ここは裁判員制度特集のページです。
裁判員制度に関する議論や情報提供を行っていきたいと思います。
なお、モトケンの基本的スタンスはかなり批判的です。
2008年6月27日
長野地検版裁判員制度キャラ
「おそばくん」は、頭にのったソバを自ら食べる奇抜なデザインで、「あなたのそばにも裁判員」がキャッチフレーズ。
なるほど、「あなたも裁判員」じゃなくて、「あなたのそばのあなた以外の誰かが裁判員」というわけですね。
なんか、他人事っぽい感じもしますが。。。
口を開けたままの「りんごちゃん」の表情には、肩に力を入れずに参加してほしいとの思いを込めたという。
う〜〜〜ん
そんな思いを込めていいんだろうか???
ボツネタでは「裁判員向け ゆるキャラ 」と紹介されています。
裁判官の良心と裁判員の良心
先ほどアップしたエントリに引用した日本裁判官ネットワークオピニオンのページの伊東武是神戸家庭裁判所判事の意見の中に
死刑求刑事件 死刑求刑の事件にあたっても(めったにあるものではないが),どうしても,死刑という刑に反対ならば,あるいは,死刑まではどうしても踏み切れなければ,当然のことながら,それを主張すればよい。他の人に遠慮することはない。迷えば,ここでも被告人に利益に判断して,死刑ではなく,無期懲役などを主張すればよい。
というものがありますが、伊東判事は、裁判員にはいわゆる裁判官の良心と同様の判断基準を求めていないのかな、と感じました。
裁判官には、憲法上「裁判官の独立」というものが認められており、
憲法76条3項
すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
と規定されています。
そして、「すべて裁判官は、その良心に従ひ」の「良心」というのは
裁判官個人の主観的な良心ではなく、客観的良心、すなわち、裁判官としての良心であると解されている。
(芦部信喜憲法第3版P327)
とされています。
私が受験時代に読んだ別の憲法学者の本には、「客観的良心」の例として死刑判決をあげ、裁判官の個人的見解としては死刑廃止論者であったとしても、現行法が死刑を定めている以上は、死刑に相当する罪には死刑を科すというのが裁判官の客観的良心に従うということである、というような説明があったと記憶しています。少なくとも私はそのように理解しています。
しかし伊東判事は、裁判員に対しては死刑存廃の議論に関する裁判員個人の見解または信念に従って量刑意見を決めていいと考えているようです。
憲法76条は裁判官に関する規定ですから、裁判員について別異の考え方をとったからといって直ちに憲法違反になるかどうかはわかりませんが、少なくとも2点の疑問があります。
1点目は、一つの裁判体の中に、裁判に対する基本的なスタンスについて異なる者が混在していてもいいのだろうかという疑問です。
裁判員制度とはそういうものだ、と言われればそれまでですが。
2点目は、裁判員が自己の信念によって死刑を回避するというのであればそれは一つの見識ですし、制度設計上もそのような信念を組み込むことは不適切とは限らないと思いますが、単に、自分は人殺しになりたくないというような感情的な死刑忌避反応を助長することになるとしたら問題が生じるのではなかろうかという疑問というか危惧です。
なお、引用の見解は、伊東判事の署名投稿ですので個人的な見解として読むべきものと思いますが、日本裁判官ネットワーク内では多数意見なのでしょうか?
最高裁はどう考えているのでしょう?
裁判員に対する報復の懸念(Barl-Karth先生のブログから)
裁判員制度の導入が現実化した当時から思っていたことなのですが、
裁判員制度を導入しようとしている諸先生方は地方の実情というものを考慮に入れているのだろうか?
という疑問を感じていました。
地方にはいまだに、ドンみたいな人がいます。
地元の主要企業の経営者だったり、やくざの親分だったりしますが、表だけでなく裏にも隠然たる力を持っている(少なくともそう思われている)人がいます。
大都市でもいると思いますが、地方では住民がかなり身近な存在として意識しています。
そういう人またはその関係者が被告人になったり被害者になったりした事件を地元の住民で構成される裁判員で裁判したらどうなるのだろうか、というかなり強い危惧感を覚えていました。
そのような懸念を抱くのは私だけではないわけでして、Barl-Karth先生も以下のようなエントリを書いておられます。
裁判員に対する報復の懸念
私が、某地方都市で検事として赴任し2年くらいたったある日、道で若い男性に突然挨拶されて「その説はお世話になりました。」と頭を下げられました。
そのときは誰だっけと思いましたが、しばらくして思い出しました。
1年ほど前に何かの罪で私が取り調べて起訴した暴力団員の若い衆でした。
何が言いたいかといいますと、地方都市では裁判関係者が事件関係者と町中で遭遇する機会が決してまれではないということです。
私の場合は、言葉通りに「お世話になりました。」という感じでしたが、「あのときは世話になったな。月夜の夜道ばかりでないぞ。」とすごまれることも考えられるわけです。
Barl-Karth先生のブログで引用されている日本裁判官ネットワークオピニオンのページの伊東武是神戸家庭裁判所判事の
ということで,心配を解消していただければと思う。
というご意見は、能天気にすぎないかな、という感を禁じ得ないわけです。
もちろん、お立場からのご意見であろうと思いますが。
(報復声明などで,裁判員に対する報復が現実に心配される事件は,裁判員裁判をしないで,職業裁判官だけですることになっている。裁判員法3条)
という対策が取られるとしても、地元の空気というものには、官舎暮らしの裁判官より地元住民の裁判員のほうがはるかに敏感であることは否定できないだろうと思います。
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