督して一定のレベルが保たれている安心感」の公的健康保険≒建築基準法を守る
・自由診療≒地下室や個別の設計・施工
・サプリメント≒内装

歯科の先生からのコメントが欲しいところですが,混合診療の解禁は(していないはずですが)保険医療でカバーする範囲を狭める口実に使われてきた経緯がありますので,歓迎するのは尚早と思います.

私は今度の判決で判決が踏み込んでいない制度変更論ではなく、省令・通達にいわば違憲立法審査のような判断が行われたことに注目しています。このような訴えが増えれば厚労省も通達を慎重に検討せざるを得なくなるでしょう。外圧で厚労省の意識改革につなげられる可能性がある判決だと思います。

ただ現行制度を広くみんなで考えることは非常によいことだと思いますので今の議論にも大変注目させてもらってます。議論百出、万機公論に決すべし、三人寄れば文殊の知恵、ごにょごにょぶつぶつ・・・(笑)

私の保険適応外(自由診療)のイメージは以下のようなものです。
保険適応外(自由診療) = 全額自己負担
  全額自己負担 ≠ 一部負担金を基準とした10割相当額
 

とすると、混合診療解禁を契機に保険適用範囲の縮小が進むと、受けられる医療の格差は拡大していく事になるのだろうと思います。

一方で私は今回の判決の意味するところは、先の私のコメントの通りであると理解しています。もし今回の事例が私の考えている判決本来の趣旨を超えて現実に作用するのであれば、憂慮する事態だと感じています。

混合診療禁止をもう少し明示的に法定する方向の議論が、もっと早い時期(高度成長期とか)に行われていれば少し展開は違ったのかもしれない、等と勝手に思ってしまいます。今更な感想ですけれども。

私のコメントに大筋合意とは・・・はぁぁぁ・・・(溜息)
介護保険で厚労省が実践済みということは、「厚労省は真っ青」とは違って、「困ったな、しょうがないか」ぐらいなんでしょうかね。

No.27・47・48
私もそこが分からない、もっと説明してよと思います。
が、次のように憶測すると(憶測ばかりで済みません)、おぼろげにこんなんかな感じです。
調子に乗って書き込みます。

a 保険適用になるまで長期間がかかっているらしく、その状態が変わらないと、製薬会社などの医療関連会社は待っているよりは自由診療を求めるようになる(経済原理)。

b じゃあ外国で使っている物をそのまま保険適用にしろとなるが、いい加減にすると、いずれ国の責任を追及されるかもしれないので、それもなかなかできない。

c いやいや企業の社会的責任があるから保険適用を求める努力をすべきだと倫理性を説いても、企業の経済原理にはかなわない。

d 適用範囲が狭くならないとしても、少なくとも広がらなくなり、現状の範囲が上限になる可能性が大。

え で似たようなものが保険適用と自由診療に存在するようになると、その差が説明できずに、保険適用分も今後の見直しで自由診療に振り分けられる(自由診療分を保険適用に入れれば良いのだが、医療費削減方針からは事実上困難)。

 そういう力が、一気にか徐々にかは知りませんが、働くという関係にあるのではないかと思います。
 介護保険のグッドウィル・コムスンで経験したように、医療の世界に経済原理・市場競争を持ち込むと、そういうことになるんですよ、ということかも知れません。

 解禁派は、医師会は健康保険(国)に頼っている方がまだ安全だから反対しているだけの親方日の丸の発想だ、と非難するのでしょうか。
 しかい、アメリカのようになれば、医療現場で金のない人を断る非情な役回りは医師・病院になり、直接の悪役になるでしょうから、たまらない。

 結局、国は医療をどうするんだという確固たる理念・意思・方針を示して国民に隠すところなく説明する必要がある。
 行政改革・郵政民営化・教育改革・司法改革のすべてが規制改革会議発信であると言ってもよく(個人的には胡散臭い)、それ以上に健康に直結する医療(の改革)なんだから・・・ということかと思います。

No.53 psq法曹 さん
> しかい、アメリカのようになれば、医療現場で金のない人を断る非情な役回りは医師・病院になり、直接の悪役になるでしょうから、たまらない。

それでも現状よりはまだましと思う医師は多いと思いますよ。アクセス制限があれば勤務医の激務も減るでしょうから

今日は朝から暇だ。来年の診療報酬削減は果たして乗り切れるんだろうか。。。

抗癌剤の効果、薬価に関して、医療関係者以外に具体的なイメージを持っていただくために、大雑把に書いて見ます。

私が日常行っている、再発大腸癌の化学療法には、90年代から行われている、5FU/LV療法に加え、新規薬剤開発に伴い、FOLFILI、FOLFOX、さらにアバスチン併用療法が開発され、そのたびに、余命を3−4月延長する効果があるとされています。つまり10年前に、余命1年少しの見込みの患者さんが、最新治療を行えば余命2年少しが期待できるようになりました。
それに伴い、薬価の上昇により、一月あまりの治療費が、約15万円から、40万円、60万円と上昇し、アバスチンを追加するとさらに、一回25万円、月2回投与で50万円が加算されます。

このように、新規治療法の開発に伴って、生命予後は改善するのですが、それに必要な治療費もうなぎのぼりに上昇していきます。

今後も、新規治療法が開発されれば、それに伴い治療費が増加しますが、現時点では、高額の医療費は還付されるため、患者さんの外来での自己負担はいずれの治療法でも、実質月8−15万円程度になります。

患者の自己負担額が一定であることから、新規治療法による、治療費の上昇は、直接保険財政を圧迫するため、社会保障費削減がすすめられている現時点で、混合治療が解禁されると、現在より、さらに新規の治療法の保険適用が、認められなくなるのでは、という危惧を抱いています。

現時点での、医療水準が、混合診療開始時の保険診療のスタートになり、それ以上の治療はことごとく、自由診療となるかもしれません。

ええと、医療と治療の違いをもういちど自己確認の意味を兼ねて書いてみたいと思います。間違ってたらご指摘ヨロ(笑)。

医療とは国家の政策であって社会保障とか福祉の分野で政策として社会のより大多数に対して実現されるもの。

治療とは医学によって究明された事実に基き医用器械や薬物を科学的に妥当な方法で傷病者の身体に直接用いて個体の傷病を治癒に向かわせるもの。

医師は自分の専門分野においては治療のエージェントであり、国民会保険制度下で保険診療を行なう時は2,3割がた国の政策の医療エージェントでありますが、医療に対してもの申す資格は他の立場の誰よりも多く有していると思います。
なんとなれば、治療が無ければそもそも医療は存在し得ません。逆に医療が無くても治療は存在します。極端な話生命体には自然治癒力がありますから。

ブラックジャックのマンガちっくな話ですが、ヒマがあったので(笑)アゲとコーヒーブレークを兼ねて書いてみました。
どうも毎度お邪魔虫ですんまっしぇん。ワシやっぱ場外向きかも(笑)

【もしも十数年前に混合診療がはじまっていたら(私の専門領域から)】

「胃の調子が悪い?そうですか。胃カメラしましょうね。鼻から検査できる細いカメラでやると楽ですよ。保険ききませんから、5万円ほどかかります。なに?保険で?。よろしいですよ。少々つらいですが、従来の口から入れるのでやりましょう。」

「胃がんが見つかりました。幸い早期です。これならお腹を切らなくても、胃カメラで切除できますよ。保険はききませんので50万円ほどかかります。今までのお腹を切る手術だと胃を半分取らなければなりませんから、治療後の食生活は制限されますが、胃カメラで取ればそんな制限はありません。ですから開腹手術と違って保険はききませんけど、お勧めですよ。」

「胃潰瘍ですね。保険はききませんけどピロリ菌の検査治療をしますか?3万円かかります。そうですか、今回は見送りますか。ピロリ菌の治療をすれば胃潰瘍の再発率は格段に低下するんですけどね。」

「胆石ですね。保険はききませんが、お腹に小さい穴を開けて手術をする方法もあります。100万円くらいかかります。保険でなら普通の手術で、そうですね、少なくとも10cmくらいの傷跡がお腹に残りますよ。」

そうそう、インフルエンザの検査も当然自費ですよ。3000円也。

※わかりやすさを重視したため、多少不正確なところもあります。
上のお話は実際には全部保険がきくんですが、10年前に混合診療になっていたらどうなっていたでしょうか。
普及した技術を保険に組み込むという話も出ていますが、その保障はありません。
保険診療だから(安価だから)普及するってこともありますから、高価なら普及しないということもあります。

別な話なので分けました。
薬の企画屋さまのほうが詳しいでしょうけれど、健康保険で薬が使えるようになるには
〔瑤箸靴毒Р弔気譴
健康保険の適応となる。
という2STEPが必要。

たとえば、バイアグラは保険適応外ですから△稜Р弔呂△蠅泙擦鵑、日本で販売するために,稜Р弔必要です。日本で認可されていないバイアグラ100mg錠(認可されているのは25mgと50mg)を販売すると薬事法違反です(たぶん)。

ということは
a)新薬を保険適応にするか否かは△力
b)承認に時間がかかるのは,涼奮

混合診療が導入されても,忙間がかかれば新薬を使えるまでの時間は現状と大差ない。
したがって混合診療導入の話と新薬を早く使えるようにするかどうかという話は、本来あまり関連が無い。

「新薬を保険で使えず困っている人がいる」という話は本来「新薬が日本で承認されず困っている」という話

混合診療推進派にとって、都合よく誤解されたネタ?。

本邦未承認の抗がん剤を個人輸入で使用しているケースもありますが、販売目的でないからOKということらしい。
しかしこれは、あくまでも例外。混合診療が解禁されても改善されることではありません(ですから無関係)。

とりあえず。。控訴のようですね。。

舛添厚労相、混合診療訴訟で控訴の意向
http://sankei.jp.msn.com/life/welfare/071109/wlf0711091100002-n1.htm

 保険診療を狭めるために使えるのではないかという論は。。。以下の図で保険診療が狭まっている点をみれば想起されますかね。。。

「混合診療解禁の意義」
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/kisei/tousin/030715/kankei/2-1.pdf

混合診療解禁が何故保険診療の適用範囲を狭めることにつながるのか理解できないとのご質問ですが、上の元ライダー(開医)さんの例で明らかなように、医療技術は年々進歩します。これを保険診療に組み込まなければ、実質保険診療の適用幅は狭まることになります。

上の例でいくと、お金の払える人は小さい傷跡で術後の生活制限も少なくすみますが保険診療だけだと旧来の術後合併症に苦しむことになります。

さらに問題なのは、「うちは内視鏡下手術しかしません。保険適用の開腹手術を希望する人は隣の市民病院に行ってください」という私的病院が出現することです。倫理にもとるとか言っても市場原理主義とはこいうものです。
市民病院勤務医は新しい技術に触れ習得する機会が減り、この結果保険診療施設の技術水準が低下するのが怖い。
中にはいくらお金があっても内視鏡下手術ができない人もいます。進行癌であったり他に合併症があったりして開腹でしか対処できない場合です。このときは技術水準が低下した施設に行かねばならないからです。

医療に関しては素人なので、よく分かってませんが、
No.57 元ライダー(開医) さんのコメントはどれも、
混合診療を推進すべき理由だと思いました。
間違ってますか?

No.61 腎臓内科医さん
>上の元ライダー(開医)さんの例で明らかなように、医療技術は年々進歩します。これを保険診療に組み込まなければ、実質保険診療の適用幅は狭まることになります。
なるほど、こうすることにより狭まることはよくわかりました。

ちょっと教えていただけますか。混合診療解禁によって、保険診療の適用幅が狭まる「関連性」がまだわからないのです。混合診療を解禁せずとも、新たな医療技術を保険診療の適用範囲に組み込まなければ、幅は狭まるのではないかと思うのです。私的病院についても、混合診療解禁に関わらず、起こり得ることだと思うのですが。

No.61 腎臓内科医さん
No.35 psq法曹さんがわかりやすくまとめていただいたものを見落としていました^^;
すいません、No.63の質問とりあえず撤回させてください。もう少しROMって勉強しなおしてきます^^;

No.62 ほし さん

今ならせいぜい月数万の自己負担でこれらの治療を受けられるのに、あなたは何百万もの自費診療でもよろしいと。医者としてはありがたいですがね。

No.62 ほし さん
医療に関しては素人なので、よく分かってませんが、
No.57 元ライダー(開医) さんのコメントはどれも、
混合診療を推進すべき理由だと思いました。
間違ってますか?

はい。間違っていると思います。

>No.62 ほし さん 等
医師会や医者が混合診療禁止、と言っているのは、
「所得がとても多くはない人(日本国民の大多数)が、効果の高くスタンダードな治療を、お金がないという理由で受けられなくなる」
からです。
(以下、↑に該当する、癌など命に関わる病気についての話です。それ以外のメリット・デメリットもあるので話を絞ります)
あなたは今の保険制度なら仮に月に8万(還付されるから。一時出費はもっとかかります)の費用が、月に数10万〜の費用になっても、払えますか?
(蛇足ですが、上記の主張は医者が儲けたいからではありません。医者自身は、混合診療になろうがなるまいが儲けは変わらないどころか、混合診療の方が儲けやすいでしょう。私見ですが。)
(自由診療・混合診療になれば、手術単価など、アメリカ並みに高くなる可能性が大いにあります。そうしないとペイしないからです)

同時に「外国で効果が実証されている治療だけど、混合診療になるから事実上使用できない」という無念さもあるわけですが
それも、大金持ちなら今の制度のままでも完全自由診療としてできますし、混合診療になってもできます。
低〜中所得層は、混合診療になっても多くの人はできないでしょう。数ヶ月は可能でも(支払えても)、「死ぬまで何年も続ける」ことは難しいでしょう。

さらに不安なのは
「『あれもこれも自由診療でやってね』と梯子外しされること」と
「混合診療の自由診療部分だから高額の医療費請求という理由で医療を受けるチャンスをなくし○○が命を落としたのは被告の責任。被告は自由診療で安く医療を提供すべきであった」とトンデモ判決がでることでしょうか。
↑ジョークです。が、一部本気で心配している自分もいます

話が振れてしまい、きちんとまとまっていなくてすみません。

もはや判決自体は議論されていないようですが、判決には何ら社会的影響力はないと思いますよ。
厚生労働省は、控訴し、そこでも負ければ上告し、そこでも負けたら法改正するだけでしょう。負けないと見ますが。

No.35 psq法曹 さんの
>しかし、実際には次のような状況・カラクリがあるので立法での規制は難しく、とんでもないことになる。

というのは若干うがちすぎと感じます。

「混合診療」の定義とか、立法技術的な難しさはあるかもしれませんが、財務省や規制改革推進会議が法改正に反対するとは思いません。
所管省庁の法解釈に反する判決が出たことを奇貨として、それを正す法改正に反対するというのは、一般的な霞ヶ関の常識からは外れています。

政策論・立法論としての混合診療については、知識がないのでコメントは避けます。

>No.27 名無しさん
 混合診療が解禁されると保険診療の適用範囲が狭くなるんですか?だとしたら問題ですが、そうなる理屈が良く分からないのですが。


 製薬会社が画期的な薬を開発したとします。今流行のメタボリックシンドロームの特効薬です。一日一回のむだけで、中性脂肪も下げるし、腹囲の減少にも役立ち、血糖値もさげる薬です。 世界的に売れることが見込まれます。さあ、あなたがこの製薬会社の重役なら厚生省に薬価申請(つまり保険薬として認めてくださいというお願い)をしますか?

 混合医療が可能ならこの薬だけは自費で払ってくださいね、でもOKです。わざわざ申請して、厚生労働省に同様効能(この場合は他の高脂血症の薬とかですかね)を持つ薬の薬価を参考にされて薬価を決められて、しかもその薬価は毎年のように下がるのです。(薬価は必ずさがります。これはこの制度の構造的なものです。)


 いままで製薬企業が薬価を通そうとしてきたのは、そうでないと現実に医療機関で処方されないからです。患者さんにしてみれば、どんなによく効く薬でも、それだけの値段が自費になるのならともかくも、再診料や検査代、他の薬(胃薬とか糖尿病とか高血圧の薬)もすべて自由診療扱いになるのはたまらない、ということです。(自由診療では診察料は保険点数の2倍いただくのが一般的です。つまり保険で5000円なら自己負担は3割負担の方で1500円、自由診療なら負担金は5000円ではなく10000円です。)

 私なら薬価申請しませんね。これで申請したら下手したら株主訴訟とやらの対象にされるのではないですか?No.22のブキーマン(薬屋の企画屋)さんの言いたいのもそういうことですよね。

 アメリカで薬効が認められている薬で、個人輸入がもっと自由にできるようになったら、そして混合診療が可能な状況でそういう薬を主治医が処方できるようになったら。アメリカの製薬企業がなぜ莫大な費用をかけて日本で治験をして保険診療が認められるようにしなくてはならないのでしょう?ほしい人は輸入してくれればいいのです。

 実際にそういう薬は出てきています。一例をあげれば、いわゆる腸の善玉菌を増やすという薬です。今までの薬とちがって腸溶錠というのがポイントです。胃酸で効果が減弱するので腸で解けるタイプにするというのはきわめて合理的です。この薬は実際、高齢者の便通異常や透析患者の頑固な便秘に効果があることは証明されています。しかし、薬価申請はされていません。以前勤めていた病院では、試供品をですっかりお通じの具合のよくなった透析患者さんたちが自費で買っていました。(一日分80円くらいでした。院内の売店に置いていました。)そしてその薬は便秘で悩む女性をターゲットに通販などで派手に販売されているではないですか。ヨーグルトなどに添加されたりもしてます。

 整腸剤ぐらいならともかく、代替の利かない薬だったら?想像のしすぎでしょうか。
 

「混合診療解禁が何故保険診療の適用範囲を狭めることにつながる」と言う事に議論が集中しているようですが、これは「保険診療の適用範囲の決め方」こそが問題なのであって、混合診療自体は問題ではないように思うわけですが。

つまり、適正な形で保険診療の適用範囲が決められるのであれば、混合診療に反対する理由はないという事に繋がるかと思うのですが。

結局の所、適正な形で保険診療の適用範囲が決まる事なんてあり得ないので、混合診療禁止が望ましいという事なのでしょうね。

No.70 しま さん
>結局の所、適正な形で保険診療の適用範囲が決まる事なんてあり得ないので、混合診療禁止が望ましいという事なのでしょうね。

決めるのは簡単です。経済学的には。

>うらぶれ内科さん

決めるのは簡単です。経済学的には。

経済学的に決める事は至難の業だと思います。

ある治療法を保険適用する事がどの程度経済に影響を与え、ある治療法を保険適用しないことがどの程度経済に影響を与えるのか判断するのは、医療経済学の専門家が行ってはじめて可能な事ではないかと思うのですが。

>> No.60 ardor さん

その図は無茶苦茶ですね・・・
総合規制改革会議の人は何を考えているのでしょうか?
このような人達が「混合治療の解禁」を言っているのであれば、それに反対するのはよく分かります。

「混合診療を解禁すれば、保険診療の範囲を削っても良い」という議論は、明らかに不合理なので、そこは許すべきでないと思います。


私としては、「保険診療の範囲を拡大すべき」というご主張には全然反対じゃないのですが、その「目的」が正しいとしても「混合診療禁止(保険給付をしない)」という「手段」が妥当だとは思えないのです。

「混合診療禁止」というのは、本当のお金持ちが保険外診療を受けるのには大して影響ないけれども、中流以下の人が保険外診療を受けるのには重大な桎梏になる「中途半端な制裁」と思われるからです。

財界の代弁者、日経新聞の社説は下記のごとし。
この論理で行くと、保険診療の範囲は限りなく縮小すべしって話にしかならないでしょうね。

http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20071108AS1K0800108112007.html

> 混合診療には公的医療費の膨張を抑える効果も期待できる。日本医師会は保険診療の範囲拡大を求めている。確かに国民皆保険のもとでは、できるだけ多くの医療行為に保険を適用するのが理想だ。だが国や自治体、各種の保険運営者の財政状況をみれば適用拡大には限界もあろう。厚労省は控訴を断念すべきである。

>No.69 コンスタンチン さん 他の皆さま

 お答えありがとうございます。
 つまり、こういうことでしょうか。
 混合診療を禁止する→保険適用外の新薬を使った治療は高くつくから普及しない→つまり、新薬が売れない→売るために製薬会社は新薬の価格を下げようとする→新薬を薬価申請して保険適用にする→結果的に混合診療の禁止は新薬の保険適用化を推進する効果がある

 そうだとすると、混合診療が解禁されると保険診療の適用範囲が狭くなると言えそうですね。
 ただその場合でも、保険適用ベースに乗せた新薬の方が広く一般に流通することには変わらないでしょうから、必ずしも保険診療の適用範囲が狭まるとも断言できないのかなと。
 まあ素人には分からないですが。

 ただいずれにしても、新薬の保険適用化を推進するための手段として混合診療の禁止を維持すると言うのは、話の筋としてはちょっと違うように思います。
 他にもっと良い方法は無いものでしょうか。

>> No.69 コンスタンチン さん

なるほど・・・
初めて問題の一端が理解できたような気がします。

保険適用外の薬を使うと診察料や検査代まで丸々2倍以上になるという不利益を被るので、一部のお金持ち以外は保険適用外の薬は使わない → 製薬会社が薬科申請に努力する。

という因果関係があるわけですね。


「保険適用外の薬を使う人には、診察料を2倍にする」という制裁を加えることによって、一部のお金持ち以外が保険適用外の薬を使わないようにし、製薬会社に保険適用の努力をさせるように仕向ける・・・ということでしょうか。

何となく理解はできるのですが・・・
製薬会社に薬科申請のインセンティブを与えるために、もっと良い方法はないのだろうかとも思います。

>> No.75 名無しさん さん
丸々かぶった投稿になってしまい、失礼致しました。

またまたブギーマンさんに怒られるかもしれないけど、原点回帰してPL法で受けて立つ覚悟さえしてくれれば厚労省の置屋婆根性をまるっと袖にする協力はやぶさかでないとオモw

>No.77 KT さん

 あ、本当だ。ビックリするくらい内容が一緒ですね。
 ほとんど同じ瞬間に同じこと考えたんですね。
 ニュータイプですか?(←分からなければ気にしないでください)
 かぶったのは全然問題ないですよ。

あ、その前にどっかの満点パパをなんとかしとかないとどもなりませんでつた、お互いに(爆)。どうも不規則発言一回すると何度も繰り返す傾向が出てしまっていけません。スルーお願いし松。

>No.76 KT さん
 いえ、診察料は2倍いただきますが、検査料とかは必ずしも2倍では...。ただ、原則としていくらにしても自由です。

>No.75 名無しさん さん
 薬価を通して、薄利多売をねらうか、あるいは、好きなように価格を設定して混合診療の自由診療部分として(数は少なくなっても)売る方が収益が多いか、各製薬会社の判断しだいでしょうね。

 問題は他に変わる薬がないときに自由診療とされると本当に困るひとが出てくるであろうことです。

 自由診療の薬をどれくらいの人が欲しがるかですが、主治医がこの薬のほうがいいと言えば、案外それを使ってくれそうな気がします。

 ただ、医師として不安な点は、副作用などで健康被害がでたとき、いままでは厚生労働省と製薬会社が訴えられていましたが、自由診療では処方をした医師にも責任が追求される可能性があることです。MRさんが”いい薬できました。でも薬価は通っていません。”といってきた時に”これ以上自分の身にリスクがかかるのゴメンだよ。厚生省のお墨付きをもらって(薬価を通して)から出直しておいで。”と自分も言いそうな気がします。

No.81 コンスタンチン(内科医)さん

厚生省のお墨付きをもらって(薬価を通して)から出直しておいで。”と自分も言いそうな気がします。
製薬会社の心配するところはまさにこういうところです。 他にも利益の極大化がありありと見える、“新薬を薬価収載からはずすこと”で保険指定医の反発を買い、新薬以外の薬の売上減少など、心配事はつきません。 であれば、高い利益で少量売るよりも中程度の利益で大量に売った方が他の薬剤の販売にも会社のイメージも良くなりますし、全体として良い影響が出ると見ています。

No.78 ぼつでおk(医)さん

そろそろみみずから離れませんか?(苦笑)
ちなみにPL法とのつながりが見えません。
どんなことを期待されているのでしょうか?

どちらにしても、国民保険がカバーする範囲は狭くならざるを得ないでしょう。保険でカバーされるということで、皆さんの見えないところで、巨額の医療費が使われているというのも現状です。毎日のようにそれを見ています。その巨額の医療費を使った結果の8割はミゼラブルなものです。医療者側の自己満足と間違った正義感によって(薬や器具がからむものであれば業者側の非常な商売努力によって)なされるものですが、それが保険適応であればご家族は納得されます。そういうお金がもっと基本的なことで重要なことに回ればいいのにと思いますが、そうはならない仕組みに今の保険制度はなっているようです。

エビデンスがしっかりある(他国の大きな臨床研究で高いエビデンスを与えられたものも含み)基本的な医療を、どんな所得層の人も同じレベルで受けられるような保険制度に変わっていってほしいと思います。

内視鏡を含む新しい治療は、医者の説明によっては、画期的で素晴らしいものに聞こえますが、現実は、怪しいことも少なからずあります。保険適応であると同時に、内視鏡手術ということで、病院側に収益のメリット、内視鏡手術の道具を作る会社に大きなメリットがあるのです。
術者の技術に大きな違いがあるのも、この手術の特徴です。

あまり標準的でない内視鏡手術が保険適応外、あるいは、半適応となれば、病院側は正確な情報を患者側に与える必要が生じる(簡単な説明で、はい、内視鏡とはならない)し、患者側もどうせお金を出すならと、いい術者を選ぼうとする。ちなみに、私だったら、評判のいい術者に1年待ちで手術してもらうより、1週間後の開腹を選びます。内視鏡手術の合併症はひどいものです(開腹でやっていたなら2時間程度で普通に終る手術が、内視鏡でトラブルと死にます)

薬害エイズやHCVにしても、安易に高価な血液製剤が保険適応の名のもとに頻繁に使われることが問題の原因の大きな一つでしょう。現在でも、血液製剤は非常に高価で儲かりますので、企業は熱心に病院に売り込みます。更に、この血液製剤の効果は目に見えて分かる効果でないという特徴もあります。使ったから良くなったのか、使わなくても良くなったのか分からない。それでも、保険適応で、海外の状況とは比較にならないほど、安易に大量に使われています。日本は世界でトップのシェアを占めます。この異常な状況は、厚生労働省から企業への天下り、癒着等を匂わせます。

現場の医療者の努力の届かないところで、日本の医療はシステムとして腐っているので、現場のものはその中で矛盾に対抗しきれず、反対に利用することによって、できるだけ目の前の患者さんや将来の患者さんにいいことをしようとがんばっているのだと思います。
でも、もっと、中で起こっているおかしな真実を外に発信するべきだと思います。

そういう自分もこういうことを書くのは初めてですが。

No.57、58、61で、非っ常〜に良く分かり、私の誤解も含めて頭がすっきりしました(薬より新たな医療技術)。
ありがとうございました。

このコメントを読んだ後だと、文字だらけのこれ(→http://www.kyoto.med.or.jp/doctor/qa/pdf/1.pdf#search='混合診療')でも、読めばスンナリ頭に入りました(No.60紹介の図も出ています)。

No.83 BRO さん

現在でも、血液製剤は非常に高価で儲かりますので、企業は熱心に病院に売り込みます。更に、この血液製剤の効果は目に見えて分かる効果でないという特徴もあります。

現場の医療者の努力の届かないところで、日本の医療はシステムとして腐っているので、現場のものはその中で矛盾に対抗しきれず、反対に利用することによって、できるだけ目の前の患者さんや将来の患者さんにいいことをしようとがんばっているのだと思います。

総合すると、血液製剤の使用は、現場の医療者の届かないところで行われている。

すなわち、現場の医療者は血液製剤を使用したくないと思っているのに、保険適用されたがために、また、製薬会社に売り込まれたがために、目に見える効果がない薬品を仕方なく使用していると言うことになりますが、この解釈で問題ないでしょうか。

>No.82 ブギーマン(薬屋の企画屋) さん

外資系の製薬会社さんなんかはどうでしょうか?もともと、他の薬のシェアが少ないところなどは?トップは日本にはいないので、世間の評判もあまり気にしなさそうだし(偏見でしょうか)。

 PL法については、薬についての全責任を製薬企業が負ってくれたら(想定外の使用をされた場合も含めて)、医師も気軽に新薬だろうが、薬価収載外の薬だろうが処方できるのに、ということでは?

