エントリ

 慶應義塾大学 商学部教授の権丈善一先生の見解を紹介します。

 「なぜ医師不足が生じたのか?」(pdf)

 「不確実性への無理解が生む社会保障論の混乱」というサブタイトルがついてます。

 この論文は、
 いい国作ろう!「怒りのぶろぐ」−福島産科死亡事件の裁判・その7
 で紹介されていたものです。

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コメント(7)

モトケン先生、拙ブログに紹介した論説を御取り上げ下さり、お礼申し上げます。

他の活発なコメントに比べますと、こちらには残念ながら1件のコメントもないようです(笑)。恐らく、大勢の医療側の人たちには、「あまり役立たなかった」ということかな、と思います。論説の中からは、報道の果たした役割といいますか、影響というものを窺えるのではなかろうかと思ったのですが、そうしたことを元に議論するという雰囲気ではないようでございます。

本文を読むと一目瞭然なのですけれども、90年代後半、特に99年頃より医療事故の報道が増加しております。マスメディアの姿勢としては、10年ほど前から「大体今と同じような感じ」であったのだろうな、ということが判ります。ここ数年で大きく変化したというわけではなさそう、ということかと思います。

また、日本医師会が出した98年3月に出した報告があります。

http://www18.ocn.ne.jp/~east_106/MedFushin_1.htm

この中でも「医療不信」というものについて述べられており、医療側がそうした風潮があるということを認識していたと思います。つまり、90年代終わり頃からこうしたことが問題視されてきていた、ということであり、そこへの対策というのが有効に機能していなかった、ということかもしれません。医療側がそうした努力が足りなかったのかもしれません。

そうであるなら、マスコミ批判だけをやったとしても効果は得られず、寧ろ「自分たちの言うべきこと」というのを一般国民に伝えようと努力しない限り、10年前の状況を改善することにはならないのではないかと思います。多くの人々はこうした「報道の影響」というものを受けてしまうのは避けられず、それを改善する為には「事実の報じ方」ということを繰り返し訴えねば、マスコミ側には通じていかない面がある、ということを考えるべきではないかと思います。

愚痴や文句を書くのもよし、建設的な意見を提示するもよし、と思いますが、こちらの常連の多くの方々は資料を用いて何かを示すよりも、個人の持つ知識や意見を多く提示することが多いかな、と思ったりします。

厚生労働省の提案している安全調の件にしても、問題があるのなら「どの点」をどう変えるべきか、他の代替案としてどうしたらよいか、そういう一つひとつを積み上げていこうという意識があるようには思われません。方策AよりもBの方がよい、とか、利点欠点はこうだ、とか、そういうことの討議がなされないということは、結局「総論で反対」ということなのかもしれませんが、ならば他の解決策を具体的に提示しているかというと、そのようにも思えないのですね。
実現可能性に乏しい代替案を謳ってみたとしても、行政や議員さんが動いてくれるということではないと思いますけれども、そういうことへの関心もあまりないのかもしれません。

長文、失礼致しました。

まさくにさん
pdfファイルに目を通したのですが、どうコメントしていくべきものかわかりませんでした。
 まさくにさんの、コメントの後半に反応させていただきます。厚生労働省の安全調について、日本麻酔科学会は、具体的に問題点を指摘して、問題点の修正なしには、賛成できないという立場でした。また、地方のある医師会の立場は、日本医師会が、意見の集約をはかることもなく、かってに賛成多数としていることを問題としておりました。無責任に反対しているだけの状況ではありません。日本麻酔科学会については、会員からの意見をネットで募集して、集約してから意見を主張する手続きをとっていました。厚生労働省もパブリックコメントを募集しておりましたが、それらを考慮したとは思えません。しかも、ほとんどの学会の意見が、総論では賛成であるが、現状では訂正なり修正が必要であるというものであることは、各学会のコメントを読めばわかると思います。
 私の考えとして、資料の提示は客観性を持たす意味では重要なことだと思いますが、個人の知識や経験を元に、自分の意見を提示する方が、ネットの意義があると思います。

まさくにさん

pdf読ませて頂きました。
経済学者の視点から「なぜ医師不足が生じたのか」について知ることが出来ると思い期待しましたが、期待はずれでした。
ほとんどが、社会学の話で、不確実性を容認しない国民が云々という内容だったように感じます。
医療の経済学についてinsightが欲しかったです。

No.1 まさくに さん

権丈先生の論文で引用している、1999年の横浜市大病院事件後、医療事故報道が増えたことは以前より注目されています。実際にCOMLの電話相談も比例して増加し、民事訴訟も増えています。
で、メディアに理解してもらうことは重要ですが、1年前までは取り付くシマはありませんでした。最近は変化してきています。

