エントリ

救急医療事故:医師らの免責検討…自民が刑法改正(毎日新聞 2008年7月29日 19時57分 ウェブ魚拓


 関連エントリ
 医療側からの刑事免責の主張をどう理解すべきか
 医療側は刑事免責の主張にこだわるべきか
 刑事免責主張に関する私なりのまとめ

追記
 タイトルが日本語として変だったので変えました。
 まだ、変かもしれませんが。

追記(7/30)

 「救急救命医療で人を死傷させた時は、情状により刑を免除する」
 (この規定を必要的免除規定(必ず免除する)と読むか任意的免除規定(情状により免除する場合もある)と読むかについては、ひさんが指摘されたように疑義があります。私は、No.22 のコメントで説明したように任意的免除規定と読んでいます。これが必要的免除規定だとすると、以下の記述は大幅に修正する必要があります。)

 これによく似た規定はすでに存在します。

 刑法第211条2項(自動車運転過失致死傷罪但し書き)
 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。

 自動車運転過失致死傷罪は、平成19年に業務上過失致死傷罪の特別類型として、自動車事故について厳罰化すると同時に、被害が軽微な事故については実質的に非刑罰化する趣旨で但し書きが新設されたものです。
 悪質な事故についてはより厳罰化し、日常的に不可避的に発生する軽微な事故については非刑罰化したと理解することができます。
 
 そしてこの但し書きは、条文上は新設ということになりますが、実は、検察実務上はかなり以前から軽微な事故は起訴猶予という取扱が基準化されており、それを刑法の条文の上で追認したものですが、それにとどまらず、検察官が起訴猶予ではなく起訴相当と考えた場合においても、裁判官が過失も因果関係もあるが処罰するに値しないと考えれば、刑を科さないという判決を宣告することを可能にするもので、不処罰の範囲を拡大したものと言えます。
 但し、裁判所が刑の免除を宣告する場合は、犯罪の成立は認めていますから有罪判決ではあります。
 その意味では、「刑の免除」という効果は、医療側にとってはなはだ不満足なものであろうと想像します。

 とはいうものの、この私案の効果は決して捨てたものではないと思います。
 自動車運転過失致死傷罪但し書きと報道された私案とを比較すると重要な差異が認められます。
 自動車運転過失致死傷罪但し書きは「その傷害が軽いときは、」という条件を付していますが(つまり死亡事故や重傷事故には適用できない)、私案では「人を死傷させた時は」となっており、結果の軽重を問うていません。
 その適用の可否はもっぱら「情状」によることになります。

 ところで検察は、犯罪が成立するとしても刑の免除相当と認めた場合は原則として起訴しません。
 ですから、この私案が仮に成立したとしますと、検察には救急救命医療事故を不起訴にする広範な裁量権が与えられることになります。
 少なくとも現在の裁量の幅よりはるかに拡大します。
 国会が法律改正によって救急救命医療事故についての不起訴方向への裁量権を拡大するということは、検察に対して起訴は慎重にしろという強いメッセージというかほとんど命令になります。
 その反面効果として、検察の起訴方向への裁量の幅は狭まります。
 微妙な事件は不起訴の方向へ強く傾くということです。 

 その結果として、大野病院事件のような医療界から大非難を受けるような起訴がなされる可能性はかなり低下すると思われます。
 制度的な刑事免責ほどの安心感はないと思いますが、実現可能性は桁違いです。
 よく似た体裁の規定がすでに存在するからです。
 そして、その効果は、上で述べたように、少なくともないよりはまし、な程度には意義があると思います。

 法改正実現のためには、国民の多数の支持が得られることが必要だと思いますが、その場合に忘れてはならないのが、医療崩壊の現状に対する理解を得ることと同程度に、患者(被害者)側への配慮を示すことでしょう。


 仮に、法改正が実現しなくても、このような議論が公に行われるということは、検察に対するプレッシャーになることは間違いありません。

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コメント(33)

この法案では「情状により刑を免除する」との特例を加えるそうですが。

「刑の免除」は、「有罪であることは間違いないが、刑罰を与えるのは勘弁してやる」ということなので、医師の立場からすれば決して愉快な話ではない。そもそも過失がない、犯罪でないというのが第一の主張でしょうから。実際に免除判決があっても、それで名誉が回復されるとか、モチベーションが保持されるということは、正直言って考えられないように思います。