>No.82 薬屋の企画屋さん(やっぱこっちが仕事柄親近感が湧いて(笑)いいですね)

つながりは厚生省のお墨付き、です(笑)。
実践科学と厚生省との無縁さを見ればお墨付きが何に役立っているか考えるまでもありませんからね(笑)。あとは以前の場外乱闘を思い出していただければいわずもというより言わぬが花かもですが、No.81 コンスタンチン(内科医) さんNo.83 BRO さんのコメントがとても示唆的だと思います。

ただ、今後互いに何を期待するにしてもまず先立つのは、ある山を人が登り降りできるように道をつけることでしょうか(爆)。

>No.71 うらぶれ内科 さま

>決めるのは簡単です。経済学的には。

次のように修正すれば、本質を非常に良く見抜かれているかと…
(医療関係者でなく、社会保険制度のプロとしての見方です)

 決めるのは簡単です。健康保険財政の収支改善の為には。

No.88 法務業の末席 さん
フォローありがとうございます。寝ている間にスレが進んでしまった。

No.72 しま さん
医療経済の専門家の意見なんてどこに反映されていますか。現状の保険点数の算定だって、いつか国会で厚生官僚が「保険点数の算定に根拠はない」と言い切ったことがあったかと思いますが。国会かどうか自信ありませんが。要はきりやすいところからとる、とりやすいとことからとるという原則が働いているだけです。言わずもがなですが。

Yoshan先生がすばらしいタイミングで医療経済の専門化がどんなものかお書きになっていますね。

http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/

日本医師会が「混合診療禁止規定の立法化を要望」とのニュースです。

日本経済新聞の11/10朝刊、5面の最下段ベタ記事にありました。
下記は NIKKEI NET の記事ページです。
(魚拓ではありませんので、リンク切れの場合はご容赦下さい)
日本医師会、東京地裁判決は「混合診療容認でない」

No.86 コンスタンチンさん

外資系の製薬会社さんなんかはどうでしょうか?もともと、他の薬のシェアが少ないところなどは?トップは日本にはいないので、世間の評判もあまり気にしなさそうだし(偏見でしょうか)。
評判のみを気にしている訳ではなく、最終的に利益がどうかというところまで見ていますから、外資でも対応はさほど変わらないのではと思います。

PL法に関しては正直厳しいですね。
副作用そのものについては『医薬品副作用被害救済制度』がありますし、運用が厳しすぎるというのであれば、その運用レベルを見直すことは充分考えられます。
しかしながら、薬を使用していて不幸な転機に至った全ての事例を救済せよというのであれば、話が違ってきます。
その点はご理解いただけると思うのですが・・・

あと、大いなる誤解と思うのですが、10年前ならいざ知らず今の製薬業界に対して厚生労働省の天下りによるメリットはほとんどないですし、あったとしても影響力はありません。
また、期待もしていません(笑)

添付文書等については、稀有な副作用やデータの集積されていない症例等の扱いが難しいと感じています。

No.87 ぼつでおk(医)さん

お墨付きについては上に書いたとおりなんですが、裸でジャングルに突っ込むわけにも行かないので、ある程度の保険はほしいところです^^

>No.89 うらぶれ内科 さん

医療経済の専門家の意見なんてどこに反映されていますか。

私としては、医療経済の専門家が、保険適用や、保険点数の算定に関与されるべきだと思います。


No.88 法務業の末席 さん

 決めるのは簡単です。健康保険財政の収支改善の為には。

例えば「インフルエンザ予防接種への保険適用」や「ピロリ菌除菌への保険適用」が健康保険財政にどれほど影響があるのかは、そう簡単に決められる話でもないと思います。

確かに、短期的に見れば健康保険財政を圧迫することになりますが、ワクチンや除菌に効果があるのならば、長期的に考えれば財政改善に繋がるかと思います。

「決めるのは簡単です。健康保険財政の目先の収支改善の為には」
と言う見解でしたら、納得します

>歯科の先生からのコメントが欲しいところですが,

今頃ですが・・
歯科における自費診療ですがかぶせ物(保険では金属の種類、使える場所がおおむね決まってます)
で、治療に関して歯の治療(たとえば前歯)だいたいは神経の治療(俗に根っこの治療といわれてますねw)が終わって
次にかぶせ物の治療へと行くのですがこの課程で神経の治療が終わったら(保険病名上では)いったんその病名の治療は終わって次にかぶせ物の治療に行くという感じで別の治療が始まるため混合治療にはならないという解釈だったと思います。
同じ病名の治療を自費診療、保険診療と混ぜて行うというのは
歯科でもNGです。
後同じ日に保険・自費診療を行うのもNGだったと思います。

No.91
 医師会だけじゃ駄目なんだと思いますよ、イロメガネでみられているというか、圧力団体ぐらいにしか見られていない気がするので。
 特に、この事件が前提にあると、患者が一人で本人訴訟で勝った事件であり、表面的にみると、逆に苛めているぐらいにしか思われないのがキツイですよね。

 現状の医療を考えて、もし、混合診療が全面解禁になったら始まるかもれいないことを考えると。。

 混んでいる病院や診療科での「特別診察加算」
 夜間救急の「特別夜間救急加算」
 人気の先生を御指名の「指名医師特別加算」
 ブランド病院での「特別病院加算」

 まぁ、この程度は混合診療が解禁された場合には、医療側もやってくるのではないかと思われます。

NATROM先生の昨日のエントリーが自分の感覚に近いのでご紹介します。

ご一緒にビタミン注射もいかがですか?

No.94 しまさん

保険財政という視点だけで見れば、予防接種しないほうが良いんでしょうね。
インフルエンザワクチンは2,000円前後、タミフルが1錠360円くらいで5日分10錠3,600円くらいです。
初診料やその他薬剤を含めると保険財政に対する影響は、予防接種:タミフルで1:3くらいではないでしょうか。
とすると、年間患者数が1,000万人だとしても国民全員に予防接種しないほうが保険財政的には良いようです。

とは言っても、インフルエンザ予防接種は健康保険でもなんでもいいんですが、きちんと予防接種すべきだと思います。
弊社では製薬企業ということもありますが、インフルエンザによる社員の戦線離脱をリスクと捉えて、社員は全額補助、家族も一部補助することで予防接種を促しています。

No.83 BRO さんのご意見は、15年前ならうなずけるものが多かったのですが、現在はかなり是正されつつあるように思います。


あまり標準的でない内視鏡手術が保険適応外、あるいは、半適応となれば、病院側は正確な情報を患者側に与える必要が生じる

説明義務違反の民事訴訟の多発や、藤が丘病院、慈恵医大の刑事事件で、医療者側の自覚は変化していると思います。


安易に高価な血液製剤が保険適応の名のもとに頻繁に使われることが問題の原因の大きな一つでしょう。

血液製剤の適正使用のガイドラインが作られ、新鮮凍結血漿やアルブミン製剤の適用保険病名が制限され、また、安易な血液製剤(乾燥硬膜なども)の使用は、感染症の原因となることが、周知され、少なくとも、私の周囲では、輸血を含む血液製剤の使用量は激減しています。


使ったから良くなったのか、使わなくても良くなったのか分からない。

術後の止血剤の投与や、短期間絶食中のビタミン剤投与、軽度肝機能障害の強ミノや、タチオン投与等、エビデンスの否定的な治療法は、徐々に淘汰されています。特にDPC病院では、無駄な治療を省くことが、利益に直結しますから、。


現場の医療者の努力の届かないところで、日本の医療はシステムとして腐っているので

現在の医療システムには大きな問題があることは承知していますが、具体的な点を挙げて頂かないと、議論が発展しません。

私は、混合診療を導入すると、今よりエビデンスレベルの低い治療法が、患者のニーズという錦の御旗のもとに、不当な料金で横行する可能性が高いと思っています。
また、現時点で保険適応となっているもので、エビデンスレベルが低いもの(湿布など)は、どんどん保険適用外にすべきと思っています。

>>No.97 ardor さん
 混んでいる病院や診療科での「特別診察加算」
 夜間救急の「特別夜間救急加算」
 人気の先生を御指名の「指名医師特別加算」
 ブランド病院での「特別病院加算」

全く同感です。はじめは、院長外来とか、有名な先生の外来だけ、それもプラス500円くらいではじめる。この程度なら一般の方の反発も少ないのではと思います。でも、そのうちまわりの病院の状況をみながら、部長クラスの先生の外来診察プレミアがつくようになり、専門医の先生の外来も....。もちろん価格も徐々に上昇して。数年後にはプレミアが付かないのは研修医の診察だけになるかも。

 採血なんかもどうでしょうか。5年目以上の看護師ならプラスいくらとか。

 どこの病院も本当に経済的には切羽詰っているので、なんら設備投資のいらない、こういう収益には飛びつきたいでしょうね。

言わせてもらえばどんな医者でもどんな病院でもどんな時間でもみんな同じというほうが変ではないでしょうか。

>No.102 うらぶれ内科 さんのコメント
同意。

病名が同じでも病状は一人一人違いますし。

>No.97 ardor さん

>混んでいる病院や診療科での「特別診察加算」
>夜間救急の「特別夜間救急加算」
>人気の先生を御指名の「指名医師特別加算」
>ブランド病院での「特別病院加算」

実は3番目以外は今でも可能なんですけどね。
選定療養
特に時間外の加算は疲弊している勤務医のために実施しても良いと思うのですが、病院の『経営判断』ってやつでやらないんでしょうね。

でも、『経営判断』は勤務医の皆さんの知ったことではありませんから、特に「時間外料金は割り増ししろ!」と普段から思っている勤務医の皆さんの怒りの矛先は国ばかりでなく病院の経営陣に向けてもいいと思いますよ

No.104

特に「時間外料金は割り増ししろ!」と普段から思っている
いいですね。
全額負担だと反発がありそうなので、ちょうど逆転した患者7割負担というのはどうでしょうか?
小児については自治体により?無料というのがあるので、そういう場合は通常の3割負担に戻すとか・・・。

タクシーだって深夜料金があるんだからネ。

救急告示病院で時間外料金を選定療養として算定できるもんですかね。調べた範囲では分かりませんでした。もはやどうでもよい身分ではありますが。。。

No.57 元ライダー(開医) さんのコメントがわかりやすかったので。
自ブログ、「混合診療、解禁するとどうなる?」

で紹介さていただきました。

こちらに、混合診療が解禁させると保険外診療が増える。
保険診療の枠が狭くなる、って事の理由についても書いてあります。

同じネタの使いまわしで恐縮ですが。

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I. 医療制度改革

 米国政府は日本が医療制度を改善するための手段として市場競争原理の導入と構造改革の遂行に焦点を定めていることを歓迎する。そのようなアプローチは、質の高い医療の提供と革新的で費用効率の高い医薬品・医療機器の開発を促すために重要である。米国政府は、特に、総合規制改革会議の以下の提案を支持する。

I-A. 一般への医療情報開示の水準を向上させる。これに、医療機関による広告のさらなる自由化と医薬品・医療機器に関する消費者への直接広告を含めることを提案する。

I-B. 例えば、電子決済などのITの利用拡大を含む、レセプト審査や支払い事務の効率を向させる。

I-C. 医療機関経営の規制改革等を含む医療機関の効率性を近代化し改善する。

I-D. 民間企業による看護施設の設立と運営を促進する。

日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書(2001年10月14日)
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No.101以降のコメントを見てると、自由診療へまっしぐらって感じですね。

>No.109 薬屋の企画屋 さん
うん、ダッセンダーの私がゆうのもなんですが(笑)、ちょい耶馬かも。調子に乗ってNo.3なんか書いちゃったですし。

本心では
>No.22(薬屋の企画屋) さんのコメント
>常に曖昧な形で無責任を保ってきた官僚には良い試金石になると思います。

と同じ方向で、厚労省の朝令暮改通達の朝三暮四行政ぶりをとっちめてやる武器が一つ増えたかなと思っただけだったんでつが。

保険診療は混合診療の可否にかかわらず縮小されています。
診療報酬改定:軽度のやけど処置など加算せず 厚労省方針(毎日新聞より)

厚生労働省は31日、中央社会保険医療協議会の小委員会で、軽度のやけど処置や、洗眼、湿布を張ることなど、患者本人や家族でもできる治療を医師がしても、従来のような加算はしないという08年度診療報酬改定方針を示した。現行報酬(1点10円)は、医師が軽度のやけど処置をすれば135点、湿布を張れば24点−−などの点数が定められている。

混合診療が認められる場合、患者負担増になるのは高度な医療ではなく、ごく普通の医療なんです。たとえばこの軽度のやけど処置を例にとれば、「やけど処置は保険ではできなくなりましたので、御自分でガーゼを購入してなさっても結構ですが、私の方で行う場合は1350円頂きます(ええ、保険診療と同額で行う良心的な先生を想定しています)」ということになるんじゃないか、っていうことなんです。混合診療禁止なら医療機関がやけど処置をしないで帰すわけには現実的には行かず、直接収入の減少に繋がるこうした保険診療縮小には医療機関が抵抗しますが、混合診療が認められれば財務省や厚生労働省の暴走を止めることは、誰にもできなくなってしまいますね。
保険診療における診療報酬には消耗品だけで原価割れしているような点数がついているものがありますが(たとえば骨髄穿刺は80点ですが、ディスポーザブル骨髄穿刺針は1000円くらいします)、混合診療が認められた場合、こうした原価割れの診療が保険では行われず、有名無実化してしまうのではないかと危惧します。「骨髄穿刺は保険では行っておりません。自由診療5,000円(消耗品と医師看護師検査技師各1人20分の人件費と考えるとこんなもんでしょうが、自己負担20倍ですね)で行います」などという医療機関が現れるのを防ぐことは、制度上できるのでしょうか?

混合診療の是非も議論のテーマとしては有意義とは思いますが、私としてはこの裁判の判決が確定した場合の行政(厚労省)へのインパクトについて興味があります。

今回の裁判が控訴審、さらに最高裁と進んで、1審と同じく「混合診療の禁止は法的根拠を欠くもので違法」という判決が確定した場合、法的にはその瞬間から混合診療が解禁されると解釈できるのでしょうか?

もちろん、この判決確定までに混合診療禁止を明確に規定する立法措置が実現しない、という前提です。

どなたか行政法に詳しい弁護士の方、お手数ですがご教示下さいませんか。

>No.111 pmj さんのコメントへ

こんにちは。私は麻酔科医師です。手術部で使う材料には、健康保険で償還できないものがたくさんあり、中には本当に手術の成否に影響するような有用な材料(薬事法上は認可されたものであるにもかかわらず)も、やむを得ず、病院の持ち出しで使用することがしばしばあります。経営努力の行き届いた民間病院ではこの辺の適応が非常に厳しく、絶対に保険で認められないものは使用するなとされていますし、大学病院や公立病院では、甘いので、実は医者が好みの消耗品を自由に納入させて手術自体が、大赤字になるような材料費を病院に負担させたりします。混合診療が認められるようになると、このような「特定材料不認可」の消耗品機材の患者への請求が可能になるのでしょうか?請求が可能になれば、業者のほうも、なだれを売ったようにいろいろな製品を売り込みにくることが予想されます。まさに、手術の様相は一変すると思います。

この判決自体がにわかに「解禁」を意味するものでないにせよ、ここの事例について徐々に、規制が緩和されていく道が開かれるのタイミング的に、間違いないように思うのですが。

現行制度でも計画があるようですね...

<時間外救急>軽症者から8400円特別徴収…埼玉医大計画
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071111-00000008-mai-soci

保険診療を狭めたので有名なのは

リハビリ180日で打ち切り

ですね.有名になりましたもんね.

いまさらですが
この裁判の原告の方は、なんで本人訴訟だったのでしょう?
自分だったら弁護士を依頼します。こんなのすぐ勝てる、と思って、頼まなかったのでしょうか?
それとも、頼んでもことごとく断られたのでしょうか?
でも、判決理由をみると弁護士が断るような案件には思えない(法律解釈でカタがついてるので)のですが。

どうなんでしょ?

 報道によれば、医療専門の弁護士に相談にいったが、断られたとのことだそうですが。。。ホントのところはどうなんでしょ?

No.116 shin-naiさん、
>それとも、頼んでもことごとく断られたのでしょうか?

だ、そうです。ガイシュツかと思われますが。

勝てそうもない訴訟を煽って高額の着手料を取る悪徳弁護士、という絵図を描く方は司法に反感を抱く医師をはじめとして結構多いようですが実は、弁護士とゆーのは良心的な方が多いようでw、とても勝てそうもない、若しくは勝っても依頼人にメリットが少ない(弁護額が損害額より高くなる)ような場合は依頼人がいくら「金も勝ち負けも関係ない!」と言い張っても引き受けてくれない場合が多いようです。

おかげで私も弁護士4人、司法書士1人に断られたあげく本人訴訟する羽目になりました。ちなみに私も勝ちましたが、悪徳商法相手の民事裁判ならともかく、国家相手の法律解釈論争で勝てる筈はふつーはないですからね。弁護士さん達の判断は妥当でしょう。

> No.112 法務業の末席 様

本日、裁判所のHPにこの事案についての判決文が掲載されました。
裁判所HP -> 最近の判例一覧- > 下級裁判所判例集 の中の、
「平成18(行ウ)124 健康保険受給権確認 平成19年11月07日 東京地方裁判所 その他」
が、それと思います。

法律資格の無い私が控訴により訴訟進行中の現時点で、考えを述べるのは躊躇するところなのです。以下、あくまでも私の個人的感想であり、誤った解釈の可能性があります。勝手ながらその前提の範囲内においてお読み取りいただければと思います。
また、誤りがありましたら、是非とも御指摘いただければ幸いに存じます。

今回の判決によれば、関係する現行の法律・省令・告示そのものに問題があるのではなく、それらの厚生労働省の解釈・適用(運用)が誤っているとしているようです。
となれば、もし仮に原告勝訴の判決が確定したとすると、法令の改正手続きを要する事がなく、原告については判決確定時から、その他の事例については(実務上)解釈・運用を改める通知が関係各所に発出された時点において混合診療解禁となるような気がするのですがどうなのでしょうか。

また、仮に明示的に混合診療を禁止する法律改正があれば、(訴求適用規定の無い限り)効力発生は施行以後なので、施行日以前の混合診療分は(特段の立法措置が無い限り)保険給付がなされる取り扱いになるような気が致します。

いずれにしても、もしこの判決が確定した場合においては、現行の法令下で過去に行われた混合診療中の保険診療相当分の保険給付をどのように取り扱うか等の大きな問題が発生するような気がしています。

> 全ての皆様

申し訳ありません、変換ミスをいたしました。

先の私のコメント(No.119)中に変換ミスがありました。
結果として、意味が異なった文章になってしまいました。
以後は投稿には、より一層の注意を払うように致します。

末尾から2番目の冒頭の部分。
            ↓↓
誤:法律改正があれば、(訴求適用規定の無い限り)効力発生は
            ↓↓
正:法律改正があれば、(遡及適用規定の無い限り)効力発生は
           
以上、謹んでお詫び申し上げますとともに、訂正申し上げます。

> 法務業の末席 様
No.112のコメントでは行政法に詳しい弁護士様等へのコメントを呼びかけておられますのに、素人が差し出たコメントを申し上げました御無礼をお許し頂ければ幸いに存じます。

http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20071111AT3S0600W10112007.html

予想どうり調整係数も外されます。
一般急性期病院まで本気で潰しにかかってますね。

田舎公立病院に多い、入院ついでに・・・部分を自由診療にしてお金を頂かないとあっという間に潰れそうです。

保険外診療に反対する方々のご意見もっともです。
しかし、重要なのは、現在の保険診療が限界を超え始めているという点です。保険診療がこの先機能しなくなるのは明らかです・・・というよりその予兆が見えています。
これに対して混合診療を導入しないための解決策というのはあるのでしょうか?私の勉強不足かもしれませんが、かなりの消費税上げや自己負担増以外に未だに有効な解決策を見たことがありません。実際にこれらを導入してもかなり思い切った負担増をしない限り解決しないのは明らかです。
私はその点、混合診療の導入が現在考えられる対策だと思います。もちろん、本来混合診療を導入しなくても良い社会を築き上げるべきとは思います。しかし、現実には保険診療は限界だと思うのです。
このままでは病院はつぶれ、医療過誤は増え(というより検査が制限されるのだから当たり前である)、患者は治るはずの治療も満足に受けられずということになるでしょう(いや、すでにそうなっているかもしれません)。
「この検査はこの病気には適応外ですから医学的に必要であってもできません。もしやるのであれば全額自己負担となりますが、良いでしょうか?」
と言われて納得のできる医師や患者がどれだけ居るでしょうか?

>No.121 地方医師 さんのコメント
事態は急を要する局面ということですね。

介護保険の惨状を見ると、医師にも患者にも厳しい展開が予想されます。
厚労省はすべて通達行政ですから、通達の法的効力そのものをひとつひとつ問うて行くしかないかも。
通達の無力化をはかるにはやはり、介護保険の梯子外しですでに実際に被害を受けておられる要介護のひと本人発の訴訟が、いちばん力があるでしょう。特に訴えられる通達の数が増せば通達のもつ実権を抑え、厚労省行政の信を問えると思います。

医療じゃなく介護に絞ったのは、横浜の通達事件は蒸し返そうにも法的にはなかなか困難だろうからです。なぜか刑事になってしまってますから。

thx-1138 さん
裁判所判例のページご教示ありがとうございました.

>No.119 thx-1138 さま

判決文の情報ありがとうございます。
まさにこのエントリの裁判の判決文に間違いありません。全国の地裁判決のうち、最高裁のHPにて判決文が公開されるのは月に10件あるかないかですから、裁判所としてもこの東京地裁判決をかなり重視していることの現われかと思います。

さて、判決文自体はザッと一読しただけで、まだ充分に精読しておりませんが、いくつか面白いことが判明しました。(例によって私の投稿は長文です)

まず第一に、原告の請求は、保険適用外の活性化自己リンパ球移入療法(以下LAK療法)と、保険適用のインターフェロン療法(以下IF療法)を組合わせたとき、単独であれば保険適用となるIF療法についても適用外とされ、保険給付を一切受ける権利を失うのは違法であるという。すなわちIF療法への保険給付の権利があることの確認であって、本来給付されるべきIF療法の保険給付分(いわゆる7割の保険給付分)の医療費の金額を支払えという請求ではない。

このことは訴訟に勝っても権利の確認であるから、改めて保険者である社会保険庁(政管健保の)に対して、病院窓口で支払ったIF療法の医療費全額から、自己負担分を控除した健康保険給付の医療費相当の金額(療養費)の支払を請求しないと、1円も原告は受け取ることが出来ないことになります。

もしこの訴訟を弁護士が引き受けてくれても、最高裁で判決が確定した後に原告が保険給付の支払を請求して支払われるまでの間は、弁護士報酬については全くの原告の持ち出しとなってしまいます。また、もし判決が確定して支払請求したとしても、IF療法の保険適用分だけですからせいぜい数十万円程度と予測され、最高裁まで数年掛かりで争った場合の弁護士報酬の負担を考えると、割に合わない金額かと思います。

No.116 shin-nai さんの「何で引き受ける弁護士がいなかったのか?」という疑問については、この辺が一つの解答となり得るということかと思います。

私自身社会保険労務士として、法的根拠を裁判で問うてみたいこの手の厚労省の通達行政は他にもいくつかあります。しかし、たとえ一審では勝ったとしても被告(国)は必ず最高裁までトコトン争うでしょうから、費用的には大変割に合わない訴訟だと考えていました。今回の原告の清郷伸人さんが本人訴訟という超ローコストの訴訟を決断しなかったら、この画期的な判決文は読むことが出来なかったと思います。その面で青郷氏の勇気と貫徹力に敬意を表すばかりです。

(控訴審や上告審では、ボランティア精神で弁護士が加勢して欲しい、と個人的には思っています)

第二の注目点は、判決の主文が本来保険適合のIF療法と、自由診療のLAK療法の組合せに限定して、IF診療の保険適用の権利を認めたことです。ですから全ての「保険適合診療」と「自由診療」の組合わせによる「全ての混合診療」において保険給付の権利を認めたわけではないということです。

ですので、仮に同じようながんのIF診療(保険適合)を受けている人が、保険外の抗がん剤の治療を組合わせたときには、この判決が最高裁で同様に確定したとしても、自動的には保険対象とされないということになります。ただし、判決理由での健保法の法令解釈は援用できますので、別の療法の組合せでも訴訟を提起した場合は、同じように保険適応の判決となるとは思いますが…。

この辺は私も法曹資格のある法律家ではないので、この判決が最高裁まで行って確定した場合にどうなるかは、自信を持って言い切れている訳ではありません。法曹資格者のコメントが欲しいところです。

なお、念のために申し添えれば、健康保険法での療養費の請求時効は、医療費を支払った日の翌日から2年とされています。よってこの原告以外の訴訟による時効の中断が無い人は、本裁判の判決が確定して混合診療の保険適用分が請求できることになったとしても、時効の規定により2年前の医療費支払分までしか保険給付の請求が出来ないものと思われます。

この判決が最高裁で確定した場合は、法改正しても遡及適用の関係で過去の混合診療全てが保険適用の対象になるのでは、というご意見の方もあるようですが、こうしたことから私はそのようなことにはならないのではないかと、現時点では考えています。

いずれにせよ、国(厚労省)としては最高裁までトコトン争うでしょうし、人的にも軍資金的にも国の訴訟遂行能力は無尽蔵です。たった一人だけのシロート本人訴訟では、最高裁まで戦い抜いて最後の勝利を勝ち取れるのか予断を許しません。特に原告ががん患者であり、国が長期戦を選択した場合は圧倒的に原告不利であることが心配です。

所得再分配という観点から、混合診療を考えるとどうなりますかね?

自由診療と保険診療の併用を認めると、いままで全額自己負担で医療を受けていた、富裕層に対して、税金と保険料で補助金を与えることになりそうです。そんな人がどれだけいるのかはわかりませんが。

保険適用範囲が縮小されていくと、低所得者層から順に医療を受けられなくなっていき、最後は高所得者層だけが残るとすると、彼らに、低所得者層も支払っているところの、税金と保険料を独占させることにならないですかね?

低所得層は税金・保険料を払わされて、実際に給付は受けられない、という悲惨なことになる? 極端なケースかもしれませんけど。所得の低い人は受診を控え、所得の高い人は頻繁に受診する、という傾向は今でもあるようですし。

判決文を拝見しました。

この判決は要するに「現行法上混合治療禁止を定めた規定は存在しない」という判決であり、その解釈の射程は保険適用の治療全般に及んでいると思います。

というのも、判決の理由付け(「第3 当裁判所の判断」のところです)において、国が混合治療禁止の根拠とする2つの解釈論について、全面的に切り捨てているからです。

問題となっているのは、健康保険法63条と86条ですが、確かに規定の字面上は、いずれも混合治療を禁止するとまで読める条文ではないのかも知れないですね。

この判決が最高裁で確定した場合、「混合治療は健康保険法63条によっても、86条によっても、当初から禁止されていなかった」ことが確定するので、「混合治療解禁」という表現は当たりません。

その後の処理については、No.125 法務業の末席 さんの仰っているような処理になるでしょう。

なお、判決の18頁7行目以下は

「一般的にいえば、保険診療と自由診療が併用された混合診療については、一方で、併用される自由診療の内、何をどのような方式で保険給付の対象とすべきか、また、それに伴う弊害にどのように対処すべきかという問題があり、他方で、自由診療が併用された場合にもともとの保険診療部分についてどのような取り扱いがされるかという問題があるところ、これらは別個の問題であって、両者が不即不離、論理必然の関係にあると解することはできない。」

とされています。

これは要するに、「混合治療を認めるかどうかの問題と、保険診療の範囲・自由診療拡大の弊害の問題とは、別個の問題である、論理必然的な関係はない。」と言っているのだろうと思います。

上記については、実はこの判決は「混合治療禁止に妥当性があるかないか」というところまで踏み込んだ論述をしているとも見受けられます。

KT(弁) さま

判決文の専門的な解説、ありがとうございました。私の125のコメント中で、「判決理由での法令解釈の援用」というヘンテコリンな用語になっている部分は、「射程距離」という用語になるわけですね。

なお、KT(弁)様の128での判決文P.18の7行目以降の記述についてのご指摘ですが、同じP.18の20行目より以下の記述があります。

判決文引用>また、このような法解釈の問題と、差額徴収制度による弊害への対応や混合診療全体への在り方等の問題とは、次元の異なる問題であることは言うまでもない。<引用終わり

この文章については、私は次のように解釈しています。

「このような法解釈の問題」= 混合診療となると保険給付が一切受けられなくなる告示等の法的根拠は、特定療養費制度の既定からそれ以外の保険外診療との併用は禁止と解釈できるという厚労省の主張

「差額徴収制度による弊害への対応や混合診療全体への在り方等の問題」= 厚労省が常日頃、並びに今回の裁判においても主張した、混合診療での保険適用を認めると健康保険制度に社会的悪影響を与えるから、という制度設計の目的趣旨

すなわち、健康保険制度の目的趣旨がどうであろうと、その目的を達成する施策を行政が告示等で行なうには、その告示等に法的根拠が無ければ違法である。混合診療禁止の目的趣旨がいかに国民全体の利益に資するからと言って、(法的根拠が曖昧な)告示・通達でも合理的理由があるとする厚生労働省の主張には結びつかない。このように言っているものと思えました。

一審判決は原告勝訴でしたが、厚労省は高裁・最高裁と最後まで争う(現に控訴を表明)でしょうから、仮に原告勝訴のまま判決が確定するとしても3〜4年は先のことでしょう。もちろんそうした司法の場での争いとは別に、国会という立法の場で混合診療での保険適用を禁ずる立法措置も講じて来るのは間違いないと思います。

その立法措置が施行されて2年以上経過した後に最高裁判決を迎えることが出来れば、仮に一審同様に最高裁で国側敗訴となっても、健保法の請求時効の2年が経過していますので、訴訟で時効が中断している原告の清郷氏以外は、混合診療での保険給付分の支給を受ける(もちろん金銭精算となるでしょうが)可能性は無くなると思えます。

早い話が、先般医師会が厚労省に要望した混合診療禁止の立法措置が行なわれ、その施行日から2年以上遅れて判決確定となれば、本訴訟の原告以外に混合診療が「解禁」される人は居ないということであり、日本の健康保険制度の根幹がひっくり返る心配は無いと考えます。

KT(弁) 様、法務業の末席 様(50音順で失礼致します。)

判例の解説ありがとうございました。よくわかりました。実は、先の私のコメント(No.119)の最後に書いた事は、次のような疑問が生じたからでした。皆様の解説を受けて改めて書かせて頂こうと思います。長文お許しいただければ幸いに存じます。

1、この判決は、保険適用の治療全般について、現状では混合診療は禁止されていないとする判断であると読みました。
2、ところが、現状では混合診療は違法であるとする厚生労働省の判断があり、法の執行もそれを前提に行われています。
3、ということは、混合診療を断念して全額自費で治療を受けてこられた方が居られると思います。
4、仮に、現行の法令において混合診療は禁止されていないとする判決が確定するとします。
5、更に、明示的に混合診療を否定する改正法が施行されているかは問わないとします。

この仮定の状況の下で、混合診療を断念して全額自費で治療されてきた方々が、判決の確定を理由にして過去の混合診療のうち保険診療分について療養費(家族療養費)の支給申請をして、時効の為に却下されたとします。
その上で、『過去の違法な法解釈による行政運営の結果、保険給付を受ける権利を侵害されてきた。更に判決確定後に給付時効の成立を理由にして、過去の混合診療分のうち保険適用分の療養費の支払いを拒否する事は信義則に反する。故に当該保険診療分の療養費を支給してほしい』と言う趣旨の不服審査や行政訴訟が提起されれば、認められる可能性はあるのでしょうか?