メディアと医療側の情報交換する機会もネットで増えつつあるのですが、医師側の態度が悪い例もたくさんありました。記者で理解のある人もいるにはいたのですが、mailing listなどでディスカッションする機会があっても、医師側の悪しきレッテル張りから撤退する場面も散見しました。

相手を非難するだけでは前進しないと思います。モトケン先生の音頭でMJLnet少しばかりの交流も進んでいます。


二番目。
日本医師会医療安全対策委員会が出した98年に出した答申も知られており、説明責任を果たすため胃内視鏡検査を受けるだけでA4版2ページの説明書を読んで同意書にサインを求められる事態も生じています。カルテ公開が遅れたとの批判もありますが、現在は公開が基本となっています。県医師会単位の苦情電話相談もあります。事故防止へ向けてのインシデント収集、院内講習会、リスク管理担当者の養成も進んでいます。

三番目。
厚労省の安全調については、医師会は暴走中ですが、学会によっては批判的なところもあり、改善点を指摘しています。個人レベルでも厚労省に直接メールしている医師もいます。

私が見聞きしていることは個人レベルで些細なことですが、斯様に、ぱっと見ただけでは分からないところで種々の活動が行われてはいるようです。

皆様、コメントを有難うございます。

いくつか考えるべき点があるように思います。
・自らが第三者機関設置を望んだのであれば、「その具体的形態」を提示できうる
・どんな組織や機能であればよいのか提示する機会はこれまでにいくらでもあった
・検討する有識者会議には医師会役員ばかりではなく、他の医師も参加していた

本当に医師会だけのせいでしょうか?
そもそも設置を望んだのは誰なのでしょう?複数の医科系学会が連名で要望を出したのに、具体案(たたき台)を提示された途端に、反対に早変わりしたというのでしょうか?そうでないなら、「自分たちが望む」組織形態や機能を具体的に出せば済むことです。また、会議に参加していた医師たちに、医療側が望む意見を具体的に発言してもらえば良かったのに、何故それをせずに来たのでしょう?

これは懈怠と言われてもしょうがないのではないでしょうか。「現場の医師の意見を無視する」ということはあるのかもしれませんが、要するに「行政側の動き」や「医療政策で何が問題とされているか」ということに対する「注意を怠ってきた」(注意義務違反とかではなく、一般的に言う注意です)ということなのではありませんか?極端に言えば、「証文の出し遅れ」ということではないでしょうか?

医療制度改革案が進められていた時に反対せずにいて、実際に後期高齢者医療制度が始まった途端に、文句や不満が噴出したのと似たようなものではないでしょうか。「どうしてもっと早くから大反対しなかったのか」と思いませんか?

何が、どうダメで、どう変えるといいのか、というのを具体的に出さない限り、無関係な他の多くの人々には判らない、ということです。どこがダメな案で、それはどのように変えたらよいのでしょう?
ただ単に「変えてくれ、変えてくれ」というのは、提案としては意味をなさない、と思います。もしも、本気で「刑事免責を受け入れられなければ絶対に認めない」(あくまで例示です)という意見を貫くのなら、それはそれでいいと思います。それが達成できないなら、これまでと同じような状況が維持されるだけですので。それでもいいなら、ご自由にどうぞ、と思います。「みんな判ってくれない」と不満を述べ、大衆の医療への理解が足りないことに恨み言を述べていればいいのではないでしょうか。

要するに、基礎的情報に対する理解や検討が足りないのではないでしょうか。改善点を見つける努力とか、どういう方法なら医療者以外の人たちにも賛同を得られるようになるのか、ということを本当に考えているのでしょうか。考えているなら、医療者がどの部分にどう反対し、それを改善する為の方法というものを、探せるはずではないでしょうか、ということです。その意見が説得的であるとか、議員さんなどに働きかけでき得るというものであれば、それを提示すればいいだけでは。そういう議論の前進が見られませんね、ということを感じたまでです。

パブコメは大量に出されておりますが、その落とし所を探っているのが現状で、意見を言うのは何も医療側(学会等団体、医師等の個人)ばかりではない、ということを全く気にかけていないようですね。問題解決に向けてどうするか、という視点が欠けているように思われるのです。

私自身は、もしこの安全調がオシャカになったとしても、別に構いません。医療界が、自分たちの手でお望みの第三者機関なり何なりを設置するでしょうから、お任せしたいと思います。