もっとも、仮にこの法案が成立すれば、免除判決につながるかというとそうではなくて、寧ろ、検察官が起訴猶予処分をしやすくなる、というのが実際の効果でしょう。遺族との関係で、「こういう条文が新設されたので刑罰が望みにくい状況なんです、だから不起訴にせざるを得ません」と説明できる場面が増えるのではないかと思われます。

大村秀章衆院議員って、自民党の年金問題のエキスパートとして名乗りを上げ、社保庁&厚労省官僚擁護の立場で民主党の長妻昭議員とテレビ論戦した人ですよね。確か昨年は長妻氏にコテンパンにやり込められて、政策能力の底の浅さを天下に曝して大恥をかいたと記憶しているが…。

自民党内では、昨年の参議院の年金選挙で大惨敗の原因を作った戦犯の一人、とも言われた議員さんじゃなかったかしら。年金でミソを付けたから、今度は医療崩壊に飛びついたのかなぁ。年金問題のように勉強不足のままで免責の法改正に言及したら、昨年のブザマの繰返しになるのは目に見えている。

大体が、大村議員の担ぐ医療免責というボロ御輿に、乗ってくれる自民党内の実力者が居るとは思えんが…。

検察にとっては,現状のまま医療事故を扱わさせることこそ,ペナルティのようにすら感じます。この案で内心一番喜ぶのは検察でしょうね。一方医師にとっては,屈辱的な面があります。

 理想からはほど遠いという気持ちは理解しますが

 ユートピアを目指すということはオールオアナッシングになりませんか?

モトケン様,No.4は,私宛てでしょうか?
個人的には,ユートピアを目指しているわけではないです。
現状は,体感上は医療者には極めて治安の悪い状態に感じられますが,事実上はむしろ心配の少ない状況だと思っています。事故調なんかできたりしたら,かえって起訴される例が増えるのではないかとすら思います。大野事件の判決後に,検察がハゲヅラかぶって土下座でもすれば別ですが,そうでない限り半永久的に「非を認めない検察」として非難し続けることができる上に,実際問題として明らかすぎるような過失でも認められない限り,検察は医療事故の起訴なんてできないでしょう。そうすれば患者側からは叩かれ,検察にとっていいことはないであろう一方,医療側には特段の被害は生じないにもかかわらず,医療者側から検察への非難は消えることもないでしょう。

検察審査会の問題が発生することは十分考えられますが,だからと言って,今すぐに慌てて中途半端な免責を導入することが必要だとはちょっと思えません。

>だからと言って,今すぐに慌てて中途半端な免責を導入することが必要だとはちょっと思えません。

 こんな法改正がすぐに実現するとは思えません。

 しかし、救急現場における刑事免責の問題が、公のしかもかなりハイレベルな公の場での議題になったことがニュースで報道されたことが大きいと思います。
 少なくとも誰かが操作した「印象」が変わる可能性はあるでしょう。
 たとえ、(法務業の末席さんが指摘するように)議員のスタンドプレーであるとしてもです。

 ところで

>検察がハゲヅラかぶって土下座でもすれば別ですが,

 検察は、表向きにはどんな判決になっても絶対土下座しませんよ。
 しかし、記事中にあった

現状でも処分は抑制的に行われている

という法務省側のコメントは一つのサインであると読み取ることは可能です。
 このあたりは、大野病院事件の判決後の検察の対応を見てからあらためてコメントしたいと思います。

>検察がハゲヅラかぶって土下座でもすれば別ですが

 言いたくなる気持ちは分かりますが、あまりに品がない言葉遣いですよ。「お里が知れる」と批判されても反論できないし、医療の過失範囲を真摯に研究する人の足を引っ張るので(某弁護士の口にかかれば「下品な輩」くらいにラベリングされて戦術として得策ではないので)止めた方がよくはないですか?