公的年金制度においては、行政窓口での誤った法令の執行により権利の行使を行えず、事後に誤りが判明した場合に時効の成立を根拠に給付を拒否する事は信義則に反する旨の審査会裁決や判決が出る事は珍しくないようです。今回の健康保険法の事例でもあり得るのかなと、勝手に想像してしまったのです。

給付時効2年というのは介護保険でも訴訟場面では厚労省なら存分に使ってきそうですね。今回この判決のほとぼりが醒めないうちに、介護保険の梯子外しの被害者が可及的速やかにそれぞれの実質被害請求を練って、できるだけ数多の訴訟を起こしてくれればよいのですが。

官庁上層部の密室でこれ以上朝令暮改な梯子外し通達を乱発させないように、すでに実施された通達に対して実際の被害の補償を早期に訴えられるところから次々に訴えていくというのが、通達を裁量で決める際に法的検討事項が増えることでより長期に配慮された通達を出す必要が増し、省庁の裁量の質を今より向上させるのに有効に思えるのですが。

>No.129 法務業の末席 さん

判決文18頁あたりの受け取り方は微妙で、一方で「国の主張する『弊害』の議論は法解釈とは別次元」と言いながら、他方で「混合診療容認と国の主張する『弊害』は、不即不離ではない」と述べているようにも見えます。

まあ、私の読み込みすぎかも知れないですが。


>No.130 thx-1138 さん

信義則の主張は、事案によっては考えられると思います。

特に、患者からの問い合わせに厚労省が「混合診療はダメだから全額自費ですよ」と指導して、患者が泣く泣く全額自費で受診してきたような場合、後になって厚労省側が時効主張するなど信義に反する感じがします。

いずれにしても、今回の清郷さん判決を受けて、全国の自費受診者が一斉に提訴してきた場合、その全部を時効で切れるものではないです(少なくとも過去2年分は時効にかかってない)。

その意味で、今回の判決の社会的影響には甚大なものがあります。

 KT(弁) さま

判決文の読み込みに関しては、社会保険労務士である私にはいささか専門外、というか経験や勉強が足りないので、いろいろと教えて頂きたいと思っております。

ただ、本音を言わせて頂ければ、今回の判決に限らず、アノ判決文独特の文体はもう少しトーシロにも分かりやすく平易な文体にできないものか、と判決文を読むたびにいつも思うところですが。文意の解釈がブレないように注意して判決文が書かれていながら、「読み込み」という能力が必要とされるのもおかしな話ではないかと、常々思う次第です。

これはトピズレの感想でした。
以下が私の投稿本文ですが、これまた長文です。
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>No.132

>いずれにしても、今回の清郷さん判決を受けて、全国の自費受診者が一斉に提訴してきた場合、その全部を時効で切れるものではないです(少なくとも過去2年分は時効にかかってない)。

>その意味で、今回の判決の社会的影響には甚大なものがあります。

この部分については、日頃行政実務に携わる社会保険労務士として、多少違う感想を持っています。私自身は、この判決以後の「将来の混合診療」については甚大な影響があり得る可能性は否定しませんが、「過去の混合診療の健保給付分」については、そう大きな影響は出ないと思っています。

というのは健保法第189〜192条並びに社会保険審査官及び社会保険審査会法で、保険給付の決定処分については健保法での審査請求を経ないと訴訟提起が出来ないとする「審査請求前置主義」の規定があります。従来もこの混合診療での保険給付については、具体的な保険給付の支給(療養の給付、又は療養費の給付)を審査請求した事例は、過去数千件を下らないでしょう。ただし第一審に相当する都道府県段階での審査官、第二審に相当する審査委員会では、今回の訴訟での被告(厚労省)側主張の理由をそのまま採用し、悉く保険給付しない(不支給)決定は妥当とする請求棄却でした。

これは審査委員会が厚労省の管轄下にあるので、いわば当然とも言える結果ですが、我々社労士としては混合診療での保険給付分の請求(実際に自己負担となった○○円は健保で払うべしという請求)は、「絶対に勝ち目がない」というのが常識となっています。私も何件か相談を受けたことがありますが、全て依頼人を説得して諦めてもらいました。また、この保険給付の不支給処分に係る審査請求は、当該不処分の決定した日(起算日は受診日なのか、それとも社保事務所に保険給付相当分の療養費を請求して却下された日なのか議論の余地はあります)から60日以内に審査請求しなければならない旨規定されています。この60日のカベにより相談が遅すぎて諦めてもらったことも実際にあります。こうした理由から、私自身は混合診療の保険給付について審査請求の代理人を務めた経験がありません。(他の事由での審査請求の経験はありますが)

こうした現場実務の実態から、混合診療の保険給付分について過去に実際に訴訟にまで持ち込まれる例が少なく、さらに請求が認められた判決が私の知る限り過去には存在せず、今回の清郷氏の東京地裁判決までありませんでした。保険給付されずに自己負担した金○○円を支払えという訴訟では、この審査請求前置主義のカベと、もう一つはその請求金額が数万円〜数十万円であって、弁護士費用等を考えると費用対効果が割に合わないので諦めてしまう例が多かった為と考えています。

今回の清郷氏の訴訟は、訴訟物として保険給付をストレートに請求したのではなく、保険給付を受ける「権利の確認」を請求したのが画期的であり、それ故に健保法の審査請求前置主義のカベをすり抜けてしまったのです。この点、現場で実務の代理人を務める我々社労士には、審査請求を経ずして権利の確認訴訟を起こすという発想がなかったことは、反省しなければならないことだと思います。

ただこうした実務経験の認識からすると、時効2年とはいえ、混合診療での療養費の不支給決定から60日以内に、しかもその都度(※)社保庁に対して審査請求して時効の中断を得ておかないと、仮に今回の清郷氏の判決が確定しても、その判決をもって全ての過去の混合診療での保険給付請求が認められるかは疑問に感じています。

(※)健保の保険給付の決定(レセプト請求の支払い)は月単位ですので、診療が連続していても最後の受診日から起算して60日という解釈は難しいかと思料します。将来の訴訟を意識した予防措置としては、毎月必ず社保庁に療養費を請求してその不支給処分に対し審査請求しておき、その都度時効の中断を得ておくのが理想だと思います。

長々と書いてきましたが、私ども社労士は法務業とはいえ健保法など手続法主体です。民法など実体法を扱われる弁護士の方々とは、本判決に対する認識が大いに違うものと思っておりますので、私の認識の浅さについて弁護士の方々よりご教示頂ければと思います。

> KT(弁) 様
ありがとうございました。応答がいただけてありがたいです。
やはり可能性は皆無では無いと考える余地があるわけですか。
判決文をみて以来、法務業の末席様のおっしゃるとおり容易でないのでしょうが、一部でも提訴する動きが生じれば報道等の展開によっては社会的影響は大きくなると考えてきました。

> 法務業の末席 様
以下、現場を知らない素人の考えですので、お気を悪くなさらないで頂ければ幸いに存じます。
確かに、審査官=厚労省職員ですから、是非は別として、厚労省見解に近くなるのは想像できてしまいます。ただ、審査会の委員は≠厚労省職員ですから、審査官よりは中立的判断が出てきたと思います。(採決集などからの個人的主観です)
一方で、審査会法による不服審査は行政権に含まれるので、審査官の決定や審査会の採決に一定の限界があるのだろうと思います。けれども判決が確定した後は審査会の採決の段階では、過去の分のもちろん全てがと言う訳ではないけれども、状況が変わるのではないかと期待しています。

判決確定後に、過去の判決確定前(時効成立分込)の期間の可能な限りの療養費支給請求書を提出して不支給決定を受ける事が(困難なのでしょうけれども)出来れば、そこを起算日にして審査請求できるのではないかと思います。そのまま審査会まで進み信義側などを主張する等すれば、その範囲内において可能性は全てでは無いにしても皆無でもないだろうと思えるのですけれど、素人の浅知恵なのかも知れません。諸々の事情から限定的な事例にとどまるのだろうとも思います。
そもそも判決の確定が前提なのでそれ自体の可能性の問題もあるのでしょうけれども。

※社会保険審査官及び社会保険審査会法=審査会法、社会保険審査官(審査会法第1章)=審査官、社会保険審査会(審査会法第2章)=審査会、と略称致しました。

>No.134 thx-1138 さま

>確かに、審査官=厚労省職員ですから、是非は別として、厚労省見解に近くなるのは想像できてしまいます。

確かにそう言う一面もありますが、基本的に審査会は、社会諸法令に基づいて定められた通達や告示、さらには事務取扱規則などの、言うなれば「厚生労働省内のルール」に則って、支給決定(不支給決定)の処分が為されたか否かを判断する組織です。そもそも「厚生労働省内のルール」の法的根拠が何処にあるのか、これを判断することを審査会に求めるのは無理というものです。

もし仮に、清郷氏のようにルールの法的根拠を争点として審査請求した場合、被告である厚労省が裁判で主張したように、「混合診療禁止は健康保険法63条と86条の解釈から明かである、よって保険給付をしないとの原処分を取り消す必要はない」でお終いでしょう。

また、自分の省で出した通達や告示の法的根拠を、厚労大臣が任命する審査会委員が否定する裁決を出すとは思えません。この点に関しては「厚労省見解に近くなる」という thx-1138 さまのご意見に大筋で同意です。

日本経済新聞の11/15付朝刊1面記事
『規制改革会議 混合診療、前得mん解禁迫る』

記事本文中で今月7日の東京地裁判決に言及しております。

『今月7日には東京地裁が混合診療の原則禁止について「明文規定がない」として違法との初の判断を示した。厚労省は控訴を表明したものの、判決は「国の健康保険法解釈は誤り」と指摘しており、訴訟の展開次第で同省は何らかの対応を迫られる公算が大きい』

No.68 現役行政官 さんのコメント|にあるように、国が混合診療禁止を維持する気ならば、医師会の意向を受けて厚労省は法改正するしかないのだろうか。

それとも今回の規制改革会議の2次答申に盛られたように、
『混合診療の規制を禁止だけを列挙した「ネガティブリスト方式」に移行し、実質的に全面解禁するよう求める方針だ。』
コッチですかね。

 ※『』内はいずれも記事引用

連投失礼
上記の私のコメント中、「No.68 現役行政官 さんのコメント」へのリンク貼りを失敗しました。手作業でNo.68コメントに移動して、お読み下さい。

> 法務業の末席 様

「庁運営部の現状の○○についての事務執行(解釈・運用)は、△△法第△△条に依れば誤りで※※と取り扱うのが妥当であるから運用の改善を求める」として、事務執行が誤った法律の解釈に依るとした審査会裁決の例は私も1例しか知りませんし、当時直接該当する事務を担当していた訳でもありません。

ただ、あの裁決の後、審査会を少々見直したのも事実で、その印象が強いから期待しすぎるのかも知れません。おっしゃるとおり、割合からすれば皆無に等しいですし。

また、最近の一連の私のコメントについては意図とは異なり、専門職の法務業の末席様に対して礼を失した書き方をしたかもしれません。お気を悪くされていたら申し訳ありませんでした。

>No.136 法務業の末席 さんのコメント
の新聞記事のような解釈が一般的だとすると、医療保険での被害としては最近あったロボット手術の不正請求事件とか、東海地方の公的病院の保険指定取り消しとかが、通達の違法な解釈で被害を受けたとして病院が厚労省を訴えることができそうですね(笑)。それと医師「確保」問題も、柳沢前大臣の時の「労働時間」解釈問題も(笑)。

方針が固まったようです。

>混合診療、全面解禁を提言へ=12月答申、規制改革会議

11月15日15時1分配信 時事通信

 政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は15日、12月にまとめる予定の第二次答申の重点項目として、保険診療と保険外診療を併用できる「混合診療」の全面解禁を盛り込む方針を固めた。草刈議長が同日午前の記者会見で明らかにした。

まさに「キター」の一句ですな

>No.140 辺境心外医 さんのコメント
>混合診療、全面解禁を提言へ=12月答申、規制改革会議

ふううん、あの判決一発で変わる訳ですか(笑)。
これもある意味政策の朝令暮改のあらわれですね、厚労省と全く同じ浅薄短慮ぶりはここまでくるともうほほ笑ましいくらいです。国策というべきものがふさわしい成熟した頭脳で決定されているのですか猫の国では(誤変換ですが面白いのでそのままでつ)。

ありゃ、猫又大魔王さんが書いておられたでつか。
すんません、No.142うpはリロードしてなかったんで知らなかったんでつ、ちなみに私は猫大好きです(笑)。

> ふううん、あの判決一発で変わる訳ですか(笑)。

のようです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071115-00000012-yom-pol

> 混合診療の全面解禁方針で一致…政府規制改革会議
11月15日19時26分配信 読売新聞

> 国が混合診療を原則禁止していることを違法だとする7日の東京地裁判決を受けたものだ。

> ふううん、あの判決一発で変わる訳ですか(笑)

私の認識はチョット違うのですが。

今回答申を発表した規制改革会議は、小泉政権時代には規制改革・民会解放推進会議という名称であり、その小泉時代の2004年にはすでに混合診療解禁を答申しております。

ただし、医師会や厚労省官僚サイドのモーレツな抵抗に対して、元々が厚生族の議員であった小泉元総理が、抵抗勢力との全面戦争は避けて、この混合診療解禁を重点ターゲットから外したとの認識を持っています。また、当時の小泉政権は郵政民営化だけで手一杯の状況であり、郵政と厚生との二正面作戦を完遂する余力が無く、悲願の郵政民営化頓挫のリスクを小泉氏が避けたかったからとも思っています。

いずれにせよ、先週の判決を受けて、急遽一週間で答申が混合診療解禁にまとまったとは思えません。それにこの規制改革会議は本年5月に答申を出した後、政府の予算編成シーズンを迎える秋口には追加の第二次答申を出す予定だったハズで、例の安倍騒動によりこの時期にまでズレ込んだものです。11月中旬という判決一週間後のタイミングとなったのは、そのズレ込みによる結果論ではないかと思います。

確かに判決を受けて、ここはチャンスとばかりにタイミング良く発表したきらいはありますが、「国が混合診療を原則禁止していることを違法だとする7日の東京地裁判決を受けたものだ」という報道記事は、例によってマスコミの短絡思考体質が調子に乗って書いたものと思っています。

日本の国家行政がそれほどひどい朝令暮改体質ではないと、個人的に信じたい気持ちも入ってのコメントですが、規制改革会議の答申もそれなりの手順と時間を掛けて纏められたものと思います。
(個人的には「思い」ではなく「信じたい」のクチですが‥‥)

私も No.145 法務業の末席様 の御見解と同じように感じています。
規制改革会議は内閣府に設置される会議で、担当の大臣は内閣府特命担当大臣(規制改革担当)と内閣府副大臣が担任しています。
また、答申の対象となる業務を担当している省庁の影響・意向(抵抗)を排除する趣旨から、答申作成段階では答申の相手方となる大臣や省庁(この件では厚生労働省大臣や職員)は公式には関与できない筈だったかと思います。
流れとしては、答申により解禁を求められた厚生労働省や最終的には国会も含めて、これから厚生労働省側の意向を行動に移して行く事が元々は想定されていた筈で、先日大臣が本件訴訟に控訴する意向を示した事を考え併せても、法務業の末席様のご見解に賛同できる状況ではないかなと個人的には思っています。

ソースがみつからないです。

「混合診療は国民がもっとさまざまな医療を受けたければ健康保険はここまでですよ、後は自分でお払いください、というかたちです。金持ち優遇だと批判されますが、金持ちでなくとも高度医療を受けたければ家を売ってでも受けるという選択をする人もいるでしょう。」

議事録じゃないみたいですね。雑誌のインタビュー記事とありましたが。

1ヶ月前はこんな感じだったみたいですね。

3つ目は、3年ほど前に混合診療というテーマを重点課題の1つとして取り組みまして、一定の前進といいますか、成果を得ております。これのその後の進展状況、効果等を検証しつつ、更にど のような改善が可能であるかという問題意識で取組方針を現在、検討中でございます。

平成19年度 第7回規制改革会議 議事録(平成19 年10 月5 日)

平成19年10月29日の「第2次答申に向けた検討課題について」議事はまだ公開されていないようですが、決まったとすればここですかね。

規制改革会議 - 会議資料

10/29でなければ、おそらくその次であったろう、11/15かと。

> みな様

No.146 の私のコメントに事故レス致します。

申し訳ありませんでした。赤面・激汗・平伏。m(__)m

先のコメントは厚生労働省中心で書いてしまいました。
流れからして規制改革会議中心で書かないといけなかったですね。

規制改革会議は、10月5日の段階で医療関係では、「混合診療の更なる改善」のほか、包括払い、レセプトオンライン化、支払基金関係、薬価水準等を検討されていた旨が本日現在公開されている会議録等からわかります。これ以降の開催分の議事録は本日現在未公開なので、気になるところではあります。

ただ公開されている範囲の議事録をみると、今回の方針の決定は先日の判決に関係なく規定の路線として予定されたものではないだろうかと感じています。

>>148

規制改革会議はまず『定年』をなくせ、そうすれば保険財政は好転する。
消費税云々はそれからだ。

>No.150 薬屋の企画屋 さんのコメント
おお、出たなぶぎいまん(笑)、さん。
そのお口にくわえておられるブキミに蠢くコメント(笑)の内容をもっと詳しく知りたくなりましたが、やっぱりまとめて場外へ放り出され松かね(爆)

>No.133 法務業の末席 さん

健康保険の実務については素人ですので、勉強になりました。

>また、この保険給付の不支給処分に係る審査請求は、当該
>不処分の決定した日(起算日は受診日なのか、それとも社保
>事務所に保険給付相当分の療養費を請求して却下された日
>なのか議論の余地はあります)から60日以内に審査請求しな
>ければならない旨規定されています。

その点は、おそらく請求して却下された日になるでしょう。
自費で診療を受診しても、その時点では何かの処分がなされた訳ではないですから。


従って、過去に混合診療的な治療を全額自費で受診されてきた方は、今回の判決を受けて、No.134 thx-1138 さんの言ってあるように、「請求できる限り全ての療養費支給請求書を提出」するのが正解と思います。

国側はその請求を却下し、それに対する審査請求、再審査請求も棄却されることでしょうが、それを待って直ちに訴訟提起すれば良いのです。

その訴訟については、結局法律解釈のみが争点ですから、ちゃんとした訴状さえ提出できれば、弁護士に依頼しなくても(清郷さんのように)勝訴することが出来るでしょう。

また、その訴状についても、法律解釈の一般論さえきちんと書けていればよいわけですから、ネット上でテンプレが流通していれば、簡単に作成できるでしょう。


かくして、過去に混合診療的な診療を、泣く泣く全額自費で受診してきた方々は、全員救済される可能性がある・・・と思いますが、それは清郷さん訴訟における上級審の判断如何にかかっています。

> No.152 KT(弁) 様

横から失礼致します。
私の一連のコメントの流れから既に御案内の事とは存じますが、私も今回の KT(弁)様と同様の考え方で参りました。

> その点は、おそらく請求して却下された日になるでしょう。
> 自費で診療を受診しても、その時点では何かの処分がなされた訳ではないですから。

 被保険者本人の療養費の支給は現物支給を原則としており、受診時点で給付を受けたと解釈されるので、法務業の末席様がおっしゃるような解釈も可能と考えられます。家族療養費は窓口では便宜上同様に取り扱っているものの、法律上は違ったような気がします。
 しかしながら、混合診療的な治療を窓口で全額自費で受診されてきたような場合は、そもそも医療機関において保険診療として治療行為などを提供されていない(だから全額負担している)とする解釈となりますから、療養費の不支給処分がなされたとは意味を異にすると解釈されると思われます。
 従って、後日療養費支給申請書を立替払扱いで提出し、不支給決定通知があった事を知った日(一般的には不支給通知を受け取った日)の翌日を起算日にして審査請求を受け付けるという取り扱いが、他の事例で立替払の療養費支給申請書を提出した場合と同様に、(少なくとも当地の)政管健保の実務としては行われる可能性があると想定されるかと思います。

混合診療で「医療詐欺社会」となるか?
福島 雅典
京都大学医学部附属病院探索医療センター探索医療検証部部長
京都大学医学部附属病院教授

 (講談社『月刊 現代』2005年2月号より転載)
【京都保険医新聞_第2469号_2005年2月14日2面】

2年前の記事ですけど参考になります。
http://www.healthnet.jp/syuchou/pages/2005/02/k0502140002.html

No.151 ぼつでおk@脱輪!さん

駄目ですよ、本館しか見てない人はわからないかもしれないじゃないですか(笑)

場外向けの話題ですが、ポイントは如何に国保と老保の人数を増やさないか=民間で働いてもらうことにあります。
強制的に民間で働いてもらうことはできないので、民間→国保への移行をできるだけ少なくすることが肝要です。
高齢者雇用促進法により定年は実質65歳まで延びますので、それをさらに促進させていっそのこと定年をなくして働ける人には働いてもらうことが社会にとっても健全でしょう。
平成17年度概算医療費33兆円のうち、65歳〜75歳までで約7兆円の医療費が使用されていますから、ここの民間比率を少し高めるだけでだいぶ医療財政は助かるはずです。

>No.155 薬屋の企画屋 さんのコメント
>いっそのこと定年をなくして働ける人には働いてもらうことが社会に
>とっても健全でしょう。

ほんとに、おっしゃる通りだと思います。すごい本質的なお話聞かせていただいて、またひとつカシコクなれてうれP!て歳だからもうなれる訳ないか(笑)。
でもこの崩壊的変化のさなか、とても冷静な理の通ったご意見だと思いました。

thx-1138さま、KT(弁)さま

ここ数日仕事が立て込んで、こちらに投稿する余裕がありませんでした。遅レスになりましたが、私の133での下記投稿部分は、多少補足説明が必要かと思います。

>また、この保険給付の不支給処分に係る審査請求は、当該
>不処分の決定した日(起算日は受診日なのか、それとも社保
>事務所に保険給付相当分の療養費を請求して却下された日
>なのか議論の余地はあります)から60日以内に審査請求しな
>ければならない旨規定されています。

仮に混合診療が適法だと確定した場合、保険給付を支給できる者は、保健医療機関である病院と、被保険者である患者本人の両方が考えられます。

病院が健保法第63条の療養の給付として、混合診療での保険適合分をレセプト請求するならば、時効の起算点は診療の日が基準になります。(健康保険でのレセプト請求締め日は診療日の翌月10日)

また、患者本人が医療機関の窓口で一旦全額を自費負担で支払った医療費から、保険適合分を保険者(社保庁など)に請求する場合は、健保法第87条の療養費の請求になります。この場合の請求時効は、医療機関に自費で支払った日の翌日から2年です。(thx-1138さまがご指摘の保険請求の手段はこちらです)

こうした保険給付の請求方法の違いによる時効起算点の差が、私の133での括弧書きで「議論の余地がある」とした部分です。

連投失礼します。

>No.155 薬屋の企画屋 さま

ポイントは如何に国保と老保の人数を増やさないか=民間で働いてもらうことにあります。 強制的に民間で働いてもらうことはできないので、民間→国保への移行をできるだけ少なくすることが肝要です。

60歳台の方々を民間で働いてもらうと、加入する保険制度が国保から健保に変わりますが、その60歳台の方々の医療受診が少なくなるわけではありません。元々定年過ぎでも働ける健康な元気な方々ですから、自宅で悠々自適の生活(国保加入者)であっても、ほとんどお医者さんのご厄介にはならない方々かと思います。

そうした健康な方々は、保険制度から見れば「保険料は支払って下さるが保険給付は請求されない加入者」であって、保険財政上は大変有難い存在です。

こうした健康な高齢者が国保から健保に移動すると、国保には今以上に「医療費を沢山使う人」だけが残りますから、国保財政はもっと悪化するでしょう。その分、健保財政から国保財政への「負担金拠出」が増大するので、今度は健保保険料の半分を負担する雇用主=財界が反対します。現に厚労省が画策している国保への国庫負担金の一部(2700億円)の健保組合への肩代わり方針は、健保組合=財界の猛反対で頓挫しそうな情勢です。

以上は国保財政の目線での指摘ですが、国保・健保・船員・共済から構成される日本の健康保険制度全体から見ると、定年後も民間で働くということは、単に60歳台の方の一部が、この4つの保険区分の中で「移動」するかだけであり、この4保険制度のトータルの医療費の流れで見れば、何ら変化はありません。ご指摘のように「民間→国保への移行をできるだけ少なくすること」の政策を実施したとしても、皆保険制度の維持運営からすれば、何ら改善とはなりません。

日本の医療制度や健保制度を考えるとき、マクロ的な視線で考えて頂ける方が増えると、社会保険制度のプロとしては嬉しいです。

>No.157 で法務業の末席 さんが書かれた「議論の余地がある」の議論についてですが、素人(医者ですがそちらの方面はよくわかっていませんのんです私ゃ)の想像で書いてみますと、たとえば大地震で家が崩壊した人に対する公的支援金の自宅再建目的使用の禁止問題みたいなものですか?

No.158 法務業の末席さん

そうした健康な方々は、保険制度から見れば「保険料は支払って下さるが保険給付は請求されない加入者」であって、保険財政上は大変有難い存在です。
定年後、健康であってもいづれは体調を崩し、貢献していた以上に保険財政にも影響を与えます。もし、体調を崩した時期が就業中で通院可能であれば働くでしょうし、入院となっても休業扱いになり、民間社会保険によりそれらの医療費は支払われます。 法務業の末席さんのおっしゃるマイナス面より、こちらのプラス面のほうが高いと予測しています。
現に厚労省が画策している国保への国庫負担金の一部(2700億円)の健保組合への肩代わり方針は、健保組合=財界の猛反対で頓挫しそうな情勢です。
優秀な官僚とは思えない直接的過ぎるアプローチですよね。国民の関心も低いでしょう。国民には支持される提案=「議員は推進せざるを得ない」案でないとうまくいかないでしょう。
ご指摘のように「民間→国保への移行をできるだけ少なくすること」の政策を実施したとしても、皆保険制度の維持運営からすれば、何ら改善とはなりません。
国庫負担分の12兆円が圧縮されれば、診療報酬や薬価などに対する下げ圧力が小さくなります。財務省としては社会保障費の伸びが2200億円圧縮されれば問題がないのですから、上記対策により2200億円以上圧縮されれば、診療報酬や薬価の好転も考えられるのではないかと予想しています。

>No.159 ぼつでおk(医) さま

えーと、「公的支援金の自宅再建目的使用の禁止問題」という議論がよく分らないのですが‥‥。
私がその方面(災害関連)に不勉強なためで、決してぼつでおk(医)さまを責める意図はございません。この点は予めご承知おき下さい。

前記の私のコメントについて再度解説しますと、混合診療での保険適合分を請求する権利は、‥該混合診療を実施した保健医療機関(病院ですね)と、∈合診療を受診して全額自己負担で病院の窓口で支払った患者と、2つが考えられ得るとう「議論」です。

後者△痢崛干杣己負担した患者」という事例は、今回の訴訟原告の清郷氏などが、判決を受けてこれから保険請求する際にとる一般的な方法です。この場合は健保法第87条の「療養費」の請求で、患者自身が直接保険者(社保庁や健保組合)に請求します。地裁判決が出たとは言え、社保庁は不支給とするでしょうから、その上で不支給決定に対して審査請求して、時効を中断して将来の判決確定時点での請求の権利を確保しておこうとする方策です。

前者,痢嶌合診療を行なった病院」が請求するという事例は、理解しにくいかと思います。例えば、清郷氏が受診している病院が、判決を受けて「今月分の医療費」から、混合診療の保険適合分をレセプト請求し、病院窓口では保険適合分の3割自己負担額に保険外の治療費を加えた額のみ患者に請求する、という方法です。これは健保法第63条の「療養」の給付(健保法第87条と違い「費」の文字が無いことに注意)=医療の現物給付としての保険給付になります。

こちらも判決が確定していない現時点では、支払基金はレセプト請求に対して不支給の決定(減点連絡書での請求保険点数の減点通知)を行なうでしょうから、その不支給決定に対し医療機関が支払基金に審査請求し、患者自身ではなく病院が、時効を中断して将来の判決確定時点での請求の権利を確保しておこうとする方策です。

もちろん,痢嶌合診療を行なった病院」が請求するという場合は、その病院の事務処理としては大変な負担増ですので、敢えてこの方法で医療費を請求しようとする病院は無いでしょう。普通は△隆擬圓一旦全額負担→患者が「療養費」請求となると思われます。

ただし、混合診療に非常に積極的な医療機関では、病院が保険給付対象の7割分について将来の請求権を確保する,諒法も、実務や法理論の上からは可能なのかも知れない。こうした意味での「議論の余地」が、私の投稿の意とするところです。

>No.160 薬屋の企画屋 さま

>定年後、健康であってもいづれは体調を崩し、貢献していた以上に保険財政にも影響を与えます。

これについては少々異論があります。これは同一人の保険加入者についての「現在」と「未来」の保険財政への影響です。

同じ人間が、今月加入する保険制度が「国保」だから「健保」だからといって健康状態が変わるわけではなく、その同一月での医療を受ける可能性が高くなったり低くなるわけではありません。同一時期で加入する保険制度を移ったから、医療費が変動するわけではありませんので、保険料の金額差以外にトータルの保険財政には影響が出ないはずです。私の論点はそこを基盤としています。

60歳以上の高齢退職者が「生涯現役」を貫き、大多数の方々が死ぬまで健保加入者であれば、保険財政への影響は大きなものがあるでしょうが、退職サラリーマンの多くが70歳や75歳を過ぎても働き続けて、健保加入者というのは現実的でないと思います。雇用延長してもいつかは身体が利かなくなって退職して健保から国保に変わります。雇用延長で健保加入者としても、定年後に働く体力がある数年間について国保加入を先送りする効果しか無いと思います。

なお、国庫負担分と財務省との関連や、国庫負担額の肩代わりが実現すれば健保制度の運営維持は楽になる、とのご指摘はその通りと思います。

また、健保組合へ負担肩代わりの2700億円という金額は、私もウロ覚えの金額ですので、違っていたらご容赦下さい。

No.162 法務業の末席さん

保険料の金額差以外にトータルの保険財政には影響が出ないはずです。私の論点はそこを基盤としています。
トータルの保険財政に影響がでないことを前提としているのは私も同じです。だからこそ、医療費を支払う所を変えることが国にとっての保険財政に重要な点であると考えています。 国が保険財政を圧縮しようという動機を減じれば、医師増員や診療報酬の増加なども政策のオプションとして検討に上げることができるはずと考えています。(ついでに薬価も上げて欲しい^^)
定年後に働く体力がある数年間について国保加入を先送りする効果しか無いと思います。
この数年間の先送りにより、社会保険期間中に重い病にかかる確率を増加させます。 年齢別医療費を見た場合、55歳以降に医療費が上がり始め、以降年齢層別人口は少なくなるにもかかわらず、医療費総額は増加します。この医療費を国庫負担から社会保険に変えさせることです。 あと、No.150で『定年廃止』を取り上げたのは話の流れ上“規制改革会議”という諸悪の根源に対し、規制緩和を行いつつ規制改革会議の面々が嫌がることが『定年廃止』だからです。

純粋に社会保険に医療費を移転させることを目的とするならば『定年廃止』よりも健康保険の任意継続を2年から10年に延ばし、任意継続による負担軽減策を合わせて導入したほうが効果的かもしれません。

No.158 法務業の末席 さん

現に厚労省が画策している国保への国庫負担金の一部(2700億円)の健保組合への肩代わり方針は、健保組合=財界の猛反対で頓挫しそうな情勢です。

細かいことですみませんが、国民健康保険ではなく、政府管掌健康保険(政管健保)ですよね?