何が、どうダメで、どう変えるといいのか、というのを具体的に出さない限り、無関係な他の多くの人々には判らない、ということです。どこがダメな案で、それはどのように変えたらよいのでしょう?
これは私も不満に思っていることではあります。ただ、この点については個人的にはブレーンの問題もあるかと思っています。 やっぱり医療関係者は法律に関しては素人なので。

 問題点の第一は医療側の問題。もう少し法律関係者(自分たちに都合のいいことを言う人に限らず)のいうことをしっかり聞いたほうが良いと思います。
 ここでまた全医連を持ち出して申し訳ないのですが、全医連に対する小倉さんの「専門家の意見をもっと取り入れるべし」と言う意見については同意でして、安全調の議論に対する全医連の論調には本当にちゃんと弁護士に相談したのか疑問に感じます。
 問題点の第二は医療側の法律関係者のブレーンの問題。全医連のホームページでは井上弁護士と木之元弁護士の意見のリンクが貼ってありますが、あれでは立法担当者を動かせるとは思えません。個人的にはあまり好きではない河上和雄氏のほうがはるかにましなことを言っていますね。実際、河上和雄氏の「この委員会において、医療事故の過失まで最終的 に認定するというのは、如何なものか。過失概念は法的概念であって、医学的概念ではない。」と言う批判は大綱案において反映されていますし。

>ろくろくびさん

全医連の活動についてはよく存じておりませんが、木之元弁護士のご意見に対してまして、若干の疑問がありましたので、以前に記事に書いたことがあります。

http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/4da116164ece858f067461c5a6c75c6b

鑑定する医師の意見に色々とありますように、法律家の側にも色々とある(笑)ように思います。

これまでにこちらで出されてきた意見からは、大雑把にまとめますと「問題がある」「悪い点がある」ということは判るものであったろうと思います。そういう時期をここ数年続けてきた結果、マスメディアや一般国民の中にも「医療が大変なことになっているんだ」という認識が芽生えてきたものと思っております。司法側にも、そうした医療側の意見が通じた部分が多くなったのではないかな、と思います。

そうであれば、今後はどうするのかを考えていかねばならない時期に来ていると思うのです。それは「問題がある」「悪い点がある」ということであるなら、「どのように改善していったらよいか」ということを方策として模索するべきなのではないかな、と。少なくとも医療側の出した「問題がある」ということに応えて行政は動き、有識者会議を設置(昨年春以降)し、法案作成の一歩手前まで漕ぎ着けたのが現状なのです。ここで医療側がチャンスを潰すことになれば、後戻りするだけのように思えます。

コレ>http://blog.goo.ne.jp/critic11110/e/229360888974860a5c66e6ee0623c499
にも書きましたが、何らかの手を考えることはできるのではないかと思います。

「〜に反対」という意見を出すのは、それはそれで意味があるのかもしれませんが、では「どうしますか」「どうしたらいいのですか」ということについては、非医療側には十分に判らないのではないでしょうか。
「無理なお願い」とか「実現可能性に乏しい意見」といったものでは、法案を考える側にとっては「よく判らない」ということになってしまうのではないかと思います。

河上氏の意見は否定できない面はありますが、では公取委が検察に告発していることについてどう評価しているのか、考えたことはあるのか伺いたいものです。国交省の事故調が調査した結果、JR西日本の幹部は業務上過失致死罪で送検されたと思いますが(うろ覚えです)、「刑法上の過失認定」を行うのはあくまで裁判所であり、事故調ではありません。ただ、運転手の操作にミスがあったとか、会社として過失(ミス)と認められる部分があったかどうかということについて調査するのが事故調です。河上氏は元検であるので「過失」という言葉に囚われているのかもしれませんが、何も「刑法上の過失」を安全調が認定するとは誰も言っていないのではないでしょうか。

要するに、多くの方々のご意見は正しく理解していないとか、間違った情報に基づいているとか、そういうことが殆どなのではないでしょうか(素人のわたくしが申し上げるのもなんですけれども)医療界の上層部の方々にしても、本当に安全調の中身について正しく理解しているとは到底思われないのです。その程度の意見が、今の段階になってさえ出されてきているのですから。私自身正しく理解できているのか、と言われると、そんなことは無理かもしれませんが、少なくとも「ああ、これは全然間違っているな」と感じることはありますので。

結局、医療側が「これはどうなの?」というように疑問点を出したりしながら、個々の論点についてつぶさに検討し、論点を潰していくとか疑問を解消していくような努力をしない限り、いつまで経っても合意点には到達できないとしか思えないのです。それをやろうとしないことが不思議なのです。

P R

ブログタイムズ

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