 「情状により」と言う基準には「あいまい」と言う批判は生じるでしょうけど意外と「アリ」な基準ではなかろうか。「重過失基準」よりいいかも。そもそも刑法に明確な基準なんて書けないだろうし。
 まあ、こんな規定ができても検察の判断は変わらないと思いますけどね。今までも「悪質」と判断したものしか起訴してないんだし。でも問題は萎縮効果だったわけでその点では評価できるかもしれん。
 後、「何で「減免」じゃないのか?」とか、「立法趣旨はなんだろう?それによって「救急医療」の範囲は変わってきそうだにゃぁ」とか「たぶん憲法上の問題は生じないんじゃないかな」とか「この程度の改正なら早期にできるかも。共謀罪とセットにしなければ(笑)」とか色々と思いますた。
 いや、それにしてもさすがはブルドーザーと言われる大村議員ですな。実力はともかく(笑)動きは早い。
 でも事故調にしろ刑法改正にしろ医師の刑事責任に特化しすぎじゃないの?と思わないではない。

 ところで別エントリの話ですが
>というか、大野病院の事案は救急医療そのものと言えるのだろうと思います

言えるっちゃー言えるんでしょうけどこの改正が実現したら大野病院も「免除」可能とのお考えだとしたら、それはちょっとどうかなー、と思ったり

モトケンさんのご意見に概ね同意します。

>少なくとも誰かが操作した「印象」が変わる可能性はあるでしょう。

この報道自体も「操作」的な匂いを感じます。(ところで,誰かというのは,暗に特定の人々を示しているのか,見当がつきませんでした)

> しかし、記事中にあった

>現状でも処分は抑制的に行われている
>という法務省側のコメントは一つのサインであると読み取ることは可能です。

そうだと思うので,僕自身は現在の検察に対して特段の心配をしていません。ただし世間的に見れば,土下座などのセレモニーがない限り長期間にわたり非難する人々がいるのは当然だとも思います。

> このあたりは、大野病院事件の判決後の検察の対応を見てからあらためてコメントしたいと思います。

それを期待しています。医療者も含めて,今は待つときだと思います。

>大野病院も「免除」可能とのお考えだとしたら、それはちょっとどうかなー、と思ったり

 実現した場合の「救急救命医療」の定義によるでしょうね。

ハスカップさん,これは失礼しました

「ハゲヅラかぶって土下座」は,かつて「Jリーグを100倍イヤな目で見る方法」というサイトを運営していた私の友人のジェフ市原ファンが,「ジェフが優勝したらハゲヅラかぶって土下座する」と公言していたところ,数年前にナビスコカップで優勝したため,実際にハゲヅラかぶって土下座した写真をネット上にアップしたことがあり,それ以来の好きなフレーズでして深い意味はありません。

お里が知れると思う人は思えば良いと思います。そんなことを気にして守るべき体面は特にありません。外見だけでレッテル張りをして中身を見ない人と対話する時間も勿体無いですしね。口を開けば世の半数の人が反対するのが当たり前,と思っています。

「救急救命医療で人を死傷させた時は、情状により刑を免除する」との特例を加える。厚生労働省が導入を計画する死因究明の第三者機関「医療安全調査委員会」の設置法案とセットで、議員立法による改正を目指すとしている。

意図としては、こちらの方がメインでしょうね。「医療安全調査委員会」の法案を成立させるバーターとして、救急に対する刑事免責を活用するというのは、戦略としては悪くない手です。

医師としても表だっての反対は難しいところですね。

腰を折って戻ってしまいすみません、
「医療側は刑事免責の主張にこだわるべきか 」No.206 ど素人 さんへの返信です。

「大野病院逮捕起訴事件」は、本来司法が口出す事じゃないレベルだから。
「免責」以前に「権限の濫用」の問題なのでは。

>「大野病院逮捕起訴事件」は、本来司法が口出す事じゃないレベルだから。
>「免責」以前に「権限の濫用」の問題なのでは。

全く同意です。
もっと端的に言えば,担当検察官の法律家としてのセンスの欠如,法律家としてのレベルがあまりにも低かった,ということだと思います。医者が同レベルのミスなら医業停止何ヶ月でしょうかね。

 いえいえ、せっかくのご意見なので揚げ足をとれらるのはバカバカしいし、印象操作に使われて憤慨するのもなんですし、と思った次第です。他意はございません,
 やっぱり例のジョークネタでしたか(ニッコリ)。実は、本当は私はこういうジョークが大好物で(諸外国のジョークのDBを勝手に作っていますw)、……<自主検閲>……と「死に神」でジョークを作って投稿ボタンを押す寸前に「遺族が読んだら!」と気付きボツにした失敗談もございます。
 「お里が知れる」も、実を言うと私が趣味系ブログでジョークをマジ激怒レスされた失敗談に基づくもので、世の中にはジョークをご理解いただけない方も多いので……と、気を回し過ぎた投稿であったことをお詫びします。m(_ _)m

