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誠実な医療の重要性 No.124 くろすけ さん | 2008年8月29日 15:48
ここには、表向きのテーマである「医師不足」についてにおいて指摘した、小倉弁護士の持っていると思われる医師像とは明らかに違う別の医師の姿があります。
もっとも、小倉弁護士のことですから、このような匿名の投稿に対しては、
匿名だと,どんな「体験談」でも創作できますね。
と言うのでしょうね。
くろすけ さん のコメントを引用しておきます。
(引用開始)
いろいろなご意見ありがとうございます。
すでに話の流れが変わっていて、少々場違いかもしれませんが「誠実な医療」とは何かというテーマには合致しているとも思われるので、もう少し続けさせていただきます。
私が先にエントリーしたときには加藤医師のことは頭にはなく、直前のプッチンさんとハスカップさんのエントリーを受けての意見でした。
プッチンさんの
「もし、命が助かっても、検察が言うような方法の術式で子宮が無くなっていたのが、後で分かれば、私なら間違いなく訴えます。」
というご意見の、「検察が言うような方法の術式」というのが何を想定されているのかがはっきりとは分かりませんが、もし、「剥離をトライせずにはじめから子宮摘出に踏み切ること」ということであるのならば、子宮温存をどんなに強く希望されてもはじめから子宮摘出に踏み切ることはありえます。
癒着胎盤というのは、子宮の筋肉の表面に付着している状態のもの(狭い意味での癒着胎盤)から、子宮の筋肉の中に深く入り込んでいるもの(嵌入胎盤)、子宮の筋肉を完全に貫いているもの(穿通胎盤)まで様々な程度があります。
胎盤を剥離する前に胎盤が子宮の筋肉の中に深く入り込んでいることが明らかに分かる場合、胎盤の剥離はほぼ不可能ですから、はじめから子宮摘出を選択すると思います(胎盤や子宮壁からの出血がほとんど無い場合には、子宮の中に胎盤を残したままの状態で手術を終えるという選択枝もあります)。
また、癒着胎盤の妊娠子宮の摘出はそれ自体が非常にリスクが高いもので、出血も通常の子宮摘出とは比べものにならないくらい多くなるものです。胎盤剥離をトライしてそれでも駄目だから子宮摘出、というのはすでに出血が多い状態からの子宮摘出になるので命の危険が非常に高くなります。
産科出血は少しでも対応が遅れると取り返しのつかないことになりうるので、「本当に命を救えるかどうかギリギリの段階」まで子宮摘出を躊躇していたらかなりの高い確率で命が救えない可能性があります。
そういう現実があるものですから、「軽々しく(ではないかもしれないですが)“訴える“などといわないで欲しい。軽々しく(ではないかもしれないですが)“子宮をとるか命をとるかの究極の選択を迫られたら、百人百様で正解は分かれるでしょう。”などと言わないで欲しい」という気持ちが先に立ってしまいました。
産婦人科医で、女性(特にお子さんのいない女性)にとっての子宮の重要性を考えない人はほとんどいません(私は出会ったことありません)。
出来るだけ子宮温存出来る方法を考えますし、子宮を摘出せざるを得ない状況になったときには敗北感を感じるし、患者さんに対して申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
それでも命を救うためには(命を危険にさらさないためには)躊躇無く子宮を摘出
せざるを得ないときがあります。
そこらへんを被医療者の方々にももう少し分かっていただけたら嬉しいと思います。
それともう一つ。
私は職業柄様々な女性に出会います。中には先天的に子供を産むことが出来ない人、子供の頃の病気の性で子宮や卵巣を摘出したり卵巣の機能が無くなって子供を生むことが出来ない人もたくさんいます。
「女性にとって子宮は宝物」と思う気持ちはもちろん分かりますが、「子宮がなければ女ではなくなってしまう」などとは、言って欲しくないなと思います(ここに書かれている特定の方に向けての発言ではありません。念のため。そして、ブラックジャックの卵巣癌で子宮と卵巣を摘出した女性のエピソードは大嫌いです^^;。子宮も卵巣もなくても恋をして結婚する人はいます)。
最後に。
患者さんに対する思い入れが深く、患者さんの希望を叶えようと意識することで、返って判断を遅らせ患者さん(や胎児)を危険にさらしてしまうことはあります。