この結果、二千九百億円の財政調整が必要になる。厚労省は組合健保に一千九百億円、共済組合に一千億円肩代わりさせて国費を削る考えだ。「給与所得者としてお互いに連帯の精神を持とう」(舛添要一厚労相)というわけだ。 「被用者保険」(上)現役世代の自立原則崩壊

個人的には、国は健康保険やる気ないのね、と受け取りました。政府・社会保険庁の運営する健保ですから。市区町村と企業だけでやれ、国は知らん、という感じがします。

>No.164 ron さま

ご指摘の報道の通りで、金額は私のウロ覚えでの間違いです、が‥‥。

政管健保(組合健保も同じですが)から次の拠出金が国保、並びに老人保健(保険ではなく保健です、為念)に拠出されています。
・退職者給付拠出金(健保→国保)
・老人保健拠出金(健保→老人保健)

我々制度の内実を知る者から見れば、上記の拠出金を含めて政管健保の金が足りないので、国庫負担または組合健保からの負担肩代わりが論議されるのです。早い話が合計2900億円の政管健保への金の流れは、上記拠出金の穴埋めであって、結果的に国保会計や老人保健会計に流れていきます。
(制度上、政管健保財政を2900億円が素通りする単純なシステムではありません。全部を正確に説明するにはこのブログでは無理です)

国保拠出金はズバリ国保会計への拠出で分りやすいですが、老人保健対象者は70歳(改正で75歳)以上ですが、そのほとんどが国保加入者です。その辺を短絡させた私の脳内では「国保への負担金」と表現されたものと理解して下さい。

ですので繰り返しになりますが、報道の正確な引用としてはご指摘の通りであり、私の誤りになります。


>No.163 薬屋の企画屋 さま

厚生労働省の労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の答申を基に、2006年4月に施行された改正高年齢者雇用安定法において、既に60歳での一律定年退職は法令違反となり、65歳までの雇用延長が義務づけられております。また「定年」という雇用制度そのものを廃止するような法改正(労基法等)が、将来の方向として厚労省や政府内での基本方針として決まっております。

私ども社会保険労務士など労務管理に携わる職の者からすると、定年廃止が既定化されているにも関わらず、健康保険財政の改善のためにも定年を延長または廃止すべきだ、さらに定年延長には政府財界の抵抗があるだろう、との論旨が奇異に感じるのです。

2006年改正の雇用延長は政府がリードし、経団連トップクラスの大手企業などが追随する形でまとまりました。もちろん中小企業を中心に、企業団体の一部からは対応策への時間的猶予を求める異論もありましたが、将来の人口減と労働人口の不足を見越すと、定年廃止と高齢者雇用は避けて通れないこととして、定年延長や廃止の方向は国民周知の事実と思っておりました。

なお、雇用延長により健保財政にプラスの影響があるのは否定しませんが、その影響効果は非常にわずかであり、現在11兆円を超える保険医療費の国庫負担額を圧縮するパワーとはなり得ない、と個人的には認識しております。

薬屋の企画屋さまの投稿内容が、このような私の概念と異なる内容でしたのでレスを付けさせて頂いたわけですが、決して投稿されたご提案を否定する意図ではないことをご理解下さい。

No.165 法務業の末席さん

詳細なお話ありがとうございます。

私ども社会保険労務士など労務管理に携わる職の者からすると、定年廃止が既定化されているにも関わらず、健康保険財政の改善のためにも定年を延長または廃止すべきだ、さらに定年延長には政府財界の抵抗があるだろう、との論旨が奇異に感じるのです。
そうですか、私の情報不足なのかもしれません。 実は弊社ではこれ以上の定年延長・廃止はないとの予想していまして
また「定年」という雇用制度そのものを廃止するような法改正(労基法等)が、将来の方向として厚労省や政府内での基本方針として決まっております。
ここらへんの詳細情報がありますと大変助かります。 お手すきのときにリンクなどいただければありがたいです。

薬屋の企画屋さま

定年制の廃止が方向付けられているとは言え、決して閣議決定だの、労働政策審議会の答申だの、或いは厚労省の公式文書にハッキリと書いてあるわけではありません。あくまでもその政策的「流れ」は、政治でも、行政でも、経済界や労働組合などの利益団体の力でも、もはや止めようが無いというのが常識だということです。

定年55歳が定着しだした昭和25年頃の平気余命は男子で58歳です。また、定年60歳が定着した昭和40年代では、男子平均余命は概ね70歳です。(昭和48年で70.7歳) 65歳までの雇用延長が義務づけられた平成16年の男子平均余命は78.64歳です。リタイヤ後の人生が何年なのか比較してみて下さい。

また、2005年の生産年齢人口(15〜64歳)は8,400万人余りですが、2035年には6,300万人弱と3/4に減ってしまいます。こうした人口動態の変動と、高齢者の介護を賄うための労働力、日本のGDPなどの経済生産の必要規模、さらには拡大する年金給付や医療・介護の給付を考えると、リタイヤ年齢の引き上げは避けて通れないという認識で、有識者の意見はほぼ一致しています。

ただし、具体的にいつ頃法改正し、どのように日本の雇用制度全般を再構築するのか、という各論になるととても纏められる状況には至っておりません。ですが、いわゆる古き良き日本の終身雇用制度は、たとえ正社員に限ったとしても、もはや維持することは不可能でしょう。結果的にその終身雇用制度に乗っかっていた賃金や退職金制度、さらには年金や社会保険制度に加え税制についても、抜本的再構築をせざるを得ない日が近づいてます。

なお具体的には、2006年4月改正の高年齢者雇用安定法での雇用延長は、定年を65歳まで引き上げるか、或いはその代替措置として60歳以後も引続き働く意志のある定年退職者を全員再雇用することを義務づけております。結果として60歳定年+希望者全員の再雇用で法定の義務はOKとなり、完全な意味での60歳定年の廃止・延長ではありません。

ご依頼のありましたこの制度の解説のリンクとして、
厚生労働省の公式HPは
高年齢者雇用安定法の改正のお知らせ
法改正の目指すところの解説としては
大和総研のコラム
老後の人生設計への影響という面からは
日経BP社のセカンドステージマガジン
以上がオススメです。

No.167 法務業の末席さん

詳細な情報ありがとうございます。
いろいろ再検討してみます。

日経新聞『経済教室』で、混合診療が取り上げられているのですが、なかなか興味深い内容がありました。

【前略】

 混合診療に関し、これまで二つの判例がある。くしくもどちらも歯科の分野だが、一つは一九八四年六月二十五日の静岡地裁の判決、もう一つは、八十九年二月二十三日の東京地裁判決である。
 今回の判決も含め三つの判例から導きだされる教訓は次の二点である。
 第一は、どの判例とも、国がいう「療担規則第一八条・第一九条の特殊療法等の禁止が混合診療禁止の法的根拠」だとする主張を、法律上明らかに定められていないとして退けている点だ。法的根拠の有無という点では、裁判所がいうように、明確でないと理解するのが自然ではないか。
 第二に、二番目の判例のみ、原告の保険給付対象部分の治療行為に関する不当利得返還請求を棄却している点だ。これは旧厚生省の行政指導の有効性について、(歯科材料の)差額問題適正化と一定の医療水準担保の観点から妥当であると判断したものだ。

【後略】

『経済教室 混合診療あり方を問う>>中』, 川渕 孝一(東京医科歯科大学教授), 日本経済新聞, 2007年11月22日朝刊31面

これだけですと、あまりよくわからないのですけども。

混合診療禁止に法的根拠がないという判決は、20年前にも出されていたみたいで、この点に関しては、裁判所の判断は一貫しているみたいですね。

混合診療禁止に法的根拠はないが、保険給付に関する行政指導は有効なので、不当利得返還請求は棄却された、というあたりは、ロジックがいまいちよくわからないです。混合診療的治療に対し、保険給付するかどうかは、行政の裁量で、合理的理由があれば、給付しなくても良い、ということでしょうか。

ア〜ラ残念! ron 様に先を越されてた! 
日経の記事は上中下の3回シリーズだったので、今日(11/23)に掲載される最後の記事を読んでから投稿しようと思っていたのに‥‥。

No.169で引用された記事にある2つの判例は、残念ながら私も把握していません。手元の健保関係の法令解説本に載っていませんし、裁判所の判例検索でも出てきません。多分厚生省(当時)が上訴して最終確定の判決では違う内容なのでははないでしょうか?

また、89年の東京地裁判決では、保険給付そのものは否定する判決のようで、ある意味で原告の患者さんから見れば「敗訴」です。

いずれにせよ、この二つの裁判について判決文と訴訟の最終確定判決がどうなったのか等について、何か情報をお持ちの方は教えて頂ければ大変嬉しいです。

「法的根拠は違法だけど保険給付しないのは構わない」というロジックは、私にも理解できない部分があります。ですが行政訴訟では似たような判決に出くわすことがあります。国会議員の定数違憲訴訟での「違憲状態だけど当該選挙は有効」などもその類でしょうか。

また司法と行政の解釈乖離の甚だしい例としては、水俣病認定訴訟でしょう。水俣病訴訟では最高裁が判決で示した「水俣病認定基準」について、行政(環境省)は「裁判での基準と基準は別物」とハッキリ言い、立法の国会議員(与党議員)も裁判とは違う解決策(与党プロジェクトチーム案)を唱えています。

私が学校で習った「三権分立」の大原則からすると、こうした判例や行政の対応は大変理解に苦しむことばかりで、法理論の専門家に分かり易く解説して頂ければ、と思う次第です。

> No.170 法務業の末席 様

あまりお役に立てないかとは存じますが、1989年2月23日付東京地方裁判所による混合診療禁止適法判決について、私の耳にした範囲についてで宜しければ、あくまで伝聞によるものである旨を前提として、御参照いただければ幸いです。

裁判は、所謂混合診療に相当する治療を受けて自費で(保険診療相当分込の)高額な負担を強いられた事について、国家賠償法に基づく賠償請求を求めたものだったらしいです。
判決の結論は、混合診療禁止の考え方についてはこの事を直截に定めた明文の規定は健保法にも療養規則にも存在しないとしながら、一方で、行政指導の適否については法の趣旨、沿革、立法の経緯などを含めて総合的に考察する必要があるとして、それゆえに、厚生大臣が混合診療の禁止の解釈及び”一連の医療行為”という考え方に基づいて行った混合診療禁止とする行政指導は適法なものと判断したものだったらしいです。

その判決に至る理由としては以下のようなものだったようです。
1、健保法の1984年改正によって特定療養費の制度が明文化された。
2、如何なる治療・投薬等が特定療養費の対象となるかは、厚生省の偏らない裁量に委ねられている旨、当該条文から認められる。
3、上記の特定療養費の認定については、局所的に当該原告のような不公平感が生じる事もあるけれども、それでも全体として問題とは認められない。
4、当時、歯科診療での差額診療について、事前の告知・相談・患者の選択を経ないまま高額請求がなされる事案について社会的批判が高まり、それへの対処方として特定療養費制度を作り、差額徴収の療養・費用に関する事項を掲示する事を義務付けたという歴史的経緯が存在する。

なお、正式な判決文については、当時の「訟務月報」に掲載されたらしいとも耳にしたのですが、残念ながら私にはそれを閲覧できる環境にはありません。従って、このコメントの投稿の適否について相当悩んだのですが、少なくとも結論部分は確からしいようなので投稿いたします。

略語:「健康保険法」は「健保法」と、「保険医療機関及び保険医療養担当規則」は「療養規則」とそれぞれ略称いたしました。

>No.171 thx-1138 さま

情報ありがとうございます。大変助かりました。

伝聞情報とのことですが、厚生省の裁量権を広く認めて請求を棄却した判決内容はほぼ私の予想通りで、ご知らせ頂いた内容はまず間違いないものと思われます。

判決の半分では「法的根拠が無い」としているにもかかわらず、最終的に「請求棄却」となったことで、ある意味当時の厚生省官僚は、自分達の「通達行政」にこの判決で司法のお墨付きが得られたと安心してしてしまったのでしょう。その結果、平成14年の健保法の全面改正の際、混合診療禁止の明確な法的根拠を盛り込まなかった。その法的不備を今回清郷氏が改めて暴き出してしまい、厚労省官僚と日医が慌てたという図式でしょうか。

今回の清郷氏の訴訟は金銭的な請求が一切無く、訴訟物が「権利の確認」だけだったことが特異な事例です。清郷氏も療養費の支払などの金銭的請求をしていた場合、89年判決と同じようなロジックの判決となった可能性があると思っております。

国に金を要求する裁判はなかなか勝てない、というのが偽らざる個人的感想です。

>No.172 法務業の末席 さんのコメント
拝見して、みなさんの議論を非常にていねいにまとめていただいたので、我が俗耳にもわかりやすいお話でありがとうございました。勉強になります。

ぼつでおk(医)様、過分なお褒めのお言葉、ありがとうございます。

さて、本日の日経朝刊(11/25付)の「視点」という企画記事(毎週日曜日のSunday Nikkeiの企画記事)で、この清郷氏の混合診療判決を取り上げていました。

記事内容としては、余計なバイアス無しで事実関係を纏めてあり、客観的な内容と思えます。また、「ここがポイント」の囲み記事での、東京大学特任准教授の近藤正晃ジェームス氏の解説が秀逸です。

氏が指摘したポイントは、混合診療は問題は日本の医療制度をどう作るかという本質的議論で考えるべきであって、以下の3点をポイントに国民的議論を進めるべきという主張です。
1、最新の医療技術を"どこまで"どのような"スピード"で
  保健医療の対象として承認するのか
2、負担と給付の水準をどのようにするのか
  =財源の問題
3、医療制度・保険制度の公と民の役割分担はどうするのか

考察の浅い表面的な善悪論で報道しがちなセンセーショナルジャーナリズムの者共に読ませたい記事でした。

混合診療についてまとめてみました。→混合診療まとめ
・解禁によって起きうること
・判決文の解説
・患者団体の生の声

超亀レスですが・・・

東京地判平成元年2月23日(訟務月報36巻12号2179頁)、と

静岡地決昭和59年6月25日(判例タイムズ534号157頁)、を拝見しました。

で、感想ですが、引用されている川渕教授の論説は、かなりミスリーディングな内容と思われます。

というのも、上記平成元年の東京地判は、結論的には
「「混合診療禁止」の解釈は、健康保険法及び療担規則の解釈として正当なものであり、かつ、法の委任を受けて厚生大臣が「療養の給付」の具体的内容を定めるにつき、「傷病の治癒を目的とした一連の医療行為」をその単位として定めることは、現行健康保険法の趣旨に適合するものであり、厚生大臣において前記混合診療禁止の解釈及び「一連の医療行為」という考え方に基づいてした本件行政指導は適法なものであると判断する。」
と述べているからです。

つまり、上記平成元年東京地判は、「明文規定はないものの、立法趣旨等を総合的に考えると、現行法上、混合診療が禁止されていると解釈することができる」という立場であり、結論的には今回の清郷さん判決と真逆の論理を採用しているからです。

このような平成元年東京地判の論理では、混合診療禁止が現行法の正当な解釈なのですから、原告患者側の不当利得の請求が当然に棄却されることになります。

他方、今回の清郷さん判決の論理に従えば、患者側が国に対し、何らかの形でお金を請求できるというのが論理的です。


なお、昭和59年静岡地決については、混合診療禁止について傍論的に言及しているだけであり、その点について断定的判断を下しているわけでもなく、あまり参考になる裁判例ではありません。

>No.175 ryon さん

まとめ拝見しました。
この問題については「混合診療禁止」という言葉の意味がはっきりしないことが、議論を混乱させていると思います。

「混合診療」の定義については、さしあたり、今回の判決と同様に
「療養の給付に該当する診療(保険該当診療)と,該当しない診療(保険非該当診療)を併用すること」
という定義にしておくのが良いと思います。

このような「混合診療」のうち

「保険非該当診療部分について、医療機関がこれを行うこと自体を国が行政的に規制するべきかどうかという問題」=A問題、と

「保険該当診療部分について、国が健康保険加入者に保険給付を行うべきかどうかという問題」=B問題

があります。
A問題は、国が医療機関を取り締まるかどうかという公法上の問題であり、B問題は国と保険加入者のお金のやりとりという私法上の問題です。

両者は法律的には全く別次元の話であり、不即不離な関係にあるわけでもないので、2つの問題に別の名前を付けて、別途論じることが議論の整理のために有効ではないかと思います。

今回の判決は、民事訴訟=私法上の問題ですから、争点となるのはB問題のみであり、これについて「現行法の解釈としては、給付すべき」という判断を下したものです。

このことを指して、新聞各紙とも「混合治療解禁」などと仰っているわけですが、その用語の使い方には、どうにも違和感を感じております。

長文で連投恐縮ですが、この問題についての私なりの考え(ど素人の考え)を書いてみようと思います。

私としては、「混合診療をどうするか」という問題については、上記に言うところのA問題に尽きるのではないかと考えております。

医師会のコメント等で言われている「混合診療の弊害」(お金のある人とない人で受けられる診療に差が出る、安全性の確認できない診療が横行する、等々)については、いずれも「保険非該当診療」の弊害であり、「混合診療」に固有の問題ではないだろうと思います。

従って、そのような「保険非該当診療」を規制するかどうかが問題であり、規制すべきだというのであれば、保険非該当診療を全面禁止して厳しく取り締まるか、それが厳しすぎるというのであれば保険非該当診療の受診に間接税でも課して、適宜の制限を加えれば良いわけです。

そのような「正面からの規制」を世に問うことなく、「保険非該当診療と併用している場合の保険該当診療について保険給付をしない」という規制の仕方をとることは、言うなれば「江戸の敵を長崎で取る」かのようなやり方であり、不合理かつ中途半端な制裁であり、規制目的と規制手段の間に合理的関連性を欠いており、その論理的正当化は困難であるように思われます。

厚労省が「江戸の敵を長崎で取る」のは一種の温情であろうと思います。
今回の判決文を読むとB問題について論理的に非の打ち所が見当たりません。
最高裁まで言っても原告の全面勝訴は覆らないであろうと思います。
しかし、これは実質的には原告の全面敗訴を意味しているのではないでしょうか。
厚労省としては、なし崩し的に混合診療が解禁となるのを防ぐには、
健康保険法第八十条第九項および第八十一条第六項を振りかざして、
A問題の規制を強める以外の対応がないわけですから。
そうなれば、原告の希望する療法が受ける道が閉ざされます。

>No.179 ryon さん

療担規則については、今回初めて知りました。

今までに保険非該当の診療をやったことのある医療機関は、全て保険登録取消の可能性があるということなんですかね・・・

それはそれで行き過ぎの様な気もしますが、そのあたりも含めて国民的議論の必要性があるのかも知れません。

実際には即座に指定取消するのではなく、
「保険非該当診療を今すぐ止めなければ指定取消」
と指定取消をちらつかせて脅すのでしょうね。

KT(弁)様

過去の2つの判例について情報と解説を頂き、ありがとうございます。またNo.177&178の「混合診療の是非」を2つの論点に分けて議論するべきとのご意見、私もまさにその通りであると思います。

とにかくこの清郷氏の判決での混合診療に対する「健康保険制度としての法的な効果」と、「医療としての保険外診療の是非」とは別物であり、ゴッタに混ぜもしている意見が多すぎると常々思っておりました。その意味で我が意を得たりと思う次第です。


ryon 様

リンクされた纏められたサイトは拝見しました。大変な時間と労力を割かれて作られたページと感嘆いたしました。ただし、私もあなたが主張する「保険非該当診療を今すぐ止めなければ指定取消」という予測には、批判的なKT(弁)様と同じく、私も同意できません。

これは混合診療について長年注目してきた社会保険労務士として、相当の根拠をもっています。厚労省がそうした脅することは無い、と考える私の根拠については、仕事などの絡みで今日は時間が取れないかもしれませんが、近日中にこのエントリにてご披露いたします。


ご両人には、その上で改めてご意見を頂ければと思っています。

>No.175 ryonさま
大作ですね。一点指摘します。

解禁以降の新規療法は全て自費の項3段落目

厚生労働省の承認を受けなくても使うことが可能になるからだ。承認しなくてもバカ売れして利益が上がるなら、誰も、莫大な費用を掛けてまで承認申請しようとはしまい。

混合診療が解禁になっても薬を売るためには薬事法による承認が必要です。ですから、混合診療が解禁になっても「厚生労働省の承認を受けなくても使うこと(正確には販売)が可能になる」ことはありません。元々保険で使えないバイアグラは25mg錠と50mg錠が薬事法で承認されていて、国内販売可能ですが、承認されていないバイアグラ100mg錠(海外で売られている)の国内販売は違法という事実があります。健保適用の前に薬事法の壁があるのです。

付け加えると、混合診療解禁論者が主張する「解禁で国内未承認の海外の薬が使えるようになる」との主張も薬事法の観点から誤りです(貴HP、承認は別問題?の項とも絡んできます)。

No.154 循内勤務医さまのコメント中のリンク先が参考になります。

どうすべきか、国民がどうして欲しいか、
と厚労省がどうするかは必ずしも一致しません。

これまでは、B問題での対応が唯一の歯止めでした。
しかし、B問題での対応が違法との判例が確立すれば、
唯一の歯止めが失われます。
これにはA問題で対応するしかありません。
何もせずに放置すれば実質的に混合診療が全面解禁されます。
厚労省は全面解禁に反対する立場だから、
何もせずに放置することはあり得ません。
また、法改正等の時間の掛かるやり方では、
一時的に全面解禁状態になってしまい、
厚労省は、そうしたことも防ぎたいはずです。
だから、現行法の解釈で可能な範囲の対応を取るでしょう。

他に実質的全面解禁を防ぐ何らかの方法があるなら、
そちらの方法を採用することも考えられます。
しかし、他に方法がないなら唯一の方法を採る
と考えるのが自然な推測であろうと思います。
そのやり方が国民の理解を得られるかどうかは別問題です。

また、判決は混合診療禁止政策は否定していないので、
厚労省の姿勢が全面解禁に転じることもないでしょう。

確かに、薬事法第十四条には製造販売には承認が必要で、
効能が認められないと承認されないと書いてあります。

では、どうして混合診療が成り立つかと言えば、
それには幾つかの抜け穴があるからでしょう。
ひとつは承認単位が「品目ごとに」となっていることです。
たとえば、肺がんの薬として承認を受けてしまえば、
それを肺がんの治療に使うか胃がんの治療に使うかは医者の裁量次第となります。

また、未承認医薬品を個人輸入することは認められています。
(一部、医師の処方を必要とする物あり)
輸入販売や能動的手続代行行為は違法であるものの、
受動的手続代行行為や直接輸入は合法であると厚生労働省も認めています。
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/tuuchi/0828-4.html

そうした既存の抜け穴とは別に「全面」解禁に伴って、
薬事法第十四条が改正される可能性も視野に入れるべきでしょう。
何故なら、「国内未承認の海外の薬が使えるようになる」とする主張は、
健康保険法と薬事法の改正をセットと考えているからだと思います。
解禁しろと圧力を掛ける側は、当然、薬事法第十四条の改正も求めてくるでしょう。

もうひとつ抜け道がありました。
「これは医薬品として製造した物ではない」と言い張ることです。
たとえば、健康食品を販売する時に効能を標榜すれば薬事法違反になりますが、
効能を明示せずに販売すれば薬事法の適用対象外となります。

仮に混合診療が諸般の事情で限定的にでも実施された場合、いったん認めてしまった厚労省がその期に及んで、薬事法を最大限に使って混合診療の実施に歯止めをかけようとするでしょうか。それは解禁の激流の前にあっては全く効果の無い蟷螂の斧に過ぎないでしょうし、周りが自由診療へ流れる中そのように製薬業界だけを厚労省の手駒に留めておけるなどとは、日本国も自由主義世界市場経済のなかにある以上夢想でしかありません。またそれをやれば新たに訴えられることも十分考えられるゆえにその手は使えないでしょう。

かくして厚労省は省の存在を保つためには、いったん解禁されれば自らの行政裁量権のほとんどを手放さざるを得なくなり、そうなれば例え省の形だけが残ったとしても省益すなわち天下り利権はゼロレベルになることでしょう。

私は現在特に解禁賛成派でも反対派でもありませんが、混合診療が解禁されたら厚労省がどうなるかという客観的な予想をしてみれば、このような展開が予想されました(笑)。

もうひとつ有名な抜け道を忘れていました。
治験の名目の元に未承認医薬品を有償譲渡する方法です。
これは、所謂、丸山ワクチン方式です。

治験は薬事法第八十条の二により届出だけで実施できます。
同条第九項にて中止指示を受けることはあっても
事前に許可を取れとは書いていません。
薬事法施行規則第二百六十九条には
「被験薬を有償で譲渡する場合はその理由」という項目があり、
事前許可が必要ないことは、裏を返せば、
それらしい理由を付けておけば有償譲渡も可能ということです。
もちろん、理由がいい加減だと中止指示が出ることも考えられますが、
反論しにくい理由を思いつけば抜け道として利用できますね。

KT(弁)様
ryon 様
「混合診療禁止」という定義の認識に、少々混乱があるように思えます。

No.177 においてKT(弁)さんが、「混合診療」について下記のように定義されました。
>「療養の給付に該当する診療(保険該当診療)と,該当しない診療(保険非該当診療)を併用すること」

これは混合診療の定義ではなく「保険外併用診療」とでも言うべき定義です。
「保険適用の診療」と「保険適用外の診療」を併用する「保険外併用診療」は、健康保険法(厚生労働省)では違法行為として禁止していません。この場合は「保険適用の診療」の部分に対して保険給付を一切行わず、「保険適用の診療」も全額自己負担となるだけです。保険給付を請求せずに全額自己負担しさえすれば、厚生労働省は現在も文句のつけようがありません。

私ども社会保険(健康保険)の法律実務家が定義する「混合診療」は、次のようになります。
「健康保険の給付に該当する診療(保険適用の診療)と,該当しない診療(保険適用外の診療)を併用したときに、保険適用の診療部分に保険給付すること」

このように「保険外併用診療」を行ったときに、「保険適用の診療」について保険給付を請求することや保険給付することを、厚生労働省は禁止しています。この保険給付の禁止が「混合診療禁止」です。併用することそのものは禁止されておりません。併用も禁止とすることに認識の上で取り違えがあります。


今般の清郷訴訟により、保険外併用診療での保険給付の禁止の法的根拠について、東京地裁判決では否定されました。この判決が確定した場合、保険外併用診療で保険請求(レセプト請求)した保険医療機関・保険薬局は、「健康保険法又は健康保険法に基づく命令若しくは処分に違反したとき」には該当しません。従来厚生労働省が違反になるとしてきた法令上の根拠が判決で否定された訳です。そこで判決確定後は、厚生労働省が健保法第80条の規定を根拠に、混合診療を行なった保険医療機関又は保険薬局の指定取消しを行うことはできなくなります。

すなわち ryon 様が言われているように、この判決確定結果として将来の厚生労働省が、「保険非該当診療を今すぐ止めなければ指定取消」という措置を行うことは「法的根拠の無い違法な行政行為」となりますので、有り得ません。

参考までに、No.179で ryon 様が指摘された健康保険法第八十条第九号(ryon様は第九項とされましたが第九号の誤りです)を引用しておきます。

第八十条  厚生労働大臣は、次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該保険医療機関又は保険薬局に係る第六十三条第三項第一号の指定を取り消すことができる。
 (一〜八号は引用省略)
九  前各号に掲げる場合のほか、保険医療機関又は保険薬局の開設者が、この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反したとき。

報道内容は実際の判決内容とは一致していません。
本件について論じる前に判決文を読むことをお勧めします。

No.177における「混合診療」の定義は今回の判決において使われた定義です。
判決文の第2「事案の概要」1「争いのない事実等」(3)に明記されています。
そして、No.189にて定義する「混合診療」については、
今回の判決は「次元の異なる問題」として見解を示すことを避けました。

判決文の第2 2「法令の定め」(2)には、
保険医療機関及び保険医療養担当規則第18条および第19条第1項において、
保険医が「厚生労働大臣の定めるもののほか」の療法や
「厚生労働大臣の定める医薬品以外の薬物を患者に施用し,又は処方」することを
禁じている旨明記されています。
つまり、保険医が「保険外併用診療」を行えば、これらの法令に違反します。
これまで厚生労働省が黙認してきたのであって合法的行為ではありません。

今回の判決は「保険外併用診療」禁止とすることの是非については述べていません。
というより、「次元の異なる問題」として判断を避けたことを明言しています。
よって、今回の判決は「保険外併用診療」禁止を違法とする根拠にはなりません。

訂正

>そして、No.189にて定義する「混合診療」については、
>今回の判決は「次元の異なる問題」として見解を示すことを避けました。

No.189にて定義する「混合診療」についてのみ禁止は違法と判断されたのであって、
No.177にて定義する「混合診療」については、
今回の判決は「次元の異なる問題」として見解を示すことを避けました。

>No.185 ryon さま
抜け道の話がたくさん出ていますが、現状でも可能かつ実際に行われています(さすがに「医薬品を医薬品で無いと言い張る」ことだけはありません。なぜなら売れなくなるからです)。薬事法が改正されず、混合診療だけ解禁されたとしても現状と何も変わりませんので、抜け道はこの話とは無関係です。しかも抜け道はあくまでも例外です。したがって、「薬事法改正とセット」という話だけが可能性としてアリですが、かなり低い可能性です。言い換えますと、混合診療解禁論者は薬事法改正など眼中に無いと思われます。

もし本当に「本邦未承認の海外の薬を使えるようにする」のが目的ならば、
〔事法改正
これだけで不十分ならば
∈合診療解禁
の順番で議論されるのが筋道です。
しかし、この順序で議論されたならば混合診療解禁を主張する理由は何もなくなります。,涼奮で終了です。
と言うのも、
・海外で承認された薬を治療上有効な薬として薬事法上認めるならば、
・「その薬を保険適用してくれ」との声が上がったときに
・有効な薬(薬事法で有効な薬と認定済)の保険適用を妨げる正当な理由は何も無いからです(バイアグラのような種類の薬は別ですが)。
製薬メーカーが薬価申請を渋っても、申請するように指導されます。
メーカーは逆らえません(逆らえるならば今でも逆らっています)。
したがって「混合診療を導入しなければ本邦未承認の海外の薬が保険で使えない」ということはありません。薬事法改正だけで十分です。

このように「本邦未承認の海外の薬を使えるようにする」壁は薬事法であって、保険適用ではありません。
「本邦未承認の海外の薬を使えるようにする」ことと保険適用の問題は無関係と言い切れます。

にもかかわらず、混合診療解禁論者が薬事法に触れないのは、彼らの目的が「本邦未承認の海外の薬を使えるようにする」のではなくて、混合診療解禁で保険診療を縮小させることであり、その上で民間保険の参入を狙っているからです。
市場原理主義者が新薬を開発して高値をつけて儲けようなどという時間と手間のかかること(しかも確実に売れる新薬を開発できるかどうかわからない)を考えているとはとても思えません。

念のため申し添えますが、私の本意は、「混合診療解禁論者の『本邦未承認の海外の薬を使えるようにする』という取って付けた理由は全くの見当違いだから、未承認薬が使えるという前提で混合診療議論をする必要は無いですよ」ということであり、ryonさまを批判するものではありません。

No.190 ryon さま
清郷訴訟については、私は判決全文はもとより清郷氏から裁判情報も得て、投稿しております。

また私からも皆様に、お勧めの判決というか、お読みになれるならば読んで頂きたい判決があります。それは、京都地裁舞鶴支部の昭和26年3月23日判決です。この判決は裁判所HPには収録されていませんが、図書館等で探せば要約だけでも読めるかと思います。(私も昭和61年に入手した古い要約判例しか持っておりません)

この判決では、当時の健康保険制度で、保険適用される使用量の上限が10万単位に制限されていたペニシリンを、重篤のガス壊疽の患者に、患者本人が全額自己負担となることを承知するなら、保険適用の上限を超えて投与すべきとした判決です。
結果的に、保険指定医あるいは保険医療機関等が、全額自己負担の健康保険の適用されない治療行為(ペニシリンの健保を超える投与)について、健康保険法の保険医であるからとの理由で行なわなかったのは違法であると判示されました。すなわち保険医が、全額患者負担で保険外の医療(当時は「自費診療」といいました)を行なうことは、健康保険法の上では何ら問題がないとされた判決です。この訴訟は厚生省(当時)が直接の被告ではありませんでしたが、厚生省からは健保法の解釈上何ら問題であるとする意見等も出されず、一審判決が確定しました。