> 医師としても表だっての反対は難しいところですね。

 いえいえ、自分は医師の端くれですが、制度設計としては非常に優れたインセンティブ構造になっていると感心しています。絶賛されるべきです。

 実現しないだろうと思いますが。

 まだしも、「救急救命医療で人を死傷させた時は」を削除して、「情状により刑を免除する」のみにした方が実現可能性は高いだろうと思いますし、医療界以外へのメリットも計り知れないものがあると思います。

 医師の端くれとしては、そちらを主張します。

 こんな法改正がすぐに実現するとは思えません。  …(中略)…  たとえ、(法務業の末席さんが指摘するように)議員のスタンドプレーであるとしてもです。
今回の大村議員の私案発表は、単なる一議員のスタンドプレーとはチョット違う、ある「政治的思惑」が背景にある。昨夜このような情報を「信頼できる消息筋」から得ています。

情報の詳細は一切言えませんが、ヒントとして毎日新聞の報道記事中の、下記部分にご注目下さい。(私の脳内判断と責任で、引用記事の一部を太字としています)

厚生労働省が導入を計画する死因究明の第三者機関「医療安全調査委員会」の設置法案とセットで、議員立法による改正を目指す。

なお参考までに。この秋の国会に提出を目論んでいる、第三者機関設置に係る政府(厚労省)&自民党の法案は、参院で過半数を握っている民主党が、独自の対案をぶつけて参院では政府与党法案を否決すると予想されています。こうした国会のねじれ現象のあおりで、喫緊の新法案や法令改正案が国会を通過できない事態に、政府事務方は相当フラストレーションを溜めています。

政治談義はさておき。ブログ主が仰るとおり、医業に対する業過罪での刑事罰の是非論が、国会という立法府に正面から持ち込まれるのは、医師側にとって非常に大きな前進です。ただ今後「刑事免責」を求めている医師側は、にわか仕込みの議員さんや、ステレオタイプの正義感に取り憑かれたマスコミなど、このモトケンブログの討論で鍛えられた常連諸氏とは段違いの、医療破壊問題に対して格段に理解レベルが低い人々を相手にしなければいけません。

国会議員などに討論の場が広がっていけば、病院の医師休憩室での内輪の討論とは違い、医師側の発言内容に政治的センスが要求されるようになります。受け手に無用な誤解や反発を与えないように、言葉遣いや文章表現に配慮され、発言を逆手に取られないよう十分に気配りして頂きたいと思います。

私の信頼できる消息筋の一人でもある某国会議員には、このモトケンブログでの医療問題の討論レベルの高さと活発さについて情報提供してありますので、これからは議員事務所からのアクセスが増えるかもしれません。今後の永田町方面でのこのモトケンブログへの評判・評価や、医療刑事免責の討論発展に興味津々の心境です。

怒素人が介入して、事実解明によるシステム改善より、被害医者感情の慰撫を主眼とさせるような事故調とのセット販売

しかも、セットでどちらが優先されるかを考えれば、事故調。刑事免責なんて、本気で考えてないでしょう

形振り構わぬダンピングのように見せて、オマケはつけられませんでした・・・・となるのがオチ

”医師法21条でどんどん(取り締まって)いきますよ”と、言ったのが本音であって、医師の仕事内容を理解して、一般大衆に啓蒙しようという意図は欠片もないでしょう

秋が過ぎれば自民党は野党になっちゃうだろうし、あの厚顔も落選してタダの人となり、単なる空手形に終わる公算も高い

全く信用できない人物が行っている政策に信頼を寄せるような愚を冒してはならない

話が戻ってしまって申し訳ありませんが,
「救急救命医療で人を死傷させた時は」....
治療しなければ死亡に至ると考えられるから救急救命処置を行うのですが,このような状況でも死亡や治療のための合併症が起きた場合も人を死傷させたということになるのでしょうか?
(eg 加古川事件)
それなら救急屋の減少を抑えることは無理だと思います.

>このような状況でも死亡や治療のための合併症が起きた場合も人を死傷させたということになるのでしょうか?