まず無理じゃないかと思っても、強く望む患者さんの希望に添って成功することもあります。
「誠実な医療」と一口に言っても、現実はなかなか難しいです。
患者さんに思い入れを深く持ちすぎず、スタンダードを忘れず、でも患者さんを一人の人間として尊重してその場で出来る最善の選択をしていくしかないのだとは思うのですが。
最近はそこに加えてかならず「訴訟のこと」が頭に浮かんでしまうので、それが医師として非常にストレスフルです(そんなことを考えてしまう自分に対しても、でも考えざるを得ない現実に対しても)。
(引用終了)
やっぱり産婦人科をやっていると、「子宮に対する女性の思い入れはすさまじいものがある」というのが実感です。本気で命と引き替えにする人が少なくありません。どんなに説得しても、子宮を残したいばかりに説得を受け入れないのです。
未婚女性で子宮ガンが見つかって、手術すれば治る時期で大学病院での手術予定まで決めたのに、子宮を残したいばかりに怪しげな民間療法に逃げちゃった人がいました。当然どんどん進行して、出血が止まらなくなっても、「悪いものが出ているだけだ」という民間療法の施行者を信じ、本当にどうしようもなくなって大学病院に舞い戻ったけどもう完全に手遅れでホスピスへ。別の方で子宮を残したいばかりに慶応大学まで行き、そこでも子宮全摘を勧められてなおかつ抵抗して「説得に困っています」という紹介状の返事をもらったこともありました。
また別の女性ですが、子宮筋腫で死にそうなほどの貧血になっていても、「絶対とらないってこの子(子宮のこと)と約束したんです!」と手術も貧血治療以外の薬物治療も拒否した人がいます。10年くらい粘りに粘って、ついに手術せず閉経まで押し通しました。
くろすけさんの言うとおり、子宮や卵巣がなくなったからと言って女性でなくなるわけではないのですが、「女性としてのアイデンティティを失う」と思っている人は、男性には想像できないほど多いと感じています。そしてそう思っている人を説得することの困難さも日々実感しています。
未だにこの国で産科医なんかやってる方は生きながらにして既に神である事がよく判るコメントですねえ。
…才能と努力と人徳の無駄遣いとしか思えませんが。ハンス・ウルリッヒ・ルデルにタンクデサントさせるようなもんです。
勝手になな先生も紹介しちゃおう。
http://blog.m3.com/nana/20080829/1
(@。@)メール返信まだーーーー?
神というか、人柱ですね。
小猫の同期にも、やはりゲブルトで本当に人柱になってしまった奴がいました。他の科だったら今でも元気だったかもしれないなあ。
言いえて妙ですね。「実際は効果がまったくないまるっきりの無駄死に」なとこなんか特に。
…産科医の自己犠牲は今となっては同業者はおろか患者にとっても間接的に為にならんから人柱に悪いかw。
ところでゲブルトって何ですか?
ゲブルトって分娩ですよ~。
10年前にドロッポしました。さん の世代でも死語ですか~?
今でも地域連携の地元の爺医さんたちは平気で紹介状をドイツ語まじりで書いてきますけど。
やめてくれって思います。(が、大先輩達に言えるわけないけど。また字が震えててスペルが判んないんだ、これが。笑
私は福島のことについては、人柱っていうより炭鉱のカナリアだと思ってますけどね。
この貴重な犠牲を無駄にしてはいけない~!!って感じ。
代理母出産には賛成なの?
ご教示有難うございました。
>10年前にドロッポしました。さん の世代でも死語ですか~?
初耳です。私が極端にモノシラズなだけな可能性が否定できませんがw
>私は福島のことについては、人柱っていうより炭鉱のカナリアだと思ってますけどね。
確かに。この件がきっかけで、目が醒めて難を逃れた医師は全国に相当数いるでしょうし。
>この貴重な犠牲を無駄にしてはいけない~!!って感じ。
カナリア自身は炭鉱に戻る気まんまんみたいですがw。
ドロポ先生、沼地先生御机下
>カナリア自身は炭鉱に戻る気まんまんみたいですがw。
そらー、娑婆に帰りついでに逃散したら、○ぐり○ぐら先生方面から○ん○の絨毛もとい絨毯爆撃くらうでしょうが。
ほんと、これだけ酷い目にあってもめげずにまたも一身を投げ打とうという先生の神々しい姿には感動すら覚えます。嗚呼一粒の麦もし死なずば。まさに地の塩とはこのような方のことを…
(先生といっても、もちろんぐりぐら先生のことではありません)