また度々登場する「療担規則」というのは、昭和32年の健康保険法改正により旧法第43条ノ4を追加して、従来の個人単位の指定制度から、医療機関等と保険医等の登録の2本建てに制度が改変されたときに出された省令です。この省令は、保険医療機関等と保険医等が、旧健保法第43条に規定の療養の給付を担当する際に守るべき事項を定めた省令で、旧健保法第43条の療養の給付以外の医療行為を行うことを禁ずる目的での省令ではありません。
今回の清郷氏訴訟で被告の厚労省は、この療担規則第18条と第19条の反対解釈が混合診療禁止の法的根拠と主張しましたが、第2回ならびに3回弁論で定塚裁判長から、明確な法的根拠を示しておらず不十分と指摘されながら、ついに第4回弁論での結審までに裁判長を納得させる法的根拠を主張できなかったのが、今回の厚労省敗訴の判決に至る背景のようです。
この辺の事情については清郷氏のHPを参照して下さい。

またこの療担規則については、昭和32年改正案を審議した国会で、厚生大臣が療養の給付を担う保険医の責務を定めたのもので、全額患者自己負担の自費診療を禁じるものではないと答弁したとも聞いております。(当時の国会議事録を確認しているわけではなく伝聞です)さらに、各都道府県知事あて厚生事務次官通達(昭和三二年五月一日付?)も出されているとのことです。
これは当時の開業医などの医師側が、法改正で新たに設けられた保険医療機関の指定を受けると、単価の安い保険診療より金額のかさむ保険外の自費診療がやりにくくなるとイヤなので、国会質問して大臣の言質を取ったということです。
ただしこうした過去の医師会と厚生省の応酬については、社会保険庁の役人との懇談で聞いた伝聞情報ですので、正確な出典を明示できる詳細な資料は手元にありません。あくまでも私自身が仕事上聞き知った情報・知識であることをお断りしておきます。

連投失礼します。
「混合診療」=「保険外併用診療での部分保険給付請求」について、現時点で混合診療であることを隠して、健保対象分について上手に保険請求する手口は、私の知る限りで次の2通りが良く見受けられます。
手口1:これは医療機関というより、被保険者(患者)側の手口です。
患者は保険医療機関であるA病院で、普通の保険診療だけを受けます。このA病院での診療については、健康保険が適用される診療ですから、A病院の窓口では患者本人には3割負担しか請求されませんし、A病院は残り7割については健保の療養の給付としてレセプト請求します。その上で患者は、保険外の自由診療を引き受けてくれるB病院へ行き、全額自費負担で健保の適用外の医療を受けます。B病院では全額自費の患者として処理し、一切の健康保険給付の請求(レセプト請求)をしませんので、厚生労働省(支払基金)はA病院での保険診療と結びつけて「混合診療」と断定することができません。いわば抜け道的な「混合診療の類似行為」と言えるでしょう。

このときに患者はA病院で診療の都度、自分のカルテや検査データなどのコピーをもらっておくと、B病院の医師がそれを参考にで治療できますので、重複する検査を省いたり忌避薬剤のリスクなどを低減できます。が、A病院とB病院の医師が、相互にどのような医療を施しているのか情報交換していることが発覚した場合、厚生労働省は共謀しての違法の混合診療行為として、健保法第80条での保険医療機関の取消などのペナルティを課すことがあります。

この手口の一番簡便な事例として良くある例が、保険診療を受けている主治医には内緒で、保険外のアガリクスの錠剤などを服用したり、個人輸入した海外の抗がん剤を勝手に服用ケースです。また、がん手術後に保険診療でのCTによる再発転移の検査では安心できず、がん患者が全額自費でPET検査のツアーに参加されるのも、こうした2つの医療機関を使い分ける混合診療の事例でしょう。(PET検査についてはH17年より一部のがんについては保険診療が可能になりました)

保険診療のみを施している主治医の方では、がん患者が個人的に入手した保険外の薬剤を服用していることや、別の医療機関での保険外の医療を受けたことを把握できないため、患者にとって危険なことでもあります。


手口2:今度は患者ではなく、医療機関が主導的な手口の事例です。

これは保険医療機関であるA病院で、健保適用の診療を受けた上で、さらに健保の適用外の医療を受ける場合です。すなわち一つの医療機関で、保険適用と保険適用外の併用診療を受ける場合です。このときに保険適用の診療分について、患者は3割の自己負担のみ病院に支払い、残りの7割については病院がレセプト請求し、また、健保の適用外の医療分については、その全額を患者が自己負担すると、保険外併用診療での部分保険給付となって、紛れもなく「混合診療」となります。

こうした同一医療機関での混合診療では、会計窓口で、健保適用分の3割と保険外の全額自己負担を同時に受領すると、支払基金の病院調査を受けたときに、領収書や現金出納帳の記載とレセプトを突合(トツゴウと読みます)されると、割と簡単にバレます。禁止されている混合診療であることが発覚すると、初診日に遡及して保険給付の返還を命ぜられると共に、保険医療機関の指定取消の処分にもなりかねません。そこで、こうした混合診療と分かっていながら実施する医療機関は、病院会計窓口では健保適用分の3割負担のみ患者に請求し、健保適用外の全額自己負担となる医療費は、病院とは別の「○○医学研究所」などの名称で請求し、その請求書に従って病院とは別名義の銀行口座に患者から別途振り込ませることが良くあります。お金の流れから禁止されている混合診療がバレることを防ぐ隠蔽工作です。

(長くなりましたので、一度中断して別稿に続けることにします)

前稿の続きです。

実は今回、東京地裁で混合診療訴訟を起こした清郷氏が、「混合診療」を受けていた神奈川県立がんセンターが、この前稿で紹介した手口2の「病院とは別名義の銀行口座への保険適用外医療費の振込」という方法でした。清郷氏は平成13年9月より神奈川県立がんセンターで、腎臓がんの場合は保険適用となるインターフェロン療法(以下「IF療法」とします)に加え、保険適用外の活性化自己リンパ球療法(以下「LAK療法」とします)を受けていました。 神奈川県立がんセンターではこの2つの療法を併用したときに、厚生労働省の「混合診療禁止」に抵触し、本来は保険適用となるIF療法のレセプト請求もできなくなることを承知していました。

そこで神奈川県立がんセンターでは、病院窓口では保険診療のIF療法のみ施術したことにして、IF療法の3割自己負担分のみ患者に請求し、保険外のLAK療法の費用については別の銀行口座に振込させていました。この混合診療隠しの会計処理工作が、清郷氏とは別人のある患者が投書したことで週間朝日が知るところとなり、H17年9月に週刊朝日の「神奈川県立がんセンター、混合診療隠しで怪しい経理」という記事となって暴露されました。

この記事が週間朝日に掲載された結果、がんセンターで混合診療が行われていることが公になり、厚生労働省が保険医療機関の指定取消をチラつかせて病院調査に入った為、神奈川県立がんセンターでは同年10月6日に清郷氏に、それまで健保適用で処理していたIF療法も含めて、全額自己負担に切り替えることを通告しました。その結果、毎月支払う治療費が一気に増加し、堪りかねた清郷氏が「混合診療禁止の法的根拠無効」の確認請求訴訟を、東京地裁に提訴することとなりました。その訴訟の判決が、清郷氏の訴えを認め厚生労働省敗訴とした、先の平成19年11月7日判決です。

この辺の経緯については清郷氏のHPにも書かれております。

的外れな見解なのかも知れませんけれども。

保険診療を扱う歯科医院において保険医である歯科医が、ある患者には保険診療で、ある患者には自由診療で治療を行っている例は少なからずあるわけですよね。
ここで保険医が保険適用外の治療行為を行った事を理由として、保険医指定を取り消されるような運用が行われたら、市中から公的医療保険を扱える歯科医院は半減するのでしょう。
そうはなっていないのは、療養担当規則が健保法の委任による省令(という法形式)であり、あくまでも公的医療保険制度の枠内での取り決めに過ぎないからかと思います。
保険医である前に医師であり、保険医としての活動は療養担当規則に拘束されますが、公的医療保険制度の枠外での医師としての活動は療養担当規則に拘束されないという前提がその根底にあるかと思います。

No.196 thx-1138 さま

>保険医である前に医師であり、保険医としての活動は療養担当規則に拘束されますが、公的医療保険制度の枠外での医師としての活動は療養担当規則に拘束されない…

これには全面的に同意です。

同意というより、元々厚労省は、保険医療機関等の指定を受けた場合でも、保険外の自費診療を行なうことを特段禁止していません。そのことを明確に示す通達などの証拠が、私の手元では見つからないので、現在調査・探索中です。

解禁論者の本音と建前を良く見る必要があります。
確かに、解禁論が理由として挙げている問題は、
全て、薬事法改正と運用方法の変更によって改善できる問題です。
では、何故、薬事法改正を先に議論しないかと言えば、
国民皆保険での医療改革では解禁論者にメリットがないからです。
また、薬事法改正を視野に入れない解禁でも解禁論者にメリットが少ない。
「本邦未承認の海外の薬を使えるようにする」を本気で言っているなら、
当然、薬事法改正も視野に入れているでしょうし、
それによってどのような国民の不利益が生じるかを知る必要があります。
もちろん、それが健康保険法の改正によって生じる物ではないことも注記しておく必要があるでしょう。

今回の裁判で議論されたのは、特定療養費が法制化された後、
「混合診療を一般的には認めないという法の立法者意思」に関する主張がなされているから、
昭和26年の判決では古すぎて根拠にならないと思います。
また、国が直接の被告でないならば、その判決は国の行為に及ぶ物ではありません。

原告ご本人のHPは情報源として不確か過ぎます。
新聞ですら間違った報道をしているくらいですから、
法知識に乏しい個人では正確な理解が伴っているかどうか分かりません。
少なくとも判決文では法的根拠にならないとする記述は見当たりません。

国会審議や通達も文言を正確に知らないと、
どのような解釈の余地があるか不明です。
「全額患者自己負担の自費診療を禁じるものではない」では、
混合診療を禁じているとも受け止められます。

「厚生労働省が保険医療機関の指定取消をチラつかせて病院調査に入った」
ということであれば、厚労省は混合診療を禁ずる法的根拠があると認識しています。
この認識の是非は、今回の判決では明確に判断回避されました。

第3「当裁判所の判断」2(4)には、
「混合診療を一般的には認めないという法の立法者意思が明確にされた」
「混合診療の原則的禁止という厚生労働省が採用する解釈,政策は,〜,合理的である」
とする厚生労働省の主張に対して、
その主張と保険診療相当部分の保険給付の扱いは
「両者が不即不離,論理必然の関係にあると解することはできない」
「次元の異なる問題」と明記されており、
「保険外併用診療」禁止の是非には踏み込んでいません。

つまり、「保険外併用診療」が健康保険法の立法者意思に反する、
「保険外併用診療」を禁止する解釈と政策は合理的である、
とする厚生労働省の論理は何ら崩れていないのです。
それが違法だとの司法判断は下されていません。

歯科医の件は特定療養費の話ではないのでしょうか。
だとするならば、厚生労働省が認めた医療行為であり、
何ら法令に触れないはずです。

国立病院で行なわれているLAK療法は2週毎に1回6〜9万円です。
新聞記事によると、被告が受けていたLAK療法は月50万円だとか。
胆管がん患者にもやっていたということですから、
効果が期待できない患者に高価な治療を勧めるのでは、
「病院が患者のために行ったこと」とはとても言えません。
違法であることを知っていて別口座に振り込ませたならかなり悪質です。
「県立」の医療機関にあるまじき行為です。

事件の背景について不勉強すぎたようです。
まさか、神奈川県立がんセンターでそのようなことが行なわれていたとは。

>> No.189 法務業の末席 さん

医師会などが、法務業の末席さんのような用語を使用してあるということは承知しております。
http://www.med.or.jp/nichikara/kongouqa/qa/01.html

が、大半の国民やマスコミは、そのような医師会の用語を全く理解して居らず、「保険該当診療と保険非該当診療を並行して受診すること」を「混合診療」と思っているようです。

例えば、毎日新聞社説
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20071109ddm005070069000c.html

「混合診療を受けると保険適用の医療も全額負担となる仕組みに至っては、更にわからない。」
と述べていますが、これなど明らかに医師会の定義と矛盾してます。

私は清郷さん判決16頁などの用語に従うのが良かろうと思い、その線で投稿したのですが、ひょっとしたら判決文自体が医師会の用語例を誤解しているのかも知れません。

医師会の用語例は一般人にとって理解困難な上、問題の本質を捉えても居ないように思いますが、どうなのでしょうか??


この重要な問題について国民の議論を深めるためにも、用語をわかりやすくすることが必要なように思われます。

監督官庁は厚生労働省ですから、医師会の用語に固執する理由はないと思います。
厚生労働省が用語をどう定義しているかについてですが、
明確に定義を示した文章は見当たりませんが、
厚生労働省が作成した文書では概ね次のような意味で使われているようです。

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/11/s1130-14e.html
>いわゆる 「 混合診療 」 ( 保険診療と保険外診療の併用 ) の解禁

 KT さま

まず最初に。そもそも「混合診療」なる用語は、健康保険の法令や厚労省の行政文書で、正式に定義されて使用される用語ではありません。今回の清郷訴訟での被告(国・厚労省側)の主張で判るとおり、厚労省は健保医療の制度上は「混合診療」なるものを否定していますので、法令・行政用語として厚労省が定義したことはありません。(なお本稿で使用する「健康保険」には国保・共済も含みます)

次に。「保険診療」「保険外診療」という用語についてですが、健保制度を監督する厚労省と、実際に患者に対して医療処置を施す医師の立場で、定義する意味合いが微妙に違っています。

厚労省が「保険診療」という用語を使うとき、当該医療処置は「健康保険の対象」(いわゆる「レセプト表」に記載の医療行為)であって、健保の対象であるから当然※に「保険給付」される、と捉えて使っております。(※ここの当然は法令用語としての使い方です) すなわち「保険診療」=健康保険の対象となり、かつ保険給付された医療処置、となります。

医師会などが「保険診療」という用語を使うとき、当該医療処置は「健康保険の対象」(いわゆる「レセプト表」に記載の医療行為)であって、健保の対象である、こまでは厚労省と同じです。違いは、健保対象の医療処置を健保に保険請求(レセプト請求)するか否かは、病院・医師・患者の自由裁量であるから、「保険診療」=健康保険の対象であるという定義に留まります。その結果、「保険診療」=健康保険の対象である医療処置(医療行為として)≠健保の保険給付(費用請求と支払行為として)として使われます。

こうした用語定義の違いから、「健保対象の医療」と「健保対象外の医療」を併用した場合の用語表現が、両者では違ってきます。

厚労省では前記の通り、健保対象の医療=必ず保険給付という立場ですので、次のような用語表現となります。
「健保対象の医療」と「健保対象外の医療」を併用=「保険給付を受けた医療」と「保険外の全額自費診療」の組合せ=いわゆる「混合診療」である→こうした併用行為は健保制度上禁止

ところが医師会では、健保対象の医療=必ず保険給付とは限らないという立場を取っていますので、次のようになります。
「健保対象の医療」と「健保対象外の医療」を併用=「保険外との併用医療」であって、「保険給付を受けた医療」と「保険外の全額自費診療」の組合せ=厚労省が禁止としている「混合診療」とは区別して使われなければならない。

以上が厚労省、ただし厚労省でも健保関係を所管する保険局での用語定義と、医師会の用語定義の違いです。

連投失礼します、前投稿の続きです

なぜ前投稿のようなヤヤコシイ用語定義の使い分けとなるかですが、「医療」に関係する立場は両者一緒でも、医師は健康保険だけで医療費の請求支払を行うのではなく、生活保護による医療扶助、労災保険、自賠責保険、任意自動車保険、全額患者の自己負担‥‥大変に数多くの医療費の請求支払の制度を使い分けねばなりません。そうした医療の現場からものを見る医師会の立場と、健康保険制度だけを所管する厚生労働省保険局の立場の違いではないか、と私は推理しています。

医療事務の観点から見た、請求支払の主なものを示すと下記の通りです。
 〃鯤歛仂櫃琉緡店坩戞畄鯤櫂譽札廛班週載の医療行為
  =健保給付を請求(健保1点は単価10円)
 ∀災保険対象の医療行為=健保レセプト表記載の医療行為
  =労災給付を請求(労災1点は単価12円)
 自賠責対象の医療行為=健保レセプト表記載の医療行為
  =自賠責保険を請求(自賠責1点は単価25円)

念の為、 銑の制度について行政の所管を示すと、,侶鯤櫃聾労省保険局(旧厚生省系列)、△力災は厚労省労働基準局(旧労働省系列)、の自賠責は国土交通省、となります。

混合診療は,侶鯤歙度での問題ですので、所管する厚労省保険局からすれば、いちいち健保の保険給付請求がドウシタコウシタ言わなくても、健保対象と対象外の組合せは「混合診療」であり、原則禁止していると考えがちです。(例外は健保法第86条の保険外併用療法費に該当した場合など)こうした立場なのでしょう。医師会からすれば厚労省保険局とは別の行政官庁をも相手にしなければいけないから、 健保の保険給付請求をしたか否かはキチンと峻別して論じる必要が出じ、用語を区別して使い分けることになってきます。

このように日本の医療費については、その請求支払の制度が複雑多岐にわたっており、良く理解せずに「健保給付vs自費診療」というロジックを使うと、得てしてトンチンカンな議論となりがちです。表面的な捉え方をしがちなマスコミ、自分の所管分野しか目が向かない行政、現場の実務を知らない学者や評論家、さらには限られた自分の経験だけを基盤に議論を展開しがちな民間オピニオンリーダーなど、「混合診療」について誰がどのような立場で発言しているのか、その辺を充分に斟酌して議論を捨象していく必要があると考えています。

>法務業の末席さま
KTさまとのやり取りが、どうも良くわからなかったのですが、簡単に言うと

一切の保険給付を受けないで、保険診療で規定されている種類の診療と、そうでない診療を併用して受ける(保険医、保険医療機関の立場では提供する)。

「上記も禁止されているのが混合診療の禁止である。」というのは誤解だとの指摘でしょうか?
そうだとすると業界人からすれば、説明するまでも無いこと、と言うよりも誤解されていることすら思いもよらないことでした。

>No.205 元ライダー(開医) さま

一切の保険給付を受けないで、保険診療で規定されている種類の診療と、そうでない診療を併用して受ける(保険医、保険医療機関の立場では提供する)。
「上記も禁止されているのが混合診療の禁止である。」

厚労省の「混合診療の禁止」政策を、どうやらこのように認識されている人々や、マスコミの記事が多いようです。

KTさまへ追伸です

No.201で、清郷氏訴訟の判決文での用語遣いに言及されていますが、この訴訟は厚労省と清郷氏の争いであって、医師会は当事者ではありません。よって、定塚誠裁判長が「混合診療」という言葉について、「厚労省定義の混合診療」を判決文で使用したのは当然と言えます。

原告が医師会であれば、私のNo.203〜No.204の投稿のような言葉の定義についての論争が、法廷の弁論の場で行なわれた可能性はあるでしょう。

この「混合診療」問題について、医療や社会保険制度などの「業界人」と議論される際は、こうした用語遣いの定義と厳密さの認識レベルについて充分にご留意下さい。

申し訳ありません、混合診療禁止の現状についてはこのような解釈で宜しいでしょうか?

自らの医療行為について、保険診療として被保険者である患者から一部負担金を受領し、残りを医療保険制度の保険者から受け取るのが保険診療という事になっている。
医師が保険診療をするためには、保険医であり、保険適用のある範囲で治療する事が必要で、その枠を超えた医療行為は、保険適用上認められない。その枠が療養担当規則等である。

一方、医療行為は医師法による医師免許を公布されれば執り行うことができて、医療法による開設許可を受ければ、病院や診療所を開いて医療行為を提供する事ができる。この場合、保険医療機関や保険医の指定を受けなければ保険診療は実施できないが、法に触れない(犯罪にならない)範囲であれば、保険の適用範囲を超えて治療行為を提供できる。

ゆえに、保険医の立場で保険診療として、保険制度に費用請求するにはその枠内での治療行為が要求される。そして少しでも保険適用範囲外の治療を行ったら保険範囲内の医療行為でも保険請求は許されない、というのが従前の厚生労働省の混合診療禁止の考え方である。
しかしながら、保険医であっても保険診療として保険制度への費用請求を考慮しないのであれば、保険の範囲内であろうと保険の範囲外になろうと、あるいはその両者にまたがる治療であろうと、医師として医療行為を行うことは問題にならない。厚生労働省の混合診療の禁止というのは、このような行為まで禁止しているわけではない。

連投申し訳ありません。

先の私のコメント(No.208 )の中での、「保険制度」と言うのは、「公的医療保険制度」に限定したものです。
つまり、健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員共済組合法、私立学校教職員共済法による医療保険給付の範囲に限定したものでして、労働者災害補償保険法や生活保護法などによる医療の提供は考慮の外としたうえでの発言であったと、御理解いただければ幸いに存じます。

保険医療機関や保険医でなくても保険診療相当の医療行為はできます。
ただ、その医療機関や医師が保険給付を請求できないだけです。
ただし、患者側はやむを得ない事情があれば療養費を請求することができます。
http://www.sia.go.jp/seido/iryo/kyufu/kyufu04.htm

厚生労働省は「混合診療」を禁止する立場なので、
保険給付の有無を区別する必要がありません。
しかし、実際には脱法行為が事実上黙認されているわけであり、
医療現場では保険給付の有無を区別する必要が生じます。

ぶっちゃけて言えば、議論に当たっては、
診療そのものを組み合わせることを指すのか、
保険給付の有無について言及するのかを区別できれば、
「混合診療」でも「ほげほげ」でも使う用語は何でも良いわけです。
ただ、意味を類推できないような名前は混乱の元ですが。

今回の判決文を読めば、厚生労働省の主張は、
「混合診療を一般的には認めないという法の立法者意思が明確にされた」のは
「昭和59年及び平成18年の法改正」である旨書かれています。
よって、それ以前は、「混合診療」を禁止してはいなかったと解釈できます。
それならば、昭和32年改正案を審議した国会での大臣答弁とも整合します。
当時は、
・保険診療のみ→OK
・保険診療+保険外診療で保険請求あり→駄目
・保険診療+保険外診療で保険請求なし→OK
だったわけです。
それが、「昭和59年及び平成18年の法改正」で
保険診療+保険外診療を禁止する立法者意思が明確にされたなら、
保険請求しなければ自由診療を認めるとする答弁も
自動的に破棄されたと考えることになります。
少なくとも、厚生労働省はそのように解釈しているのでしょう。

こ最近の一連のやり取りについて、厚生労働省の「混合診療の禁止」がどの範囲に及ぶかについて、意見が割れていると理解致しました。法務業の末席様説とryon様説の双方の説が、現状では登場していると理解致しました。

私が、知り合いの公務員さんから説明を受けた「厚生労働省のいう混合診療の禁止」は、法務業の末席様説だったので、それを前提に論じてきました。けれども実は、知り合いの公務員さんも盛大な勘違いをしておられて、本当は「厚生労働省のいう混合診療の禁止」はryon様説だったのでしょうか。あるいは、知り合いの公務員さんの説明を法務業の末席様説と解釈した私がとんでもない勘違いをしてしまったのでしょうか。

個人的には、療養担当規則などが省令や告示という法形式である以上、省令や告示という法形式のもつ権能や限界に照らして、法務業の末席様説と同じ立場なのですが、本当はどちらの解釈なのか純粋に興味があります。

ryon様がNo.202のコメントでリンクを紹介された資料は社会保障審議会医療保険部会(事務局:厚生労働省保険局)に提出されたものと理解いたしました。ということは、厚生労働省医政局は関与していないものだろうと想像いたします。

なので、ここで出てくる混合診療の話は医療保険制度の枠内での話、つまり保険適用内と適用外の治療を併用した際の対応を医療保険制度としてどのように考えるか。医療保険制度としては(保険医が保険給付として医療行為を提供する上では)現状禁止の方針で居るけれども、今後どうするのか。こういう議題の中で提出されたものと解釈致しました。

厚生労働省医政局が主体として関与してくる筈の医療そのものについての議論ではないと、たとえ保険医であったとしても(保険給付としての医療行為にとどまらず)より広い意味での医療行為として混合診療を禁止している事を示すものではないだろうと、このように解釈致しました。

thx-1138 さま

「混合診療の禁止」についての解釈・定義は、208の理解で概ね宜しいかと思います。

保険医療機関等の指定を受けながら、保険請求しない全額自費診療を行なうことは、何ら違法行為ではありませんし、厚労省も禁止しておりません。それどころか当の健康保険法が全額自費診療を行なうべき事態を規定しています。


健康保険法第116条では、指定を受けた保険医療機関等であっても、次に該当する場合は、保険診療を行なってはならず、全額自費での診療を行うことを義務づけています。
 仝琉佞糧蛤畊坩戮砲茲觸病の治療
 故意に発生させた傷病の治療

ケンカや傷害事件などの犯罪行為での怪我は上記,法⊆殺未遂事件での怪我や自傷は上記△乏催し、治療をする保険医療機関等がレセプト請求しても認められません。指定医療機関等が犯罪や自殺であることを隠して保険請求したことが発覚した場合、保険医療機関等の指定が取り消されます。この指定の取消は健保法第67条の規定に拠るものです。

この健保法第116条の規定から、搬送されて来た患者が犯罪での怪我人や自殺未遂で生きている患者であることが判明したら、保険医療機関等は健保のレセプト請求を諦めて全額自費での医療を施すことになります。

このことから「保険診療+保険外診療で保険請求なし→OKであったが今は禁止」とするご意見は誤りであることは明らかです。


No.212への追伸です。

>知り合いの公務員さんから説明を受けた「厚生労働省のいう混合診療の禁止」

この公務員さんの言うことを信じて頂いて宜しいかと思います。

No.214 法務業の末席さまのコメントに関する実例です。

数年前、当院職員が犬に咬まれ、当院で治療し、保険請求しました。数ヵ月後、お役所(確か社会保険支払基金だったと思う)から、その職員に「咬んだ犬は野犬であったか、飼い犬であったか?」との問い合わせがありました。この質問の意図は明確で、
・野犬であったならば保険請求を認める。
・飼い犬であったなら、飼い主に治療費全額を請求せよ。保険請求は認めない。
というものです。

犬が野犬か飼い犬かで診療方法は異なりませんが、保険給付されるかどうかが異なります。
つまり、同じ診療であっても、あるときは保険診療で、あるときは保険外診療でと、お役所から指導されることが現実にあるのです。

少なくとも、今回の判決で使われている混合診療の定義は
第2「事案の概要」1「争いのない事実等」(3)に書かれているとおり、
「療養の給付」に該当する診療(保険診療)と,該当しない診療(自由診療)を併用することです。
そして、その定義における混合診療を受けた場合の保険給付のあり方についてのみ判断し、
混合診療の是非については判断回避する旨明確に書かれています。
そして、裁判所の理解としては、この定義における混合診療を禁止しているという認識です。

健康保険法第116条等は今回の議論とは関係がないはずです。
これは、自由診療のように診療内容を給付しない理由としているのではなく、
診療を発生させた原因を理由として保険給付をするなと言ってるのですから。
療養担当規則で禁止されているのは「厚生労働大臣の定める医薬品以外の薬物」の使用や
「厚生労働大臣の定めるもののほか」の「特殊な療法又は新しい療法等」を行なうことです。
診療を発生させた原因によって診療を断れとは書かれていません。
よって、ここで議論の対象とすべき「保険外診療」には
健康保険法第116条等によって保険給付しないケースを入れるのは的外れでしょう。

> No.216 ryon 様

健保法の保険給付が金銭支給ではなく治療行為そもののとされている事から、私などには理解が難しい話なのですけれども。

> 第2「事案の概要」1「争いのない事実等」(3)に書かれているとおり、

仰るとおり、保険診療と自由診療を併用する事を混合診療と定義されています。そして続きには、『厚生労働省は混合診療の場合保険診療相当分についても、法に基づく給付を受けられなくなると解釈している』旨、記されております。
といたしましたら、裁判所の認識としては、仰るような「厚生労働省が上記定義の混合診療(という行為)そのものを禁止している」というものではないと感じるのです。
裁判所の認識としては、「厚生労働省が上記定義の混合診療時に健保法上の療養の給付を禁止している」というものかと思うわけです。
「法に基づく給付を受けられなくなる」という一文が含まれているのがポイントかと、私などは思ってしまうのですけれども。法に基づく給付受けられない(保険制度からお金が支払われない)だけで、それを考慮しなければ(保険適用な治療行為も含む)治療行為は受けられるという事なのだろうと。

> 診療を発生させた原因によって診療を断れとは書かれていません。

仰るとおりかと存じます。療養担当規則は健保法の下位にある省令ですから、そのような条項を書き込む必要がありません。
御案内のとおり、療養担当規則(省令)は健保法(法律)の委任を受け、健保法上の保険給付としての医療行為を拘束するものです。省令は、法律・政令の施行の為と法律・政令の特別の委任を存立の根拠としますから、そう考えるのが自然かと思います。
法務業の末席様御例示の場合は、そもそも健保法上の保険給付の対象外(健保法の適用が除外される)ですから、その状況下において療養担当規則も効力を及ばないのではないかと思うわけです。
それゆえに、書いたところで意味を成さず、また、書く必要もないのではないかと。

第2「事案の概要」2「法令の定め」(2)で療養担当規則の該当部分を引用していますし、
第3「当裁判所の判断」2「争点2」(4)で厚労省の主張が紹介されています。

なお,被告は,昭和59年及び平成18年の法改正によって,混合診療を一般的には認めないという法の立法者意思が明確にされたにもかかわらず,なお法の解釈として混合診療が許容されている旨解するのであれば,この解釈は上記立法者意思に反する旨主張する。また,被告は,混合診療の原則的禁止という厚生労働省が採用する解釈,政策は,医療の平等を保障する必要性があること,混合診療を解禁すれば,患者の負担が不当に増大するおそれがあること,医療の安全性及び有効性を確保する必要があることに照らしても,合理的である旨主張する。

これを見る限り、厚生労働省が「混合診療そのものが禁止」と主張していると裁判所が認識しているのは明らかです。
そして、「両者が不即不離,論理必然の関係にあると解することはできない」
「次元の異なる問題」として、厚生労働省のその解釈の是非についての判断はしませんでした。
以上、判決文に明記されていることです。