 純粋に理論上の問題として聞いてください。

 死亡に向かっている患者に対して救命のための治療義務(その根拠と内容は別途要検討)のある者が、救命可能性があるにもかかわらず救命できなかった場合は、因果関係論の問題として、「人を死傷させた」と評価することが可能です。
 直接死因が合併症(それをどう理解するかも問題があるようですが)である場合、合併症の発症を防止できる可能性にあったにもかかわらず発症して(させてに非ず)しまった場合にも「人を死傷させた」と評価することが可能です。

 以上は理論上の問題ですが、現実問題としては、「可能性」とか「評価」という必ずしも明確でない要件の問題になって一筋縄ではいきません。
 場合によっては、「人を死傷させた」と言う人もいれば言わない人も出てきます。

それにしてもなんで、「情状により刑を免除する」なんでしょう。情状を考慮に入れた必要的免除という例って他にあったでしょうか。二項の自動車運転過失致死傷が軽い事案について「情状により、その刑を免除することができる」で裁量的免除なんですからそれとあわせるか裁量的減免にするのが普通だと思うんですが。
座長私案だから、あるいは新聞報道だから、細かく考えても仕様がないのでしょうか。
それとも、同じ記事の法務省内のコメントにある「当事者同士が納得して刑事処分を求めないのが望ましい」という意識、あるいは、モトケンさんも指摘されていた親告罪化という方向を考慮してのものなんでしょうか。つまり、親告罪にするのはハードルが高いので、「情状」の要素として「告訴の有無」をきわめて大きなものと解釈することにより、原則として告訴がなければ起訴しないという実務でいきましょうねというメッセージが入っていたりするんでしょうか。

>それにしてもなんで、「情状により刑を免除する」なんでしょう。情状を考慮に入れた必要的免除という例って他にあったでしょうか。

 ひさんは、この私案を必要的免除と読みましたか?
 語尾からするとそう読めますね。
 私は、「情状により」という文言が入っているので当然任意的免除と読みました。
 必要的免除であるなら、「情状」などという重いにしろ軽いにしろ必ず問題となる、その意味で存在する要素を書くことは無意味だからです。
 情状の程度を問題にするなら、必然的に裁量的(任意的)なものになるはずです。
 ご指摘のように中止犯、幇助犯、親族相盗などの必要的減軽または免除事由に「情状により」という文言はないですし。

 私案に「情状により」という文言が入っているならば、「免除する」というのは記者の無知による誤記ではないでしょうか?

 追記しました。
 かなり長文です。
 
 但し、ひさんが指摘されたように私案の読み方に疑義があります。
 その点に留意して読んでください。
 
 私案が必要的免除規定だとしますと、大幅な修正どころか全部書き直しになります。

大村議員がこの法案を出したと言うことが問題ですね。
なぜなら医師に批判の高い「医療事故調査委員会法案」を、自民党内で推進している議連の座長(だったかとにかく高位の座にある)お方なんです。

 愛知県で「第三次試案説明会」があったときも駆けつけて、「これが通らなきゃ訴訟し放題の現状のままだ」と言う意味の恫喝するような台詞を語られておりましたので、この人がそのような法案を出しても、素直に賛成する気にはなりません。どうしてもウラ読みしたくなります。

私としては、「そのときに正しいと思われた判断について免責」として欲しいなと思います。
というのは、救急は時々刻々状態が変化しているからです。他の多くの医師から見て、「あれはやばいだろう」と思われる事例については刑事もやむを得ないというのが私の判断です。

ただ、毎日新聞の一般の方の意見に「誤診を免責するのはおかしい」とありますが、誤診そのものを直に罪とするのもおかしな意見です。というのはさんざんこのブログで述べられているとおり、医療に於いて誤診というのは避けられない事例だからです。
臨床医に聞いてみれば解りますが、誤診をしたことがない医師なんていません(いれば、詐欺師か臨床をやっていない医師でしょう)。つまり、誤診というのは医学の限界なのです。
もっとも誤診でも「これは仕方がないよな」という誤診(代表的な例に杏林割り箸事件)と「あれはやばいだろう」という誤診があります。後者はリピーターなどで顕著なのかもしれません。私がさんざん述べているように、「あれはやばいだろう」的なものについては免責とするのは個人的にはおかしいと思います。
しかし、救急現場はマンパワー、設備、過労など様々な問題を抱えていますから(飛行機の中とか、新幹線の中も設備の整っていない救急現場と言えます)、まずこれを考慮すべきだと言うことははっきり言っておきます。世の中、そんなの関係ない、誤診は誤診だ、事故は事故だという人がいますが、これを刑事事件化してしまうと間違いなく医療は衰退します(というかすでに衰退が始まっています)。

何度も言うようですが、治療が正しかったかどうかについてはプロスペクティブな目で見ることが必要です。残念ながら医師以外はそのようにして理解する視点に欠けています(これは素人だから仕方のないことです)。つまり、素人は結果から原因を探ります。ちょうど微分と積分の関係に似ていて、微分がレトロスペクティブな視点、積分がプロスペクティブな視点に似ています。ある式を微分すれば解は一つです。しかし、ある式を積分すれば解はいくらでもあり得るのです。
はじめからおかしな治療をしていれば罪に問われても仕方がないでしょう。しかし、そのときに正しいと思われる判断がいくつかあって、そのうち結果として間違っていたけれどそのときは正しかったと思われる判断を罪として裁くのはいかがなモノかと思うのです。

一方、欧米では当たり前のことですが、原因究明には有無を言わさず免責という考え方もあります。私はこの考えに同意できませんが、原因究明という点においては正しい考え方の一つだと思います。
要は、結果論でなく、そのとき何が出来たかと言うことを考える視点がないと、医療に対して意見する十分な知識が無いと私は考えます。

すいません、前エントリ「医療側は刑事免責の主張にこだわるべきか」中の「No.174 Level3 さん」「No.175 fuka_fuka さん」のコメントに対する返信です。

医療崩壊という視点では「刑事」だけが問題ではありません.「民事」における「トンでも判決」も大きな問題であり,「刑事」の問題が解決されたとしてもそれは「医療崩壊を食い止める」1歩に過ぎません.
「民事」における「トンでも判決」が放置されればやはり医師は「逃散」していくでしょう.

了解です、fuka_fuka さんご紹介のサイトも見て「加古川の心筋梗塞事件」(民事)の怖さも分かっってきたので、「民事」も脇においておけない事は理解しました。
(僕みたいな会社員が痴漢でっち上げ事件に対して感じる恐怖よりもはるかに怖いですよね)

その上で前エントリと、このエントリでは「刑事」の「刑事免責」の部分をとりあげてるということですね。
(そろそろ、エントリの本題にとりくめるかな?)

fuka_fukaさんご推薦の「koumeさまの
☆医療問題を注視しる!☆」をせっかく読んだので、内容を備忘録的にまとめてみます。

●医療崩壊問題とは?
→日本型医療システムの崩壊

●日本型医療システムとは?
→高クオリティ(レベルが高い)、高アクセス(誰でも医療を受けられる)、低コスト(諸外国と比べて)な夢の医療システム

●日本型医療システムが崩壊するとどうなるの?
→他国の例として代表的なものに以下が挙げられる
 1)アメリカ型=超高コスト(金持ち以外は治療が受けられない)
 2)イギリス型=超低アクセス(治療を受けるために長期間待たされる→重症になってから治療が始まる!?)

●そんな夢の日本型医療システムはなぜ実現できたの?
→医者に無茶を押し付けていたから
 ・医師数不足(低コスト)
 ・医師の長時間労働(労働基準法を無視して長時間死ぬほど働きまくらせる)(高アクセス)

●そんな無茶がなぜまかり通っていたの?
→日本の医師の医療に対する心意気(やる気、根性、奉仕精神?)が辛くも支えてた。(高クオリティ)

●今まで大丈夫だったのに、なぜ今崩壊し始めているの?
→(無茶だったのだから自然に崩壊してもおかしくないが)原因として挙げられるのは
 ・過重労働
 ・政策の失敗
 ・マスコミ報道
 ・トンデモ医療訴訟
 ・モンスターペイシェントの増加
 等など

●その中でも徹底的なダメージを与えたのは?
→医療訴訟:福島県立大野病院事件(刑事事件)

●福島県立大野病院事件はなぜそんなに大きな影響を与えたの?
→医学的に見て、何のミスも犯していなかったし、むしろ奇跡的といえるほどにうまくやっていたのに、逮捕・起訴となってしまったから

●このような不当な刑事事件を防ぐ手段は考えられているの?
→例えば厚生労働省主導で医療事故調査委員会が検討されている

●医療事故調に問題点は無いの?
→事故調の判断に関わらず刑事責任を問われる恐れが残る
→刑事責任を恐れ事実が隠蔽されれば、原因究明が阻害される。逆に原因究明のため事実を包み隠さず明らかにすれば刑事責任を問われる可能性が高まる
(この辺りが本エントリで考えられてる話題「刑事免責」かと思いますが)