> No.218 ryon 様
> 第2「事案の概要」2「法令の定め」(2)で療養担当規則の該当部分を引用

療担規則第18条の引用部分は、法第72条の委任を受けた療担規則第18条の規定と記述されております。これは健保法第72条において「保険医等は療担規則第18条の定めるところにより健康保険の診療に当たらなければならない」と言う趣旨の定めを健保法及び療担規則で定めているとの法令の規定(読み方とか主旨)を裁判所が確認した事を指し示すと思います。
療担規則第19条の引用部分は、「療養の給付」に使える医薬品が健保法第72条第1項の委任を受けた療担規則第19条に規定され、その療担規則第19条を受けた厚生労働省告示で使用薬剤の薬価が定められていると記述されております。これは、健保法第72条第1項において「保険医等は療担規則第19条の定めるところにより厚生労働大臣が使用薬剤の薬価の別表で定めている医薬品を用いて健康保険の調剤にあたらなければならない」と言う趣旨の定めを健保法及び療担規則で定めているとの法令の規定(読み方とか主旨)を裁判所が確認した事を指し示すと思います。
いずれの場合も、判決で引用された条文は、法令の読み方の問題として、健康保険の診療(=療養の給付)及び調剤に限定される主旨の法律の条文及び省令の委任規定と読めますから、やはり裁判所が保険診療に限定された規定である旨を確認していると解釈しました。

> 第3「当裁判所の判断」2「争点2」(4)で厚労省の主張が紹介
ここで紹介されている「法の立法者意思」とは健康保険法という特定の法律の立法者意思であり、一連の文脈の中で、「厚生労働省が採用する解釈,政策」とは、厚生労働省が採用する健康保険法という特定の法律の解釈・政策を指し示していると私には理解出来ます。

以上のことから、健康保険法(及び付属あるいは従属する省令や告示)の解釈論が争われており、それは保険診療を行う場合に限定する主旨の前提が貫かれていると判断しました。

thx-1138 さま

判決文と健保法の解釈について、要領よくまとめて下さりありがとうございます。
私の文章がヘタで、上手く表現できずにもどかしく感じておりましたが、No.217 及び No.219 のコメントはスッキリと論理構成が通っており、我が意を得たりと思う次第です。


ryon さま

我が国の医療の法体系は、まず医師法ならびに歯科医師法と、医療法によって医療行為の全般について規定されています。医薬品については、同様に薬剤師法と薬事法が定められています。医師や病院は原則として、医師法や医療法の範囲内において自由に診療内容を選択できるし、その報酬の金額についても自由に決定することができます。

こうした医師からの診療報酬の請求と、患者からの支払いの一つの手段として、公的医療保険の制度が用意されております。ただし公的保険の制度を利用した場合に保険制度で定められた報酬額に規制されたり、保険給付の対象となる診療行為の範囲が規制されます。ですから公的医療保険制度の代表である健保の保険給付を請求しない医療、いわゆる「自費診療」については医師法、医療法や薬事法の制約は受けても、健康保険法からは制約を受けません。

そして、その健康保険の給付の対象となる診療行為や薬剤を、健康保険法の委任を受けて具体的に定めた範囲基準がレセプト点数表であり薬価表です。また保険給付を行える医療機関や医師について定めた規定が健保法第64〜73条の保険医や保険医療機関の規定であり、同法第70条の委任を受けて定めた厚生労働省令が「療担規則」です。

すなわち日本の医療の法体系は、最上位に医師法・医療法があって、次位に健保法などの医療保険法があり、「療担規則」やレセプト点数表・薬価表はその健保法の下位規定となります。しかるに、健康保険の法体系の下位にある「療担規則」が、健康保険法の及ばない「全額自費診療」まで規制するというryon氏の主張は、法学の論理構成からすれば誤っており、診療内容が健康保険の対象となるレセプト点数表・薬価表の範囲内であっても、保険給付の無い「全額自費診療」には「療担規則」の規制が及びません。

以上の通り、厚生労働省の主張する「混合診療の禁止」とは、健康保険の適用可能な医療に保険適用されない自費診療を組み合わせた場合、保険給付の請求を行うことを禁止しているのであり、健康保険の適用可能な医療について保険請求せずに全てを自費で支払う「全額自費診療」なら、保険対象外の診療行為を組合わせることを禁止しているわけではありません。

また、今回の清郷氏訴訟での判決では、保険対象にできる診療と対象外の診療を組み合わせたとき、厚生労働省が保険給付の請求を行うことを禁止していることについてだけ法的根拠が無いと判示したものであり、全額自費負担とする組み合わせ診療については、そもそも清郷氏が訴訟対象(訴訟物)としておりません。よって判決は、訴訟対象でない「全額自費診療」についても何ら判示はしておりません。

要するに、医療機関が健保の請求を一切せずに、全額を患者の自己負担とする「全額自費診療」については、医師法・医療法・薬事法等に抵触しなければ厚生労働省は規制しておりませんし、また今回の判決の影響も受けません。

> No.220 法務業の末席 様

> 判決文と健保法の解釈について、要領よくまとめて下さりありがとうございます。

望外のお言葉、恐縮です。
私のような者が書いてよいものか相当迷いましたが、思い切って書かせて頂きました。推敲を重ねていくうちに、かえって文の接続や言葉遣いが変になっていました。あとから読み返してみて恐縮しております。

私は法律とその下位にある法形式の関係(縦の関係)に専ら着目しており、今回の事例では健保法と医師法などとの関係のような法律相互の関係(横の関係)については、よく判っておりませんでした。

よく考えてみれば、医療保険制度創設より前から医療従事者さんはおられたし医学や薬学も伝承されて来ていた訳で、法律上もまず医師法などがあってその基盤の上に健康保険法などがあるのは当然だと、今更ながらに深く納得してしまった次第です。

今回の一連の法務業の末席様のコメントを拝見して、健康保険法と医師法、医療法、薬事法との関係について、勉強になりました、ありがとうございました。

判決文第2「事案の概要」2「法令の定め」(2)について、
裁判所が独自の見解を示すなら、それは判決文に明記しているはずです。
見解が述べられていないなら、それは、事件を判断する前提として
そのまま追認していると考えられます。
事件を判断する前提とならないなら、初めから書かないでしょうし、
その前提が間違っているなら、それを訂正する見解を示すでしょう。
判決文では、法令の文章のみを引用し、裁判所の見解は示していません。
よって、本件裁判においては、療担規則の裁判所の独自の見解は存在しないことを示しています。

判決文第3「当裁判所の判断」2「争点2」では、
「法の立法者意思」「厚生労働省が採用する解釈,政策」について、
「両者が不即不離,論理必然の関係にあると解することはできない」
「次元の異なる問題」として、その是非の判断を回避しました。
これは判決文に明記されていることです。

健康保険法第六十三条第3項第1号にて保健医療機関は、
「厚生労働大臣の指定を受けた病院若しくは診療所」と定義されています。
同法第六十五条第3項には「厚生労働大臣は〜指定をしないことができる」と書かれています。
第5号では「保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められる」ことを理由に出来るとも書いてあります。
以前にも述べたとおり、同法第八十条により厚生労働大臣には指定取消も認められています。
第9号では「この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるもの又はこれらの法律に基づく命令若しくは処分に違反した」ことを理由とすることが認められています。
「この法律」違反だけでなく、「政令」「命令」「処分」違反も処分対象とすることが明記されています。
(「法律に基づく命令」とは、政令、省令等を指します。)

以上のとおり、法律本文に明記されていない省令違反を理由にした指定取消が
厚生労働大臣に認められていることは、健康保険法に明記されていることであり、
「健康保険法の及ばない」ものではありません。
また、厚労省の主張する「法の立法者意思」の解釈を採用すれば、
保険外併用診療は「この法律」にも違反することになります。
逆に、厚生労働大臣の権限の制約を法律に明記していない以上、
法第八十条の規定を無効とすることはできません。

また、何度も言うとおり、厚生労働省の解釈は、
第3「当裁判所の判断」2「争点2」(4)で紹介されているとおり、
厚生労働省が「混合診療そのものが禁止」と主張していると
裁判所が認識していることは明らかです。
それについて 「何ら判示はしておりません」ならば厚生労働省の解釈が有効です。
各省庁の政策実行に一々裁判所の判断を仰がなければならないわけではありません。
行政は裁判所が違法としたことについてのみ制約を受けるのであって、
そうでなければ行政の裁量権の範疇です。

補足しておきます。
保険医療機関や保険医の行為について「健康保険法の及ばない」と解釈できるかどうかについては棚上げします。
論点は、厚生労働大臣が保険医療機関の指定取消、保険医の登録取消ができるかどうかです。
これは健康保険法に「法律に基づく命令」違反を理由に出来ると明記されているのだから、
療担規則の規定を理由として指定取消、登録取消は可能です。

尚、医師法、歯科医師法、医療法は本件とは関係ありません。

保険医療機関の指定取消や保険医の登録取消によって、
医師免許等を剥奪するわけではありません。
つまり、保険対象外診療を継続したいのであれば、
保険の使えない医療機関や医師として診療を継続すれば良いだけです。
だから、保険医療機関の指定取消や保険医の登録取消は、
医師や医療機関の裁量権を侵害したことにはなりません。
よって、医師法、歯科医師法、医療法を持ち出すのは見当違いでしょう。

>ryon さま
>厚生労働省が「混合診療そのものが禁止」と主張していると裁判所が認識していることは明らかです。

「混合診療そのもの」とは、「保険給付の有無とは無関係であり、保険診療で規定されている診療と、そうでない診療を組み合わせた診療」ということですか?

本当に裁判所がそう認識しているのであれば、裁判所の認識は誤りです。そうでない実例はありますから。

また、原告の認識する訴訟対象については、
保険外併用診療の禁止の是非が含まれていることが明らかです。
例えば、第2「事案の概要」4「争点に関する当事者の主張」(2)において
原告の主張は次のように書かれています。

そもそも,混合診療を明示的に禁止した法の規定はないから,混合診療を一般的に禁止する法の立法者意思なるものは存在しないし,被告が主張する立法者意思や立法事実は何ら証明されていない。

原告の裁判レポートからも同様の主張が垣間見えます。

前にも述べたとおり、判決文第2「事案の概要」1「争いのない事実等」(3)にて
裁判で用いられた用語「混合診療」は定義されています。

一般に,法63条1項に定める「療養の給付」に該当する診療(保険診療)と,該当しない診療(自由診療)を併用することを混合診療というところ

そして、判決文に「混合診療を一般的には認めないという法の立法者意思」
「混合診療の原則的禁止という厚生労働省が採用する解釈,政策」
と被告が主張している書かれている以上、
それが厚労省の解釈と裁判所が認識しているのは明らかです。

尚、「一般的には」であって、例外を認めないとは書いていません。
次のような物は明らかな例外です。
・特定療養費
・保険診療相当医療で保険給付対象としない物
厚労省は、これらまで禁止しているとは言っていません。

>No.228 ryonさま
私の書き方も正確でありませんでした。
ここで私ごときが判決文の解釈をするのは、おこがましいのですが、用語として言及しますと、法務業の末席さまも書かれているように、健康保険の給付とは現物給付、つまり診療行為を給付することです。
ですから、
・保険証を提示しないで受ける診療は健康保険での「療養の給付」にはなりません。
・健康保険証を提示して「療養の給付」に該当する診療(保険診療)を受けた時点で、「療養の給付」が遂行されてしまいます。
・「療養の給付」に該当する診療(保険診療)とは、「その診療が健康保険の給付になるんだよ〜」という診療を意味します。

ですから、判決文でいう混合診療も「一部に健康保険が使われている診療」と解釈できるのではないでしょうか。

元ライダー(開医) さま

No.229のコメントに同意です。
ryon さまは「療養の給付」は現物給付である、という健保法の概念のご理解が不十分なので、解釈が混乱しているように思えます。

 法63条1項に定める「療養の給付」に該当する診療
◆法63条1項に定める「療養の給付」の対象となる診療
上記,両豺腓 元ライダー さまがコメントされたとおり「保険給付された診療」を意味しますし、△両豺腓蓮嵎欷欝詆佞硫椎柔がある診療」であって、実際に保険給付されない場合も含む意味になります。
本判決を読み解く場合に、この区別が重要なんですが…

ryon 様

 日本の裁判は、争われた点に限定して判断されるものなのは、十分御存知かと思います。そして判決文は、全体としてひとつである事もまた然りかと思います。今回の争いは、保険適用内外を混合した治療は健保法による療養の給付にあたるか否か(健保法の枠組みの中に含まれるか否か)なのですから、判決文もその範囲を超えることなく書かれているのは間違いないと思われます。

 ところで、そのような裁判であっても、その裁判に至る過程での歴史的経緯・当事者夫々の論点の構成過程とか、関連する法令との関係、法体系全体での該当法令の位置付けなど、広い意味での周辺の事情も考慮しないと、判決文全体の位置づけや判決文で判断された事の理解を誤ることになり兼ねないのではないでしょうか。

 今回の裁判では、医師の医療行為(如何なる社会保障制度にも立脚しない医療行為、健保法の枠による医療行為、労災法の枠による医療行為、生活保護法の枠による医療の提供等などなど、、、)のうち、健保法の枠による部分が争いの対象になっている訳です。なので判決にしても、あるいは、原告被告双方が主張を述べるにしても、健保法との兼ね合いを超える事はないのではないでしょうか。原告が健保法の枠組みの及ぶ範囲を争っているのですから、被告とて自分の主張を裁判官に認めて貰うべく健保法の枠組みの範囲を暗黙の前提に主張を述べているのではないでしょうか。そうでなければ、出廷して争う意味を考えなければいけない事にもつながるような気が致します。
 
 然るに、もしryon様の仰るとおり健保法の枠を超えて医療行為全体として混合診療を禁止しているとすれば、被告である厚生労働省は、もっと端的に「医療の全体を定める○○法(

 ところで、日本では皆保険体制となってから永くしかも償還払いでなく現物給付であることから、「病院に行く=健保法の給付」と言う公式が水や空気のように当たり前になっている感があります。建保法や周辺法令が日本の医療の全てを規定するという感覚がこれまた水や空気のように当たり前になってしまうのも無理なからぬところかも知れません。しかしながら本当は、建保法や周辺法令は医療の法規制の一部分でしかないのだと言うことも、御理解いただければと私などは思います。報道の方も、厳密に「健康保険制度における混合診療の可否が争われた」とか「健康保険制度で混合診療を認める判決が下された」とか報道して頂ければと思います。極一部の報道では(簡単にそのような趣旨とわからない言い回しで)そのように報道されていましたけれども。

 蛇足ながら、現実には運用で緩和されている(月1回は保険証を見せてください)とは言え、厳密には医療機関の受付で毎回保険証を提示しなければその時の診療は全額自費で負担しないといけないのが治療を受けるというものです。

現物給付か現金給付かは本件とは全く関係がありません。
判決文第2「事案の概要」1「争いのない事実等」(3)で言う
「療養の給付」に該当する診療が何を指すかは、その前後を読めば明らかです。

一般に,法63条1項に定める「療養の給付」に該当する診療(保険診療)と,該当しない診療(自由診療)を併用することを混合診療というところ,厚生労働省は,混合診療が行われた場合には,自由診療はもとより,本来「療養の給付」に該当する保険診療相当分についても,法に基づく給付を受けられなくなる旨解釈している。

「該当」が保険給付の有無の類似性について言及しているなら、
「混合診療が行われた場合には」以下の文章と矛盾します。
よって、「該当」とは、保険給付の有無の類似性についてではなく、
医学的行為の類似性についてのみの言及であることは明らかです。

以上は、わずか5行の短い文章を読めば分かることです。
言葉の定義は判決文の中でもとくに重要です。
何故なら、それによって判決文の意味が全く違って来るのですから。
それをろくに読んでいないのでは判決を論じる準備が全く出来ていないと思います。

私は「健保法の枠を超えて医療行為全体として混合診療を禁止している」とは一言も言っておりません。
No.225でも、健康保険法に基づいた保険医療機関の指定取消や保険医の登録取消は、
医師や医療機関の裁量権を侵害したことにはならないと述べています。
よって、これは「健保法の枠を超えて医療行為全体」の問題ではありません。

あと、細かい事をひとつ。
丸付数字は機種依存文字ですので環境によっては読めません。

今さらながら、No.193の間違いも指摘します。

今回の清郷氏訴訟で被告の厚労省は、この療担規則第18条と第19条の反対解釈が混合診療禁止の法的根拠と主張しましたが、第2回ならびに3回弁論で定塚裁判長から、明確な法的根拠を示しておらず不十分と指摘されながら、ついに第4回弁論での結審までに裁判長を納得させる法的根拠を主張できなかったのが、今回の厚労省敗訴の判決に至る背景のようです。

原告の裁判ドキュメントから裁判長の具体的な疑問を全て抜き出します。
「3つ目が入るとなぜ全部保険が使えないのか、まだ私には理解できない。」
「どの条文に基づき、混合診療になると給付が排除されると導き出せるのか」
「どの条文が影響して保険の現物給付を行うとした法63条がなくなるのか」
「保険給付がなくなるというがすでに受け取った現物給付はどうするのか」
「私の加持祈祷は混合診療になるか」
以上のとおり、裁判長の質問は保険給付を拒否する根拠に集中しており、
保険外併用診療禁止の是非についてはまでは言及していません。
よって、保険外併用診療禁止とすることについて、裁判長は
「明確な法的根拠を示しておらず不十分」とは全く言ってないようです。

また、原告の裁判ドキュメントには次のようにも書かれています。

また私は裁判長に、法的根拠の審理の次に法解釈の合理性の審理を行うのではないのかと聞いたところ、この裁判は清郷さんの混合診療の地位確認訴訟であるから、健康保険法の混合診療に対する法的審理に尽きるとのことで、私は裁判とはそんなものかと引き下がった。

以上のとおり、「法解釈の合理性」=保険外併用診療禁止の是非については踏み込まないまま結審しているようです。

ryon 様

 如何に思考の過程が正しかろうとも、前提(入り口)の部分で明らかな誤りがあれば導き出される結論も、同じように明らかな誤りです。この場合の前提とは、争点、法令の読み方、数ある国内法の相互の関係、各法令の守備範囲等の事です。そして、ryon様のお考えはそもそも前提(入り口)の部分で誤りがあるというのが、最近の私の立場です。
 なお、以下において「法令」という言葉を遣う時には、法律・政令・省令・告示などを含めた範囲の法規を現しています。これは過去の私のコメントにおいても意識して使い分けるよう努めて参りました。

> No.222
> 判決文第2「事案の概要」2「法令の定め」(2)について、
仰るとおり、事案の概要としての法令の定めですから、能動的に裁判所の見解は含まれないでしょう。また、裁判所の独自の見解が無い以上、通常の法令の字面を追う読み方をした場合に導き出される見解を否定していないのでしょう。そして、その導き出される見解は私のNo.219のコメントの通りです。
> 判決文第3「当裁判所の判断」2「争点2」では、
 結論は仰る通り是非の判断を回避していますが、何について是非の判断を回避したのかについての理解について、ryon様説には同意できないのが私の立場です。

> No.223
 健康保険法において保健医療期間等の指定・更新・取消について、御例示の法令の条文に定められていると言うことに異論はありません。また、これら法令に違反した時に行政処分が下される事についても異論はありません。さらに、この点の厚生労働省の法令解釈が如何なるものかについて異論はありません。しかしながら、法令解釈の前提となる法令の適用のある範囲の理解について、ryon様説には同意できないのが私の立場です。

> No.224
 保険医療機関等の指定取消ができるかどうかは、本件裁判の論点では無いでしょう。しかしながら、法令の規定に基づき厚生労働大臣が指定取消等を行える事について異論はありません。とは申しながらも法令の規定の適用があるか否かの判断において、ryon様説には同意できないのが私の立場です。

> No.225
 仰る通り、本件では医師法等は論点では無いでしょう。そして保険医療機関等の指定取消が医師免許等の取消と等値でない事、保険の使えない医療機関として存続すれば良いとの御見解もごもっともな事でしょう。しかしながら、保険医療機関であっても保険を使わないで診療する裁量はあります。この場合において保険適用の治療を行い、保険を使えるのを承知で敢えて保険を使わないという選択も、同じようにあるだろうというのが私の立場です。

> No.227
 このコメントにおいて、何をもって「保険外併用診療」と呼称されているのか、必ずしも明らかではないところです。もし健康保険法に規定のおかれている「保険外併用診療」と等値であるなら、健康保険法に規定がおかれている事実をもってその規定の範囲に限り保険外併用診療は違法ではなく、禁止もされておりません。その前提において、本件訴訟対象に保険外併用診療は含まれていないというのが私の立場です。
 原告の主張については、「混合診療を明示的に禁止した法の規定はないから、健康保険法を適用する上においては、混合診療が認められている」と言うものであり、ryon様説には同意できないのが私の立場です。

> No.228
 争いのない事実等の部分に混合診療の定義が含まれている事に異論はありません。そして、判決文に書かれている事実をもって、判決文に書かれている定義ついて原告・被告の見解が一致したのだろうとも思われます。
 そして、厚生労働省が主張する法の立法者意思や解釈・政策について、裁判所が正しく理解しているのは間違いないだろうと思います。しかしながら、厚生労働省の思っている厚生労働省の法解釈と、ryon様の思っておられる厚生労働省の法解釈は異なっているというのが、私の立場です。

法務業の末席 様

 実のところ、本件訴訟が提起された当時には(今は違います)、私は日本国内に数ある公的保険の保険者の内の1つの末席に籍を置いておりました。つまり本件訴訟においては、厚生労働省の近くに立ち位置があった訳です。
 それ故にryon様説については、はっきり申し上げれば看過できない誤りがあると感じます。私が判決文を読んで思いますのには、厚生労働省が主張する法の立法者意思や解釈・政策について、裁判所が正しく理解しているのは間違いないだろうと思います。しかしながら、厚生労働省の思っている厚生労働省の法解釈と、ryon様の思っておられる厚生労働省の法解釈は異なっているというのが、私の理解です。
 とは申しましても、法律専門職で無い私の力ではそれを説明するのが困難かと思い至りました。残念ながら私にはどこでボタンの掛け違えが生じているのか、そのクリティカルなポイントが見極められません。
 この混合診療の問題は、そもそも公的医療保険制度が存在しなければ存在しない問題です。それゆえ、健康保険法等が存在しない並行世界があるとすれば、或いはそこまで想定できないまでも健康保険法の適用の枠外(この場合旧特定療養費は建保法の中に規定がある以上健康保険法の枠内と考えています。)におかれるとすれば、いかような状況になるのかを理解いただくのが近道かとも思いましたが、何かそのような問題でもないような気がしてきました。

 法務業の末席様におかれましては、専門職として誤解の生じぬよう正しい理解を広めるために、コメントという形式でもって尽力をなさっておられるものと感じて参りました。そこに、中途半端に首を突っ込み、横槍を入れ、結果的に話を掻き乱してしまった私の投稿姿勢について、お許しいただければ幸いに存じます。

「保険医は〜行ってはならない」「保険医は〜してはならない」
と書かれている以上、「通常の法令の字面を追う読み方」では、
No.219のような解釈は成り立ちません。
全額自費負担ならやってよいという例外規定も書かれていません。
そして、厚生労働省が全面禁止と言っている以上、
裁判所が見解を示さない限り、行政の裁量権の範囲として厚生労働省の解釈が有効です。
これは、No.223でも述べたとおりです。
個人的に同意するしないは、その人本人にしか意味を持ちません。
どのような根拠を持って違う解釈となるのかを言わなければ、全く不毛な話です。

判決文第3「当裁判所の判断」2「争点2」について私は詳しく説明しました。
これも個人的に同意するしないは、その人本人にしか意味を持ちません。
どのような根拠を持って違う解釈となるのかを言わなければ、全く不毛な話です。

ここでの議論は療担規則第18条と第19条が根拠になるかどうかです。
「保険を使えるのを承知で敢えて保険を使わないという選択」は
療担規則第18条と第19条で禁じていることではありません。
よって、No.216で指摘したとおり、この事例を持ち出すのは的外れです。

ここで言う「保険外併用診療」は裁判の定義に基づく混合診療を指します。
保険外の診療(特定療養費除く)を行なって保険給付を行なうことと混同されないように、
No.189の定義を利用しています。

これは混合診療の定義ではなく「保険外併用診療」とでも言うべき定義です。

厚生労働省の見解は、混合診療の原則禁止(例外=特定療養費)であるのだから、
当然、ここでの論点となる混合診療には特定療養費を含んでいません。
以上のことは、改めて説明するまでもなく、議論の流れから明らかでしょう。
今さら、これを説明しろと言われるなら、今まで何の議論をやってたのかとなります。

原告の主張が「混合診療を明示的に禁止した法の規定はない」であることは既に私も指摘しています。
しかし、厚生労働省は反論していますし、裁判所も何ら見解を示していません。
それならば、No.223でも述べたとおり、行政の裁量権の範囲として厚生労働省の解釈が有効です。

厚生労働省の主張を裁判所が正しく理解しているなら、省の法解釈は判決文に書いてあるとおりです。

なお,被告は,昭和59年及び平成18年の法改正によって,混合診療を一般的には認めないという法の立法者意思が明確にされたにもかかわらず,なお法の解釈として混合診療が許容されている旨解するのであれば,この解釈は上記立法者意思に反する旨主張する。また,被告は,混合診療の原則的禁止という厚生労働省が採用する解釈,政策は,医療の平等を保障する必要性があること,混合診療を解禁すれば,患者の負担が不当に増大するおそれがあること,医療の安全性及び有効性を確保する必要があることに照らしても,合理的である旨主張する。

判決文をそのまま引用しているのに、私個人の解釈を差し挟む余地は何処にもありません。
この判決文の何処が「ryon様の思っておられる厚生労働省の法解釈」なのでしょうか。
私は、判決文の執筆には一切関わっていないので、私の解釈は全く判決文に反映されてないはずです。

判決を論じるのに判決文すらキチンと読まないのでは話にならないでしょう。
それでは、どんな専門知識も錆びた刀と同じです。

No.231には次のように書かれています。

然るに、もしryon様の仰るとおり健保法の枠を超えて医療行為全体として混合診療を禁止しているとすれば、

一方、私は、
No.223で保険医療機関の指定取消、保険医の登録取消が健康保険法に明記された処分であること、
No.224で保険医療機関や保険医が療担規則に拘束されなかったとしても大臣の権限は認められること、
No.225で医師法、歯科医師法、医療法で認められた医師や医療機関の裁量権の侵害にはあたらないこと、
を述べました。
いずれも、健康保険法の枠組みにおける対応であること、
もしくは、他法と全くバッティングしないことを示したものです。
「健保法の枠を超えて医療行為全体」については論じていません。

これだけ丁寧に説明しているにもかかわらず、
「健保法の枠を超えて医療行為全体として混合診療を禁止している」と
全く誤った解釈を採用することが信じられません。
これでは、良く読まずに批判されているしか思えません。
よって、「ryon様説については、はっきり申し上げれば看過できない誤りがある」も
判決文や私の主張内容を良く読まずに批判されているのではないかと思います。

これまでの論点は、厚生労働省の見解は何か、裁判所の見解は何か、法的根拠はあるかです。
そして、法的根拠とする療担規則第18条と第19条で禁じているのは次の二つです。
・「厚生労働大臣の定めるもののほか」の「特殊な療法又は新しい療法等」
・「厚生労働大臣の定める医薬品以外の薬物」
よって、これ以外で保険給付とならない診療については、
療担規則第18条と第19条で禁じていないことは明らかです。
そして、混合診療禁止が原則論である以上、そのような例外の存在は否定していません。
ここで論じているのは原則に関する議論であって、そのことはNo.216で指摘したはずです。
仮に、原則ではなく絶対だとの誤解があったとしても、
その件は、判決について議論する上で直接的な論点とはなり得ません。
何故なら、例外の有無は別次元の問題だからです。

以上は、これまでの議論の流れからも明らかであるはずで、No.216でも改めて指摘したことです。
それなのにNo.236で次のようなコメントが出て来るのでは、これまでの議論が全く無視されています。

このコメントにおいて、何をもって「保険外併用診療」と呼称されているのか、必ずしも明らかではないところです。もし健康保険法に規定のおかれている「保険外併用診療」と等値であるなら、健康保険法に規定がおかれている事実をもってその規定の範囲に限り保険外併用診療は違法ではなく、禁止もされておりません。

よって、このことも「ryon様説については、はっきり申し上げれば看過できない誤りがある」が
判決文や私の主張内容を良く読まずに批判されている証拠と思います。

>ryonさま
>厚生労働省が「混合診療そのものが禁止」と主張していると裁判所が認識していることは明らかです。(No.223 ryonさま)

で述べられている「混合診療そのもの」とは何を指しているのか?つまり、単に「混合診療」といわず「混合診療”そのもの”」として、”そのもの”を付加した場合、どう意味合いが付加されるのか?がryonさまの解説を読めば読むほど分からなくなってくるというのが私の感想です。

No.237 thx-1138 さま

投稿されたお考えについて、全くの同意です。

社会保険労務士という法律職の端くれとして、重大な誤りがあるryon様説を読んだ方々に、健康保険制度に誤った認識を植え付けることになり、社会に与える影響について大変憂慮しています。特にこのモトケンブログは、法律問題についてのエントリでは、法律の専門家が正しい法律知識に基づいて議論をしており、その議論の内容については非常に信頼性が高い、という評価がブロガーの世界ではそれなりに知られていると思います。そうした「正しい法律論が展開されている」と評判のモトケンブログに、日頃投稿させて頂いている法律専門家の一員として、ryon様説については看過できない思いであることはthx-1138様と同様です。

別投稿でにryon様が理解を誤った根本の部分について、私なりの考えを披瀝しておきます。

実を申せば、この1週間余り続いた議論の初めの頃は、私も判決文の解釈論について自信を持ってズバリと言い切るだけの法令知識がありませんでした。その為私の初期の投稿は、今読み返すと大変分かりにくく、用語の使い方や定義についても不十分でした。しかし投稿を繰り返す中で自分なりに勉強し、また関係行政庁に問い合わせるなどして、社会保険労務士という社会保険制度の専門法律職である立場として、一応の水準に達したものと自負しておりますし、誤った認識での法令や判決の解釈については看過できない思いが強まりました。

なお、厚生労働省の言う「混合診療」とはどのような概念なのか、或いは厚生労働省の「混合診療の禁止」とはどこまでを言うのかについての私のコメントは、厚生労働省保険局医療課(代表TEL:03-5253-1111)に事前に問い合わせし、私の解釈が間違っていないことを確認した上で投稿しております。できますれば、ryon様も同様のご確認をなさって頂ければ、と思う次第です。

前投稿の続きです。

今回の清郷氏判決において、ryon様がその判決文の解釈について誤った端緒、すなわちthx-1138様のNo.237投稿で仰る「クリティカルなポイント」は、健保法第63条での「療養」という言葉の解釈です。この条文に限らず、全ての健保関連の法令、また厚生労働省保険局の文書では、「療養」と「診療・医療・治療」とは異なる意味の言葉として区別して使われています。

健保法第63条の規定で保険給付された「診療・医療・治療」が「療養」であり、厚労省の文書等で「療養」という言葉が出てきたら、それは健保での保険給付された「診療・医療・治療」を意味します。逆に単に「診療・医療・治療」という表現を使うときは、健保法の規定と離れて、一般的な医学や医療世界の用語としての「診療・医療・治療」として使われます。