●刑事の部分が解消されれば医療崩壊は収まりますか?
→民事方面でも問題が解消されなければ崩壊は止まりません。
→例:加古川心筋梗塞訴訟

●加古川心筋梗塞訴訟は何が問題なんでしょう?
→医師の診断・処置は非常に早く適切であったにも関わらず、結果として死亡した患者側遺族の請求どおりの判決(慰謝料など3900万円)がでたから。

●このような訴訟は医師の逃散以外の悪影響を及ぼしますか?
→JBM(判例に基づいた医療)と言われる、患者為よりも訴えられ事を優先した治療、萎縮医療を招いてしまう。

●萎縮医療とは?
→無駄な検査、無駄な同意書が多い治療などがその一例

●医者は患者を治す義務があるのでは?
→応召義務があり、治療を行う義務はあるが、治す義務は無い。(全ての患者を治すのは不可能)

●トンデモ判決が出る原因は?
→大きな要因として鑑定医の問題が挙げられる
→その他、裁判の迅速化、世の中が消費者優位になっている。など

●その他の医療崩壊原因は
→大きなものとして報道(マスコミ)が考えられる

●マスコミの報道に問題があるの?
→不正確な情報が流される場合があるにも関わらず、一般の人はそれら全てが正しいと思い込んでしまう
→不正確な情報による病院批判
→最先端医療の紹介による、医療への期待値の増加
→例:奈良大淀病院事件

●奈良大淀病院事件はどこが問題なの?
→医師の処置に特に問題は無かったのに、患者側視点からのみの報道を行い、病院側の印象を悪くした

●実害はあったの?
→結果、大淀病院では分娩の取り扱いを休止した


モトケンさま 
追記

大野病院事件のような医療界から大避難

ぶふっ・・・当たってるし(^<^)

 最初の変換候補で避難が出た記憶があり、同じことを考えつつ直したはずなんですが(^^;

 訂正しておきました m(_ _)m

なぜなら医師に批判の高い「医療事故調査委員会法案」を、自民党内で推進している議連の座長(だったかとにかく高位の座にある)お方なんです。

私が「医療事故調査委員会」を推進する立場ならば、「刑事免責」を踏み絵に使うでしょうね。刑事免責に賛成する医師に対しては「事故調に賛成するのであれば、刑事免責を法案化する」とささやき、医療事故調に反対する医師に対しては「刑事免責に反対するとはけしからん」と恫喝する。まあ、よくある分断工作を実施します。


医療事故調と刑事免責をセットにする事で、医療事故調への反対が、いつのまにか刑事免責に対する反対となってしまうのが巧妙な所だとは思います。

 大村議員といえども法的な担保がないと医師を納得させられないと考えたのではないでしょうか。小生は公式には医療ミスでも不可罰の立場ですが、実質的に1998年以前の運用より良くなれば妥協せざるを得ないだろうと考えます。
 なにより医療行為の結果に対し法的保護を与え立法措置の可否が公式に公の話題になるだけでも大進歩です。事故調に対してはどう造っても良し悪しは人選と運用にかかってるとしか言えません。

あまりにしっくり納まるので、変換ミス大賞が狙えそうなのに勿体無い(^^)
漢検 変“漢”ミスコンテスト

どういう方向に向かうのか、まったく不明ではありますが、
これを契機に、救急医療問題や刑事免責問題に関心を
持つ国民が増えれば、それはそれで結構なことかと思います。
ですから、この件に関しては、医療関係団体から
数多くのコメントを発していくべきと考えます。
インターネット医師も悲観的、否定的な意見は作戦上好ましくないと考えます。
ぜひチャンスを潰すことなく、生かせたらいいと思います。
野球で言えば、ツーアウト後にユニフォームかすった
デットボールくらいのチャンスかと思いますが、せっかく
相手からもらったチャンスですので、頑張ってください。

まったく関係ない話ですが、富士山の8合目に診療所があり、
そういうところでも頑張っている医師がいるんだと
感心しました。
自衛隊登山訓練中の隊員2名が高山病らしきもので運ばれていました。

最近とある国で、次のような会話をしました。

「この法律のこの部分は改正して、これを認めた方がよいのでは?」

「この国では、法案は議員と議会で様々な改正が持ち上がり、源法案とはまるで異なったり、余分な条文が付いたりして、そう甘くはないのです。」

P R

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