ですから、判決文にある「療養の給付」の表現にある「療養」とは、健保法令上の用語としての使われ方であり、まさしく「保険給付された診療・医療・治療」の意味となります。よって、同じく判決文にある『法63条1項に定める「療養の給付」に該当する診療(保険診療)』という文章は、「健康保険の給付を受ける診療」と読み解かなければなりません。

もし判決文で「法63条第1項」という文言に代えて、この部分が『「診療行為、医薬品、特定保険医療材料に関する各種告示・通知」に該当する診療』となっていた場合にのみ、ryon様の解釈が成りたちます。しかし判決文は『法63条第1項に定める…』となっており、ryon様ようなの解釈はできず、その誤った解釈に立脚した論理構成は是認できません。

ご承知の通り健保での「療養の給付」は現物給付ですが、実際には患者は自己負担の金額を病院窓口で支払い、病院にはレセプト請求に応じて診療報酬として金銭で支払われます。このことが法的概念を理解する上で、「現物給付」を分かりにくくしているのであろうと思っております。こうした「療養の給付」は現物給付である、という指摘は私だけでなく元ライダー様などもされておりますが、健保法の法律概念を勉強する上で一番苦労するポイントで、私も社労士受験勉強の際は正確な理解ができるまでかなり労力を要しました。

thx-1138様は、最近まで健保関連の保険者の組織でお仕事をされていたそうなので、「診療報酬と窓口負担という金銭決済で実施する現物給付」というヤヤコシイ概念は、日々の実務の積み重ねから、いわば身体で覚えたことだと思います。ところがこれを本に印刷された活字を読むだけで理解しようとするのは困難な作業で、多くの人はトンチンカンな誤った理解となってしまい、その誤った知識を元に健保制度を論ずることに繋がって行きがちです。

この辺を私は先に205の投稿で次のように表現しました。

良く理解せずに「健保給付vs自費診療」というロジックを使うと、得てしてトンチンカンな議論となりがちです。表面的な捉え方をしがちなマスコミ、自分の所管分野しか目が向かない行政、現場の実務を知らない学者や評論家、さらには限られた自分の経験だけを基盤に議論を展開しがちな民間オピニオンリーダーなど、「混合診療」について誰がどのような立場で発言しているのか、その辺を充分に斟酌して議論を捨象していく必要がある…

ryon さま

以下にNo.238でのryon様のコメントを引用いたします。

「保険医は〜行ってはならない」「保険医は〜してはならない」
と書かれている以上、「通常の法令の字面を追う読み方」では、
No.219のような解釈は成り立ちません。
全額自費負担ならやってよいという例外規定も書かれていません。
そして、厚生労働省が全面禁止と言っている以上、
裁判所が見解を示さない限り、行政の裁量権の範囲として厚生労働省の解釈が有効です。

上記コメント中の「全額自費負担ならやってよいという例外規定も無い」ということに関して、先ほど厚生労働省保険局医療課(代表TEL:03-5253-1111)に電話して確認したところ、返答は「全額自費負担の診療については厚生労働省保険局は何ら規制しないし、全額自費負担なら健保法の上ではやって良い」との回答でした。ただし、「医師法、医療法、薬事法などの他の法令の規制はうける」とのことです。

以上、このエントリをROMしている皆様にもお知らせ致します。

 法務業の末席 様、私のNo.237のコメントに込めた思いをお汲み取り頂き本当にありがとうございました。

 私が、先のコメントで立場を弁えずに「看過できない誤り」という厳しい書き方を致しましたのは、一つには法務業の末席様と同じく、このブログの影響力を考えた為です。そしてもう一つには、ryon様の論理の組み立ては筋が一本通っていて、例えば私が厚生労働省の解釈・運用の実態を知らなければ普通に納得できるものだろうと考え、それが広まる事に危惧を覚えたからでした。

 厚生労働省の医療に対する考え方は従来から一貫して、基本としては医師の自由裁量による治療・投薬・価格設定によるものを据えています。勿論生命や倫理上の問題から医師法・医療法・薬事法等の制約を設けてはありますが、やはり医師の自由裁量が大原則です。そうした原則の上で、極端な事を言えばある意味例外として患者が保険治療を望む場合には健康保険法以下の法令に則った範囲の治療・投薬を行い、それらは公定の価格設定に従うよう定めています。このことから健康保険法以下の法令は、医療行為や価格設定という医師の自由裁量を一定程度制限する規制そのものとする立場の論者もいらっしゃるほどです。
 そうして、今回の裁判でも厚生労働省はこの原則に忠実に自らの立場(健康保険法等の解釈・運用)を法廷で述べ、それを受けて裁判官による判断が下されたのだろうと考えています。結果として、厚生労働省の述べた論法は採用されず、原告勝訴とはなりましたけれども。

 先日のコメントでも書きましたが、皆保険体制が永く続き空気のように存在する現在ではこのような厚生労働省の立場や認識は、一般的に広く通用している認識とはほとんど逆ではなかろうか?というのが私の思うところです。例えば海外療養費の場合に、法令に則り当該療養に対応する診療報酬の7割相当額(本来保険制度が負担する額であり、実際の現地での負担額の7割相当額とは必ずしも一致しない)が海外療養費となりますが、その辺りの認識のギャップが顕著に現れるのではないでしょうか。

厚労省の文書等で「療養」という言葉が出てきたら、それは健保での保険給付された「診療・医療・治療」を意味します。

これの真偽は判決文の解釈とは全く関係がありません。
何故なら、判決文に書かれているのは「〜に該当する診療」であって、
「〜に該当する療養」ではないからです。
「診療」の定義を論じるなら解釈を覆す余地があるでしょうが、
「療養」の定義を論じたところで解釈を覆す余地はありません。
そして、「該当」が何を指すのか、
保険給付の見地において該当することを意味するのか、
医学的見地において該当することを意味するのか、
それが「〜に該当する診療」の意味を左右するのであって、
「療養」の定義に給付が含まれるかどうかは、最終的な意味を左右しません。

詳細はこちらで解説しているので、かいつまんで説明すると、
「〜に該当する診療」が保険給付を受ける場合に限定していると、
・「混合診療が行われた場合には〜給付を受けられなくなる」が文章として成り立たない
・「に該当する診療」のような別の解釈の余地を産む表現の追加が不自然
よって、純粋に医学的に同等の診療を指しているのであって、
保険給付を受ける場合に限定していないと考えるのが妥当です。
そうでないなら、この判決文を書いた裁判官は法律家失格でしょう。
法律家として文章記述に必要な基本的知識が欠けていることになります。

よって、判決文第2「事案の概要」1「争いのない事実等」(3)と
第3「当裁判所の判断」2「争点2」(4)に書かれていることは次のとおり。

判決の混合診療の定義は、保険相当診療(保険給付の有無を問わない)と自由診療を併用すること。
厚生労働省の解釈は、昭和59年及び平成18年の法改正によって混合診療原則禁止が明確となった。
裁判所は、その厚生労働省の解釈に対して何ら見解を述べていない。

この解釈を認めないと思うのは自由です。
しかし、そのような主張には何ら法的効力はありません。

「正しい法律知識に基づいて議論をしており、その議論の内容については非常に信頼性が高い」
と言われているブログにおいて、「法令知識」がないにもかかわらず物を言っていたわけですか。
そのような方が後付けの伝聞を披露しても信用には値しません。
判決文のように公的機関が公開している物とは雲泥の差です。
そもそも、判決が認定した事実関係や「通常の法令の字面を追う読み方」について論じているのに、
厚生労働省で電話確認した云々は的が外れています。
仮に、現在、厚生労働省がどのような主張をしていたとしても、
省令の規定は厚生労働省が独断で変えること出来ます。
その解釈ともなれば、通達1枚で変更できるでしょう。
よって、判決が与える影響を論じるのに電話確認の持つ意味はほとんどありません。
「そんなこと言った憶えがない」「方針が変わりました」と言われればそれまでです。

No.230の「現物給付である、という健保法の概念のご理解が不十分」は失礼の極みです。
持論を述べるなら、何故そうなのか具体的に説明すれば済むことです。
そうした努力を怠って、相手の知識不足を捏造するのは感心しません。
既出の論点の中で相手の理解不足を疑う根拠があるならまだしも、
これまで論点になっていない事項を唐突に持ち出して、
根拠もなく知識がないと決め付けるとは失礼でしょう。

「医師の自由裁量」は医師法の問題です。
No.225,233にも述べたとおり、
健康保険法に基づいた保険医療機関の指定取消や保険医の登録取消は、
医師や医療機関の裁量権を侵害しません。
よって、健康保険法の解釈と「医師の自由裁量」は別問題です。
No.236の「保険医療機関であっても保険を使わないで診療する裁量」は
No.240で療担規則第18条と第19条で禁じていないから無関係と指摘しています。
以後、このことについての具体的反論はありません。

例えば、私がJ民党に入党したとします。
そして、K産党的な発言を繰り返したとします。
ある日、J民党からK産党的な発言を止めなければ離党しろと言われました。
これは、思想や言論の自由の侵害になるのでしょうか。
政治活動をするのにJ民党に入ることは必須ではありません。
K産党的な活動もJ民党に入る必要がありません。
K産党に入るも良し、新党立ち上げるも良し、無所属で活動するも良し、
いくらでも自由な政治活動を行う方法はあります。
よって、J民党からの離党勧告は思想や言論の自由の侵害になりません。

これと同じです。
J民党のやり方に従えないならJ民党を辞めれば良い。
健康保険のやり方に従えないなら保険医を辞めれば良い。
保険医を辞めても医師免許があれば医療行為は続けられます。
保険診療と医学的に全く同じ医療行為を行なうこともできます。
ただ、保険給付が受けられないだけです。
よって、指定取消や登録取消は、何ら、医療機関や医師の裁量を侵害しません。
医師法、歯科医師法、医療法とは次元の異なる問題です。

厚生労働省の述べた論法は採用されず

このような誤解が広まる事の方こそ危惧を覚えます。
「厚生労働省の述べた論法」のうち、混合診療原則禁止は
「次元の異なる問題」として審議しなかっただけです。
裁判所が否定したわけではありません。

thx-1138 さま
お互い思うところは同じです。

このモトケンブログに向けられている注目度と、ブログ内の投稿などで発進される情報の信頼度への期待の高さを考えると、多数の人々に誤解を植え付けかねないミスリード情報は無視できません。特にそのミスリード情報が、世間の人々にとっては日常まず関わることが無い、司法や法律論の非常に専門的なテーマならいざ知らず、健康保険制度という1億3千万人が日々利用しなければならない社会制度の、それも制度の根本の理解を誤ったと思われる主張には、与える影響の大きさを考えると社会保険労務士として座視できない思いがあります。

私自身も社会保険労務士と名乗ってはおりますが、このブログでは匿名の投稿者に過ぎません。法律的には間違った意見を投稿したとしても、私が現実世界で日々業務として行う社会保険や労務管理に関する法律的相談での回答と違い、社労士としての懲戒処分で資格を剥奪されたり、損害賠償請求を受けることはありません。ある意味、非常に気楽に投稿できる筈です。が、しかし、専門分野と全く関係がないテーマと違い、今回のように自己の専門分野での正確な法律解釈を投稿するとき、自分の回答の正確性に対して非常に緊張し、かつナーバスにチェックせざるを得ませんでした。

その為、大量の法令書籍を書棚から引っ張り出して読み返し、或いは新たに購入して読み、ググッてIT世界から情報を探し、霞ヶ関の厚労省に電話して教えてもらい…、資格者でありながら今回改めて勉強し直したことが沢山あります。結果として今回のryon様との遣り取りや、thx-1138様や他の皆様との意見交換は、自分の社労士としての能力を高めることになり、大変有意義な半月間と言えます。その点では私の方こそ皆様にお礼を申し上げなければなりません。

また、大正11年に健康保険制度ができてから80余年。健康保険が当たり前で、保険医療こそ日本の医療の全てと錯覚しつつある社会風潮について、No.245投稿にてthx-1138様よりご指摘がありました。この点についても深く同意しつつ、国民皆保険での錯覚や誤解について憂慮する意見も披瀝したいところですが、長くなりますので機会を改めて開陳させて頂くこととします。私の稚拙な投稿をお読み頂きありがとうございました。

ryon様へ

確かにryon様の展開される論理は、ある意味で筋が良く通っています。それ故、一読すると「あぁなるほど」と思ってしまいます。しかし、ryon様によって提示された結論は、thx-1138様がNo.245で述べられた通り、厚生労働省による健保制度運用の実態と違っております。同様のことは開業医であられる元ライダー様も指摘されています。

私が判決文から読み取ったことと、ryon様が読み取ることが違っている。ということは判決文の文言の定義や解釈に二人の間で違いがあるに違いない、それは何かと考えた結果が「療養」という言葉の定義であり、現物給付である「療養の給付」の概念理解の違いではないかと思た次第です。判決文に使われた用語解釈が違えば、導き出される解釈も違って来る。私はそのことを指摘した上で、「混合診療の禁止」とはどのようなことを言うのか、厚生労働省保険局に電話で確認して、このモトケンブログを読まれる皆様に情報としてお知らせしました。

ryon様がこの混合診療問題について造詣が深く、またこの問題の研究に注がれた熱意と努力は私ごときの比ではないでしょう。本当に頭が下がる思いです。そのような尊敬すべき研究熱心な方に、私の投稿が失礼と感じられたのであれば、私の稚拙な表現力の結果であり、お詫び申し上げねばなりません。

ただryon様から見れば、私の主張は全くの誤りであり、議論に堪えない論理かもしれませんが、法的知識の足りない者であろうと自分の考えを披瀝する機会は、お互いに尊重すべきであると思います。お互い相容れない主張である以上、どちらの主張により多くの納得が得られるかは、このエントリを読まれた方々が判断して頂くしかないと思っております。

今回の判決において、法務業の末席様がその判決文の解釈について誤った端緒、
すなわちNo.232,246投稿で挙げた「クリティカルなポイント」は、
判決文での「診療」という言葉の解釈です。
これは、健保関連法令の「療養」とは異なる意味の言葉として区別して使われています。

一般に,法63条1項に定める「療養の給付」に該当する診療(保険診 療)と,該当しない診療(自由診療)を併用することを混合診療というとこ ろ,

Aのことを言いたいならAと表現します。
「AのB」のことを言いたいなら「AのB」と表現します。
わざわざ「『AのB』に該当するC」と変な言い方をする必要はありません。
Aや「AのB」と関連はあるけれど、完全に同一ではない。
だから、「『AのB』に該当するC」と表現するのです。
つまり、Aや「AのB」に含まれる意味が、
「『AのB』に該当するC」にも含まれるとは限らないのです。

また、「療養」が保険給付を前提としているか否かにかかわらず、
「療養の給付」は「保険給付対象になり得る診療行為の保険給付」を意味します。
「給付」と明言しているのだから「療養」の意味に関わらず保険給付を意味するのは明らかです。

以上、二重の理由で、「療養」の言葉の意味に固執することは、
「〜に該当する診療」を解釈する上で、見当違いと言えます。

「該当しない診療(自由診療)」とも書かれているから、
「診療」という用語は保険給付を前提としていません。
問題は「〜に該当する診療」が保険給付を前提としているかです。
これは、「療養の給付」のどの部分を「該当」と言ってるかによります。
「保険給付対象になり得る診療行為」を指すのか、
それに対する「保険給付」を指すのかが解釈の分かれ目です。
「該当する診療」だから前者であると考えるのが自然です。
後者を指すなら「該当する給付」と書くでしょう。
いや、後者なら「療養の給付」のままで十分です。
また、これに続く文章もその解釈を裏付けています。

厚生労働省は,混合診療が行われた場合には,自由診療はもとより,本来「療養の給付」に該当する保険診療相当分についても,法に基づく給付を受けられなくなる旨解釈している。

「〜に該当する診療」が給付を受ける場合に限定されるなら、
既に給付を受けているのに「給付を受けられなくなる」では矛盾しています。
ここは、次のように表現するのが正しい。
「厚生労働省は,混合診療が禁止されている旨解釈している」
「厚生労働省は,混合診療が行われた場合には,既に受けた保険給付分を返還しなければならない旨解釈している」
後で返還しようとも保険給付を受けた時点で違法と考えれば前者の表現に、
保険給付を受けても後で返還すれば合法と考えれば後者の表現になります。
原告のサイトによれば、給付済み部分の返還方法について裁判長が質問しており、
裁判官がこうしたことに思い至らないことはあり得ません。
現物給付がどうこう言うなら、尚更、このような表現でないと辻褄が合わないはずです。
既に給付済みなのに「給付を受けられなくなる」では明らかにおかしい。

第3「当裁判所の判断」1「争点1」(1)にも次のような記述があります。

被告は,同条項本文にいう「療養の給付」は,「傷病の治療等を目的とし た一連の医療サービス」を指し,複数の医療行為がされた場合には,それ自体を不可分一体の1つの医療行為であると理解すべきであって,個別的には,保険診療に該当するものであっても,これに保険診療に該当しないものが加わって一体として「療養の給付」に該当しないことになれば,個別的には「療養の給付」に該当するものについても「療養の給付」は受けられないと解すべきであると主張する。

「療養の給付」に該当することと「療養の給付」を受けることが別だと、
はっきりと書かれています。

私が判決文から読み取ったことと、ryon様が読み取ることが違っている。ということは判決文の文言の定義や解釈に二人の間で違いがあるに違いない、それは何かと考えた結果が「療養」という言葉の定義であり、現物給付である「療養の給付」の概念理解の違いではないかと思た次第です。

これについては、No.251も含めて何度も説明しているとおり、
「療養」という言葉の定義が何であろうとも、「現物給付」の「概念理解の違い」があろうとも、
「判決文の文言の定義や解釈」に全く差は生じません。
判決文に「診療」と書いてある部分を法務業の末席様が「療養」と読み違えているだけです。

確かにryon様の展開される論理は、ある意味で筋が良く通っています。それ故、一読すると「あぁなるほど」と思ってしまいます。しかし、ryon様によって提示された結論は、thx-1138様がNo.245で述べられた通り、厚生労働省による健保制度運用の実態と違っております。

具体的に何が間違っているのかを指摘せずに、
あたかも何か間違いがあるかのように言ってるだけの言い回しのトリックですね。

何故、「社会に与える影響について大変憂慮」しなければならないのか。
何故、「それが広まる事に危惧を覚えた」のか。
それは、「ryon様の論理の組み立ては筋が一本通って」いるからでしょう。

それに対して、何故、「看過できない思い」等の主観を長文で書く必要があるのか。
何故、直接関係がない「療養」「現物給付」「医師の自由裁量」等を延々と説明する必要があるのか。
さらに、何故、事実を捏造してまで相手の知識不足を印象づけなければならないのか。
それは、反論の「論理の組み立て」が「筋」を「一本通」せないからでしょう。

もし、私が詭弁を弄しているとしても、論理的反論をすれば良いだけです。
法律の条文や判決文等の前提となる客観的事実を示し、
それに対して論理的に説明を組み立てれば良いだけです。
論理的反論ができないなら、「詭弁」のからくりを理解できてないということです。
「詭弁」のからくりを理解できてないなら、どうして詭弁だと分かるのか。
論理的な反論が出来ないのは、感情的に間違いだと決めつけているからでしょう。
感情的に受け入れられない主張に対して反発しているだけです。

これは、議論の適切な手続きを踏んでいるかどうかの問題であり、
どちらが正しいか以前の問題です。
不特定多数の面前で議論しているのですから、
本当に正しいことであるかどうかが問われているのではなく、
正しさを客観的に示せるかどうかが問われているのです。
そして、客観的に示せないのは、誰のせいでもなく、自己の能力の問題です。

真偽を判断するための材料を閲覧者に提供しないなら、
ただ、自己の信仰を語っているに過ぎません。
「我が神を信じますか?それとも、彼の神を信じますか?」
そう言ってるだけです。
そこには論理も何もありません。
そして、信者獲得のために、主観論、一件関係がありそうで関係ない話、
相手の足を引っ張る話等を長々と演説しなければならない。
そうした演説は「非常に信頼性が高い」と評価される
「法律の専門家が正しい法律知識に基づいて議論」とは全く無縁の存在です。

健康保険法七十二条第1項の解釈について検討します。

保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師は、厚生労働省令で定めるところにより、健康保険の診療又は調剤に当たらなければならない。

これは「健康保険の診療」の意味によって解釈が変わります。

(1)診療を最小単位まで分離した保険給付部分の診療
(2)個別の患者の個別の疾病について一部分でも保険給付した診療
(3)保険医療機関において保険医が行う診療全て

(1)の解釈だと療担規則第18条と第19条が全くの無意味になります。
何故なら、診療報酬が定められていない物は給付対象外なのだから。
療担規則第18条と第19条がなくても、保険診療では、
「厚生労働大臣の定めるもののほか」の「特殊な療法又は新しい療法等」を行うことは出来ないし、
「厚生労働大臣の定める医薬品以外の薬物」施用又は処方することは出来ません。
また、この解釈は厚生労働省の一体不可分等の論理とも整合しません。
よって、(1)の解釈は正しくないと考えられます。

(2)の解釈だと、全額自費にすれば法七十二条第1項の対象外となります。
(3)の解釈だと、療担規則第18条と第19条により、一切、自由診療は行えません。
いずれにせよ、今回の判決は、このような解釈については判断を回避し、
原告の保険給付の権利を認めました。
だから、判決が確定しても、保険医療機関において診療に従事する保険医に対して、
保険給付を伴う混合診療を禁ずることが出来ます。
しかし、患者の給付を受ける権利は確定するので、
法第八十七条第1項の「療養の給付を行うことが困難」なケースとして、
患者は療養費を請求することが出来ます。
(2)の解釈ならば、この場合、医療機関と医師は何ら法に触れないことになります。
これに対する厚生労働省の対応は、療養費扱いなら容認するのか、
(3)の解釈を持ち出すのか、あるいは、法改正かという話になります。
ただし、全額自費を容認するなら療養費扱いだけを禁止するのは、
厚生労働省の主張する合理的理由の整合性が成り立つのか再検証が必要です。

法務業の末席 様

 現時点で、天動説と地動説の対立を想起させられます。医療保険制度(つまり健康保険法及び関連法規)=医療政策と考える立場と、医療保険制度⊆医療政策と考える立場の違いによる判決文へのアプローチの違いと言う事なのかも知れないと、感覚的にはそう感じます。

 裁判においての厚生労働省の主張の意図について、厚生労働省保険局の見解を直接確認されたと言うことであれば、それが全てだろうと思うのです。裁判所も判決を書く過程において双方の主張は漏らさず耳を傾けたでしょう。被告とて裁判所が誤解していると思えば、誤解を解くべく裁判の過程で論述したと思う訳です。そして、訴状に書かれた争点とそれら原告・被告双方の言い分と法令を照らして今の判決が出ているのは申し上げる必要もない事でしょうし。

 保険局や年金局に直結する保険者組織の末端にある地方支分部局のその末席に籍を置いた事のある者として、今回の訴訟に至る過程において原告氏と被告との間にどのようなやりとりがあり、それを受けて原告がどのような論点を訴訟に持ち込んだのか、原告の訴えに対する被告の考え方もある程度の見当はつきます。さらにryon様説を関係機関等に照会ときの回答も想像がつきます。そしてそれらを無自覚のうちに暗黙の前提にして論じている部分が私にはあるのだろうと思います。

 法令と判決文だけに狭く焦点を当てて考えるのと、医療政策や歴史的経緯あるいは本件裁判に至る過程などの周辺の事情(所謂「いきさつ」というものです。)にも焦点をあてつつ判決文に向き合う事との違いでしょうか?法律家と実務家の違いなのでしょうか?

 無理を承知の上で申し上げれば、せめて原告氏の訴状の全文が判ればもう少し根拠ある説明の仕方も見つかるのかもしれません。結局のところ、『厚生労働省の医療保険政策の是非は別として、現行の法令からは厚生労働省の医療保険政策に合致する解釈は導き出せない』という、その一点(ここで医療保険政策≠医療政策である事が大事です)に行きつくのだろうと思うのですけれど。

thx-1138様

天動説と地動説の対立。うぅ〜む、そこまでの比喩が相当かどうかは別にして、多分これ以上議論しても隔たりは埋まらないという思いは同じです。

厚生労働省には全部で11の局があって、医療行政全般を所管する医政局が、局長としての席次が1番の筆頭部局であり、健保制度を所管する保険局は、局長の席次は下から2番目の10番目です。相撲の番付に例えれば、事務次官・審議官・大臣官房が三役とすれば、医政局長は前頭筆頭、保険局長は平幕の10枚目となりますか。健保制度は日本の医療行政全体の一部に過ぎない事実を、如実に現している厚労省の組織体制と序列と言えましょう。

No.254のコメントで、thx-1138様が昨年春までどのような職場に居られたのか、私には理解できました。仕事で日常的に社会保険に関わってこられたご経験から、厚労省の行政手法が法令よりも通達や告示に依存し、組織末端の職場では事務取扱規則などの部内規定がハバを利かせ、職員の意識はときとして部内規定は法令よりも大事、というような実態もご存じでしょう。

私は今回の「法令根拠が無い」とされた清郷氏訴訟の判決は、単に健康保険制度の法的不備を指摘したに留まらず、まさにこうした厚労省の行政手法が司法に否定された事例だと思っています。この先上級審での司法判断がどうなるのか、また明確な法的根拠を与える為の法改正が行われるのか、一人のがん患者である清郷氏が、弁護士も頼まずに提起した訴訟の行方を注視していきたいと思います。

清郷氏の訴状の全文は、清郷氏のHPで公開されております。ただし、法律の素人である清郷氏が一人で書いた訴状なので、当初の請求は憲法違反を問う内容であり、「混合診療禁止違憲裁判」のつもりだったと清郷氏本人も述懐しています。しかし、H19年3月20日の第1回公判において、裁判長から口頭で「請求は保険の利かないLAK療法と保険治療の併用を求めるということですね」と請求内容の確認(変更の確認?)が行われ、「健保給付の権利確認訴訟」になったという経緯があります。こうした法廷での遣り取りは全て先のHPに書かれていますので、是非最初のページから全てお読みになって下さい。

こんにちは。

今更、聞くのが恐ろしいのですが厚生省の言う混合診療の禁止が、
「混合診療そのもの」(保険給付有無関係なし)の禁止なのか、「いわゆる混合診療」(保険診療該当部分の保険給付を受ける)の禁止なのか裁判官がどう解釈してるかによって、この裁判の判決で大きく変わることは何になりますか?

あの、、確認ですが、判決は、清郷さんに「いわゆる混合診療」を受ける権利を認めたんですよね。
ひょっとして、「混合診療そのもの」を受ける権利を認められただけってことないですよね。。


保険医が、「混合診療そのもの」を保険給付無し(つまり自由診療)でやってばかりいると、保険医の資格を取り上げられるので、自由に自由診療を保険医に求めることはできないと、聞いたこともあります。
なので、厚生省としては、保険医による「混合診療そのもの」を禁止してるつもりだけど、けっこう、大目に見てやってるって感じなのかなと思ってます。

でも、それが、この判決にどう関係してるのかなあと思い、聞いてしまいました。
すいません。

法務業の末席 様

 第1段落についてですが、私の文筆力では上手い例えが紡げなくて、申し訳ないです。法務業の末席様のお感じになられた部分が、私が感じる部分です。

 第2段落についてですが、仰る事は十分に判ります。旧内務省においても保険局自体外局だったり、医政局相当の内局の一つの課だったり、保険制度自体の所管が内務省の警察担当部局だったりした事もある位ですから。

 第3段落については、最初から明確にしなかった事についてひたすらお詫び申し上げるほかありません。昨今の世情の下、こちらで公にする勇気はなかったのです。ただ、今回の進展を見て、やはりある程度は示さずには居られない状態と感じたものですから。

 第4段落については、全面的に同意します。このエントリの最初の頃の私のコメントNo.9の最後で、執行体制に批判的な事を書いているつもりです。勅令や内務省令や当時の執行体制の残り香を残し、旧地方自治法附則8条の下で最大級に「官吏」という体質を引きずった組織体だったのではないかと思います。せめて法律が全面改正されれば少しは違うのかも知れません。最近はこれでも改善された部分もありますけれど。
 このような事を申しますのは、実は私は当該の組織に情報処理産業の末端の末席から転職して所属した者だからです。それゆえ当該組織への違和感は強く、折に触れて私なりに苦言・具申を述べてきましたが、まぁ何と申しますか浮いてました。

 最後の部分、勉強不足で申し訳ありません。早速出張して参ります。実は、原告氏の書籍を探していたのですが、近隣の書店では悉く在庫切れだったりして先日やっと再入荷したものを購入して読み始めたところです。

No.256 一般人です様

お尋ねの疑問に答える前に、言葉の定義をします。

「保険給付に相当する医療」
 =レセプト点数表・薬価表に記載されている医療
 =この医療単独でならば保険給付が受けられる医療
 (実際に保険給付されたかどうかは問わない)

「保険給付されない医療」
 =レセプト点数表・薬価表に記載されていない医療
 =もともと保険給付が受けられない医療

裁判所の判決文が一般人です様の仰る前者の『「混合診療そのもの」(保険給付有無関係なし)の禁止』であった場合、現状の厚生労働省の医療行政では、「全額自費負担」であっても「保険給付に相当する医療」と「保険給付されない医療」を組み合わせて医療を受けることを禁止している、と裁判所が認定したことを示します。この場合は保険給付の請求するしない以前に、「保険給付されない医療」を組み合わせると、現時点ではその医療を行った病院は保険医療機関の指定取消などのペナルティを受ける、ということに繋がります。

後者の『「いわゆる混合診療」(保険診療該当部分の保険給付を受ける)の禁止』であった場合、「全額自費負担」であれば「保険給付に相当する医療」と「保険給付されない医療」を組み合わせて医療を受けることは禁止していないが、組み合わせたときに「保険給付に相当する医療」について「保険給付すること」を禁止している、と裁判所が認定したことになります。こちらの場合は、「全額自費負担」であれば「保険給付されない医療」を組み合わせても、その医療を行った病院は保険医療機関の指定取消などのペナルティを受けない、ということに繋がります。

なお私の解釈は後者であり、12月7日午前10時に厚生労働省保険局(健康保険の所管部局)に 直接電話で問い合わせ、「全額自費負担」であれば「保険給付されない医療」を組み合わせることは自由であり、健保制度の上からは医療機関の指定取消などの一切の規制を行っていない、という回答を受けております。

No.257 thx-1138 さま

>昨今の世情の下、こちらで公にする勇気はなかった

微妙なお立場は重々理解できますので、お詫びなど無用です。また、これ以上個人的なことをお書きになると、個人名が特定される可能性が生じますので、ほどほどになさって下さい。

清郷氏の著作は、訴訟の第1回公判の前年であるH18年6月に出版されたもので、内容的には「混合診療禁止は憲法違反」という主張になっており、憲法違反を問うた同年3月24日付の訴状に至る経緯が書かれています。この本を出版して9ヵ月後のH19年3月に第1回公判が開かれ、その時点で先に紹介した訴状に記された訴訟目的の変更確認が裁判長よりなされました。

こうした背景を考慮してお読みになると宜しいかと思います。また、お読みになれた上で気付かれたことや、混合診療に限らず厚労省の社会保険行政について情報は、何なりとご提供頂ければと思う次第です。

No.259 法務業の末席 様

 何かとご助言、ありがとうございます。書籍について一審判決後である今、裁判前の過程を(途中までとは言え)拝読すると、確かに若干の軌道の修正?があったのだろうと思わされます。御助言を頂いてみると、腑に落ちるところが多くあります。

法務業の末席さん、ご回答ありがとうございます。

言葉でひっかかるところだけまず。
NO256 の私の「いわゆる混合診療」は全額自己負担にするとそれは「いわゆる混合診療」ではなくなります。
「混合診療そのもの」を全額自己負担でしたことになります。

それはいいとして、つまりも一度ききますと、
「保険医」が自由診療をすることを厚労省が禁止しているかどうかの裁判官の認識が、判決で、「いわゆる混合診療」を清郷さんに認めたことと、どう関係してくるのでしょうか。

ここ一連のお話は、医療機関が、ペナルティをうけるのかどうかのことだけの、お話で、判決とは関係ないお話でしたか?

医療機関がペナルティを受ける立場でも、そうでなくても、「いわゆる混合診療」を認めちゃってるんだから、どうしようもないんじゃないかって気がしてきました。

わかりにくくてすいません。

No.261 一般人です様

あなたの仰る「いわゆる混合診療」と「混合診療そのもの」を、明確に区分して定義して下さい。私にあなたがどのような基準でこの2つの用語を使い分けておられるのか、正直のところ理解できません。

(1)私は「混合診療」という用語を次のように定義して使っております。
「保険給付に相当する医療」と「保険給付されない医療」を同一の医療機関で行い、その時に「保険給付に相当する医療」について保険給付を請求すること

(2)次の場合は「混合診療」ではなく、単なる「全額自費負担」の医療と表現しております。
「保険給付に相当する医療」と「保険給付されない医療」を同一の医療機関で行い、その時に「保険給付に相当する医療」について保険給付を請求しないこと

(1)と(2)の違いは、保険給付請求をするかしないかだけです。この定義は厚生労働省保険局の公式の解釈であることを確認しております。加えて(2)の場合は、厚生労働省は医師法・医療法・薬事法などに抵触する医療(例えば無資格のニセ医者、無認可医薬品の使用など)でない限り、健康保険法での規制(保険医療機関の指定剥奪など)は行っていないことを明言しております。

また、清郷氏訴訟において裁判所はこの定義に基づいて司法判断を下しておりますし、現に全額自費負担であれば健康保険法上の規制が行われていないので、保険医療機関の指定剥奪などについては司法判断の必要がありませんので、判決文では一切言及しておりません。

ただし、健康保険法と判決文を誤った解釈をして、例え全額自費診療であろうと保険給付されない医療を行った医療機関は、健康保険法の下位規定である「療担規則」に違反し、保険医療機関の指定が厚生労働省によって取り消される、と主張される方がおられます。しかし全額自費負担であれば、こうした指定取消などの規制は一切行っていないことを、厚生労働省に直接問い合わせて確認しております。

昨今のマスコミ報道や、医療問題の専門家であるはずの学者や評論家などでも、こうした「混合診療」「保険給付に相当する医療」「保険給付されない医療」「全額自費負担の医療」の定義や区分が不明確のまま書かれた記事や意見・主張が多く見受けられます。そうした「混合診療」の定義づけの混乱による報道記事や意見主張の内容の不明確さが、あらたな論理の混乱を生じさせ、巷間の「混合診療」に対する誤った理解を生み出していると考えております。

ただし、厚生労働省や清郷氏訴訟の判決では、首尾一貫して上記(1)(2)の区分によって「混合診療」を定義しており、日本医師会の「混合診療」に対する公式見解もこの定義区分によりなされています。「混合診療」問題については、マスコミ報道の記事や、自称医療問題専門家の認識・理解が混乱しているだけであることを理解して下さい。

よって、一般人です様の仰る「いわゆる混合診療」や「混合診療そのもの」が、上記(1)(2)の区分のいずれかに該当するのか明らかにして貰えれば、導き出される結論は疑問の余地なく自ずと明かになります。

No.261での次の部分

「保険医」が自由診療をすることを厚労省が禁止しているかどうかの裁判官の認識が、判決で、「いわゆる混合診療」を清郷さんに認めたことと、どう関係してくるのでしょうか。

これについての回答は以下の通りです。

「保険医」が自由診療をすることを厚労省が禁止しているという事実は無く、裁判の場で被告の厚生労働省もそうした主張をしていませんので、裁判官がそうした認識を持っておりません。
「保険給付に相当する医療」であるインターフェロン療法と、「保険給付されない医療」である活性自己リンパ球療法を同時に受けた原告の清郷氏には、インターフェロン療法の部分については健康保険の「療養の給付」を受ける権利があることを確認する、という判決となりました。
裁判官は「権利があることを確認する」以外には、健康保険の保険医療機関に対するペナルティなどについては、判決では一切触れておりません。
保険医療機関に対するペナルティとの関連を主張される方がおられましたが、健保制度の誤解に基づく主張であり、厚生労働省も否定しております。

一般人です 様

かなり長文になってしまいましたが、こんな風にお考えになってみては如何でしょう?しかしながら、以下の文章は私の一般論としての個人的な考え方である事を御理解ください。

 一般人です様が、何かの都合で病院に行かれたとき、受付で健康保険証を提出された御経験がおありになると思います。普段当たり前に行われる事なのですが法律上は一般人です様が病院に対して、「私の今の症状を治療する際には健康保険を使って(=保険診療として)治療してください。」と要求しているのと同じような意味なのです。
 ところで国としては、お医者様に対して、「患者が健康保険を使っての診療を希望したときには、この範囲の治療で、この範囲の薬を使って、そしてその治療や薬代はこの金額を患者さんに請求しなさいよ」と言うような決まりごとをあらかじめ知らせてあります。
 そうしたらお医者様は、窓口で健康保険証を提出された(つまり健康保険を使って治療してほしいと望まれた)一般人です様に対して、国が設定した範囲で治療したり薬を出さないといけません。その時に一般人です様の症状が、それで回復して元気になられたら良いのです。ところが、国が設定した範囲の治療をしたり薬を使うだけでは回復しないような症状だったとしてください。そして、国が設定した範囲の治療や薬と一緒に国が設定した範囲を外れた治療をしたり薬を使えば回復するのだと判ったとしてください。
 そこで、一般人です様が、そのような治療をお医者様に依頼されたとしてください。その時、お医者様は一般人です様に対してこのようなお話をされます。「一般人です様は健康保険証を窓口に出しておられるけれど、今説明したような範囲内の治療と範囲外の治療を併せてした場合、保険の範囲外の分は全額自分で負担して貰うのは当然として、保険の範囲内の分についても本来なら3割分の負担で済むところを全額自分で負担して貰わなければいけません。」
 ここまでの流れが現在国の言っている「混合診療の禁止」です。つまり、保険の範囲内と範囲外の治療を併せて受けたときは、保険の範囲外の分の他に保険の範囲内の分も全部自分で払って貰います。保険の範囲内の分は3割の負担で、保険の範囲外の分だけは全額負担して貰いますと言うような、(患者にとってありがたい)料金の支払い方は認めません。という決まり事です。

 それに対して今回の裁判では、「そんなのはおかしい。保険の範囲内の治療と範囲外の治療を併せてお医者様にして貰ったら、保険の範囲外の分は全部自分で払うのは当然として、保険の範囲内の分は3割負担で済むのが当然の考え方だろう」と思って、国に対して裁判の場で争った患者さんがおられました。そんな患者さんの考えの方が、国の考えより法律的には正しいという判断を裁判所がしたものです。もっとも国は「そんな裁判所の判断はおかしい」と裁判を続けて居ます。

 話は変わって、保険の範囲内と範囲外の治療や薬を併せて使わないと回復しない状態の一般人です様が、最初の受付の段階で病院の窓口で健康保険証を提出することなく、このように仰ったとしてください。「自分の症状が良くなるのだったらどんなにお金がかかってもいい。健康保険を使うつもりもないから、最高の治療をして欲しい。」というような趣旨の事です。
 そうしたらお医者様は、国の決めた治療の範囲とか使う薬の範囲とか治療費とか、そのような決まりは一切頭の外において、一般人です様に対して必要と思われる可能な範囲で最高の治療をしてくださるでしょう。その代わり請求書の金額は、一般的に窓口で支払う額よりは、高額なものになるでしょう。でもこの場合は、保険の範囲内と範囲外の治療や薬を併せて使っって貰ったとしても、そもそも「混合診療」とは言いませんし、お医者様も国から何か言われる事もなければお叱りを受けうける事もありません。もっとも、お医者様が何か犯罪に当たるような事を治療ですと偽ってなさった場合は当然ながら別ですけれど。

No.262法務業の末席さん、No.263 thx-1138さん、
ご回答ありがとうございます。
専門の方のお時間をさかせてしまい申し訳ない思いで、いっぱいです。

一応、言葉の定義、も一度かいてみます。

『いわゆる混合診療』とは、同一疾患の一連の医療行為のうち「保険給付に相当する医療」と「保険給付されない医療」を、併用しておこない、「保険給付に相当する医療」の部分の保険給付をうけることです。

『混合診療そのもの』とは、同一疾患の一連の医療行為のうち「保険給付に相当する医療」と「保険給付されない医療」を、併用しておこなうこと、そのものです。
ですから、『いわゆる混合診療』も、このなかにはいりますし、保険給付を受けず、全額自己負担の自由診療でしても併用することそのもののことです。

ですから、No.262法務業の末席さんの(1)が「いわゆる混合診療」にあたり、(1)も(2)も「混合診療そのもの」をしていることになります。

微妙にちがいますが、それはそれとして、ここからががうまく伝わらなく、申し訳ないのですが、結局どちらにしても、「いわゆる混合診療」を認めてしまったので、その一連の違いがどう、今後もふくめ影響があるのかなあと思ったわけです。

No.262法務業の末席さん、No.263 thx-1138さん、
ご回答ありがとうございます。
専門の方のお時間をさかせてしまい申し訳ない思いで、いっぱいです。

一応、言葉の定義、も一度かいてみます。

『いわゆる混合診療』とは、同一疾患の一連の医療行為のうち「保険給付に相当する医療」と「保険給付されない医療」を、併用しておこない、「保険給付に相当する医療」の部分の保険給付をうけることです。

『混合診療そのもの』とは、同一疾患の一連の医療行為のうち「保険給付に相当する医療」と「保険給付されない医療」を、併用しておこなうこと、そのものです。
ですから、『いわゆる混合診療』も、このなかにはいりますし、保険給付を受けず、全額自己負担の自由診療でしても併用することそのもののことです。

ですから、No.262法務業の末席さんの(1)が「いわゆる混合診療」にあたり、(1)も(2)も「混合診療そのもの」をしていることになります。

微妙にちがいますが、それはそれとして、ここからががうまく伝わらなく、申し訳ないのですが、結局どちらにしても、「いわゆる混合診療」を認めてしまったので、その一連の違いがどう、今後もふくめ影響があるのかなあと思ったわけです。

No.264 一般人です様

確かに私は社会保険労務士という社会保険制度の専門家ですが、このブログへの投稿は単なる個人的な趣味ですので、時間を割かせて…云々と、一般人です様が申し訳なく思われる必要はありません。本当に仕事で時間が取れないときや、法律資格者としての職業倫理に抵触する場合は、勝手にスルーしておりますので、気にしないで下さい。

さて、今回の清郷氏訴訟や混合診療問題について、幾つかご理解不足があるように思えます。以下に私が感じたままに指摘させて頂きます。


指摘その1:
以下にNo.264から引用します。

No.262法務業の末席さんの(1)が「いわゆる混合診療」にあたり、(1)も(2)も「混合診療そのもの」をしていることになります。

ここを読ませて頂くと、一般人です様の理解の混乱がうかがえます。
私がNo.262で定義した(2)は私が決めた定義区分ではなく、厚生労働省の定義です。ですので裁判所も(2)は混合診療ではないとしており、今回の清郷氏訴訟判決での影響は一切ありません。(2)の医療行為を混合診療の一部の如く論じるのは、社会保険制度をよく勉強していない一部マスコミの「誤認記事」であり、一般人です様のご質問にもそうした誤認の影響があるように思います。


指摘その2:
何度も申し上げている通り、厚生労働省が健康保険で規制を掛けているのは、私がNo.262で定義した(1)だけであり、(2)の全額自費での併用医療は一切規制されておらず、(2)の医療行為をしただけでは保険医がペナルティを受けることはありません。(2)の医療行為をした上で保険医や保険医療機関が保険給付請求(レセプト請求)した場合、保険適用が拒否されて請求が返戻しされます。それが厚生労働省の「混合診療禁止」政策です。これ以外の健康保険法上の規制は行われておりません。

ただし、保険請求が厚労省のチェックに引っかからないように、保険外の医療を併用していることを隠して請求したり、保険適用の範囲内となるよう病名や医療内容などを偽ったりしてレセプト請求する事例も現実にはあります。これらは健康保険法での「不正請求」行為であり、不正請求は保険医や保険医療機関の指定取消の対象になります。こうした「不正請求」での処分を受ける保険医や保険医療機関の数は、年間に数十〜百のオーダーで存在するのは事実ですが、保険請求せずに全額自費で処理すれば一切お咎めはありません。


指摘その3:
以下に清郷氏訴訟の判決主文をそのまま引用します。

1 原告が、活性化自己リンパ球移入療法と併用して行われる、本来、健康保険法による保険診療の対象となるインターフェロン療法について、健康保険法に基づく療養の給付を受けることができる権利を有することを確認する。
2 訴訟費用は、被告の負担とする。

1審の裁判所が判決した内容はこれだけです。決して混合診療禁止は違法だとか、混合診療を法的に認めるとかは言っておりません。あくまでも清郷氏の受けた、「活性化自己リンパ球移入療法」と「インターフェロン療法」の組合せに限定して判示しているだけです。しかも「給付を受けることができる権利を有する」としただけであり、この判決により清郷氏に給付されるはずだった○○円を支払う、と言う内容でもありません。この判決文が確定判決だとしても、清郷氏はこの判決文を根拠に社会保険庁(厚労省の一部門)に対して、病院窓口で全額支払った医療費の内、保険給付できるとされた「インターフェロン療法」の自己負担分(原則3割自己負担)を除いた金額を、健保法第87条の「療養費」として支払うよう請求する手続が必要です。

厳密な法律解釈からすれば、今回の清郷氏訴訟の判決では、清郷氏の受けた併用医療の組合せだけに限定して司法判断が下されたのであり、その判決主文を導き出す為に裁判所が法律的な理由付けを解説した判決理由の文章中に、「厚労省の混合診療禁止政策は法的根拠が無い」と指摘しているだけです。なおこの判決理由での混合診療という定義はNo.262での(1)だけを言います。

ですから、今回の清郷氏判決により「混合診療は全面的に解禁だ」と言うのは、一種の「早とちり」と言えます。判決を非常に厳密に解釈すると、この判決を根拠に社会保険事務所の窓口などで、清郷氏以外の人が健康保険の給付を請求しても受け入れてもらえません。厚労省に力ずくで保険適用を認めさえたければ、「清郷氏判決は自分の受けた併用医療にも援用できるはずだ」という主張で、別に訴訟を起こして勝たなければなりません。


指摘その4:
では今回の判決がなぜ「混合診療解禁」に繋がると騒がれるのか。それは負けた厚労省が2審の高裁に控訴したり最高裁まで上告して争ったときに、1審の判決が覆らずにそのまま確定する可能性があるからです。今後の高裁・最高裁の判断も1審と同じく「厚労省の混合診療禁止政策は法的根拠が無い」という判決理由で清郷氏に健康保険法上の給付が受けられるという判決が下された場合、そのときには清郷氏以外の人が「自分の併用医療にも保険給付を適用してくれ」と請求してくることを、厚生労働省は拒否できなくなり、「混合診療解禁」に繋がっていきます。


指摘その5:
前記指摘その4での「判決が確定」するまでには、少なくとも控訴した高裁が審理する間の日月が必要です。その確定するまでの期間中に、厚生労働省が健康保険法を改正して「混合診療禁止の法的根拠」となる条文を追加した場合、「混合診療禁止の法的根拠」が出来上がってしまいます。その場合には改正法が施行される日より前から裁判で争っている人(例えば清郷氏)を除き(※)、「自分の併用医療にも保険給付を適用してくれ」と請求できる法的根拠を失います。
(※:時効の法律的な難しいことは端折っています)

すなわち判決確定前に健保法に根拠となる法律改正が行なわれると、「混合診療解禁」は実現せず、清郷氏を除いて今まで同じ禁止政策を厚生労働省は続けることができます。早速日本医師会がこの健保法の改正を早急に行うべきだと声明を出し、厚生労働省や医師会系の国会議員などに陳情しています。


以上、大変長い投稿となりましたが、今回の清郷氏判決の影響について「正確に」かつ「解りやすく」解説しようとすると、私の表現力ではこれが限界です。

No.266法務業の末席さん、なんどもありがとうございます。

No.266で
 <裁判官は「権利があることを確認する」以外には、健康保険の保険医療機関に対するペナルティなどについては、判決では一切触れておりません。>
とおっしゃられているとおり、この裁判は、「いわゆる混合診療」についてのものであり、結局、厚労省が、保険医の併用診療自体を、どう扱っているかは、関係ないということでよろしいのですね(事実関係は無視してください)。

すごく、深くお話しされてるのをみて、そのことが、No.266のご指摘その5あたりにからんで、もしかしたら重要なことにつながっているのかなと想像してしまったわけでした。


ただ、もし、法改正に至り、No.262の(1)「いわゆる混合診療」の禁止が明文化される場合と、No.262の(1)いわゆる混合診療はもちろん、(2)保険医による併用診療での全額自己負担でも禁止が明文化される場合とでは、今まで実態としてあったあらゆる抜け道の遮断の度合が、変わってきます。


どちらにせよ、この裁判で、清郷さんの思いとは逆に、より混合診療の規制がきびしくなってしまうんでしょうね。
あとは本当に必要な例外の幅を、新たに広げることに、力を注ぐことが必要になるんだろうなと思います。(誰がってことになりますが)

お相手してくださりありがとうございました。


具体的に反論せずに、間違った解釈を流布するのはどうかと思います。

判決は、清郷さんに「いわゆる混合診療」を受ける権利を認めたんですよね。

裁判所が判決文を公開しています。
他人の伝聞に頼るのではなく、是非、そちらを読んでください。
詳細な解説も併せてご覧ください。
判決では、混合診療を受ける権利の有無は言及されていません。
混合診療を受けた場合の保険給付を受ける権利が認められただけです。
厚労省が保険医療機関や保険医に禁止することは判決対象外です。
よって、厚労省が規制を強化すれば、原告にとっての実質敗訴となります。

私はそのことを指摘した上で、「混合診療の禁止」とはどのようなことを言うのか、厚生労働省保険局に電話で確認して、このモトケンブログを読まれる皆様に情報としてお知らせしました。

No.244によれば、「保険局」ではなくて「保険局医療課」ですね。
仮に、医療課が保険局の意向を正確に理解していたとしても、
それを聞いた法務業の末席様が、それを正しく理解した保証はありません。
本当の医療課の意向は、詳細な会話の内容を検証しなければ分からないのであって、
その会話から受けた自分の解釈を伝えるだけでは、「厚生労働省保険局の見解」ではありません。
そのことは、判決文と報道内容やこのエントリーの記述を比較しても明らかです。
判決文とは明らかに違う内容が、判決内容として語られているのですから。
少なくとも、同じ伝聞なら、匿名の自称法律家よりは実在の裁判官の言ってる方が信用できます。

私は今回の「法令根拠が無い」とされた清郷氏訴訟の判決は、

「法令根拠が無い」とされたのは保険給付をしないことだけです。
混合診療禁止政策には「法令根拠が無い」とされていません。

当初の請求は憲法違反を問う内容であり、「混合診療禁止違憲裁判」のつもりだったと清郷氏本人も述懐しています。しかし、H19年3月20日の第1回公判において、裁判長から口頭で「請求は保険の利かないLAK療法と保険治療の併用を求めるということですね」と請求内容の確認(変更の確認?)が行われ、「健保給付の権利確認訴訟」になったという経緯があります。

はい、「健保給付の権利確認訴訟」だから、保険給付をすべきかどうかだけが問われたのです。

判決は、清郷さんに「いわゆる混合診療」を受ける権利を認めたんですよね。

裁判所が判決文を公開しています。
他人の伝聞に頼るのではなく、是非、そちらを読んでください。
詳細な解説も併せてご覧ください。
判決では、混合診療を受ける権利の有無は言及されていません。
混合診療を受けた場合の保険給付を受ける権利が認められただけです。
厚労省が保険医療機関や保険医に禁止することは判決対象外です。
よって、厚労省が規制を強化すれば、原告にとっての実質敗訴となります。

清郷氏訴訟において裁判所はこの定義に基づいて司法判断を下しております

これは判決文の「〜に該当する診療」を「〜に該当する療養」と読み違えた解釈です。
そのことはNo.251,252で指摘済みです。未だ、反論はありません。

厳密な法律解釈からすれば、今回の○○氏訴訟の判決では、○○氏の受けた併用医療の組合せだけに限定して司法判断が下されたのであり、

いいえ、違います。単に地裁の判決だから判例として確立していないだけです。
最高裁判断が下されれば、あらゆる混合診療に適用される判例となります。
判決文の争点1において、被保険者には保険給付を受ける権利が法で補償されていること
混合診療の保険診療部分の給付を拒否する法的な根拠がないことが指摘されています。
保険診療は個別計算なのに混合診療だけ「不可分一体」とするのは論理の整合性がありません。
判決文の争点2では、その矛盾を突いています。
さらに、争点2では、混合診療禁止政策と保険受給権が別次元の問題としています。
これら、全て、あらゆる混合診療に当てはまることであり、
「併用医療の組合せだけに限定」したとは言えません。
司法判断ですから、裁判の当事者以外には直接的な法的拘束力はありませんが、
今後の裁判は判例を元に判断を下すことになるでしょうし、
政府機関として裁判で負けることが確実な政策を強行することも出来ないでしょうから、
実質的に法的拘束力を持つのと同等の効力があると考えられます。

そして、この判決の論理はほぼ完璧であり、これを覆すのは難しい。
覆すには、保険給付が混合診療禁止政策を妨げる具体的な根拠を示す必要があります。
説明にはゲーム理論等を持ち出す必要があり、それを裁判官が理解できるかどうか疑問です。

私はそのことを指摘した上で、「混合診療の禁止」とはどのようなことを言うのか、厚生労働省保険局に電話で確認して、このモトケンブログを読まれる皆様に情報としてお知らせしました。

No.244によれば、「保険局」ではなくて「保険局医療課」ですね。
仮に、医療課が保険局の意向を正確に理解していたとしても、
それを聞いた法務業の末席様が、それを正しく理解した保証はありません。
本当の医療課の意向は、詳細な会話の内容を検証しなければ分からないのであって、
その会話から受けた自分の解釈を伝えるだけでは、「厚生労働省保険局の見解」ではありません。
そのことは、判決文と報道内容やこのエントリーの記述を比較しても明らかです。
判決文とは明らかに違う内容が、判決内容として語られているのですから。
少なくとも、同じ伝聞なら、匿名の自称法律家よりは実在の裁判官の言ってる方が信用できます。

私は今回の「法令根拠が無い」とされた清郷氏訴訟の判決は、

「法令根拠が無い」とされたのは保険給付をしないことだけです。
混合診療禁止政策には「法令根拠が無い」とされていません。

当初の請求は憲法違反を問う内容であり、「混合診療禁止違憲裁判」のつもりだったと清郷氏本人も述懐しています。しかし、H19年3月20日の第1回公判において、裁判長から口頭で「請求は保険の利かないLAK療法と保険治療の併用を求めるということですね」と請求内容の確認(変更の確認?)が行われ、「健保給付の権利確認訴訟」になったという経緯があります。

はい、「健保給付の権利確認訴訟」だから、保険給付をすべきかどうかだけが争われたのです。

二重投稿の言い訳です。
No.268はエラーが出たので登録されていないと思い、
再度、体裁を改めて投稿し直したのがNo.269,270です。
よって、No.268はなかった物と無視していただきたい。

ついでに補足。
もし、今回の裁判が最終的に原告の敗訴に終わったとしても、
別の患者が別の論理を持ち出して勝訴を勝ち取ることは十分にあり得ます。
しかし、今回の裁判では厚生労働省は当事者であり、
最大限に弁証して自らに有利となる論理を出し尽くしているのだから、
最高裁で敗訴が確定すれば、以後、厚生労働省にはなす術がありません。
よって、原告勝訴が確定すれば、他の患者の訴訟も原告が勝つのはほぼ確定と言えます。
そのような状況下で、司法判断に真っ向から対立する政策を強行すれば、
マスコミ、国民から非難され、政治家から圧力が掛かり、厚生労働省のメンツも潰れます。

No.267 一般人です様

なるほど、厚労省がこの判決を受けて将来法改正するかどうかに興味を持たれていたのですか。

私のコメントNo.266での指摘その5において、混合診療禁止の法的根拠を作る為に、健保法の法改正を行う可能性について言及しました。しかし、私の個人的な予測としては、この私の定義(1)の混合診療を禁止する法的根拠を生み出す為の健保法改正は、国会で可決成立する可能性は非常に低いと考えております。ましてや定義(2)の全額自費診療で保険外も併用することも禁止できる健保法改正は、その検討の可能性すら全く無いと考えています。

定義(1)の混合診療を禁止する法的根拠を生み出すに、健保法の改正案を作ることは法律理論の面からは特に難しい作業ではありません。医師会もそうした改正を要望しているのは事実ですし、厚労省の意向は定かではありませんが、今回の判決でメンツを潰された格好の厚生労働省官僚の意識の中には、それなりに改正への期待感はあるかもしれません。

ただし、与党自民党が混合診療禁止を合法化する健保法改正に同意するとは思えません。理由は経団連ほか経済界が混合診療解禁を前々から自民党に要求しており、選挙や政治的支持の基盤を経済界に依存している自民党はその意向を無視できないからです。また、民主党の支持基盤の一つである連合など労働団体なども、どちらかと言えば厳しい混合診療の規制をゆるめるべきだとの立場ですし、混合診療で保険給付がされると患者の自己負担が軽減されますので、選挙での有権者の反応を考えると民主党も禁止合法化への改正には反対するでしょう。このような政治的予測からすると、いくら厚労省が法改正を持ち出しても、国会で改正案が可決される可能性は小さいと私には思えます。

さて、定義(2)の全額自費診療で保険外も併用することも禁止、という法改正については医師会も賛成しないと思いますし、自民党や民主党の支持団体からも反対は確実です。また、全額自費診療も健保法改正で禁止することは、法理論の面で非常に難しい問題です。そもそも医師も含めて全ての事業者には、報酬等について自由に決める権利がありますが、自費診療を禁止して全ての医療を健保の価格統制の下に置くのは、こうした自由を制限することですので憲法論争に発展することは間違いありません。ですので全額自費診療も禁止する法改正については、いずれの政党も憲法論争してまで成立を目指そうとは考えにくく、私には不可能であると思えます。

以上のことから、厚労省が今回の判決をきっかけに混合診療禁止政策を強化するということは、非常に実現性は乏しいものと予想しております。

>No.272 法務業の末席さま

付け加えますと、

>さて、定義(2)の全額自費診療で保険外も併用することも禁止、という法改正については医師会も賛成しないと思いますし、自民党や民主党の支持団体からも反対は確実です。

実際に診療を提供する立場から言えば、賛成反対以前に、定義(2)を禁止する合理的理由が見つかりません。禁止しなければならないという屁理屈さえも思い浮かびません。そういう意味でも、

>(2)の全額自費診療で保険外も併用することも禁止できる健保法改正は、その検討の可能性すら全く無いと考えています。

まさに、その通りかと思います。

No.273元ライダー開業医さん、

定義(2)を禁止する屁理屈思いつきました。

大切な日、白薔薇ばかりで花束を注文したのに、赤薔薇が数本混じっていた場合、それはもはや白薔薇の花束でなくなってしまい、赤薔薇はサービスですからってのはもちろん、タダでもいらんわ!って言いたくなる心理。

すいません、まったく余計なことでした。

> 名宛人(又はコメント)を特定しないコメントです。

 法務業の末席様が、厚生労働省保険局の意向を正確に理解されて居られるか否かに関しては、間違いなく正確に理解されて居られます。これは、遠くない過去に保険局に直結する行政組織で直接実務に関与した経験を持つ者としての見解です。そのような疑義が生じるのでしたら、直接保険局内の担当課宛に照会・確認をなさればよろしいのではないでしょうか?と言うような事を感じます。蛇足ながら、医政局ではなく保険局が当該法令を所管する事の意味も今回の問題ではそれなりにあるのです。

 判決文については、判決文が裁判所HPで公開された時にすぐに目を通し、こちらのエントリでも私のコメントで公開の事実を紹介いたしました。その段階で私が判決文と関係法令などと向き合って導き出した結論が、法務業の末席様と一致したと言うことです。

 報道機関によるこの問題に限っての報道内容に関しては、「概ね記者自信の誤解を含む、あるいは読者に誤解を誘発する虞のある中途半端な報道であって、それを完全に信用すると誤った理解に至る」というのが、現時点での私の立場での判断です。

 そのような理由から法務業の末席様説を支持していますし、今は引退(退職)した身とはいえ、職務上自分に関係のあった行政組織の方針が誤って流布される事態は避けたいと言うのが今の私の立場です。

 そもそも保険を使っての治療を前提にする場合に、保険を使う以上は保険適用範囲内外という概念が生じ、それが「混合診療」という概念の成立と「混合診療における保険適用の問題」を招来するのです。今回の裁判もそれゆえに提起されたと考えます。
 保険を使っての治療を最初から完全に考慮の外に置けば、そもそも保険適用範囲内外という概念自体が発生せず、結果として「混合診療」という概念自体が発生しないわけです。そして概念として存在しない「混合診療」はそれを巡る裁判を招来する事もまた、あり得ないわけです。
 この点について、前提として頂ければと私は思います。なお、私が知りうる限りの情報の範囲においてこの事は裁判所にも十分理解して頂いていると判断しています。

No.273 元ライダー.開業医さま、 No.275 thx-1138さま

タイムリーかつ的確なフォローを頂き、ありがとうございます。

でも混合診療に限らず、健保制度や社会保険制度について、理解が混乱していたり間違った知識を持つ方が多いのは、その方面の専門家として困ったことです。今日も年金相談の仕事が予定表にありますが、トンチンカンな知識や屁理屈をまくし立てるオッチャンオバチャンのお相手をするかと思うと、はあぁぁぁ〜〜〜〜ぁ、という気分です。

ヤッパリ「勉強不足」で「上っ面」だけ「早とちり」して「自分流で理解」した「つもり」の記事を垂れ流すマスコミの責任ですかね。それとも所管行政省庁や我々関連する業界の責任ですかね。

P R

ブログタイムズ

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